JP2988769B2 - 電気湯沸器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は容器内に収容された水を
加熱保温する電気湯沸器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、電気式の湯沸器においても、手軽
に水を加熱保温できる家庭用品としての要望のみなら
ず、都市部においてはおいしい水に作り変える機能をも
所持したものが求められている。従来おいしい水に作り
変える機能として、水の沸騰を検知した後一定時間沸騰
を持続させた後に湯沸しの完了報知を行ない、その沸騰
時間中に水中のカルキ成分などを除去している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成では、一旦沸騰させた湯を全部使い切らない状
態で新たに水を追加したときは、その追加割合が把握で
きないので、沸騰時に水中のカルキ成分の存在が気にな
らない程度にまで除去しようとすると、全水沸騰未処理
のものと同等の長時間沸騰状態を維持しなければならな
いという問題を有していた。

【０００４】本発明は上記従来の問題を解決するもの
で、その第１の目的は、新しい水の追加水量に見合った
時間だけ水を加熱循環浄化させ、長時間沸騰状態を維持
させることもなく常にカルキ成分などの不要物質を十分
に除去する電気湯沸器を提供することである。

【０００５】第２の目的は、自然冷却による温度変化と
混同することなく新たに水を追加したときを精度良く検
知し、必要なときに効率よく不要物質の除去を行なう経
済的で使いよい電気湯沸器を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記第１の目的を達成す
るために本発明の電気湯沸器は、水を収容する容器と、
前記容器内の水を加熱する加熱源と、前記加熱源への通
電量を制御する制御手段と、前記水の温度を検知する温
度検知手段と、新たな水の追加を検知する水追加検知手
段と、前記水に対して複数の保温温度値から任意の保温
温度を選定する保温温度設定手段と、前記水を所定の温
度に維持させる保温手段と、前記水の容量を検知する容
量検知手段と、前記水を強制的に循環させる循環手段
と、前記循環手段にて送り込まれてきた水内の不要物質
を除去する濾過装置と、前記保温手段作動中新たな水の
追加を検知すると前記水の温度の低下量と前記水の温度
低下前の温度と前記水の温度変化後の容量検知手段の出
力値とに応じて前記循環手段の作動時間を決定する循環
時間決定手段を備えた構成を有したものである。

【０００７】また、上記第２の目的を達成するために本
発明の電気湯沸器は、水追加検知手段が水の温度を一定
の検出時間周期で検出し、その検出値が所定時間内に所
定温度幅低下したときに新たな水の追加が行なわれたと
判断し、そのときの検出温度の最初の温度検出値を水の
温度低下前の温度とするように構成したものである。

【０００８】

【作用】上記構成により、所定の温度に保温されている
水に新たな水を追加すると、水温が急速に低下すること
で水追加検知手段が検知し、そのとき、水追加前の保温
温度とそのときの温度低下量と容量検知手段で検知され
る容器内の水量とから水の追加水量を検出し、循環装置
の循環能力と濾過装置の濾過効率にしたがって、追加水
量に見合った循環装置動作時間を自動的に決定し、容器
内の水が加熱されている間に循環装置を作動させ、沸騰
状態に到達したときにはすでにカルキ成分は十分除去で
きた状態とすることができる。

【０００９】さらに、水の加熱沸騰後所定の保温温度に
移行する際の温度降下や、容器内部での水の対流などに
より上下に変動する温度のゆれを水の追加による急速な
温度降下と明確に区別し、信頼性の高い水追加検知機能
を兼ね備えたものとすることができる。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
ながら説明する。図１は本発明の一実施例の電気湯沸器
の全体構成図である。図１において、本体容器１内に上
面開口の容器２が収容され、容器２の上部を覆う蓋３が
配置されている。また容器２の内部の水を加熱する加熱
源４と容器２の内部の水温を検知する温度センサー５と
が下方に配置されている。

【００１１】容器２は下方の排出口６から電動ポンプ７
を介して導水管８に連通する水路が形成され、水路切り
替え装置９内の弁10の位置により外部導出口11あるいは
内部導出口12の何れかを選択して導水管８から水が送り
出される。内部導出口12より排出された水は、活性炭な
どを内蔵した濾過装置16を通りもとの容器２へもどされ
る。

【００１２】モータ13は電動ポンプ７を駆動して導水管
８から水を送り出すためのものである。また操作つまみ
14を操作するとスイッチ15の接点が切り替わり、その信
号により弁10が動作し導水管８は外部導出口11側に切り
替わると同時にモータ13が動作し容器２内の水を外部へ
導く。

【００１３】温度センサ５の信号より温度検知手段18は
水温を検知し、その信号を容器２内の水量を検知する容
量検知手段19と、循環時間決定手段20と、水を一定温度
に保つ保温手段22と、新たに水が追加されたかを検知す
る水追加検知手段23とに入力する。

【００１４】容量検知手段19出力は循環時間決定手段20
と制御手段21に入力され、循環時間決定手段20は入力信
号に応じてモータ13へ駆動信号を出力する。保温手段22
は温度検知手段18の出力と保温温度設定手段17の出力と
を比較し、その結果を制御手段21へ出力する。制御手段
21は加熱源４への通電量を決定する。水追加検知手段23
は温度検知手段18で検知される温度変化を絶えず検知し
ており、水温が急速に低下したとき新たな水が追加され
たものと判定し、その結果を循環時間決定手段20に出力
する。

【００１５】このように構成された電気湯沸器につい
て、その動作を図２を用いて説明する。図２は容器２に
圧接して取り付けられた温度センサー５の検知温度変化
を、加熱源４に通電された後の時間経過に対して示した
ものである。時間ｔ０では保温手段22は保温温度設定手
段17により設定された温度と温度検知手段18の出力との
大小関係を検知し、温度検知手段18の出力が大なるとき
は加熱源への通電量を小さくするように、また温度検知
手段18の出力が小なるときは逆に加熱源への通電量を大
きくするように制御手段21に出力信号を送り、水を常に
温度θ０に保温している。

【００１６】温度検知手段18は絶えず水温を測定してお
り、時間ｔ１で新たに水（水量Ｗ１、水温θ１）が追加
されると、図２に示すように、水温はθａまで低下す
る。ここで、初期水量をＷ０とすると、この初期水量Ｗ
０と追加水量Ｗ１との間に次の関係式が成立する。

【００１７】 Ｗ１／Ｗ０＝（θ０−θａ）／（θａ−θ１） Ｗ０＝Ｗ１・（θａ−θ１）／（θ０−θａ） 次に、容量検知手段19により所定温度範囲（θ２〜θ
３）の単位時間当りの温度上昇勾配（Δθ／Δｔ）に所
定の係数を乗算して容器２内の水量Ｗを算出する。この
ときの水量Ｗは次の式で表わされる。

【００１８】Ｗ＝Ｃ・（Δθ／Δｔ） なお、Ｃは容器断面面積や単位時間の加熱量によって決
定される定数である。また容器２内の水量Ｗと追加水量
Ｗ１との間には次の関係式が成立する。

【００１９】Ｗ＝Ｗ１＋Ｗ０ ＝Ｗ１｛１＋（θａ−θ１）／（θ０−θａ）｝ 以上より追加水量Ｗ１は式(1) のようになる。

【００２０】 Ｗ１＝Ｃ・（Δθ／Δｔ）／｛１＋（θａ−θ１）／（θ０−θａ）｝…(1) ここで、θ０は保温温度決定手段17で選定された保温温
度つまり水温低下前の温度であり、（θ０−θａ）は水
追加によって生ずる温度低下量であり、Ｃ・（Δθ／Δ
ｔ）は容量検知手段19の出力値である。

【００２１】次に循環時間決定手段20は式(1) で求めた
追加水量Ｗ１に基づき、図３に示した特性曲線で定めら
れた循環時間Ｔを決定する。特性曲線は単位時間当りに
一定の比率で不要物質が除去されるため、追加水量が多
い程循環時間も指数関数的に増大していく。このとき循
環時間決定手段20は図４にその一例を示したように、上
記θ０をパラメータとするθａとＣ（Δθ／Δｔ）を変
数としたｎ×ｍマトリックス格子を形成し、θ１は常温
水温でほぼ一定とみなし、式(1) から求められる追加水
量に応じた循環時間を事前に前記マトリックス格子点に
記録した値（Ｔｉｊ）を読みだして決定するものであ
る。なお、上記循環時間決定手段20の機能はマイクロコ
ンピュータに置き換えることによって容易に実現できる
ことは言うまでもない。

【００２２】また沸騰状態に近ずくにつれ温度上昇勾配
（Δθ／Δｔ）は０に近ずき、時間ｔ４の時点で制御手
段21は水の沸騰を検知して加熱源４への通電量を低減さ
せ沸騰から再び設定された保温状態へと変化する。

【００２３】次に本実施例の電気湯沸器における水追加
検知手段における動作を図５に、動作フローチャートを
図６に示して説明する。図５、図６において、水追加検
知手段23は前記水の温度を一定の検出時間周期Ｔｓで検
出し、その検出値（φｉ−φｉ＋ｎ）が所定時間（ｎ・
Ｔｓ：ｎは整数）内に所定温度幅（Δφｓ）未満のとき
は新たな水の追加が行なわれたと判断せず、新たな水の
追加が実際行なわれると検出値（φｊ−φｊ＋ｎ）は所
定時間（ｎ・Ｔｓ）内に所定温度幅（Δφｓ）以上低下
し、そのときに初めて水追加を検知して、そのときの検
出温度の最初の温度検出値（φｊ−１）を水の温度低下
前の温度（θ０）とする。

【００２４】以上のように本実施例によれば、容器内の
水温を検知することによって水が追加されたことを検知
し、どのような保温温度状態においても追加水量に応じ
た最適最短循環時間を決定する。したがって追加水量が
多いときには循環時間を長く、少ないときには短くし、
最低必要限のカルキ成分などの不要物質を除去し得る循
環時間を自動的に決定することができる。

【００２５】さらに水の加熱沸騰後所定の保温温度に移
行する際の温度降下や、容器内部での水の対流などによ
り上下に変動する温度のゆれを水の追加による急速な温
度降下と明確に区別し、信頼性の高い水追加検知機能を
兼ね備えたものとすることができる。

【００２６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、強制濾過
装置を内蔵したものにおいて、保温状態で新たな水を追
加したとき、そのときの追加水量に応じて循環時間を決
定する循環時間決定手段を設けることによって、自動的
に容器内への追加水量が多いときには循環時間を長くし
少ないときは短くし、最低必要限のカルキ成分などの不
要物質を除去できる。さらに新たな水を追加したことを
内蔵されている温度センサーで精度よく検知でき、別途
部品の必要もない経済的で使いやすい電気湯沸器を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の電気湯沸器の全体構成図で
ある。

【図２】本発明の一実施例の電気湯沸器における水温変
動動作説明図である。

【図３】本発明の一実施例の電気湯沸器における追加水
量と循環時間との関係を示す特性図である。

【図４】本発明の一実施例の電気湯沸器の循環時間決定
手段におけるマトリックス格子表を説明する図である。

【図５】本発明の一実施例の電気湯沸器の水追加検知手
段における水温検知動作説明図である。

【図６】本発明の一実施例の電気湯沸器の水追加検知手
段における動作フローチャート図である。

【符号の説明】

２ 容器 ４ 加熱源 13 モータ（循環装置） 16 濾過装置 17 保温温度設定手段 18 温度検知手段 19 容量検知手段 20 循環時間決定手段 21 制御手段 22 保温手段 23 水追加検知手段

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−280729（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−22310（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−161545（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−7530（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A47J 27/21 101

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水を収容する容器と、前記容器内の水を
   加熱する加熱源と、前記加熱源への通電量を制御する制
   御手段と、前記水の温度を検知する温度検知手段と、新
   たな水の追加を検知する水追加検知手段と、前記水に対
   して複数の保温温度値から任意の保温温度を選定する保
   温温度設定手段と、前記水を所定の温度に維持させる保
   温手段と、前記水の容量を検知する容量検知手段と、前
   記水を強制的に循環させる循環手段と、前記循環手段に
   て送り込まれてきた水に含まれる不要物質を除去する濾
   過装置と、前記保温手段作動中新たな水の追加を検知す
   ると前記水の温度の低下量と前記水の温度低下前の温度
   と前記水の温度変化後の容量検知手段の出力値とに応じ
   て前記循環手段の作動時間を決定する循環時間決定手段
   を備えた電気湯沸器。
2. 【請求項２】 水追加検知手段は、水の温度を一定の検
   出時間周期で検出し、その検出値が所定時間内に所定温
   度幅低下したときに新たな水の追加が行なわれたと判断
   し、そのときの検出温度の最初の温度検出値を水の温度
   低下前の温度とする特許請求の範囲第１項記載の電気湯
   沸器。