JP6083521B2 - Al−Li系合金の製造方法 - Google Patents
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Description
したがって、Al−Li系合金は軽量で比強度及び比剛性が高いことから、航空機,鉄道車両,自動車等の軽量化に寄与でき、省エネルギー,地球環境保全の観点からもその実用化が期待されている。
しかし、金属リチウムは非常に活性で大気中で酸化されやすく、また従来の鉄や黒鉛坩堝では所定の目標成分の溶湯を溶製する際に、この溶湯に含有されるリチウムが坩堝表面と反応し、生成した化合物が異物として混入する問題があった。
大気中でリチウムが酸化すると、Al−Li系合金中のリチウム濃度が減少し、所定のAl−Li系合金を得るのが難しくなる。
また、溶湯への異物混入量が多くなると、この異物成分が不純物として材料特性を悪化させ、その後に安定した圧延,引抜き,押出加工等ができなくなる。
特許文献2は、金属リチウムを除外したアルミニウム及びその他の合金元素を大気中で溶解し、その溶湯の表面を塩化リチウム,ふっ化リチウム等の溶剤で被覆し、さらに添加するリチウムはアルミニウムで被覆した金属リチウムを用いることが開示されているが、溶剤の管理が大変でありリチウムをアルミニウムで被覆する際にリチウムが酸化する問題もある。
また、リチウム,アルミニウム等は特に説明しない限り金属を示す。
リチウム以外のアルミニウム又はアルミニウム合金を溶解するとは、純アルミニウムのみならず、他の成分を含むアルミニウム合金及び所定のアルミニウム合金を得るべく添加される他の成分やその母合金を含む。
この種のFe系合金には以下質量%で、Cr:0.40〜1.20%,C:0.20〜0.45%,Si:0.30〜0.60%,Mn:0.50〜1.60%が含まれ、P:0.040%以下,S:0.040%以下となっている。
本発明は、上記クロム系鋳鋼の中でもJIS G 5111に規定するクロムモリブデン鋼を用いた鋳鋼品が好ましい。
これに規定する鋳鋼品には1種(SCCrM 1)及び3種(SCCrM 3)があり、1種はC:0.20〜0.30%,3種はC:0.30〜0.40%となっており、他の成分は1種,3種ともにSi:0.30〜0.60%,Mn:0.50〜0.80%,Cr:0.80〜1.20%,Mo:0.15〜0.35%,P:0.040%以下,S:0.040%以下となっている。
また、これらの鋳鋼品の鋳型に特に制限はないが、砂型を用いた砂型鋳造品が好ましい。
また、リチウム以外のアルミニウム等、他の成分を溶解した段階又は/及びリチウムを添加後にアルゴン雰囲気内でアルゴンガスを溶湯内にバブリングするのが好ましい。
次にこの溶湯を用いて、Al−Li系合金素材を鋳造することになるが、その場合にこの溶湯を用いた鋳造は、溶湯と接触する部位がLi2O生成の標準自由エネルギーよりも低い金属酸化物である鋳型を用いるのが好ましい。
鋳造時に鋳型の表面と反応し、その化合物が不純物として混入するのを防止する必要があるからである。
ここで、Li2O生成の標準自由エネルギーよりも低い金属酸化物には、MgO,CaO等の金属酸化物が例として挙げられる。
なお、上記金属酸化物の塗布鋳型や被覆鋳型を用いてもよく、また鋳型そのものを上記金属酸化物で製作してもよい。
また、これにより得られた圧延品,引抜き品,押出品の品質も優れる。
JIS G 5111,3種(SCCrM 3)のクロムモリブデン鋳鋼を用いて、砂型鋳造により得られた坩堝を溶解炉として用いた。
坩堝の内面は鋳肌のままである。
この坩堝にリチウム以外の原材料として、Al−2%Cu−1.5%Mg−0.1%Zrの化学成分からなる溶湯を溶解保持した。
なお、Li以外の合金組成は目的に応じて各種成分割合に調整される。
次に雰囲気を99.7%以上の純度を有するアルゴンガスで置換した。
その状態で99.0%以上の純度を有する純リチウムを添加した。
Al−Li系合金においては、一般にリチウムが0.5〜4%以下の範囲で添加されるが、本実施例では2%になるように添加した。
Al−Li系母合金(一般にLiが5〜50%程度含有した合金)を使用する場合は、本製法で製造したものを使用する。
添加終了後、前述のアルゴン雰囲気内で同じ純度のアルゴンガスを用いて、ランス式脱ガスパイプを用いて溶湯内にアルゴンガスでバブリングを行った。
このランス式脱ガスパイプは内径5〜10mmの黒鉛、カルシア又はマグネシア製である。
これらはLiによって還元されない。
また、黒鉛はアルゴンガスを流しているため坩堝の場合とは異なり、冷却されるので黒鉛の崩壊は起きない。
適切なアルゴンガス流量は、溶湯10kgあたり0.2l/minで30秒〜30分吹き込む。
30秒以下では効果がない。
脱ガスする際の溶湯温度は合金の濃度で異なるが、液相線温度から50〜100℃高い温度で行うのが最も効果的である。
鋳型のキャビティ面は、Li2O生成の標準自由エネルギーよりも低い金属酸化物で覆われていることが望ましい。
または、これらの金属酸化物で製造された鋳型を使用する、あるいは離型剤,塗型として塗布することもよい。
鋳型内のキャビティを上記と同じアルゴンガスで置換又は同ガスを充填した後に鋳造する。
鋳造時の溶湯温度は注湯する合金の液相線よりも70〜120℃高温で、砂型の場合は0℃から80℃に予熱し、金型,石膏あるいはロストワックス鋳型の場合は、150〜400℃に予熱して使用する。
凝固後の鋳物の離型は、鋳物温度が350℃程度あるいはこれより低温になってから行うと鋳物製品が変形せず、ひずみを導入することなく取り出せるので、後の過程で行われる熱処理後の製品の機械的性質に影響しない。
図1は、鋳造された鋳物を切断した際の断面写真である。
鋳物としては押湯部を含めて、高さ100mm,幅200mm,厚さ25〜50mmである。
上部の押湯部から下部にかけて、肉眼で確認できる引け巣は全くない。
図2に鋳物の組織写真を示す。
上記にて鋳造した(a)の組織には、欠陥が見られない。
これに対して、従来の黒鉛坩堝で溶湯を調整した後に鋳物にした(b)は多く欠陥(矢印)が認められた。
この欠陥を元素分析装置(EDS)を装備した走査型電子顕微鏡で観察して解析したところ、これらの欠陥(矢印の黒色のフィルム状のもの)から酸素が多く検出されたことから、酸素を主体とした非金属介在物であることが判った。
上記の鋳物を圧延機で圧下率2〜5%/パスで圧延した。
圧延のインターバルにはアルゴンガスで満たしたアルミパック又はステンレスパックに入れて均質化処理と同じ温度で約5〜20分の焼鈍を施す。
圧延と焼鈍を繰り返した。
図3は、図1に示した合金を熱間圧延によって厚さ20mmから2mmの板材に圧延した外観写真である。
割れは全くない。
さらに板材を均質化処理温度と同じ温度で溶体化処理をて、その後に190℃で時効処理した時の硬さ変化を測定した結果を図4に示した。
熱処理前は80HVであった硬さが、140HVを超える硬さを示すことが確認された。
なお、比較のために従来の黒鉛坩堝を用いて溶湯の調整をしたものは、上記圧延時に割れが生じた。
この割れを詳細に組織観察したところ、前述の酸素を主体とした非金属介在物[図2(b)の矢印部]が起点となり割れが生じていることが明らかとなった。
Claims (3)
- クロム系鋳鋼からなる鋳造坩堝であって、少なくとも溶湯が接触する部位が鋳肌のままの坩堝に、
リチウム以外の、アルミニウム又はアルミニウム合金を溶解するステップと、
リチウムに対して不活性である不活性ガス雰囲気下で、リチウム又はアルミニウム−リチウム母合金を添加溶解するステップとを有する溶湯を用いて鋳造したことを特徴とするAl−Li系合金の製造方法。 - 前記クロム系鋳鋼はクロムモリブデン系鋳鋼であって、
前記鋳造坩堝は砂型鋳造されたものであることを特徴とする請求項1記載のAl−Li系合金の製造方法。 - 前記溶湯を用いた鋳造は、溶湯と接触する部位がLi2O生成の標準自由エネルギーよりも低い金属酸化物である鋳型を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載のAl−Li系合金の製造方法。
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