JP2994214B2 - セルロースアシレートフイルムの製造法 - Google Patents

セルロースアシレートフイルムの製造法

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JP2994214B2 JP24382494A JP24382494A JP2994214B2 JP 2994214 B2 JP2994214 B2 JP 2994214B2 JP 24382494 A JP24382494 A JP 24382494A JP 24382494 A JP24382494 A JP 24382494A JP 2994214 B2 JP2994214 B2 JP 2994214B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非ハロゲン溶媒を用い
たセルロースアシレートフイルムの製造法に関するもの
である。さらに詳しくは、環境汚染を引き起こさない非
ハロゲン系溶媒であるジオキソランを主体とするセルロ
ースアシレート溶液組成物から、表面性、透明性、均質
性に優れたフイルムのキャスティング法による製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテートは、写真用ベース
フイルム、包装用をはじめ種々の分野で重要な役割を果
している。また、近年は液晶表示装置等における偏光板
用保護フイルムとして実用化されている。セルロースア
セテートの性質は、重合度や酢化度によりかなり異な
る。一般に、酢化度や重合度が大きいほど機械的性質、
耐熱性、吸湿・寸法安定性の物性は優れているが、加工
性、溶解性が劣る。現在、高分子量セルローストリアセ
テートは唯一塩化メチレンにしか高濃度溶解しないとい
われ、塩化メチレン溶液からキャスト製膜されている。
しかしながら、近年、塩化メチレンは発ガン性を含む環
境汚染の観点から、使用禁止の動向にある。この問題
は、該溶媒が低沸点(沸点40℃)である点にも起因
し、製造過程で揮散することにより環境汚染を倍加して
いる。このような観点から、塩化メチレンに代わる溶媒
の出現が待たれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
従来技術に鑑み、非ハロゲン溶媒を用いたセルロースア
シレート溶液組成物からキャストすることにより表面
性、透明性、光学等方性に優れ、かつ残留溶媒の少ない
フイルムを製造することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、1,3―ジオキソ
ランがセルロースアセテートの良溶媒であり、高濃度に
溶解しても溶液(ドープ)安定性に優れており、この溶
液から容易に乾式製膜できることを見いだした。
【0005】1,3―ジオキソランはセルロースアセテ
ートフイルムの製膜に非常に優れた溶媒であるが、空気
に触れると過酸化物を生じやすい点が唯一の欠点であ
る。この点に関しても鋭意検討した結果、不活性ガス雰
囲気中で乾燥すれば過酸化物の生成を抑えることが出来
ることを見いだした。そして、驚くべきことに、1,3
―ジオキソランがその爆発限界下限の2.1%以上の高
濃度含まれていてもきわめて効率よく乾燥できることを
見いだし得、本発明に到達した。このことは、高濃度に
1,3―ジオキソランを含む雰囲気で乾燥することによ
り、簡単な方法で効率よく溶媒回収できることに相当す
る。
【0006】すなわち本発明は、1,3―ジオキソラン
を60重量%以上含有し、実質的に水を含まない溶媒2
0〜250重量部に対して、10重量部のセルロースア
シレートを溶解したセルロースアシレート溶液組成物を
支持基板上に流延あるいは押出し、これを加熱乾燥して
蒸発させることを特徴とするセルロースアシレートフイ
ルムの製造法である。
【0007】本発明において用いられるセルロースアシ
レートは、セルロースの水酸基の一部ないしは全部がア
シル化されたものの総称である。ここで、アシル基とし
て好適に用いられる基は、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基等の脂肪族アシル基、シクロヘキサンカ
ルボニル基等の脂環族アシル基等が挙げられる。より好
適にはアシル基がアセチル基、プロピオニル基、ブチリ
ル基に対応するセルロースアセテート、セルロースプロ
ピオネート、セルロースブチレートが挙げられ、最も好
適にはセルロースアセテートが挙げられる。また、アシ
ル基は単独でも二種以上でもよい。
【0008】かかるセルロースアシレートは、使用目的
により所望のアシル化率のセルロースジアシレートある
いはセルローストリアシレートを選択すればよいが、本
発明では繰り返し単位中平均2.0以上、好ましくは
2.2以上である。2.0未満では水酸基の割合が増す
に従って、溶解性が低下するために好ましくない。中で
もアシル化率2.8を越えるセルローストリアシレー
ト、特にセルローストリアセテートは、吸収性が低く機
械的強度に優れ、写真用フイルム、液晶表示に用いる偏
光板用保護膜等に好適である。なお、繰り返し単位中の
アシル基により置き換えられる水酸基の数は3個である
ために、アシル化率の上限は3.0である。
【0009】本発明において用いられるアシルセルロー
スの分子量は、0.5g/dlの1,3―ジオキソラン
溶液を用いて25℃で測定したηsp/cの値が0.3〜
10.0dl/g、好ましくは0.5〜8.0dl/g
の範囲のものが用いられる。これ以上では溶解性が低下
するばかりか、たとえ溶解しても低濃度で高溶液粘度に
なるために製膜の目的には好ましくない。
【0010】本発明において用いられる溶媒は実質的に
水を含まず、60重量%以上、好ましくは70重量%以
上がジオキソランであり、ジオキソラン単独溶媒でもよ
い。溶媒中に水が存在すると、表面が光学的に平滑なフ
イルムが得にくく、また、セルロースアシレートの水酸
基と水との相互作用のためにフイルムの十分な乾燥が行
われにくく好ましくない。40重量%以下で使用し得る
他の溶媒としては、効果を勘案して用いればよい。ここ
でいう効果とは、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で
溶媒を混合することによる、例えば表面性の改善(レベ
リング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化抑制効
果などである。これらの効果の度合いにより混合溶媒の
種類や添加量を決定すればよく、また混合する溶媒とし
て1種または2種以上用いてもよい。好適に用いられる
他の溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系
溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、
1,4―ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2―ジ
オキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等の脂肪族アルコール系溶媒、塩
化メチレン、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素系溶媒が挙げられる。
【0011】本発明における溶液組成物は、溶媒20〜
250重量部、好ましくは30〜200重量部に対し
て、セルロースアシレート10重量部を含有する。溶媒
量がこれを越える、すなわち溶液濃度が3.8重量%未
満になると、溶液の安定性は問題ないが、セルロースア
シレートの実行濃度が低いために乾燥工程で除去する溶
媒の量が多くなり経済的にも好ましくない。さらに、こ
の溶液組成物を用いて溶液流延法あるいは押出法で製膜
した場合、その分子量にもよるが、溶液粘度が低いため
に外部擾乱が起きやすく表面平滑性が得にくく好ましく
ない。逆に溶媒量がこれ未満では安定な流動性溶液が得
にくく好ましくない。これらの濃度は主として溶液の安
定性、溶液粘度を勘案して決定される。溶液組成物はそ
れの溶媒量がより好ましくは20〜120重量部、さら
に好ましくは30〜115重量部、さらにより好ましく
は40〜110重量部、特に好ましくは45〜105重
量部に対して、セルロースアシレート10重量部を含有
することが望ましい。
【0012】本発明においては1,3―ジオキソランを
主体とする溶媒にセルロースアシレートを溶解して得た
溶液組成物(ドープ)を支持基板上に流延した後、加熱
して溶液を蒸発させることによりフイルムを得る。工業
的連続製膜工程は一般にキャスト工程および乾燥工程か
らなる。キャスト工程はドープを平滑に流延する工程で
あり、乾燥工程は流延したドープから溶媒を蒸発除去す
る工程である。
【0013】キャスト工程では、ダイから押し出す方
法、ドクターブレードによる方法、リバースロールコー
ターによる方法等が用いられる。工業的にはダイからド
ープをベルト状もしくはドラム状の支持基板に連続的に
押し出す方法が最も一般的である。用いられる支持基板
としては特に限定はないが、ガラス基板、ステンレスや
フェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレー
ト等のプラスチック基板等が用いられる。しかし、本発
明の主眼となる高度に表面性の優れた均質膜を工業的に
得るには鏡面仕上げした金属基板が最も一般的に用いら
れる。
【0014】一般にドープから透明かつ平滑なフイルム
を製膜するにあたり溶液粘度は極めて重要な因子であ
る。溶液粘度は樹脂濃度、分子量および溶媒の種類に依
存するが、本発明に用いる溶液組成物の粘度は、500
〜50,000cps、好ましくは1,000〜20,
000cpsである。50,000cpsを越えると溶
液の流動性が下がるために平滑なフイルムが得られない
ことがある。また、500cps未満では流動性が高過
ぎ、外部擾乱のため表面の乱れが生じ、均質・平滑なフ
イルムが得られないことがある。
【0015】本発明においてキャスト温度は、好ましく
は10〜70℃、より好ましくは15〜50℃の範囲で
行われる。70℃を越えるとキャストと同時に溶媒の蒸
発に基づく発泡が起こるので好ましくない。また、10
℃未満では流延ドープが冷却されて粘度が上昇し、平滑
性が得にくいばかりか結露が生じるために好ましくな
い。
【0016】乾燥工程は、出来るだけ短時間に支持基板
上に流延されたドープから溶媒を蒸発除去して乾燥する
ことが望ましい。しかしながら、急激な蒸発が起こると
発泡による変形を受けるために、乾燥条件は慎重に選択
すべきである。
【0017】本発明における上記流延されたドープは、
好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜18
0℃の温度範囲で、好ましくは逐次的または連続的に加
熱乾燥を行うと、高度な平滑性を失うことなくフイルム
を得ることができる。
【0018】本発明によれば、上記乾燥工程は流延した
ドープから大部分の溶媒を、逐次的に、または連続的に
加熱し1回もしくは2回以上に分けて蒸発除去する初期
乾燥工程と、残りの溶媒を除去する後乾燥工程(熱処理
工程)に分けて実施することができる。
【0019】初期乾燥工程においては、30〜130
℃、好ましくは40〜120℃の範囲で乾燥される。こ
の際、この温度の範囲で逐次的または連続的乾燥を行う
ことにより、高度な平滑性を失わずに乾燥ができる。ま
た、乾燥を効率的に行うために、風を送ってもよい。一
般に風速は、1〜20m/秒、好ましくは2〜15m/
秒の範囲が用いられる。それ未満では効果が十分でな
く、逆にそれを越えると風の擾乱のために平滑面が得ら
れないために好ましくない。この際、乾燥工程の初期段
階では風速を抑え、逐次的ないしは連続的に風速を増す
方法が好ましく用いられる。
【0020】一方、この段階ではフイルムは基板上にあ
り、この工程の最後に基板から剥離される。その際の残
留溶媒量が高いとフイルムが柔らかいためにフイルム内
でポリマーの流動変形が起き、また残留溶媒量が低いと
基板との密着性が高いため応力歪みが生じることがあ
る。その残留溶媒量は好適には5〜30重量%、より好
適には10〜20重量%の範囲が選択される。乾燥時間
は乾燥条件および搬送速度に依存するが、一般には5分
〜1時間、好ましくは10分〜40分の範囲で行われ
る。
【0021】後乾燥工程(熱処理工程)においては、基
板から剥離したフイルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を
下げる。残留溶媒量は3重量%以下、好ましくは1重量
%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残
留溶媒が多いと、経時的に変形が起きたり、後加工工程
で熱がかかると寸法変化が起きる。この工程では、一般
にピンテンター方式やロール懸垂方式でフイルムを搬送
しながら乾燥する方式が採られる。この熱処理温度は1
00〜200℃、好ましくは100〜180℃の範囲で
行われる。この場合も乾燥工程で用いたように風を送る
とよい。熱処理の時間は条件や搬送速度に依存するが、
一般には5分〜1時間、好ましくは10分〜30分の範
囲で行われる。
【0022】本発明によれば、乾燥を行う際、好ましく
は初期乾燥工程における支持基板上に流延されたドープ
から大部分の溶媒を蒸発除去する際は、空気雰囲気中で
行ってもよいし、不活性ガス雰囲気中で乾燥してもよ
い。
【0023】不活性ガス雰囲気中の不活性ガスとして
は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガス
などの非酸化性、不燃ガスが挙げられる。その内、経済
性を考慮すると窒素ガス、炭酸ガスが好適に用いられ
る。
【0024】不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は好ましく
は10容量%以下、より好ましくは8容量以下、さらに
好ましくは5容量%以下である。酸素濃度が10容量%
より高い場合には爆発の可能性が高くなり好ましくな
い。酸素濃度は上記の条件を充足すればよく、技術的下
限はなく経済的に適宜決定すればよい。
【0025】上記不活性ガス雰囲気は、溶媒の蒸気濃度
が好ましくは3容量%以上、より好ましくは5容量%以
上含有することが望ましい。上限濃度は特に限定はない
が、乾燥温度に於ける飽和蒸気濃度の50%が好まし
い。それ以上では、乾燥速度が低下するために好ましく
ない。
【0026】このような濃度の溶媒蒸気を含む不活性ガ
スを冷却した凝縮器に導き不活性雰囲気中で該溶媒の回
収を行うことにより酸化されやすい1,3―ジオキソラ
ンを安定に回収することが出来る。
【0027】上記方法の実施に当たって通常の乾燥機の
空気導入部に流量調整装置を取り付けた窒素などの不活
性ガス源を連結し、排気口に冷却凝縮装置を接続するこ
とにより高濃度雰囲気から溶剤を回収することが可能で
ある。このような装置については既に技術的に整備され
ている(特公昭55―36389号公報、特公昭59―
21656号公報など)。
【0028】また、初期乾燥工程で大部分の溶媒が除去
されるために、後乾燥工程に相当する熱処理工程は、必
ずしも不活性ガス雰囲気で行う必要はなく、空気中で行
ってもよい。但し、熱処理工程は、たとえ不活性ガス雰
囲気中で行っても、雰囲気内の溶媒濃度は低い方がよい
ことは自明である。この工程は前記の熱処理工程に準じ
て行えばよい。
【0029】以上述べたように不活性雰囲気中での乾燥
では、爆発限界の懸念がないために、溶媒を高濃度含む
雰囲気で乾燥でき、単なる凝縮法により溶媒が回収でき
る。それに対して空気雰囲気中では、爆発限界以下の低
濃度溶媒雰囲気で乾燥をしなければならず、吸着法やガ
ス吸収法などの方法しか適用できないために溶媒の回
収、精製の点からも不利は免れ得ない。また、不活性ガ
ス雰囲気での乾燥では、溶媒の空気酸化が起こらないた
めに過酸化物の生成が抑えられて有利である。また、通
常溶媒蒸気の濃度は低い程乾燥が効率的に進行すると信
じられていたが、驚くべきことに本発明に於ける高溶媒
濃度の雰囲気でも乾燥が円滑に進行し、熱処理工程まで
含めたトータルの乾燥まで含めると空気中で低溶媒濃度
雰囲気の場合に劣らない速度で乾燥できることがわかっ
た。これは、高溶媒濃度不活性雰囲気中では初期段階に
おいて流延された溶液組成物表面の乾燥が抑えられ、表
面に皮膜層(スキン層)が形成しないため、その後の乾
燥過程および熱処理工程においてフイルム中の溶媒の拡
散が円滑に進行するためと推定される。
【0030】本発明では、支持基板上に流延したセルロ
ースアシレート溶液組成物を、初期乾燥工程において、
1回あるいは2回以上にわけて30〜130℃、好まし
くは40〜120℃の温度領域にて残留溶媒量が5〜3
0重量%、好ましくは10〜20重量%となるまで乾燥
し、次いで後乾燥工程において、そのフイルムを基板か
ら剥離した後、100〜200℃、好ましくは100〜
180℃にて、残留溶媒量が3重量%以下、好ましくは
1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下になる
まで乾燥を行うことが、光学的に表面性が高く、透明性
の良好なフイルムが得られるので望ましい。
【0031】より好ましくは、初期乾燥を不活性ガス雰
囲気中で、さらに好ましくは1,3―ジオキソランガス
を3容量%以上含有する不活性ガス雰囲気中で行うこと
が全体の乾燥時間が速く、安全性の面から、さらには溶
媒の回収の点からも望ましい。
【0032】本発明により得られるセルロースアシレー
トフイルムの厚みは、特には限定はないが一般には5〜
500μm、好ましくは10〜300μmの範囲であ
る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ジオキソランを主溶媒
として用いる高濃度溶液により、表面性、透明性、均一
性に優れ、かつ残留溶媒量が少ないセルロースアシレー
トフイルムを得ることが出来る。
【0034】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。但
し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】実施例中の物性は以下の方法で測定した。
【0036】透過率およびヘーズ値:島津製作所(株)
製紫外可視分光器(UV―240)を使用し測定した。 溶液粘度の測定:東京計器(株)B型粘度計BH型を使
用し25℃で測定した。 リターデーション:神崎製紙(株)製自動複屈折計(K
OBRA―21AD)を使用し590nmの可視光にお
ける複屈折値を測定した。 残存溶媒量:フイルム試料を150℃で16時間乾燥し
前後の重量測定から求めた。 過酸化物の定量: 1H―NMRにより定量した。
【0037】[実施例1]平均アセチル基導入率2.8
3個/繰り返し単位、ηSP/c=5.0dl/gのセル
ローストリアセテート10重量部を1,3―ジオキソラ
ン90重量部に攪拌しながら溶解し、透明粘ちょう溶液
を得た(濃度10重量%)。この溶液粘度は30℃で、
9.0×103 cpsであった。またこの溶液は、1週
間室温放置しても粘度の変化、白化等が起きず安定であ
った。
【0038】ドクターブレードを用いて該溶液をガラス
基板上にキャストし、風速2m/秒のオーブンで50℃
で5分、90℃で30分乾燥した。このフイルム中の残
留溶媒量は13重量%であった。このフイルムを基板か
らはがし、さらに150℃で10分加熱乾燥して膜厚6
2μmのフイルムを得た。このフイルムは透明、平滑で
あり、柚肌、波うち、発泡などは認められなかった。得
られたフイルムの引っ張り強度は10kg/mm2 、破
断伸度は32%、初期弾性率は310kg/mm2 であ
り、極めて丈夫であった。また、得られたフイルムの可
視光領域における透過率は90%であり、ヘイズ値は
0.6%であり光学的に透明であった。波長590nm
における位相差(リタデーション;Re=Δnd、Δn
は複屈折率、dは厚み)を求めたところ10nm以下で
あり、きわめて等方性が高かった。
【0039】[比較例1]実施例1の1,3―ジオキソ
ランに代えて1,4―ジオキサンを用いた。得られた溶
液の溶液粘度は3.9×104 cpsであり、ジオキソ
ラン溶液に比較して著しく高粘度であった。
【0040】[比較例2]実施例1の1,3―ジオキソ
ランに代えて1,2―ジクロロエタン、アセトン、酢酸
エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ニトロ
メタン、メチルエチルケトンを用いたがいずれも均一な
溶液は得られなかった。
【0041】[実施例2]平均アセチル基導入率2.4
個/繰り返し単位、ηSP/c=3.8dl/gのセルロ
ースジアセテート10重量部を1,3―ジオキソラン9
0重量部に攪拌しながら溶解し、透明粘ちょう溶液を得
た(濃度10重量%)。この溶液粘度は30℃で、5.
1×103 cpsであった。またこの溶液は、1週間室
温放置しても粘度の変化、白化等が起きず安定であっ
た。
【0042】ドクターブレードを用いて該溶液をガラス
基板上にキャストし、風速2m/秒のオーブンで50℃
で5分、90℃で30分、150℃で10分加熱乾燥し
て膜厚56μmのフイルムを得た。このフイルムは透
明、平滑であり、柚肌、波うち、発泡などは認められな
かった。得られたフイルムの引っ張り強度は7.9kg
/mm2 、破断伸度は28%であり極めて丈夫であっ
た。また、得られたフイルムの可視光領域における透過
率は91%であり、ヘイズ値は0.6%であり光学的に
透明であった。波長590nmにおける位相差を求めた
ところ10nm以下であり、きわめて等方性が高かっ
た。
【0043】[実施例3〜9]実施例1の1,3―ジオ
キソランに代えて、1,3―ジオキソランと各種溶媒
(20重量%)とからなる混合溶媒を用いて7種類の溶
液を調製した。いずれも均一溶液が得られた。得られた
溶液の性質を表1に示す。表1から明らかなように、溶
液はいずれも安定であった。また、これらの溶液から、
乾燥を表2に示す条件にした以外は実施例1と同様の方
法によりキャストしたフイルムはいずれも柚肌、波う
ち、発泡などが認められず透明、均一なフイルムが得ら
れた。また、透明性は極めて高く、かつ等方性も極めて
高かった。結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】[実施例10]ジオキソラン溶液からキャ
ストしたフイルムと比較的溶解力が高いことが知られて
いるジオキサンを用いた溶液からキャストしたフイルム
の残留溶媒の比較を行った。
【0047】実施例1のセルローストリアセテートのジ
オキソラン溶液から実施例1と同様の方法で残留溶媒量
が15重量%、膜厚80μmのフイルムを製膜した。同
様に実施例1で用いたセルロースアセテートの8重量%
ジオキサン溶液から残留溶媒約15重量%、膜厚82μ
mのフイルムを製膜した。これらのフイルムの無風条件
で120℃での乾燥曲線を調べた。結果を図1に示す。
図から明らかなように残留溶媒量はジオキソランから製
膜したフイルム(図1中曲線Aで示す)の方が、ジオキ
サンから製膜したフイルム(図1中曲線Bで示す)より
著しく低かった。この結果からも明らかなように、ジオ
キソランからキャストすることにより、低残留溶媒のフ
イルムが得られることが明らかになった。
【0048】[実施例11]実施例1のセルローストリ
アセテートの代わりに、セルロースプロピオネート(導
入率2.85個/繰り返し単位、ηSP/c=2.9dl
/g)を用いて15重量%溶液を得た。この溶液は安定
であった。この溶液から、実施例1の方法に準拠してキ
ャストした結果、透明かつ丈夫なフイルムを得た。得ら
れたフイルムは透過率91%、ヘイズ値1.0%であり
透明性は高かった。また、位相差は10nm以下であり
光学等方性も高かった。
【0049】[実施例12]実施例1のセルローストリ
アセテートの代わりに、セルロースブチレート(導入率
2.85個/繰り返し単位、ηSP/c=3.2dl/
g)を用いて15重量%溶液を得た。この溶液は安定で
あった。この溶液から、実施例1の方法に準拠してキャ
ストした結果、透明かつ丈夫なフイルムを得た。得られ
たフイルムは透過率91%、ヘイズ値0.8%であり透
明性は極めて高かった。また、位相差は10nm以下で
あり光学的等方性も高かった。
【0050】[実施例13]実施例1で用いたセルロー
ストリアセテートの1,3―ジオキソラン溶液を用い
て、ガラス基板上にキャストし、2種の乾燥条件、すな
わち空気雰囲気中、および1,3―ジオキソラン蒸気を
10容量%含有する窒素ガス雰囲気中(乾燥炉内)でお
のおの50℃で30分および90℃で15分乾燥し、そ
れぞれ残留溶媒を13.5重量%、および15重量%含
むフイルムを得た。
【0051】この2種類のフイルムをそれぞれ無風条件
(空気中)、120℃で乾燥させた。そのときの乾燥曲
線を図2に示す。図から明らかなように、1,3―ジオ
キソラン蒸気を含有する窒素ガス雰囲気中で乾燥させた
フイルム(図2中曲線Dで示す)の最終的な残留溶媒量
は、空気雰囲気中で乾燥して得たフイルム(図2中曲線
Cで示す)の最終的な残留溶媒量より少なかった。これ
は、1,3―ジオキソランを含む雰囲気中では、表面乾
燥が抑えられ、初期段階で表面に皮膜層(スキン層)を
形成しないために拡散が容易なったと推定される。この
事実から、1,3―ジオキソランを含有する窒素雰囲気
中で乾燥しても、効率よく乾燥できることが明らかにな
った。
【0052】また、得られたフイルムは透明、平滑であ
り、柚肌、波うち、発泡などは認められなかった。この
最終的に得られたフイルム中の残留溶媒量は0.5重量
%、フイルムの引っ張り強度は11kg/mm2 、破断
伸度は35%、初期弾性率は320kg/mm2 であり
きわめて丈夫であった。また、得られたフイルムの可視
光領域における透過率は91%、ヘイズ値は0.5%で
あり光学的に透明であった。波長590nmにおける位
相差(リタデーション)は10nm以下であり、きわめ
て等方性であった。
【0053】また、乾燥炉内の1,3―ジオキソランを
排出し、−70℃でトラップして、その中に含まれる過
酸化物を定量した。その結果、使用した1,3―ジオキ
ソラン中の過酸化物量は100ppmであったのに対し
て、回収1,3―ジオキソラン中の過酸化物量は104
ppmであり、殆ど過酸化物が生成していないことが明
らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例10に示すフイルムの乾燥曲線である。
【図2】実施例13に示すフイルムの乾燥曲線である。
【符号の説明】
A:ジオキソラン溶液から得られたフイルムの乾燥曲線
である。 B:ジオキサン溶液から得られたフイルムの乾燥曲線で
ある。 C:空気雰囲気中で乾燥して製膜したフイルムの乾燥曲
線である。 D:1,3―ジオキソランを10容量%含有する窒素ガ
ス雰囲気中で製膜したフイルムの乾燥曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 1:10 (56)参考文献 特開 平7−207519(JP,A) 特開 昭49−17377(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/18 B29C 41/12,41/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3―ジオキソランを60重量%以上
    含有し、実質的に水を含まない溶媒20〜250重量部
    に対して、10重量部のセルロースアシレートを溶解し
    たセルロースアシレート溶液組成物を支持基板上に流延
    し、これを乾燥させることを特徴とするセルロースアシ
    レートフイルムの製造法。
  2. 【請求項2】 1,3―ジオキソランを60重量%以上
    含有し、実質的に水を含まない溶媒20〜120重量部
    に対して、10重量部のセルロースアシレートを溶解す
    ることを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレー
    トフイルムの製造法。
  3. 【請求項3】 セルロースアシレートがセルロースアセ
    テートである請求項1記載のセルロースアシレートフイ
    ルムの製造法。
  4. 【請求項4】 セルロースアセテートがセルローストリ
    アセテートである請求項3記載のセルロースアシレート
    フイルムの製造法。
  5. 【請求項5】 乾燥を行うに際し、空気雰囲気中で実施
    することを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレ
    ートフイルムの製造法。
  6. 【請求項6】 乾燥を行うに際し、不活性ガス雰囲気中
    で実施することを特徴とする請求項1記載のセルロース
    アシレートフイルムの製造法。
  7. 【請求項7】 乾燥を行うに際し、流延したセルロース
    アシレート溶液組成物を30〜130℃の温度範囲にお
    いて残留溶媒量が5〜30重量%となるまで乾燥し、次
    いで支持基板からはがし、さらに100〜200℃の温
    度範囲において、残留溶媒量が3重量%以下になるまで
    乾燥することを特徴とする請求項1記載のセルロースア
    シレートフイルムの製造法。
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