JP2990618B2

JP2990618B2 - スラブ圧延方法及び装置

Info

Publication number: JP2990618B2
Application number: JP3075589A
Authority: JP
Inventors: 桂一郎吉田
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1991-03-15
Filing date: 1991-03-15
Publication date: 1999-12-13
Anticipated expiration: 2014-12-13
Also published as: JPH05185102A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、比較的幅の広い圧延
材料を、一対の圧延ローラによって幅方向へ圧延するこ
とにより、製品の幅を著しく広く圧延すると共に、その
組織を改善することを目的としたスラブ圧延方法及び装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、圧延材料を、その幅方向へ圧延す
る技術としては、「リボン線製造法」（特公昭５８−３
７６１号の発明）、「金属テープの製造装置」（特公昭
５９−４６６８３号の発明）、「クロス圧延方法による
長尺物の圧延装置」（特公昭６２−４５００７号の発
明）、「凸断面を有する金属テープの圧延方法」（特開
昭６０−２５０８０２号の発明）、「圧延によるリボン
線成形方法」（特開昭６０−１６６１０４号の発明）、
「凸断面を有する金属テープの圧延成形方法」（特開昭
６１−１７３０９号）などが知られており、何れも本特
許出願人の出願に係る発明である。

【０００３】

【発明により解決すべき課題】前記各発明は、何れも幅
２０mm程度のリボン線、テープ類の加工を目的としたも
のであり、一方をアンビルとしたもの、製品として凸断
面を求めたものなどの圧延方法又は装置である。従っ
て、前記各技術は、幅の広い材料（例えば幅１ｍ又はそ
れ以上）の圧延には採用することができない。また、圧
延ローラとアンビルとを使用する圧延方法又は装置にお
いては、圧延に際して、材料の上下面における製品の材
質が不均一になり（特に幅広い場合）均一板材を得るこ
とができない問題点があった。この発明は、比較的変形
容易（熱間又は材質上）な長尺幅広材料の幅を更に拡大
（例えば２倍）すると共に、製品の組織を改良し、製品
の曲げ又は絞り加工時の特性を良好にすることにより、
加工後の変形その他の欠点を生じさせないようにしたも
のである。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】然るにこの発明は、１対の
圧延ローラを用い、該圧延ローラを材料の幅方向に往復
転動させることにより、著しい大きな幅の製品でも容易
に圧延成形できると共に、材料の進行方向を直角な方向
へ圧延することによって組織を改善し、製品の加工特性
を著しく向上することに成功したのである。

【０００５】即ちこの発明は、圧延材料の進行方向と直
角な方向へ、上下１対の圧延ローラの軸心を傾斜させ
て、前記圧延材料と、前記圧延ローラとの間にくわえ込
み角度をもたせた状態で前記圧延ローラを往復転動させ
て、前記材料を幅方向へ圧延することを特徴としたスラ
ブ圧延方法である。また、圧延ローラの周速度と横移動
の直線速度とは、直線速度を同一速度乃至５％増速とし
たものである。次に、１対の圧延ローラの圧延材料送込
み側周壁は軸心傾斜で、前記材料のくわえ込み角度をも
たせてあり、圧延材料送出し側周壁は、圧延ローラの周
壁を傾斜させて互いに平行としたものである。前記にお
ける材料のくわえ込み角度は１０度以下が好ましい。

【０００６】更にこの発明の装置は、機台へ固定したフ
レームの中央部上下へ、１対の圧延ローラの軸受支持用
のスライダを、圧延材料の進行方向と直角の方向へ往復
移動可能に対向させ、前記圧延ローラは材料のくわえ込
み角度をもたせた状態で前記スライダへかせされ、前記
スライダには、夫々往復移動手段を連結し、前記圧延ロ
ーラには、往復移動に伴う回転手段を連結したことを特
徴とするスラブ圧延装置である。また往復移動手段は、
油圧シリンダ及びこれに嵌挿したピストンロッドとした
ものである。次に回転手段は、フレームに固定したラッ
クと、これに咬み合うピニオンと、ピニオンの同軸ギヤ
ー及び該同軸ギヤーに咬み合う圧延ロール軸の連動ギヤ
ーとしたものである。更に１対の圧延ローラは、圧延材
料の送入側を少くともローラ長さの1/2 以上を等径と
し、残余のローラ外周壁がほぼ平行に対向すべく傾斜さ
せたものである。

【０００７】前記において、圧延ローラの往復手段とし
ては、油圧シリンダとそのピストンロッドを用い、また
はねじと、ねじを回すモータ、或いはラックとピニオン
などを用いることもできる。前記ピニオンは複数が望ま
しい。要は正確、確実に、圧延の為に往復運動できる構
成ならば何れも採用することができる。前記における上
部圧延ローラは、圧延材料がない場合に自重下降するの
で、適宜吊スプリング又は油圧作用などで吊り上げてお
くことが望ましい。また、往復転動に際しては、例えば
コロ上を移動することが望ましく、熱間圧延に際して
は、公知の冷却手段を適宜採用する。

【０００８】前記のように、この発明においては材料送
入側の圧延ローラの周速度を等しくすべく相当の幅（少
くとも1/2 以上）に亘って等径のローラを用い、残余を
コーン状に傾斜させることにより、対向ローラ壁間がほ
ぼ平行になるようにしてある。尤も圧延間隙の調整によ
り、前記コーン状部の周壁が正確な平行にはならないけ
れども、該部はならし圧延の目的を達成できればよいの
で、厳密な平行性を要求しない。

【０００９】この発明のスラブ圧延装置においては、圧
延ローラのローラ間隙調整装置に関する記載はないが、
例えばフレームを上下二つに構成し、上部圧延ローラを
保持した上部フレームをねじにより昇降させ、前記ねじ
を動力で駆動するなど、従来公知のローラ間隙調整装置
を応用できることは勿論である。

【００１０】

【作用】この発明は、圧延材料の幅方向に圧延ローラを
往復転動させて圧延するので、製品幅を飛躍的に増大さ
せると共に、その組織を著しく改善し、加工特性を向上
できる。また、上下１対の圧延ローラを用いるので、材
料の上下面に対する圧延特性が一致することにより上下
面均質製品となる。更に圧延ローラの材料送入側外壁は
等径であり、材料の送出側外壁はコーン状に形成して１
対のローラの外周壁をほぼ平行に対応させたので、圧延
加工が、材料厚さを目的厚さに減少させるリダクション
部分と、表面調整するならし部分とに分れ、効率よく組
織を改善することができる。

【００１１】

【実施例１】この発明の方法を実施例について説明す
る。

【００１２】毎分１ｍで移送される９５０〜１０００℃
に加熱されている鋼板（厚さ１００mm、幅１０００mm）
を、直径５００mmφ、角度（θ）１０度に架設した１対
の圧延ローラで、往復速度１０００mm/secで転動させ、
厚５０mm、幅２０００mmの製品を連続的に得た。

【００１３】前記により得た鋼板は、連続鋳造法で作り
出された鋳造組織を鍛練する如くの作用を受けるので、
曲げ又は絞り加工に好適な組織に改善される。

【００１４】

【実施例２】次に、この発明の装置を図１乃至図４につ
いて説明する。

【００１５】機台１へ図１で矩形枠状のフレーム２を固
定し、フレーム２の中央部上下へ１対の圧延ローラ３、
４の軸受５、６を架設したスライダ７、８を、圧延材料
の進行方向と直角方向へ往復移動可能に対向させ、前記
各スライダ７、８の左右両側に夫々ピストンロッド９、
９ａ、１０、１０ａの先端を固定し、前記ピストンロッ
ド９、９ａ、１０、１０ａは夫々フレーム２の左右両
側、上下へ突設した油圧シリンダ１１、１１ａ、１２、
１２ａに嵌装する。前記フレーム２の前後と上下の端面
には、ラック１３、１４が夫々対向してボルト１５、１
５で固定され、前記ラック１３、１４には、夫々スライ
ダ７、８へ取付軸１６、１６で取付けたピニオン１７、
１７ａ、１８、１８ａを咬み合せ、前記ピニオンには第
１のギヤ１９、１９ａ、２０、２０ａが一体的に設けら
れており、第１のギヤ１９、１９ａ、２０、２０ａは前
記圧延ローラ３、４の軸２１、２２に固定された第２の
ギヤ２３、２４と咬み合っている。図中２５、２５はス
ライダ７、８を支持するコロである。

【００１６】前記実施例の圧延ローラ３、４は図４のよ
うに、その軸心間はθ₁だけ傾斜しており、その外周壁
は、圧延材料２６の送入側から長さＬ₁に亘って等径で
あり、残余の長さＬ₂の部分は、圧延ローラ３、４の外
周壁がほぼ平行になるように、コーン状に傾斜させてあ
る。

【００１７】前記実施例の動作を説明する。

【００１８】図１において、油圧シリンダ１１ａ、１２
ａの基端側（取付側）に加圧油を送入すると、ピストン
ロッド９ａ、１０ａは、矢示２７、２７の方向へ移動
し、スライダ７、８も同方向へ移動させるので、圧延材
料２６は図１中鎖線図示のように、矢示２、８の方向へ
往路圧延される。前記に反し、油圧シリンダ１１、１２
の基端側（取付側）に加圧油を送入すると、ピストンロ
ッド９、１０は矢示２９、２９の方向へ移動し、スライ
ダ７、８も同方向へ移動するので、圧延材料２６を矢示
３０のように復路圧延される。

【００１９】前記のように、各油圧シリンダへの加圧油
の送入によって、ピストンロッドを引張方向に使用して
スライダを往復移動させる。前記において、圧延ローラ
３、４が圧延材料の幅外に達した場合に、圧延材料を前
進させるので（例えば、毎分６０回の往復移動に対し、
材料をほぼ１５mm位前進）、圧延ローラは往復共に圧延
加工をすることになる。然して熱間圧延においては、リ
ダクションが著しく大きい（５０％〜１００％）。前記
において材料は、恰も鍛造における如き鍛練加工と同様
の外力を受け、材料の流れも大きいので、材料の組織は
大幅に改善される。

【００２０】

【発明の効果】即ちのこ発明は、比較的幅広い圧延材料
の幅方向に圧延ローラを往復転動させるので、圧延材料
の幅を比較的容易に拡大すると共に、製品の組織を著し
く改善し、曲げ及び絞り加工による場合に優れた製品を
連続的に生産することができる効果がある。

【００２１】また、１対の圧延ローラを使用したので、
材料の上下面が同時に均一加工を受けることになる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施装置の一部を省略した正面図

【図２】同じく断面拡大図

【図３】同じく移動手段の一部拡大正面図

【図４】同じく圧延ローラの傾斜例を示す拡大正面図

【符号の説明】

１機台２フレーム３、４圧延ローラ７、８スライダ９、９ａ、１０、１０ａピストンロッド１１、１１ａ、１２、１２ａ油圧シリンダ１３、１４ラック１７、１８ピニオン１９、２０第１のギヤ２３、２４第２のギヤ２６圧延材料

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】圧延材料の進行方向と直角な方向へ、上
下１対の圧延ローラの軸心を傾斜させて、前記圧延材料
と、前記圧延ローラとの間にくわえ込み角度をもたせた
状態で前記圧延ローラを往復転動させて、前記材料を幅
方向へ圧延することを特徴としたスラブ圧延方法。
【請求項２】圧延ローラの周速度と横移動の直線速度
とは、直線速度を同一速度乃至５％増速とした請求項１
記載のスラブ圧延方法。
【請求項３】１対の圧延ローラの圧延材料送込み側周
壁は、軸心傾斜で、前記材料のくわえ込み角度をもたせ
てあり、圧延材料送出し側周壁は圧延ローラの周壁を傾
斜させて互いに平行とした請求項１記載のスラブ圧延方
法
【請求項４】機台へ固定したフレームの中央部上下
へ、１対の圧延ローラの軸受支持用のスライダを、圧延
材料の進行方向と直角の方向へ往復移動可能に対向さ
せ、前記圧延ローラは材料のくわえ込み角度をもたせた
状態で前記スライダへ架設され、前記スライダには、夫
々往復移動手段を連結し、前記圧延ローラには、往復移
動に伴う回転手段を連結したことを特徴とするスラブ圧
延装置
【請求項５】往復移動手段は、油圧シリンダ及びこれ
に嵌挿したピストンロッドとした請求項４記載のスラブ
圧延装置
【請求項６】回転手段は、フレームに固定したラック
と、これに咬み合うピニオンと、ピニオンの同軸ギヤー
及び該同軸ギヤーに咬み合う圧延ロール軸の連動ギヤー
とした請求項４記載のスラブ圧延装置
【請求項７】１対の圧延ローラは、圧延材料の送入側
を少くともローラ長さの1/2 以上を等径とし、残余のロ
ーラ外周壁がほぼ平行に対向すべく傾斜させた請求項
４、５、６の何れか１つに記載のスラブ圧延装置
【請求項８】１つのラックに咬み合うピニオンは複数
とした請求項６記載のスラブ圧延装置