JP2987331B2 - 粘弾性ダンパーを用いたブレース構造 - Google Patents

粘弾性ダンパーを用いたブレース構造

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JP2987331B2
JP2987331B2 JP8191708A JP19170896A JP2987331B2 JP 2987331 B2 JP2987331 B2 JP 2987331B2 JP 8191708 A JP8191708 A JP 8191708A JP 19170896 A JP19170896 A JP 19170896A JP 2987331 B2 JP2987331 B2 JP 2987331B2
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健一 樫原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震や強風等の外
乱によって生じる建築構造物の振動を減衰させるために
用いられる粘弾性ダンパーを用いたブレース構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】建築構築物の高層化、大スパン化に伴
い、地震や強風等の外乱によって生じる建築構造物の大
きな振動(揺れ)を制振制御するための方策が要望され
ている。この要望に応えるため、従来より、 (1) 柱・梁等の断面を大きくして建築構造物の剛性を向
上させる方法 (2) 壁あるいはブレースを設置して建築構造物の耐力を
向上させる方法 (3) 柱や梁の剪断補強等により靭性を向上させる方法 (4) 地震や強風等の外乱のエネルギを建築構造物に入力
させない方法、具体的には、TMD等の付加質量方式、
ダンパーを設置するパッシプ制振方式、それらを積極的
に制御するアクティブ制振方式、免震構造方式等が提案
され、実用化されてきている。
【0003】しかし、上記従来の制振方法のうち、(1)
の方法は、建築構造物の階高が高くなり、荷重が増加し
て建築コストが上昇する等の問題があり、(2)の方法
は、壁あるいはブレースを設置する個所について制約を
受け、高い耐力と剛性を持つために周囲の本体構造物が
先に破壊されることがある等の問題があり、(3)の方法
は、周囲の本体構造物への影響は小さいものの、終局時
の水平変位までは制御できず、施工が複雑となり、工期
及び建築コストの点で問題があり、(4)の方法は、付加
質量やダンパーと建築構造物自体の固有振動数の同調が
難しく、また、建築構造物の重量が大きくなると、制振
装置や免震装置の構築コストが高くなる等の問題があっ
た。
【0004】ところで、近年になって、構造が簡易で、
かつ、低コストの振動の減衰方法として、ブレース構造
に粘弾性ダンパーを組み込み、この粘弾性ダンパー内に
充填された粘弾性体の剪断変形によって地震や強風等の
外乱によって生じる建築構造物の振動を減衰させる方法
が注目されてきた。
【0005】このブレース構造に粘弾性ダンパーを組み
込む方法は、上記のとおり、構造が簡易で、かつ、低コ
ストであるという利点を有するものの、粘弾性ダンパー
自体の強度を大きくすることが困難なため、例えば、大
地震等により極めて大きな振動、すなわち、大きな変位
が粘弾性ダンパーに加わると、この粘弾性ダンパーが最
初に降伏、破損してしまい、大きな振動に対しては振動
の減衰効果を期待できないという問題に加え、一度降
伏、破損した粘弾性ダンパーは、再使用できないという
問題があった。これに対処するため、粘弾性ダンパーを
備えたブレース構造の軸方向の断面積を粘弾性ダンパー
以外の部分において一部小さく構成し、通常の振動に対
しては、粘弾性ダンパー内に充填された粘弾性体の剪断
変形によってこれを減衰させ、大きな振動に対しては、
粘弾性体の剪断変形に加えて、断面積を小さく構成した
ブレース構造の塑性変形によってこれを減衰させるよう
にし、これにより、粘弾性ダンパーが降伏、破損する前
に断面積を小さく構成したブレース構造に塑性変形を起
こさせ、粘弾性ダンパー及び周囲の本体構造物が降伏、
破損することを防止することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ブレース構造の軸方向の断面積を粘弾性ダンパー以外の
部分において一部小さく構成する方式のものは、粘弾性
ダンパーの軸方向に作用する応力の方向、具体的には、
引張と圧縮に対する応力の吸収特性が異なり、特に、圧
縮応力に対しては、断面積を小さく構成したブレース構
造に座屈が生じることから、安定した振動の減衰効果並
びに粘弾性ダンパー及び周囲の本体構造物の破損防止効
果を得ることができないという問題点を有していた。
【0007】本発明は、上記のブレース構造の軸方向の
断面積を粘弾性ダンパー以外の部分において一部小さく
構成する方式のものの有する問題点を解決し、ブレース
構造に粘弾性ダンパーを組み込む方法の有する、構造が
簡易で、かつ、低コストであるという利点を生かしなが
ら、安定した振動の減衰効果及び粘弾性ダンパー及び周
囲の本体構造物の破損防止効果を得ることができる粘弾
性ダンパーを用いたブレース構造を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の粘弾性ダンパーを用いたブレース構造は、
ブレース部材を、粘弾性ダンパーと、この粘弾性ダンパ
ーの端部に形成した、粘弾性ダンパーの軸方向に作用す
る過大な引張応力と圧縮応力に対して略等しい特性を示
してこれら応力を吸収する先行降伏部材とから構成した
ことを特徴とする。
【0009】そして、具体的には、粘弾性ダンパーの軸
方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対して略等
しい特性を示してこれら応力を吸収する先行降伏部材と
しては、 (1) 粘弾性ダンパーに突設したブラケットと建築構造物
側に固定したブラケットとをボルト・ナットの締付力に
よって接続する接続プレートから構成し、両ブラケット
と接続プレートとの相対的なすべりにより過大な応力を
吸収するようにしたもの (2) 粘弾性ダンパーに突設したブラケットと建築構造物
側に固定したブラケットとを接続する形鋼から構成し、
形鋼のウェブの曲げによる塑性変形により過大な応力を
吸収するようにしたもの (3) 粘弾性ダンパーに突設したブラケットと建築構造物
側に固定したブラケットとを接続する形鋼から構成し、
形鋼のウェブの剪断による塑性変形により過大な応力を
吸収するようにしたものを用いることができる。
【0010】これにより、通常の振動に対しては、粘弾
性ダンパーの変形によってこれを減衰させ、大きな振動
に対しては、粘弾性ダンパーの変形に加えて、先行降伏
部材の塑性変形によってこれを減衰させるようにし、こ
れにより、粘弾性ダンパーが降伏、破損する前に先行降
伏部材に塑性変形を起こさせ、粘弾性ダンパー及び周囲
の本体構造物が降伏、破損することを防止する。このと
き、先行降伏部材は、粘弾性ダンパーの軸方向に作用す
る過大な引張応力と圧縮応力に対して略等しい特性を示
してこれら応力を吸収するものであるため、安定した振
動の減衰効果並びに粘弾性ダンパー及び周囲の本体構造
物の破損防止効果を得ることができる。
【0011】この場合において、粘弾性ダンパーとして
は、内部に仕切板を有するとともに、一端側に開口部を
形成した粘弾性ダンパーの一端側を構成する外筒と、外
筒の開口部から外筒内に外筒の内壁又は仕切板と対向す
るように挿入した粘弾性ダンパーの他端側を構成する複
数枚の内挿板と、外筒の内部に充填した粘弾性体とから
構成したものを用いることができる。
【0012】これにより、粘弾性体及び内挿板をを外筒
により拘束することができ、粘弾性ダンパーの強度を向
上することができるとともに、安定した振動の減衰効果
を得ることができる。また、外筒の内壁又は仕切板と対
向するように複数枚の内挿板を挿入することにより、単
位容積当たりの粘弾性ダンパーの振動の減衰効果が向上
し、粘弾性ダンパーを小形化することができるととも
に、仕切板及び内挿板の枚数を変更することにより、粘
弾性ダンパーの振動の減衰特性を任意に設定することが
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の粘弾性ダンパーを
用いたブレース構造の実施の形態を図面に基づいて説明
する。
【0014】図1〜図3は、本発明の粘弾性ダンパーを
用いたブレース構造の第1実施例を示す。このブレース
構造は、対角線上に位置する柱1と梁2の接合部に溶接
されたブラケット3,3間に掛け渡されたブレース部材
を、粘弾性ダンパー5と、この粘弾性ダンパー5の一端
側に形成した先行降伏部材4とから構成したものであ
る。
【0015】先行降伏部材4は、粘弾性ダンパー5に突
設したブラケット55と柱1と梁2の接合部に溶接され
たブラケット3とをボルト4B・ナット4Nの締付力に
よって接続する接続プレート40から構成し、粘弾性ダ
ンパー5の軸方向に過大な応力が作用した場合に、ボル
ト4B・ナット4Nによる締付力(摩擦力)に打ち勝っ
て、両ブラケット3,55と接続プレート40とに相対
的なすべりを生じさせ、これにより、過大な応力を吸収
するようにするものである。ブラケット3,55と接続
プレート40とに相対的なすべりを生じるさせることが
できるように、両ブラケット3,55のボルト孔3H,
55Hと接続プレート40のボルト孔41の少なくとも
一方(本実施例においては、接続プレート40のボルト
孔41)は、長孔に形成するようにする。なお、長孔の
長手方向の寸法Lは、予想される最大の振動に対して必
要となる両ブラケット3,55と接続プレート40との
相対的なすべり量に基づいて設計するようにする。この
先行降伏部材4は、ブラケット3,55と接続プレート
40とに相対的なすべりを生じさせることにより、粘弾
性ダンパー5の軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮
応力に対して、略等しい特性を示してこれら応力を吸収
するものであるため、安定した振動の減衰効果並びに粘
弾性ダンパー5及び柱1と梁2等の周囲の本体構造物の
破損防止効果を得ることができる。また、先行降伏部材
4は、ブラケット3,55と接続プレート40とに相対
的なすべりを生じても、振動が止まれば、両ブラケット
3,55と接続プレート40には、ボルト4B・ナット
4Nによる締付力(摩擦力)が作用するため、そのまま
で、当初(すべりが生じる前)と同様の振動の減衰の機
能を有するものである。
【0016】粘弾性ダンパー5は、図3(a)にその断
面を示すように、内部に1枚の仕切板51aを有すると
ともに、一端側に開口部を形成した粘弾性ダンパー5の
一端側を構成する一側面を蓋54に形成した外筒51
と、外筒51の開口部から外筒51内に外筒51の内壁
及び仕切板51aと対向するように挿入した粘弾性ダン
パー5の他端側を構成する2枚の内挿板52と、外筒5
1の内部の空隙に充填した高分子材料を原料とする粘弾
性体53とから構成する。この場合において、外筒51
内に挿入した内挿板52の摺動及び外筒51の内部に充
填した粘弾性体53の変形を許容するために、外筒51
内部の最奥部に空間57を形成するようにする。これに
より、粘弾性体53を外筒51により拘束することがで
き、粘弾性ダンパー5の強度を向上することができると
ともに、安定した振動の減衰効果を得ることができ、ま
た、外筒51の内壁及び仕切板51aと対向するように
複数枚の内挿板52を挿入することにより、単位容積当
たりの粘弾性ダンパー5の振動の減衰効果が向上し、粘
弾性ダンパー5を小形化することが可能となる。また、
仕切板51a及び内挿板52の枚数は、図3(a)に示
す、それぞれ1枚と2枚に限定されず、例えば、図3
(b)に示すように、それぞれ2枚と3枚に設定する
等、任意の数に設定することができ、これにより、粘弾
性ダンパー5の振動の減衰特性を任意に設定することが
できる。なお、粘弾性ダンパー5の他端側は、粘弾性ダ
ンパー5に突設したブラケット56と柱1と梁2の接合
部に溶接されたブラケット3とを、接続プレート6を介
して、ボルト・ナットによって強固に接続するようにす
る。
【0017】図4〜図5は、本発明の粘弾性ダンパーを
用いたブレース構造の第2実施例を示す。このブレース
構造は、上記第1実施例と同様、対角線上に位置する柱
1と梁2の接合部に溶接されたブラケット3,7間に掛
け渡されたブレース部材を、粘弾性ダンパー5と、この
粘弾性ダンパー5の一端側に形成した先行降伏部材8と
から構成したものである。
【0018】先行降伏部材8は、粘弾性ダンパー5に突
設したブラケット55と柱1と梁2の接合部に溶接され
たブラケット7とをボルト・ナット84によって強固に
接続する形鋼80,80から構成し、粘弾性ダンパー5
の軸方向に過大な応力が作用した場合に、形鋼80,8
0のウェブ81,81に曲げによる塑性変形を生じさ
せ、これにより、過大な応力を吸収するようにするもの
である。形鋼80,80のウェブ81,81に曲げによ
る塑性変形を生じさせることができるように、本実施例
においては、形鋼80,80を断面コ字形のみぞ形鋼で
構成し、このみぞ形鋼のウェブ81,81が平行となる
ように、みぞ形鋼の一方のフランジ82,82を粘弾性
ダンパー5に突設したブラケット55に、他方のフラン
ジ83,83を柱1と梁2の接合部に溶接されたブラケ
ット7に、それぞれボルト・ナット84によって強固に
接続するようにする。この先行降伏部材8は、形鋼8
0,80のウェブ81,81に曲げによる塑性変形を生
じさせることにより、粘弾性ダンパー5の軸方向に作用
する過大な引張応力と圧縮応力に対して、略等しい特性
を示してこれら応力を吸収するものであるため、安定し
た振動の減衰効果並びに粘弾性ダンパー5及び柱1と梁
2等の周囲の本体構造物の破損防止効果を得ることがで
きる。なお、ウェブ81,81に曲げによる塑性変形を
生じた先行降伏部材8は、必要に応じて、先行降伏部材
8のみを新しい先行降伏部材8に交換することにより、
当初と同様の振動の減衰の機能を有するものである。
【0019】なお、本実施例の粘弾性ダンパー5等のそ
の他の構成は、上記第1実施例のものと同様である。
【0020】図6〜図7は、本発明の粘弾性ダンパーを
用いたブレース構造の第3実施例を示す。このブレース
構造は、上記第1実施例と同様、対角線上に位置する柱
1と梁2の接合部に溶接されたブラケット3,10間に
掛け渡されたブレース部材を、粘弾性ダンパー5と、こ
の粘弾性ダンパー5の一端側に形成した先行降伏部材9
とから構成したものである。
【0021】先行降伏部材9は、粘弾性ダンパー5に突
設したブラケット55と柱1と梁2の接合部に溶接され
たブラケット10とをボルト・ナット94によって強固
に接続する形鋼90から構成し、粘弾性ダンパー5の軸
方向に過大な応力が作用した場合に、形鋼90のウェブ
91に剪断による塑性変形を生じさせ、これにより、過
大な応力を吸収するようにするものである。形鋼90の
ウェブ91に剪断による塑性変形を生じさせることがで
きるように、本実施例においては、形鋼90をH形鋼で
構成し、このH形鋼のフランジ92間に補強板93を溶
接するようにする。この先行降伏部材9は、主として、
形鋼90のフランジ92間に溶接した補強板93より外
側のウェブ91に剪断による塑性変形を生じさせること
により(これに加えて、本実施例の場合、形鋼90をH
形鋼で構成しているため、形鋼90のフランジ92間に
溶接した補強板93より外側のフランジ92に曲げによ
る塑性変形を生じさせることにより)、粘弾性ダンパー
5の軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対し
て、略等しい特性を示してこれら応力を吸収するもので
あるため、安定した振動の減衰効果並びに粘弾性ダンパ
ー5及び柱1と梁2等の周囲の本体構造物の破損防止効
果を得ることができる。なお、ウェブ91に剪断による
塑性変形を生じた先行降伏部材9は、必要に応じて、先
行降伏部材9のみを新しい先行降伏部材9に交換するこ
とにより、当初と同様の振動の減衰の機能を有するもの
である。
【0022】なお、本実施例の粘弾性ダンパー5等のそ
の他の構成は、上記第1実施例のものと同様である。
【0023】
【発明の効果】本発明の粘弾性ダンパーを用いたブレー
ス構造によれば、通常の振動に対しては、粘弾性ダンパ
ーの変形によってこれを減衰させ、大きな振動に対して
は、粘弾性ダンパーの変形に加えて、先行降伏部材の塑
性変形によってこれを減衰させるようにし、これによ
り、ブレース構造に粘弾性ダンパーを組み込む方法の有
する、構造が簡易で、かつ、低コストであるという利点
を生かしながら、粘弾性ダンパーが降伏、破損する前に
先行降伏部材に塑性変形を起こさせ、粘弾性ダンパー及
び周囲の本体構造物が降伏、破損することを防止するこ
とができる。このため、例えば、大地震等により極めて
大きな振動、すなわち、大きな変位がブレース構造に加
わっても、少なくとも粘弾性ダンパーは、再使用するこ
とができ、一層の低コスト化を図ることができる。そし
て、特に、本発明に用いる先行降伏部材は、粘弾性ダン
パーの軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対
して略等しい特性を示してこれら応力を吸収するもので
あるため、安定した振動の減衰効果並びに粘弾性ダンパ
ー及び周囲の本体構造物の破損防止効果を得ることがで
きる。
【0024】また、粘弾性ダンパーに突設したブラケッ
トと建築構造物側に固定したブラケットとをボルト・ナ
ットの締付力によって接続する接続プレートから構成
し、両ブラケットと接続プレートとの相対的なすべりに
より過大な応力を吸収するようにすることにより、振動
が止まれば、両ブラケットと接続プレートには、ボルト
・ナットによる締付力が作用するため、そのままで、当
初(すべりが生じる前)と同様の振動の減衰の機能を発
揮させることができ、新しい先行降伏部材に交換する必
要がなく、一層の低コスト化を図ることができる。
【0025】また、粘弾性ダンパーに、内部に仕切板を
有するとともに、一端側に開口部を形成した粘弾性ダン
パーの一端側を構成する外筒と、外筒の開口部から外筒
内に外筒の内壁又は仕切板と対向するように挿入した粘
弾性ダンパーの他端側を構成する複数枚の内挿板と、外
筒の内部に充填した粘弾性体とから構成したものを用い
ることにより、粘弾性体及び内挿板を外筒により拘束す
ることができ、粘弾性ダンパーの強度を向上することが
できるとともに、安定した振動の減衰効果を得ることが
できる。また、外筒の内壁又は仕切板と対向するように
複数枚の内挿板を挿入することにより、単位容積当たり
の粘弾性ダンパーの振動の減衰効果が向上し、粘弾性ダ
ンパーを小形化することができるとともに、仕切板及び
内挿板の枚数を変更することにより、粘弾性ダンパーの
振動の減衰特性を任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘弾性ダンパーを用いたブレース構造
の第1実施例を示す正面図である。
【図2】同先行降伏部材の説明図で、(a)は拡大正面
図、(b)は(a)のBーB断面図、(c)は(a)の
CーC断面図である。
【図3】同粘弾性ダンパーの断面図(図1のAーA断面
図)である。
【図4】本発明の粘弾性ダンパーを用いたブレース構造
の第2実施例を示す正面図である。
【図5】同先行降伏部材の説明図である。
【図6】本発明の粘弾性ダンパーを用いたブレース構造
の第3実施例を示す正面図である。
【図7】同先行降伏部材の説明図で、(a)は図6のD
ーD断面図、(b)は図6のEーE断面図である。
【符号の説明】
1 柱 2 梁 3 ブラケット 4 先行降伏部材 40 接続プレート 41 長孔 4B ボルト 4N ナット 5 粘弾性ダンパー 51 外筒 51a 仕切板 52 内挿板 53 粘弾性体 54 蓋 55 ブラケット 6 接続プレート 7 ブラケット 8 先行降伏部材 80 形鋼(みぞ形鋼) 81 ウェブ 9 先行降伏部材 90 形鋼(H形鋼) 91 ウェブ 10 ブラケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 裕重 大阪府大阪市中央区北久宝寺町3丁目6 番1号 株式会社鴻池組内 (56)参考文献 特開 昭64−1877(JP,A) 特開 平3−199542(JP,A) 特開 平1−250539(JP,A) 特開 平6−49923(JP,A) 実開 昭49−39208(JP,U) 実開 平4−93531(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04H 9/02 - 9/02 311

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレース部材を、粘弾性ダンパーと、こ
    の粘弾性ダンパーの端部に形成した、粘弾性ダンパーの
    軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対して略
    等しい特性を示してこれら応力を吸収する先行降伏部材
    とから構成した粘弾性ダンパーを用いたブレース構造で
    あって、前記先行降伏部材を、粘弾性ダンパーに突設し
    たブラケットと建築構造物側に固定したブラケットとを
    ボルト・ナットの締付力によって接続する接続プレート
    から構成し、両ブラケットと接続プレートとの相対的な
    すべりにより過大な応力を吸収するようにしたことを特
    徴とする粘弾性ダンパーを用いたブレース構造。
  2. 【請求項2】 ブレース部材を、粘弾性ダンパーと、こ
    の粘弾性ダンパーの端部に形成した、粘弾性ダンパーの
    軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対して略
    等しい特性を示してこれら応力を吸収する先行降伏部材
    とから構成した粘弾性ダンパーを用いたブレース構造で
    あって、前記先行降伏部材を、粘弾性ダンパーに突設し
    たブラケットと建築構造物側に固定したブラケットとを
    接続する形鋼から構成し、形鋼のウェブの曲げによる塑
    性変形により過大な応力を吸収するようにしたことを特
    徴とする粘弾性ダンパーを用いたブレース構造。
  3. 【請求項3】 ブレース部材を、粘弾性ダンパーと、こ
    の粘弾性ダンパーの端部に形成した、粘弾性ダンパーの
    軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対して略
    等しい特性を示してこれら応力を吸収する先行降伏部材
    とから構成した粘弾性ダンパーを用いたブレース構造で
    あって、前記先行降伏部材を、粘弾性ダンパーに突設し
    たブラケットと建築構造物側に固定したブラケットとを
    接続する形鋼から構成し、形鋼のウェブの剪断による塑
    性変形により過大な応力を吸収するようにしたことを特
    徴とする粘弾性ダンパーを用いたブレース構造。
  4. 【請求項4】 粘弾性ダンパーを、内部に仕切板を有す
    るとともに、一端側に開口部を形成した粘弾性ダンパー
    の一端側を構成する外筒と、外筒の開口部から外筒内に
    外筒の内壁又は仕切板と対向するように挿入した粘弾性
    ダンパーの他端側を構成する複数枚の内挿板と、外筒の
    内部に充填した粘弾性体とから構成したことを特徴とす
    る請求項1、2又は3記載の粘弾性ダンパーを用いたブ
    レース構造。
JP8191708A 1996-07-22 1996-07-22 粘弾性ダンパーを用いたブレース構造 Expired - Lifetime JP2987331B2 (ja)

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