JP2999050B2 - 低濃度硫化水素の回収方法 - Google Patents

低濃度硫化水素の回収方法

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    • C01B17/00Sulfur; Compounds thereof
    • C01B17/16Hydrogen sulfides

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学工業において触媒
前処理用ガス、若しくは、硫黄原料、硫酸原料、有機ラ
ジカル反応停止剤として用いられた後の低濃度硫化水素
含有ガスから圧力スィング吸着法(以下、PSA法とい
う)を用いて高濃度硫化水素ガスを回収する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図12は、従来の2塔式の圧力スィング
吸着法(以下、PSA−I法という)により硫化水素を
濃縮する装置のフローシートである。吸着塔36には硫
化水素吸着剤35を充填し、吸着工程にある吸着塔36
aのバルブ34a及び37aを開放する。硫化水素含有
ガス31は、ブロア32で3atmに昇圧し、流路3
3、バルブ34aを経て吸着塔36aに導入され、硫化
水素を吸着して難吸着性成分ガスをバルブ37a、流路
38を介して系外に流出する。(吸着工程) 硫化水素の吸着帯が塔の出口付近まで移動して吸着工程
を終了した吸着塔36bは、バルブ39bを開放して真
空ポンプ40により塔内を所定の減圧にし、次いでバル
ブ42bを開放することにより、上記吸着工程で流路3
8から流出する難吸着性成分ガスの一部を、減圧弁4
1、バルブ42bを介して吸着塔36bに導入して向流
パージを行い、吸着剤35から硫化水素を脱着して回収
する。(減圧向流パージ工程)
【0003】減圧向流パージ工程で回収されるガスの硫
化水素濃度C2 は、吸着される硫化水素ガス量を
H2S 、吸着塔に残留する難吸着性成分ガス量をG
COADS 、向流パージガス量をGpとすると、次式で表さ
れる。 C2 =GH2S /(GH2S +GCOADS +Gp) ・・・ 又、Gpの必要量は、Skarstrom則によると、
次式で表される。 Gp=α(Pd/Pa)Go(但し、α≧1.2) ・・・ 又、吸着される硫化水素ガス量GH2S と吸着塔に残留す
る難吸着性成分ガス量GCOADS との比率を選択性βとす
ると、次式で表される。 β=GH2S /GCOADS ・・・ そして、原料ガス中の硫化水素濃度をC0 とすると、回
収ガス中の硫化水素濃度C2 は、上記〜式より次式
として求めることができる。 C2 =1/〔1+(1/β)+(αPd/C0 Pa)〕 ・・・ この式から明らかなように、硫化水素は、選択性β、吸
着圧力Paが大きいほど、又、再生圧力Pdが小さいほ
ど、高い濃縮率で回収される。
【0004】図12の方法(PSA−I法)において、
硫化水素吸着剤として重合リン酸含有活性アルミナを使
用するときには、C0 を3vol%とし、β=10、P
a=1.05atm、Pd=0.03atmとすると、
2 は45vol%程度である。この方法は硫化水素の
回収率を100%近くに設定すると、処理に適した原料
ガスの硫化水素濃度は40vol%以下の比較的低濃度
ガスとなる。
【0005】原料ガスの硫化水素濃度が40vol%を
越える、高濃度ガスの処理に適した方法としては、図1
3に示す4塔式の圧力スィング吸着法(以下、PSA−
II法という)がある。4つの吸着塔56には重合リン酸
含有アルミナ等の硫化水素吸着剤55が充填されてお
り、吸着工程にある吸着塔56aは、バルブ54aとバ
ルブ57aを開放して、高濃度の硫化水素を含有する原
料ガス51は、ブロア52で1atmから3atmに圧
縮され、流路53、バルブ54aを介して吸着塔56a
に供給され、硫化水素を吸着して難吸着性成分ガスをバ
ルブ57a、流路58を介して系外に放出する。硫化水
素の吸着帯が塔の後方まで移動した状態で吸着工程を終
了する。
【0006】吸着工程を終了した吸着塔56bは、バル
ブ60b、バルブ62bを開放し、次の減圧回収工程で
回収した高濃度の硫化水素含有ガスを製品ホルダ66か
ら流路59、バルブ60bを介して吸着塔56bに導入
し、塔内に残留する難吸着性成分を並流パージし、バル
ブ62b、流路63から系外に放出される。並流パージ
工程終了後の吸着塔56cは、バルブ64cを開放して
真空ポンプ65により塔内を0.01〜0.3atmに
減圧し、吸着剤55から硫化水素を脱着し、高濃度の硫
化水素含有ガスを製品ホルダ66に貯蔵する。そして、
その一部を製品ガスとして流路67から採取する。減圧
回収工程で吸着剤55の再生を終えた吸着塔56dは、
最大の真空度に達しており、バルブ69dを開放するこ
とにより、原料ガス51を流路68、バルブ69dを介
して吸着塔56dに導入し、大気圧に戻す。
【0007】ここで、真空ポンプで回収されるガス量を
Go、並流パージ工程に使用されるガス量をGpとする
と、パージ率R(%)は次のように定義される。 R=(Gp/Go)×100 仮に、原料ガスの硫化水素濃度を55vol%ととし、
パージ率を55%、65%、80%の3つの場合を想定
すると、製品ガスの硫化水素濃度は95vol%、99
vol%、99.9vol%に達する。このように、P
SA−II法は、製品濃度が最大99.9vol%に達す
る極めて濃縮率の高い方法である。しかし、回収率は4
0〜70%に止まり、入口ガスの硫化水素濃度が40v
ol%を下回ると、Skarstrom形の向流パージ
を行わないためにPSA性能を維持することができなく
なる。上記のPSA−I法とPSA−II法を比較評価す
ると表1のようになる。
【0008】
【表1】
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】上記のPSA−I法
は、低濃度域で非常に高い回収率が得られるが、製品濃
度が低く、また高濃度側で実施する場合は脱着ガス量が
多くなり、最高真空度に到達するのに時間を要し、か
つ、この操作で脱着が十分になされるため向流パージの
効果を挙げることができない。他方、PSA−II法は、
高濃度域で非常に高い製品濃度を得ることができるが、
回収率が低く、また低濃度側で実施する場合は向流パー
ジを採用していないために再生率が低く、多大な吸着剤
を必要とする。そして、並流パージに必要とする製品ガ
ス量を用意できなくなる。このように、PSA−I法や
PSA−II法を採用しても、40vol%以下の低濃度
の硫化水素含有ガスから90vol%以上の高濃度ガス
を高い回収率で得ることは困難であった。そこで、本発
明は、上記欠点を解消し、40vol%以下の低濃度の
硫化水素含有ガスを原料として90vol%以上の高濃
度ガスを高い回収率で得ることのできるPSA法を使用
した硫化水素の回収方法を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明は、硫化水素吸
着剤を充填した吸着塔を2段に使用して、40vol%
以下の低濃度硫化水素含有ガスから硫化水素を回収する
方法において、第1段吸着塔では(1)上記ガスを相対
的に低温、高圧で供給して硫化水素を吸着させ、随伴す
る難吸着性ガスを塔の後方部より回収する吸着工程と、
(2)吸着工程終了後の吸着塔前方部から減圧し、次い
で上記難吸着性ガスの一部を向流に導入して硫化水素濃
度を40vol%以上に減容濃縮して回収する工程と
を、交互に切り換えて連続的に硫化水素を回収し、次い
で、第2段吸着塔では(3)上記減容濃縮された硫化水
素含有ガスを相対的に低温、高圧で供給して硫化水素を
吸着させ、随伴する難吸着性ガスを塔の後方部より回収
する吸着工程と、(4)吸着工程終了後の第2吸着塔の
前方部から高度に濃縮された硫化水素含有ガスを並流に
流過して塔内に残留する難吸着性ガスを塔外に放出する
並流パージ工程と、(5)並流パージ工程終了後の第2
段吸着塔の前方部から減圧して高度に濃縮された硫化水
素含有ガスを回収する減圧回収工程と、(6)減圧回収
工程終了後の吸着塔に向流にガスを流して復圧する工程
とを、交互に切り換えて連続的に高濃度の硫化水素ガス
を回収するとともに、第2段吸着塔の上記(3)の吸着
工程から流過するガスを、第1段吸着塔の上記(1)の
吸着工程に戻し、かつ、第2段吸着塔の上記(4)の並
流パージ工程から流過するガスを第2段吸着塔の上記
(3)の吸着工程に戻すことを特徴とする圧力スィング
吸着法による硫化水素の回収方法である。なお、上記方
法において、第2段吸着塔の上記(4)の並流パージ工
程から流過するガスを上記(6)の向流復圧工程の戻す
復圧ガスとして使用することもできる。
【0011】
【作用】本発明は、上記のPSA−I法とPSA−II法
を2段階に有機的に組み合わせることにより、40vo
l%以下の低濃度硫化水素含有ガスから高い回収率で高
濃度硫化水素含有ガスを回収することを可能にしたもの
である。即ち、第2段目のPSA−II法の吸着工程から
流過するガスを第1段目のPSA−I法の吸着工程に戻
し、かつ、第2段目のPSA−II法の並流パージ工程か
ら流過するガスを第2段目の吸着工程、必要に応じて向
流復圧工程にも戻すことにより、従来のPSA−II法の
欠点である低回収率を改善することを可能にしたもので
ある。
【0012】本発明の吸着分離に使用される吸着剤とし
ては、活性アルミナ、シリカライト、Na−X型ゼオラ
イト(シリカ/アルミナ比が例えば2.7のもの)を挙
げることができる。但し、吸着温度が40℃以上で雰囲
気中に酸素が存在する場合は、クラウス類似反応を起こ
し易く、生成する硫黄が吸着剤表面に析出して吸着性能
を低下させる恐れがあるので、0.1〜2重量%、特
に、0.5〜1重量%の範囲で重合リン酸を含有させた
活性アルミナを使用することが好ましい。上記の範囲で
重合リン酸を含有させて酸度を上げることにより、クラ
ウス類似反応の回避に有効であることを確認した。重合
リン酸の含有量が0.1重量%を下回ると硫黄の析出量
が多くなり、活性アルミナのポアを閉塞して吸着性能を
低下させる恐れがあり、2重量%を上回ると当初の設計
吸着量を低下させることになり好ましくない。
【0013】
【実施例】図1に記載のPSA装置を用いて、硫化水素
3vol%及び窒素97vol%を含有する原料ガスか
ら硫化水素を99vol%まで濃縮した。第1段の2つ
の吸着塔6には、それぞれ500kgの硫化水素吸着剤
5を充填し、吸着工程にある吸着塔6aのバルブ4a及
び7aを開放し、上記原料ガス1をブロア2で1〜5a
tmに圧縮し、流路3、バルブ4aを経て吸着塔6aに
導入して硫化水素を吸着し、バルブ7a、流路8を経て
難吸着性の窒素ガスを回収した。そして、硫化水素吸着
帯が吸着塔6aの後方部に移動した段階で吸着工程を終
了した。
【0014】吸着工程を終了した吸着塔6bは、バルブ
9b、バルブ12bを開放して真空ポンプ10に連通
し、5〜230Torrまで減圧する間に、吸着工程で
回収した窒素ガスの一部を流路8、減圧弁11、バルブ
12bを介して吸着塔6bに導入し、向流パージして吸
着剤5から硫化水素を脱着させ、バルブ9b、真空ポン
プ10、流路13から回収した。回収ガス中の硫化水素
濃度は40vol%以上になるように設定した。向流パ
ージ工程を終了した吸着塔6bは、バルブ4bのみを開
放して原料ガスを導入し、大気圧に戻した。
【0015】第2段の4つの吸着塔16には、それぞれ
250kgの硫化水素吸着剤5を充填し、第1段の減圧
向流パージ工程で回収されたガスを流路13からブロア
14に導いて圧縮する。吸着工程にある吸着塔16aの
バルブ15a及び17aを開放し、上記回収ガスをバル
ブ15aを経て吸着塔16aに導入して硫化水素を吸着
し、バルブ17a、流路18を経て難吸着性の窒素ガス
を回収した。この回収ガスは、第1段の吸着工程から流
過するガスと比べて硫化水素濃度が高いため、大気中に
そのまま放出することができない。そこで、この回収ガ
スは流路18を経てブロア2の直前に戻して第1段の吸
着工程にある吸着塔6aに導入することにより、硫化水
素を吸着分離して硫化水素濃度を極めて低い状態にして
窒素ガスを流路8から回収し、第1段の向流パージに使
用する分を除いて大気中に放出した。
【0016】硫化水素吸着帯が吸着塔の後方部に移動
し、吸着工程を終了した吸着塔16bは、バルブ20b
及びバルブ21bを開放することにより並流パージ工程
に移行し、製品ホルダ27から高度に濃縮された硫化水
素を流路19、バルブ20bを経て吸着塔16bに並流
に流過することにより、塔内に滞留する窒素ガスをパー
ジしてバルブ21b、流路22を経て塔外に放出され
る。この放出ガスは硫化水素濃度が相当に高いので、ブ
ロア14の直前に戻して第2段の吸着工程にある吸着塔
16aに導入して硫化水素を回収した。
【0017】並流パージ工程を終了した吸着塔16c
は、バルブ25cを開放することにより減圧回収工程に
移行し、真空ポンプ26で再生圧力の高真空まで吸引し
て吸着剤5に吸着されている硫化水素を脱着して回収
し、製品ホルダ27に貯蔵した。貯蔵された硫化水素の
一部は、流路28から系外に製品として取り出すととも
に、一部は上記の並流パージ工程の吸着塔16cに戻し
てパージ用に使用した。
【0018】減圧回収工程を終了した吸着塔16dは、
バルブ24dを開放することにより向流復圧工程に移行
し、並流パージ工程の吸着塔16bから放出されたガス
の一部を流路22、流量制御バルブ23を介して吸着塔
16dに導入して復圧し、次の吸着工程に備えた。この
間の第1段の吸着塔のシーケンスは図2のとおりであ
り、第2段の吸着塔のシーケンスは図3のとおりであっ
た。なお、各ステップの所要時間の単位は秒である。
【0019】最適な吸着剤を選定するために、表2及び
表3に記載の硫化水素吸着剤を用い、硫化水素濃度3v
ol%、窒素97%のガスを原料とし、第1段の吸着塔
の吸着圧力を1.05atm、吸着温度を25℃、再生
圧力を0.03atm、パージ率αを120%、サイク
ルタイム5分、吸着工程の出口ガス中の硫化水素濃度を
150ppmとして第1段の吸着操作を行い、回収ガス
の硫化水素濃度(vol%)と1Tonの吸着剤に換算
した原料ガスの処理能力(Nm3 /Ton)を表2に記
載した。また、第2段の吸着塔の吸着圧力を1.05a
tm、吸着温度を25℃、再生圧力を0.02atm、
パージ率αを75%、サイクルタイム4分、として第2
段の吸着操作を行い、回収ガスの硫化水素濃度(vol
%)と1Tonの吸着剤に換算した原料ガスの処理能力
(Nm3 /Ton)を表3に記載した。表2及び表3か
ら明らかなように、0.5〜1wt%の重合リン酸を含
有する活性アルミナ、活性アルミナ、シリカライトが、
優れていることが分かる。但し、活性アルミナは、吸着
温度が40℃以上で雰囲気中に酸素が存在するとクラウ
ス反応を起こすので注意を要する。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】第1段の吸着塔について、上記の条件のう
ち吸着温度を変化させて第1段の回収ガス中の硫化水素
濃度(vol%)を測定し、吸着温度と硫化水素濃度の
関係を図4に示した。重合リン酸0.5wt%含有する
活性アルミナは0〜300℃という広い吸着温度範囲で
高い硫化水素濃度が得られたが、シリカライトは0〜1
50℃と比較的低温域においてのみ適用可能であること
が分かる。
【0023】第1段の吸着塔について、上記の条件のう
ち第1段の入口ガス中の硫化水素濃度を変化させるとき
の、第1段の回収ガス中の硫化水素濃度を測定して対比
したのが図5である。硫化水素濃度が2vol%の入口
ガスを使用するときに、第1段の回収ガス中の硫化水素
濃度は40vol%に達し、40vol%の入口ガスを
使用するときには、第1段の回収ガス中の硫化水素濃度
は90vol%に達した。
【0024】第1段の吸着塔について、上記の条件のう
ち第1段の再生圧力を変化させ、第1段の回収ガス中の
硫化水素濃度を測定して対比したのが図6である。真空
到達圧力が高真空になるほど、パージガス量を低減する
ことができ、理論的には1Torr以下でのパージも考
えられるが、真空ポンプの効率、バルブのリークを考慮
すると、10Torr程度が下限である。
【0025】第1段の吸着塔について、上記の条件のう
ち第1段の吸着圧力を変化させ、第1段の回収ガス中の
硫化水素濃度を測定して対比したのが図7である。吸着
圧力の上昇に伴い、パージガス量を低減させ、回収濃度
を向上させることができるが、硫化水素の分圧が1at
mを越えると吸着量が飽和傾向に向かうため3atmが
上限である。省エネルギーを計るためには、吸着塔圧損
を見合う吸着圧力1.05〜1.1atm程度で操作す
るのが好ましい。
【0026】第2段の吸着塔について、吸着圧力を1.
2atm、再生圧力を0.2atm、第2段入口の硫化
水素濃度を55vol%、吸着温度を25℃とし、上記
と同様に第2段の吸着分離を行うと、パージ率と第2段
の回収ガスの硫化水素濃度との関係は図8のとおりであ
り、重合リン酸を0.5%含有させた活性アルミナを使
用して、パージ率55%、65%、80%で、第2段の
回収ガスの硫化水素濃度は95vol%、99vol
%、99.9vol%と達した。また、シリカライトを
使用すると、パージ率60%、70%、85%で、第2
段の回収ガスの硫化水素濃度は95vol%、99vo
l%、99.9vol%と達した。
【0027】第2段の吸着塔について、上記の条件のう
ちパージ率を65%に固定し、第2段入口の硫化水素濃
度を変化させ、第2段の回収ガスの硫化水素濃度を測定
したところ、図9のとおりであり、第2段入口の硫化水
素濃度が40vol%を越えると、第2段の回収ガスの
硫化水素濃度も90vol%を越えることが分かる。
【0028】第2段の吸着塔について、上記の条件のう
ちパージ率を65%に固定し、第2段入口の硫化水素濃
度を55vol%にし、再生圧力を変化させ、第2段の
回収ガスの硫化水素濃度を測定したところ、図10のと
おりであり、再生圧力が高真空になるほど、第2段の回
収ガスの硫化水素濃度は上昇するが、0.05atm以
下では濃度上昇は鈍化し、また、真空ポンプの容量も大
きくなるので経済的でない。
【0029】第2段の吸着塔について、上記の条件のう
ちパージ率を65%に固定し、第2段入口の硫化水素濃
度を55vol%にし、吸着圧力を変化させ、第2段の
回収ガスの硫化水素濃度を測定したところ、図11のと
おりであり、吸着圧力が高くなるほど、第2段の回収ガ
スの硫化水素濃度は上昇するが、3atmを越えると鈍
化し、また、ブロアの消費電力からも経済的でない。
【0030】(実施例1)以上の傾向を把握した上で下
記の操作条件で硫化水素の回収を行い、第2段吸着塔の
回収ガスの硫化水素濃度と硫化水素の回収率を比較し
た。なお、ケースIでは、第2段吸着塔の吸着工程から
の流出ガスは、第1段吸着塔のブロアの前段に戻して原
料ガスとともに吸着工程に導入し、第2段の並流パージ
工程の流出ガスは、第2段吸着塔の減圧回収工程を終了
した吸着塔に向流で供給して復圧した。ケースIIでは、
第2段吸着塔の吸着工程からの流出ガス、及び、第2段
の並流パージ工程の流出ガスは、直接系外に放出した。
【0031】 第1段吸着塔 吸着剤 重合リン酸0.5wt%含有活性アルミナ 吸着圧力 1.05atm 再生圧力 0.03atm 向流パージ率 120% 吸着温度 25℃ 入口ガスの硫化水素濃度 3vol% 出口ガスの硫化水素濃度 44vol% 第2段吸着塔 吸着剤 重合リン酸0.5wt%含有活性アルミナ 吸着圧力 1.2atm 再生圧力 0.2atm 並流パージ率 75% 吸着温度 25℃ 入口ガスの硫化水素濃度 44vol% 出口ガスの硫化水素濃度 99vol% 出口ガスの硫化水素濃度は、ケースI、ケースIIとも
に、99vol%であるが、総合的な硫化水素の回収率
は、ケースIが95%であるのに対し、ケースIIは60
%であり、ケースIが極めて有効であることが分かる。
【0032】(実施例2)実施例1の条件で硫化水素の
回収を行い、ケースIでは、第2段吸着塔の吸着工程か
らの流出ガスを、第1段吸着塔のブロアの前段に戻して
原料ガスとともに吸着工程に導入し、第2段吸着塔の並
流パージ工程からの流出ガスを、第2段吸着塔のブロア
の前段に戻して第2段の吸着工程に導入した。ケースII
では、第2段吸着塔の吸着工程からの流出ガス、及び、
第2段の並流パージ工程の流出ガスは、直接系外に放出
した。出口ガスの硫化水素濃度は、ケースIで98vo
l%であり、ケースIIでは99vol%であるが、総合
的な硫化水素の回収率は、ケースIが95%であるのに
対し、ケースIIは60%であり、ケースIが極めて有効
であることが分かる。
【0033】
【発明の効果】本発明は、吸着塔を2段で使用し、第2
段吸着塔の吸着工程の流出ガスを第1段の吸着工程に戻
し、第2段吸着塔の並流パージ工程の流出ガスを第2段
吸着塔の吸着工程に戻し、必要に応じて向流復圧工程に
戻すことにより、従来の向流パージ法と並流パージ法の
利点を兼ね備えた、高濃度の硫化水素を高い回収率で回
収することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPSA法を実施するための装置のフロ
ーシートである。
【図2】実施例における第1段吸着塔のシーケンスを図
示したものである。
【図3】実施例における第2段吸着塔のシーケンスを図
示したものである。
【図4】実施例において、吸着温度と、第1段吸着塔の
回収ガスの硫化水素濃度との関係を示したグラフであ
る。
【図5】実施例において、第1段吸着塔の入口ガスの硫
化水素濃度と、第1段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度
との関係を示したグラフである。
【図6】実施例において、第1段吸着塔の再生圧力と、
第1段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度との関係を示し
たグラフである。
【図7】実施例において、第1段吸着塔の吸着圧力と、
第1段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度との関係を示し
たグラフである。
【図8】実施例において、第2段吸着塔のパージ率と、
第2段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度との関係を示し
たグラフである。
【図9】実施例において、第2段吸着塔の入口ガスの硫
化水素濃度と、第2段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度
との関係を示したグラフである。
【図10】実施例において、第2段吸着塔の再生圧力
と、第2段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度との関係を
示したグラフである。
【図11】実施例において、第2段吸着塔の吸着圧力
と、第2段吸着塔の回収ガスの硫化水素濃度との関係を
示したグラフである。
【図12】従来の向流パージ法を実施するための装置の
フローシートである。
【図13】従来の並流パージ法を実施するための装置の
フローシートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒木 公一 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎造船所内 (56)参考文献 特開 平5−228326(JP,A) 特開 平5−238704(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化水素吸着剤を充填した吸着塔を2段
    に使用して、40vol%以下の低濃度硫化水素含有ガ
    スから硫化水素を回収する方法において、第1段吸着塔
    では(1)上記ガスを相対的に低温、高圧で供給して硫
    化水素を吸着させ、随伴する難吸着性ガスを塔の後方部
    より回収する吸着工程と、(2)吸着工程終了後の吸着
    塔前方部から減圧し、次いで上記難吸着性ガスの一部を
    向流に導入して硫化水素濃度を40vol%以上に減容
    濃縮して回収する工程とを、交互に切り換えて連続的に
    硫化水素を回収し、次いで、第2段吸着塔では(3)上
    記減容濃縮された硫化水素含有ガスを相対的に低温、高
    圧で供給して硫化水素を吸着させ、随伴する難吸着性ガ
    スを塔の後方部より回収する吸着工程と、(4)吸着工
    程終了後の第2吸着塔の前方部から高度に濃縮された硫
    化水素含有ガスを並流に流過して塔内に残留する難吸着
    性ガスを塔外に放出する並流パージ工程と、(5)並流
    パージ工程終了後の第2段吸着塔の前方部から減圧して
    高度に濃縮された硫化水素含有ガスを回収する減圧回収
    工程と、(6)減圧回収工程終了後の吸着塔に向流にガ
    スを流して復圧する工程とを、交互に切り換えて連続的
    に高濃度の硫化水素ガスを回収するとともに、第2段吸
    着塔の上記(3)の吸着工程から流過するガスを、第1
    段吸着塔の上記(1)の吸着工程に戻し、かつ、第2段
    吸着塔の上記(4)の並流パージ工程から流過するガス
    を上記(3)の吸着工程に戻すことを特徴とする圧力ス
    ィング吸着法による硫化水素の回収方法。
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