JP2984062B2 - Grinレンズ及びその製造方法 - Google Patents

Grinレンズ及びその製造方法

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JP2984062B2 JP8526818A JP52681896A JP2984062B2 JP 2984062 B2 JP2984062 B2 JP 2984062B2 JP 8526818 A JP8526818 A JP 8526818A JP 52681896 A JP52681896 A JP 52681896A JP 2984062 B2 JP2984062 B2 JP 2984062B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は,一般的に,光の方向を指示するためのデバ
イスに関し,特に,所望の分散特性を有する円柱光学レ
ンズエレメントに関する。
発明の背景 1.円柱レンズ 伝統的に,円柱レンズは,その名の示すように,ガラ
スのような光学物質の円柱によって構成されている。こ
のタイプのレンズは,典型的には,一次元のみにおい
て,像の拡大が必要な用途に使用されている。この例と
して,点の像を線の像に変えたり,またはもっと一般的
に,像の幅を変えることなく高さを変えたり,または逆
にしたりするものがある。円柱レンズの典型的な工業的
用途は,スリット及びライン検出器配列照度を含む。
円柱レンズは多くの便利な用途をもつが,円柱レンズ
の製造は,球形表面をもつレンズよりもさらに困難であ
り,コストがかかる。これは,レンズの製造に典型的に
使われている微研磨機とポリシング機がレンズの表面を
ランダムに動くように設計されているからである。この
ランダムな動きが,表面を滑らかに幾何学的に修正する
のを確実にしており,同時に擦り傷及び他の表面の不完
全性の可能性を減少させる。しかし残念なことに,二つ
の境界表面の間のランダムな磨滅機能は,球面状の表面
を生成するが,円柱状の表面は生成せず,このため,典
型的なレンズの研削及び研磨は,円柱レンズの製造には
適さない。そのために,このタイプのレンズに要求され
る円柱状の表面を生成して研磨するためには,特別に設
計された機械が必要とされ,この結果,比較できる大き
さの球面状のレンズに関するものと比較して,円柱レン
ズのコストは非常に高くなる。
製造に関する困難さに加えて,伝統的に形成された円
柱レンズもまた,他のレンズのように,それらが形成す
る像において,色収差及び/または単色収差も引き起こ
し得る。色収差は,後述するように,光学物質が異なっ
た光の波長(色)に対しては,異なった屈折率を有する
ということの結果である。一方,単色収差は,レンズの
物理的形状によるものであり,5つのカテゴリー,つまり
球面収差,コマ,非点収差,像面湾曲及び歪曲に分類す
ることができる。
2.GRIN光学物質 過去数年に渡って,GRIN光学物質としても知られる,
屈折率の勾配(gradient of refractive index)をもつ
光学物質が,光学において様々な異なった用途に使用さ
れてきた。あるGRINレンズは,その光学軸に沿った屈折
率において変化を呈し,軸勾配GRINレンズとして知られ
ている。その他のタイプのGRINレンズで,光学軸に対し
て直角のラジアル軸に沿って屈折率が変化を呈するもの
が,ラジアル勾配GRINレンズとして知られている。さら
に複雑なGRINレンズとしては,三次元すべてにおいて屈
折率が変化するものも知られている。
屈折率が光学軸に直角なものと縦に沿ったもの両方に
おいて,選択した勾配を有するレンズの例が,ハジャー
ティによる米国特許第4,883,522号に開示されている。G
RINレンズのその他の例はまた,米国特許第4,928,065号
(これもハジャーティ)に開示されており,光学軸に沿
い,有効次元にわたって屈折率が大きく変化することを
教示している。
GRINレンズを使用することの長所の一つは,それらが
単一レンズ,一体式レンズをもつ,またはレンズの数を
減らした複合レンズの設計に使用することができること
である。GRINレンズのもう一つの長所は,その単色収差
を減少させる能力である。一般的に,単色収差の5つの
異なった種類(球面収差,コマ,非点収差,像面湾曲及
び歪曲)において,GRINレンズは実質的に球面収差を減
少させることができ,特に均質レンズ系と比較した場
合,残りの4つについても,やや減少させることができ
る。
しかし,GRINは,ちょうど均質レンズのように,やは
り色収差を呈する。
3.色収差 すべての光学物質において,均質かGRINかに係わら
ず,屈折率(すべての光は,衝突光に関しては光学物質
によって曲げられる)は,光の波長(または逆に周波
数)によって変化する。入射角度を一定に保つと,同じ
入射角度で光学物質に衝突する異なった光の波長は,異
なった曲がり方をする。
均質光学物質において,短波長をもつ衝突光の屈折率
は,それより長い波長をもつ光の屈折率よりも常に高い
(つまり,さらに曲がる)。このため,均質光学物質か
ら形成されたレンズでは,青色光は赤色光よりも焦点距
離が短い。この屈折率の波長(または周波数)依存は,
光学レンズにおける収差の原因である。
これは,均質光学物質から形成された従来技術レンズ
10として,図1に図式的に示されている。光を所望の焦
点に合わせるために,レンズ10は示したような湾曲した
表面を有する。しかし,図1に図示したように,レンズ
の焦点距離は,衝突する青色光12が赤色光14よりも短
い。このため,青色光は焦点16で焦点が合うが,赤色光
はさらに遠い焦点18で焦点が合う。この結果,レンズ10
によって形成された像は,色収差または分散を起こす。
さらに,光学物質の分散は,一般的に,光学物質上に
衝突する長波長光と短波長光の間の屈折率の相違の機能
として画成することができる。均質物質における分散
は,次のように定義されるそれ自身のアッベ数によって
説明される: ここで,nd,nf及びncは,それぞれ波長が587.6nm,486.1n
m,及び656.3nmである黄色光,青色光及び赤色光におけ
る光学物質の屈折率である。光学物質のアッベ数及び分
散は,逆比に関連する。このため,分散が低くなること
は,アッベ数は高くなることを意味する。
最もオキシド(oxide)均質な光学ガラスは,アッベ
数vdが20〜75の範囲内である。さらに高いアッベ数を得
るために,フッ化ガラスのようなエキゾチック物質が開
発されてきたが,これらは高コスト,毒性,機械的強度
に乏しいこと,汚れに対する抵抗性が乏しいこと等の理
由より,望ましくない。均質光学系においては,異なっ
たガラスから作られた多くのレンズを,色収差を補正す
るために使わなくてはならない。フラウンホーファーダ
ブレットは,こういった試みの例である。
フラウンホーファーダブレットは,凹−平面フリント
レンズと接触した,クラウン二重凸レンズから形成され
たレンズ系である。このダブレットの理論的な周波数不
変条件は,次のように定義される: f1dv1d+f2dv2d=0 (2) ここで,f1d,v1d,f2d及びv2dは,クラウン二重凸レンズ
と凹一平面フリントレンズそれぞれの焦点距離及びアッ
ベ数である。レンズに使用されているガラスが均質であ
るため,アッベ数はレンズを横断しても一定に保たれ,
数式2はレンズ全体の通過に対して正しい。
残念なことに,フラウンホーファーレンズ系は,色収
差を完全に排除することはできず,分散をなくすため
に,さらに費用のかかる複雑な系の追加のレンズをしば
しば必要とする。フラウンホーファーレンズ系はまた,
均質ガラス系に固有の,単色収差も呈する。
4.GRINレンズにおける分散 GRINレンズ(均質レンズを超える長所を多く有する)
においてさえ,所望の分散性質を作り出すことは非常に
難しい。この原因の一つは,GRINレンズの複雑な分散特
性にある。この明細書を通して,“GRIN"及び“勾配”
の語は,相互的に使用している。
例えば,軸勾配レンズは,その光学軸に沿って,変化
する屈折率を有する。つまり,屈折率及びアッベ数は,
光学軸に沿って軸的に変化する。この結果として,GRIN
レンズにおいて所望の分散特性を得るのは,非常に難し
い。
このため,円柱レンズの改良された製造方法並びに,
所望の分散特性を得るために変化が制御できる,光学GR
INレンズの製造方法が必要とされる。
発明の目的と開示 目的 このため,本発明の目的は,円柱レンズとして使用す
ることのできる勾配レンズを提供することである。
本発明のもう一つの目的は,円柱勾配レンズの製造方
法を提供することである。
さらに本発明のもう一つの目的は,円柱またはその他
のタイプの勾配レンズの分散特性を制御することであ
る。
本発明の更なる目的は,色収差を最小化し,スペクト
ル不変の,またはそれに近いレンズを提供することであ
る。
本発明の付加的な目的,長所及び特徴は,次の発明の
開示及び詳細な説明で示す。
開示 従って,本発明は光学物質によって形成され,前後の
面及び光学軸と,前記光学軸を含む中央平面について対
称に変化する屈折率とを有し,前記屈折率は,前記中央
平面に平行な向きで実質的に一定である,勾配光学エレ
メントを提供する。
好適には,垂直的に中央平面から最も遠いエレメント
の外側の領域の光学物質は,同じ屈折率を有し,エレメ
ントの屈折率のうち最も高いものか最も低いものであ
り,中央平面を含んだエレメントの中央部分は,外側の
領域の物質の屈折率とは異なる屈折率を有し,それぞれ
エレメントの屈折率のうち最も低いものか最も高いもの
である。
好適実施例において,光学物質の屈折率は,中央部分
と外側の領域の部分との間で連続的に変化する。
典型的に,光学物質を円柱レンズのように作用させる
ために,対称な平面に対して全体的に垂直な,少なくと
も一つの平面状の表面を有するべきである。しかし,様
々な光学性質を得るために,球面上またはさもなければ
湾曲した表面をもつ光学エレメントを形成することが可
能である。
この発明はまた,屈折率の勾配をもった円柱レンズ及
びその他の光学デバイスの製造方法も提供する。この方
法は,それぞれ屈折率及びアッベ数を有する複数の光学
物質を選択する工程,及び光学物質のボディを形成する
ために,複数の光学物質を連続的な層の中で融解する工
程とから成る。
好適には,光学物質のボディが,選択された複数の光
学物質の,最も高い屈折率を有する物質の第一の面,及
び最も低い屈折率を有する反対側の面を含むように選択
された光学物質は,その屈折率が増加または減少するよ
うに,平行層に配置される。
本発明の円柱レンズを形成するために,それぞれは第
一の面及び第二の平面からの物質を含んだ物質の二つの
エレメントが,この光学物質のボディから除去される。
これらのエレメントは,次に加熱しながら互いに接合さ
れ,同じ屈折率をもつ物質の表面は突き合わせられて物
質のボディが形成され,これより円柱レンズを製造する
ことができる。
二つのエレメントのよりよい接合を提供するために,
互いに接合される表面は凸状に形成することができる。
本発明の他の実施例において,スタート時の光学物質
が適当な厚さ及び組成の光学物質のシートであれば,円
柱レンズブランクは,すべての層を一緒に適当な順(つ
まり,最も高い屈折率または最も低い屈折率を中間に有
したシート,及び最も高い屈折率または最も低い屈折率
をそれぞれ外側に有したシートをもって)で積み重ね,
積み重ねたものを一緒に融解するという,単一の工程に
よって形成することができる。
本発明のもう一つの態様に従うと,本発明の方法を使
って形成されたレンズのに対して,光学物質は,所望の
分散性質を得るために選択することができる。
所望の数の層q,及び所望のアッベ数Vgrin=Kから形
成されたレンズは,レンズの隣接層に対して以下となる
ような物質及び他の工程パラメータを選択することによ
って得ることができる: ここで,Δnは,黄色光において層m及びm−1の物質
の屈折率の差であり,mは2とqの間の整数であり;vdm
びndmは,それぞれ層mの黄色光におけるアッベ数及び
屈折率であり;vdm-1及びndm-1は,それぞれ層m−1の
黄色光におけるアッベ数及び屈折率であり;そして層1
及び層qは,それぞれ最も低い屈折率及び最も高い屈折
率ndl及びndhをもつ,スタックの反対の端である。
レンズのアッベ数Vgrinは,どんな所望の正の数及び
負の数でもよく,この数式の分母が0に近づけば,つま
りレンズの隣接した層のそれぞれが次の数式のようなら
ば,無限大(つまり,0分散)に近づけることができる: vdm(nd(m-1)−1)=vd(m-1)(ndm−1) (4) 数式4がレンズの隣接した層の組み合わせのそれぞれ
に対して満たされれば,隣接していない層にも適用され
ることを示すことができる。
このため,スペクトル不変の場合において,最も低い
屈折率と最も高い屈折率及び分散(半径の反対側の端に
位置する)をもつ二層は,次の関係を有する: vdl(ndh−1)=vdh(ndl−1) (5) ここでvdl及びvdhは,GRINレンズを構成する光学物質の
グループにおける最も低いアッベ数及び最も高いアッベ
数である。数式4の関係がレンズの層の組み合わせのそ
れぞれに存在するとき,合成GRINレンズは色収差がほと
んどないか,または全くなく,スペクトル不変になる。
実際の用途において,通常は数式4の関係を正確に満た
すのは困難であるか,または不可能であり,この議論の
ために,少なくとも100のアッベ数を有する円柱GRINレ
ンズは,実質的にスペクトル不変とみなす。一度GRINレ
ンズが後述の拡散工程にかかると,個々の層の物質は互
いに拡散しあい,光学物質の屈折率プロフィール及びア
ッベ数は,段階的ではなく,連続的に変化する。
放物線プロフィールまたは双曲線屈折率プロフィール
と,それぞれ対称のシートから最も近く及び最も遠く
の,最も高いアッベ数及び最も低いアッベ数をもつ光学
層とを有する円柱GRINレンズに対して,所望の分散性質
をもつレンズは,放物線プロフィールまたは双曲線屈折
率プロフィールを得るために,数式3に従って層の光学
物質を選択し,適当な拡散レジーム(規則性)を使うこ
とによって製造することができる。実質的にスペクトル
不変の円柱GRINレンズは,数式4及び数式5に従った光
学物質を選択することによって設計することができる。
さらに,互いに積み重ねられた複数の光学層から成
り,直線状またはその他の任意の所望の屈折率プロフィ
ールを呈する他の勾配光学エレメントが,層の光学物質
を数式4に従って選択することによって,スペクトル不
変に製造することができる。
光学物質の層は,所望の屈折率及び分散をもつ,既知
の光学物質から選択することができ,またはその代わり
に,円柱勾配レンズまたは他の光学エレメントを形成す
るために使用されている光学物質は,特定の所望の屈折
率及び分散特性を有するように,特定的に公式化するこ
とができる。特に,光学物質がガラスであるときは,そ
れぞれのガラスの屈折率及び分散は,限定するわけでは
ないが,PbO,BaO,Y2O3,La2O3,Nb2O5,TiO2,ZrO2,WO3及びT
a2O3を含むグループからの一つまたは結合したオキシド
の濃度によって調整することができる。
本発明の更なる詳細は,後述の,好適実施例が示さ
れ,説明されている,発明を実施するための最良の形態
から,当業者には容易に明らかになるであろう。理解さ
れるであろうように,本発明は他の異なった実施例が可
能であり,そのいくつかの詳細は,本発明から逸脱する
ことなく変更が可能である。従って,図面及び説明は,
本質において例示的なものとしてみなされるべきであ
り,限定的なものとしてではない。
図面の簡単な説明 図1は,従来技術の球面状均質レンズを図示してい
る。
図2は,本発明に従った,円柱GRINレンズの実施例を
図示している。
図3(a)及び(b)は,円柱GRINレンズの製造の第
一工程の間に生成される,GRIN光学物質のブランクを図
示している。
図3(c)は,図3(a)のブランクの勾配屈折率の
グラフによる表示である。
図4(a)は,円柱GRINレンズの一実施例である。
図4(b)は,図4(a)のレンズの勾配屈折率のグ
ラフによる表示である。
図5(a)は,円柱GRINレンズのもう一つの実施例で
ある。
図5(b)は,図5(a)のレンズの勾配屈折率のグ
ラフによる表示である。
図6(a)は,NF>NCのときの,二次勾配の屈折率プ
ロフィールのグラフによる表示である。
図6(b)は,NF>NCのときの,二次勾配の屈折率プ
ロフィールのグラフによる表示である。
図6(c)は,NF>NCのときの,二次勾配の屈折率プ
ロフィールのグラフによる表示である。
図7は,所望の屈折率プロフィールを有する光学エレ
メントの光学物質の配列を選択するための工程を図示し
ている。
図8(a)〜(c)は,球面状の表面を,本発明に従
って製造されたGRIN物質のブロックへと研削したことの
効果を図示している。
図9(a)及び(b)は,レンズ系を完成させる,在
来のレーザーダイオードの概略図である。
発明を実施するための最良の形態 図2に示されているように,円柱勾配レンズ140は,
レンズの光学軸に対して垂直な一つの軸150のみに沿っ
た,屈折率の勾配を有する。レンズ140の前後の面142,1
44は平面を有し,二次元像146からライン148へと光の焦
点を合わせる円柱レンズの様に作用させることができ
る。円柱GRINレンズ140製造の方法は,図3から図5を
参照して説明される。第一の工程として,図3(a)に
示されているように,それ自身の中央軸116に沿った屈
折率の勾配を有する光学物質のブランク110を造る。ブ
ランク110は,選択された厚さ及び屈折率をもつ光学物
質の複数の層のそれぞれの屈折率が減少,または増加す
るように積み重ね,それらを一緒に融解し,所望の屈折
率プロフィールを有するボディを形成することによって
造ることができる。この方法は,米国特許第4,929,065
号(ハジャーティ)に開示され,ここに参照として組み
入れられる。この方法の代わりに,ブランク110は,型
内に屈折率が減少するようにガラスフリットの連続層を
堆積させ,次にその型内において融解工程によって層を
形成することで製造することができる。
この工程は,これと共に出願された米国特許出願番号
第08/163,861号(スー)に説明され,ここに参照として
組み入れられる。簡単に言うと,この出願に開示されて
いる方法は次の通りである。第一の工程として,所望の
プロフィール,使用するガラス(または他の光学物質)
のタイブ及びエレメントを組み合わせる物質の層の厚さ
が決定されなくてはならない。その後,適切な平面積の
型が選択される。ガラスの層のそれぞれの層厚及び型の
平面積は分かっているため,所望のプロフィールを生じ
るためのそれぞれの異なった物質の要求される量は,計
算することができる。異なったガラスのタイプは,次に
個々にフリットに研削され,計算された量のそれぞれの
光学物質は,型内に,密度が減少するように連続層とし
て配置することができる。そうして,より密度の大きい
ガラスが,より密度の小さいガラスよりも,型の底部近
くに配置される。
次に,型は,すべてのガラスの融点以上の温度で加熱
され,それらのガラスは融解し,所望の勾配プロフィー
ルをもった光学物質の一体連続体になる。
図3(b)は,軸116(横断面を横切る)に沿った屈
折率の変化の概略図である。GRINブランク110は,屈折
率の低い面112と,高い面114を有する。ブランク110の
面112は,スタックの中で最も屈折率の低い物質で形成
され,反対の面114は,最も屈折率の高い物質で形成さ
れる。好適には,二つの面の間で,ブランク110は図3
(c)の曲線118によって図示したような,半分の放物
線のプロフィールを形成する屈折率をもつ層を有する。
次の工程は,GRINブランク110の,低屈折率及び高屈折
率をもつ112,114をそれぞれ慎重に位置決めし,研削,
研磨することである。勾配率プロフィールのような光学
的特性はまた,通常この工程の間に測定することもでき
る。
この後,GRIN物質のブランク110は,同率の面に垂直
に,二つの片に切断され,そのそれぞれは同じ大きさを
もつ。円柱GRINレンズを製造するために,二つの片は高
屈折率面114または低屈折率面112を突き合わせて互いに
接合される。しかし,表面を接合する前に,112,114は好
適にはわずかに凸状に研磨される。約4cm2の表面に対し
て,光学平面上に縁灯で10のリングを示す曲率が,この
工程に対して受け入れ可能となる。表面が研磨された
後,それらはメタノールの超音波槽で10分間洗浄され,
ミネラルの付着を除去するために,蒸留水ですすがれ
て,その後一緒に融解させるために,共に保持され,加
熱される。
例として,1.96〜1.76(ガラスの遷移温度(Tg)は,
この範囲ではそれぞれTg=395〜410℃である)の範囲の
放物線屈折率プロフィールを有する軸方向GRIN物質のブ
ロックが対面になるように用意された。上述のように研
磨され洗浄された後,屈折率1.96の面を,水平を保った
まま接触するように配置され,二つの片は,ガラス遷移
温度(Tg)を30〜50℃超えるが,ガラスの軟化温度は超
えない温度で,10℃/分加熱された。この場合,二つの
片は400℃まで加熱され,その温度で60分間保持され,44
0℃まで1℃/分で加熱され,その温度で60分間加熱保
持されてから,5℃/分で室温まで冷やされた。次に物質
はエッジから除去され,サンプルは完成した。二つの突
き合わせられた面の屈折率の値が非常に近く,表面が非
常に清浄なときは,この工程による接合の後に,二つの
片の間の境界面はみえない。
この工程は,化学物質の二つの片の間の境界面をなく
す;表面を接合するために,低温,低耐久性のワックス
またはにかわは使用していないため,耐熱性,耐化学性
に優れた特性を与える;オリジナルガラスのように,水
や腐食性の物質が浸透しない境界を提供する;及び,境
界面において反射が起こらないため,接合面を横断する
光の透過率が向上するという優れた点をもつ。
この代わりに,GRIN物質の二片は,接着面の屈折率に
適合する屈折率をもつ光学セメントを使用して,互いに
接着させることができる。
高屈折率面114が接着されて,結果としてできる光学
物質のブロック120が,概略的に図4(a)に示されて
いる。ブロック120は,高屈折率をもつ物質である中央
帯122を有する。この中央帯122より,屈折率はブロック
120の端部124に向かって減少していく。ブロック120の
幅を横断する屈折率の合成プロフィールが,図4(b)
の曲線126によって表されている。予想できるように,
この曲線126は図3(c)に図示された曲線118の二つの
組合わせである。ブロック120を,光の焦点を図2のラ
イン148のようなラインに合わせる円柱GRINレンズのよ
うに作用させるために,屈折率プロフィールの曲線126
は,実質的に二次曲線でなくてはならない。
低屈折率面112が接合されたとすると,光学物質の合
成ブロックまたはレンズブランク130は,図5(a)に
概略的に表したようになる。このレンズブランク130に
おいて,中央帯132は最も低い屈折率を有し,外側のエ
ッジ134は最も高い屈折率を有する。ブロック130の幅を
横切る屈折率のプロフィールは,図5(a)の曲線136
によって表され,予定した適用に依存し,また,二次曲
線であり得る。
最終的に,合成レンズブランク120または130は,円柱
屈GRINレンズを製造するために,薄く切断されて研磨さ
れ,好適にはポリシングされる。
この代わりに,レンズブランクは,すべての層を一緒
に,適切な順(つまり,最高及び最低の屈折率を中間に
有する板と,最高及び最低の屈折率を外側に有する板)
に重ね,重ねたものを一緒に融解して拡散させる単一の
工程によって,適切な厚さと組成の光学物質の開始シー
トから形成することもできる。
光学物質の層の選択 円柱GRINレンズ140の二次プロフィール(図2)は,
それぞれ次のように表すことができる: n(x)=n0−Nx2 (6) ここで,n(x)は,円柱GRINレンズ140(図2)の突き
合わせられた面によって画成された軸平面に対して垂直
なライン150に沿った屈折率であり,n0はレンズの表面の
中央における屈折率であり,Nはレンズにぶつかる,ある
波長に対する二次屈折率プロフィールの係数であり,そ
してxはレンズの表面の中央から測定された距離であ
る。レンズ140の前面及び後面に沿って,表面の中央に
最も近い部分の屈折率が一番高く,表面の中央から最も
離れた部分の屈折率が一番低い。
屈折率の二次プロフィールを有する円柱GRINレンズの
形成に使用されている物質の一定の特定の選択によっ
て,所望の分散性質を得ることができる。頻繁に所望さ
れる分散性質の一つは,スペクトルの変わらないGRINレ
ンズである。放物線プロフィールをもつ円柱GRINレンズ
の厚さが焦点距離よりも極端に短いときは,焦点距離,f
は,次のように定義される: f=1/2(2Nt) (7) ここで,Nは与えられた波長の放物線の屈折率プロフィー
ルの係数であり,tはサンプルの厚さである。数式7に示
されているように,放物線プロフィールをもつ薄いラジ
アルレンズまたは円柱レンズの焦点距離は,基礎屈折率
n0に依存せず,単に放物勾配プロフィールNの係数の関
数となる。勾配レンズの分散は,係数Nによって,波長
の関数として決められる。Nが波長に依存しないとき,
勾配レンズの焦点距離もまた,波長に依存しない。この
ため,このレンズはスペクトル不変GRINレンズと呼ばれ
る。
屈折率が放物線プロフィールまたは双曲線プロフィー
ルをもつ光学勾配レンズの分散は,次のように定義でき
る: ここで,Nd,NF及びNCは,波長がそれぞれ587.6,486.1及
び656,3nmである黄色光,青色光及び赤色光における,
二次屈折率プロフィールの係数である。図(6a)は,NF
>NCかつVgrin>0のときの屈折率プロフィール,つま
り,勾配がポジティブな分散を有することを図示してい
る。図6(b)は,NF<NCかつVgrin<0の場合,つま
り,勾配はネガティブな分散を有し,そのため合成レン
ズは緑色光よりも赤色光を曲げることを図示している。
最後に,図6(c)は,NF=NCかつVgrin=∞の場合
で,勾配の光学分散が波長に依存しないものを図示して
いる。このように,図6(c)は,スペクトル不変レン
ズを図示している。
下記の数学的近似式は,二端の間のガラスが中間の屈
折率と分散とを有し,数式3がそれぞれの隣接した層の
組み合わせの条件を満たしていると仮定して,円柱GRIN
レンズの分散Vgrinと,屈折率が高い部分と低い部分,
及び分散部分におけるこの成分のガラス分散及び屈折率
との間の関係を定義している: ここで,Δnは,波長が587.6nmの黄色光において,最
も高い屈折率と最も低い屈折率をもつ物質の屈折率の差
であり,ndh,vdh,ndl及びndlは,黄色光において,最も
高い屈折率と最も低い屈折率をもつそれらの物質の屈折
率及びアッベ数である。こういった場合に,多くの層q,
及び所望のアッベ数Vgrin=Kをもつレンズは,物質,
及び数式3がレンズの二つの層の条件をそれぞれ満たす
ような他の工程パラメータを選択することによって得る
ことができる。
アッベ数Vgrinは,先に説明したように,どんな所望
の正または負の数とすることもでき,また,レンズのそ
れぞれの二層に対して,数式3の分母が0に近づけば,
無限大に近づけることもでき,どちらの場合も数式5は
全体としてレンズの条件を満たしている。こういった場
合に,合成レンズは,ほどんどまたは全く色収差(chro
matic aberration)の光行差がなく,スペクトル不変に
なる。
数式4,5によって定義されたスペクトル不変GRINレン
ズの関係は,二次屈折率プロフィールを有する勾配レン
ズのみでなく,他の屈折率のプロフィールを有する,他
の勾配光学エレメントにも適用される。このことは,ま
ず数式1: 次の式を導くために,数式5に代入することによって示
され得る: nFh−nFl=nCh−nCl (10) ここで,放物線プロフィールまたは双曲線プロフィール
をもつ,スペクトル不変勾配レンズを構成する光学物質
のグループ内において,nFhとnFlは,青色光における最
も高い屈折率と最も低い屈折率,nChとnClは,赤色光に
おける最も高い屈折率と最も低い屈折率である。
光線が,勾配レンズの勾配の方向に対して垂直方向に
進入すると,光は屈折率の高い一領域(または複数領
域)の方へと曲がる。レンズの厚さが薄いとき,所望の
屈折率プロフィールを有するどんな勾配レンズの出口角
度αも,屈折率プロフィールn(z)の第一の導関数,d
n/dz,及び光学軸に沿った厚さtに比例する: 青色光(F)及び赤色光(C)において,スペクトル不
変の条件であるα=αは, これより: dnF=dnC (12b) そしてこのことから,屈折率のどんな与えられたプロフ
ィールに対しても,スペクトル不変の条件を達成するた
めには,nFのプロフィールは,nCのプロフィールとパラレ
ルでなくてはならない: nFh=nCh+c (13a) nFl=nCl+c (13b) ここでcは一定であり,かつ nFh−nFl=nCh−nCl (13c) これは,数式10で定義したような,放物線プロフィール
または双曲線プロフィールをもつスペクトル不変GRINレ
ンズと同様の関係である。どんな所望の屈折率のプロフ
ィールをもつスペクトル不変GRIN光学デバイスも,それ
ぞれの二つの層に対して,次のような適切な光学物質を
選択することによって得ることができる: nFm−nF(m-1)=nCm−nC(m-1) (13d) ここで,nFm及びnCmは,層mにおける青色光及び赤色光
の屈折率であって,nFm-1及びnC(m-1)は,層m-1における
屈折率である。
数式3または数式13(d)を使うと,主に屈折率や分
散の特性に基づいて,ベースのガラスがスペクトル不変
勾配ガラスを形成するように,商業的に入手可能な光学
ガラスのグループを選択することができる。円柱GRIN光
学エレメントにおいて,中間層は,好適には,屈折率の
値を所望の二次プロフィールに沿って,中点に近づける
初期屈折率を有する。
例えば,下記の表1は,スペクトル不変勾配を有する
レンズを作るのに適した,6つの光学ガラスのグループを
示している。屈折率や分散の特性に基づいて,いったん
所望のガラスが選択されると,二次プロフィールは,そ
れぞれの層の厚さを制御することによって形成できる。
表1に従って選択した物質に基づいた,所望の屈折率
のプロフィールをもったラジアルレンズまたは円柱GRIN
レンズにおいて,数式9を使うと,アッベ数ははぼ360
であり,これは,一般に入手可能な均質ガラスのアッベ
数よりもはるかに大きい。(フッ化ガラスはすべての既
知の均質ガラス系の中で,最もアッベ数が高いが,フッ
化ガラスの最高アッベ数はまだなお100より低いことに
注意) 数式3〜5及び数式13は,スペクトル不変勾配を含む
所望の分散性質をもつGRINレンズまたは他のGRIN光学エ
レメントを製造するために,適当な屈折及び分散特性を
もつガラスを選択するための理論的基準を設定する。
一方,上述のようにガラスのグループを選択するので
はなく,数式3及び数式13(d)を満たすようにして,
所望の屈折及び分散の特性をもつガラスを製造すること
も可能である。
ガラスの屈折及び分散は,その組成によって決定され
る。ケイ酸鉛ガラスにおいては,Pb2+イオンはガラスの
光学的特性を制御する,最も重要な成分である。Pb2+
高分極率は,屈折率と分散の両方の増加を,非常に効果
的にする。一方,Ba2+,La3+,Nb5+,Ta3+及びZr4+のような
イオンは,ガラスの屈折率を増加させることができる
が,分散は比較的小さいままに保つ。このように,高い
屈折率と高いアッベ数をもつガラスは,ガラスの重要な
成分として,Ba2+,La3+,Nb5+,Ta3+及びZr4+イオンを加え
ることによって作ることができる。こうして,PbO,BaO,L
a2O3,Nb2O5,Ta2O3,WO3及びZrO2の濃度を変化させること
によって,所望の率イオン分散性質をもったガラスを公
式化することができる。
共に融解して拡散する個々のガラスの層は,拡散後に
失透(devitrification)が相分離がないように,化学
的に融和性があるべきである。個々のガラス層の熱膨張
係数はまた,互いに約3×10-7-1以内で整合するべき
である。
複層レンズエレメントのための,所望の屈折率にする
ためのガラス成分,厚さ及び拡散領域を選択する一つの
方法は,米国特許第5,262,896号に開示され,1993年11月
6日(Blankenbecler)に発行されており,ここに参照
として組み入れられる。
図7のフローチャートは,融解及び拡散工程の後に,
所望の屈折率のプロフィールを得るために,光学物質の
最適なプレート配置を決定するためのBlankenbeclerの
工程を説明している。この方法は,ある屈折率をもった
光学物質のスタートの配列を,一定の拡散時間の後に得
られた屈折率曲線が公差内の所望の屈折率プロフィール
に整合するように選択することができるという法則に基
づいている。
図7を参照すると,光学物質の配列としてのスタート
時の組成と厚さとの適切な組み合わせ,及び選択された
拡散時間を選択するためのプロセスが,屈折率に対する
所望のプロフィールを選択する工程160に始まる。使用
に適した光学物質の組成は,工程162において決定され
る。これは,成形加工工程で使用するのに有用な光学物
質の,特定のバッチにおける構成物質の実際の濃度を表
している。工程164において,それぞれの有用な光学物
質の,特定の拡散温度で用いられる拡散定数,屈折率,
アッベ数,熱膨張係数及び密度のような特性が決定され
る。
工程166では,拡散工程に有用な光学層の,スタート
時の空間分散の組み合わせが,数式9と及び化学的融和
性及び熱膨張の同様の係数のような他の一定の基準の条
件に合うようにして調節される。つまり,本発明に従っ
た分散の制御が所望されるのならば,組み合わせは数式
9において設定した条件と合うことができるプレート配
列のみをもつべきである。可能なスタート時の空間分散
は,入手可能な組成を使って作ることのできる,可能な
層の有限数に対応する。
一度,考慮するべき光学物質のスタート時の配列が用
意されると,配列は,順番に検討される。それぞれの選
択された配列について,拡散時間は工程168において最
初に0に初期設定される。その次に,工程は反復論理ル
ープ170に入る。それぞれの通路において分散時間は増
加し,そのため新しい分散時間が工程172において提供
される。
工程178では,(工程172で提供された分散時間に対
し)配列における,それぞれの光学物質の異なった構成
物質の濃度分散は,拡散工程に対応した微分方程式を使
うことで計算することができる。微分方程式に対する境
界条件は,分酸の前の光学物質の初期設定性質によって
決定される。濃度分散は,次に,拡散方程式の解に境界
条件を適用することによって計算される: ここで,zはプレートの配列に沿った距離,tは時間,ci
i番目の構成成分の濃度,及びDiはi番目の構成成分の
拡散係数である。
一度系が光学物質の特定の配列及び特定の拡散時間の
濃度分散を計算すると,系は工程180における屈折率分
散,及び工程182における熱膨張分散の係数を含めて,
その時間での特性分散の計算を続ける。
特性分散は,それぞれの特性が様々な構成成分の濃度
に関連した特性関係に対する濃度を使うことによって計
算される。こういった特性関係に対する濃度のそれぞれ
は,次のような形である: f(n(z))=f(n0)+Σ(ci(z)−ci 0)Fi
(15) アッベ数及び熱膨張係数はまた,この特性関係に対す
る濃度に基づいて計算することもでき,このときfは関
数,Fiはi番目の構成成分と会合した係数,n(z)は勾
配に沿ったzの位置での特性n,n0は基準物質の特性n,ci
(z)はzの位置でのi番目の構成成分の濃度,及びci
0は基準物質におけるi番目の構成成分の濃度である。
最も好適には,(拡散の前に)特定のプレートに対応す
る光学物質の積み重ねの領域内において,その特定のプ
レートまたは隣接したプレートが基準物質であるとされ
る。
計算された特性が屈折率nであるとき,関数fはロー
レンツ(ローレンツの式)である: つまり,nは屈折率を表し,ローレンツ(屈折率のローレ
ンツの法則)は次の通りである: ここで,Piは,i番目の電気的分極である。このため,nが
屈折率を表し,数式17が使われており,数式15のそれぞ
れの係数Fiは,構成物質に関連した電気的分極Piを表し
ている。
熱膨張分散の係数はまた,上述の特性関係に対する濃
度に基づいて計算することもできる。
熱膨張分散の係数は,拡散が工程172において与えら
れた特定の時間で止められたとしたら,光学物質の配列
がもつであろう熱膨張の係数の値を表している。
工程184及び186において,熱膨張分散の係数は最大熱
膨張係数(“CTE")勾配,つまり,光学物質の配列に沿
った位置に対して,熱膨張の係数のプロットの傾きの最
大値を決定するように検討される。この最大熱膨張係数
は,先に選択される最大値と対照してチェックされ,そ
の最大値は最大熱応力に対応するもので,光学物質の選
択された配列は破綻前に条件とすることができる。
もし最大CTE勾配が先に選択した最大CTE勾配よりも小
さければ,工程167で選択され,工程172で与えられた,
選択された拡散時間の間,拡散に従う光学物質の配列に
対して,配列は,融解プロセス及び拡散処理を残すこと
のできる,レンズブランクを生じる。
工程190において,適合値は,計算された屈折率プロ
フィールと所望の屈折率プロフィールとの間で計算され
る。最も好適には,適合は,予想屈折率分散と,所望の
屈折率分散との間の偏差の二乗の合計として計算され
る。工程195において,新たに計算された屈折率分散に
よって与えられた適合が,同じプレート配列に対して,
先に記憶された他のどの配列よりもいいかどうかによっ
て,決定が為される。もしよければ,工程198において
新たに計算された屈折率プロフィールは,工程172にお
いて与えられた時間の値及び工程167において選択され
た光学物質の特定の配列と共に記憶される。工程200に
おいて,最後の手順上で使われた時間が最大許容拡散時
間よりも小さければ,ループ170は,最大許容拡散時間
を使いきり,最適適合が記憶されるまで,再び繰り返さ
れる。
今まで論じてきたプロセスは,使用することのできる
すべての光学物質の有用な配列に対して繰り返され,最
適適合をもった配列が,所望の屈折率プロフィールをも
った実際の物理的サンプルを形成するように選択され
る。
層GRIN物質の他の応用 GRIN物質の平面ブロック120(図4(a))または130
(図5(a))を円柱レンズとして使用するのは別とし
て,球面状または円柱状の表面を物質状に用いることも
可能である。
例として,球面状の表面が,GRIN物質のブロック120に
研磨されたとすると,その形状は図8(a)に図示した
ような結果になる。この図8(a)と図8(b)及び
(c)から明らかなように,合成レンズは,xy一平面,xy
一平面のそれぞれに,異なった焦点距離をもっている。
これは,レンズの球面状の表面がxy一平面及びxy一平面
の両方に焦点距離を形成するからである。しかし,xy一
平面(図8(b))において,レンズのGRIN物質は,こ
の実施例で図示されているように,球面状の表面によっ
て与えられるように累積する付加的な集束力を与える。
このため,図8(a)に図示されているように,レン
ズはこれら直交平面に対して,二つの異なった焦点距離
を有する。この代わりに,円形の対象物の像は,レンズ
によって図示したような楕円形に曲げられる。
この形状に対するある可能な応用は,図9(a)及び
図9(b)に図示された在来のレーザーダイオード平行
レンズ系と置き換えることである。
これらの図において,全体的に符号200として示され
ている従来技術のレーザーダイオード対物レンズ系は,
レンズ系200を通過した後,互いに平行になる,単一源2
04から放射される光を一緒にして発散ビームにする,多
数のレンズエレメント及びプリズム202によって構成さ
れている。
しかし,重要なことに,源204から放射される光のビ
ームは,xy一平面(図9(a))においてはyz一平面
(図9(b))におけるよりも,実質的にさらに発散す
る。レンズ系200を通り過ぎると,ビームは両方とも平
行になり,xy一平面及びyz一平面の両方から等しい距離
にあるスクリーン206上に像を画成する。
図8(a)で説明している本発明の実施例が,先述の
図9(a)及び(b)で説明している,さらにもっと複
雑な従来技術の系と同様の結果を達成できるように応用
できることは明らかである。
本発明は,屈折率において特定のプロフィールをもつ
光学物質に関する特定の実施例によって上述し,説明し
てきたが,原理が他の形状の屈折率プロフィールにも適
用できることが予想される。発明のプロセスの他の変更
及び修正は,当業者にとって,もちろん明らかになる。
例えば,得に定めた分散性質をもつ,新規な円柱GRINレ
ンズ及び異なったGRINレンズの多くの使用法が,それら
自身証明されることは明らかである。このため,特許請
求の範囲は,そういった適用すべてをカバーし,変更や
修正は,本発明の思想及び範囲内であると解されるもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−216301(JP,A) 特開 平6−160764(JP,A) 特表 平4−502216(JP,A) 特表 平3−504903(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 3/00

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前面及び後面と光学軸とを有する光学物質
    から形成される,スペクトル不変勾配光学エレメントで
    あって, 前記光学物質は, 異なった屈折率及びアッベ数を有する光学物質の複数の
    層を積層して配置し,そして溶融,拡散して形成され, 前記光学軸を含み且つ前記前面及び前記後面のうちの一
    方の面から他方の面へ通過する中央平面について面対称
    的に変化し,且つ前記中央平面に平行な方向では実質的
    に一定である屈折率を有し, 前記層のための前記光学物質が,Kが,次の式で定義され
    る,実質的に所定の値であるように,選択され, ここで,Δn=屈折率変化, Vdm=第m層のアッベ数, Vd(m-1)=第m層に隣接する層のアッベ数, ndm=第m層の屈折率, nd(m-1)=第m層に隣接する層の屈折率, であり, Vdm(nd(m-1)−1)の大きさが,Vd(m-1)(ndm−1)の
    大きさに等しくて,前記光学エレメントのアッベ数に等
    しいKの値が100よりも大きい, ところの光学エレメント。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記中央平面から垂直方向にある最も遠い前記光学物質
    の外側の部分は,実質的に同じ屈折率を有し,この屈折
    率は前記光学物質の最も高い屈折率または最も低い屈折
    率のいずれかであり,前記中央平面における屈折率は,
    前記光学物質の最も低い屈折率または最も高い屈折率の
    いずれかである,ところの光学エレメント。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記光学物質は,前記中央平面からそれぞれの前記外側
    の部分へ連続する屈折率の勾配を画成する,ところの光
    学エレメント。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記前面及び前記後面は平面であり,中央平面に対して
    ほぼ垂直である,ところの光学エレメント。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記前面及び前記後面は平面である,ところの光学エレ
    メント。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記前面及び前記後面の少なくとも一つは曲面である,
    ところの光学エレメント。
  7. 【請求項7】請求項4に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記前面及び前記後面の少なくとも一つは球面である,
    ところの光学エレメント。
  8. 【請求項8】請求項3に記載の光学エレメントであっ
    て, 前記光学物質の少なくとも一部分は所望の屈折率及び分
    散を有し, この所望の屈折率及び分散は,PbO,Bao,Y2O3,La2O3,Nb2O
    5,TiO2,ZrO2,WO3及びTa2O3を含むオキシドのグループか
    らのオキシドの組み合わせによって達成される,ところ
    の光学エレメント。
  9. 【請求項9】請求項3に記載の光学エレメントであっ
    て, 屈折率の連続的な勾配は,放物線プロフィール及び双曲
    線プロフィールのうち一つに近似する,ところの光学エ
    レメント。
  10. 【請求項10】請求項1に記載の,前記光学軸を有する
    前記のスペクトル不変勾配光学エレメントを製造する方
    法であって, (a) 異なった屈折率及びアッベ数を有する光学物質
    の,複数の実質的に平面状の層を,それぞれの屈折率の
    順に配置する工程, (b) 複数の選択された光学物質のうちの,最も高い
    屈折率をもつ第一の光学物質の面と,最も低い屈折率を
    もつ第二の光学物質の面とを有する光学物質の固体ボデ
    ィを形成するために,前記複数の層を一緒に融解して拡
    散する工程, (c) それぞれ前記第一及び第二の光学物質の面を含
    む二つの部分を前記ボディから取り出す工程,及び (d) 前記ボディから取り出した第一の部分の一方の
    面を,この面と同じ屈折率の,前記ボディから取り出し
    た第二の部分の面に接合する接合工程であって,前記二
    つの部分を接合する境界面と,二つの露出面とを有し,
    前記光学軸が前記境界面に平行な前記光学エレメントが
    形成される,ところの接合工程, から成る方法。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の方法であって, 前記接合工程がさらに, (a) 前記第一の部分の前記一方の面と,この面と同
    じ屈折率の,前記光学物質の固体から取り出した前記第
    二の部分の前記面とに凸面を形成して,これら面を突き
    合わせ,前記境界面を形成する工程,及び (b) 互いに接触している前記凸面をもつ部分を加熱
    し,前記突き合わせた面を融解し,前記境界面をなくす
    加熱工程, から成る,ところの方法。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の方法であって, 前記加熱工程は,前記凸面のガラス遷移温度より少なく
    とも20℃高いが,前記凸面のガラス軟化温度よりも低い
    温度である融解温度で,前記突き合わせた部分を加熱す
    る工程を含む,ところの方法。
  13. 【請求項13】請求項12に記載の方法であって, 前記接合工程は, (a) 前記二つの部分を,約10℃/分の割合で,前記
    融解温度まで加熱する工程, (b) 前記境界面がなくなり,滑らかに変化する前記
    屈折率のプロフィールを有する前記光学物質を形成する
    のに十分な期間,前記二つの部分の温度を前記融解温度
    に保持する工程,及び (c) 前記光学エレメントを,5℃/分の割合でほぼ室
    温まで冷やす工程, を含む,ところの方法。
  14. 【請求項14】請求項10に記載の方法であって, 光学物質を配置する前記工程は,Kが,次の式で定義され
    る,実質的に所定の値であるように,前記層のための前
    記光学物質を選択する工程を含み, ここで,Δn=屈折率変化, Vdm=第m層のアッベ数, Vd(m-1)=第m層に隣接する層のアッベ数, ndm=第m層の屈折率, nd(m-1)=第m層に隣接する層の屈折率, であり, Vdm(nd(m-1)−1)の大きさが,Vd(m-1)(ndm−1)の
    大きさに等しくて,前記光学エレメントのアッベ数に等
    しいKの値が100よりも大きい, ところの方法。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の方法であって, 複数の光学物質を選択する前記工程が,少なくとも一つ
    の光学物質の屈折率及び分散を,PbO,Bao,Y2O3,La2O3,Nb
    2O5,TiO2,ZrO2,WO3及びTa2O3から成るオキシドのグルー
    プからのオキシドの組み合わせを含むことによって制御
    するサブ工程を含む,ところの方法。
  16. 【請求項16】請求項10に記載の方法であって,さら
    に, 第一または第二の前記露出面の一つを,曲面に形成する
    工程を含む,ところの方法。
  17. 【請求項17】請求項1に記載の,前記光学軸を有する
    前記のスペクトル不変勾配光学エレメントの製造方法で
    あって, (a) 異なった屈折率及びアッベ数を有する複数の光
    学物質を積層して,複数の層を平行に隣接して配置する
    工程であって,それぞれの層が隣接した層とは異なった
    屈折率及びアッベ数を有し,光学物質の領域が,前記光
    学エレメントの前記光学軸を含み且つ層と層との間の境
    界に対して平行な中央平面について対称な屈折率のプロ
    フィールを画成するように配置される,ところの配置工
    程,及び (b) 前記光学エレメントを形成するために,前記層
    を一緒に融解し,前記層同士の間の前記境界をなくすよ
    うに,前記複数の光学物質を一緒に融解,拡散する工
    程, を含む方法。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の方法であって, 前記屈折率のプロフィールは,放物線または双曲線であ
    る,ところの方法。
  19. 【請求項19】請求項18に記載の方法であって, 光学物質を配置する前記工程は,Kが,次の式で定義され
    る,実質的に所定の値であるように,前記層のための前
    記光学物質を選択する工程を含み, ここで,Δn=屈折率変化, Vdm=第m層のアッベ数, Vd(m-1)=第m層に隣接する層のアッベ数, ndm=第m層の屈折率, nd(m-1)=第m層に隣接する層の屈折率, であり, Vdm(nd(m-1)−1)の大きさが,Vd(m-1)(ndm−1)の
    大きさに等しくて,前記光学エレメントのアッベ数に等
    しいKの値が100よりも大きい, ところの方法。
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