JP2983208B1 - 鋳型造型装置 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 手持ちの造型機と鋳枠を使用し、鋳型の合わ
せ面を、鋳枠端面から外方に突出させ、又は鋳枠内に侵
入させて形成する。 【解決手段】 模型定盤取付け部１ａ，１’ａと鋳枠載
置部１ｂ，１’ｂとを有する基台１，１’と、模型定盤
取付け部の上端に取り付けられた模型定盤２，２’と、
鋳枠載置部の上面に載置された鋳枠３と、鋳枠の上方に
位置する加圧ヘッド４とを備えてなり、模型定盤取付け
部１ａを、鋳枠の内側面に沿って鋳枠内に凸設して、模
型定盤２の盤面２ａを、鋳枠載置部１ｂの上面から所定
寸法（ｄ）だけ上方に位置させ、また模型定盤取付け部
１’ａを、鋳枠の内側面の延長面に沿って鋳枠載置部
１’ｂの上面に対して凹設して、模型定盤２’の盤面
２’ａを、鋳枠載置部１’ｂの上面から所定寸法
（ｄ’）だけ下方に位置させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋳型の造型装置、
特に手持ちの造型機と鋳枠を使用して、鋳物製品の形状
に合わせて鋳型の分割面を、鋳枠端面から該鋳枠内に侵
入させ、又は鋳枠端面から外方に突出させて形成するこ
とを可能とする鋳型造型装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】鋳型造型用模型の分割面、いわゆる見切
り面の決定は、目的とする鋳物製品の形状等を考慮して
行われる。そして、通常はこの見切り面によって分割さ
れた模型の分割面をそれぞれ模型定盤の盤面に当てがっ
て固定し、この盤面上に鋳枠を載置することによって、
模型の分割面、すなわち見切り面と鋳枠の端面とを一致
させた状態で鋳型を造型する。

【０００３】しかしながら、見切り面をそのまま鋳枠端
面、すなわち鋳型の型合わせ面と一致させると、製品の
形状によっては、例えば図２に示すように、製品の上型
部分と下型部分の高さが不均衡となって、いわゆる砂付
きに差違を生じ、このような鋳型に注湯すると種々の問
題を生ずる。すなわち、まず第１に、砂付きの多い方
は、砂の充填密度が均一となって一応問題がないが、砂
付きの少ない方は、砂の充填密度が不均一となって、充
填密度の小さい部分は変形しやすく、注湯の際に鋳型に
張りが生じて、製品の寸法精度が悪くなる。また、砂付
きが少ないと全般的に鋳型強度が低下して、例えば鋳型
上に載置される重錘の下面や鋳型搬送台車に付着した古
砂等により、鋳型が局部的に変形して製品に欠陥を生じ
る。第２に、砂付きの少ない部分は注湯により砂温の上
昇が著しく、このため鋳物砂の劣化を早め、かつ回収砂
全体として性質が不均一となって、砂の調質管理を困難
にする。

【０００４】これらの問題を解決するための手段とし
て、例えば特公平７−２９１８１号によって開示された
ものがある。この発明は、鋳物製品の形状に合わせて、
鋳型の合わせ面を鋳枠端面から外方に突出させ、又は鋳
枠内に侵入させて自在に形成することを目的とする。そ
して、下補助枠と、鋳枠と、上補助枠と、下補助枠と鋳
枠の内側面に沿って昇降可能に嵌装された下加圧ヘッド
と、下加圧ヘッドの上面に固定された模型定盤と、上補
助枠の上方に位置し昇降可能な上加圧ヘッドとを備えた
鋳型造型装置を用い、下補助枠と鋳枠と上補助枠と模型
定盤とによって形成された空間内に充填し、かつ上下の
加圧ヘッドにより上下方向からそれぞれスクイズされた
鋳物砂の下面を、スクイズ終了時における模型定盤の盤
面の位置に対応して、下補助枠と鋳枠の内側面に沿った
所望高さの位置に形成させることを要旨とするものであ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記開示の
発明は優れた効果を発揮する反面、特別な構成の装置を
必要とするため、従来からある造型機に直ちに適用する
ことは困難である。本発明はこのような点を解決するこ
とを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明による鋳型造型装置の第１の形態は、鋳枠
載置部材と、該鋳枠載置部材内に上下方向に嵌装された
模型定盤取付け部材と、該模型定盤取付け部材の上端に
取り付けられた模型定盤と、該鋳枠載置部材の上面に載
置された鋳枠と、該鋳枠の上方に位置する加圧ヘッドと
を備え、かつ前記模型定盤取付け部材を、前記鋳枠の内
側面に沿って該鋳枠内に凸設して、前記模型定盤の盤面
を、前記鋳枠載置部材の上面から所定寸法だけ上方に位
置させた鋳型造型装置において、前記模型定盤取付け部
材の下部にスペーサを挿入し、該スペーサの厚さによっ
て前記所定寸法を調節可能としたことを特徴とする鋳型
造型装置である。

【０００７】また、本発明による鋳型造型装置の第２の
形態は、上記と同様な装置であるが、模型定盤取付け部
材を、鋳枠の内側面の延長面に沿って鋳枠載置部材の上
面に対して凹設して、模型定盤の盤面を、該鋳枠載置部
材の上面から所定寸法だけ下方に位置させた鋳型造型装
置において、前記模型定盤取付け部材の下部にスペーサ
を挿入し、該スペーサの厚さによって前記所定寸法を調
節可能としたことを特徴とする鋳型造型装置である。

【０００８】

【発明の作用・効果】本発明の鋳型造型装置は、比較的
簡単な設備を準備するだけで、手持ちの造型機と鋳枠を
使用して、鋳枠内に投入されスクイズされた鋳物砂の下
面を、鋳枠端面から所定寸法だけ鋳枠内に侵入させた状
態の侵入鋳型と、鋳枠端面から同一の所定寸法だけ外方
に突出させた突出鋳型とをそれぞれ容易に造型すること
ができる。したがって、これら双方の鋳型を１組として
型合わせすることによって、鋳型の合わせ面を鋳枠端面
と関係なく自由に設定して上下の鋳型を造型できる。こ
のため、非常に広範囲の形状の鋳物製品に対して、鋳型
の砂付きの不均一に起因する欠陥の発生を防止でき、ま
た回収砂の性質も均一となるので、鋳物砂管理上の効果
も大きい。

【０００９】また、縦横がそれぞれ同一寸法の鋳枠を使
用し、かつ一定範囲内の突出寸法を要する鋳型に対し
て、鋳枠載置部材を共用することができる。さらに、ス
ペーサの厚さによって侵入、突出寸法を所定値に調節可
能であるので、縦横がそれぞれ同一寸法の鋳枠を使用す
る鋳型に対して、鋳枠載置部材のみならず、模型定盤取
付け部材も共用することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下本発明による鋳型造型装置の
実施の形態を図１に基づいて説明する。図１（ａ）にお
いて、本実施形態による鋳型造型装置は、鋳枠載置部材
１ｂと、鋳枠載置部材１ｂ内に上下方向に嵌装された模
型定盤取付け部材１ａと、模型定盤取付け部材１ａの上
端に取り付けられこの模型定盤取付け部材１ａの上面と
同一平面をなす盤面２ａを有する模型定盤２と、鋳枠載
置部材１ｂの上面に載置された鋳枠３と、鋳枠３の上方
に位置し上下に昇降可能な加圧ヘッド４とを備えてい
る。符号５は、模型定盤取付け部材１ａの上面と模型定
盤２の盤面２ａを含む上面と鋳枠３の内側面とによって
形成された空間内に投入された鋳物砂である。鋳枠載置
部材１ｂは図示しない架台に固定されている。符号６は
模型定盤取付け部材１ａの下部に挿入されたスペーサ
で、このスペーサの厚さによって侵入寸法を所定値に調
節することができる。図１（ａ）は侵入鋳型を造型する
装置であって、模型定盤取付け部材１ａを、鋳枠３の内
側面に沿って同鋳枠内に凸設して、模型定盤２の盤面２
ａを、鋳枠載置部材１ｂの上面から所定寸法（ｄ）だけ
上方に位置させたものである。図１（ｂ）は突出鋳型を
造型する装置であって、模型定盤取付け部材１’ａを、
鋳枠３の内側面の延長面に沿って鋳枠載置部材１’ｂの
上面に対して凹設して、模型定盤２’の盤面２’ａを、
鋳枠載置部材１’ｂの上面から所定寸法（ｄ’）だけ下
方に位置させたものである。符号４、５’、６’は、図
１（ａ）の場合の４、５、６と同一対象物を示すので説
明を省略するが、スペーサ６’の厚さによって突出寸法
を所定値に調節することができる。

【００１１】次に、これらの鋳型造型装置によって１組
の鋳型を造型する方法について説明する。この場合には
１組の鋳型であるので、図１（ａ）に示す侵入鋳型にお
ける所定の侵入寸法（ｄ）と、図１（ｂ）に示す突出鋳
型における所定の突出寸法（ｄ’）とは等しくする。図
１（ａ）、図１（ｂ）に示すように鋳枠３内に投入され
た鋳物砂５、５’は、加圧ヘッド４の下降によってスク
イズされる。

【００１２】上記の装置を使用し、上記の方法によって
造型されたそれぞれの鋳型は、図示しない装置によって
造型装置外へ取り出して、型合わせを行って図１（ｃ）
に示すような１組の鋳型が造型される。図１（ｃ）で
は、上鋳型を侵入鋳型とし、下鋳型を突出鋳型とした
が、この逆に、上鋳型を突出鋳型とし、下鋳型を侵入鋳
型とすることもできる。

【００１３】本発明による鋳型造型装置は、上記のよう
な構成であるので、縦横がそれぞれ同一寸法の鋳枠を使
用する鋳型に対して、鋳枠載置部材１ｂ、１’ｂのみな
らず、模型定盤取付け部材１ａ、１’ａをも共用するこ
とができる。さらに、スペーサ６、６’の代わりに、調
節ボルト、油圧シリンダ等を用いて、模型定盤取付け部
材１ａ、１’ａの高さを調節保持することによって、侵
入寸法、突出寸法を任意に変更することもできる。

【００１４】なお、以上の説明及び図面は、模型定盤取
付け部材１ａ、１’ａの上面の面積が、模型定盤２、
２’の盤面２ａ、２’ａの面積よりも広いために該上面
が露出している場合に対応するものであるが、本発明
は、模型定盤取付け部材１ａ、１’ａの上面が模型定盤
２、２’の盤面２ａ、２’ａよりも狭い場合、又は両者
が等しい場合であって、前記上面が投入される鋳物砂に
直接接触しないような形態でも実施することができる。

【００１５】以上の説明から明らかなように、本発明の
鋳型造型装置によれば、比較的簡単な設備を準備するだ
けで、手持ちの造型機と鋳枠を用い、広い範囲の製品形
状に対応して、鋳型の合わせ面の位置を、鋳枠端面から
突出させ、又は鋳枠内に侵入させることによって鋳枠端
面と関係なく自由に設定することができる。このため、
上下の鋳型の模型上に充填される鋳物砂の砂付きを均衡
化することができ、鋳物砂の層厚の不均一に起因する、
製品の欠陥の発生、回収砂の性質の不均一化等を効果的
に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の鋳型造型装置による侵入鋳型、突出
鋳型の造型及び造型された上下の鋳型を合わせた状態を
示す略縦断面図である。

【図２】 従来の装置によって造型された不均衡な砂付
きを有する上下の鋳型を合わせた状態を示す略縦断面図
である。

【符号の説明】１ ａ，１’ａ…模型定盤取付け部材、１ｂ，１’ｂ…鋳
枠載置部材、２，２’…模型定盤、２ａ，２’ａ…盤
面、３…鋳枠、４…加圧ヘッド、５，５’…鋳物砂、
６，６’…スペーサ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋳枠載置部材と、該鋳枠載置部材内に上
   下方向に嵌装された模型定盤取付け部材と、該模型定盤
   取付け部材の上端に取り付けられた模型定盤と、該鋳枠
   載置部材の上面に載置された鋳枠と、該鋳枠の上方に位
   置する加圧ヘッドとを備え、かつ前記模型定盤取付け部
   材を、前記鋳枠の内側面に沿って該鋳枠内に凸設して、
   前記模型定盤の盤面を、前記鋳枠載置部材の上面から所
   定寸法だけ上方に位置させた鋳型造型装置において、前
   記模型定盤取付け部材の下部にスペーサを挿入し、該ス
   ペーサの厚さによって前記所定寸法を調節可能としたこ
   とを特徴とする鋳型造型装置。
2. 【請求項２】 鋳枠載置部材と、該鋳枠載置部材内に上
   下方向に嵌装された模型定盤取付け部材と、該模型定盤
   取付け部材の上端に取り付けられた模型定盤と、該鋳枠
   載置部材の上面に載置された鋳枠と、該鋳枠の上方に位
   置する加圧ヘッドとを備え、かつ前記模型定盤取付け部
   材を、前記鋳枠の内側面の延長面に沿って前記鋳枠載置
   部材の上面に対して凹設して、前記模型定盤の盤面を、
   該鋳枠載置部材の上面から所定寸法だけ下方に位置させ
   た鋳型造型装置において、前記模型定盤取付け部材の下
   部にスペーサを挿入し、該スペーサの厚さによって前記
   所定寸法を調節可能としたことを特徴とする鋳型造型装
   置。