JP2993700B2 - 細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合体の構造遺伝子,これを含むプラスミド及び形質転換した酢酸菌 - Google Patents

細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合体の構造遺伝子,これを含むプラスミド及び形質転換した酢酸菌

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アセトバクター属の微生物に由来する細胞
膜結合型アルコール脱水素酵素複合体の構造遺伝子、こ
れを含むプラスミドおよびその利用に関するものであ
る。
アセトバクター属に属する微生物の生産する細胞膜結
合型アルコール脱水素酵素は、アルコールを対応するア
ルデヒドに酸化する酵素である。該酵素は、酢酸発酵で
のエタノールから酢酸を生成する酸化発酵に関与してお
り、また、アルコールの定量に利用され、産業上有用な
酵素である。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、細胞膜結合型アルコール脱水素酵素(以下、AD
H)は、アセトアクター属やグルコノバクター属の微生
物を培養し、培養菌体から抽出精製され利用されてきた
(アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミ
ストリー、第42巻、第2045頁,1978年;同第42巻、第233
1頁,1978年)。
しかし、該酵素の精製のためには、複雑なカラムクロ
マトグラフィーによる分画を行わなければならず、多量
に調製することが困難であった。また、該酵素は不安定
であり、長期間保存することができず、利用上の問題点
となっていた。
これを解決する手段として、変異処理により、菌体中
の該酵素含量の高くなった変異株を取得することが考え
られるが、いまだ十分量の酵素含量に達している変異株
が取得されたとの報告はない。また、該酵素の遺伝子を
クローニングし、遺伝子組換え技術により、該酵素遺伝
子の数を増やしたり、発現量を高めることにより、目的
を達することも考えられる。この試みとして、アセトバ
クター・アセチK6033株のADH遺伝子がクローニングさ
れ、塩基配列が決定されている(ジャーナル・オブ・バ
クテリオロジー、第171巻、第3115頁、1989年)。この
研究は、遺伝子組替え技術により該酵素の生産性を向上
するのに有効なものと期待されるが、実際には該酵素遺
伝子を含むプラスミドを酢酸菌宿主に導入しても、もと
もと宿主が有する該酵素活性以上には向上しておらず、
実用的でない。
これは、クローニングされている遺伝子がADHを構成
するサブユニットのうち、分子量の大きい方のサブユニ
ットだけであることに起因するものと考えられる。従来
の精製された酢酸菌のADHは、いずれもチトクロームc
との複合体の形で精製されている。Matsushitaらは、チ
トクロームcの量によってアルコール脱水素酵素の活性
が影響を受けることを確認し、チトクロームcが単に夾
雑物として存在しているのではなく、ADHの第2成分と
して酵素活性の発現に関与していることを報告している
(アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミ
ストリー、第53巻き、第2895頁,1989年)。このことか
ら、アルコール脱水素酵素活性を向上させるためには、
分子量の大きなサブユニットと同時にチトクロームcの
サブユニットの量も増加させる必要があった。
また、クローン化したアセトバクター・アセチK6033
株の該酵素の性質を調べられておらず、K6033株の該酵
素の有用性については、不明である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上述した問題点を解決するために、既
に酵素学的にすぐれた性質を有していることが知られて
いるアセトバクター・アルトアセチゲネスによって生産
されるADHに注目した。そして該酵素生産菌のADHを構成
する2つの蛋白質(サブユニット)の構造遺伝子を単離
し、プラスミドに含ませることに成功した。
さらに、単離した遺伝子を含むプラスミドを用いるこ
とにより、該酵素の菌体内含量を高め、容易にADHを抽
出し、精製したり、酢酸発酵の効率を高めることができ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はアセトバクター・アルトアセチゲ
ネスに由来し、第1図の制限酵素地図で示される分子サ
イズ約7.0キロベースのADH複合体の構造遺伝子、該遺伝
子を含むプラスミド、該プラスミドによって形質転換さ
れたアセトバクター属またはグルコノバクター属の微生
物に関するものである。さらには、第3図の塩基配列を
有するADH複合体を構成する分子量約72,000の蛋白質の
構造遺伝子、該遺伝子を含むプラスミド、該プラスミド
によって形質転換されたアセトバクター属またはグルコ
ノバクター属の微生物に関するものである。また、第4
図の塩基配列を有するADH複合体を構成する分子量約44,
000の蛋白質の構造遺伝子、該遺伝子を含むプラスミ
ド、該プラスミドによって形質転換されたアセトバクタ
ー属またはグルコノバクター属の微生物に関するもので
ある。
本発明における細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複
合体は、特開昭63−12278号公報に記載されている極め
て安定性にすぐれた新規なアルコールデヒドロゲナーゼ
複合体を指し、分子量が約72,000と約44,000の2つの蛋
白質から構成されている。この酵素はアセトバクター・
アルトアセチゲネス MH−24(FERM BP−491)によって
生産される。
該酵素の構造遺伝子を含む遺伝子断片は、該酵素を生
産するアセトバクター属の微生物の保有する全DNAから
単離することができる。全DNAは例えば特開昭60−9489
号公報に開示された方法により調製することができる。
この全DNAから、例えば実施例1に示されているような
方法、すなわち該酵素のアミノ酸配列の一部を決定し、
決定したアミノ酸配列に対応する合成DNAを調製し、プ
ローブとして利用して目的の遺伝子をもつクローンを選
択する方法や該酵素に対する抗体を調製し、抗原抗体反
応を利用して目的とする遺伝子を持つクローンを選択す
る方法などにより、ADH複合体の構造遺伝子を含む遺伝
子断片を単離することができる。アミノ酸配列の決定
は、特開昭63−12278号公報に開示された方法により精
製されたアルコールデヒドロゲナーゼ複合体をSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動法により、2つのサブユ
ニットに分離後、各サブユニットに相当する蛋白質を電
気透析法等の常法によりゲルから抽出する。そして、そ
のままあるいはCNBrや切断部位の特異性の高いプロテア
ーゼ(ペプチダーゼ)で切断後、切断物をゲル濾過法な
どで分画して得られる分取物をアミノ酸シークエンサー
などを用いる通常の方法により、アミノ末端のアミノ酸
配列を決定できる。また、決定されたアミノ酸配列に対
応するDNAの合成は、常法に従えばよい。
さらに、該酵素に対する抗体は特開昭63−12278号公
報に開示された方法により精製されたアルコールデヒド
ロゲナーゼ複合体をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動法により、2つのサブユニットに分離後、各サブユ
ニットに相当する蛋白質を電気透析法等の常法によりゲ
ルから抽出し、これを抗原として用いて作成することが
できる。具体的には、例えば“Methods in Enzymology"
第73巻,第46頁(1981年)の方法にしたがって抗ADH抗
体を得ることができる。最初の免疫から約2週間後、2
回目の免疫を行うことにより、1ヶ月乃至1ヶ月半でAD
Hに特異的な抗体の生成が見られる。この抗体はを血清
を硫安分画などにより粗精製するか、さらにイオン交換
クロマトグラフィーにより精製度の高い標品とすること
ができるが、遺伝子の単離に用いる場合には、血清を適
宜希釈して使用することも可能である。
一方、全DNAを適当な制限酵素で切断したものと、適
当なベクターを全DNAと連結可能な制限酵素で切断した
ものをT4 DNAリガーゼにより連結し、その連結物を大腸
菌宿主に形質転換する。この場合のベクターとしては、
例えばpBR322やpUC18,pUC19のような一般に用いられる
大腸菌ベクターが上げられる。
大腸菌の形質転換は常法に従えばよい。得られた形質
転換株の中から、目的とする遺伝子を持つ株の検出は、
あらかじめ精製酵素を用いて決定されたアミノ酸配列を
もとに作製した合成DNAをプローブとして、通常のコロ
ニー・ハイブリダイゼーション法により、プローブと反
応性を示す株を選択することによってできる。
また、抗原抗体反応を利用する場合は、目的とする遺
伝子を持つ株の検出は、例えばジーン、第37巻,第267
頁(1985年)の方法に準じて行えばよい。すなわち、得
られた形質転換株の菌体破砕物を抗体と反応させ、特異
的な反応を示す株を検出することにより行うことができ
る。
上記の方法によって選択された株が目的とする遺伝子
全長を有する遺伝子断片を含むプラスミドを保有する場
合もあるが、遺伝子の一部しか有していない場合もあ
る。
一部の遺伝子しか有していない場合には、さらに得ら
れている遺伝子をプローブとしてサザン・ハイブリダイ
ゼーションなどの手法により、プローブと相同性を示す
断片を単離することによって遺伝子全長を得ることがで
きる。
得られた遺伝子の塩基配列の決定は、常法に従えばよ
く、例えばM13ファージを用いたジデオキシ法に従えば
よい。
このようにして単離したADH複合体の構造遺伝子を含
む遺伝子断片を用いて、ADH複合体またはADH複合体を構
成する蛋白質を生産するためには、通常該酵素遺伝子を
含む遺伝子断片と宿主内で機能するプロモーター活性を
もつ遺伝子とを発現可能な形で連結させる必要がある。
アセトバクター属やグルコノバクター属の微生物内でAD
H複合体蛋白を生成させるために用いるプロモーターと
しては、ADH複合体遺伝子本来のプロモーターも使用で
きるし、酢酸菌由来の他のプロモーター活性を持つ遺伝
子や酢酸菌で発現可能な大腸菌のプロモーターも使用で
きる。大腸菌プロモーターとしては、大腸菌プラスミド
pBR322のアンピシリン耐性遺伝子や大腸菌プラスミドpA
CYC177のカナマイシン耐性遺伝子、大腸菌プラスミドpA
CYC184のクロラムフェニコール耐性遺伝子,大腸菌のβ
−ガラクトシダーゼ遺伝子のプロモーターなどが使用で
きる。過剰量にADH複合体が生産されて宿主の生育等に
影響を及ぼす場合には、遺伝子の発現量をコントロール
するため、適当なプロモーターを選択する必要がある。
また、発現された場合、本来の分子量と大きさの異なる
蛋白の生成が見られる場合がある。これは他の蛋白が融
合した融合蛋白の形で宿主内で生産されているためであ
るが、酵素活性が発現できるような形で融合蛋白が生成
していれば、何ら差しつかえない。
また、酢酸菌内にADH複合体の製造遺伝子を含む遺伝
子断片を保持させるためのベクターとしては、例えば、
特開昭67−9488号公報に開示されているpTA5001(A),
pTA5001(B)や酢酸菌に導入可能な広宿主域ベクターR
P4::Mu,RP4,pRK2013,RSF1010などが利用できる。
ADHの活性発現には、実施例で示すように、ADH複合体
を構成する2つの蛋白質が効率よく、しかもバランスよ
く生産されることが必要である、通常は、ADH複合体の
構造遺伝子を含む遺伝子断片をそのまま用いて2つの蛋
白質を同等のレベルで発現させればよいが、酢酸菌によ
っては、もともとどちらか一方の蛋白質を充分に保有し
ていない場合もある。その場合には、2つの蛋白質をコ
ードする遺伝子部分を別々に調製し、遺伝子の発現を用
いるプロモーター活性を有する遺伝子をそれぞれ適当な
発現量となるように選択することが必要である。また、
発現量を制御する方法として、両遺伝子で使用するベク
ターを変え、該ベクターの酢酸菌内でのコピー数の違い
を利用することも可能である。
以上のようにして、ADH複合体の構造遺伝子を含むプ
ラスミドを単離することができる、形質転換した遺伝子
を発現することにより、ADH複合体を構成する蛋白質を
菌体内に著量生産させることができる。
ADH複合体を生産させる宿主として、大腸菌,枯草菌
など遺伝子組み換え技術が確立されている微生物を用い
ることもできるが、ADH複合体をもともと生産する能力
を有する酢酸菌、すなわちアセトバクター属およびグル
コノバクター属の微生物を用いる方が有利である。
ADHは、PQQを補欠分子族としてもっており、活性型の
酵素を生産させるためには、培地等にPQQを加えてADH複
合体蛋白質を生産させることもできるが、アグリカルチ
ュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー、第48
巻、第561頁(1984頁)に記載のごとく、大腸菌や枯草
菌のPQQ合成能は低く、酢酸菌の合成能力が高いことが
明らかになり、宿主がPQQ合成能を有している方が有利
である。
また、酢酸発酵においてADHは、エタノールをアセト
アルデヒドに酸化する反応を担っている。このため、酢
酸菌体内のADH複合体の量を高めることにより、酢酸発
酵の効率化が期待できる。この場合、ADHだけ過剰に発
現させると、エタノールの酸化物であるアセトアルデヒ
ドの濃度が高まり、高い細胞毒性をもつアセトアルデヒ
ドの影響で、酢酸菌にダメージを与える。このため、ア
セトアルデヒドの酸化酵素、すなわち細胞膜結合型アル
デヒド脱水素酵素の活性に見合う量にADH複合体遺伝子
の発現量を制御するか、あるいは特願昭63−52709号明
細書記載の細胞膜結合型アルデヒド脱水素酵素の構造遺
伝子を用いて、アルデヒド脱水素酵素量も同時に増加さ
せアセトアルデヒドが過剰に蓄積しないようにすること
が必要である。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例1 〔アミノ末端アミノ酸配列の決定と合成プローブの調
製〕 アセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(FERM B
P−491)株をグルコース3%,エタノール4%(V/
V),酢酸6%(V/V),酵母エキス(大五栄養化学株式
会社製)0.5%,ポリペプトン(大五栄養化学株式会社
製)0.2%を加えた培地で30℃にて振とう培養した。
培養後、遠心分離により菌体を得たのち、常法(特開
昭63−12278号公報に開示された方法)により、ADH複合
体10mgを得た。この複合体をSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動に供し、分子量約72,000の蛋白質と分子量
約44,000の蛋白質とに分離後、72,000の位置にある蛋白
質を常法によりゲルから溶出させ、以下の試験の標品と
した。
得られた標品1mgをリシルエンドペプチダーゼ(和光
純薬製)を用いて常法により分解し、分解物を島津製作
所製HPLC LC−4Aを用いて分画した。カラムは、Senshu
Pak.VP−304−1251(4.6φ×250mm)を用いアセトニト
リル−水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)0〜55%の直
接濃度勾配で溶出した。流速は1ml/分で室温で行った。
220nmの吸光度でモニターしたところ、11個のピークが
得られた。溶出順序で早い方から2番目,9番目および11
番目のピークを分取した。分取物約0.5mgをアプライド
・バイオシステム社製、気相アミノ酸シークエンサー47
0A型にかけ、アミノ末端アミノ酸配列を決定した。その
結果、9番目に溶出したペプチドの配列は、Thr−Gly−
Leu−Val−Tyr−Ile−Pro−Ala−Gln−Gln−Val−Pro−
Phe−Leu−Tyr−Thr−Asn−Gln−Val−Gly−Gly−Phe−
Tyr−Pro−His−Pro−Aspであった。11番目に溶出した
ペプチドの配列は、Leu−Ala−Trp−Tyr−Leu−Asp−Le
u−Asp−Thr−Asn−Arg−Gly−Gln−Glu−Gly−Thr−Pr
o−Leuであった。また、2番目に溶出してきたペプチド
のアミノ末端のアミノ酸配列は、Asn−Tyr−Val−Tyr−
Val−Asn−Trp−Ala−Ser−Gly−Leu−Asp−Proであっ
た。
リシルエンドペプチダーゼ処理しない分子量72,000の
蛋白質をそのままアミノ酸シークエンサーで分析したと
ころ、アミノ末端のアミノ酸配列は、Asp−Asp−Gly−G
ln−Glyであった。コドン利用を考慮し、上記アミノ酸
配列のうち9番目に溶出したペプチドのアミノ酸配列か
ら、Tyr−Ile−Pro−Ala−Gln−Gln−Val(配列1)とV
al−Ile−Ile−Gly−Asn−Gly(配列2)の2つの配列
を、また2番目に溶出したペプチドのアミノ酸配列の一
部、Try−Val−Tyr−Val−Asn−Trp−Ala(配列3)を
もとにして、このアミノ酸配列に対応するDNAをアプラ
イド・バイオシステム社製、DNAシンセサイザー381Aで
合成した。
配列1に対しては という20mer、64種からなるプローブ1を、配列2に対
しては という17mer、128種からなるプローブ2を合成した。ま
た、配列3については、相補鎖の配列である。
という20mer、128種のプローブ3を合成した。
〔ADH複合体を構成する分子量約72,000の蛋白質の構造
遺伝子の単離〕 上記と同様な方法で培養して得たアセトバクター・ア
ルトアセチゲネスMH−24の菌体から、常法(特開昭60−
9489に開示された方法)により全DNAを調製した。調製
した全DNAを制限酵素Pst IまたはSma I(宝酒造株式会
社製)で切断後、同じく制限酵素Pst IまたはSma Iで切
断し、次いで細菌性アルカリホスホリファターゼ(宝酒
造株式会社製)で脱リン酸化した大腸菌ベクターpUC18
(宝酒造株式会社製)とT4 DNAリガーゼ(宝酒造株式会
社製)を用いて連結した。連結反応液を大腸菌宿主E.co
li JM 109にHanahanの方法(“DNA cloning"第1巻,第
109頁,IRL Press(1985年))で形質転換した後、形質
転換株をアンピシリン30μg/mlの濃度で含むLB寒天培地
(“A Manual for Genetic Engineering"第201頁,Cold
Spring Harbor Laboratory,1980年)で選択した。
得られた組換え体約5,000株について、32Pでラベルし
た上記のプローブ2およびプローブ3を用いてコロニー
・ハイブリダイゼーション法(“A Manual for Genetic
Engineering"第312頁,Gold Spring Harbor Laborator
y,1980年)で両プローブとハイブリダイズするコロニー
を検出したところ、Pst Iでは3クローンが、またSma I
では2つのクローンがプローブ2および3にハイブリダ
イズした。また、これら5つのクローンはいずれもプロ
ーブ1ともハイブリダイズした。
Pst Iを使って得られた3クローンは、制限酵素解析
からいずれもpUC18のPst Iサイトに約7.0キロベースの
同じ断片を有していた。また、Sma Iの場合には、約4.5
キロベースの同じ断片を有していた。Pst Iで得られた
約7.0キロベースの断片はSma Iを使って得られた約4.5
キロベースの断片と約4.1キロベースの共通部分があっ
た。Pst Iを使って得られた1クローンの持つプラスミ
ド(pUC18と約7.0キロベースの挿入断片から構成される
キメラプラスミド、pADHP1と命名)は、E.coli JM 109
に形質転換され、E.coli ADHP−1菌株名で微工研にFER
M P−11278として寄託されている。約7.0キロベースの
挿入断片の制限酵素地図を常法にしたがい作成したとこ
ろ、第1図のようであった。また、Sma Iを使って得ら
れた1クローンのもつプラスミド(pUC18と約4.5キロベ
ースの挿入断片から構成されるキメラプラスミド、pADH
P1と命名)は、E.coli JM 109に形質転換され、E.coli
ADHS−1菌株名で微工研にFERMP−11201として寄託され
ている。約4.5キロベースの挿入断片の制限酵素地図を
常法にしたがい作成したところ、第2図のようであっ
た。
pADHS1の挿入断片についてM13ファージを用いジデオ
キシ法(Methods in Enzymology、第10巻、第20頁、Aca
demic Press,New York,1983年)によって塩基配列を決
定した。
決定した塩基配列をもとに翻訳可能領域を検索したと
ころ、第3図に示すようなATG翻訳開始コドンから翻訳
される2214塩基からなるアミノ酸738残基(分子量8083
9)をコードする翻訳可能領域が約4.5キロベースの大き
さのSma I断片と約7.0キロベースの大きさのPst I断片
の共通部分に見出された(第3図の塩基配列から決定さ
れたアミノ酸配列を第3図の塩基配列の下段に示し
た)。第3図の塩基配列で示されるポリペプチドが、本
発明の細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合体を構成
する分子量72,000の蛋白質と一致することは、精製した
本発明の細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合体を構
成する分子量約72,000の蛋白質を上記の方法によって決
定したリシルエンドペプチダーゼ分解物の3つのペプチ
ドのアミノ末端のアミノ酸配列と完全に一致した配列が
見出されたことから確認された。すなわち、9番目に溶
出してきたペプチドのアミノ末端側アミノ酸配列27個と
塩基配列から見出されたアミノ末端側から442番目以降
の27個の配列と一致した。また、11番目に溶出してきた
ペプチドのアミノ末端側アミノ酸配列18個と塩基配列か
ら見出された84番目以降の18個の配列と、また2番目に
溶出してきたペプチドのアミノ末端アミノ酸配列とは、
塩基配列から見出された389番目以降の13個の配列と一
致した。
また、精製蛋白質のアミノ末端側の配列(Asp−Asp−
Gly−Gln−Gly)は、塩基配列から見出されたアミノ末
端側から第36番目以降のアミノ酸配列と完全に一致する
ことから、塩基配列から見出されたアミノ末端側から第
35番目までのアミノ酸配列は、分子量約72,000の蛋白質
の分泌に関与する領域と推定された。なお、アセトバク
ター・アセチ K 6003株のADH遺伝子とのアミノ酸配列の
相同性は約77%であった。
〔抗ADH抗体の調製法〕
アセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(FERM B
P−49)株をグルコース3%,エタノール4%(V/V),
酢酸6%(W/V),酵母エキス(大五栄養化学株式会社
製)0.5%,ポリペプトン(大五栄養化学株式会社製)
0.2%を加えた培地で30℃にて振とう培養した。培養
後、遠心分離により菌体を得、次いで常法(特開昭63−
12278号公報に開示された方法)により、ADH複合体4mg
を得た。この複合体をSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動に供し、分子量約72,000の蛋白質と分子量約44,0
00の蛋白質とに分離後、それぞれの蛋白質を常法により
ゲルから溶出させ、以下の実験の標品とした。
得られた標品各0.1mgを完全にフロインドのアジュバ
ンドと共にウサギの皮下に注射した。約2週間後、さら
に0.1mgの標品を注射した。最初の注射から1ヵ月後、
ウサギの血液を耳から抜き取り、遠心分離して得た血清
と両蛋白質との反応性を見たところ、沈降反応が認めら
れ、またSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、ア
セトバクター・アルトアセチゲネスMH−24およびE.coli
JM109の無細胞抽出液を用いてウエスタンブロッティン
グ法にて、その特異性を調べたところ、目的蛋白質以外
の蛋白質との反応性はほとんど見られず、特異性の高い
抗体が生産されていた。
〔ADH複合体の構造遺伝子全長を含む遺伝子断片の単離〕
上記の方法で得たADH複合体を構成する分子量約72,00
0の蛋白質の構造遺伝子を含む約7.0キロベースの大きさ
のPst I断片と約4.5キロベースの大きさのSma I断片を
大腸菌ベクターpUC18のPst IサイトまたはSma Iサイト
にそれぞれ常法によって連結した。連結したキメラプラ
スミドをE.coli JM109に常法にしたがい形質転換し、キ
メラプラスミドを保有する形質転換を得た。この形質転
換から保有するプラスミドを常法にしたがい調製し、制
限酵素で解析した。
制限酵素解析により、大腸菌ベクターpUC18のlacプロ
モータの転写方向とADH複合体を構成する分子量約72,00
0の蛋白質の構造遺伝子を転写方向が同じ向きになるよ
うにPst I断片またはSma I断片が挿入されているキメラ
プラスミドを選択した。これらのプラスミドを保有する
形質転換株をLB培地にアンピシリン30μg/ml,イソプロ
ピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)1mMを加え
た液体培地で37℃にて8時間培養し、得られた菌体を超
音波破砕した。この菌体破砕液をSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動に供し、ウエスタン法(アナル・バイ
オケム、第12巻,第195頁(1981年))で上記のADH複合
体を構成する2つの蛋白質に特異的に反応する抗体を用
いて該抗体と反応する蛋白質の分子量を調べた。分子量
約72,000の蛋白質に対する抗体を用いて検出したとこ
ろ、Pst I断片を保有する場合およびSma I断片を保有す
る場合のいずれも分子量約72,000の大きさの蛋白質との
反応が認められた。また、対照として用いたベクターpU
C18のみを保有する形質転換株では抗体と反応する蛋白
質は検出されなかった。このことから、Pst I断片およ
びSma I断片上に分子量約72,000の蛋白質の構造遺伝子
が存在することが確認された。
一方、分子量約44,000の蛋白質に対する抗体を用いて
検出したところ、対照として用いたベクターpUC18のみ
を保有する形質転換株では抗体と反応する蛋白質は認め
られなかったが、Sma I断片が挿入されているプラスミ
ドを保有する形質転換株では、分子量約24,000の蛋白質
との反応が、またPst I断片が挿入されているプラスミ
ドを保有する形質転換株では、分子量約44,000の蛋白質
との反応が認められた。これに対し、IPTGを加えない液
体培地で培養した菌体では、抗体と反応する分子量約4
4,000の蛋白質は検出されなかった。
これらの結果は、Pst I断片上にチトクロムcである
分子量約44,000の蛋白質をコードする構造遺伝子が存在
すること、その転写方向は分子量約72,000の蛋白質と同
方向であることを示している。また、分子量が約44,000
であることから、この蛋白質をコードするのに必要な構
造遺伝子領域は、およそ1.2キロベースと推定され、抗
体と反応する蛋白質の大きさを考慮すると、分子量約4
4,000のチトクロムcの構造遺伝子は分子量約72,000の
蛋白質の構造遺伝子のすぐ下流に存在し、1つの単位を
なして転写され、発現していると推定された。
以下の結果から、第1図に示した制限酵素地図のPst
Iで切断される遺伝子断片上にADH複合体を構成する分子
量約72,000の蛋白質と分子量約44,000の蛋白質の構造遺
伝子が存在することが確認された。
実施例2 〔ADH複合体の製造遺伝子を含む遺伝子断片の酢酸菌宿
主への形質転換〕 実施例1で単離したADH複合体を構成する分子量約72,
000の蛋白質の構造遺伝子を含むSma I断片(約4.5キロ
ベース)とpUC18とのキメラプラスミドpADHS1をE.coli
ADHS−1から常法により抽出し、精製DNAを得た。このD
NA 1μgをSac Iで切断し、T4 DNAポリメラーゼで切断
末端を平滑化した。一方、アセトバクター・アセチNo.1
023[FERM BP−2287(FERM P−7122)]からアグリカル
チュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー、第
49巻、第1011頁(1985年)に記載の方法に従い、pTA500
1と命名されたプラスミドを調製した(pTA5001はアグリ
カルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリ
ー、第49巻、第1011頁(1985年)に記載されている。pT
A5001は分子量が23.5キロベースのpTA5001Aと23キロー
ベースのpTA5001Bの2つのプラスミドの混在体であ
る。)。このプラスミドDNA 5μgををXho Iで切断し、
T4 DNAポリメラーゼで切断末端を平滑化した。
上記のようにして調製したpADHS1とpTA5001の切断DNA
をT4 DNAリガーゼにより連結し、連結物を得た後、アセ
トバクター・アセチNo.1023から自然変異により取得し
たADH活性を欠失した変異株10−80にアグリカルチュラ
ル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー、第49巻、
第2091頁(1985年)に記載の方法に従い、形質転換し
た。形質転換株は、アンピシリン50μg/mlを含むTPG寒
天培地(グリコース3%、酵母エキス0.5%、ポリペプ
チド0.2%、寒天2%、pH6.5)で選択した。選択培地に
生育した10株のアンピシリン耐性株のプラスミドをアグ
リカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリ
ー、第49巻、第2083頁(1985年)の方法に準じて調べ
た。その結果、導入されたプラスミドの大きさは、いず
れも約31キロベースで、制限酵素解析により、すべてpU
C18とADH複合体を構成する分子量約72,000の蛋白質の構
造遺伝子を含む4.5キロベースのSma I断片とpTA5001の
3者のキメラプラスミドであった。このキメラプラスミ
ドをpMADHS1を命名した。
pADHS1と同様にpADHP1をSac Iで切断し、pADHS1の場
合と同じ方法により、実施例で単離したプラスミドpADH
1とpTA5001のキメラプラスミドを調製し、同様にしてア
セトバクター・アセチNo.1023の変異株10−80に形質転
換し、キメラプラスミド(pMADHP1と命名)を保有する
形質転換株を得た。
〔酢酸菌形質転換株の性質〕
上記で得られたアセトバクター・アセチNo.1023の変
異株10−80の2種の形質転換株についてADHの酵素活性
を調べた。まず、YPG液体培地(上記YPG寒天培地から寒
天を除いた組成の培地)に30μg/mlの濃度でアンピシリ
ンを加え、30℃で36時間振とう培養した。培養後、集菌
し、マクイルバインバッファー(pH6.0)に菌体を懸濁
し、フレンチ・プレスで菌体を破砕した。破砕液から上
澄液についてアグリカルチュラル・アンド・バイオロジ
カル・ケミストリー、第49巻、第2045頁(1978年)に準
じてADH活性を測定した。同時に、アグリカルチュラル
・アンド・バイオロジカル・ケミストリー、第44巻き、
第503頁(1980年)に準じてアルデヒド脱水素酵素(ALD
H)活性も測定した。これらの結果を第1表に示した。
アセトバクター・アセチNo.1023から取得した変異株1
0−80はADH活性を特異的に欠失している株である。この
株の分子量約72,000の蛋白質をコードする構造遺伝子の
みを含むプラスミドpMADHS1を保有する形質転換株は、
依然としてADH活性を示さなかった。一方、分子量約44,
000の蛋白質をコードする遺伝子を同時に含むプラスミ
ドpMADHP1を保有する形質転換株では、ADH活性の回復が
認められた。このことから、ADH活性の発現にはADH複合
体を構成する分子量約72,000と分子量約44,00の2つの
蛋白質の存在が必要であることが示された。
また、キメラプラスミドを持たない親株の比活性が0.
28(ユニット/mg蛋白)であるのに対し、形質転換では
0.40であり、約1.4倍の活性の上昇が見られた。
上記のごとく、酢酸菌をADH複合体の構造遺伝子を含
む遺伝子で形質転換することにより、活性を持ったADH
の菌体含量を高めることができる。
実施例3 〔ADH複合体を構成する分子量約44,000の蛋白質の構造
遺伝子の塩基配列の決定〕 実施例1の結果から、分子量約44,000の蛋白質をコー
ドする構造遺伝子、分子量約72,000の構造遺伝子のすぐ
下流に存在することが明らかになった。そこで、第1図
に制限酵素地図を示したpADHP1の挿入断片の分子量約7
2,000の構造遺伝子の下流の領域を含む断片(第1図の
制限酵素地図の左のCla Iサイトから右のBamH Iサイト
まで)約2.8キロベースについてM13を用いてジデオキシ
法(Methods in Enzymology、第10巻、第20頁、Academi
c Press、New York、1983年)によって塩基配列を決定
した。
決定した塩基配列をもとに第3図に示した塩基配列の
下流にある分子量約44,000の蛋白質をコードすることの
できる翻訳可能領域を検索したところ、第3図の塩基配
列の停止コドンの下流53ベースにある第4図に塩基配列
を示すような翻訳開始コドンATGから始まる1404塩基か
らなるアミノ酸468残基(分子量49757)の蛋白質をコー
ドできる翻訳可能領域が見出された(第4図の塩基配列
から決定されたアミノ酸配列を第4図の塩基配列の下段
に示した。)。第4図の塩基配列で示されるポリペプチ
ドが、本発明の細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合
体を構成する分子量約44,000の蛋白質と一致することを
確認するため、実施例1に示した方法と同様にして細胞
膜結合型アルコール脱水素酵素複合体から分子量約44,0
00の蛋白質を単離し、リシルエンドペプチダーゼを作用
させ、得られた分解物を分画して得たペプチドのアミノ
末端のアミノ酸配列を決定した。決定されたアミノ酸配
列と同一なアミノ酸配列が、第4図に示した配列に存在
することにより確認した。すなわち、実施例1に示した
方法と同様な方法で単離した分子量約44,000の蛋白質の
リシルエンドペプチダーゼを作用させ、得られた分解物
を実施例1のようにしてHPLCで分画し、溶出してきたペ
プチドのうち、溶出順序の早い方から1番目と4番めの
ペプチドを分取した。分取物約0.1mgを用いてアミノ末
端のアミノ酸配列を実施例1と同様にして決定した。そ
の結果、1番目に溶出したペプチドのアミノ末端のアミ
ノ酸配列はAsp−Phe−Tyr−Pro−Ala−Proと、また4番
目に溶出したペプチドのアミノ末端のアミノ酸配列はSe
r−Leu−Ser−Ala−Glu−Gluと決定された。
これらの配列は、第4図の下段に示すアミノ酸配列の
うち、アミノ末端から169番目以降の配列および390番目
以降の配列と一致しており、第4図に塩基配列を示す遺
伝子が、ADH複合体を構成する分子量約44,000の蛋白質
の構造遺伝子であることが確認された。
〔発明の効果〕
本発明により、アセトバクター・アルトアセチゲネス
に代表される一群のアセトバクター属の微生物により生
産されるADH複合体の構造遺伝子が単離され、これをプ
ラスミドに含ませることに成功した。さらに、このプラ
スミドにより形質転換した酢酸菌を用いることにより酢
酸発酵の効率を高めることが出来るほか、該酢酸菌から
容易にADH複合体を抽出、精製してこの酵素をアルコー
ルの定量などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、Pst Iを用いて単離した細胞膜結合型アルコ
ール脱水素酵素複合体の構造遺伝子の制限酵素地図であ
り、第2図は、Sma Iを用いて単離した細胞膜結合型ア
ルコール脱水素酵素複合体を構成する分子量約72,000の
蛋白質の構造遺伝子の制限酵素地図である。 第3図は、上段は細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複
合体を構成する分子量約72,000の蛋白質の構造遺伝子の
塩基配列を示す図で、下段は細胞膜結合型アルコール脱
水素酵素の構造遺伝子の塩基配列から決定されたアミノ
酸配列を示す図である。 第4図は、上段は細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複
合体を構成する分子量約44,000の蛋白質の構造遺伝子の
塩基配列を示す図で、下段は細胞膜結合型アルコール脱
水素酵素の構造遺伝子の塩基配列から決定されたアミノ
酸配列を示す図である。アミノ酸配列における略記号の
意味は次のとおりである。 Met……メチオニン、Ala……アラニン Arg……アルギニン、Asn……アスパラギン Asp……アスパラギン酸、Cys……システイン Gln……グルタミン、Glu……グルタミン酸 Gly……グリシン、His……ヒスチジン Ile……イソロイシン、Leu……ロイシン Lys……リシン、Phe……フェニルアラニン Pro……プロリン、Ser……セリン Thr……スレオニン、Trp……トリプトファン Tyr……チロシン、Val……バリン
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:01) (72)発明者 川村 吉也 愛知県江南市古知野町古渡132 (56)参考文献 特開 昭63−12278(JP,A) J.Bacteriol.,Vol. 171,No.6(1989)p.2115−2122 Agric.Biol.Chem., Vol.53,No.11(1989)p.2895 −2902 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/53 C12N 9/04 CA(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記の制限酵素地図に示される分子サイズ約7.0
    キロベースの細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合体
    の構造遺伝子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の細胞膜結合型アルコール脱
    水素酵素複合体が分子量約72,000および約44,000の蛋白
    質である請求項1記載の構造遺伝子。
  3. 【請求項3】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記の塩基配列を有する細胞膜結合型アルコール
    脱水素酵素複合体を構成する分子量約72,000の蛋白質の
    構造遺伝子。
  4. 【請求項4】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記の塩基配列を有する細胞膜結合型アルコール
    脱水素酵素複合体を構成する分子量約44,000の蛋白質の
    構造遺伝子。
  5. 【請求項5】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記のアミノ酸配列を有する細胞膜結合型アルコ
    ール脱水素酵素複合体を構成する分子量約72,000の蛋白
    質の構造遺伝子。
  6. 【請求項6】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記のアミノ酸配列を有する細胞膜結合型アルコ
    ール脱水素酵素複合体を構成する分子量約44,000の蛋白
    質の構造遺伝子。
  7. 【請求項7】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記の制限酵素地図に示される分子サイズ約7.0
    キロベースの細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合体
    の構造遺伝子を含むプラスミド。
  8. 【請求項8】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記のアミノ酸配列を有する細胞膜結合型アルコ
    ール脱水素酵素複合体を構成する分子量約72,000の蛋白
    質の構造遺伝子を含むプラスミド。
  9. 【請求項9】アセトバクター・アルトアセチゲネスに由
    来し、下記のアミノ酸配列を有する細胞膜結合型アルコ
    ール脱水素酵素複合体を構成する分子量約44,000の蛋白
    質の構造遺伝子を含むプラスミド。
  10. 【請求項10】アセトバクター・アルトアセチゲネスに
    由来し、下記の制限酵素地図に示される分子サイズ約7.
    0キロベースの細胞膜結合型アルコール脱水素酵素複合
    体の構造遺伝子を含むプラスミドによって形質転換した
    アセトバクター属またはグルコノバクター属の酢酸菌。
  11. 【請求項11】アセトバクター・アルトアセチゲネスに
    由来し、下記のアミン酸配列を有する細胞膜結合型アル
    コール脱水素酵素複合体を構成する分子量約72,000の蛋
    白質の構造遺伝子を含むプラスミドによって形質転換し
    たアセトバクター属またはグルコノバクター属の酢酸
    菌。
  12. 【請求項12】アセトバクター・アルトアセチゲネスに
    由来し、下記のアミノ酸配列を有する細胞膜結合型アル
    コール脱水素酵素複合体を構成する分子量約44,000の蛋
    白質の構造遺伝子を含むプラスミドによって形質転換し
    たアセトバクター属またはグルコノバクター属の酢酸
    菌。
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