JP2989294B2 - スペクトル拡散通信方式における初期同期獲得方法及びそのための送信機及び受信機 - Google Patents
スペクトル拡散通信方式における初期同期獲得方法及びそのための送信機及び受信機Info
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Description
【0001】
【技術分野】本発明は、スペクトル拡散(Spread Spect
rum:SS)通信方式に関し、より具体的には、拡散信号
のクロックレートを周波数変調して情報を伝送するクロ
ックレート変調スペクトル拡散通信の受信機における拡
散信号の初期同期獲得方法に関する。例えば、無線通信
や秘話通信に適用されるものである。
rum:SS)通信方式に関し、より具体的には、拡散信号
のクロックレートを周波数変調して情報を伝送するクロ
ックレート変調スペクトル拡散通信の受信機における拡
散信号の初期同期獲得方法に関する。例えば、無線通信
や秘話通信に適用されるものである。
【0002】
【従来技術】本発明に係る従来技術を記載した公知文献
としては、例えば、DIXON,“SpreadSpectrum Systems"J
ohn Wiley & Sons, pp.116-117及びpp.181-183(1977)
がある。これによればクロックレート変調方式として、
擬似雑音信号のクロックを情報信号で周波数変調して送
信することでスペクトル拡散通信を実現するシステムが
記載されており、また、スライディング相関として、受
信された擬似雑音信号との初期同期獲得を行なうため
に、受信機の遅延ロックループ(DLL)に用いている
電圧制御発振器(VCO)の自走周波数をオフセットさ
せて、遅延ロックループ(DLL)の参照擬似雑音信号
の位相をスライドさせていき、相関値が最大となる位相
を検出して、同期獲得を行なう方法が記載されている。
としては、例えば、DIXON,“SpreadSpectrum Systems"J
ohn Wiley & Sons, pp.116-117及びpp.181-183(1977)
がある。これによればクロックレート変調方式として、
擬似雑音信号のクロックを情報信号で周波数変調して送
信することでスペクトル拡散通信を実現するシステムが
記載されており、また、スライディング相関として、受
信された擬似雑音信号との初期同期獲得を行なうため
に、受信機の遅延ロックループ(DLL)に用いている
電圧制御発振器(VCO)の自走周波数をオフセットさ
せて、遅延ロックループ(DLL)の参照擬似雑音信号
の位相をスライドさせていき、相関値が最大となる位相
を検出して、同期獲得を行なう方法が記載されている。
【0003】クロックレート変調スペクトル拡散通信の
受信機では受信した拡散信号と位相同期するために遅延
ロックループ(DLL)と呼ばれる位相同期回路を用い
るが、遅延ロックループ(DLL)位相比較特性は位相
比較出力を出せる範囲が狭く、一方、同期追従のために
遅延ロックループ(DLL)の電圧制御発振器(VC
O)の自走周波数と送信機の電圧制御発振器(VCO)
の自走周波数は等しく設定されるため、同期を獲得する
操作、いわゆる初期同期獲得が必要となる。初期同期獲
得の方法として最も簡単な方法はスライディング相関と
呼ばれ、たとえば、受信機の電圧制御発振器(VCO)
の自走周波数にわずかなオフセットを持たせ、参照PN
信号と受信PN信号との相関を計算しながら、その相関
値があるスレッショールドを越えたときに同期が獲得さ
れたとみなして、電圧制御発振器(VCO)の自走周波
数のオフセットを0にして、同期追従動作を行なわせる
ものである。
受信機では受信した拡散信号と位相同期するために遅延
ロックループ(DLL)と呼ばれる位相同期回路を用い
るが、遅延ロックループ(DLL)位相比較特性は位相
比較出力を出せる範囲が狭く、一方、同期追従のために
遅延ロックループ(DLL)の電圧制御発振器(VC
O)の自走周波数と送信機の電圧制御発振器(VCO)
の自走周波数は等しく設定されるため、同期を獲得する
操作、いわゆる初期同期獲得が必要となる。初期同期獲
得の方法として最も簡単な方法はスライディング相関と
呼ばれ、たとえば、受信機の電圧制御発振器(VCO)
の自走周波数にわずかなオフセットを持たせ、参照PN
信号と受信PN信号との相関を計算しながら、その相関
値があるスレッショールドを越えたときに同期が獲得さ
れたとみなして、電圧制御発振器(VCO)の自走周波
数のオフセットを0にして、同期追従動作を行なわせる
ものである。
【0004】しかし、この方法をクロックレート変調ス
ペクトル拡散通信方式に適用した場合、初期同期獲得用
の回路である相関器、コンパレータ、電圧制御発振器
(VCO)のバイアス電圧切替えスイッチなどが必要と
なり、回路が複雑化して、クロックレート変調スペクト
ル拡散通信方式の特徴である構成回路の簡易性が損われ
るという欠点があった。
ペクトル拡散通信方式に適用した場合、初期同期獲得用
の回路である相関器、コンパレータ、電圧制御発振器
(VCO)のバイアス電圧切替えスイッチなどが必要と
なり、回路が複雑化して、クロックレート変調スペクト
ル拡散通信方式の特徴である構成回路の簡易性が損われ
るという欠点があった。
【0005】
【目的】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされた
もので、自走周波数のオフセットに情報信号を乗せてス
ペクトル拡散を行なう点に着目し、情報信号の送り方を
工夫して初期同期獲得を行なうため、回路を複雑にする
ことなしに初期同期獲得を行うこと、また、トレーニン
グ開始時の周波数オフセットを0にし、ある期間、周波
数オフセットが時間に比例して増加する信号を用いるこ
とで、トレーニング期間開始時の系の不安定性を取除く
ようにしたスペクトル拡散通信方式における初期同期獲
得方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
もので、自走周波数のオフセットに情報信号を乗せてス
ペクトル拡散を行なう点に着目し、情報信号の送り方を
工夫して初期同期獲得を行なうため、回路を複雑にする
ことなしに初期同期獲得を行うこと、また、トレーニン
グ開始時の周波数オフセットを0にし、ある期間、周波
数オフセットが時間に比例して増加する信号を用いるこ
とで、トレーニング期間開始時の系の不安定性を取除く
ようにしたスペクトル拡散通信方式における初期同期獲
得方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0006】
【構成】本発明は、上記目的を達成するために、(1)
擬似雑音(PN)信号を拡散信号に用い、該拡散信号の
クロックレートを情報信号で周波数変調するスペクトル
拡散通信方式において、受信機の遅延ロックループ(D
LL)における受信擬似雑音信号の初期同期の獲得のた
めに、送信機の電圧制御発振器(VCO)が出力するク
ロックレートを情報信号で変調したデータ信号を送信す
る前に、所定の期間トレーニング信号として、所定の振
幅値を有する信号を送信し、受信機のVCOが出力する
クロックに周波数オフセットを与えることで、前記受信
機の遅延ロックループにおいてスライディング相関をお
こなわせて同期を獲得すること、更には、(2)前記ト
レーニングデータとしての所定の振幅値を有する信号
が、直流信号、鋸歯状信号、三角波状信号、台形状信号
のいずれかであること、更には、(3)前記トレーニン
グデータとして、トレーニングデータ送信開始時に最大
振幅△Vtをとり、その後、時間に比例して△Vt/T
t(Tt:トレーニングデータ送信期間)の割合で振幅
が減少する信号を送信してクロックに周波数オフセット
を与え、受信機の遅延ロックループ(DLL)において
スライディング相関をおこなわせて同期を獲得するこ
と、更には、(4)前記トレーニングデータとして、ト
レーニングデータ送信開始時に振幅△Vtが0で、その
後、トレーニング期間中の時間Tpに比例して、△Vt
/Tpの割合で振幅が増加し、トレーニングデータ伝送
開始からTp時間後、時間に比例して△Vt/(Tt−
Tp)(Tt:トレーニングデータ送信期間)の割合で
振幅が減少する信号を送信してクロックに周波数オフセ
ットを与え、受信機の遅延ロックループ(DLL)にお
いてスライディング相関をおこなわせて同期を獲得する
こと、更には、(5)前記トレーニングデータとして、
トレーニングデータ送信開始時に振幅△Vtが0で、そ
の後、時間に比例して△Vt/T1の割合で振幅が増加
し、T1時間からT2時間の間、△Vtが保たれ、T2時
間後、T3時間まで時間に比例して△Vt/(T3−
T2)の割合で振幅が減少する信号を送信してクロック
に周波数オフセットを与え、受信機の遅延ロックループ
(DLL)においてスライディング相関をおこなわせて
同期を獲得すること、更には、前記スペクトル拡散通信
方式に用い て好適な送信機(6)及び受信機(7)を特
徴としたものである。以下、本発明の実施例に基づいて
説明する。
擬似雑音(PN)信号を拡散信号に用い、該拡散信号の
クロックレートを情報信号で周波数変調するスペクトル
拡散通信方式において、受信機の遅延ロックループ(D
LL)における受信擬似雑音信号の初期同期の獲得のた
めに、送信機の電圧制御発振器(VCO)が出力するク
ロックレートを情報信号で変調したデータ信号を送信す
る前に、所定の期間トレーニング信号として、所定の振
幅値を有する信号を送信し、受信機のVCOが出力する
クロックに周波数オフセットを与えることで、前記受信
機の遅延ロックループにおいてスライディング相関をお
こなわせて同期を獲得すること、更には、(2)前記ト
レーニングデータとしての所定の振幅値を有する信号
が、直流信号、鋸歯状信号、三角波状信号、台形状信号
のいずれかであること、更には、(3)前記トレーニン
グデータとして、トレーニングデータ送信開始時に最大
振幅△Vtをとり、その後、時間に比例して△Vt/T
t(Tt:トレーニングデータ送信期間)の割合で振幅
が減少する信号を送信してクロックに周波数オフセット
を与え、受信機の遅延ロックループ(DLL)において
スライディング相関をおこなわせて同期を獲得するこ
と、更には、(4)前記トレーニングデータとして、ト
レーニングデータ送信開始時に振幅△Vtが0で、その
後、トレーニング期間中の時間Tpに比例して、△Vt
/Tpの割合で振幅が増加し、トレーニングデータ伝送
開始からTp時間後、時間に比例して△Vt/(Tt−
Tp)(Tt:トレーニングデータ送信期間)の割合で
振幅が減少する信号を送信してクロックに周波数オフセ
ットを与え、受信機の遅延ロックループ(DLL)にお
いてスライディング相関をおこなわせて同期を獲得する
こと、更には、(5)前記トレーニングデータとして、
トレーニングデータ送信開始時に振幅△Vtが0で、そ
の後、時間に比例して△Vt/T1の割合で振幅が増加
し、T1時間からT2時間の間、△Vtが保たれ、T2時
間後、T3時間まで時間に比例して△Vt/(T3−
T2)の割合で振幅が減少する信号を送信してクロック
に周波数オフセットを与え、受信機の遅延ロックループ
(DLL)においてスライディング相関をおこなわせて
同期を獲得すること、更には、前記スペクトル拡散通信
方式に用い て好適な送信機(6)及び受信機(7)を特
徴としたものである。以下、本発明の実施例に基づいて
説明する。
【0007】まず、図2は、本発明によるクロックレー
ト変調スペクトル拡散通信方式の送受信機の一実施例を
説明するための構成図で、図(a)が送信機、図(b)
が受信機である。図中、1,10は加算器、2,11は
電圧制御発振器(VCO)、3,9は擬似雑音(PN)
信号発生器、4,7は周波数変換部、5は電力増幅部、
6は増幅部、8は相関ネットワーク、8aはループフィ
ルタ、12は遅延ロックループ(DLL)である。情報
信号S(t)で電圧制御発振器2を変調して、クロック
レート変調のかかったPN信号をPN信号発生器3、周
波数変換部4、電力増幅部5を介して送信し、受信側で
は増幅部6、周波数変換部7を介し、受信したPN信号
を相関器ネットワーク8、ループフィルタ8aを含む遅
延ロックループ(DLL)で同期追従し、追従誤差信号
を復調信号として取り出している。
ト変調スペクトル拡散通信方式の送受信機の一実施例を
説明するための構成図で、図(a)が送信機、図(b)
が受信機である。図中、1,10は加算器、2,11は
電圧制御発振器(VCO)、3,9は擬似雑音(PN)
信号発生器、4,7は周波数変換部、5は電力増幅部、
6は増幅部、8は相関ネットワーク、8aはループフィ
ルタ、12は遅延ロックループ(DLL)である。情報
信号S(t)で電圧制御発振器2を変調して、クロック
レート変調のかかったPN信号をPN信号発生器3、周
波数変換部4、電力増幅部5を介して送信し、受信側で
は増幅部6、周波数変換部7を介し、受信したPN信号
を相関器ネットワーク8、ループフィルタ8aを含む遅
延ロックループ(DLL)で同期追従し、追従誤差信号
を復調信号として取り出している。
【0008】図3は、スライディング相関器の構成を示
す図で、図中、13は相関器、14は絶対値回路、15
はコンパレータ、16はスイッチ、17は加算器、18
は電圧制御発振器(VCO)、19は擬似雑音(PN)
信号発生器、20は相関ネットワーク、20aはループ
フィルタである。このスライディング相関器(slid
ing correlator)は、相関技術のうちで
最も単純な構成で、この名称は、同期過程で、受信機の
PN信号発生器を送信機のそれと異なる速度で動作させ
ることに由来している。送受側の両PN信号間の相対位
相がずれていき、これを(例えばオシロスコープ上で)
同時に観察すると、互いにすれ違いにずれていき、同期
が得られた場合にのみ静止する。
す図で、図中、13は相関器、14は絶対値回路、15
はコンパレータ、16はスイッチ、17は加算器、18
は電圧制御発振器(VCO)、19は擬似雑音(PN)
信号発生器、20は相関ネットワーク、20aはループ
フィルタである。このスライディング相関器(slid
ing correlator)は、相関技術のうちで
最も単純な構成で、この名称は、同期過程で、受信機の
PN信号発生器を送信機のそれと異なる速度で動作させ
ることに由来している。送受側の両PN信号間の相対位
相がずれていき、これを(例えばオシロスコープ上で)
同時に観察すると、互いにすれ違いにずれていき、同期
が得られた場合にのみ静止する。
【0009】スライディング相関器の利点はその単純さ
であって、受信機の符号クロックを変化させる何らかの
手段以外のものを必要としないところにある。この様な
スライディング相関は、使用するPN信号の周期が長く
ない時に特に有効である。
であって、受信機の符号クロックを変化させる何らかの
手段以外のものを必要としないところにある。この様な
スライディング相関は、使用するPN信号の周期が長く
ない時に特に有効である。
【0010】通常、送受信機の電圧制御発振器(VC
O)18の自走周波数は電圧制御発振器(VCO)のバ
イアス電圧VtxとVrxで決まり、Vtx=Vrxと
なるように設定される。したがって、受信機においてP
N信号の同期を獲得するためには、受信機の遅延ロック
ループ(DLL)がPN信号を追従できる範囲、つま
り、遅延弁別特性の範囲内に、送受信PN信号の位相差
がおさまるように送受いずれかの信号の位相を調整する
必要がある。このように位相を調整することで遅延ロッ
クループ(DLL)の同期を確立させることを初期同期
獲得という。この最も簡単な方法が、先に示したスライ
ディング相関器であり、一度、受信機の電圧制御発振器
(VCO)18にオフセット電圧△Vを印加し、オフセ
ット周波数△fを与えることで、参照PN信号の位相を
ずらしながら受信PN信号との相関を相関器13により
とり、絶対値回路14を介してコンパレータ15に入
り、該コンパレータ15において相関値が最大になった
とき、またはあるしきい値Vthを越えたときに同期獲
得信号を出して、電圧制御発振器(VCO)18の印加
電圧をスイッチ16により切換えてVrxにもどし、遅
延ロックループ(DLL)によるトラッキング状態に切
替えるものである。
O)18の自走周波数は電圧制御発振器(VCO)のバ
イアス電圧VtxとVrxで決まり、Vtx=Vrxと
なるように設定される。したがって、受信機においてP
N信号の同期を獲得するためには、受信機の遅延ロック
ループ(DLL)がPN信号を追従できる範囲、つま
り、遅延弁別特性の範囲内に、送受信PN信号の位相差
がおさまるように送受いずれかの信号の位相を調整する
必要がある。このように位相を調整することで遅延ロッ
クループ(DLL)の同期を確立させることを初期同期
獲得という。この最も簡単な方法が、先に示したスライ
ディング相関器であり、一度、受信機の電圧制御発振器
(VCO)18にオフセット電圧△Vを印加し、オフセ
ット周波数△fを与えることで、参照PN信号の位相を
ずらしながら受信PN信号との相関を相関器13により
とり、絶対値回路14を介してコンパレータ15に入
り、該コンパレータ15において相関値が最大になった
とき、またはあるしきい値Vthを越えたときに同期獲
得信号を出して、電圧制御発振器(VCO)18の印加
電圧をスイッチ16により切換えてVrxにもどし、遅
延ロックループ(DLL)によるトラッキング状態に切
替えるものである。
【0011】クロックレート変調スペクトル拡散(S
S)通信方式では、電圧制御発振器(VCO)の制御電
圧が情報信号に応じて変動するという点で、通常の直接
拡散方式とは異なるが、受信機の遅延ロックループ(D
LL)を同期追従(トラッキング)状態に導くための初
期同期獲得が必要である点は同じである。しかし、最も
簡単なスライディング相関器を用いても受信機の回路構
成は複雑化し、クロックレート変調スペクトル拡散(S
S)通信方式の特徴である回路構成の簡易性が失われて
しまう。本発明では、スライディング相関の簡易性を生
かし、しかも受信機の自走クロック周波数を変えずに同
期の獲得を行なうことができる方法を考案している。
S)通信方式では、電圧制御発振器(VCO)の制御電
圧が情報信号に応じて変動するという点で、通常の直接
拡散方式とは異なるが、受信機の遅延ロックループ(D
LL)を同期追従(トラッキング)状態に導くための初
期同期獲得が必要である点は同じである。しかし、最も
簡単なスライディング相関器を用いても受信機の回路構
成は複雑化し、クロックレート変調スペクトル拡散(S
S)通信方式の特徴である回路構成の簡易性が失われて
しまう。本発明では、スライディング相関の簡易性を生
かし、しかも受信機の自走クロック周波数を変えずに同
期の獲得を行なうことができる方法を考案している。
【0012】図1は、本発明によるスペクトル拡散通信
方式における初期同期獲得方法を説明するための送信信
号を示す図である。データを伝送する前に、初期同期を
獲得するためのトレーニングデータを送信する期間Tt
を設ける。トレーニングデータとしては、送信電圧制御
発振器(VCO)の自走周波数fstを△fstだけずらす
ために必要な電圧△Vtを送信する。このため、Ttの
間、送信機の電圧制御発振器(VCO)の自走周波数は
(fst+△fst)となり、受信機の電圧制御発振器(V
CO)の自走周波数に対しても△fstだけ異なることに
なる。
方式における初期同期獲得方法を説明するための送信信
号を示す図である。データを伝送する前に、初期同期を
獲得するためのトレーニングデータを送信する期間Tt
を設ける。トレーニングデータとしては、送信電圧制御
発振器(VCO)の自走周波数fstを△fstだけずらす
ために必要な電圧△Vtを送信する。このため、Ttの
間、送信機の電圧制御発振器(VCO)の自走周波数は
(fst+△fst)となり、受信機の電圧制御発振器(V
CO)の自走周波数に対しても△fstだけ異なることに
なる。
【0013】その結果、偶然にトレーニングデータ送信
開始時点で送受信のPN信号の位相差が遅延ロックルー
プ(DLL)の遅延弁別特性の範囲内(たとえば、2△
型の場合は−2△<誤差時間<2△、△はPN信号のチ
ップ長)にあり、同期が確立している場合を除いては、
送受信のPN信号の位相差は時間とともにずれていき、
いわゆるスライディング・コリレーション(相関)の状
態となる。そして、PN信号の周期性のため、ある時間
後に送受信PN信号の位相差が縮まり、遅延ロックルー
プ(DLL)の遅延弁別特性内に入ると遅延ロックルー
プ(DLL)が同期追従状態に入る。
開始時点で送受信のPN信号の位相差が遅延ロックルー
プ(DLL)の遅延弁別特性の範囲内(たとえば、2△
型の場合は−2△<誤差時間<2△、△はPN信号のチ
ップ長)にあり、同期が確立している場合を除いては、
送受信のPN信号の位相差は時間とともにずれていき、
いわゆるスライディング・コリレーション(相関)の状
態となる。そして、PN信号の周期性のため、ある時間
後に送受信PN信号の位相差が縮まり、遅延ロックルー
プ(DLL)の遅延弁別特性内に入ると遅延ロックルー
プ(DLL)が同期追従状態に入る。
【0014】△fstの大きさの条件は、|△fst|<|
DLLのプルインレンジ|である。遅延ロックループ
(DLL)のプルインレンジは、ロックレンジよりも小
さいので、トレーニングデータ送信後にプルインして、
同期が確立し、さらにトレーニングデータ送信が継続す
るような場合でも、周波数オフセット△fstは遅延ロッ
クループ(DLL)のロックレンジ内にあるので同期状
態は保たれる。トレーニングデータ送信期間Ttは、位
相スライドがチップレートの低い方のPN信号1周期
分、確実に生じるように設定すれば良い。たとえば、△
fstが正のときは、Ttは、 N・(1/△fst) であれば良い。
DLLのプルインレンジ|である。遅延ロックループ
(DLL)のプルインレンジは、ロックレンジよりも小
さいので、トレーニングデータ送信後にプルインして、
同期が確立し、さらにトレーニングデータ送信が継続す
るような場合でも、周波数オフセット△fstは遅延ロッ
クループ(DLL)のロックレンジ内にあるので同期状
態は保たれる。トレーニングデータ送信期間Ttは、位
相スライドがチップレートの低い方のPN信号1周期
分、確実に生じるように設定すれば良い。たとえば、△
fstが正のときは、Ttは、 N・(1/△fst) であれば良い。
【0015】△fstが小さいとTtが長くなり、初期同
期獲得に時間がかかる。したがって、△fstはプルイン
レンジの範囲内でできるだけ大きくなるように設定す
る。Tsはトレーニングデータ送信後、△fst--->0
(△Vt--->0)になるときの周波数のステップ変化
によって生じる遅延ロックループ(DLL)の過渡応答
を吸収するための時間であり、遅延ロックループ(DL
L)の閉ループ伝達関数の周波数ステップ応答特性に依
存し、Tsは、、△fst--->0後、ループが定常状態
とみなせるまでに必要な時間だけ設ければ良い。また、
この期間がトレーニングデータと実データとの区切りを
示す役割も果すことになる。
期獲得に時間がかかる。したがって、△fstはプルイン
レンジの範囲内でできるだけ大きくなるように設定す
る。Tsはトレーニングデータ送信後、△fst--->0
(△Vt--->0)になるときの周波数のステップ変化
によって生じる遅延ロックループ(DLL)の過渡応答
を吸収するための時間であり、遅延ロックループ(DL
L)の閉ループ伝達関数の周波数ステップ応答特性に依
存し、Tsは、、△fst--->0後、ループが定常状態
とみなせるまでに必要な時間だけ設ければ良い。また、
この期間がトレーニングデータと実データとの区切りを
示す役割も果すことになる。
【0016】図4は、図1のトレーニングデータおよび
実データを発生させるための回路構成の実施例を示す図
で、図中、21はカウンタ、22はクロック信号源、2
3はTs時間遅延回路、24はデータ信号出力部、2
5,26はスイッチである。通信開始と同時にトリガ信
号がカウンタ回路に送出されてカウンタ21がリセット
される。また、同じ信号はトレーニングデータに相当す
る直流信号△Vtを送出するため、スイッチAをオンさ
せる。カウンタ21ではトレーニング期間Ttに相当す
る時間、クロックパルスをカウントし、カウントし終え
た時点でパルスを発生させる。このパルス信号はスイッ
チAをオフさせるとともに、データ信号を送出するため
のスイッチBをオンさせる。また、この信号はTs時間
の遅延を生じさせる遅延回路23を通って、データ信号
出力部24への実データ送信開始信号となる。したがっ
て、スイッチAがオフとなった後、Ts時間たってから
実データの送信が開始されることになる。
実データを発生させるための回路構成の実施例を示す図
で、図中、21はカウンタ、22はクロック信号源、2
3はTs時間遅延回路、24はデータ信号出力部、2
5,26はスイッチである。通信開始と同時にトリガ信
号がカウンタ回路に送出されてカウンタ21がリセット
される。また、同じ信号はトレーニングデータに相当す
る直流信号△Vtを送出するため、スイッチAをオンさ
せる。カウンタ21ではトレーニング期間Ttに相当す
る時間、クロックパルスをカウントし、カウントし終え
た時点でパルスを発生させる。このパルス信号はスイッ
チAをオフさせるとともに、データ信号を送出するため
のスイッチBをオンさせる。また、この信号はTs時間
の遅延を生じさせる遅延回路23を通って、データ信号
出力部24への実データ送信開始信号となる。したがっ
て、スイッチAがオフとなった後、Ts時間たってから
実データの送信が開始されることになる。
【0017】上述したものは、自走周波数のオフセット
に情報信号を乗せてスペクトル拡散(SS)通信を行な
う点に着目し、情報信号の送り方を工夫して初期同期獲
得をおこなうため、回路を複雑にすることなしに初期同
期獲得が行なえる方法として、通信開始時点から後のあ
る適当な期間Ttの間、トレーニングデータとして適当
な大きさ△Vtの直流信号を送信し、Ttの間だけPN
信号のクロックに周波数オフセットを与えることで、受
信機の遅延ロックループ(DLL)においてスライディ
ング相関を行なわせて同期を獲得する方法である。
に情報信号を乗せてスペクトル拡散(SS)通信を行な
う点に着目し、情報信号の送り方を工夫して初期同期獲
得をおこなうため、回路を複雑にすることなしに初期同
期獲得が行なえる方法として、通信開始時点から後のあ
る適当な期間Ttの間、トレーニングデータとして適当
な大きさ△Vtの直流信号を送信し、Ttの間だけPN
信号のクロックに周波数オフセットを与えることで、受
信機の遅延ロックループ(DLL)においてスライディ
ング相関を行なわせて同期を獲得する方法である。
【0018】しかし、この方法ではトレーニングデータ
送信終了時にはクロック周波数がステップ状に変化し、
受信機の遅延ロックループ(DLL)の位相追従動作は
周波数ステップ変化(△Vに相当する周波数変化△fs
t)に応じた過渡的な応答を示すことになる。同期獲得
の高速化のためには△fstは遅延ロックループ(DL
L)のプルインレンジ以下でなるべく大きく与えること
が望ましいが、このことは同時に、トレーニング期間終
了時に遅延ロックループ(DLL)の位相追従動作にお
いて位相誤差のオーバーシュートが増大し、実データ送
信以前に遅延ロックループ(DLL)の同期系が不安定
になったり、定常値に落着くまでの時間が長くなって、
通信開始から実データ送信開始までに時間がかかる。
送信終了時にはクロック周波数がステップ状に変化し、
受信機の遅延ロックループ(DLL)の位相追従動作は
周波数ステップ変化(△Vに相当する周波数変化△fs
t)に応じた過渡的な応答を示すことになる。同期獲得
の高速化のためには△fstは遅延ロックループ(DL
L)のプルインレンジ以下でなるべく大きく与えること
が望ましいが、このことは同時に、トレーニング期間終
了時に遅延ロックループ(DLL)の位相追従動作にお
いて位相誤差のオーバーシュートが増大し、実データ送
信以前に遅延ロックループ(DLL)の同期系が不安定
になったり、定常値に落着くまでの時間が長くなって、
通信開始から実データ送信開始までに時間がかかる。
【0019】このような観点から、トレーニングデータ
信号として、トレーニング開始時に最大振幅△Vtをと
り、トレーニング期間終了時に0となり、時間に比例し
て振幅が減少していく波形の信号を用いることで、初期
同期獲得後、実データ送信までの間の系の安定化を図
り、さらに通信開始から実データ送信開始までの時間を
短くする方法もある。しかし、この方法ではトレーニン
グ期間開始時、遅延ロックループ(DLL)の参照PN
信号の位相差がほとんど無いような場合は、トレーニン
グ開始時に△Vtに相当する周波数オフセットが瞬時に
加わるため、遅延ロックループ(DLL)の同期系の過
渡的な応答により系が不安定になり、同期獲得し損なう
可性能があり、トレーニング期間Ttの設定が困難にな
るという点がある。このような場合には、以下に説明す
るような本発明の他の実施例により解決することができ
る。
信号として、トレーニング開始時に最大振幅△Vtをと
り、トレーニング期間終了時に0となり、時間に比例し
て振幅が減少していく波形の信号を用いることで、初期
同期獲得後、実データ送信までの間の系の安定化を図
り、さらに通信開始から実データ送信開始までの時間を
短くする方法もある。しかし、この方法ではトレーニン
グ期間開始時、遅延ロックループ(DLL)の参照PN
信号の位相差がほとんど無いような場合は、トレーニン
グ開始時に△Vtに相当する周波数オフセットが瞬時に
加わるため、遅延ロックループ(DLL)の同期系の過
渡的な応答により系が不安定になり、同期獲得し損なう
可性能があり、トレーニング期間Ttの設定が困難にな
るという点がある。このような場合には、以下に説明す
るような本発明の他の実施例により解決することができ
る。
【0020】図1において、トレーニングデータ送信期
間Ttは、位相スライドがPN信号1周期分(Nチッ
プ)確実に生じるように設定すればよい。したがって、
TtはN・(1/△fst)あれば良いことは前述した。
そして、△fstが小さいとTtが長くなり、初期同期獲
得に時間がかかる。したがって、△fstはプルインレン
ジの範囲内でできるだけ大きくなるように設定する。図
1のような送信データに対する受信機(図2(b))に
おける同期獲得後の遅延ロックループ(DLL)の位相
制御信号(復調信号)S'(t)は、例えば、図5のように
なる。
間Ttは、位相スライドがPN信号1周期分(Nチッ
プ)確実に生じるように設定すればよい。したがって、
TtはN・(1/△fst)あれば良いことは前述した。
そして、△fstが小さいとTtが長くなり、初期同期獲
得に時間がかかる。したがって、△fstはプルインレン
ジの範囲内でできるだけ大きくなるように設定する。図
1のような送信データに対する受信機(図2(b))に
おける同期獲得後の遅延ロックループ(DLL)の位相
制御信号(復調信号)S'(t)は、例えば、図5のように
なる。
【0021】Tsはトレーニングデータ送信後、△fst
--->0(△Vt--->0)になるときの周波数のステッ
プ変化によって生じる遅延ロックループ(DLL)の過
渡応答(図5)を吸収するための時間であり、遅延ロッ
クループ(DLL)の閉ループ伝送関数の周波数ステッ
プ応答特性と位相ステップ応答特性に依存し、Tsは、
△fst--->0後、ループが定常状態とみなせるまでに
必要な時間だけ設ければ良い。また、この期間がトレー
ニングデータと実データとの区切りを示す役割も果すこ
とになる。しかし、△fstを大きくして初期同期獲得の
高速化を図ると遅延ロックループ(DLL)の系の制御
信号S'(t)のオーバシュートが大きくなり、系が不安
定になったりして系が定常状態になるまでに時間がかか
り、Tsを長くとらねばならないことになる。したがっ
て通信開始から実データ送信開始までに時間がかかって
しまう。
--->0(△Vt--->0)になるときの周波数のステッ
プ変化によって生じる遅延ロックループ(DLL)の過
渡応答(図5)を吸収するための時間であり、遅延ロッ
クループ(DLL)の閉ループ伝送関数の周波数ステッ
プ応答特性と位相ステップ応答特性に依存し、Tsは、
△fst--->0後、ループが定常状態とみなせるまでに
必要な時間だけ設ければ良い。また、この期間がトレー
ニングデータと実データとの区切りを示す役割も果すこ
とになる。しかし、△fstを大きくして初期同期獲得の
高速化を図ると遅延ロックループ(DLL)の系の制御
信号S'(t)のオーバシュートが大きくなり、系が不安
定になったりして系が定常状態になるまでに時間がかか
り、Tsを長くとらねばならないことになる。したがっ
て通信開始から実データ送信開始までに時間がかかって
しまう。
【0022】図6は、トレーニングデータを用いた他の
送信データS(t)を示す図で、時間に比例して振幅が
減少する鋸歯状の信号を用いる。この場合トレーニング
データ期間の開始時におけるトレーニングデータ信号の
振幅値△Vtは、図1の場合と同様にして、△Vtに相
当する周波数オフセット△fst(△fst=K・△Vt、
K:電圧制御発振器(VCO)の感度(Hz/V))が
遅延ロックループ(DLL)のプルインレンジ以下でな
ければならない。トレーニング期間開始時からt秒後の
トレーニングデータ信号による周波数オフセット△fsc
は; △fsc=(1−t/Tt)・△fst であるから、トレーニング期間中にスライドするチップ
数nは;
送信データS(t)を示す図で、時間に比例して振幅が
減少する鋸歯状の信号を用いる。この場合トレーニング
データ期間の開始時におけるトレーニングデータ信号の
振幅値△Vtは、図1の場合と同様にして、△Vtに相
当する周波数オフセット△fst(△fst=K・△Vt、
K:電圧制御発振器(VCO)の感度(Hz/V))が
遅延ロックループ(DLL)のプルインレンジ以下でな
ければならない。トレーニング期間開始時からt秒後の
トレーニングデータ信号による周波数オフセット△fsc
は; △fsc=(1−t/Tt)・△fst であるから、トレーニング期間中にスライドするチップ
数nは;
【0023】
【数1】
【0024】したがって、Ttは; Tt>(2N/△fst) 満たすように設定する。
【0025】図8は、本発明の送信データの送信を実現
するための構成図で、図中、51はカウンタA、52は
クロック信号発生源、53はデータ信号出力部、4はカ
ウンタB、55はD/A変換器、56はローパスフィル
タ(LPF)、57は可変利得増幅器、58はスイッチ
である。
するための構成図で、図中、51はカウンタA、52は
クロック信号発生源、53はデータ信号出力部、4はカ
ウンタB、55はD/A変換器、56はローパスフィル
タ(LPF)、57は可変利得増幅器、58はスイッチ
である。
【0026】通信開始と同時にカウンタAおよびカウン
タBがスタートする。カウンタはトレーニング期間Tt
を計測するためのものであり、カウンタBは、図9のよ
うなトレーニングデータのパルス信号列をD/A変換器
55から発生させるため、ディジタル入力信号を与える
カウンタである。可変利得アンプ57はトレーニングデ
ータの振幅を設定するためのものである。クロック周波
数とD/A変換器55のビット数を適当に選び、アンプ
57の利得を調整することにより、図6のようにトレー
ニング期間Ttの間に△Vtから0まで減少するトレー
ニングデータ信号を出力できる。カウンタAが時間Tt
を計測し終えると、実データの送信を開始させる信号が
データ出力部に送られ、同期にスイッチへも信号が送ら
れて、スイッチはトレーニングデータ発生側からデータ
信号出力側へと切換えられる。このことによって、図6
に示した様な本発明のデータ信号を発生できる。
タBがスタートする。カウンタはトレーニング期間Tt
を計測するためのものであり、カウンタBは、図9のよ
うなトレーニングデータのパルス信号列をD/A変換器
55から発生させるため、ディジタル入力信号を与える
カウンタである。可変利得アンプ57はトレーニングデ
ータの振幅を設定するためのものである。クロック周波
数とD/A変換器55のビット数を適当に選び、アンプ
57の利得を調整することにより、図6のようにトレー
ニング期間Ttの間に△Vtから0まで減少するトレー
ニングデータ信号を出力できる。カウンタAが時間Tt
を計測し終えると、実データの送信を開始させる信号が
データ出力部に送られ、同期にスイッチへも信号が送ら
れて、スイッチはトレーニングデータ発生側からデータ
信号出力側へと切換えられる。このことによって、図6
に示した様な本発明のデータ信号を発生できる。
【0027】図1のような矩形状の信号を用いる場合と
比較すると、△fsが等しいとすると、鋸歯状の信号を
使った場合は矩形状の信号を使う場合に比べて、Ttの
下限が2倍になる。しかし、本発明の方法では△fsを
遅延ロックループ(DLL)のプルインレンジいっぱい
にとっても、トレーニングデータ期間終了の過渡的な位
相変動がなく、図7の様に直ちに実データの送信を開始
できるのに対し、矩形状の信号を用いる従来の方法では
プルインレンジいっぱいにとった分、過渡的な位相変動
が大きくなり、系が定常状態になるまでの時間が長くな
るため、トレーニングデータ送信後から実データ送信開
始までに必要な無信号期間Tsが長くなってしまう。し
たがって、遅延ロックループ(DLL)の各定数の設定
状況によっては、図1でのTt+Tsが図5のTtより
長くなる場合が生じる。また、本発明では、周波数ステ
ップ応答による過渡的な位相変動がない分、初期同期獲
得後、安定した系の状態を保ちながら実データの送信を
開始できることになる。
比較すると、△fsが等しいとすると、鋸歯状の信号を
使った場合は矩形状の信号を使う場合に比べて、Ttの
下限が2倍になる。しかし、本発明の方法では△fsを
遅延ロックループ(DLL)のプルインレンジいっぱい
にとっても、トレーニングデータ期間終了の過渡的な位
相変動がなく、図7の様に直ちに実データの送信を開始
できるのに対し、矩形状の信号を用いる従来の方法では
プルインレンジいっぱいにとった分、過渡的な位相変動
が大きくなり、系が定常状態になるまでの時間が長くな
るため、トレーニングデータ送信後から実データ送信開
始までに必要な無信号期間Tsが長くなってしまう。し
たがって、遅延ロックループ(DLL)の各定数の設定
状況によっては、図1でのTt+Tsが図5のTtより
長くなる場合が生じる。また、本発明では、周波数ステ
ップ応答による過渡的な位相変動がない分、初期同期獲
得後、安定した系の状態を保ちながら実データの送信を
開始できることになる。
【0028】しかし、図6のようにトレーニングデータ
はトレーニングデータ送信の開始時に最大振幅△Vtを
とり、瞬時的に大きな周波数オフセットが与えられるた
め、受信機の遅延ロックループ(DLL)の参照PN信
号の位相が受信PN信号の位相とほぼ一致しており、同
期獲得しかけているような状態にある場合は、系の過渡
応答により同期系が不安定になるため、同期獲得し損な
うことがあるという欠点をもつ。
はトレーニングデータ送信の開始時に最大振幅△Vtを
とり、瞬時的に大きな周波数オフセットが与えられるた
め、受信機の遅延ロックループ(DLL)の参照PN信
号の位相が受信PN信号の位相とほぼ一致しており、同
期獲得しかけているような状態にある場合は、系の過渡
応答により同期系が不安定になるため、同期獲得し損な
うことがあるという欠点をもつ。
【0029】図10は、本発明におけるトレーニングデ
ータを用いた更に他の送信データS(t)を示す図で、
トレーニング開始時に0で時間Tpまで(△Vt/T
p)で増加し、その後、(△Vt(Tt−Tp))の割
合で減少する三角波状の信号を用いる。このことによ
り、トレーニング期間終了時だけでなくトレーニング期
間開始時においても、急激な周波数オフセット変化がな
いため、トレーニングデータ送信時において同期獲得を
し損なうこともなくなる。
ータを用いた更に他の送信データS(t)を示す図で、
トレーニング開始時に0で時間Tpまで(△Vt/T
p)で増加し、その後、(△Vt(Tt−Tp))の割
合で減少する三角波状の信号を用いる。このことによ
り、トレーニング期間終了時だけでなくトレーニング期
間開始時においても、急激な周波数オフセット変化がな
いため、トレーニングデータ送信時において同期獲得を
し損なうこともなくなる。
【0030】トレーニング期間中の時間Tpは、Tt>
Tp>0なる範囲で任意に選べる。また、△Vtは、図
1と図6の方法と同様に、△Vtに相当する周波数オフ
セット△fst(△fst=K・△Vt、K:電圧制御発振
器(VCO)の感度(Hz/V))が遅延ロックループ
(DLL)のプルインレンジ以下でなけれなならない。
トレーニング期間開始時からt秒後のトレーニングデー
タ信号による周波数オフセット△fscは;
Tp>0なる範囲で任意に選べる。また、△Vtは、図
1と図6の方法と同様に、△Vtに相当する周波数オフ
セット△fst(△fst=K・△Vt、K:電圧制御発振
器(VCO)の感度(Hz/V))が遅延ロックループ
(DLL)のプルインレンジ以下でなけれなならない。
トレーニング期間開始時からt秒後のトレーニングデー
タ信号による周波数オフセット△fscは;
【0031】
【数2】
【0032】であるから、トレーニング期間中にスライ
ドするチップ数nは;
ドするチップ数nは;
【0033】
【数3】
【0034】したがって、Ttは; Tt>(2N/△fst) 満たすように設定すればよい。この条件は図6の場合と
同じである。
同じである。
【0035】図11は、本発明の送信データの発生を実
現する回路の実施例を示す図で、図中、31はカウン
タ、32,33,34はフリップフロップ、35はスイ
ッチ、36はクロック信号源、37は分周器、38はア
ップダウン・カウンタ、39はD/A変換器、40はロ
ーパスフィルタ(LPF)、41はアンプ、42はデー
タ出力回路、43はスイッチである。
現する回路の実施例を示す図で、図中、31はカウン
タ、32,33,34はフリップフロップ、35はスイ
ッチ、36はクロック信号源、37は分周器、38はア
ップダウン・カウンタ、39はD/A変換器、40はロ
ーパスフィルタ(LPF)、41はアンプ、42はデー
タ出力回路、43はスイッチである。
【0036】送信開始と同時に第1のスイッチ43がト
レーニングモードに設定され、また、カウンタ31およ
びアップダウン・カウンタ38が基準クロック信号のカ
ウントを開始する。ここで、第2のスイッチ35ではフ
リップ・フロップ(b)34の出力がハイのときに基準
クロック信号端子にオンし、ローのときには基準クロッ
ク信号をN分周した信号に接続される。また、アップダ
ウン・カウンタ38は送信の開始時にはアップカウンタ
として働くように設定される。カウンタ31はトレーニ
ング期間TpおよびTtを計測するためのもので、アッ
プダウン・カウンタ38は図12のようなトレーニング
データのパルス列をDA変換器39より発生させるため
のディジタル入力信号を与えるためのカウンタである。
可変利得アンプ41はトレーニングデータの振幅を設定
するためのものである。
レーニングモードに設定され、また、カウンタ31およ
びアップダウン・カウンタ38が基準クロック信号のカ
ウントを開始する。ここで、第2のスイッチ35ではフ
リップ・フロップ(b)34の出力がハイのときに基準
クロック信号端子にオンし、ローのときには基準クロッ
ク信号をN分周した信号に接続される。また、アップダ
ウン・カウンタ38は送信の開始時にはアップカウンタ
として働くように設定される。カウンタ31はトレーニ
ング期間TpおよびTtを計測するためのもので、アッ
プダウン・カウンタ38は図12のようなトレーニング
データのパルス列をDA変換器39より発生させるため
のディジタル入力信号を与えるためのカウンタである。
可変利得アンプ41はトレーニングデータの振幅を設定
するためのものである。
【0037】カウンタ31はトレーニング期間の最初、
Tp時間は基準クロック信号をTpに相当する間(カウ
ント数NA=M)カウントする。Mカウントしたとき、
カウンタ31から第2のスイッチ35へ信号が送出さ
れ、時間計測に使われるクロックは基準クロックからN
分周クロックへと切り替わる。同時にアップダウン・カ
ウンタ38のアップダウン入力に信号が送られ、カウン
タ31はダウンカウンタに切替わる。Tp時間後、カウ
ンタ31およびダウンカウンタは基準クロックの1/N
の周波数のクロック信号でカウントを行なうことになる
ので、たとえば、N=2のときは、3Tp=Ttとなっ
て、図12のようなパルス列がDA変換器39から得ら
れる。
Tp時間は基準クロック信号をTpに相当する間(カウ
ント数NA=M)カウントする。Mカウントしたとき、
カウンタ31から第2のスイッチ35へ信号が送出さ
れ、時間計測に使われるクロックは基準クロックからN
分周クロックへと切り替わる。同時にアップダウン・カ
ウンタ38のアップダウン入力に信号が送られ、カウン
タ31はダウンカウンタに切替わる。Tp時間後、カウ
ンタ31およびダウンカウンタは基準クロックの1/N
の周波数のクロック信号でカウントを行なうことになる
ので、たとえば、N=2のときは、3Tp=Ttとなっ
て、図12のようなパルス列がDA変換器39から得ら
れる。
【0038】図12のようなパルス列はローパスフィル
タ(LPF)40に加えられ、図10のような三角波状
のトレーニングデータとして送信される。カウンタ31
は時間Ttに相当する2Mカウント後、信号を送出し、
第1のスイッチ43がデータ出力モードに切替わり、同
時にデータ出力回路がオンして実データの通信が開始さ
れる。基準クロックの周波数、分周比Nおよびカウンタ
31のカウント数Mを選ぶことで任意のTp,Ttを設
定できる。
タ(LPF)40に加えられ、図10のような三角波状
のトレーニングデータとして送信される。カウンタ31
は時間Ttに相当する2Mカウント後、信号を送出し、
第1のスイッチ43がデータ出力モードに切替わり、同
時にデータ出力回路がオンして実データの通信が開始さ
れる。基準クロックの周波数、分周比Nおよびカウンタ
31のカウント数Mを選ぶことで任意のTp,Ttを設
定できる。
【0039】図6のような鋸歯状信号を用いる場合と、
三角波状信号を用いる場合、それぞれにトレーニングデ
ータ送信時間の最小条件値は等しいが、本発明ではトレ
ーニングデータ送信開始時に急激なオフセット信号が加
えられないので、スライディング相関が徐々に行なわれ
るため、トレーニング期間の開始時の受信PN信号の同
期獲得に際し、遅延ロックループ(DLL)が同期獲得
をし損なうことが少なくなるという利点が得られる。
三角波状信号を用いる場合、それぞれにトレーニングデ
ータ送信時間の最小条件値は等しいが、本発明ではトレ
ーニングデータ送信開始時に急激なオフセット信号が加
えられないので、スライディング相関が徐々に行なわれ
るため、トレーニング期間の開始時の受信PN信号の同
期獲得に際し、遅延ロックループ(DLL)が同期獲得
をし損なうことが少なくなるという利点が得られる。
【0040】上述したものは、トレーニング開始時の周
波数オフセットを0にし、ある期間、周波数オフセット
が時間に比例して増加する信号を用いることで、トレー
ニング期間開始時の系の不安定性を取除く方法である。
しかし、これら三角波状の信号を用いる場合は、必要な
トレーニング期間が矩形波状の信号を用いる場合よりも
長くなるという欠点を有している。このような場合に
は、台形状信号により周波数オフセットを与えること
で、トレーニング期間を三角波状の信号を用いる場合よ
り短くし、かつ初期同期得獲後の系の安定性を保つこと
が可能である。
波数オフセットを0にし、ある期間、周波数オフセット
が時間に比例して増加する信号を用いることで、トレー
ニング期間開始時の系の不安定性を取除く方法である。
しかし、これら三角波状の信号を用いる場合は、必要な
トレーニング期間が矩形波状の信号を用いる場合よりも
長くなるという欠点を有している。このような場合に
は、台形状信号により周波数オフセットを与えること
で、トレーニング期間を三角波状の信号を用いる場合よ
り短くし、かつ初期同期得獲後の系の安定性を保つこと
が可能である。
【0041】図13は、本発明におけるトレーニングデ
ータを用いた更に他の送信データS(t)を示す図で、ト
レーニング開始時に0で時間T1まで(△Vt/T1)の
割合で時間に比例して増加し、その後T2まで△Vtを
保ち、T2からT3までの間△Vt/(T3−T2)の割合
で減少する。T1とT2は、0<T1<T2<T3なる範囲
で任意に選べる。△Vtは、他の3例と同様に△Vtに
よって生じる周波数オフセットが遅延ロックループ(D
LL)のプルインレンジ以下となるようように設定せね
ばならない。
ータを用いた更に他の送信データS(t)を示す図で、ト
レーニング開始時に0で時間T1まで(△Vt/T1)の
割合で時間に比例して増加し、その後T2まで△Vtを
保ち、T2からT3までの間△Vt/(T3−T2)の割合
で減少する。T1とT2は、0<T1<T2<T3なる範囲
で任意に選べる。△Vtは、他の3例と同様に△Vtに
よって生じる周波数オフセットが遅延ロックループ(D
LL)のプルインレンジ以下となるようように設定せね
ばならない。
【0042】トレーニング期間終了時に周波数オフセッ
トは0なので、同期獲得した系が不安定になることはな
く、三角波状の信号を用いた場合と同様の効果がある。
トレーニング期間開始時からt秒後のトレーニングデー
タ信号による周波数オフセット△fscは;
トは0なので、同期獲得した系が不安定になることはな
く、三角波状の信号を用いた場合と同様の効果がある。
トレーニング期間開始時からt秒後のトレーニングデー
タ信号による周波数オフセット△fscは;
【0043】
【数4】
【0044】であるから、トレーニング期間中にスライ
ドするチップ数nは;
ドするチップ数nは;
【0045】
【数5】
【0046】nはPN信号の周期N以上でなければなら
ないから、トレーニング期間Tt(=T3)の条件は;
ないから、トレーニング期間Tt(=T3)の条件は;
【0047】
【数6】
【0048】となる。したがって、トレーニングに必要
な時間はT1の設定によって三角波状信号を用いる場合
より、(T2−T1)だけ短くできることになる。
な時間はT1の設定によって三角波状信号を用いる場合
より、(T2−T1)だけ短くできることになる。
【0049】図14は、本発明の送信データの発生を実
現する回路の実施例を示す図で、図中、61はカウン
タ、62,63,64,65はフリップフロップ、66
はアップダウン・カウンタ、67はD/A変換器、68
はローパスフィルタ(LPF)、69はアンプ、70は
データ出力回路、71は基準クロック発生器である。送
信開始と同時にカウンタ61とアップダウン・カウンタ
66がリセットされ、基準クロック信号のカウントが開
始される。このとき、アップダウン・カウンタ66はア
ップカウント状態に設定されている。同時に回路出力は
トレーニング信号出力のモードとなる。カウンタ61は
トレーニング期間Tt(=T3)およびT1、T2を計測
するためのもので時間T1、T2、T3に相当するカウン
ト数Kc=K1、K2、K3が得られた時に出力する。ア
ップダウン・カウンタ66は図15のようなトレーニン
グデータのパルス列をD/A変換器67より発生させる
ためのディジタル入力信号を与えるためのカウンタであ
る。線形可変利得アンプ69はトレーニングデータの振
幅を調整するためのものである。
現する回路の実施例を示す図で、図中、61はカウン
タ、62,63,64,65はフリップフロップ、66
はアップダウン・カウンタ、67はD/A変換器、68
はローパスフィルタ(LPF)、69はアンプ、70は
データ出力回路、71は基準クロック発生器である。送
信開始と同時にカウンタ61とアップダウン・カウンタ
66がリセットされ、基準クロック信号のカウントが開
始される。このとき、アップダウン・カウンタ66はア
ップカウント状態に設定されている。同時に回路出力は
トレーニング信号出力のモードとなる。カウンタ61は
トレーニング期間Tt(=T3)およびT1、T2を計測
するためのもので時間T1、T2、T3に相当するカウン
ト数Kc=K1、K2、K3が得られた時に出力する。ア
ップダウン・カウンタ66は図15のようなトレーニン
グデータのパルス列をD/A変換器67より発生させる
ためのディジタル入力信号を与えるためのカウンタであ
る。線形可変利得アンプ69はトレーニングデータの振
幅を調整するためのものである。
【0050】カウンタ61はトレーニング開始後K1カ
ウントしたとき、信号をアップダウン・カウンタ66の
イネーブル入力に送出し、アップダウン・カウンタ66
がカウントを停止する。したがって、D/A変換器67
の出力値はホールドされる。このとき、アップダウン・
カウンタ66のアップダウン入力にも信号が送られ、ア
ップダウン・カウンタ66はアップカウント状態からダ
ウンカウント状態に切換えられる。カウンタ61は引続
き基準クロック信号をカウントし、カウント数がK2に
なったときに再び信号を送出する。この信号はアップダ
ウン・カウンタ66をイネーブル状態に戻し、アップダ
ウン・カウンタ66は、今度はダウンカウントを行な
う。
ウントしたとき、信号をアップダウン・カウンタ66の
イネーブル入力に送出し、アップダウン・カウンタ66
がカウントを停止する。したがって、D/A変換器67
の出力値はホールドされる。このとき、アップダウン・
カウンタ66のアップダウン入力にも信号が送られ、ア
ップダウン・カウンタ66はアップカウント状態からダ
ウンカウント状態に切換えられる。カウンタ61は引続
き基準クロック信号をカウントし、カウント数がK2に
なったときに再び信号を送出する。この信号はアップダ
ウン・カウンタ66をイネーブル状態に戻し、アップダ
ウン・カウンタ66は、今度はダウンカウントを行な
う。
【0051】したがって、時間T2までホールドされて
いたD/A変換器67の出力は図15に示すように減少
していく。D/A変換器67からのパルス信号列はLP
F68に加えられ、図13のような台形状のトレーニン
グ信号として送信される。カウンタ61はカウント数が
K3になると信号を送出し、この信号によって基準クロ
ック信号出力がオフとなり、同時にトレーニングモード
からデータ出力モードに出力が切換わってデータ信号の
送信が開始される。本発明のような台形状の信号を用い
ることで、三角波状の信号と同様にトレーニング期間開
始および終了時の周波数オフセットを0にできることで
系の安定性を保った初期同期獲得が可能であるだけでな
く、三角波状の信号を用いる場合より、トレーニング期
間を短く設定できる利点が生じる。
いたD/A変換器67の出力は図15に示すように減少
していく。D/A変換器67からのパルス信号列はLP
F68に加えられ、図13のような台形状のトレーニン
グ信号として送信される。カウンタ61はカウント数が
K3になると信号を送出し、この信号によって基準クロ
ック信号出力がオフとなり、同時にトレーニングモード
からデータ出力モードに出力が切換わってデータ信号の
送信が開始される。本発明のような台形状の信号を用い
ることで、三角波状の信号と同様にトレーニング期間開
始および終了時の周波数オフセットを0にできることで
系の安定性を保った初期同期獲得が可能であるだけでな
く、三角波状の信号を用いる場合より、トレーニング期
間を短く設定できる利点が生じる。
【0052】
【効果】以上の説明から明らかなように、本発明による
と、以下のような効果がある。(1)クロックレート変
調スペクトル拡散通信方式において受信PN信号の初期
同期を獲得する際、送信信号にある期間にわたって、ト
レーニングデータとして送信電圧制御発振器(VCO)
に適当な周波数オフセットを与える信号を入力すること
で、受信遅延ロックループ(DLL)の参照PN信号の
位相をスライディングさせて、同期を獲得させることが
でき、特別な回路を必要とせず、クロックレート変調ス
ペクトル拡散通信方式の特徴である構成の簡易性を保ち
ながらも、受信PN信号の初期同期獲得を実現できる。
(2)クロックレート変調スペクトル拡散通信方式にお
いて受信PN信号の初期同期を獲得する際、送信信号に
ある期間Ttにわたって、トレーニングデータとしてト
レーニングデータ送信の開始時に振幅が0で、その後、
時間Tpにわたって時間に比例して△Vt/Tpの割合
で振幅が増加し、Tp時間以後、時間に比例して△Vt
/(Tt−Tp)の割合で減少する信号を用いること
で、送信電圧制御発振器(VCO)に周波数オフセット
を与えて、受信遅延ロックループ(DLL)の参照PN
信号の位相をスライデイングさせ、同期を獲得させるこ
とができ、特別な回路を必要とせず、クロックレート変
調スペクトル拡散通信方式の特徴である構成の簡易性を
保ちながらも、受信PN信号の初期同期獲得を実現でき
る。(3)クロックレート変調スペクトル拡散通信方式
において受信PN信号の初期同期を獲得する際、送信信
号にある時間Ttにわたって、トレーニングデータとし
て、トレーニングデータ送信開始時に振幅が0で、その
後、時間に比例して△Vt/T1の割合で振幅が増加
し、T1時間からT2時間の間、△Vtが保たれ、T2
時間後、T3時間まで時間に比例して△Vt/(T3−
T2)の割合で振幅が減少する信号を送信して、送信電
圧制御発振器(VCO)に周波数オフセットを与えて、
受信遅延ロックループ(DLL)の参照PN信号の位相
をスライディングさせ、同期を獲得させることができ、
特別な回路を必要とせず、クロックレート変調スペクト
ル拡散通信方式の特徴である構成の簡易性を保ちながら
も、受信PN信号の初期同期獲得を実現できる。(4)
トレーニング期間終了時に周波数オフセットが0になっ
ているため、受信機を遅延ロックループ(DLL)にお
ける位相同期系が定常状態に保たれており、直ちに実デ
ータの送信を開始できるだけでなく、トレーニング期間
の開始後、周波数オフセットが0から徐々に増加するた
め、急激な周波数オフセット変化を与えることなく、設
定したトレーニング期間内での初期同期獲得をより確実
におこないながら、トレーニング期間を従来より短縮す
ることができる。(5)本発明は、同期はずれの起きに
くい安定した伝送路を使った通信やデータをパケット化
して送信するような場合の初期同期獲得に特に有効であ
る。
と、以下のような効果がある。(1)クロックレート変
調スペクトル拡散通信方式において受信PN信号の初期
同期を獲得する際、送信信号にある期間にわたって、ト
レーニングデータとして送信電圧制御発振器(VCO)
に適当な周波数オフセットを与える信号を入力すること
で、受信遅延ロックループ(DLL)の参照PN信号の
位相をスライディングさせて、同期を獲得させることが
でき、特別な回路を必要とせず、クロックレート変調ス
ペクトル拡散通信方式の特徴である構成の簡易性を保ち
ながらも、受信PN信号の初期同期獲得を実現できる。
(2)クロックレート変調スペクトル拡散通信方式にお
いて受信PN信号の初期同期を獲得する際、送信信号に
ある期間Ttにわたって、トレーニングデータとしてト
レーニングデータ送信の開始時に振幅が0で、その後、
時間Tpにわたって時間に比例して△Vt/Tpの割合
で振幅が増加し、Tp時間以後、時間に比例して△Vt
/(Tt−Tp)の割合で減少する信号を用いること
で、送信電圧制御発振器(VCO)に周波数オフセット
を与えて、受信遅延ロックループ(DLL)の参照PN
信号の位相をスライデイングさせ、同期を獲得させるこ
とができ、特別な回路を必要とせず、クロックレート変
調スペクトル拡散通信方式の特徴である構成の簡易性を
保ちながらも、受信PN信号の初期同期獲得を実現でき
る。(3)クロックレート変調スペクトル拡散通信方式
において受信PN信号の初期同期を獲得する際、送信信
号にある時間Ttにわたって、トレーニングデータとし
て、トレーニングデータ送信開始時に振幅が0で、その
後、時間に比例して△Vt/T1の割合で振幅が増加
し、T1時間からT2時間の間、△Vtが保たれ、T2
時間後、T3時間まで時間に比例して△Vt/(T3−
T2)の割合で振幅が減少する信号を送信して、送信電
圧制御発振器(VCO)に周波数オフセットを与えて、
受信遅延ロックループ(DLL)の参照PN信号の位相
をスライディングさせ、同期を獲得させることができ、
特別な回路を必要とせず、クロックレート変調スペクト
ル拡散通信方式の特徴である構成の簡易性を保ちながら
も、受信PN信号の初期同期獲得を実現できる。(4)
トレーニング期間終了時に周波数オフセットが0になっ
ているため、受信機を遅延ロックループ(DLL)にお
ける位相同期系が定常状態に保たれており、直ちに実デ
ータの送信を開始できるだけでなく、トレーニング期間
の開始後、周波数オフセットが0から徐々に増加するた
め、急激な周波数オフセット変化を与えることなく、設
定したトレーニング期間内での初期同期獲得をより確実
におこないながら、トレーニング期間を従来より短縮す
ることができる。(5)本発明は、同期はずれの起きに
くい安定した伝送路を使った通信やデータをパケット化
して送信するような場合の初期同期獲得に特に有効であ
る。
【図1】 本発明によるスペクトル拡散通信方式におけ
る初期同期獲得方法を説明するための送信信号を示す図
である。
る初期同期獲得方法を説明するための送信信号を示す図
である。
【図2】 クロックレート変調スペクトル拡散通信方式
の送受信機の構成図である。
の送受信機の構成図である。
【図3】 スライディング相関器の構成図である。
【図4】 図3におけるトレーニングデータ及び実デー
タを発生させる回路構成を示す図である。
タを発生させる回路構成を示す図である。
【図5】 トレーニング区間の周波数オフセットによる
位相誤差信号を示す図である。
位相誤差信号を示す図である。
【図6】 トレーニングデータを用いた他の送信データ
を示す図である。
を示す図である。
【図7】 図6に示す送信データを用いた場合の位相誤
差信号を示す図である。
差信号を示す図である。
【図8】 送信データの発生を実現するための回路構成
を示す図である。
を示す図である。
【図9】 トレーニングデータのパルス列を示す図であ
る。
る。
【図10】 トレーニングデータを用いた更に他の送信
データを示す図である。
データを示す図である。
【図11】 送信データの発生を実現するための他の回
路構成を示す図である。
路構成を示す図である。
【図12】 トレーニングデータの他のパルス列を示す
図である。
図である。
【図13】 トレーニングデータを用いた更に他の送信
データを示す図である。
データを示す図である。
【図14】 送信データの発生を実現するための更に他
の回路構成を示す図である。
の回路構成を示す図である。
【図15】 トレーニングデータの更に他のパルス列を
示す図である。
示す図である。
1,10…加算器、2,11…電圧制御発振器(VC
O)、3,9…擬似雑音(PN)信号発生器、4,7…周
波数変換部、5…電力増幅部、6…増幅部、8…相関ネ
ットワーク、8a…ループフィルタ、12…遅延ロック
ループ(DLL)。
O)、3,9…擬似雑音(PN)信号発生器、4,7…周
波数変換部、5…電力増幅部、6…増幅部、8…相関ネ
ットワーク、8a…ループフィルタ、12…遅延ロック
ループ(DLL)。
Claims (7)
- 【請求項1】 擬似雑音(PN)信号を拡散信号に用
い、該拡散信号のクロックレートを情報信号で周波数変
調するスペクトル拡散通信方式において、受信機の遅延
ロックループ(DLL)における受信擬似雑音信号の初
期同期の獲得のために、送信機の電圧制御発振器(VC
O)が出力するクロックレートを情報信号で変調したデ
ータ信号を送信する前に、所定の期間トレーニング信号
として、所定の振幅値を有する信号を送信し、受信機の
VCOが出力するクロックに周波数オフセットを与える
ことで、前記受信機の遅延ロックループにおいてスライ
ディング相関をおこなわせて同期を獲得することを特徴
とするスペクトル拡散通信方式における初期同期獲得方
法。 - 【請求項2】 前記トレーニングデータとしての所定の
振幅値を有する信号が、直流信号、鋸歯状信号、三角波
状信号、台形状信号のいずれかであることを特徴とする
請求項1記載のスペクトル拡散通信方式における初期同
期獲得方法。 - 【請求項3】 前記トレーニングデータとして、トレー
ニングデータ送信開始時に最大振幅△Vtをとり、その
後、時間に比例して△Vt/Tt(Tt:トレーニング
データ送信期間)の割合で振幅が減少する信号を送信し
てクロックに周波数オフセットを与え、受信機の遅延ロ
ックループ(DLL)においてスライディング相関をお
こなわせて同期を獲得することを特徴とする請求項1記
載のスぺクトル拡散通信方式における初期同期獲得方
法。 - 【請求項4】 前記トレーニングデータとして、トレー
ニングデータ送信開始時に振幅△Vtが0で、その後、
トレーニング期間中の時間Tpに比例して、△Vt/T
pの割合で振幅が増加し、トレーニングデータ伝送開始
からTp時間後、時間に比例して△Vt/(Tt−T
p)(Tt:トレーニングデータ送信期間)の割合で振
幅が減少する信号を送信してクロックに周波数オフセッ
トを与え、受信機の遅延ロックループ(DLL)におい
てスライディング相関をおこなわせて同期を獲得するこ
とを特徴とする請求項1記載のスペクトル拡散通信方式
における初期同期獲得方法。 - 【請求項5】 前記トレーニングデータとして、トレー
ニングデータ送信開始時に振幅△Vtが0で、その後、
時間に比例して△Vt/T1の割合で振幅が増加し、T1
時間からT2時間の間、△Vtが保たれ、T2時間後、T
3時間まで時間に比例して△Vt/(T3−T2)の割合
で振幅が減少する信号を送信してクロックに周波数オフ
セットを与え、受信機の遅延ロックループ(DLL)に
おいてスライディング相関をおこなわせて同期を獲得す
ることを特徴とする請求項1記載のスペクトル拡散通信
方式における初期同期獲得方式法。 - 【請求項6】 擬似雑音(PN)信号を拡散信号に用
い、該拡散信号のクロックレートを情報信号で周波数変
調するスペクトル拡散通信方式において使用する発信機
であって、該発信機は、受信機の遅延ロックループ(D
LL)における受信擬似雑音信号の初期同期の獲得のた
めに、該送信機の電圧制御発振器(VCO)が出力する
クロックレートを情報信号で変調したデータ信号を送信
する前に、所定の期間トレーニング信号として、所定の
振幅値を有する信号を送信することを特徴とするスペク
トル拡散通信方式における発信機。 - 【請求項7】 擬似雑音(PN)信号を拡散信号に用
い、該拡散信号のクロックレートを情報信号で周波数変
調するスペクトル拡散通信方式において使用する受信機
であって、該受信機は、該受信機の遅延ロックループ
(DLL)における受信擬似雑音信号の初期同期の獲得
のために、所定の期間トレーニング信号として、送信機
からの所定の振幅値を有する信号を受信し、該受信機の
VCOが出力するクロックに周波数オフセットを与え、
該受信機の遅延ロックループにおいてスライディング相
関をおこなわせて同期を獲得することを特徴とするスペ
クトル拡散通信方式における受信機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US07/741,675 US5128957A (en) | 1990-08-10 | 1991-08-07 | Initial acquisition method in spread spectrum system and such system |
Applications Claiming Priority (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2-211875 | 1990-08-10 | ||
JP21187590 | 1990-08-10 | ||
JP2-280290 | 1990-10-18 | ||
JP28029090 | 1990-10-18 | ||
JP2-312164 | 1990-11-16 | ||
JP31216490 | 1990-11-16 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04212535A JPH04212535A (ja) | 1992-08-04 |
JP2989294B2 true JP2989294B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=27329292
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6117691A Expired - Fee Related JP2989294B2 (ja) | 1990-08-10 | 1991-03-01 | スペクトル拡散通信方式における初期同期獲得方法及びそのための送信機及び受信機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2989294B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6834087B2 (en) * | 2003-01-31 | 2004-12-21 | Nokia Corporation | Delay lock loop circuit, and associated method, for a radio receiver |
-
1991
- 1991-03-01 JP JP6117691A patent/JP2989294B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04212535A (ja) | 1992-08-04 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |