JP2996866B2 - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反強誘電性液晶表示素
子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】反強誘電性液晶は、1988年にChanda
niらによって発見された(A.D.L.Chandani et al.,Jpn.
J.Appl.Phys.,27,L729(1988))。この反強誘電性液晶を
用いた液晶表示素子としては、水平配向処理を施したセ
ル厚2μm程度のセル内に反強誘電性液晶を注入した反
強誘電性液晶表示素子が知られている。
【0003】この液晶表示素子の場合、図4に示すよう
に、ダイポールは層内ではセル厚方向に対して同じ向き
を向いているが、隣り合う層では互いに逆を向き、層間
でダイポールが打ち消し合うように配向し、反強誘電性
液晶には一つの反強誘電相AFと二つの強誘電相Fの三
つの安定状態が存在する。したがって、クロスニコル下
でスメクティック層法線が偏光軸と一致するようにセル
を配置すると、そのセルは電界を印加しないときには消
光し、セル厚方向に電界を印加したときには、ダイポー
ルがセル厚方向に対しすべて揃った強誘電相に転移し、
明状態になる。また、かかる反強誘電性液晶には、図5
に示すDC印加電圧(横軸)に対する光透過率(縦軸)
に関し、明確なしきい値を有するヒステリシスが存在す
る。このため、この特性を利用することにより、マルチ
プレックス駆動のマトリックス表示が可能である。例え
ば、バイアス電圧V0を常に印加し、選択期間に電圧VD
またはVNを印加することにより、前者の場合には明状
態、後者の場合には暗状態を表示することができる。
【0004】ところで、上述した特性を有する反強誘電
性液晶表示素子の実用化に向けての大きな課題の一つと
してコントラストの向上化が挙げられる。一般に、反強
誘電性液晶化合物はキラルネマティック相(N*)の熱
安定性が低いため、反強誘電性液晶組成物の相系列は、
例えば等方相(I)−スメクティックA相(A)−反強
誘電相(CA *)、等方相(I)−スメクティックA相
(A)−強誘電相(C*)−反強誘電相(CA *)、等方
相(I)−反強誘電相(CA *)などとなる場合が多い。
つまり、等方相から降温した場合、等方相から配向の秩
序度が高い相に直接相転移を起こすことになる。そのた
め、スメクティック相が出現する際にスメクティック層
法線のずれが生じる。その結果、クロスニコル下で均一
に消光せず、光が漏れるため良好な暗状態が得られず、
コントラストの低下を招くことになる。
【0005】従って、高コントラストを実現するために
は、スメクティック層法線の揃った均一な配向を得る手
法を見い出すことが非常に重要である。この問題に関し
ては、以下の温度勾配法、シェアリング法、ラビング
法、磁場印加法および電界印加法などが提案されてい
る。
【0006】(1)温度勾配法 この方法は、対向する基板の間に設けられるスペーサを
エッジがシャープになるように切り出し、このスペーサ
のエッジからのエピタキシャル成長を利用する手法であ
る(K.Ishikawa et al., Jpn.J.Appl.Phys.,23,L211(19
84))。
【0007】(2)シェアリング法 この方法は、一方のガラス基板を他方のガラス基板に対
して平行にスライドさせたり、またはガラス基板上をス
パーテルのようなものでこすり、分子を滑らすことによ
り均一に配向させる手法である(N.A.Clark et al.,App
l.Phys.Lett.,36,866(1980))。
【0008】(3)ラビング法 このラビング法は、基板にポリイミドなどの高分子膜を
成膜し、これを布で擦ることにより液晶分子をその方向
に一様に配向させる方法である(D.W.Berrenan,Mol.Cry
st.&Liq.Cryst.,23,215(1973),J.A.Castellano,Mol.Cry
st.&Liq.Cryst.,94,33(1983))。ラビング法には、主に
パラレルラビング、アンチパラレルラビング、片ラビン
グの3つの手法がある。パラレルラビングは上下基板を
ラビングし、そのラビング方向が平行なラビング方法で
ある。アンチパラレルラビングは上下基板をラビング
し、そのラビング方向が反平行なラビング方法である。
片ラビングは上下基板のうち片側の基板のみラビングす
る手法である。
【0009】(4)磁場印加法 この磁場印加法は、液晶分子の磁気異方性を利用したも
のである。液晶に磁場をかけながら液晶を等方相から徐
冷していくと、液晶分子の長軸方向が磁界と平行にな
り、均一配向が得られる(K.Kondo et al.,Jpn.J.Appl.
Phys.,22.L13(1983))。
【0010】(5)電界印加法 この電界印加法は、液晶が反強誘電相(CA *)のときに
直流また交流電場をその液晶に印加して配向させる手法
(特開平4−51022)や、反強誘電相(CA *)−強
誘電相(C*)の転移温度付近または反強誘電相
(CA *)−スメクティックA相(A)の転移温度付近で
直流または交流電場を液晶に印加して配向させる手法
(特開平4−246623)である。電場により液晶分
子を滑らせるという観点では上述したシェアリング法の
一種である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た各手法による場合には、以下のような課題がある。
【0012】(1)温度勾配法の場合:スペーサのエッ
ジからのエピタキシャル成長を利用しているので配向状
態の善し悪しはエッジの切り口で決まり、液晶における
ドメイン発生の制御が困難であり、また基板の大面積化
が困難である。更に、スペーサーが厚くなるときれいな
エッジ面を形成できず、温度の均一性も悪くなるという
問題点もある。
【0013】(2)シェリング法の場合: 大面積のガラス基板をスライドさせるのは困難であり、
また、スライドさせるための装置を余分に搭載すること
による素子の大型化やコストアップが問題となる。従っ
て、この手法を用いて実用的な大面積の均一配向を得る
には、多大の困難が予想される。
【0014】(3)ラビング法の場合:液晶の配向は配
向膜材料および配向膜の成膜条件によって大きく異なる
ために、それぞれの液晶材料に適した配向膜材料の探
索、および成膜やラビング条件の検討などが必要であ
り、均一配向を得るのはそれほど容易ではない。また、
基板を布で擦ることによるゴミの発生の問題も挙げられ
る。
【0015】(4)磁場配向法の場合:磁界による配向
規制力はバトネの大きさに比例する。セル厚が薄い場合
にはバトネが小さいので、配向に必要なトルクが十分に
得られない。均一な配向を得るには磁場を大きくする
か、徐冷速度を遅くする必要がある。そのため、数十キ
ロGの大きな磁場を長時間安定に発生させるための装置
が必要であり、小型化、コストの問題点が挙げられる。
【0016】(5)電界印加法の場合:電界印加は画素
電極を用いることができるので、簡便な手法である。し
かしながら、公知技術に基づいて電界印加を行なっただ
けでは、良好な配向が得られない。更に、電界を印加し
ても層法線のずれが発生する微細部分が生じ、その部分
から光が漏れるためにコントラストの低下を招く。
【0017】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、スメクティック層法線の
揃った大面積で均一な配向を得ることができる液晶表示
素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子の
製造方法は、電極を有する一対の基板間に少なくとも反
強誘電相(CA *)を有する液晶を挟持してなる液晶表示
素子の製造方法であって、該一対の基板間に該液晶用の
液晶材料を設ける工程と、該液晶材料を等方相を示す温
度に加熱する工程と、該等方相の液晶材料を反強誘電相
を示す温度まで徐冷しつつ電界を該液晶材料に付与する
工程とを含むので、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0019】本発明の液晶表示素子の製造方法におい
て、前記液晶の反強誘電相において電界印加を終了する
温度における反強誘電相から強誘電相への相転移に関し
て、50%および90%透過光量変化に要するセル厚1
μmに対する電圧をそれぞれV(50%)/μm、V
(90%)/μmとした場合、印加する電圧の最大値V
max/μmがV(50%)/μm≦Vmax/μm≦
{V(90%)+15V}/μmを満足するよう、電圧
を付与するのが好ましい。
【0020】本発明の液晶表示素子の製造方法におい
て、前記液晶材料に付与する電圧に、波形が単極性パル
スまたは双極性パルスであるものを用いるのが好まし
い。
【0021】
【作用】本発明においては、電極を有する一対の基板間
に少なくとも反強誘電相を有する液晶を挟持した液晶表
示素子において、該液晶が等方相を示す温度から反強誘
電相を示す温度まで液晶を徐冷しつつ、該液晶に電界を
印加することにより、スメクティック層法線を揃える。
【0022】したがって、本発明では、等方相から反強
誘電相を示す温度まで電界が液晶材料に印加されること
になる。そのようにする理由は、スメクティック相が一
旦出現してしまうと、いくら電界を印加しても層法線が
揃いにくいからである。よって、等方相から電界を印加
することにより、スメクティック相の出現時にスメクテ
ィック層法線を揃えるようにしている。
【0023】ところで、等方相から徐冷する際、I−A
相転移温度付近では等方相領域からバトネという細長い
スメクティック相領域が発生する。この温度付近で電界
を印加することにより、例えば液晶分子が正の誘電異方
性を有する場合、バトネの長軸方向が電界印加方向に揃
うように回転することにより、スメクティック層法線が
揃った配向が得られる。
【0024】また、A−CA *相転移点付近での電界印加
では、液晶分子のソフトモードが大きくなるため電傾効
果が起こり分子が動き易くなるので、スメクティック層
法線が揃う。
【0025】更に、CA *相を示す温度範囲での電界印加
により、強誘電相−反強誘電相間の相転移が起こり、シ
ェアリング法と同等の効果のためスメクティック層法線
が揃う。
【0026】このように、等方相から電界印加を行なう
場合は、反強誘電相を示す温度だけで電界印加を行なう
場合よりも上述の作用によりスメクティック層法線が揃
いやすいという利点がある。
【0027】なお、本発明において印加する波形は、反
強誘電相を示す温度において、強誘電相と反強誘電相間
を相転移させるものであれば良く、例えば、三角波、正
弦波、単極性パルス、双極性パルスなどを用いることが
できる。また、液晶に直流成分が残るのを防ぐために交
流波が好ましい。電圧が連続的に変化する波形、例えば
三角波や正弦波の場合、高周波数では強誘電相−反強誘
電相の間での転移が電圧変化に対応しきれず、そのため
スメクティック層法線が揃いにくい。これを防ぐために
は周波数を小さくする必要がある。一方、ある程度の電
圧OV期間を設け反強誘電相を維持し、パルス的に電圧
を印加し強誘電相に相転移させる波形、例えば単極性パ
ルスや双極性パルスは、電圧変化に対応して相転移が起
こりやすく、スメクティック層法線が揃い易いので、よ
り好ましい波形と言える。
【0028】また、印加する電界の周波数としては1m
z〜1kHzが好ましい。パルス的な波形は連続的に電
圧が変化する波形に比べ、強誘電相−反強誘電相間の相
転移が十分に起こりやすく、そのため高い周波数を用い
ることができる。周波数が小さい場合は、徐冷速度を小
さくしないと、電界によりスメクティック層法線が十分
揃う前に相転移が完了してしまい、均一な配向が得られ
ない。従って、周波数を高くできるということは、徐冷
速度を大きくすることができ、配向処理時間を短縮でき
るという利点がある。
【0029】また、印加する電圧は、電界印加を終了す
る温度における反強誘電相からの強誘電相への相転移に
おいて、50%および90%透過光量変化に要する電圧
をそれぞれV(50%)およびV(90%)とした場
合、セル厚1μmに対する電圧V/μmの最大値Vma
x/μmが、V(50%)/μm≦Vmax/μm≦
{V(90%)+15V}/μmであることが好まし
い。V(50%)/μm未満では、反強誘電相を示す温
度において、強誘電相−反強誘電相転移が十分に起こら
ず、層法線が揃いにくい。また、{V(90%)+15
V}/μmを超えると、層法線が大きくずれる微細部分
が発生し、そこから光が漏れるためにコントラストの低
下を招く。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を具体的に説明する。
【0031】図1は本発明の反強誘電性液晶表示素子の
例を示す断面図である。この液晶表示素子は対向配設さ
れた一対の基板1aと1bの間に反強誘電性液晶5が挟
まれた構成となっている。基板1aの反強誘電性液晶5
側には、電極2a、絶縁性膜3aおよび配向制御層4a
が基板1a側からこの順に形成されている。もう一方の
基板1bの反強誘電性液晶5側には、電極2b、絶縁性
膜3bおよび配向制御層4bが基板1b側からこの順に
形成されている。一対の基板1aと1bの各々の外側に
は、偏光板7が設けられている。
【0032】上述した両基板1aと1bの間に挟まれた
反強誘電性液晶5は、シール材6によって封止されてい
る。反強誘電性液晶5の厚み、つまりセル厚は0.5〜
5μmがよく、特に1〜2μmがらせん構造の解除の点
で好ましい。
【0033】次に、かかる構造の反強誘電性液晶表示素
子の製造法について説明する。
【0034】まず、基板1aと1b上にそれぞれ電極2
aと2bを形成する。基板1aと1bは、同一または異
なった材質のものを使用していもよいが、少なくとも一
方は透明性の基板を用いる必要がある。この基板1aと
1bには、例えばガラス基板、プラスティックフィルム
やシリコン基板などを使用することができる。また電極
2aと2bは、同一または異なった材質のものを使用し
てもよいが、少なくとも一方は透明性でなくてはならな
い。この電極2aと2bには、透明性の場合は、例えば
InO3,SnO2,ITO(Indium Tin O
xide)などを、不透明性の場合は、Al,Au,C
r,Cu,Mo,Ni,Taなどを使用することができ
る。電極2aと2bの形成はCVD(chemical
vapor deposition)法やスパッタ法
などにより所定のパターンに形成される。なお、電極2
aと2bの一方は、マトリックス状に配設された画素電
極であり、他方が基板のほぼ全面に形成された対向電極
となっている。この工程と前後して、画素電極の周囲を
通る状態で信号線や走査線が形成され、また、スイッチ
ング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)などが形
成される。
【0035】次に、この電極2aと2bが形成された基
板1aと1bの上に、それぞれ絶縁性膜3aと3bを形
成する。絶縁性膜3aと3bは、同一または異なった材
質のものを使用してもよい。また、一方または両方とも
形成を省略することもできる。この絶縁性膜3aと3b
には例えば、SiO2,SiNx,Al23などの無機系
薄膜、あるいはポリイミド、フォトレジスト樹脂、高分
子液晶などの有機系薄膜などを使用することができる。
絶縁性膜3aと3bが無機系の場合には、蒸着法、スパ
ッタ法、CVD法、または溶液塗布法などによって形成
できる。また、有機系の場合には、有機物質を溶かした
溶液またはその前駆体を用いて、スピンナー塗布法、浸
漬法、スクリーン印刷法またはロール印刷法などで塗布
し、所定の硬化条件(加熱、光照射)で硬化させ形成す
ることができる。あるいは、蒸着法、スパッタ法、CV
D法またはLB(Langmuir−Blodget
t)法などで形成することができる。
【0036】次に、絶縁性膜3aと3bとの上に配向制
御層4aと4bを形成する。ただし、絶縁性膜の形成を
省略した場合には、電極上に直接配向制御層を形成す
る。配向制御層4aと4bとは同一または異なった材質
のものを使用してもよく、また、場合によっては一方の
形成を省略することもできる。この配向制御層4aと4
bとして無機系膜を形成する場合には、例えば酸化ケイ
素などを使用することができる。その成膜方法には公知
の方法が使用できるが、例えば、斜め蒸着法または回転
蒸着法などを使用することができる。また、有機系膜を
形成する場合には、ナイロン、ポリビニールアルコー
ル、またはポリイミドなどを使用することができ、通常
この配向制御層4aと4bの上はラビング処理される。
また、前記絶縁性膜3aと3bおよび配向制御層4aと
4bとして高分子液晶やLB膜などを使用する場合に
は、磁場により配向させたり、スペーサーエッジ法によ
る配向も可能である。さらには、SiO2,SiNxなど
を蒸着法、スパッタ法、CVD法などによって成膜し、
その上をラビングする方法も使用することができる。
【0037】ラビング方向としては、図2に示す構成が
使用できる。(a)はパラレルラビング方式であり、一
対の基板の両方にラビング処理を施し、ラビング方向が
同一または略並行になるように貼り合わせる構成であ
る。(b)はアンチパラレルラビング方式であり、一対
の基板の両方にラビング処理を施し、ラビング方向が逆
になるように基板を貼り合わせる構成である。(c)は
片ラビング方式であり、一対の基板の片方にのみラビン
グ処理を施した構成である。
【0038】次に、2枚の基板1aと1bを貼り合わ
せ、両基板1aと1bとの間に反強誘電性液晶5を注入
する。または、一方の基板上に反強誘電性液晶5をのせ
ておいてから、もう一方の基板で反強誘電性液晶5を挟
むようにしてもよい。
【0039】次に、反強誘電性液晶5を、等方相を示す
温度にまで加熱し、その後、反強誘電相を示す温度まで
徐冷する。このとき、等方相を示す温度から反強誘電相
を示す温度までの間、該液晶材料に電界を付与する。
【0040】次に、液晶セルの両外側に偏光板7を設け
ることにより、反強誘電性液晶表示素子が製造される。
【0041】したがって、本発明の液晶表示素子の製造
方法では、等方相から反強誘電相を示す温度まで電界を
液晶材料に付与するので、上述した作用の欄で説明した
効果がある。
【0042】すなわち、スメクティック相が一旦出現し
てしまうと、いくら電界を付与しても層法線が揃いにく
いため、等方相から電界を付与する。これにより、スメ
クティック相の出現時にスメクティック層法線を揃える
ことができる。I−A相転移温度付近では等方相領域か
らバトネという細長いスメクティック相領域が発生す
る。この温度付近で電界を付与することにより、例えば
液晶分子が正の誘電異方性を有する場合、バトネの長軸
方向が電界付与方向に揃うように回転させることによ
り、スメクティック層法線が揃った配向が得られる。
【0043】また、A−CA *相転移点付近での電界付与
では、液晶分子のソフトモードが大きくなるため電傾効
果が起こり分子が動き易くなるので、スメクティック層
法線が揃う。
【0044】更に、CA *相を示す温度範囲での電界付与
により、強誘電相−反強誘電相間の相転移が起こり、シ
ェアリング法と同等の効果のためスメクティック層法線
が揃う。
【0045】このように、等方相から電界付与を行なう
場合は、反強誘電相を示す温度だけで電界付与を行なう
場合よりも上述の作用によりスメクティック層法線が揃
いやすいという利点がある。
【0046】次に、本発明における電界付与について、
具体例を説明する。
【0047】(実施例1)まず、以下のようにして液晶
セルを作製した。2枚のガラス基板上に膜厚100nm
のITOからなる透明電極を形成し、この透明電極上に
SiO2からなる膜厚120nmの絶縁成膜を形成し
た。この上にポリイミド膜を膜厚50nmとなるように
成膜し、ラビング処理を行なった。この2枚の基板をセ
ル厚が2μmで貼り合わせセルとした。
【0048】次に、作製したセルに反強誘電性液晶CS
−4000(チッソ社製)を注入し、液晶セルとした。
CS−4000の相転移温度は以下のとおりである。
【0049】(CA *)−82℃−(C*)−84℃−
(A)−101℃−(I) 次に、液晶セルを等方相を示す温度以上である120℃
に加熱した。その後、−1℃/minの徐冷速度で反強
誘電相の上限温度以下である75℃または30℃まで徐
冷を行なった。
【0050】このようにして製造された液晶表示素子を
クロスニコル下で配向観察を行なったところ、ラビング
方向に小さく細長いドメインが多数観察された。各ドメ
インの層法線のずれは75℃まで徐冷の場合は27.7
度、30℃まで徐冷の場合は29.7度であった。いず
れも光の漏れが多く、良好な暗状態が得られなかった。
【0051】表1は、実施例1の液晶表示素子に関し、
表中に示す測定温度75℃または30℃で、波形が単極
性パルス(周波数がτ1=τ2=100ms)または三角
波(周波数が10または5Hz)の電界を付与し、30
%、50%、90%透過光量変化に要する電圧値V(3
0%)、V(50%)、V(90%)を求めた結果をま
とめた表である。ここで、上記クロスニコル下におい
て、電界無印加時の液晶セルの透過光量が最も小さくな
るように液晶セルを配置したときの透過光量を0、電界
を印加して完全に強誘電相に相転移したときの透過光量
を100と定義した。
【0052】
【表1】
【0053】(実施例2)他の実施例について説明す
る。
【0054】上記実施例1と同様にして作製した液晶セ
ルを等方相を温度以上である120℃に加熱した。その
後、3通りの方式により、具体的にはτ1=τ2=100
msの単極性パルス、10Hzの三角波、または5Hz
三角波を印加しながら、−1℃/minの冷却速度で7
5℃まで徐冷を行なった。続いて、75℃において、各
電界印加条件における層法線のずれを測定した。その結
果を表2(a)(b)(c)にまとめた。
【0055】
【表2】
【0056】この表から理解されるように、電界を付与
しながら徐冷を行なった場合は、単に徐冷を行なった場
合(表2の左端の欄)に比べ層法線のずれが小さいこと
がわかる。更に、層法線のずれの程度は、印加電圧を0
から大きくしていくと小さくなり、或る印加電圧を超え
ると逆に大きくなっており、印加電圧に最適値が存在す
ることがわかる。なお、このことは、印加電圧が+であ
っても、−であっても同様である。
【0057】例えば、表2(a)に示したように、徐冷
だけの場合は層法線のずれは27.7度であり、光が漏
れる部分が多く、良好なコントラストが得られなかっ
た。これに対し、電圧印加徐冷を行った場合の層
法線のずれは14.2度から27.1度であり、徐冷だ
けの場合に比べてずれが小さく、また、各ドメインの面
積が大きくなり、配向の改善が認められた。特に、印加
電圧が±3.3V/μmから±18.9V/μmの範囲
では層法線のずれは14.2度から20.7度の範囲
内であり、効果的であった。この印加電圧範囲より小さ
い±3.1V/μmの場合は、電圧印加の効果が小さか
った。逆に大きい±23.9V/μmの場合は、大きく
層法線がずれる微細部分の発生が見られた。従って、印
加電圧の好ましい範囲は±3.3V/μmから±18.
9V/μmであると言える。のらのここで、この電圧範
表1に当てはめると、電圧印加終了時の温度75℃
におけるしきい値電圧V(50%)/μmから{V(9
0%)+15V}/μmに相当することが解る。すなわ
ち、層法線のずれを小さくするのに最適な印加電圧は、
電界印加が修了する温度におけるしきい値電圧と関連さ
せることができ、V(50%)/μmから{V(90
%)+15V}/μmの範囲が好ましいと言える。
【0058】表2(a)は単極性パルスを、表2(b)
と表2(c)は三角波を印加した例である。両波形とも
層法線のずれが小さくなる効果が認められた。しかし、
単極性パルスの方が、同じしきい値電圧を印加しても層
法線のずれがより小さくなり、また、効果的な電圧範囲
も広かった。三角波の場合は、周波数が5Hzの方が1
0Hzのに比べてずれが小さかった。これは、高周波数
では印加電圧変化に対して相転移が十分に対応し切れな
いためと考えられる。従って、印加電圧波形はある程度
のOV印加期間を設け、電圧変化に対して強誘電相−反
強誘電相間の相転移が十分に対応できるようにするのが
好ましい。このような波形としては例えば、単極性パル
ス、双極性パルスが挙げられる。図3(a)に単極性パ
ルス、図3(b),(c)に双極性パルスの例を示す。
また、印加電圧が連続的に変化する波形、例えば三角
波、正弦波では、周波数を低くして電圧変化に相転移が
対応するようにする必要がある。
【0059】(実施例3)更に他の実施例について説明
する。
【0060】上記実施例1と同様にして作製した液晶セ
ルを一旦120℃に加熱した後、τ1=τ2=100ms
の単極性パルスを印加しながら、−1℃/minの冷却
速度で30℃まで徐冷を行なった。続いて、30℃にお
いて層法線のずれを測定した。その結果を表3にまとめ
た。
【0061】
【表3】
【0062】この表3より理解されるように、表2
(a)の75℃まで電界印加を行なった場合に比べ、3
0℃まで電界を行った方が層法線のずれの最小値がより
小さかった。
【0063】従って、このことより反強誘電相の上限温
度付近で電界印加を終了するよりも、更に電界印加を続
けた方が効果的であることが理解される。
【0064】表4は、比較例1の液晶表示素子における
層法線のずれを測定した結果をまとめた表である。
【0065】
【表4】
【0066】上記比較例1の液晶表示素子は、以下のよ
うに作製した。すなわち、上記実施例1と同様にして作
製した液晶セルを一旦120℃に加熱した後、−1℃/
minの冷却速度で75℃まで徐冷を行った。次に、7
5℃において、τ1=τ2=100msの単極性パルス、
10Hzの三角波、または5Hzの三角波を印加して作製
した。
【0067】表5は、比較例2の液晶表示素子における
層法線のずれを測定した結果をまとめた表である。
【0068】
【表5】
【0069】上記比較例2の液晶表示素子は、以下のよ
うに作製した。すなわち、上記実施例1と同様にして作
製した液晶セルを一旦120℃に加熱した後、−1℃/
minの冷却速度で30℃まで徐冷を行なった。次に3
0℃において、τ1=τ2=100msの単極性パルスを
印加して作製した。
【0070】これら表4および表5より理解されるよう
に、反強誘電相を示す温度で電界印加を始めても、一旦
スメクティック相が出現してしまうと、電界印加によっ
て層法線を揃えることが困難であることがわかる。従っ
て、このことより、等方相から電界印加を始めるのが好
ましいことがわかる。
【0071】更に、別の比較例3の液晶表示素子を作製
した。この液晶表示素子は、上記実施例1と同様にして
作製した液晶セルを一旦120℃に加熱した後、−1℃
/minの冷却速度で75℃まで徐冷を行なった。ただ
し、液晶がスメクティックA相になった温度98℃から
75℃まで冷却する間は±8.9V/μm,τ1=τ2
100msの単極性パルスを印加した。75℃において
層法線のずれを測定したところ、23.7度であった。
【0072】したがって、この比較例3より以下のこと
が理解される。すなわち、上述した表2(a)におい
て、同じ電圧値で等方相から電界印加を始めた場合は1
7.7であった。よって、スメクティックA相−強誘電
相、および強誘電相−反強誘電相転移温度付近だけで電
界印加を行なうよりも、等方相−スメクティックA相、
スメクティックA相−強誘電相、および強誘電相−反強
誘電相転移温度付近でそれぞれ電界印加するのが好まし
いといえる。つまり、本発明のように、最初に出現する
スメクティック相より高温側の相である等方相から、電
界付与を始め、更に続いて反強誘電相まで電界付与を行
なうのが好ましい。
【0073】なお、上記説明では一対の基板1a、1b
の間に形成された反強誘電性液晶5の構成としては明言
していないが、本発明においては、反強誘電性液晶5と
しては少なくとも一部に反強誘電相(CA *)を有する液
晶構成であれば適用することができる。
【0074】
【発明の効果】本発明による場合には、等方相から反強
誘電相まで電界を印加することにより、スメクティック
層法線の揃った均一で大面積の配向を得ることができ
る。また、均一な配向が得られることで、コントラスト
の向上が期待できる。更に、本発明による場合には、液
晶表示素子に既に設けられている画素電極を使用して電
界を印加すればよいので、簡単に行なうことができる、
また、装置の小型化、コスト面でも他の手法に比べ有利
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した反強誘電性液晶表示素子の例
を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)の各々は本発明に適用可能なラ
ビング方向の構成図である。
【図3】本発明に適用される波形図であり、(a)は単
極性パルスの例を示し、(b)および(c)は双極性パ
ルスの例を示す。
【図4】反強誘電性液晶表示素子における反強誘電性液
晶の安定状態を示す図である。
【図5】反強誘電性液晶におけるDC印加電圧(横軸)
と光透過率(縦軸)との関係を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b 基板 2a、2b 電極 3a、3b 絶縁性膜 4a、4b 配向制御層 5 反強誘電性液晶 6 シール材 7 偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−246623(JP,A) 特開 昭62−250419(JP,A) 特開 昭63−151927(JP,A) 特開 平1−142615(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を有する一対の基板間に少なくとも
    反強誘電相(CA *)を有する液晶を挟持してなる液晶表
    示素子の製造方法であって、 該一対の基板間に該液晶用の液晶材料を設ける工程と、 該液晶材料を等方相を示す温度に加熱する工程と、 該等方相の液晶材料を反強誘電相を示す温度まで徐冷し
    つつ電界を該液晶材料に付与する工程とを含む液晶表示
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記液晶の反強誘電相において電界印加
    を終了する温度における反強誘電相から強誘電相への相
    転移に関して、50%および90%透過光量変化に要す
    るセル厚1μmに対する電圧をそれぞれV(50%)/
    μm、V(90%)/μmとした場合、印加する電圧の
    最大値Vmax/μmがV(50%)/μm≦Vmax
    /μm≦{V(90%)+15V}/μmを満足するよ
    う、電圧を付与する請求項1に記載の液晶表示素子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記液晶材料に付与する電圧に、波形が
    単極性パルスまたは双極性パルスであるものを用いる請
    求項1または2に記載の液晶表示素子の製造方法。
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