JP2998117B2 - 光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents
光学活性アルコールの製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不斉炭素上にトリフルオ
ロメチル基、末端にアルコキシ基を有する光学活性アル
コールを高い光学純度で製造する方法に関するものであ
る。
ロメチル基、末端にアルコキシ基を有する光学活性アル
コールを高い光学純度で製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光学活性物質は従来より医薬品、農薬の
分野に於て使用されてきたが近年強誘電性液晶、有機非
線形材料などの機能性材料として注目を集めている。例
えば有機非線形材料の分野においては有機材料が二次の
非線形光学効果を生ずるためには分子内に不斉中心が存
在することが望ましい〔例えば、山口、中野、笛野、化
学、42(11)、757(1987)〕。また強誘電
性液晶の分野においては液晶が強誘電性を示すためには
液晶分子が光学活性体であることが不可欠である〔例え
ば城野、福田、有機合成化学協会誌、47(6)、56
8(1989)〕。従来このような分野においては光学
活性源として、2−ブタノール、2−オクタノール、2
−メチル−1−ブタノール、アミノ酸誘導体などが用い
られてきた。しかしながらこの様な光学活性物質を使用
していたのでは、得られる材料の特性は限定されたもの
であった。
分野に於て使用されてきたが近年強誘電性液晶、有機非
線形材料などの機能性材料として注目を集めている。例
えば有機非線形材料の分野においては有機材料が二次の
非線形光学効果を生ずるためには分子内に不斉中心が存
在することが望ましい〔例えば、山口、中野、笛野、化
学、42(11)、757(1987)〕。また強誘電
性液晶の分野においては液晶が強誘電性を示すためには
液晶分子が光学活性体であることが不可欠である〔例え
ば城野、福田、有機合成化学協会誌、47(6)、56
8(1989)〕。従来このような分野においては光学
活性源として、2−ブタノール、2−オクタノール、2
−メチル−1−ブタノール、アミノ酸誘導体などが用い
られてきた。しかしながらこの様な光学活性物質を使用
していたのでは、得られる材料の特性は限定されたもの
であった。
【0003】最近強誘電性液晶物質の分野において、光
学活性源として不斉炭素上にフッ素置換した基を持つC
F3C*H(OH)CH2COOC2 H5 、CF3C*H
(OH)(CH2)2OC2H5 、CF3C*H(OH)
(CH2)3OC2H5 、CF3C*H(OH)(CH2)4
OC2 H5 、CF3C*H(OH)C6H13、CF3C*H
(OH)C8H17 、C2F5C*H(OH)C8H17等の
アルコールを使用して強誘電性液晶物質を製造する試み
が盛んに行われている(例えば、特開昭64−3154
号、特開平1−316339号、特開平1−31636
7号、特開平1−316372号、特開平2−2254
34号、特開平2−229128号の各公報)。
学活性源として不斉炭素上にフッ素置換した基を持つC
F3C*H(OH)CH2COOC2 H5 、CF3C*H
(OH)(CH2)2OC2H5 、CF3C*H(OH)
(CH2)3OC2H5 、CF3C*H(OH)(CH2)4
OC2 H5 、CF3C*H(OH)C6H13、CF3C*H
(OH)C8H17 、C2F5C*H(OH)C8H17等の
アルコールを使用して強誘電性液晶物質を製造する試み
が盛んに行われている(例えば、特開昭64−3154
号、特開平1−316339号、特開平1−31636
7号、特開平1−316372号、特開平2−2254
34号、特開平2−229128号の各公報)。
【0004】これらのアルコールを用いて誘導された強
誘電性液晶物質はいずれも不斉炭素上に電気陰性度の大
きいフッ素原子が置換されているために大きい自発分極
を与えかつ比較的速い応答速度を与える。更に、CF3
C*H(OH)C6H13、CF3C*H(OH)C8H17、
C2F5C*H(OH)C8H17等を用いて誘導された液晶
物質は反強誘電相を有する液晶物質(以下反強誘電性液
晶物質と称する)を与え易いことが認められており、こ
のためにこれらは非常に特徴あるアルコールとして注目
を集めている。反強誘電性液晶物質は最近見いだされた
ものであるが、〔(A.D.L.Chandani,E.Gorecka,Y.Ouch
i,H.Takezoe,A.Furukawa,Jpn.Appl.Phys.,28,(1989)〕
従来の強誘電性液晶物質に比べ配向が容易である、配向
の自己修復能力がある、高いコントラスト比が実現でき
る、明確な直流しきい値を持つなど様々の有利な点を持
っているため液晶表示素子の分野において大きな注目を
集めている。
誘電性液晶物質はいずれも不斉炭素上に電気陰性度の大
きいフッ素原子が置換されているために大きい自発分極
を与えかつ比較的速い応答速度を与える。更に、CF3
C*H(OH)C6H13、CF3C*H(OH)C8H17、
C2F5C*H(OH)C8H17等を用いて誘導された液晶
物質は反強誘電相を有する液晶物質(以下反強誘電性液
晶物質と称する)を与え易いことが認められており、こ
のためにこれらは非常に特徴あるアルコールとして注目
を集めている。反強誘電性液晶物質は最近見いだされた
ものであるが、〔(A.D.L.Chandani,E.Gorecka,Y.Ouch
i,H.Takezoe,A.Furukawa,Jpn.Appl.Phys.,28,(1989)〕
従来の強誘電性液晶物質に比べ配向が容易である、配向
の自己修復能力がある、高いコントラスト比が実現でき
る、明確な直流しきい値を持つなど様々の有利な点を持
っているため液晶表示素子の分野において大きな注目を
集めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様に不斉炭素上に
フッ素置換した液晶物質は非常に大きい有用性を与え
る。しかしながら、CF3C*H(OH)C6H13、CF3
C*H(OH)C8H17、C2F5C*H(OH)C8H17等
を用いて誘導された反強誘電性液晶物質は応答速度が十
分でなく、反強誘電相を示す温度範囲が実用温度範囲よ
り高いなどの欠点を有している。従ってこの面から不斉
炭素上にフッ素置換した新しい光学活性アルコールの出
現が望まれていた。そのために我々は既に一般式(2) CF3C*H(OH)(CH2)mOCnH2n+1 (2) で表される光学活性アルコールとその製造法及びその利
用について提案しmが5以上の場合、このアルコールか
ら製造された液晶物質は反強誘電相が発現し、しかも物
性的に特徴ある液晶物質が得られることを認めている
(特願平2−297125号、特願平2−322462
号など)。先に我々が提案した一般式(2) CF3C*H(OH)(CH2)mOCnH2n+1 (2) で表される光学活性アルコールの製造方法は次の通りで
ある。
フッ素置換した液晶物質は非常に大きい有用性を与え
る。しかしながら、CF3C*H(OH)C6H13、CF3
C*H(OH)C8H17、C2F5C*H(OH)C8H17等
を用いて誘導された反強誘電性液晶物質は応答速度が十
分でなく、反強誘電相を示す温度範囲が実用温度範囲よ
り高いなどの欠点を有している。従ってこの面から不斉
炭素上にフッ素置換した新しい光学活性アルコールの出
現が望まれていた。そのために我々は既に一般式(2) CF3C*H(OH)(CH2)mOCnH2n+1 (2) で表される光学活性アルコールとその製造法及びその利
用について提案しmが5以上の場合、このアルコールか
ら製造された液晶物質は反強誘電相が発現し、しかも物
性的に特徴ある液晶物質が得られることを認めている
(特願平2−297125号、特願平2−322462
号など)。先に我々が提案した一般式(2) CF3C*H(OH)(CH2)mOCnH2n+1 (2) で表される光学活性アルコールの製造方法は次の通りで
ある。
【0006】
【0007】上記式でDHPはジヒドロピラン、THP
はテトラヒドロピランを示す。我々が提案した上記方法
は、特に困難な工程もなく、収率も高いことから光学活
性アルコールの製造方法として大きな有用性を有する。
しかしながら上記工程のうち最初の工程であるパン酵母
による不斉還元に於いてパン酵母の不斉認識能はそれほ
ど高くなく、そのため目的物のアルコールの光学純度は
60%ee程度と低い。そしてこれを用いて誘導された
強誘電性液晶物質あるいは反強誘電性液晶物質の光学純
度も当然のことながら低く、そのために液晶の特性は充
分に満足できるものではなかった。即ち本発明の目的は
光学純度の極めて高い一般式(2)で表される光学活性
アルコールの新規な製造法を提供することにある。
はテトラヒドロピランを示す。我々が提案した上記方法
は、特に困難な工程もなく、収率も高いことから光学活
性アルコールの製造方法として大きな有用性を有する。
しかしながら上記工程のうち最初の工程であるパン酵母
による不斉還元に於いてパン酵母の不斉認識能はそれほ
ど高くなく、そのため目的物のアルコールの光学純度は
60%ee程度と低い。そしてこれを用いて誘導された
強誘電性液晶物質あるいは反強誘電性液晶物質の光学純
度も当然のことながら低く、そのために液晶の特性は充
分に満足できるものではなかった。即ち本発明の目的は
光学純度の極めて高い一般式(2)で表される光学活性
アルコールの新規な製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等はトリフルオ
ローアセト酢酸エチルをパン酵母によって不斉還元した
後、光学活性4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキ
シブタン酸エチルの水酸基を保護し、エステル部分を還
元し、得られたアルコールをスルホン酸エステルとし、
このスルホン酸エステル部分をアルコキシアルキル基と
置換した後、水酸基保護基を外しついで水酸基をアセチ
ル化し、更にこのアセテートをリパーゼによって不斉加
水分解することによりほぼ100%eeの光学純度で一
般式(2)のCF3C*H(OH)(CH2)mOCnH
2n+1で表される光学活性アルコールを製造することがで
きることを見いだし本発明を完成したものである。
ローアセト酢酸エチルをパン酵母によって不斉還元した
後、光学活性4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキ
シブタン酸エチルの水酸基を保護し、エステル部分を還
元し、得られたアルコールをスルホン酸エステルとし、
このスルホン酸エステル部分をアルコキシアルキル基と
置換した後、水酸基保護基を外しついで水酸基をアセチ
ル化し、更にこのアセテートをリパーゼによって不斉加
水分解することによりほぼ100%eeの光学純度で一
般式(2)のCF3C*H(OH)(CH2)mOCnH
2n+1で表される光学活性アルコールを製造することがで
きることを見いだし本発明を完成したものである。
【0009】アセテートのリパーゼによる不斉加水分解
については、既に北爪らによって提案されている。
〔T.Kitazume et al.、J.Org.
52、3211(1987)、特開平2−282340
号公報〕。これによればリパーゼMYを用いることによ
って、CF3CH(OCOCH3)Rで表されるアセテー
トは不斉加水分解される。しかしながら、リパーゼMY
の不斉認識能は被加水分解化合物の化学構造に大きく依
存し、「T.Kitazume et al.、J.O
rg.52、3211(1987)」の表1に示されて
いるように化学構造によって得られた加水分解物の光学
純度は55〜98ee%と大きく異なっている。このこ
とは、ある目的とする化合物の不斉加水分解がうまくゆ
くかどうか予測することは困難であり、結局は目的とす
るアルコールが光学純度高く得られるかどうかは反応を
行ってみなければ判らないことを示している。
については、既に北爪らによって提案されている。
〔T.Kitazume et al.、J.Org.
52、3211(1987)、特開平2−282340
号公報〕。これによればリパーゼMYを用いることによ
って、CF3CH(OCOCH3)Rで表されるアセテー
トは不斉加水分解される。しかしながら、リパーゼMY
の不斉認識能は被加水分解化合物の化学構造に大きく依
存し、「T.Kitazume et al.、J.O
rg.52、3211(1987)」の表1に示されて
いるように化学構造によって得られた加水分解物の光学
純度は55〜98ee%と大きく異なっている。このこ
とは、ある目的とする化合物の不斉加水分解がうまくゆ
くかどうか予測することは困難であり、結局は目的とす
るアルコールが光学純度高く得られるかどうかは反応を
行ってみなければ判らないことを示している。
【0010】また、北爪らは一方のエナンチオマーを光
学純度高く得るためには、加水分解率を45%以下に押
さえる必要があるとしている。これはラセミ体を出発原
料とする限り当然のことであるが、工業的にこの方法を
適用する場合この様な条件下では反応せずに残った半分
以上のアセテートの処理が問題になる。即ち未反応のア
セテートは加水分解によって得られたアルコールと反対
のエナンチオマーであるから、ラセミ化後再び不斉加水
分解するか、或はその利用法を考えるか、或は廃棄する
かしなければならない。このことは複雑なプロセスの組
立と、コストアップとをもたらす。従って工業的にはで
きるだけ高い加水分解率で、光学純度の高い加水分解物
が得られることが望ましい。本発明はこの様な点からな
されたものであって、本発明の方法によれば高い加水分
解率で100%eeに近い極めて高い光学純度で目的と
するアルコールが得られ、またこれから誘導された液晶
物質の物性も極めて優れていることが見いだされたもの
である。
学純度高く得るためには、加水分解率を45%以下に押
さえる必要があるとしている。これはラセミ体を出発原
料とする限り当然のことであるが、工業的にこの方法を
適用する場合この様な条件下では反応せずに残った半分
以上のアセテートの処理が問題になる。即ち未反応のア
セテートは加水分解によって得られたアルコールと反対
のエナンチオマーであるから、ラセミ化後再び不斉加水
分解するか、或はその利用法を考えるか、或は廃棄する
かしなければならない。このことは複雑なプロセスの組
立と、コストアップとをもたらす。従って工業的にはで
きるだけ高い加水分解率で、光学純度の高い加水分解物
が得られることが望ましい。本発明はこの様な点からな
されたものであって、本発明の方法によれば高い加水分
解率で100%eeに近い極めて高い光学純度で目的と
するアルコールが得られ、またこれから誘導された液晶
物質の物性も極めて優れていることが見いだされたもの
である。
【0011】本発明の製造方法は前記反応式で示したよ
うに、まず光学純度60%eeの1、1、1−トリフル
オロ−2−アルカノールを製造しついで次に示す反応式
に従って達成できる。
うに、まず光学純度60%eeの1、1、1−トリフル
オロ−2−アルカノールを製造しついで次に示す反応式
に従って達成できる。
【0012】
【0013】上記反応式に於て(1)はピリジンを触媒
とする水酸基の塩化アセチルによるアセチル化であり、
公知の方法により容易に達成できる。(2)は(1)で
得られたアセテートのリパーゼによる不斉加水分解であ
る。加水分解は燐酸バッファー中(pH=7.3)で行
いアセテート濃度としては、0.1〜0.5モル/l、
リパーゼ濃度としては2〜10%、好ましくは4〜7%
であり加水分解温度としては20〜50℃、特に好まし
くは30〜40℃が適当な範囲である。ラセミ体の不斉
加水分解を行う際には、理論的に光学純度100%ee
のエナチオマーを得るためにはアセテートの加水分解率
は最大で50%であり、実際には北爪らが示しているよ
うに加水分解率は50%よりかなり低くしないと良好な
結果は得られない。本発明の場合、パン酵母による不斉
還元の結果、光学純度60%ee程度のアセテートを原
料とすることができるために加水分解率はラセミ体の場
合に比べ大きくとることができる。本発明においては加
水分解率を70%付近とすれば光学純度がほぼ100%
eeの光学活性アルコールを得ることができる。
とする水酸基の塩化アセチルによるアセチル化であり、
公知の方法により容易に達成できる。(2)は(1)で
得られたアセテートのリパーゼによる不斉加水分解であ
る。加水分解は燐酸バッファー中(pH=7.3)で行
いアセテート濃度としては、0.1〜0.5モル/l、
リパーゼ濃度としては2〜10%、好ましくは4〜7%
であり加水分解温度としては20〜50℃、特に好まし
くは30〜40℃が適当な範囲である。ラセミ体の不斉
加水分解を行う際には、理論的に光学純度100%ee
のエナチオマーを得るためにはアセテートの加水分解率
は最大で50%であり、実際には北爪らが示しているよ
うに加水分解率は50%よりかなり低くしないと良好な
結果は得られない。本発明の場合、パン酵母による不斉
還元の結果、光学純度60%ee程度のアセテートを原
料とすることができるために加水分解率はラセミ体の場
合に比べ大きくとることができる。本発明においては加
水分解率を70%付近とすれば光学純度がほぼ100%
eeの光学活性アルコールを得ることができる。
【0014】
【発明の効果】本発明は不斉炭素上にトリフルオロメチ
ル基、末端にアルコキシ基を有する光学活性アルコール
を極めて高い光学純度で製造する方法に関するものであ
るがこのものは医薬品、農薬、機能性材料などの合成中
間体として有用なものである。
ル基、末端にアルコキシ基を有する光学活性アルコール
を極めて高い光学純度で製造する方法に関するものであ
るがこのものは医薬品、農薬、機能性材料などの合成中
間体として有用なものである。
【0015】
【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳細に説明
するが本発明はこれに限定されるものではない。
するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】実施例1 光学純度60%eeの1、1、1−トリフルオロ−7−
エトキシ−2−ヘプタノール12.7g、トルエン20
0ml,ピリジン10ml,塩化アセチル5.6gの混
合物を室温で1昼夜攪拌した。反応終了後反応混合物に
ジクロロメタンを加え、塩酸、アルカリ水、水の順で洗
浄した。硫酸ナトリウムでジクロロメタン溶液を乾燥し
た後、ジクロロメタンを留去し次いで真空蒸留し目的物
である1、1、1−トリフルオロ−2−アセトキシ−7
−エトキシヘプタンを12.3g(B.P.102℃/
12Torr)得た。
エトキシ−2−ヘプタノール12.7g、トルエン20
0ml,ピリジン10ml,塩化アセチル5.6gの混
合物を室温で1昼夜攪拌した。反応終了後反応混合物に
ジクロロメタンを加え、塩酸、アルカリ水、水の順で洗
浄した。硫酸ナトリウムでジクロロメタン溶液を乾燥し
た後、ジクロロメタンを留去し次いで真空蒸留し目的物
である1、1、1−トリフルオロ−2−アセトキシ−7
−エトキシヘプタンを12.3g(B.P.102℃/
12Torr)得た。
【0017】燐酸バッファー〔1/15モル/リットル
のNa2 HPO4 水溶液11.5mlと1/15モル/
リットルのKH2 PO4 水溶液3.5mlの混合水溶液
でpHは7.3である。〕15mlに上記で得た1、
1、1−トリフルオロ−2−アセトキシ−7−エトキシ
ヘプタン1g、リパーゼ〔明糖産業(株)製:リパーゼ
MY〕1gを加え40℃で攪拌した。アセテートの加水
分解率をガスクロマトグラフィーにより追跡してアセテ
ートの反応率が37%に達したところで1規定塩酸を反
応液に添加して反応を停止した。反応液をエーテルで抽
出し、エーテル抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾
燥後、エーテルを留去し残さをカラムクロマトグラフィ
ーにより分離し、0.27gの1、1、1−トリフルオ
ロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールと未反応のアセテ
ート0.52gを得た。1、1、1−トリフルオロ−7
−エトキシ−2−ヘプタノールの比旋光度を測定したと
ころ、+23.2°(27℃、D線、C=1.2、CH
Cl3 )であった。
のNa2 HPO4 水溶液11.5mlと1/15モル/
リットルのKH2 PO4 水溶液3.5mlの混合水溶液
でpHは7.3である。〕15mlに上記で得た1、
1、1−トリフルオロ−2−アセトキシ−7−エトキシ
ヘプタン1g、リパーゼ〔明糖産業(株)製:リパーゼ
MY〕1gを加え40℃で攪拌した。アセテートの加水
分解率をガスクロマトグラフィーにより追跡してアセテ
ートの反応率が37%に達したところで1規定塩酸を反
応液に添加して反応を停止した。反応液をエーテルで抽
出し、エーテル抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾
燥後、エーテルを留去し残さをカラムクロマトグラフィ
ーにより分離し、0.27gの1、1、1−トリフルオ
ロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールと未反応のアセテ
ート0.52gを得た。1、1、1−トリフルオロ−7
−エトキシ−2−ヘプタノールの比旋光度を測定したと
ころ、+23.2°(27℃、D線、C=1.2、CH
Cl3 )であった。
【0018】光学純度96.1%eeの4、4、4−ト
リフルオロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル〔森田化学
(株)製〕が市販されているが、この原料を用いて1、
1、1−トリフルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノー
ルを製造した場合の比旋光度は+22.3°である。こ
の時の光学純度は反応途中のラセミ化は考えられないの
で96.1%eeと考えられ、従って光学純度100%
eeの比旋光度は+23.2°となる。これより本実施
例で得られた1、1、1−トリフルオロ−7−エトキシ
−2−ヘプタノールの光学純度は100%eeとみなさ
れる。
リフルオロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル〔森田化学
(株)製〕が市販されているが、この原料を用いて1、
1、1−トリフルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノー
ルを製造した場合の比旋光度は+22.3°である。こ
の時の光学純度は反応途中のラセミ化は考えられないの
で96.1%eeと考えられ、従って光学純度100%
eeの比旋光度は+23.2°となる。これより本実施
例で得られた1、1、1−トリフルオロ−7−エトキシ
−2−ヘプタノールの光学純度は100%eeとみなさ
れる。
【0019】実施例2 実施例1と全く同様に操作して74%の反応率で反応を
停止した。その結果0.51gの1、1、1−トリフル
オロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールと未反応のアセ
テート0.15gを得た。得られた1、1、1−トリフ
ルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールの旋光度は+
23.0°(26℃、D線、C=1.2、CHCl3 )
で光学純度は98.4%eeと計算された。
停止した。その結果0.51gの1、1、1−トリフル
オロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールと未反応のアセ
テート0.15gを得た。得られた1、1、1−トリフ
ルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールの旋光度は+
23.0°(26℃、D線、C=1.2、CHCl3 )
で光学純度は98.4%eeと計算された。
【0020】実施例3 実施例1で得られた光学純度100%eeのアルコール
を用いてそれぞれ次のA、B2種類の反強誘電性液晶物
質を特願平2−322462号及び特願平3−3490
97号に示した方法により製造し、物性を測定した。光
学純度100%eeアルコールを用いて製造した液晶物
質の25℃における応答速度、しきい値電圧を光学純度
60%eeのアルコールを用いた場合のそれと比較した
結果を表1に示したが、光学純度が高い方がいずれの値
も大幅に優れていた。
を用いてそれぞれ次のA、B2種類の反強誘電性液晶物
質を特願平2−322462号及び特願平3−3490
97号に示した方法により製造し、物性を測定した。光
学純度100%eeアルコールを用いて製造した液晶物
質の25℃における応答速度、しきい値電圧を光学純度
60%eeのアルコールを用いた場合のそれと比較した
結果を表1に示したが、光学純度が高い方がいずれの値
も大幅に優れていた。
【0021】
【化1】
【0022】 (表1) 光学純度60%ee 光学純度100%ee 液晶A 液晶B 液晶A 液晶B しきい値電圧 12 6 4 5 応答速度 66 、136 50、50 11、83 14、23
【0023】上表に於いてしきい値電圧の単位はV/μ
m、応答速度の単位はμ秒である。なお応答速度の左側
の値は反強誘電相から強誘電相、右側の値は強誘電相か
ら反強誘電相への応答速度を示す。
m、応答速度の単位はμ秒である。なお応答速度の左側
の値は反強誘電相から強誘電相、右側の値は強誘電相か
ら反強誘電相への応答速度を示す。
【0024】実施例4 実施例1における光学純度60%eeの1、1、1−ト
リフルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールの代わり
に光学純度60%eeの1、1、1−トリフルオロ−9
−エトキシ−2−ノナノールを用いて実施例1と全く同
様に操作し比旋光度+20.1°(26℃、D線、C=
1.2、CHCl3 )の1、1、1−トリフルオロ−9
−エトキシ−2−ノナノールを得た。光学純度96.1
%eeの4、4、4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブ
タン酸エチルから誘導された1、1、1−トリフルオロ
−9−エトキシ−2−ノナノールの比旋光度は+19.
6°であることから本実施例で得られたアルコールの光
学純度は99%eeであると計算される。
リフルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールの代わり
に光学純度60%eeの1、1、1−トリフルオロ−9
−エトキシ−2−ノナノールを用いて実施例1と全く同
様に操作し比旋光度+20.1°(26℃、D線、C=
1.2、CHCl3 )の1、1、1−トリフルオロ−9
−エトキシ−2−ノナノールを得た。光学純度96.1
%eeの4、4、4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブ
タン酸エチルから誘導された1、1、1−トリフルオロ
−9−エトキシ−2−ノナノールの比旋光度は+19.
6°であることから本実施例で得られたアルコールの光
学純度は99%eeであると計算される。
Claims (2)
- 【請求項1】 トリフルオロアセト酢酸エチルのパン酵
母による不斉還元によって製造された4、4、4−トリ
フルオロ−3−ヒドロキシブタン酸エチルを原料として
一般式(1)、 CF3C*H(OCOCH3)(CH2)mOCnH2n+1 (1) (mは5〜8、nは2以上の整数)で表される化合物を
製造し、次いでこれをリパーゼにより不斉加水分解する
ことを特徴とする高い光学純度を有する一般式(2)、 CF3C*H(OH)(CH2)mOCnH2n+1 (2) で表される光学活性アルコールの製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載された一般式(1)、 CF3C*H(OCOCH3)(CH2)mOCnH2n+1 (1) (mは5〜8、nは2以上の整数)で表される化合物
が、トリフルオロアセト酢酸エチルのパン酵母による不
斉還元によって製造された4、4、4−トリフルオロ−
3−ヒドロキシブタン酸エチルの水酸基を保護した後還
元し、得られたアルコールをスルホン酸エステルとし、
このスルホン酸エステル部分をアルコキシアルキル基と
置換した後、水酸基保護基を外し次いで水酸基をアセチ
ル化することにより製造されたものであることを特徴と
する請求項1記載の光学活性アルコールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6028092A JP2998117B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 光学活性アルコールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6028092A JP2998117B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 光学活性アルコールの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05260992A JPH05260992A (ja) | 1993-10-12 |
JP2998117B2 true JP2998117B2 (ja) | 2000-01-11 |
Family
ID=13137581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6028092A Expired - Fee Related JP2998117B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 光学活性アルコールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2998117B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3260450A4 (en) * | 2015-02-17 | 2018-10-10 | JNC Corporation | Compound having saturated six-membered ring and alkoxy group or alkoxyalkyl group, liquid crystal composition and liquid crystal display element |
-
1992
- 1992-03-17 JP JP6028092A patent/JP2998117B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05260992A (ja) | 1993-10-12 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |