JP2995160B2 - 光硬化装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は請求項１の前段に記載
されている、特に光照射によって重合させることが可能
な歯科合成材料の硬化に適した光硬化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の光硬化装置は例えばドイツ特許
公開第３２３７５１０号公報により知られている。この
種の光硬化装置においては光源が反射器によって包囲さ
れており、これが放射された光線を集光レンズに集束さ
せる。平凸型の集光レンズの平らな表面が光源に指向し
ており、したがって光源から入射した光線を光伝送路の
入光部分に集束される。既知の光硬化装置においては、
光伝送路に単色光線を入射するために、光源として極め
て大型でかつ重量のあるスペクトル・ランプを使用する
必要があった。

【０００３】取り扱いを容易にするため、既知の光硬化
装置は２ｍの長さの柔軟な光伝送線を備えている。した
がって、この構造においては使用者の移動範囲は光伝送
線の長さに制限される。さらに、この比較的長く柔軟な
光伝送線は、常に破断の危険にさらされている。外部的
な破損が確認されていない場合においても、光伝送線に
よって提供される光出力が大きく低下し、取扱者がこれ
を検知できないことがある。

【０００４】このことは、光硬化が完全には実行されず
したがって使用された歯科材料が適切に硬化しないとい
う重大な危険性をもたらす。

【０００５】さらに、例えばドイツ特許公開第４２１１
２３０号公報により手持ち型装置が知られている。この
種の手持ち型装置は通常比較的小型に構成されるととも
に高いエネルギー密度からなる光源が使用されており、
このことが頻繁に温度上の問題をもたらす。比較的高い
エネルギー消費にもかかわらず、この手持ち型装置の発
光量は改善を要するものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、請求項１前段に記載に準じたものであり、発光
量の点について改善し、取り扱いの容易性を向上し、に
もかかわらず充分な重合化を達成する発光量を長年にわ
たって保持し得る光硬化装置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記の課題は本発明にし
たがって請求項１によって解決される。従属請求項は好
適な実施形態を示すものである。

【０００８】意外なことに、本発明にしたがった方式に
よれば、小型の手持ち型装置を使用するにもかかわらず
光硬化に特に効果的な発光量を達成することができる。
スペクトル・ランプに比べて極めて低価格である小型の
汎用ハロゲン・ランプを使用するにもかかわらず、発光
量は極めて大きく、また患者の口内または硬化される歯
科材料を過度に加熱することもない。集光レンズ上に蒸
気溶着された遮断フィルタが不要な光線に対する非常に
良好な反射作用をもたらし、この際ハロゲン・ランプか
ら提供された光線を著しく妨害することはない。遮断フ
ィルタは重合のために必要とされる周波数領域において
非常に好適な透過性を有する。比較的大きな直径を有す
る光伝送路を使用することができ、この際、光伝送路は
ほんの数センチだけ延在し１ｍまたは２ｍを要するもの
ではないため、この大直径の光伝送路による重量および
取り扱い容易性の問題は既存の手持ち型装置に比べて極
めて少ないものとなる。

【０００９】極めて好適なことに、本発明に係る光硬化
装置は手持ち型装置として実現することができる。しか
しながら、柔軟な光伝送路を有する据え置き型装置とし
て実施する際にも個々の利点は達成される。

【００１０】光伝送路は柔軟である必要がないことから
必要に応じて金属管で被覆しそれによって非常に効果的
に防護することができるため、光伝送路の破断によって
気付かないうちに放射光出力が低下することは実質的に
防止される。

【００１１】好適な実施例によれば、遮断フィルタは集
光レンズの凸表面上に装着される。遮断フィルタに到達
した熱線が反射されるとこの熱線は発散し、これによっ
て熱線が非常に有効に回避される。

【００１２】本発明に係る光硬化装置の特に好適な実施
例において、集光レンズおよび／または遮断フィルタに
接合する反射器が設けられ、ここでこの反射器の円錐部
が光源と遮断フィルタおよび／または集光レンズとの間
に延在し、円錐角は光源の方向に向かって開いている。
この反射器は、光源から発射された光線を反射し集光レ
ンズに誘導し、さらに複合作用として遮断フィルタの熱
線回避を向上させることにより光出力を高め、このこと
は円錐形の反射板が金属製の反射膜を備えていれば特に
効果的に達成される。

【００１３】さらに別の好適な実施例によれば、集光レ
ンズは平凸型レンズからなり、特にその凸状の表面が光
源方向に向いている。この構造は組立と光伝送路の光伝
送特性に関して特に有効である。光入射部分から反射さ
れた光線は集光レンズの平らな表面を迂回しながら逆反
射され、したがってこの光線は再び光伝送路内に入射す
ることができる。

【００１４】集光レンズを熱吸収性ガラスで構成すれ
ば、透過する赤外線の大部分が吸収され加熱作用がもた
らされる。この点に関して、集光レンズを光伝送路から
離間して設けることが極めて効果的であり、その結果、
光伝送路が過度に加熱される危険性を防止することがで
きる。この吸収特性は余分な熱を除去するよう作用し、
この形態においては光伝送路への熱線の照射を防止する
ために遮断フィルタを光伝送路に向いた表面上に設置す
ることが特に好適であり得る。

【００１５】必要に応じて集光レンズの両面に遮断フィ
ルタを蒸気溶着し得ることは勿論である。

【００１６】基本的には遮断フィルタを別の方法で装着
することも可能であるが、遮断フィルタは蒸気溶着する
ことが好適である。これによって、均等かつ微小な層厚
をもってフィルタの透過領域において極めて有効な透過
減衰性を実現することができる。

【００１７】必要に応じて集光レンズにさらなるレンズ
を追加して光学的品質を向上し得ることが理解される。

【００１８】

【実施例】さらに本発明の詳細部分、利点および特徴が
一実施例を用いて添付図面を参照しながら以下に説明さ
れる。

【００１９】図に示されているように、本発明に係る光
硬化装置１０は光伝送路１２、集光レンズ１４および反
射鏡１６とからなり、これらは共通のケース部材１８内
に収納される。ケース部材１８はさらに図示されていな
い光源を支持し、これは必要に応じて既知の反射器を備
えており、図中において左方向に配置される。光伝送路
１２は図中においてその一部のみが示されているが、少
し湾曲した先端部を有して数センチにわたって延在して
おり、これによって患者の口中の所望の部分に容易に達
することが可能になる。

【００２０】光硬化装置は手持ち型装置として構成され
ており、例えばここで全面的に引用しているドイツ特許
公開第４２１１２３０号公報に記載されているような構
造を有する。ケース部材１８は多数の通気口２０，２２
を備え、これらは実質的に環状で光軸２４と同軸に延在
するとともに、それぞれリブ２６，２８によって分断さ
れており、これらは周囲上に均等に配置されている。

【００２１】ケース部材は既知の方式の換気装置を備え
ており、これはランプの後方に設置され通気口２０，２
２が空気流入口として機能するよう動作する。適宜な冷
風が集光レンズ１４ならびに反射器１６を含む領域を通
過し、そこに比較的良好な冷却作用をもたらす。集光レ
ンズ１４はケース内において独立した支持被覆３０内に
収容され、これはさらに光伝送路３０を支持している。
光伝送路１２は支持被覆３０内においてソケット３２に
よって支持される。支持被覆３０内における集光レンズ
１４および光伝送路１２の配置は、光伝送路１２の光入
射口３４が集光レンズ１４から距離を保つようになされ
る。図示された実施例において、前記の距離は集光レン
ズ１４の最大厚よりも大きくなる。集光レンズ１４の焦
点は光入射口３４の幾らか後方に位置する。

【００２２】集光レンズ１４は平凸型レンズとして形成
され、ここで平らな表面が光伝送路１２に、凸状の表面
が光源に向いている。その光源に向いた側面上には遮断
フィルタ３６が蒸気溶着されている。さらに、集光レン
ズは赤外線を効果的に吸収する熱吸収性ガラスで形成さ
れている。この構成によって、光伝送路１２のごく近く
にあるにもかかわらず、光伝送路１２内には実質的に所
要の波長領域の光線のみが入射することが可能になる。
例えば、遮断フィルタは不要な紫外線を排除するよう構
成することができる。遮断フィルタの球状の形成によ
り、透過されない放射線が広い面積に分散して反射され
る。この放射線はさらに反射器１６に衝突し、この反射
器は通風路３８の直接的な気流内に位置し良好に冷却さ
れる。これに加えて、遮断フィルタ３６、したがってな
らびに集光レンズ１４は熱的に反射器１６の近くに設置
され、通気口２２を介してすぐ近くに位置する追加的な
空気流路が開いており、これが良好な冷却作用をもたら
す。

【００２３】レンズ１４の支持は、必要に応じて柔軟に
形成される環状支持部材４０によって支持被覆３０と反
射器１６との間に締め込むことによって実施される。反
射器１６はケース部材１８に内側から締め付けられてお
り、その結果ネジ付けにより順に支持被覆３０、集光レ
ンズ１４、環状支持部材４０および反射器１６がケース
内の適宜の支持フランジ４２上に装着される。

【００２４】図に示されているように、光源から放射さ
れた光線が部分的に光線４４によって屈折させられ、光
軸２４に平行して光伝送路１２内に入射する。光線の一
部は光線４６で示されているように反射鏡１６によって
反射され、適切な屈折の後集光レンズ１４内に入射し、
その結果光軸２４に平行に再び退出する。このことは当
然遮断フィルタ３６によって透過された波長の光線のみ
に該当する。

【００２５】実施例において、反射器１６は金属部材と
して形成されており、したがって良好な熱伝送特性を有
する。これに替えて内側鏡面加工された合成材料を使用
し得ることは勿論であり、この際反射鏡を光源に向かっ
て拡がるよう円錐形に形成することが有効である。

【００２６】集光レンズ１４に替えて、別の形式に形成
された集光レンズまたは相応するレンズ・システムを使
用することも可能である。集光レンズは適切な方法によ
って遮断フィルタを備えており、これにより不要な波長
を有する光または電磁放射線が光伝送路１２内に進入す
ることが防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る光硬化装置の一部分であり、光伝
送路ならびに集光レンズを示した断面図である。

【符号の説明】

１０ 光硬化装置 １２ 光伝送路 １４ 集光レンズ １６ 反射器 １８ ケース部材 ２０，２２ 通気口 ２４ 光軸 ２６，２８ リブ ３０ 支持被覆 ３２ ソケット ３４ 光入射口 ３６ 遮断フィルタ ３８ 通風路 ４０ 環状支持部材 ４２ フランジ ４４，４６ 光線

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光源と、光入射口を有する光伝送管等の
   光伝送装置（１２）とを備え、光源と光入射口との間に
   集光レンズ（１４）を設けてなる特に照射によって硬化
   可能な歯科材料用の光硬化装置（１０）において、 特に手持ち型装置として構成され、集光レンズ（１４）
   がその表面に遮断フィルタ（３６）を備えることを特徴
   とする光硬化装置。
2. 【請求項２】 集光レンズ（１４）に遮断フィルタ（３
   ６）が蒸気溶着されることを特徴とする請求項１記載の
   光硬化装置。
3. 【請求項３】 集光レンズ（１４）が平凸レンズからな
   り、その凸面が光源に指向することを特徴とする請求項
   １または２記載の光硬化装置。
4. 【請求項４】 集光レンズ（１４）はその光源側の表面
   に遮断フィルタ（３６）を備えることを特徴とする請求
   項１ないし３のいずれかに記載の光硬化装置。
5. 【請求項５】 遮断フィルタ（３６）に接続して内側鏡
   面加工された反射器（１６）を設け、これが光源に向か
   って特に円錐形状に拡がることを特徴とする請求項１な
   いし４のいずれかに記載の光硬化装置。
6. 【請求項６】 集光レンズ（１４）が熱吸収性ガラスか
   らなることを特徴とする請求項１ないし５のいずれかに
   記載の光硬化装置。
7. 【請求項７】 集光レンズ（１４）が光伝送装置（１
   ２）から距離をおいて位置し、集光レンズ（１４）の焦
   点が光入射口（３４）と一致するかまたは光伝送装置
   （１２）内に位置することを特徴とする請求項１ないし
   ６のいずれかに記載の光硬化装置。
8. 【請求項８】 光源として寸法および入力電気エネルギ
   ーとの比較において高い発光量を有する、特にハロゲン
   反射ランプ等の小型ランプを使用することを特徴とする
   請求項１ないし７のいずれかに記載の光硬化装置。
9. 【請求項９】 集光レンズ（１４）がレンズ・システム
   の一部であり、特にこのレンズ・システムが凹凸レンズ
   または両凸レンズからも構成し得ることを特徴とする請
   求項１ないし８のいずれかに記載の光硬化装置。
10. 【請求項１０】 遮断フィルタ（３６）が一定の波長以
    下の光線を透過させ、特に赤外線領域の光線を遮断する
    ことを特徴とする請求項１ないし９のいずれかに記載の
    光硬化装置。
11. 【請求項１１】 遮断フィルタ（３６）が遮断する放射
    線に対する反射特性を備えることを特徴とする請求項１
    ないし１０のいずれかに記載の光硬化装置。