JP2985097B2 - シールド掘削機 - Google Patents

シールド掘削機

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、シールド掘進機に関し、特に2連の単断面
トンネルを同時に並行して掘削すると同時に、これらト
ンネル間の谷間領域を拡張掘削することができるシール
ド掘削機に関し、地下鉄駅部などの施工に好適なもので
ある。
【従来の技術及び発明の課題】
従来、複断面シールド工法として、2つの回転カッタ
を前後にオーバーラップさせて断面まゆ形のトンネルを
掘削するマルチフェース(MF)と呼ばれる工法や、2つ
の回転カッタを位相差をもって回転させて断面まゆ形ま
たは眼鏡形のトンネルを掘削するダブルオーチューブ
(DOT)と呼ばれる工法や、単断面のシールド掘削機を
2台連結して、断面形態を縦横に転向できるようにした
H&Vと呼ばれる工法などが知られているが、これらは
2つの円を単に接合させたトンネル断面にしかなり得な
かった。そのため、2本のシールドトンネルを合流させ
て例えば地下鉄駅部のような広い地下空間を施工する場
合には、パイプループ工法等の開削工法で別に拡幅工事
を行う必要があり、施工上難点が多く、また工費及び工
期の面でも問題が多かった。 そこで、実開平2−18594号公報のように、3つの回
転カッタを3重にオーバラップさせて掘削することが考
えられるが、回転カッタの動力装置の配置、回転体の支
持方法等において、スペース上の問題やマシン機長の問
題等の種々の問題がある。 また、従来、回転カッタの外周を遊星カッタで掘削し
て任意の断面に掘削できるようにしたもの(自由断面掘
削機)があるが、遊星カッタの動力装置、移動装置等が
機構上非常に複雑になる問題があった。 さらに、特開平2−128095号公報に開示されているよ
うに、2つのメインカッタをオーバラップさせて楕円形
の大口径のトンネルを掘削するに当たり、2つのメイン
カッタの上下の掘り残し部分であるコーナー部を、直線
往復動する往復動カッタまたは複数の回転小カッタで三
角形に掘削するシールド工法もあった。 しかし、この工法は、カッタとして直線往復動カッタ
または回転小カッタを用いてあくまでも1つの大口径ト
ンネルを掘削するものであり、2連の単断面シールドト
ンネルの施工と同時に、それらの間の谷間領域を拡張掘
削して両単断面シールドトンネル間にルーフシールドを
施工するようなことは不可能であった。 また、上記の如き直線往復動カッタまたは回転小カッ
タだけでは、上記谷間領域の全域を掘削できないため、
かかるカッタによる掘り残し部分を高圧水噴射によって
掘る高圧水併用式も試みられているが、地質の複雑な個
所(例えば砂質土、粘性土、湧水などが混在している場
所)にあっては、最適な組み合わせを選定することが困
難であるのみならず、付帯設備が増え、機能上及び経済
上好ましくなかった。 本発明の目的は、2連の単断面トンネル間の谷間領域
の全部分を、地質条件の悪い地盤であってもカッタのみ
により、目的とする掘削形状通りに簡単に掘削でき、し
かも両単断面シールドトンネルの施工と同時にそれらの
間にアーチ形のルーフシールドを施工することができ、
地下鉄駅部などの施工に好適なシールド掘削機を提供す
ることにある。
【課題を解決するための手段】
本発明によるシールド掘削機は、前面にメインカッタ
を装着した2つの単断面トンネル掘削機の間に、分銅形
の中間掘削機を介在させ、該中間掘削機の分銅形胴部の
前面の上下両側に、左右に往復揺動してそれぞれ扇形に
掘削する一対のワイパ型揺動カッタを装着したものであ
る。 中間掘削機は、両側の単断面トンネル掘削機に対して
着脱可能にすることができる。
【作用】
本発明のシールド掘削機によれば、2連の単断面トン
ネルを同時に並行して掘削できると同時に、その谷間領
域の全部分を一対のワイパ型揺動カッタのみによって掘
削できる。 かかる掘削を行いながら、2連の単断面トンネル及び
その間にセグメント覆工できる。 中間掘削機を、両側の単断面トンネル掘削機に対して
着脱可能にすると、中間掘削機を取り外すことにより、
通常の複断面トンネルを掘削することができ、また地下
鉄駅部から分岐して2本の単線トンネルを連続して施工
するとか、逆に2本の単線トンネルを合流させて地下鉄
駅部を連続して施工することが可能となる。
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。 第1図から第6図は本発明の一実施例のシールド掘削
機を示す。このシールド掘削機1は、同じ大きさの円筒
形の一対の単断面トンネル掘削機2,3と分銅形の中間掘
削機4とを分離可能に並設して構成される。各単断面ト
ンネル掘削機2,3の本体胴部5は、前面にメインカッタ
(回転カッタ)6を装着した前胴7と後胴8とに分離さ
れ、前胴7は、後胴8に対して中折れ式に回動可能に連
結されている。メインカッタ6は、第4図に示すように
前胴7内のメインカッタ用モータ9によって回転され、
後胴8内には推進ジャッキ等(図示せず)が設置されて
おり、各単断面トンネル掘削機2,3はそれぞれ単断面の
シールドトンネルを施工できるようになっている。 中間掘削機4は、前面の上下両側に一対のワイパ型揺
動カッタ10を回転可能に装着した分銅形胴部(中間胴
部)11と、第2図に示すように湾曲した上下のスキンプ
レート12,13とを、両単断面トンネル掘削機2,3間に設置
して構成される。すなわち、分銅形胴部11を両単断面ト
ンネル掘削機2,3の前胴7で挟持し、上下のスキンプレ
ート12,13を両単断面トンネル掘削機2,3の後胴8間に取
り付けるもので、両単断面トンネル掘削機2,3は中間掘
削機4を介して分離可能に連結される。これら掘削機2,
3,4は、後胴7の側面に設けられた開口部14を通じて互
いに連通する。上下の揺動カッタ10は、分銅形胴部11内
に設置された可変容量型油圧モータ15によって所定角度
範囲内を左右に往復して揺動される。油圧モータ15は、
第4図に示すように分銅形胴部11のバルクヘッド16にシ
ール溶接された取付板17に取り付けられている。揺動カ
ッタ10の先端部は扇形に拡幅されている。 従って、両単断面トンネル掘削機2,3のメインカッタ
6を回転させると同時に、上下の揺動カッタ10を左右に
往復揺動させて掘進すると、両単断面トンネル掘削機2,
3により単断面の2本のトンネルが並行して掘削される
と同時に、これら両トンネル間の上下の谷間領域が中間
掘削機4により扇形に掘削される。この場合、その谷間
領域は揺動カッタ10の往復揺動のみにより、高圧水や他
のカッタを併用することなく目的とする扇形に掘削され
る。そして、かかる掘削を行いながら、各単断面トンネ
ル掘削機2,3の後胴8内においてセグメントを組み立て
て2本のトンネルをセグメント覆工できると同時に、中
間掘削機4の上下のスキンプレート12,13間の空間でセ
グメントを組み立てて上下の扇形掘削部をセグメント覆
工すれば、単断面の2本のシールドトンネルの施工と同
時に、それらの間に、天井部及び底部をセグメント覆工
された分銅形の連通部を施工できる。すなわち、単断面
の2本シールドトンネルが合流する地下鉄駅部を、本シ
ールド掘削機1のみによって施工することができる。 地下鉄駅部から2本の単断面シールドトンネルへ分岐
させる場合には、第5図及び第6図に示すように、両単
断面トンネル掘削機2,3の前胴7を互いに外側に向けて
中間掘削機4の分銅形胴部11を切り離すとともに、上下
のスキンプレート12,13を両側の後胴8から取り外す。
この場合、分銅形胴部11及び上側のスキンプレート12は
クレーンで吊り上げ、下側のスキンプレート13は下側に
落とす。この後、第2図に示すように予め用意してある
側面スキンプレート18で各単断面トンネル掘削機2,3の
開口部14を閉じ、各単断面トンネル掘削機2,3を個別に
掘進させる。 2本の単断面シールドトンネルを再び合流させて地下
鉄駅部を施工する場合には、両単断面トンネル掘削機2,
3の間で中間掘削機4を上記のように組み立てる。 中間掘削機4の上下の揺動カッタ10は、第7図及び第
8図に示すように、それぞれ左右一対の揺動用ジャッキ
19によって揺動させても良く、また第9図に示すよう
に、上下の揺動カッタ10を一体化することもできる。さ
らに、第10図及び第11図に示すように、両単断面トンネ
ル掘削機2,3の掘進方向を互いに変えてトンネル断面に
縦2連、横2連、斜め2連いずれにも転向できるように
した場合には、中間掘削機4を2つの部分4a,4bに分
け、それぞれに揺動カッタ10を装着すれば良い。また、
両単断面トンネル掘削機2,3と中間掘削機4は一体構造
にしても構わない。
【発明の効果】
以上述べた通り本発明によれば次のような効果があ
る。 2連の単断面トンネル間の谷間領域の全部分を、地
質条件の悪い地盤であっても、左右に往復揺動して扇形
に掘削する一対のワイパ型揺動カッタのみにより、目的
とする掘削形状通りに容易にかつ信頼性の高い掘削が可
能である。 回転カッタと高圧水とを併用する従来工法に比べ、
装置が単純化され、また水を用いないので、排土処理な
ども容易になる。 両単断面シールドトンネルの施工と同時にそれらの
間にアーチ形のルーフシールドを施工することができ、
地下鉄駅部などを能率的かつ経済的に施工できる。 前面にワイパ型揺動カッタを装着した分銅形の中間
掘削機を、通常の単断面トンネル用の2台のシールド掘
進機の間に設けた単純な構造であるため、経済的に提供
できる。 中間掘削機を、両側の単断面トンネル掘削機に対し
て着脱可能とすると、該中間掘削機を取り外すことによ
り、通常の複断面トンネルを掘削することができ、また
地下鉄駅部から分岐して2本の単線トンネルを連続して
施工するとか、逆に2本の単線トンネルを合流させて地
下鉄駅部を連続して施工することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第6図は本発明の一実施例のシールド掘削機
を示し、第1図は概要斜視図、第2図は分解斜視図、第
3図は正面図、第4図はカッタ駆動部分の中央の概要断
面図、第5図及び第6図は中間掘削機を分離する状態の
正面図及び平面図、第7図及び第8図は揺動カッタをジ
ャッキで揺動させる例の正面図及びカッタ駆動部分の概
要平面図、第9図は上下一体型揺動カッタを用いた例の
正面図、第10図及び第11図は両単断面トンネル掘削機の
掘進方向を互いに変えることができる例の正面図及びカ
ッタ駆動部分の概要平面図である。 1……シールド掘削機、2,3……単断面トンネル掘削
機、4……中間掘削機、5……本体胴部、6……メイン
カッタ、7……前胴、8……後胴、10……ワイパ型揺動
カッタ、11……分銅形胴部(中間胴部)。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前面にメインカッタを装着した2つの単断
    面トンネル掘削機の間に、分銅形の中間掘削機を介在さ
    せ、該中間掘削機の分銅形胴部の前面の上下両側に、左
    右に往復揺動してそれぞれ扇形に掘削する一対のワイパ
    型揺動カッタを装着したことを特徴とするシールド掘削
    機。
  2. 【請求項2】前記中間掘削機を、両側の単断面トンネル
    掘削機に対して着脱可能としたことを特徴とする請求項
    1記載のシールド掘削機。
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