JP2996709B2 - Al―Li系合金製製品の製造方法 - Google Patents
Al―Li系合金製製品の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、Al−Li系合金を用いて製品を製造する方
法に関するものである。
法に関するものである。
(従来の技術) Al−Li系合金は、軽量で比強度が大きい材料である
が、リチウムは化学的に活性な物質であるので金属間化
合物を形成しやすく、近時、展伸材として使用されつつ
ある。
が、リチウムは化学的に活性な物質であるので金属間化
合物を形成しやすく、近時、展伸材として使用されつつ
ある。
これは、展伸材は一般に連続的に鋳造され、直ちに圧
延加工等の高度な後加工を行なって製品を製造するもの
であるため、リチウムの化学的に活性な性質が反映され
にくいためである。
延加工等の高度な後加工を行なって製品を製造するもの
であるため、リチウムの化学的に活性な性質が反映され
にくいためである。
しかし、かかるAl−Li系合金を用いての、鋳物製造
や、あるいはAl−Li系合金製ブロック体を加熱して行な
う。チクソキャスティング等の加圧成形による製造は、
リチウムの化学的に活性な性質の影響が大きいので、こ
れらの技術により製造される。機械部品や部品用中間素
材等としての製品は工業的に量産されていないのが現状
である。
や、あるいはAl−Li系合金製ブロック体を加熱して行な
う。チクソキャスティング等の加圧成形による製造は、
リチウムの化学的に活性な性質の影響が大きいので、こ
れらの技術により製造される。機械部品や部品用中間素
材等としての製品は工業的に量産されていないのが現状
である。
(発明が解決しようとする課題) すなわち、これらの鋳物の製造や加熱下での加圧成形
の場合には、鋳型や成形型により製品を個々に製造する
ものであるため、個々の鋳型等の熱的な環境条件にばら
つきが存在するとともに、その後に圧延等の高度な後加
工が行なわれないので、リチウムの化学的な活性の影響
が強くなる。
の場合には、鋳型や成形型により製品を個々に製造する
ものであるため、個々の鋳型等の熱的な環境条件にばら
つきが存在するとともに、その後に圧延等の高度な後加
工が行なわれないので、リチウムの化学的な活性の影響
が強くなる。
そのため、かかる製品の製造においては、δ相(AlL
i)の析出等により製品に十分な強度を発揮させること
が一般的に困難とされているからである。
i)の析出等により製品に十分な強度を発揮させること
が一般的に困難とされているからである。
この発明は、このような背景に基づいてなされたもの
で、Al−Li系合金による金属間化合物等の生成を抑制し
て、Al−Li系合金製製品の強度を向上させ、Al−Li系合
金による製品の工業的量産を可能とすることを目的とす
るものである。
で、Al−Li系合金による金属間化合物等の生成を抑制し
て、Al−Li系合金製製品の強度を向上させ、Al−Li系合
金による製品の工業的量産を可能とすることを目的とす
るものである。
(課題を解決するための手段) 請求項1記載の発明は、4%以下のリチウムを含有す
るAl−Li系合金からなる素材を、固相と液相の共存状態
の温度に加熱して素材にδ相の発生を少なくさせると共
に流動性を付与させ、このδ相の少ない素材を成形型内
に収容して加圧流動させて、製品を成形し、この製品を
450℃〜560℃の温度で5時間〜60時間保持させ、この後
常温に冷却するAl−Li系合金製製品の製造方法としたこ
とを特徴とする。
るAl−Li系合金からなる素材を、固相と液相の共存状態
の温度に加熱して素材にδ相の発生を少なくさせると共
に流動性を付与させ、このδ相の少ない素材を成形型内
に収容して加圧流動させて、製品を成形し、この製品を
450℃〜560℃の温度で5時間〜60時間保持させ、この後
常温に冷却するAl−Li系合金製製品の製造方法としたこ
とを特徴とする。
(作用) Al−Li系合金の製品を鋳造により製造する場合、リチ
ウムの活性によりδ相や酸化物等の生成のおそれがあ
る。
ウムの活性によりδ相や酸化物等の生成のおそれがあ
る。
しかし、請求項1の発明では、4%以下のリチウムを
含有するAl−Li系合金からなる素材を、固相と液相の共
存状態の温度に加熱して素材にδ相の発生を少なくさせ
る様にしているので、δ相や素材表面でのリチウム酸化
物の生成量をすくなくできる。
含有するAl−Li系合金からなる素材を、固相と液相の共
存状態の温度に加熱して素材にδ相の発生を少なくさせ
る様にしているので、δ相や素材表面でのリチウム酸化
物の生成量をすくなくできる。
しかも、このδ相の少ない素材を成形型内に収容して
加圧流動させて、製品を成形する方法では、ブロック体
の加熱温度が低く、また加熱時間が短いので、リチウム
の反応が鋳物による場合に比べて抑制され、前記δ相や
素材表面でのリチウム酸化物等の生成量が少ない利点が
ある。
加圧流動させて、製品を成形する方法では、ブロック体
の加熱温度が低く、また加熱時間が短いので、リチウム
の反応が鋳物による場合に比べて抑制され、前記δ相や
素材表面でのリチウム酸化物等の生成量が少ない利点が
ある。
これは、また高温のAl−Li合金の加工時の取り扱い時
に雰囲気として供給するアルゴンガス量の軽減やこれに
伴う製造設備を簡素化することができることを意味する
ものでもある。
に雰囲気として供給するアルゴンガス量の軽減やこれに
伴う製造設備を簡素化することができることを意味する
ものでもある。
また、このように形成された製品を450℃〜560℃の温
度で5時間〜60時間保持させ、この後常温に冷却するの
で、製品中に形成されたδ相を確実にα相内に拡散固溶
させることができ、製品の強度を損なうδ相を一層軽減
させることにより、強度の優れた製品を得ることができ
る。
度で5時間〜60時間保持させ、この後常温に冷却するの
で、製品中に形成されたδ相を確実にα相内に拡散固溶
させることができ、製品の強度を損なうδ相を一層軽減
させることにより、強度の優れた製品を得ることができ
る。
そして、これらの処置は、温度管理としてすることが
できるので、そのまま工業的量産技術として用いること
ができ、強度の優れたAl−Li系合金製の製品を鋳物によ
り工業的に量産することができる。
できるので、そのまま工業的量産技術として用いること
ができ、強度の優れたAl−Li系合金製の製品を鋳物によ
り工業的に量産することができる。
(実施例) 以下、本発明にかかる製品の製造方法を、第1図に示
す鋳物による製品の製造方法との比較において説明す
る。
す鋳物による製品の製造方法との比較において説明す
る。
まず、鋳物による製品の製造方法について説明する、
この鋳物による製品の製造方法においては、まず、次の
ようにしてAl−Li系合金の溶製を行なう。
この鋳物による製品の製造方法においては、まず、次の
ようにしてAl−Li系合金の溶製を行なう。
すなわち、リチウム以外の原料(後記、表.1参照)を
ガス溶解炉にて溶解し、脱酸,脱ガスを行い、鎮静させ
る。
ガス溶解炉にて溶解し、脱酸,脱ガスを行い、鎮静させ
る。
この後、前記リチウム以外の溶解した原料を雰囲気制
御可能な真空鋳造機内のるつぼに移し、雰囲気をアルゴ
ンに置換する。
御可能な真空鋳造機内のるつぼに移し、雰囲気をアルゴ
ンに置換する。
この雰囲気の置換の後、純リチウムをホスホライザー
で添加し、これによりAl−Li系合金の溶湯を得る。
で添加し、これによりAl−Li系合金の溶湯を得る。
この実施例において、このようにして溶製されるAl−
Li系合金の目標組成は、例えば表.1のようである。
Li系合金の目標組成は、例えば表.1のようである。
このようにして得られた溶湯は、鋳造機の扉を開け、
大気中にてアルゴンガスで溶湯を脱ガス,鎮静し、予め
約423K(150℃)に加熱保持しておいたYブロック金型
に983K〜993K(710〜720℃)で注湯する。
大気中にてアルゴンガスで溶湯を脱ガス,鎮静し、予め
約423K(150℃)に加熱保持しておいたYブロック金型
に983K〜993K(710〜720℃)で注湯する。
この金型への注湯に際しては、金型内部に予めアルゴ
ンガスを流しておき注湯時の溶湯の化学反応を抑制する
ことが好ましい。
ンガスを流しておき注湯時の溶湯の化学反応を抑制する
ことが好ましい。
なお、溶湯の注湯温度は、Al−Li系合金の成分組成に
よって、903K〜1023K(630℃〜750℃)の範囲で適宜調
整すればよい。
よって、903K〜1023K(630℃〜750℃)の範囲で適宜調
整すればよい。
また、この実施例では鋳型として前記金型を用いたも
のであるが、次のような有機自硬性鋳型やシェル鋳型あ
るいはロストワックス鋳型を用いてもよい。
のであるが、次のような有機自硬性鋳型やシェル鋳型あ
るいはロストワックス鋳型を用いてもよい。
すなわち、有機自硬性鋳型は、けい砂を主構成物質と
し、フェノール樹脂とポリイソシアネートとを主粘結剤
としたもので、トリエチルアミンガスを通気して硬化さ
せたものである。
し、フェノール樹脂とポリイソシアネートとを主粘結剤
としたもので、トリエチルアミンガスを通気して硬化さ
せたものである。
また、シェル鋳型は、けい砂を主構成物質とし、フェ
ノールレジンを主粘結剤として加熱硬化させたものであ
る。
ノールレジンを主粘結剤として加熱硬化させたものであ
る。
さらに、ロストワックス鋳型は、ジルコン砂とジルコ
ン粉末とを主構成物質とし、エチルシリケートと水とを
主粘結剤として加熱焼成したものである。
ン粉末とを主構成物質とし、エチルシリケートと水とを
主粘結剤として加熱焼成したものである。
このロストワックス鋳型は、所定の形状に形成した
後、その鋳型を473K(200℃)で14.4KS(4時間)加熱
し、さらに973K(700℃)で14.4KS加熱し,高温加熱焼
成したものである。
後、その鋳型を473K(200℃)で14.4KS(4時間)加熱
し、さらに973K(700℃)で14.4KS加熱し,高温加熱焼
成したものである。
これらの鋳型を用いた鋳物による製品においても、前
記と概ね同様に以下の製法方法を実施することができ
る。
記と概ね同様に以下の製法方法を実施することができ
る。
次に、本発明にかかる製品の製造方法を、第1図に示
す鋳物による製品の製造方法と比較しながら説明する。
す鋳物による製品の製造方法と比較しながら説明する。
すなわち、以下に述べる加圧成形技術は、チクソキャ
スティングといわれるもので、共晶合金を固−液相共存
状態まで加熱して素材自体に流動性を与えた上で成形金
型内にセットし、この素材を金型内で加圧成形するもの
であり、このチクソキャスティングによればある程度複
雑な形状の製品でも成形することが可能である。
スティングといわれるもので、共晶合金を固−液相共存
状態まで加熱して素材自体に流動性を与えた上で成形金
型内にセットし、この素材を金型内で加圧成形するもの
であり、このチクソキャスティングによればある程度複
雑な形状の製品でも成形することが可能である。
このチクソキャスティングによる製品の製造は次のよ
うに行なわれる。
うに行なわれる。
予め用意されたAl−Li系合金の鋳塊(合金の成分組成
は前記表.1と同一である)から素材となる所要形状のブ
ロック体を切り出し、加熱炉にてアルゴンガス雰囲気中
で所定の温度に加熱する。
は前記表.1と同一である)から素材となる所要形状のブ
ロック体を切り出し、加熱炉にてアルゴンガス雰囲気中
で所定の温度に加熱する。
この例の場合、加熱炉にて加熱すべき所定の温度は89
8K〜903K(625℃〜630℃)であり、この温度はこの合金
の固相と液相とが共存状態の温度である。
8K〜903K(625℃〜630℃)であり、この温度はこの合金
の固相と液相とが共存状態の温度である。
かかる温度にブロック体が均熱された後、このブロッ
ク体を成形金型(本願の発明でいう成形型に該当する)
内にセットする。なお、この際、金型は573K〜593K(30
0℃〜320℃)に加熱されている。
ク体を成形金型(本願の発明でいう成形型に該当する)
内にセットする。なお、この際、金型は573K〜593K(30
0℃〜320℃)に加熱されている。
この後、金型内のブロック体上にポンチを下げてブロ
ック体を加圧し、ブロック体の素材を金型内に形成され
ている成形用凹部内に塑性流動させることによって、成
形凹部に形成された所要の形状の製品を得るものであ
る。
ック体を加圧し、ブロック体の素材を金型内に形成され
ている成形用凹部内に塑性流動させることによって、成
形凹部に形成された所要の形状の製品を得るものであ
る。
なお、前記ポンチによる加圧力は、前記ブロック体が
固相と液相との共存状態であるので、小さくて済み、こ
の例の場合は750Kg/cm2以下でよい。
固相と液相との共存状態であるので、小さくて済み、こ
の例の場合は750Kg/cm2以下でよい。
Al−Li系合金を用いて、かかるチクソキャクティング
により製品を製造する場合、前述のように素材としての
ブロック体を加熱するので、リチウムの活性によりδ相
や酸化物等の生成のおそれがある。
により製品を製造する場合、前述のように素材としての
ブロック体を加熱するので、リチウムの活性によりδ相
や酸化物等の生成のおそれがある。
しかし、かかるチクソキャスティングにおいては、前
記のようにブロック体の加熱温度が低く、また加熱時間
が短いので、リチウムの反応が鋳物による場合に比べて
抑制され、前記δ相や素材表面でのリチウム酸化物等の
生成量が少ない利点がある。
記のようにブロック体の加熱温度が低く、また加熱時間
が短いので、リチウムの反応が鋳物による場合に比べて
抑制され、前記δ相や素材表面でのリチウム酸化物等の
生成量が少ない利点がある。
これは、また高温のAl−Li合金の加工等の取り扱い時
に雰囲気として供給するアルゴンガス量の軽減やこれに
伴う製造設備を簡素化することができることを意味する
ものでもある。
に雰囲気として供給するアルゴンガス量の軽減やこれに
伴う製造設備を簡素化することができることを意味する
ものでもある。
このように、チクソキャスティングにより成形されて
製造された製品も前記鋳物による製品と同様に次のよう
な熱処理が行なわれ、同様の効果を享有するものであ
る。
製造された製品も前記鋳物による製品と同様に次のよう
な熱処理が行なわれ、同様の効果を享有するものであ
る。
すなわち、前記金型中で凝固した鋳物からなる製品あ
るいは成形金型内で加圧成形された製品は、いずれも各
金型から脱型の後、加熱炉にて同様に第1の熱処理が行
なわれるが、以下においては、鋳物による製品の場合と
して説明を行なう。
るいは成形金型内で加圧成形された製品は、いずれも各
金型から脱型の後、加熱炉にて同様に第1の熱処理が行
なわれるが、以下においては、鋳物による製品の場合と
して説明を行なう。
この第1の熱処理は、例えば、803K(530℃)の温度
で36KS(10時間)保持させるものであり、Al−Li系合金
のδ相をα相中に拡散固溶させるものである。
で36KS(10時間)保持させるものであり、Al−Li系合金
のδ相をα相中に拡散固溶させるものである。
したがって、この第1の熱処理の温度および時間は、
Al−Li系合金の成分組成により、723K〜833K(450℃〜5
60℃)で1.8KS〜216KS(5時間〜60時間)の範囲で調整
すればよい。
Al−Li系合金の成分組成により、723K〜833K(450℃〜5
60℃)で1.8KS〜216KS(5時間〜60時間)の範囲で調整
すればよい。
この第1の熱処理の後、鋳物を常温に冷却して、鋳物
Bを得る。
Bを得る。
また、この第1の熱処理の後、これに続いて第2の熱
処理を行い、その後、鋳物を常温に冷却して鋳物Cを得
る。
処理を行い、その後、鋳物を常温に冷却して鋳物Cを得
る。
この第2の熱処理は、水冷することによって一旦常温
とした,第1の熱処理後の鋳物を、さらに200℃の温度
で4時間保持させるものであり、この第2の熱処理によ
って鋳物を時効硬化させるものである。
とした,第1の熱処理後の鋳物を、さらに200℃の温度
で4時間保持させるものであり、この第2の熱処理によ
って鋳物を時効硬化させるものである。
なお、この第2の熱処理は、433K〜483K(160℃〜210
℃)の範囲内の温度と4時間以上の時間の範囲内で適宜
調整することができる。
℃)の範囲内の温度と4時間以上の時間の範囲内で適宜
調整することができる。
この第2の熱処理の温度が160℃未満の場合には、こ
の熱処理の効果を発揮させるのに必要な処理時間が長期
にわたり、工業的な量産技術として実用性が乏しく、ま
た210℃を越える場合には、製品を均熱しにくく製品の
ひずみや物性にばらつきを生じるおそれがあるからであ
る。
の熱処理の効果を発揮させるのに必要な処理時間が長期
にわたり、工業的な量産技術として実用性が乏しく、ま
た210℃を越える場合には、製品を均熱しにくく製品の
ひずみや物性にばらつきを生じるおそれがあるからであ
る。
このようにして得られた鋳物B,Cの引張強度および伸
びは、第2図に示す通りである。
びは、第2図に示す通りである。
すなわち、第2図において、Aは比較例であって前記
の熱処理を行なわない場合を示し、Bは前記の第1の熱
処理のみを行なった場合、Cは前記第1および第2の熱
処理の双方ともに行なった場合である。
の熱処理を行なわない場合を示し、Bは前記の第1の熱
処理のみを行なった場合、Cは前記第1および第2の熱
処理の双方ともに行なった場合である。
第2図から明らかなように、前記の熱処理を行なわな
かったAの場合は、引張強度が270MPaと小さく、伸びも
5%と小さい。
かったAの場合は、引張強度が270MPaと小さく、伸びも
5%と小さい。
これは、この鋳物については脆弱なδ相が若干存在し
ており、顕微鏡による金属組織やX線回折の結果から、
これがこの鋳物の機械的性質に影響していることが確認
される。
ており、顕微鏡による金属組織やX線回折の結果から、
これがこの鋳物の機械的性質に影響していることが確認
される。
一方、前記第1の熱処理のなされたBの場合には、引
張強度が370MPaと大きく、かつ、伸びも16%と大きく改
善されている。
張強度が370MPaと大きく、かつ、伸びも16%と大きく改
善されている。
これは、前記第1の熱処理によって、鋳物中に生じて
いたδ相がα相中に拡散固溶され、金属組織中のδ相が
実質的に存在せず、Al−Li系合金本来の機械的性質が発
揮されたからであると判断できる。
いたδ相がα相中に拡散固溶され、金属組織中のδ相が
実質的に存在せず、Al−Li系合金本来の機械的性質が発
揮されたからであると判断できる。
さらに、前記第1の熱処理と第2の熱処理とを行なっ
たCの場合には、引張強度はさらに向上して410MPaとな
るが、伸びは5%に低下している。
たCの場合には、引張強度はさらに向上して410MPaとな
るが、伸びは5%に低下している。
これは、第1の熱処理によって、脆弱なδ相を消失さ
せたうえで、第2の熱処理によって時効硬化が行なわ
れ、高弾性率となったからである。
せたうえで、第2の熱処理によって時効硬化が行なわ
れ、高弾性率となったからである。
このように、本願の鋳物による製品の製造方法によれ
ば、溶湯の流動性を確保しながら、添加されたリチウム
が化合物を形成することを抑制することによって、合金
中のリチウムの含有量の減少や脆弱なδ相の形成を軽減
することができる。
ば、溶湯の流動性を確保しながら、添加されたリチウム
が化合物を形成することを抑制することによって、合金
中のリチウムの含有量の減少や脆弱なδ相の形成を軽減
することができる。
そのうえで、このように形成された鋳物を803Kの温度
で36KSの時間保持させ、この後常温に冷却するので、Al
−Li系合金製鋳物中のδ相を確実にα相内に拡散固溶さ
せることができ、鋳物の強度を損なうδ相が減少するこ
とにより、強度の優れた鋳物を得ることができる。
で36KSの時間保持させ、この後常温に冷却するので、Al
−Li系合金製鋳物中のδ相を確実にα相内に拡散固溶さ
せることができ、鋳物の強度を損なうδ相が減少するこ
とにより、強度の優れた鋳物を得ることができる。
さらに、第2の熱処理によって、δ相の消失した鋳物
の時効硬化が図られることにより、弾性率を高め、より
一層高い比強度とすることができる。
の時効硬化が図られることにより、弾性率を高め、より
一層高い比強度とすることができる。
また、本発明に係るチクソキャスティングによる製品
の製造方法によれば、チクソキャスティングに伴うブロ
ック体の加熱温度が低く、加熱時間が短いので、δ相や
酸化物の生成が少なく、組織的に良好な製品を得ること
ができ製品強度を確保する上で有利である。
の製造方法によれば、チクソキャスティングに伴うブロ
ック体の加熱温度が低く、加熱時間が短いので、δ相や
酸化物の生成が少なく、組織的に良好な製品を得ること
ができ製品強度を確保する上で有利である。
そして、このチクソキャスティングによる製品の場合
にも、鋳物による製品の場合と同様に、前記第1の熱処
理および第2の熱処理による効果が得られるので、製品
の機械的性質がさらに良好となる。
にも、鋳物による製品の場合と同様に、前記第1の熱処
理および第2の熱処理による効果が得られるので、製品
の機械的性質がさらに良好となる。
以上説明した実施例は、前述の成分組成の合金による
ものであるが、本願発明は以上説明したように、Al−Li
系合金のδ相の存在を解消することを本質的課題とする
ものであるため、Al−Li系合金に一般的に適用すること
ができ、したがって、Al−Liの2元系合金は勿論のこ
と、つぎに述べる,Al−Li系合金であっても同様に適用
することができる。
ものであるが、本願発明は以上説明したように、Al−Li
系合金のδ相の存在を解消することを本質的課題とする
ものであるため、Al−Li系合金に一般的に適用すること
ができ、したがって、Al−Liの2元系合金は勿論のこ
と、つぎに述べる,Al−Li系合金であっても同様に適用
することができる。
すなわち、本願の製造方法を適用することのできるAl
−Li−Si系合金の一例は、次の表.2の成分組成からなる
ものである。
−Li−Si系合金の一例は、次の表.2の成分組成からなる
ものである。
一般に、Al−Li系合金中にCuを多量に含有させると、
リチウムを多量に含有することができず、Al−Li系合金
の特徴としての,軽量をある程度犠牲にすることとな
る。また、Al−Li系合金中にCuを多量に含有している場
合には、粒界腐食割れを生じるので耐食性の面では十分
ではない。
リチウムを多量に含有することができず、Al−Li系合金
の特徴としての,軽量をある程度犠牲にすることとな
る。また、Al−Li系合金中にCuを多量に含有している場
合には、粒界腐食割れを生じるので耐食性の面では十分
ではない。
表.2に記載した成分組成からなる合金は、前記表.1等
のAl−Li−Cu系合金のCuにかえてSiを添加し、これによ
ってCuの含有量をきわめてわずかに抑制したものであ
る。
のAl−Li−Cu系合金のCuにかえてSiを添加し、これによ
ってCuの含有量をきわめてわずかに抑制したものであ
る。
このような成分組成としたのは、各成分が次のような
特性を有するからである。
特性を有するからである。
すなわち、この合金に含有されるLi量が3.5%を越
え,あるいは1.5%未満となる場合には合金の引張強度
が低下する。
え,あるいは1.5%未満となる場合には合金の引張強度
が低下する。
また、Cu量が0.2%を越えると、前述のように合金の
粒界腐食割れを生じ、耐食性が低下する。
粒界腐食割れを生じ、耐食性が低下する。
SiとMgとは合金の鋳造性と時効硬化能を両立させるた
めに添加したもので、Si量が5.0%を越える場合には時
効硬化能が低下し、1.5%未満の場合には鋳造性が低下
する。他方、Mg量が1.3%を越えると鋳造性が低下し、
0.5%未満の場合には時効硬化能が低下する。
めに添加したもので、Si量が5.0%を越える場合には時
効硬化能が低下し、1.5%未満の場合には鋳造性が低下
する。他方、Mg量が1.3%を越えると鋳造性が低下し、
0.5%未満の場合には時効硬化能が低下する。
Zr量は合金の機械的性質に影響するもので、Zr量が0.
25%を越えるそ、Zrが鋳物の凝固後に初晶として晶出
し、機械的性質を低下させ、また、0.15%未満の場合に
は合金の結晶粒が粗大化することによって機械的性質を
低下させる。
25%を越えるそ、Zrが鋳物の凝固後に初晶として晶出
し、機械的性質を低下させ、また、0.15%未満の場合に
は合金の結晶粒が粗大化することによって機械的性質を
低下させる。
かかる成分組成からなる,Al−Li系合金は、Cuの含有
量がきわめてわずかであるので、多量のリチウムを添加
することができ、粒界腐食割れを生じないので、耐食性
や機械的性質も良好である。
量がきわめてわずかであるので、多量のリチウムを添加
することができ、粒界腐食割れを生じないので、耐食性
や機械的性質も良好である。
第3図において、実線は、リチウムの添加量による,
合金の機械的性質の一例としての引張強度の変化を示し
たもので、Cuが多量に添加された合金の場合(第3図
中、破線の曲線)と比べると、この合金のリチウムの添
加量が多量であり、多量のリチウムを含有する合金の機
械的性質が優れていることは明かである。
合金の機械的性質の一例としての引張強度の変化を示し
たもので、Cuが多量に添加された合金の場合(第3図
中、破線の曲線)と比べると、この合金のリチウムの添
加量が多量であり、多量のリチウムを含有する合金の機
械的性質が優れていることは明かである。
そして、この合金を用いても、例えば、前記した鋳物
の製造方法によって、きわめて軽量で機械的性質も優
れ,かつ耐食性も良好な製品を工業的に量産することが
できる。
の製造方法によって、きわめて軽量で機械的性質も優
れ,かつ耐食性も良好な製品を工業的に量産することが
できる。
したがって、所要の形状に形成した鋳型あるいは成形
金型に、前記した各Al−Li系合金を用いることにより、
各種の製品を軽量かつ高強度に工業的に量産することが
でき、とくに軽量かつ高強度であることが重視される,
航空機用ハッチやドア等のその枠部まで一体に、鋳物と
してあるいはチクソキャスティングにより製造すること
が可能となる。
金型に、前記した各Al−Li系合金を用いることにより、
各種の製品を軽量かつ高強度に工業的に量産することが
でき、とくに軽量かつ高強度であることが重視される,
航空機用ハッチやドア等のその枠部まで一体に、鋳物と
してあるいはチクソキャスティングにより製造すること
が可能となる。
(発明の効果) 以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、
4%以下のリチウムを含有するAl−Li系合金からなる素
材を、固相と液相の共存状態の温度に加熱して素材にδ
相の発生を少なくさせる様にしているので、δ相や素材
表面でのリチウム酸化物の生成量をすくなくできる。
4%以下のリチウムを含有するAl−Li系合金からなる素
材を、固相と液相の共存状態の温度に加熱して素材にδ
相の発生を少なくさせる様にしているので、δ相や素材
表面でのリチウム酸化物の生成量をすくなくできる。
しかも、このδ相の少ない素材を成形型内に収容して
加圧流動させて、製品を成形する方法では、ブロック体
の加熱温度が低く、また加熱時間が短いので、リチウム
の反応が鋳物による場合に比べて抑制され、前記δ相や
素材表面でのリチウム酸化物等の生成量が少ない利点が
ある。
加圧流動させて、製品を成形する方法では、ブロック体
の加熱温度が低く、また加熱時間が短いので、リチウム
の反応が鋳物による場合に比べて抑制され、前記δ相や
素材表面でのリチウム酸化物等の生成量が少ない利点が
ある。
これは、また高温のAl−Li合金の加工等の取り扱い時
に雰囲気として供給するアルゴンガス量の軽減やこれに
伴う製造設備を簡素化することができることを意味する
ものでもある。
に雰囲気として供給するアルゴンガス量の軽減やこれに
伴う製造設備を簡素化することができることを意味する
ものでもある。
また、このように形成された製品を450℃〜560℃の温
度で5時間〜60時間保持させ、この後常温に冷却するの
で、製品中に形成されたδ相を確実にα相内に拡散固溶
させることができ、製品の強度を損なうδ相を一層軽減
させることにより、強度の優れた製品を得ることができ
る。
度で5時間〜60時間保持させ、この後常温に冷却するの
で、製品中に形成されたδ相を確実にα相内に拡散固溶
させることができ、製品の強度を損なうδ相を一層軽減
させることにより、強度の優れた製品を得ることができ
る。
そして、これらの処置は、温度管理としてすることが
できるので、そのまま工業的量産技術として用いること
ができ、強度の優れたAl−Li系合金製の製品を工業的に
量産することができる。
できるので、そのまま工業的量産技術として用いること
ができ、強度の優れたAl−Li系合金製の製品を工業的に
量産することができる。
更に、本発明の製造方法によるAl−Li系合金の製品の
場合は、製品の機械的性質が良くなる。
場合は、製品の機械的性質が良くなる。
第1図は鋳物の製造工程説明図、第2図は鋳物の引張強
度と伸びとを示すグラフ、第3図はSiを含有するAl−Li
系合金のリチウム添加量と引張強度との関係を示すグラ
フである。
度と伸びとを示すグラフ、第3図はSiを含有するAl−Li
系合金のリチウム添加量と引張強度との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−206445(JP,A) 特開 昭63−219544(JP,A) 特開 昭63−290252(JP,A) 特開 昭61−137663(JP,A) 特開 昭62−61750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/00,18/02,21/04 C22F 1/04 C22C 21/00
Claims (2)
- 【請求項1】4%以下のリチウムを含有するAl−Li系合
金からなる素材を、固相と液相の共存状態の温度に加熱
して素材にδ相の発生を少なくさせると共に流動性を付
与させ、このδ相の少ない素材を成形型内に収容して加
圧流動させて、製品を成形し、この製品を450℃〜560℃
の温度で5時間〜60時間保持させ、この後常温に冷却す
ることを特徴とするAl−Li系合金製製品の製造方法。 - 【請求項2】請求項1に記載のAl−Li系合金製製品の製
造方法において、 さらにその製品を160℃〜210℃の温度で4時間以上保持
させたことを特徴とするAl−Li系合金製製品の製法方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2264740A JP2996709B2 (ja) | 1990-10-02 | 1990-10-02 | Al―Li系合金製製品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2264740A JP2996709B2 (ja) | 1990-10-02 | 1990-10-02 | Al―Li系合金製製品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04143064A JPH04143064A (ja) | 1992-05-18 |
JP2996709B2 true JP2996709B2 (ja) | 2000-01-11 |
Family
ID=17407521
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2264740A Expired - Fee Related JP2996709B2 (ja) | 1990-10-02 | 1990-10-02 | Al―Li系合金製製品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2996709B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6083521B2 (ja) * | 2013-04-16 | 2017-02-22 | 国立大学法人富山大学 | Al−Li系合金の製造方法 |
CN106906387B (zh) * | 2015-12-22 | 2019-05-21 | 北京有色金属研究总院 | 一种高比强高比模铝合金材料、其制备方法及由该材料加工的构件 |
CN112792319B (zh) * | 2020-12-17 | 2022-06-10 | 山西江淮重工有限责任公司 | 锂合金铸件差压铸造工艺和差压铸造设备 |
-
1990
- 1990-10-02 JP JP2264740A patent/JP2996709B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH04143064A (ja) | 1992-05-18 |
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