JP2992820B1 - 透明電磁波シールドフイルム - Google Patents

透明電磁波シールドフイルム

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JP2992820B1
JP2992820B1 JP10281925A JP28192598A JP2992820B1 JP 2992820 B1 JP2992820 B1 JP 2992820B1 JP 10281925 A JP10281925 A JP 10281925A JP 28192598 A JP28192598 A JP 28192598A JP 2992820 B1 JP2992820 B1 JP 2992820B1
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Abstract

【要約】 【課題】電磁波シールド効果及び赤外線カット効果が顕
著であり、耐蝕性に非常に優れていて電磁波シールド効
果、透明性、及び赤外線カット効果を経時的に十分に維
持することができる透明電磁波シールドフイルムを提供
する。 【解決手段】透明プラスチックフイルムの上に透明高屈
折率薄膜Aを形成し、該透明高屈折率薄膜Aの上に金属
薄膜を形成し、該金属薄膜の上に透明高屈折率薄膜Bを
形成してなる透明電磁波シールドフイルムにおいて、透
明高屈折率薄膜A及びBとして酸化セリウム(IV)薄膜
A及びBを使用し、金属薄膜として銀薄膜を使用したこ
とを特徴とする透明電磁波シールドフイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明電磁波シール
ドフイルムに係り、詳細には、電磁波をシールドするこ
とから例えば電磁波を放出するCRT、プラズマディス
プレイ等の表示画面に使用すると特に有益であるととも
に、熱線すなわち赤外線をカットするので太陽光等の光
線調整フイルムとして使用しても非常に有益な透明電磁
波シールドフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】CRT、プラズマディスプレイ等から放
出される電磁波をシールドするための透明電磁波シール
ドフイルムとして従来次のものが知られている。 金、銀、銅、パラジウム等の金属薄膜をプラスチッ
クフイルム上に形成したもの。 酸化インジウム、酸化錫、ヨウ化銅等の化合物半導
体膜をプラスチックフイルム上に形成したもの。 金、銀、銅、パラジウム等の金属薄膜の両面に透明
高屈折率薄膜を形成したもの、例えばSi/Ag/Si
Oの構成のものを、プラスチックフイルム上に形成した
もの。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
のものは、金属が広い波長領域にわたり反射性又は吸収
性が高いため、可視光線透過率の高いものが得られ難い
ので透明性が十分でない。可視光線透過率を高めて透明
性が十分なものを得るために金属薄膜の膜厚を薄くする
と、表面の電気抵抗値が高くなるとともに赤外線反射性
が著しく低下するので電磁波シールド、赤外線カットが
不十分となる。逆に、表面の電気抵抗値が低くて電磁波
シールドが十分であるとともに赤外線反射性が高くて赤
外線カットが十分なものを得るために金属薄膜の膜厚を
厚くすると、可視光線透過率が著しく低下するのであ
る。
【0004】また、上記のものは、化合物半導体膜が
例えば真空蒸着法、スパッタリング法等の真空中におけ
る薄膜形成法で形成されるが、真空中で化合物が蒸発す
ると蒸発化合物の分解にともなう問題があり、例えば、
膜の特性を均一に制御するためには膜の形成速度を実際
上非常に遅くしなければならない、あるいは、蒸発源の
大きさが制限される、さらには、比較的大きな面積のプ
ラスチックフイルムへの適用が容易でない、等々の問題
があるので、工業生産性に欠け、安価な製品を製造する
ことが非常に難しい。
【0005】さらに、上記のものは、上記及びの
もののような欠点はそれ程問題にはならない。しかし、
Agは可視光線領域における透明性及び赤外線に対する
反射性が特に優れていること、及び電気抵抗値が低いこ
と等の利点はあるが、上記したSiやSiO等の透明高
屈折率薄膜によりいわばサンドイッチされたAg薄膜は
熱、光、ガス等により経時的に性能の劣化が生じ、環境
安定性において問題があった。この劣化の原因の多くは
環境因子によるAgの表面拡散によるため、この改善は
非常に重要な問題となっていた。また、上記のものは
具体的にはプラスチックフイルム/アンカーコート層/
厚さ約50ÅのSi薄膜/厚さ約200ÅのAg薄膜/
厚さ約150ÅのSiO薄膜/トップコート層という構
成であるが、トップコート層(及びアンカーコート層)
があるにもかかわらず耐蝕性が弱い。そして、耐蝕性向
上のためトップコート層を二層にすると反射率が高くな
りギラツキの問題が生じるばかりでなく、表面の電気抵
抗値が高くなってアースがとれなくなるので実用上問題
がある。さらに、Bi2 3 /Au/Bi2 3 、Zn
S/Ag/ZnS、又はTiO2 /Ag/TiO2 等を
使用する構成のものも提案されているが、上記のもの
以上の性能を有するものではない。本発明は上記のも
のの欠点を除去するとともに、電磁波シールド効果及び
赤外線カット効果が顕著であり、耐蝕性に非常に優れて
いて電磁波シールド効果、透明性、及び赤外線カット効
果を経時的に十分に維持することができる透明電磁波シ
ールドフイルムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明プラスチ
ックフイルムの上に透明高屈折率薄膜Aを形成し、該透
明高屈折率薄膜Aの上に金属薄膜を形成し、該金属薄膜
の上に透明高屈折率薄膜Bを形成してなる透明電磁波シ
ールドフイルムにおいて、透明高屈折率薄膜A及びBと
して酸化セリウム(IV)薄膜A及びBを使用し、金属薄
膜として銀薄膜を使用したことを特徴とする透明電磁波
シールドフイルムである。本発明は、銀薄膜を透明高屈
折率薄膜である酸化セリウム(IV)薄膜A及びBでサン
ドイッチするものであり、これにより銀薄膜の耐蝕性が
向上する。また、酸化セリウム(IV)薄膜A及びBを使
用することで、従来のSi薄膜やSiO薄膜を使用して
いたものに比べて、表面の電気抵抗値が低くなるので電
磁波シールド効果が向上し、赤外線透過率が低くなるの
で赤外線カット効果が向上するものである。従って、酸
化セリウム(IV)薄膜A及びBを使用することで、電磁
波シールド効果及び赤外線カット効果が優れており、し
かも、耐蝕性に非常に優れており、電磁波シールド効
果、透明性、及び赤外線カット効果を経時的に十分に維
持することができる。
【0007】酸化セリウム(IV)薄膜A及びBは、スパ
ッタリング法、電子ビーム蒸着法等で形成することがで
きる。また、酸化セリウム(IV)薄膜A及びBは、金属
セリウムを酸素雰囲気中で真空蒸着して形成することも
できる。すなわち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式などで
酸素ガスを導入しつつ真空蒸着して形成できる。酸化セ
リウム(IV)薄膜A及びBの厚さは50〜400Å、好
ましくは100〜300Åである。酸化セリウム(IV)
薄膜Aと酸化セリウム(IV)薄膜Bとは、厚さが同じで
もよいが、50〜400Å、好ましくは100〜300
Åである限り、厚さが異なっていてもよい。銀薄膜は、
真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、等
の従来公知の薄膜生成法で形成できる。銀薄膜の厚さは
100〜300Å、好ましくは200Åである。
【0008】プラスチックフイルムと酸化セリウム(I
V)薄膜Aとの間にはアンカーコート層があってもよ
い。また、酸化セリウム(IV)薄膜Bの上にはトップコ
ート層があってもよい。アンカーコート層やトップコー
ト層があると、耐蝕性がより良好となるものである。ま
た、酸化セリウム(IV)薄膜Bの上に更に銀薄膜と酸化
セリウム(IV)薄膜Bとを順次形成してもよく、さら
に、その上からトップコート層を形成してもよく、これ
らのものもすべて本発明に含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】プラスチックフイルムとしては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、アクリル、塩酢ビ、メラミン、ノルボルネン系樹
脂、トリアセチルセルローズ、等の従来知られている各
種のプラスチックからなるフイルムが使用できるが、作
業性、強度等からポリエチレンテレフタレートフイルム
が好ましい。プラスチックフイルムの厚さは9〜180
μmであり、好ましくは25〜100μmである。プラ
スチックフイルムが9μmより薄いと全体の強度が保た
れず、180μmより厚いとコストが高くなる。また、
プラスチックフイルムは光線透過率が大体90%程度以
上のものが好ましいが、目的によっては、透明であれば
これより低い光線透過率のものであってもよい。
【0010】プラスチックフイルムと酸化セリウム(I
V)薄膜Aとの間にアンカーコート層を形成する場合
は、酸化セリウム(IV)薄膜Aをプラスチックフイルム
上に形成する前に、プラスチックフイルム上にアンカー
コート層を形成し、該アンカーコート層上から酸化セリ
ウム(IV)薄膜Aを形成する。アンカーコート層を形成
した場合には、後に形成される酸化セリウム(IV)薄膜
A及び銀薄膜の耐蝕性がより良好になる。アンカーコー
ト層は、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩酢
ビ、メラミン等の従来一般的に公知の各種の樹脂を、グ
ラビアコーティング法、リバースコーティング法等の従
来公知のコーティング法で形成することができる。アン
カーコート層に使用する樹脂は好ましくはポリエチレン
テレフタレートである。アンカーコート層の厚さは、
0.01〜1.0μm、好ましくは0.1μm前後であ
る。アンカーコート層が0.01μmより薄いと耐蝕性
がより良好になる効果があまり得られず、また、1.0
μmより厚いと光学薄膜以上の厚さとなるので光線の反
射率が高くなり、表示画面に使用したときに眩しくな
る。
【0011】透明高屈折率薄膜により金属薄膜をサンド
イッチ状に挟み込むと、一般的に金属薄膜単体のときよ
りも透過率が上がり、反射率が下がる。金属薄膜のよう
な光線の吸収がある低屈折率薄膜を透明高屈折率薄膜で
サンドイッチ状に挟み込むことで透過率を上げることが
できるといわれている。また、抵抗加熱方式による真空
蒸着膜、特に数100Åの真空蒸着膜は多くは島状構造
の膜であり、このため真空蒸着で形成された金属薄膜と
透明高屈折率薄膜との境界面ではそれぞれの膜(層)が
入り乱れ、拡散しており、その結果、透過率が上がると
考えられている。透明高屈折率薄膜の物質としては種々
あるが、従来はSi、SiO、ZnS、ITO、ZnO
等が多く使用されている。本発明は、透明高屈折率薄膜
材料として酸化セリウム(IV)を使用することにより、
表面の電気抵抗値が低くて電磁波を有効にシールドでき
アースも容易にとることができ、赤外線透過率が低くて
赤外線カットが著しく、また、耐蝕性が良好で電磁波シ
ールド効果、透明性、赤外線カット効果を十分に維持で
きる透明電磁波シールドフイルムを得ることに成功し
た。
【0012】酸化セリウム(IV)薄膜A及びBは、スパ
ッタリング法、電子ビーム蒸着法等で形成することがで
きるが、必ずしもスパッタリング法や電子ビーム蒸着法
等の設備を用いなくても、抵抗加熱方式、誘導加熱方式
の真空蒸着装置で金属セリウム(融点775℃)を酸素
雰囲気中で真空蒸着することにより容易に高融点材料で
ある酸化セリウム(IV)(融点1950℃)薄膜を形成
することができる。また、真空蒸着によれば、スパッタ
リング法のような膜形成速度が遅いということも改善さ
れる。また、雰囲気の酸素分圧を制御して酸化の度合い
を変化させることにより、酸化セリウム(IV)薄膜A及
びBの屈折率を変化させたり、両者の屈折率に差異をつ
けることもできる。銀薄膜をサンドイッチする透明高屈
折率薄膜として酸化セリウム(IV)薄膜を使用すると、
従来のSi薄膜、SiO薄膜を使用したものに比べて、
表面の電気抵抗値は低下し、赤外線透過率は低下し、ま
た、耐蝕性が向上する。
【0013】真空蒸着法で酸化セリウム(IV)薄膜A及
びBを形成するには、まずはじめに、蒸着前に真空槽内
の真空度をできるだけ高くしておく。このときのいわば
到達真空度は10-4Torr台、好ましくは10-5To
rr台である。到達真空度に達すると真空槽内に酸素を
導入する。酸素を導入した時の真空度は1.0×10-3
Torr〜1.0×10-2Torr、好ましくは4.0
×10-3Torr〜6.0×10-3Torrである。上
記の酸素雰囲気中で金属セリウム蒸気を酸素と反応さ
せ、金属セリウムを酸化物薄膜として形成すると透明高
屈折率薄膜である酸化セリウム(IV)薄膜A及びBを得
ることができる。また、雰囲気の酸素分圧を制御し、酸
化の度合いを変化させることにより、酸化セリウム(I
V)薄膜A及びBの屈折率を変化させることもでき、任
意の屈折率の薄膜を形成することができるものである。
【0014】電磁波シールド性を得るための金属薄膜に
は一般に電気抵抗値が低くて導電性の良好なものが使用
され、具体的にはAg、Au、Cu、In、Al、S
n、Cr、Ni、等からなる金属薄膜が例示されるが、
中でもAg薄膜が比較的多く使用されている。本発明に
おいても銀薄膜を使用した。
【0015】銀薄膜は前記した通り、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、電子ビーム蒸着法、等の従来公知の薄膜
生成法で形成できる。銀薄膜を透明高屈折率薄膜である
酸化セリウム(IV)薄膜A及びBでサンドイッチするこ
とで、電磁波シールド効果及び赤外線カット効果が向上
する。また、銀薄膜を透明高屈折率薄膜である酸化セリ
ウム(IV)薄膜A及びBでサンドイッチすることで、電
磁波シールド効果、透明性、及び赤外線カット効果を経
時的に十分に維持することができる。酸化セリウム(I
V)薄膜は水に不溶、塩酸、硝酸、希硫酸に難溶、液体
アンモニアに不溶、空気中で安定である、等々の性質が
あるので、銀薄膜の耐蝕性向上に極めて効果的である。
【0016】トップコート層は、酸化セリウム(IV)薄
膜Bの表面を物理的に保護するとともに、酸化セリウム
(IV)薄膜B及び銀薄膜の耐蝕性をより良好にするもの
である。トップコート層は、ポリエチレンテレフタレー
ト、アクリル、塩酢ビ、メラミン等の従来一般的に公知
の各種の樹脂を、グラビアコーティング法、リバースコ
ーティング法等の従来公知のコーティング法で形成する
ことができる。トップコート層に使用する樹脂は好まし
くはポリエチレンテレフタレートである。トップコート
層の厚さは、0.01〜1.0μm、好ましくは0.1
μm前後である。トップコート層が0.01μmより薄
いと耐蝕性をより良好にする効果があまり得られず、ま
た、1.0μmより厚いと光学薄膜以上の厚さとなるの
で光線の反射率が高くなり、表示画面に使用したときに
眩しくなるとともに、表面の電気抵抗値が高くなりアー
スがとれなくなる。トップコート層を形成することによ
り耐蝕性及び機械強度の非常に良好な透明電磁波シール
ドフイルムを得ることができる。
【0017】本透明に係る透明電磁波シールドフイルム
は、主にCRT、プラズマディスプレイ等の表示画面上
に使用すると有益である。特にプラズマディスプレイは
プラズマを放電させているために有害な電磁波を放出す
る。この電磁波をシールドするのが本発明の透明電磁波
シールドフイルムである。現在使用されている各種の通
常のリモコンの電波は800〜1000nmの近赤外線
領域の波長の電磁波を用いているため、この波長領域の
電磁波をシールドしてリモコンの誤動作を防ぐことも大
切であり、本透明に係る透明電磁波シールドフイルムは
このためにも有効である。また、表示画面上に使用され
る場合380〜780nmの可視光線領域で透明である
ことが必要であるが、本透明に係る透明電磁波シールド
フイルムはこの要求も満たすものである。さらに、本透
明に係る透明電磁波シールドフイルムは近赤外線領域か
ら赤外線領域にかけて光線をカットするので、車やビル
の窓に貼り付けることで、夏は太陽光に含まれる熱線を
遮断して部屋内の温度の上昇を防ぎ、冬は部屋内の熱線
を外に漏らさずに温度の低下を防ぐ。もちろん、透明で
あるので窓に貼り付けても違和感は無い。
【0018】
【実施例】厚さ50Åのポリエチレンテレフタレートフ
イルムの片面に、ポリエチレンテレフタレート樹脂をグ
ラビアコーティングして厚さ0.1μmのアンカーコー
ト層を形成し、該アンカーコート層上に、到達真空度
1.0×10-4Torrに達した後、酸素分圧(酸素を
入れた時の真空度)5.0×10-3Torr、蒸着速度
100Å/secの条件で金属セリウムを酸素を導入し
つつ真空蒸着して、厚さ300Åの酸化セリウム(IV)
薄膜Aを形成した。次に、該酸化セリウム(IV)薄膜A
の上に、厚さ200Åの銀薄膜を真空蒸着により形成
し、次いで該銀薄膜の上に、到達真空度1.0×10-4
Torrに達した後、酸素分圧(酸素を入れた時の真空
度)1.0×10-3Torr、蒸着速度30Å/sec
の条件で金属セリウムを酸素を導入しつつ真空蒸着し
て、厚さ100Åの酸化セリウム(IV)薄膜Bを形成
し、、さらに、該酸化セリウム(IV)薄膜Bの上に、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂をグラビアコーティング
して厚さ0.1μmのトップコート層を形成して、本発
明に係る透明電磁波シールドフイルムを得た。
【0019】
【比較例】実施例における酸化セリウム(IV)薄膜Aに
かえて厚さ約50ÅのSi薄膜を真空蒸着で形成すると
ともに、実施例における酸化セリウム(IV)薄膜Bにか
えて厚さ約150ÅのSiO薄膜を真空蒸着で形成した
他は実施例と同様にして、従来公知の透明電磁波シール
ドフイルムを得た。
【0020】実施例及び比較例で得た透明電磁波シール
ドフイルムについて、電磁波シールド効果(電界シール
ド効果及び磁界シールド効果)、表面の電気抵抗値、耐
蝕性(銀薄膜の厚さの経時変化)、可視光線透過率、耐
蝕性(可視光線透過率の経時変化)、赤外線透過率、耐
蝕性(赤外線透過率の経時変化)についてそれぞれ測定
した。耐蝕性(銀薄膜の厚さの経時変化、可視光線透過
率の経時変化、赤外線透過率の経時変化)については、
試験前の値と一定時間経過後の値とを測定した。
【0021】(測定方法)電磁波シールド効果(電界シールド効果及び磁界シール
ド効果) アンリツ株式会社製測定装置(MA8602B)及び株
式会社アドバンテスト製スペクトラムアナライザー(T
R4173)を使用してKEC法により測定した。表面の電気抵抗値 実施例及び比較例で得た透明電磁波シールドフイルムを
(1)10mm幅にカットしたもの(2)30cm2
カットしたものとした。四端子法により(1)について
は長手方向に4つの端子を設置し(2)についてはほぼ
中央に4つの端子を設置して測定した(間隔が10mm
の4つの端子を使用し外側の2つの端子に一定電流を流
し内側2つの端子で電圧を測定した)耐蝕性(銀薄膜の厚さの経時変化) JIS K5400に定める恒温恒湿槽を使用して60
℃、湿度95%の条件下で、JIS K5400に準じ
て渦電流式膜厚計によりAl膜厚に換算して一定時間経
過後の銀薄膜の厚さを測定した。
【0022】可視光線透過率 分光光度計を使用してJIS R3106により測定し
た。耐蝕性(可視光線透過率の経時変化) JIS K5400に定める恒温恒湿槽を使用して60
℃、湿度95%の条件下で前記方法により一定時間経過
後の可視光線透過率を測定した。赤外線透過率 分光光度計を使用して800nm、1000nmの波長
の赤外線透過率を測定した。耐蝕性(赤外線透過率の経時変化) JIS K5400に定める恒温恒湿槽を使用して60
℃、湿度95%の条件下で前記方法により一定時間経過
後の赤外線透過率を測定した。
【0023】測定結果は下記の表に示す通りであった。電磁波シールド効果(電界シールド効果及び磁界シールド効果) 電界シールド効果(dB) 周波数(MHZ ) 50 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 実施例 55 50 45 42 41 39 38 37 37 37 36 比較例 50 45 39 37 36 35 34 34 33 32 30 磁界シールド効果(dB) 周波数(MHZ ) 50 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 実施例 1 2 6 8 10 12 13 15 16 17 18 比較例 0 1 3 5 6 7 9 10 11 12 13 表面の電気抵抗値(Ω)(幅10mm・30cm2 10mm幅 30cm2 実施例 3.6 1.0 比較例 5.0 3.2銀薄膜の厚さ(Å)の経時変化(但しAl膜厚に換算) 試験時間(hr) 試験前 12 36 360 770 実施例 300 280 310 300 320 比較例 200 180 180 120 120
【0024】可視光線透過率(%)及びその経時変化(380〜780nm) 試験時間(hr) 試験前 12 36 360 770 実施例 70.4 70.0 70.2 70.9 70.8 比較例 77.9 68.6 68.4 68.0 65.3赤外線透過率(%)及びその経時変化(800nm・1000nm) 800nm 試験時間(hr) 試験前 12 36 360 770 実施例 45.2 45.2 45.2 45.0 46.7 比較例 59.0 66.3 66.9 64.8 68.0 1000nm 試験時間(hr) 試験前 12 36 360 770 実施例 26.9 27.0 26.9 26.6 28.5 比較例 41.7 61.6 63.0 59.9 67.1
【0025】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したから、電
磁波シールド効果及び赤外線カット効果が顕著である。
一般に表面の電気抵抗値が低いほど電磁波シールド効果
特に電界シールド効果があるのであるが、例えば実施例
及び比較例で示されるように、表面の電気抵抗値は本発
明に係るものが3.6Ωであるのに対して、比較例であ
る従来のものは5.0Ωであり、本発明に係るものの方
が低い。また、赤外線透過率が低いほど赤外線カット効
果があるのであるが、例えば実施例及び比較例で示され
るように、波長800nmの場合で、赤外線透過率は本
発明に係るものが45.2%であるのに対して、比較例
である従来のものは59.0%であり、本発明に係るも
のの方が低い。波長1000nmの場合では、赤外線透
過率は本発明に係るものが26.9%であるのに対し
て、比較例である従来のものは41.7%であり、本発
明に係るものの方が低い。
【0026】本発明は、電磁波シールド効果及び赤外線
カット効果が顕著であるばかりでなく、耐蝕性が非常に
優れている。従って、電磁波シールド効果、透明性、及
び赤外線カット効果を経時的に十分に維持することがで
きる。銀薄膜の厚さが厚いほど表面の電気抵抗値が低く
なるので電磁波シールド効果特に電界シールド効果があ
るのであるが、例えば実施例及び比較例で示されるよう
に、60℃、湿度95%の耐蝕試験条件下で、銀薄膜の
厚さ(但し、Al膜厚に換算)は本発明に係るものが当初
300Åであったものが770時間経過後でも320Å
であり当初の厚さを維持しているのに対して、比較例で
ある従来のものは当初200Åと最初から比較的薄く7
70時間経過後は120Åであり相当に薄くなってい
る。また、同条件下で、可視光線透過率は本発明に係る
ものが当初70.4%であったのが770時間経過後で
も70.8%であり当初の透明性を維持しているのに対
して、比較例である従来のものは当初は77.9%と比
較的に透明であったのが770時間経過後は65.3%
であり透明性が相当損なわれている。また、前記の通
り、赤外線透過率が低いほど赤外線カット効果があるの
であるが、同条件下で、波長800nmの場合で、赤外
線透過率は本発明に係るものが当初45.2%であった
のが770時間経過後でも46.7%であり当初の値を
ほぼ維持しているのに対して、比較例である従来のもの
は当初59.0%で比較的に高いのが770時間経過後
は68.0%であり相当高くなっている。波長1000
nmの場合では、赤外線透過率は本発明に係るものが当
初26.9%であったのが770時間経過後でも28.
5%であり当初の値をほぼ維持しているのに対して、比
較例である従来のものは当初41.7%で比較的に高い
のが770時間経過後は67.1%であり相当高くなっ
ている。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明プラスチックフイルムの上に透明高屈
    折率薄膜Aを形成し、該透明高屈折率薄膜Aの上に金属
    薄膜を形成し、該金属薄膜の上に透明高屈折率薄膜Bを
    形成してなる透明電磁波シールドフイルムにおいて、透
    明高屈折率薄膜A及びBとして酸化セリウム(IV)薄膜
    A及びBを使用し、金属薄膜として銀薄膜を使用したこ
    とを特徴とする透明電磁波シールドフイルム。
  2. 【請求項2】透明プラスチックフイルムと酸化セリウム
    (IV)薄膜Aとの間にアンカーコート層を形成し、酸化
    セリウム(IV)薄膜Bの上にトップコート層を形成して
    なる、請求項1記載の透明電磁波シールドフイルム。
  3. 【請求項3】酸化セリウム(IV)薄膜A及びBの厚さが
    いずれも、50〜400Åである請求項1又は2記載の
    透明電磁波シールドフイルム。
  4. 【請求項4】酸化セリウム(IV)薄膜Bの上に更に銀薄
    膜と酸化セリウム(IV)薄膜Bとを順次形成してなる、
    請求項1〜3のいずれか1項記載の透明電磁波シールド
    フイルム。
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