JP2986339B2 - 水中泥状堆積物の減容法 - Google Patents

水中泥状堆積物の減容法

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JP2986339B2 JP6157991A JP15799194A JP2986339B2 JP 2986339 B2 JP2986339 B2 JP 2986339B2 JP 6157991 A JP6157991 A JP 6157991A JP 15799194 A JP15799194 A JP 15799194A JP 2986339 B2 JP2986339 B2 JP 2986339B2
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勝利 三好
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Yamahiro Co Ltd
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Kajima Corp
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  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)
  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,湖沼,河川,池,湾口
などにおいて,泥状物が堆積して水深が浅くなった個所
を,泥状物を除去せずに水深を深くする泥状物の減容法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より,水中泥状堆積物(ヘドロ)の
浚渫はポンプによる除去或いはグラブ(浚渫船)からの
クラムシェルバケットによる除去が行われている。陸揚
げされた泥状物は,殆んどの場合そのままでは水分を多
量に含み埋立てに利用することができない。したがっ
て,セメントや石灰分を含む固化剤を用いて土塊に固め
て埋立てに使用するか,或いは高分子系または無機系の
凝集剤を用いて凝集化したうえ,シックナー等での自重
沈降と遠心脱水機やプレス脱水機等の機械脱水との組合
せでケーキ状として埋立てに使用するのが通常である。
【0003】特開昭58−51997号公報には,有機
性汚泥に対して高分子凝集剤のほかにアルギン酸ナトリ
ウムと多価金属塩(ポリ硫酸鉄,硫酸第1鉄,ポリ塩化
アルミニウム,消石灰,塩化カルシウム等)を凝集剤と
して使用すると,含水率の低い脱水ケーキが得られると
記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来法はいずれ
も水中堆積物を除去することによって水深を深くするも
のであるから,堆積物の陸揚げ作業が必要であり,この
ための設備と堆積物の後処理が不可欠である。したがっ
て,いきおい処理費用は嵩む。
【0005】加えて,泥状物にセメントや石灰分等の固
化剤を用いて固化する方法では,固められた土塊は強度
のアルカリ性を示すので,これを埋立てに用いた場合に
は環境に影響を与え,地下水にもその影響が及ぶことが
ある。このため,酸性物質を用いて中和することも行わ
れているが,酸性物質の添加量の管理が難しく,過剰に
添加した場合には,逆に酸性汚染を起こすことになる。
【0006】凝集剤と機械設備を用いて脱水ケーキとす
る方法でも,多量の二次水が発生するので,その処理を
含めると,大掛かりな設備と時間を必要とする。
【0007】凝集剤の1種として特開昭58−5199
7号公報に提案されたアルギン酸ナトリウムと多価金属
塩を用いる方法は,アルギン酸ナトリウム自体が薬品の
乳化剤や食品添加剤として使用されているように,人体
に無害であるという利点があるが,アルギン酸ナトリウ
ムと多価金属とを反応させて繊維ゲル状にして凝集させ
るものであるから,下水,し尿,産業廃水等から生ずる
有機性汚泥を対象とする場合には該公報に記載のように
凝集効果があることは理解できても,無機物質が多量に
存在する水中堆積物に対しての効果は不明であり,該公
報にも記載がない。
【0008】このような状況に鑑み,本発明は浚渫しな
くても水中の泥状堆積物を水中で凝集減容させて水深を
深くする方法の開発を目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,水中の
泥状堆積物中にアルギン酸ナトリウムと反応遅延剤の混
合物を注入し,次いで二価以上の金属塩を注入すること
からなる水中泥状堆積物の水中減容法を提供する。
【0010】ここで,反応遅延剤としては,各種のリン
酸塩,炭酸塩またはクエン酸塩が使用でき,また二価以
上の金属塩としては,水に溶解して多価金属のイオンが
供給できるものであればよいが安価で無害な点から塩化
カルシウムが好適である。
【0011】
【作用】先ずアルギン酸ナトリウムと反応遅延剤を水中
の堆積物中に注入すると,この状態では,アルギン酸ナ
トリウムが水中の金属イオンと反応して架橋(繊維化)
するのを反応遅延剤が抑制する作用を供する。そのさ
い,反応遅延剤をアルギン酸ナトリウムと予め混合して
おくと,アルギン酸ナトリウムが固まってママコになる
のが防止できるという作用もあり,アルギン酸ナトリウ
ムの分散性を改善することができる。
【0012】次いで,多価金属塩を注入するとその金属
イオンがアルギン酸ナトリウムと反応して繊維ゲル化作
用を供し,水中の泥状微粒子を取り込んで造粒化および
フロック化する。
【0013】形成したフロックはやがて沈降し,当初の
泥状堆積物よりも大きく容積を減少する。その結果,当
初よりも水深は深くなると共に,水底に安定な地盤が形
成される。
【0014】アルギン酸ナトリウムと反応遅延剤の注入
にあたっては,予めこれらを水に混合溶解した液状混合
物としておくと,注入されたアルギン酸ナトリウムの周
囲が反応遅延剤によって保護されるので,より効果的に
アルギン酸ナトリウムの水中イオンによる架橋が防止さ
れ,また前述のようにアルギン酸ナトリウムの水中分散
性が改善される。この注入操作のさいに圧縮空気を同時
に吹き込むと攪拌作用が生じるので広範囲に且つ短時間
に注入ができる。
【0015】使用できる反応遅延剤としては,各種のリ
ン酸塩例えばトリポリリン酸ナトリウム,第二リン酸ナ
トリウム,第三リン酸ナトリウム,ピロリン酸ナトリウ
ム,ヘキサメタリン酸ナトリウム等,または各種の炭酸
塩例えば炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水
素カリウム等,または各種のクエン酸塩例えばクエン酸
ナトリウム,クエン酸水素ナトリウム,クエン酸カリウ
ム,クエン酸アンモニウム等がある。これらは単独で使
用してもよいし複合して使用してもよい。
【0016】アルギン酸ナトリウムに対する反応遅延剤
の混合割合は,対象とする水質並びに泥状堆積物中の金
属イオン濃度によって適量に加減すればよい。
【0017】二価以上の金属塩の注入にさいしては,そ
の水溶液として注入すると操作が簡便である。この場合
にも圧縮空気を同時に吹き込むと攪拌作用が生じるので
広範囲に且つ短時間に注入できる。
【0018】
【実施例】
〔実施例1〕ジエットグラウトマシンに三重管構造のパ
イプを接続した注入装置を台船にセットした。三重管構
造のパイプの一本は圧縮空気源に,他の一本はアルギン
酸ナトリウムと反応遅延剤としてのトリポリリン酸ナト
リウムの混合溶液を収容したタンクに,そして,他の一
本は多価金属塩である塩化カルシウムを水に溶解した塩
カルタンクに接続されている。アルギン酸ナトリウムと
トリポリリン酸ナトリウムの混合溶液(アルギン酸ナト
リウム配合溶液という)は,アルギン酸ナトリウム:ト
リポリリン酸ナトリウムを9:1(重量%)の割合で水
に溶解させたものであり,混合物の水中濃度は3重量%
である。
【0019】該三重管の吐出端には圧縮空気の噴出圧に
より自転できる回転ノズルが取付けてあり,この回転ノ
ズルを経て各溶液が吐出される。
【0020】この台船を処理現場の水上に曳航し,該三
重管の吐出端を水平方向に向けて泥状堆積物の上層から
下層に向けてゆっくり下降させながら,圧縮空気と共に
アルギン酸ナトリウム配合溶液を噴射させた。堆積物の
底に達した時点で配合溶液の注入を止めた。次いでノズ
ルの向きを同じ水平方向にしたまま塩カル溶液を圧縮空
気と共に噴射しながら,ゆっくりと下層から上層にパイ
プ端を引き上げ,堆積物の上面近傍に達したら塩カル溶
液の注入を止めた。この操作を注入位置を替えながら繰
り返し,処理対象エリア全域に実施した。
【0021】処理された水中の泥状堆積物は塩カル溶液
の注入と共に粒状化および凝集化を開始し,やがて固液
分離と自重による圧密作用によって沈降して減容化し,
水深が深くなった。また,いった凝縮すると再び泥状化
するようなことはなかった。
【0022】〔実施例2〕松永湾の海底のヘドロ(固形
分濃度:27.3%)200gをビーカに採り,アルギ
ン酸ナトリウム90%とトリポリリン酸ナトリウム10
%からなる混合物を該ヘドロに対する添加量を表1に示
したように6水準で変えて添加し,いずれも溶解するま
で攪拌した。
【0023】次いで塩化カルシウムの10%水溶液5m
l添加して約180秒間攪拌した。この攪拌後,所定の
放置時間毎に沈降体積と液状態を目視観察し,その結果
を表1に示した。液状態は透明状態をIとし攪拌時の懸
濁状態をIVとして4水準で評価した。
【0024】
【表1】
【0025】表1の結果から,本発明法によれば,ヘド
ロの堆積量は,本発明法を適用しない場合の78mlか
ら4〜5mlまで激減しており,水中での減容効果が極
めて良好であることがわかる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように,本発明法による
と,水中の泥状堆積物を除去しないでも水深を深くする
ことができる。このため,従来の除去する方法に比べる
と,設備面と処理操作の面で極めて経済的である。しか
も,本発明で使用する主剤のアルギン酸ナトリウムは人
体に無害であり,環境に害を及ぼすことがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯川 恭啓 大阪府大阪市中央区瓦町三丁目4番1号 ヤマヒロ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−73832(JP,A) 特開 昭56−58599(JP,A) 特開 昭56−58598(JP,A) 特開 昭59−154190(JP,A) 特開 平3−269087(JP,A) 特開 昭61−92227(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 11/00 - 11/20 C09K 17/00 E02D 3/12 C02F 1/54

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中の泥状堆積物中にアルギン酸ナトリ
    ウムと反応遅延剤の混合物を注入し,次いで二価以上の
    金属塩を注入することからなる水中泥状堆積物の水中減
    容法。
  2. 【請求項2】 反応遅延剤は,リン酸塩,炭酸塩または
    クエン酸塩である請求項1に記載の水中泥状堆積物の水
    中減容法。
  3. 【請求項3】 二価以上の金属塩は,塩化カルシウムで
    ある請求項1または2に記載の水中泥状堆積物の水中減
    容法。
  4. 【請求項4】 アルギン酸ナトリウムと反応遅延剤の混
    合物は,予め水と混合溶解してなる液状混合物である請
    求項1,2または3に記載の水中泥状堆積物の水中減容
    法。
  5. 【請求項5】 混合物および金属塩は,圧縮空気と共に
    水中泥状堆積物中にインジェクションされる請求項1,
    2,3または4に記載の水中泥状堆積物の水中減容法。
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