JP2998972B2 - ヘリコプタ - Google Patents

ヘリコプタ

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JP2998972B2 JP2146125A JP14612590A JP2998972B2 JP 2998972 B2 JP2998972 B2 JP 2998972B2 JP 2146125 A JP2146125 A JP 2146125A JP 14612590 A JP14612590 A JP 14612590A JP 2998972 B2 JP2998972 B2 JP 2998972B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、飛行中のヘリコプタの主ロータ回転軸取付
部近傍の空気抵抗減少及び尾部への空力干渉の減少を図
ったヘリコプタに関する。
〔従来の技術〕
従来のヘリコプタは、第13図にその側面図を示すよう
にヘリコプタ1の胴体4頂部から上方へ突出させて、主
ロータ2を回転する回転軸3の取付部は、カバー等を設
けない裸のままか、あるいは第14図に示すようにフェア
リング8等が装着されていた。
なお、図中、5はテールロータ、6は垂直尾翼、7は
水平尾翼、15はエンジンである。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来のヘリコプタには解決すべき次の不具合があ
った。
即ち、ヘリコプタ1まわりの流れは、主ロータ3が回
転軸3を介して、回転して下向きの流れを発生させると
同時に、前進飛行によってもヘリコプタの外周には飛行
方向の流れが発生しており、さらにはエンジン15排気に
よっても流れが発生するので、流れが複雑になってい
る。
このような状態における第13図のヘリコプタの回転軸
3の平断面図を第15図に示す。
図に示すように、回転軸3まわりに発生する流れ9は
回転軸3が円筒形であるため、回転軸3の後方で大きな
剥離域10を生じ、抵抗増加をもたらしてヘリコプタ1の
性能を劣化したり、また、剥離域10が後方に流れること
により回転軸3の後方における胴体4、垂直尾翼6、水
平尾翼7等で振動を発生したり、垂直尾翼6、水平尾翼
7等の効きを減少して、安定性、操縦性の不具合を発生
したりする不具合があった。
これを改善するため従来、第14図に示すようなフェア
リング8を回転軸3の胴体4への取付部に装着するヘリ
コプタが提供されているが、このようなフェアリング8
の装着のみではまだ効果が不十分で抵抗増加をもたらし
てヘリコプタ1の性能を劣化したり、回転軸3の後方の
胴体4、垂直尾翼6、水平尾翼7等で振動を発生して、
乗り心地を悪化したり、ヘリコプタ1のミッションをそ
こなったり、垂直尾翼6、水平尾翼7等の効きを減少
し、安定性、操縦性の不具合を発生してヘリコプタ1の
ミッションを限定したり、パイロットの作業負担を増加
したりする不具合があった。
本発明は、上記従来の問題点を解消させ、抵抗増加を
減少してヘリコプタ1の性能劣化を少くし、ヘリコプタ
1の振動を軽減し、垂直尾翼6、水平尾翼7等の効きを
保持して安定性、操縦性の不具合をなくしてヘリコプタ
1のミッションを十分はたし、パイロットの作業負担を
軽減できるヘリコプタを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記課題の解決手段として次の(1)、
(2)に記載のヘリコプタを提供しようとするものであ
る。
(1) 胴体頂部から上方にむかって突出する回転軸を
備え、前記回転軸の頂部に主ロータを設けたヘリコプタ
において、胴体頂面と回転軸の外周囲露出部分を一体的
に被う流線形状のフェアリングと、前記回転軸の軸心を
略同一の面内に含み、前記フェアリングの後端から垂直
尾翼の前端までの間に連続して胴体頂部に立設されたス
プリッタプレートとを設けたことを特徴とするヘリコプ
タ。
(2) 前記フェアリングの側面に開口する空気孔を設
け、前記スプリッタプレートに対する前記主ロータの回
転方向が前記ヘリコプタの飛行方向と同じ方向になる側
の吹吸を前記ヘリコプタの飛行方向と逆方向になる側の
吹吸より大きくして、前記空気孔から空気を吹吸するこ
とにより、前記スプリッタプレートの側面近傍を流れる
空気流の整流をするようにしたことを特徴とする請求項
1のヘリコプタ。
〔作用〕
本発明は上記のように構成されるので次の(1)、
(2)の作用をする。
(1) 上記(1)の構成にあっては胴体頂面と回転軸
の露出部分をフェアリングによって流線状に被うため、
第12図にその平断面を示すように回転軸3に対し、フェ
アリング8が周囲を通過する空気流を整流して、第15図
に従来例として示した、回転軸3後流側に発生していた
大きな剥離域10の発生を解消することができる。
また、フェアリング後端から垂直尾翼6の前端までの
間に連続して、回転軸の軸心をほぼ同一の面内に設ける
ようにした板状のスプリッタプレートを胴体頂面上に延
設したので、スプリッタプレートで仕切られた胴体左右
を流れる空気流の干渉がなくなり、第12図に示すよう
な、フェアリング後方に発生することのある小さな剥離
域11の発生も解消することができる。
この結果、ヘリコプタ1の飛行抵抗、振動が減少し、
安定性が増し、操縦性の劣化が解消する。
(2) 上記(2)の構成にあっては、上記(1)の構
成に加えて、胴体頂面と回転軸の外周囲の露出部分を一
体的に流線形状にして被うようにしたフェアリングの側
面に、空気の吹吸(吹き出し、吸込み)を行う空気孔を
設けて、スプリッタプレートに対するロータ回転方向の
下流側の吹吸を上流側の吹吸よりも強く吹吸するように
した空気孔からの空気の吹吸、すなわち、主ロータの回
転方向がヘリコプタの飛行と同じになり、対気速度が大
きくなる側の吹吸を、ヘリコプタの飛行方向と逆にな
り、対気速度が小さくなる側の吹吸より大きくなるよう
にして、この空気孔から空気を吹吸することにより、ス
プリッタプレートの側面近傍の空気流を積極的に整流す
るようにしているため、従来例の第15図に示すような、
大きな剥離域10の発生ばかりでなく、第12図に示すよう
な、フェアリング後方に発生することのある小さな剥離
域11の発生を解消することができる。
この結果、ヘリコプタの飛行抵抗、振動が減少し、安
定性が増し、操縦性の劣化が解消する。
〔実施例〕
本発明の第1実施例を第1、2図により説明する。な
お、従来例と同様の構成部材には同符号を付し、説明を
省略する。
また、各実施例において同一図面を繰返し引用する場合
がある。
第1図においてフェアリング12の後方には、それに続
いて(a)に示すようなスプリッタプレート13、または
(b)に示すようなスプリッタプレート27が、その後端
を垂直尾翼6の前縁に到達させるように連続して設けら
れている。
第2図はその平断面図で、図に示すように、フェアリ
ング12後端と垂直尾翼6の前縁の間に連続して、胴体4
の頂面に機体軸心に沿って鉛直に立設されたスプリッタ
プレート13,27により、空気の流れ9が整流されて、ほ
とんど剥離なし流れ14となって後方へ流れてゆくので、
剥離による抵抗増加や振動発生、舵の効きの減少といっ
た不具合が生じない。
次に本発明の第2実施例について第3図〜第5図によ
り説明する。
第3図及び第4図に示すように回転軸3の基部外周に
はフェアリング16が設けられ、フェアリング(吹き出し
つき)16に沿って、空気孔としての吹き出しノズル20が
上下にわたってスリット状に設けらてれており、この吹
き出しノズル20から後方にむかって、高速の気流を吹き
出すことにより吹き出し17を形成し、フェアリング16近
傍の流れを制御して剥離を防止する。
吹き出し17に使用する高圧ガスはエンジン15で作られ
た高圧ガスを利用し、フェアリング16内に連通された配
管22によって吹き出しノズル20に導き、吹き出しノズル
20から高速で吹き出すものである。
この作動のプロセスの説明を第5図に示す。吹き出し
ノズル20から高圧ガスを吹き出すことによって剥離防止
の著しい効果があるが、第3、4図に示すようにフェア
リング(吹き出しつき)16の後端にその前端が連結され
るとともに、その垂直尾翼6の前縁にその後端が連結さ
れるようにして胴体4の頂面に連続して設けたスプリッ
タプレート13,27を装着するようにしているので、さら
に剥離は減少し、効果は一層大きくなる。
即ち、剥離による抵抗増加や振動発生、舵の効きの減
少といった不具合が殆ど発生しない。
次に本発明の第3実施例を第6図及び第7図により説
明する。
両図において、回転軸3の基部外周にはフェアリング
18が設けられ、フェアリング(吸込みつき)18の左右両
側に沿って吸込みポンプ21により近傍の空気を吸込み可
能にした、空気孔としての吸込み19が設けられている。
吸込みポンプ21により、フェアリング18近傍の速度の
遅くなった気流を吸込み19を通じて吸込み、フェアリン
グ18近傍の流れを制御して剥離を防止する。吸込みポン
プ21はエンジン15で駆動される。
以上の通り本実施例によれば剥離が防止されるので上
記第1、第2実施例と同様の効果がある。
なお、吸込み19によってフェアリング18近傍の空気を
吸込むことで著しい効果があるが、第6、第7図に示す
ように第1実施例同様にフェアリング18の後端に、その
先端が連結されるとともに、その後端が垂直尾翼6の前
縁に連結されるようにして胴体4の頂面のフェアリング
18の後端と垂直尾翼6の前縁との間に連続して、立設し
たスプリッタプレート13,27を付設しているので、効果
は一層、大きくなる。
次に本発明の第4実施例を第8図により説明する。
なお、以降、各実施例の側面図は第1、第3、第6図
等と特段の相違がないのでこれを省略し平断面のみにて
説明する。
また、構成も簡明なので、冗長を避けるため、構成と
作用を併わせて説明する。
第8図においてフェアリング(片側吹き出しつき)23
に沿って左又は右の片側(第8図は左側からの吹き出し
17を示す)から第2実施例と同様の吹き出しノズル20よ
り高速の気流を吹き出すことにより吹き出し17を形成
し、フェアリング23近傍の流れを制御して剥離を防止す
る。
吹き出し17の吹出し方等は第2実施例と同様で作動の
プロセスは第5図に示す通りである。
また、側面図は第3図と同様である。
なお、吹き出し17を行なう側は回転軸回転方向24に結
びついており、第8図に示す回転方向では同図のように
上から見て左側から吹き出し17を行ない、回転軸回転方
向24が同図と逆の場合は上から見て右側から吹き出し17
を行なう。このフェアリング(片側吹き出しつき)23に
接して図示のように後方にスプリッタプレート13,27を
装着するようにしたので、さらに剥離は減少し、効果が
大きくなる。
次に本発明の第5実施例を第9図により説明する。
図において、フェアリング(非対称吹き出しつき)25
に沿って第2実施例とほぼ同様に設けられた吹き出しノ
ズル20による吹き出し17は、左右で吹出し強さが異なる
ように形成される(第9図は上から見た断面図で、この
図の場合左側の吹き出しが右側の吹き出しより強い場合
を示す)。
吹き出し17の吹出し方等は第2実施例と同様で作動の
プロセスは第5図に示す通りである。
また、側面図は第3図と慨ね同様である。
吹き出し17の強弱は回転軸回転方向24に結びついてお
り、第9図に示す回転方向では同図のように上から見て
左側から吹き出し17を強くし、回転軸回転方向24が同図
と逆の場合は上から見て右側からの吹き出し17を強くす
る。
このフェアリング(非対称吹き出しつき)25に接して
図示のように後方にスプリッタプレート13,27を装着す
るようにしているので、さらに剥離は減少し、効果が大
きくなる。
次に本発明の第6実施例を第10図により説明する。
図において、フェアリング(非対称吸込みつき)26に
沿って第3実施例とほぼ同様に設けられた吸込み19は左
側と右側とで吸込み量が異なるよう構成されており(第
10図は上から見た断面図で、この図の場合左側の吸込み
が右側の吸込みより強い場合を示す)、吸込み19の吸込
み方等は第3実施例と同様で、側面図は第6図と同様で
ある。
吸込みの強弱は回転軸回転方向24に結びついており第
10図に示す回転方向では同図のように上から見て左側か
らの吸込みを右側からの吸込みより強くなるように吸込
み19を構成し、回転軸回転方向24が同図と逆の場合は、
上から見て右側からの吸込みをより強くするように構成
する。
このフェアリング(非対称吸込みつき)26に接して図
示のように後方にスプリッタプレート13,27を装着する
ようにしているので、さらに剥離は減少し、効果が大き
くなる。
次に本発明の第7実施例を第11図により説明する。
図において、フェアリング(片側吸込みつき)28に沿
って、第3実施例の片側と同様に設けられた吸込み19は
左側又は右側(第11図は左側の吸込み19を示す)からの
み、吸込みを行なう構成とされている。
吸込み19の吸込み方等は第3実施例と同様で、その側
面図も第6図と同様である。
吸込み19の設けられる側は、回転軸回転方向24に結び
ついており、第11図に示す回転方向では同図のように上
から見て左側から吸込みを行ない、回転軸回転方向24が
同図と逆の場合は、上から見て右側から吸込みを行な
う。
このフェアリング(片側吸込みつき)28に接して図示
のように後方スプリッタプレート13,27を装着すること
によって、さらに剥離は減少し、効果が大きくなる。
〔発明の効果〕
本発明は上記のように構成されるので次の効果を有す
る。
(1) 主ロータの回転軸近傍のフェアリングの後端に
その前端が連結され、垂直尾翼の前縁にその後端が連結
されるようにして、フェアリングと垂直尾翼との間に連
続してスプリッタプレートを胴体頂面に立設するように
したので回転軸近傍の流れが整流され剥離域が少なくな
ってヘリコプタの性能劣化がおさえられ、振動の発生、
安定性、操縦性の劣化等が防止できる。
(2) 吹き出しや吸込み部を有するフェアリングによ
り、回転軸近傍の流れが整流され、剥離域が少なくなっ
て、ヘリコプタの性能劣化がおさえられ、振動の発生、
安定性、操縦性の劣化等が防止できる。
(3) 吹き出し、吸込み部を有するフェアリングおよ
びそれの後方に前端が接して設けられ、胴体頂面を垂直
尾翼の前縁にまで連続させて立設されたスプリッタプレ
ートにより、回転軸まわりの流れが大幅に整流され、剥
離がほとんどなくなり、ヘリコプタの性能劣化がおさえ
られ、振動の発生、安定性、操縦性の劣化等が防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例の側面図で(a)はスプリ
ッタプレートが傾斜している例を、(b)はスプリッタ
プレートがほぼ水平な例をそれぞれ示す図、第2図は第
1図の回転軸近傍の平断面図、第3図は本発明の第2実
施例の側面図、第4図は第3図の回転軸近傍の平断面
図、第5図は本発明の第2実施例の作動プロセスを示す
図、第6図は本発明の第3実施例の側面図、第7図は第
6図の回転軸近傍の平断面図、第8図は本発明の第4実
施例の平断面図、第9図は本発明の第5実施例の平断面
図、第10図は本発明の第6実施例の平断面図、第11図は
本発明の第7実施例の平断面図、第12図は本発明の作用
を説明するための平断面図、第13図は一従来例の側面
図、第14図は別の従来例の側面図、第15図は従来例の第
13図の回転軸まわりの空気流を説明するための平断面図
である。 1……ヘリコプタ、2……主ロータ、3……回転軸 4……胴体、5……テールロータ、6……垂直尾翼 7……水平尾翼、8……フェアリング、9……流れ、 10……大きな剥離域、11……小さな剥離域、12……フェ
アリング、 13……スプリッタプレート、15……エンジン、 16……フェアリング(吹き出しつき)、17……吹き出
し、 18……フェアリング(吸込みつき)、19……吸込み、 20……吹き出しノズル、21……吸込みポンプ、22……配
管 23……フェアリング(片側吹き出しつき)、 25……フェアリング(非対称吹き出しつき)、 26……フェアリング(非対称吸込みつき)、 27……スプリッタプレート、 28……フェアリング(片側吸込みつき)。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】胴体頂部から上方にむかって突出する回転
    軸を備え、前記回転軸の頂部に主ロータを設けたヘリコ
    プタにおいて、胴体頂面と回転軸の外周囲露出部分を一
    体的に被う流線形状のフェアリングと、前記回転軸の軸
    心を略同一の面内に含み、前記フェアリングの後端から
    垂直尾翼の前端までの間に連続して胴体頂部に立設され
    たスプリッタプレートとを設けたことを特徴とするヘリ
    コプタ。
  2. 【請求項2】前記フェアリングの側面に開口する空気孔
    を設け、前記スプリッタプレートに対する前記主ロータ
    の回転方向が前記ヘリコプタの飛行方向と同じになる側
    の吹吸を前記ヘリコプタの飛行方向と逆になる側の吹吸
    より大きくして、前記空気孔から空気を吹吸することに
    より、前記スプリッタプレートの側面近傍を流れる空気
    流の整流をするようにしたことを特徴とする請求項1の
    ヘリコプタ。
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