JP2989138B2 - 望遠鏡のキャップ体開閉構造 - Google Patents

望遠鏡のキャップ体開閉構造

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JP2989138B2
JP2989138B2 JP8044819A JP4481996A JP2989138B2 JP 2989138 B2 JP2989138 B2 JP 2989138B2 JP 8044819 A JP8044819 A JP 8044819A JP 4481996 A JP4481996 A JP 4481996A JP 2989138 B2 JP2989138 B2 JP 2989138B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は望遠鏡のキャップ
体開閉構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】望遠鏡の先端部の開口には望遠鏡の内部
に埃などが侵入するのを防止するために開閉自在なキャ
ップ体が設けられている。このキャップ体は手動により
開閉するもので、望遠鏡の使用時は開けられ、不使用時
は閉じられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の技術にあっては、手動によりキャップ体を開
閉する構造のため、人の背と同じ程度の高さの小型望遠
鏡であれば開閉操作を行い易いが、特に中型、大型の天
体望遠鏡のように、人の背よりもはるかに高い望遠鏡の
場合は、梯子や専用台に乗って開閉作業を行わなければ
ならず不便である。特に、夜間使用の場合は望遠鏡の周
辺も暗いため、前述のような高い所での開閉作業は安全
性の面でも問題がある。更に、大型の天体望遠鏡の場合
は、キャップ体も大きくて重いため、手動で開閉操作す
るには大きな力が必要であった。
【0004】この発明はこのような従来の技術に着目し
てなされたものであり、大きな望遠鏡でもキャップ体の
開閉操作を安全且つ容易に行える望遠鏡のキャップ体開
閉構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
望遠鏡の先端部の開口に該開口を略均等に二分割した形
状を有する二枚のキャップ体を設けると共に、該キャッ
プ体に望遠鏡の先端部の内面部付近に回動支点を有する
湾曲アームを各々接続し、該湾曲アームに組合わされた
駆動機構により、前記各キャップ体を湾曲アームの回動
支点を中心として回動自在にすることにより、キャップ
体が開口を塞いだ閉状態と、望遠鏡の長手方向に対して
90°未満の角度で開いた開状態とがそれぞれ得られる
ようになっており、且つ前記キャップ体の重心の望遠鏡
長手方向における位置が、望遠鏡長手方向に関してはキ
ャップ体の開状態と閉状態とでその方向への変位を生じ
ない。
【0006】請求項2記載の発明は、キャップ体が望遠
鏡の先端部の開口を略均等に三分割以上した形状を有
し、各キャップ体にそれぞれ対応する湾曲アームが設け
られている。
【0007】請求項3記載の発明は、駆動機構に湾曲ア
ームに対する回動抵抗付与手段が設けられている。
【0008】請求項4記載の発明は、望遠鏡の先端部の
開口縁部に湾曲アームに対応する切欠部が形成されてお
り、キャップ体の対応部に前記切欠部に相応する形状の
突起部が形成されている。
【0009】請求項1記載の発明によれば、キャップ体
を駆動機構により開閉させる構造のため、先端部の開口
が高い位置にある中型・大型望遠鏡の場合も、手動式の
ように作業者が高い所へのぼる必要はなく、作業者は望
遠鏡の下に居ながら安全且つ容易にキャップ体の開閉操
作を行うことができる。
【0010】また、二枚のキャップ体が略同一な形状で
あるため、キャップ体を開いても望遠鏡の重量バランス
は大きく変化しない。例えば、キャップ体を開口と同じ
形状の一枚物にすると、キャップ体を開いた際に、キャ
ップ体を開いた方向にのみ重量がかたよるため、望遠鏡
の先端部の重心が大きく変化してしまうことになるが、
本発明のように、同じ形状の二枚のキャップ体を左右に
開くようにすれば、左右方向での重量バランスは変化し
ない。
【0011】更に、キャップ体の重心の望遠鏡長手方向
における位置が、望遠鏡長手方向に関してはキャップ体
の開状態と閉状態とでその方向への変位を生じないた
め、長手方向での重量バランスも変化しない。
【0012】請求項2記載の発明によれば、キャップ体
が望遠鏡の先端部の開口を略均等に三分割以上した形状
のため、ぞれぞれのキャップ体のサイズが小さくなり、
開口が特に大きくなる大型望遠鏡の場合でも、キャップ
体の製造が容易である。しかも、各キャップ体の形状が
同じであることは変わりないので、重量バランスに関し
ては前記と同様な効果が得られる。
【0013】請求項3記載の発明によれば、湾曲アーム
に回動抵抗付与手段が設けられているため、開状態のキ
ャップ体に対して閉方向の力が加わっても、その逆方向
への力を前記回動抵抗付与手段により弱めることができ
る。従って、キャップ体が勢い良く急閉することによる
衝撃発生を防止し、望遠鏡の保護を図ることができる。
【0014】請求項4記載の発明によれば、望遠鏡の先
端部の開口縁部に湾曲アームに対応する切欠部が形成さ
れているため、キャップ体の開き角度を大きく確保する
ことができる。また、キャップ体の閉時には、この切欠
部をキャップ体に形成した突起部により塞ぐので、前記
切欠部からの僅かな埃の侵入も防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を図面に基づいて説明する。
【0016】図1〜図5は一実施形態を示す図である。
この実施形態では、高さが人の背よりもはるかに高い大
型の望遠鏡1の場合を例に説明する。この望遠鏡1は先
端部2を上向きにして設置されており、この先端部2が
最も高い位置にある。この先端部2には円形の開口3が
形成されており、該開口3には二枚のキャップ体4が設
けられている。開口3の周縁にはキャップ体4との当接
をやわらげるためのリング状のゴムシート3aも設けら
れている。
【0017】このキャップ体4は、それぞれ開口3を均
等に二分割した半円形状を有しており、キャップ体4の
閉時において、その一方のキャップ体4の端部4aに
は、他方のキャップ体4の端部4bを若干重ね合わせた
状態になっている(図3参照)。また、開口3の縁部に
は4つの切欠部5が形成され、キャップ体4に対応部に
は切欠部5に相応する形状の突起部6が形成されてい
る。キャップ体4の閉時においては、開口3はキャップ
体4にて塞がれ、埃などがいっさい望遠鏡1内に侵入し
ないようになっている。開口3の切欠部5もキャップ体
4の突起部6にて塞がれ、わずかな切欠部5からも埃等
が侵入しないようにされている。
【0018】前記各キャップ体4の裏面中央部にはそれ
ぞれ2本の湾曲アーム7の先端部が接続されている。こ
の湾曲アーム7の基端部は、望遠鏡1の先端部2の内面
付近に設置された回動シャフト8に連結されている。こ
の回動シャフト8は両端部が軸受9により支持されてお
り、後述する駆動機構10により、回動シャフト8の軸
心である回動支点Sを中心に回動できるようになってい
る。
【0019】すなわち、回動シャフト8には大径ギアG
1 が設けられており、この大径ギアG1 が、「回動抵抗
付与手段」としての回動抵抗体11を介在させた状態
で、駆動モータMの減速機を経た低回転で小径の出力ギ
アG2 に係合されている。回動抵抗体11はある程度の
大きな径を有する円柱体で、樹脂製の軸受12内に回動
自在に収納されている。この軸受12と回動抵抗体11
との間には所定の摩擦抵抗が付与されており、回動抵抗
体11を回動させる際には所定の摩擦抵抗が作用するよ
うになっている。この回動抵抗体11の両端には、小径
ギアG3 と大径ギアG4 とが設けられており、小径ギア
3 は前記回動シャフト8の大径ギアG1に、大径ギア
4 は駆動モータMの出力ギアG2 に係合されている。
このように、回動シャフト8の大径ギアG1 と、回動抵
抗体11の小径ギアG3 とが係合されているため、両者
のギア比により、回動シャフト8の大径ギアG1 から回
動抵抗体11の小径ギアG3 に回転力が伝達される際に
所定の抵抗力が生じることとなる。
【0020】キャップ体4を開く場合には、望遠鏡1の
下方に設けられた図示せぬスイッチを操作することによ
り駆動モータMが回転し、その回転力が回動抵抗体11
及び大径ギアG1 を介して回動シャフト8に伝達され、
両方の湾曲アーム7が回動支点Sを中心に回動しはじ
め、左右のキャップ体4がそれぞれ左右に開きはじめ
る。このように、作業者は望遠鏡1の下に居ながら安全
且つ容易にキャップ体4の開閉操作を行うことができる
ため、従来の手動式開閉機構のように作業者が高い所へ
のぼる必要はない。
【0021】キャップ体4を開いた状態で望遠鏡1の先
端部2の側面に位置し、望遠鏡1の長手方向に対して9
0°未満の角度θだけ開いた状態となる。従って、望遠
鏡1の先端部2の開口3付近が開放された状態となり、
キャップ体4が観察の邪魔にならない。このように、キ
ャップ体4を大きい角度θで開けられるのは、開口3の
縁部に形成した切欠部5内へ湾曲アーム7が入り込むか
らである。
【0022】切欠部5自体の重心W(図3参照)は概ね
湾曲アーム7の付け根付近に位置しているが、図5に示
すように、この重心Wの望遠鏡1の長手方向における位
置(望遠鏡1の支持部Xからの距離L)は、閉じた状態
でも、開いた状態でも同じである。従って、望遠鏡1の
支持部Xを中心とした長手方向での重量バランスはキャ
ップ体4の開閉による影響を受けない。
【0023】また、二枚のキャップ体4が同じ形状で、
それぞれ同じ重さのため、このキャップ体4を左右に開
いても、望遠鏡1の左右方向での重量バランスは変化し
ない。以上のように、この実施形態では、キャップ体4
の開閉が、望遠鏡1の長手方向及び左右方向での重量バ
ランスに影響しないため、支持部Xを中心とした望遠鏡
1の安定支持状態は維持され、望遠鏡1の支持部Xに負
担がかからない。
【0024】更に、キャップ体4の駆動機構10中に回
動抵抗体11が組込まれているため、開いた状態のキャ
ップ体4に対して閉方向の力が加わっても、その逆方向
への力を該回動抵抗体11の機能により弱めることがで
きる。従って、キャップ体4が勢い良く急閉することに
よる衝撃発生を防止し、望遠鏡1の保護を図ることがで
きる。尚、一般にこの種の回動抵抗付与手段としては、
ウォーム歯車による複雑な減速機構を用いるが、このよ
うな一般構造のものに比べて、本実施形態の回動抵抗付
体11は構造が簡単で故障も少ない。
【0025】尚、以上の実施形態では、開口3を均等に
二分割した二枚のキャップ体4を設ける例を示したが、
これに限定されず、均等に三分割したキャップ体13に
しても(図6及び図7参照)、均等に四分割したキャッ
プ体14にしても(図8及び図9参照)にしても良い。
【0026】更に、湾曲アーム7を動かす駆動機構10
として、各種のギアを組合わせた構造のものを例にした
が、ギアに代えてタイミングベルトを利用した機構にす
れば、キャップ体を開閉する際の音を小さく抑えること
ができる。
【0027】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、キャップ
体を駆動機構により開閉させる構造のため、先端部の開
口が高い位置にある中型・大型望遠鏡の場合も、手動式
のように作業者が高い所へのぼる必要はなく、作業者は
望遠鏡の下に居ながら安全且つ容易にキャップ体の開閉
操作を行うことができる。
【0028】また、二枚のキャップ体が略同一な形状で
あるため、キャップ体を開いても望遠鏡の重量バランス
は大きく変化しない。例えば、キャップ体を開口と同じ
形状の一枚物にすると、キャップ体を開いた際に、キャ
ップ体を開いた方向にのみ重量がかたよるため、望遠鏡
の先端部の重心が大きく変化してしまうことになるが、
本発明のように、同じ形状の二枚のキャップ体を左右に
開くようにすれば、左右方向での重量バランスは変化し
ない。
【0029】更に、キャップ体の重心の望遠鏡長手方向
における位置が、望遠鏡長手方向に関してはキャップ体
の開状態と閉状態とでその方向への変位を生じないた
め、長手方向での重量バランスも変化しない。
【0030】請求項2記載の発明によれば、キャップ体
が望遠鏡の先端部の開口を略均等に三分割以上した形状
のため、ぞれぞれのキャップ体のサイズが小さくなり、
開口が特に大きくなる大型望遠鏡の場合でも、キャップ
体の製造が容易である。しかも、各キャップ体の形状が
同じであることは変わりないので、重量バランスに関し
ては前記と同様な効果が得られる。
【0031】請求項3記載の発明によれば、湾曲アーム
に回動抵抗付与手段が設けられているため、開状態のキ
ャップ体に対して閉方向の力が加わっても、その逆方向
への力を前記回動抵抗付与手段により弱めることができ
る。従って、キャップ体が勢い良く急閉することによる
衝撃発生を防止し、望遠鏡の保護を図ることができる。
【0032】請求項4記載の発明によれば、望遠鏡の先
端部の開口縁部に湾曲アームに対応する切欠部が形成さ
れているため、キャップ体の開き角度を大きく確保する
ことができる。また、キャップ体の閉時には、この切欠
部をキャップ体に形成した突起部により塞ぐので、前記
切欠部からの僅かな埃の侵入も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る望遠鏡のキャップ
体を閉じた状態を示す斜視図。
【図2】キャップ体を開いた状態を示す図1相当の斜視
図。
【図3】図1中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【図4】図3中矢示DA方向から見た一部断面の側面
図。
【図5】望遠鏡の全体側面図。
【図6】他の実施形態に係る3枚のキャップ体を有する
望遠鏡の先端部を示す正面。
【図7】3枚のキャップ体を有する望遠鏡の先端部に開
いた状態を示す斜視図。
【図8】更に他の実施形態に係る4枚のキャップ体を有
する望遠鏡の先端部を示す正面。
【図9】4枚のキャップ体を有する望遠鏡の先端部に開
いた状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 望遠鏡 2 先端部 3 開口 4、13、14 キャップ体 5 切欠部 6 突起部 7 湾曲アーム 10 駆動機構 11 回動抵抗体(回動抵抗付与手段) S 回動支点 W 重心

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 望遠鏡の先端部の開口に該開口を略均等
    に二分割した形状を有する二枚のキャップ体を設けると
    共に、該キャップ体に望遠鏡の先端部の内面部付近に回
    動支点を有する湾曲アームを各々接続し、該湾曲アーム
    に組合わされた駆動機構により、前記各キャップ体を湾
    曲アームの回動支点を中心として回動自在にすることに
    より、キャップ体が開口を塞いだ閉状態と、望遠鏡の長
    手方向に対して90°未満の角度で開いた開状態とがそ
    れぞれ得られるようになっており、且つ前記キャップ体
    重心の望遠鏡長手方向における位置が、望遠鏡長手方
    向に関してはキャップ体の開状態閉状態とでその方向
    への変位を生じないことを特徴とする望遠鏡のキャップ
    体開閉構造。
  2. 【請求項2】 キャップ体が望遠鏡の先端部の開口を略
    均等に三分割以上した形状を有し、各キャップ体にそれ
    ぞれ対応する湾曲アームが設けられている請求項1記載
    の望遠鏡のキャップ体開閉構造。
  3. 【請求項3】 駆動機構に湾曲アームに対する回動抵抗
    付与手段が設けられている請求項1又は請求項2記載の
    望遠鏡のキャップ体開閉構造。
  4. 【請求項4】 望遠鏡の先端部の開口縁部に湾曲アーム
    に対応する切欠部が形成されており、キャップ体の対応
    部に前記切欠部に相応する形状の突起部が形成されてい
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の望遠鏡のキャッ
    プ体開閉構造。
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