JP2980785B2 - 焼付硬化性と成形性とに優れた冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼板およびそれらの製造方法 - Google Patents
焼付硬化性と成形性とに優れた冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼板およびそれらの製造方法Info
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Description
効性とに優れた冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼
板およびそれらの製造方法に関する。本発明が係わる冷
延鋼板とは、自動車、家庭電気製品、建物などに使用さ
れるものである。そして、表面処理をしない狭義の冷延
鋼板と、防錆のために例えばZnメッキや合金化Znメ
ッキあるいは電気Znメッキなどの表面処理を施した冷
延鋼板の両方を含む。本発明による鋼板は、強度と加工
性を兼ね備えた鋼板であるので、使用に当たっては今ま
での鋼板より板厚を減少できること、すなわち軽量化が
可能となる。従って、地球環境保全に寄与できるものと
考えられる。
り、極低酸素鋼の溶製が容易になった現在、良好な加工
性を有する極低酸素鋼板の需要は益々増加しつつある。
この中でも、例えば特開昭59−31827号公報、お
よび特開昭59−38337号公報などに開示されてい
るTiとNbを複合添加した極低炭素鋼板は、きわめて
良好な加工性を有し、塗装焼付硬化(BH)性を兼備
し、溶融亜鉛メッキ特性にも優れているので、重要な位
置をしめつつある。しかしながら、そのBH量は通常の
BH鋼板のレベルを超えるものではなく、さらなるBH
量を付与しようとすると常温非時効性が確保できなくな
るという欠点を有する。
るために、従来から多くの試みがなされてきた。特に、
引張強度が35〜50kgf/mm2の場合には、鋼中
にP、Siなどを添加し、これらの固溶体強化機構を利
用して強度を増加してきた。たとえば、特開昭59−3
1827号公報、及び特開昭59−38337号公報に
おいては、TiとNbを添加した極低酸素鋼板に主にS
iとPを添加し、引張強度で45kgf/mm2級まで
の高強度冷延鋼板の製造方法を開示している。特公昭5
7−57945号公報はTi添加極低炭素鋼にPを添加
して高強度冷延鋼板を製造する方法に関する代表的な先
行技術である。
利用することも知られている。特開昭63−19014
1号公報および特開昭64−62440号公報にはMn
をTi含有極低炭素鋼板へ添加し、また、特公昭59−
42742号公報や前記した特公昭57−57945号
公報においては、MnとCrをTi添加極低炭素鋼へ添
加する技術が開示されているが、焼鈍後の組織を低温変
態生成物単相組織とするために添加されているわけでは
ない。
は、Tiを添加した極低炭素鋼に1.5%以上3.5%
未満のMnを添加した焼付硬化性を有する良加工性冷延
鋼板および溶融亜鉛メッキ鋼板を開示している。多量の
Mnの添加により、Ar3変態点の低下による熱間圧延
の操業安定性と金属組織の均一性を目的としている。ま
た、一層の延性の向上を目的にCrやVの0.2〜1.
0%までの添加も開示している。しかし、MnやCrの
添加は、焼鈍後の組織を低温変態生成物単相組織とする
ためのものではない。したがって、ここでもBH量は通
常のレベルから逸脱するものではなく、これまで以上の
高いBHと常温非時効性を両立するには至っていない。
る鋼板に対して、複合組織を有する鋼板も知られてい
る。低炭素アルミキルド鋼にSi、Mn、Crなどの合
金元素を添加し、連続焼鈍温度とその後の冷却速度を適
正化することにより、フェライト相とマルテンサイト相
とを混在させた、いわゆるDual Phase鋼(D
P鋼)と呼ばれるものがその代表例である。このような
DP鋼は、高強度でありながらきわめて低い降伏比(Y
R)を有し、かつ常温非時効で高いBHを有することが
知られている。しかしながら、平均r値が1.0程度と
低く深絞り性に劣るという欠点を有する。ちなみにこの
ような冷延鋼板の製造方法については、特公昭53−3
9368号、特開昭50−75113号、特開昭51−
39524号、特公昭62−56209号、特公昭62
−40405号公報に開示されている。
た複合組織鋼板に対して、特公平3−2224号公報及
び特公平3−21611号公報には極低炭素鋼を素材と
した複合組織鋼板について開示されている。これらは極
低炭素鋼に多量のNbとB、さらにはTiを複合添加し
て焼鈍後の組織をフェライト相と低温変態生成相との複
合組織とし高r値、高BH、高延性および常温非時効性
を兼ね備えた冷延鋼板を得るものである。しかしなが
ら、本発明者らが鋭意検討した結果、このようにNb、
B、場合によってはTiを添加することによって複合組
織化する場合には、以下のような問題点を有することが
あきらかとなった。
め、板厚、板幅さらには板の長手方向に組織が変化し、
結果として材質が大きくばらついたり、数℃の焼鈍温度
の変化によって複合組織になる場合とならない場合があ
り、製造がきわめて不安定となる。 2)また、5kgf/mm2以上のBHを付与すること
が困難であるばかりか、BH量が5kgf/mm2を超
えると人工時効後のYP−Elが0.2%を超えてしま
い、常温非時効性が確保されなくなる。特開平3−27
7741号公報には、極低炭素鋼にNb、B、Tiさら
にはMn、Crを添加した鋼をAc1−50℃以上Ac1
変態点未満の温度で焼鈍することにより、その組織を5
%以下の体積率のアシキュラ−フェライトとフェライト
とからなる複合組織とすることにより、BH性と常温非
時効性さらには加工性を兼ね備えた鋼板を提供する技術
が開示されている。
結果、以下のような問題点があることが明らかとなっ
た。すなわち、第2相の体積率が5%以下の複合組織鋼
板では、従来レベル以上、つまり5kgf/mm2以上
のBHを付与するのが困難であり、また、BH量が5k
gf/mm2を超えると人工時効後のYP−Elが0.
2%を超えてしまうことがあり常温非時効性の確保がき
わめて困難であることが分かった。このことは第2相の
体積率が少ないため、フェライトに導入される可動転位
密度が充分でないことが原因であると考えられる。以上
のように極低炭素鋼における複合組織鋼板についていく
つかの提案がなされているが、そのBH量は到底従来レ
ベルを逸脱するものではなく、常温非時効性についても
従来のレベルをわずかに上回る程度にとどまっていた。
使用される鋼板には、プレスの後にスプリングバックや
面歪などが生じない良好な面形状性が厳しく要求され
る。ところで、面形状性は、降伏強度が低いほど好まし
いことはよく知られている。さらに、プレス成形をした
あとの鋼板には耐デント性が要求される。耐デント性と
は、組上がった自動車に石などが当たる場合鋼板の永久
的な凹み変形に対する抵抗性を意味する。耐デント特性
は、板厚が一定の場合、プレス加工して塗装焼付したの
ちの変形応力が高いほど良好になる。したがって同じ降
伏強度の鋼板を考えた場合、塗装焼付硬化能が高いほど
耐デント特性は向上することになる。
る望ましい鋼板は、降伏強度はそれほど高くなく、高い
塗装焼付硬化能と常温非時効性とを兼備する鋼板であ
る。もちろん、平均r値(深絞り特性)や伸び(張出特
性)などの加工性にも優れる必要がある。本発明は、以
上のような要望を満足するものであって、特に塗装焼付
硬化能に関しては、従来レベル以上の、すなわち5kg
f/mm2以上の高いBH量を目的に応じて付与するこ
とができ、かつ常温非時効性を兼ね備えた、従来にはな
い冷延鋼板を提供することを目的とするものである。
標を達成するために、鋭意、研究を遂行し、以下に述べ
るような従来にはない知見を得た。すなわち、Nb、T
iを単独または複合で添加した極低炭素鋼をベースに
B、Mn、Crを添加して冷間圧延、焼鈍、調質圧延後
の組織と引張特性について、特にα+γ2相域で焼鈍し
た場合とγ単相域で焼鈍した場合との違いについて調査
した。α+γ2相域で焼鈍した場合、フェライトと低温
変態生成物からなる複合組織を得ることができたが、
1)複合組織とするための温度域は、極めて狭い範囲し
か存在しないため、製造時に材質のばらつきがきわめて
大きいこと、2)さらに、このような鋼ではBHを5k
gf/mm2以上付与することは困難であるばかりか、
BHが5kgf/mm2以上となると人工時効後の降伏
点伸び(YP−El)が0.2%を超えてしまい、常温
非時効性が確保されなくなる。
は、1)γ単相域で焼鈍するため、焼鈍後の組織を低温
変態生成物単相組織とすることができ、したがって製造
時の材質ばらつきがきわめて小さい。ここでいう低温変
態生成物とは、フェライト単相温度域で焼鈍した時に得
られる、いわゆるマッシブフェライト、ベイナイト、マ
ルテンサイト又はアシキュラーフェライトを指す。2)
γ域では、熱延中あるいは巻取り中に成形したTiC、
NbC等の炭化物が、再溶解するので、5kgf/mm
2 以上のBH性を容易に付与することができ、3)たと
えばBH量が10kgf/mm2 程度となっても、人工
時効後のYP−Elが0.2%を超えることなく、非常
に優れた常温非時効性とBH性とを両立することが分か
った。この原因は必ずしもあきらかでないが、生成した
低温変態生成物中に導入された可動転位密度がかなり高
いことが原因であると思われる。
いて構築された従来にはない全く新しい鋼板であり、そ
の要旨とするところは以下のとおりである。 (1)重量%で、C:0.0005〜0.0070%、
Si:0.001〜0.8%、Mn:0.01〜4.0
%、P:0.005〜0.15%、S:0.0010〜
0.015%、Al:0.005〜0.1%、N:0.
0003〜0.0060%、さらに、Ti:0.003
〜0.1%およびNb:0.003〜0.1%のうち一
種類以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる組成にして、低温変態生成物単相組織を有すること
を特徴とする焼付硬化性と成形性とに優れた冷延鋼板あ
るいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼板。 (2)B:0.0030%未満を含有する(1)に記載
の冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼板。 (3)Cr:0.01〜3.0%を含有する(1)ある
いは(2)に記載の冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷
延鋼板。
の温度で熱間圧延の仕上げを行い、室温から750℃の
温度で巻取り、60%以上の圧延率で冷間圧延を行い、
連続焼鈍における焼鈍温度をAe3変態点以上とするこ
とを特徴とする(1)〜(3)に記載の冷延鋼板の製造
方法。 (5)スラブを(Ar3−100)℃以上の温度で熱間
圧延の仕上げを行い、室温から750℃の温度で巻取
り、60%以上の圧延率で冷間圧延を行い、焼鈍温度を
Ae3変態点以上としたインライン焼鈍型の溶融亜鉛メ
ッキを施すことを特徴とする(1)〜(3)に記載の溶
融亜鉛メッキ冷延鋼板の製造方法。
上述のように限定する理由についてさらに説明する。 C:Cは製品の材質特性を決定するきわめて重要な元素
である。本発明は真空脱ガス処理をした極低炭素鋼を前
提とするが、Cが0.0005%未満となると粒界強度
が低下し、2次加工性が劣化し、かつ製造コストが著し
く増加するので、その下限を0.0005%とする。一
方、C量が0.0070%を超えると成形性の劣化を招
き、又常温非時効性が確保されなくなるので、上限を
0.0070%とする。なお、充分な塗装焼付硬化性能
と非時効性を発現させるためには、C:0.0020以
上0.0050%未満とするのが好ましい。
として知られており、その添加量は狙いとする強度レベ
ルに応じて変化するが、添加量が0.8%超となると降
伏強度が上昇しすぎてプレス成形時に面歪が生じる。ま
た、Ae3変態点が上昇し、低温変態生成物単相組織を
得るための焼鈍温度が著しく高くなる。さらに、化成処
理性の低下、溶融亜鉛メッキ密着性の低下、合金化反応
の遅延による生産性の低下などの問題が生ずる。下限
は、製鋼技術およびコストの観点から0.001%とす
る。
おいて最も重要な元素である。すなわちMn、Crは、
Ae3変態点を低下させるため低温変態生成物単相組織
を得るためにそれほど高い温度を必要としない。しか
も、Mn、Crを活用することによって得た低温変態生
成物単相組織鋼板におては、通常では得られない5kg
f/mm2以上のBH量を容易に付与することができ、
5kgf/mm2以上のBH性を有する場合にも非常に
優れた常温非時効性を示す。この性質は、低温変態生成
物単相組織鋼板に特有のもので、フェライト単相組織鋼
板やNb、B、Tiの数種類の組合せによって得た複合
組織鋼板では得られない特性である。さらに、重要な点
は、通常の鋼においては、α+γ2相域あるいはγ単相
域で焼鈍すると著しくr値が劣化することが知られてい
るが、Mn、Crを積極的に添加した鋼においては、た
とえγ単相領域で焼鈍しても、rがほとんど劣化しない
ことである。
させずに強度を増加させる有効な固溶体強化元素であ
り、かつ化成処理性を改善したり、溶融亜鉛メッキ性を
改善する効果も有する。Mnについては製鋼技術上の観
点からその下限を0.01%とするが、上に述べた効果
を得るためには、0.3%以上添加することが好まし
い。一方、4.0%を超えると好ましい低温変態生成物
単相組織が得られなくなるので上限を4.0%とする。
また、Crを添加する場合には、0.01%未満では上
の効果が発揮されないので、下限を0.01%とし、
3.0%を超えるとやはり良好な組織が得られなくなる
ので上限を3.0%とする。なお、Crを添加する場合
には、0.1%以上添加することが望ましい。
る元素として知られており、その添加量は狙いとする強
度レベルに応じて変化する。添加量が0.15%を超え
ると低温変態生成物単相組織を得るための焼鈍温度が著
しく高くなり、また、降伏強度が増加し過ぎてプレス時
に面形状不良を引き起こす。さらに、連続溶融亜鉛メッ
キ時に合金化反応が極めて遅くなり、生産性が低下す
る。また2次加工性も劣化する。したがって、その上限
値を0.15%とする。また、製鋼技術およびコストの
観点から下限は0.005%とする。
1%未満になると著しく製造コストが高くなるのでこれ
を下限値とする。一方、0.015%超となるとMnS
が数多く析出し、加工性が劣化するのでこれを上限値と
する。 Al:Alは脱酸調製およびTiを添加しない場合には
Nの固定に使用するが、0.005%未満ではTiやN
bの歩留が低下する。一方、0.1%超になるとコスト
アップを招くので上限を0.1%とする。
部または一部を固定することにより、極低炭素鋼の加工
性と非時効性を確保する役割を有する。さらに熱延板の
結晶粒を微細化し、製品板の加工性を良好にする。T
i、Nbが0.003%未満ではその添加効果が現れな
いのでこれを下限値とする。一方0.1%を超えると著
しい合金コストの上昇を招くので上限値を0.2%とす
る。
0003%未満にするには著しいコストアップを招く。
一方、あまり多いと多量のTi、Nb、Alが必要にな
ったり、加工性が劣化したりするので0.0060%を
上限値とする。 B:Bは2次加工脆化の防止に有効であり、また、低温
変態生成物単相組織を得るにも有効であるので0.00
30%未満添加する。しかし、0.0030%以上とな
ると加工性の劣化の原因となるので上限を0.0030
%未満とする。なお、本発明における鋼板の強度は、2
5kgf/mm2以上のもの全てが対象となるが、低温
変態生成物単相組織としても良好なr値を得るために
は、強度を35kgf/mm2とすることが望ましい。
る。熱延の仕上げ温度は製品板の加工性を確保するとい
う観点からAr3−100℃以上とする必要がある。ま
た、巻取り温度は室温から750℃とする。本発明はそ
の製品材質が熱延巻取り温度の影響をあまり受けないと
いう特徴を有する。巻取り温度の上限が750℃である
ことは、コイル両端部での材質劣化に起因する歩留低下
を防止する観点から決定される。冷間圧延は、通常の条
件でよく、焼鈍後の深絞り性を確保する目的からその圧
延率は、60%以上とする。
溶融亜鉛メッキ設備の焼鈍温度は、Ae3変態点以上と
する。焼鈍温度がAe3変態点以下では、本発明の特徴
である低温変態生成物単相組織を得ることはできない。
焼鈍時の均熱後の冷却条件は、特に規定しないが、高い
r値が要求れる場合には、焼鈍温度と600℃〜700
℃との間を30℃/s以下の平均冷却速度で冷却するこ
とが望ましい。また、著しく高いBH性が要求される場
合には、焼鈍温度と600℃〜700℃との間の温度域
を30℃/s以上の平均冷却速度で冷却することが望ま
しい。しかしながら、いずれも必須条件ではない。
硬化能と常温非時効特性とを合わせ持ち、平均r値(深
絞り特性)や伸び(張出特性)などの加工性にも優れる
鋼板を得ることができる。特に塗装焼付硬化能に関して
は、5kgf/mm2以上の高いBH量を必要に応じて
付与することができ、かつ常温非時効性を兼ね備えた冷
延鋼板を提供することが可能である。
180℃、仕上げ温度910℃、巻取り温度600℃で
熱間圧延し、4.0mm厚の鋼帯とした。酸洗後80%
の圧下率の冷間圧延を施し0.8mm厚の冷延板とし、
ついで加熱速度10℃/s、均熱830〜980℃×5
0s、平均冷却速度80℃/sとする連続焼鈍を行っ
た。さらに0.5%の圧下率の調質圧延をし、JIS5
号引張試験片を採取し引張試験に供した。引張試験結果
をまとめて表2に示す。ここで、BH量は2%予歪材に
170℃×20分の塗装焼付相当の熱処理を施してから
再度引張試験を行った場合の応力の増加量(再引張試験
時の下降伏応力から2%変形応力を差し引いた値)であ
る。また、2次加工脆化遷移温度は、調質圧延した鋼板
から直径50mmのブランクを打ち抜き、ついで直径3
3mmのポンチでカップ成形し、これに種々の温度で落
重試験を施した場合の延性−脆性遷移温度である。
生成物単相とした本発明例は、従来にはない高いBH性
を有し、かつ非常に優れた常温非時効性を兼ね備えてい
ることが分かる。このことは低温変態生成物単相組織と
した鋼板においては、その他の鋼板に比べて、好ましい
転位密度を有することが主な原因であると思われる。ま
た、本発明によれば、r値にも優れていることが分か
る。したがって、たとえば自動車の外内板パネルとして
好適の材料である。
響について検討した。熱間圧延と冷間圧延の条件は、実
施例1と同様である。その後、10℃/sで加熱し、8
40〜930℃において50s間保定した後、平均冷却
速度60℃/sの連続焼鈍を行った。さらに0.5%の
圧下率の調質圧延をし、JIS5号引張試験片を採取し
引張試験に供した。引張試験結果をまとめて表3に示
す。表3から明らかなように、本発明のようにγ単相域
で焼鈍することにより、低温変態生成物単相組織とした
場合には、均熱温度が変化しても安定して優れた材質特
性を得ることが分かる。これに対してα+γ2相温度域
で焼鈍した場合には均熱温度がわずかに変化するだけ
で、BH量が大きくばらつき、しかも人工時効後のYP
−Elが0.2%を越え、常温非時効性が確保されなか
った。
加熱温度1220℃、仕上げ温度900℃、巻取り温度
500℃の条件で熱間圧延し、3.8mm厚の鋼板とし
た。酸洗後、冷間圧延して0.75mm厚の冷延板と
し、ついで加熱温度15℃/sで最高加熱温度840〜
980℃として加熱してから約70℃/sで冷却し、4
60℃で慣用の溶融亜鉛メッキを行い(浴中Al濃度は
0.11%)さらに加熱して520℃で20s間合金化
処理後約20℃/sで室温まで冷却した。得られた合金
化亜鉛メッキ鋼板についてメッキ性外観、パウダリング
性およびメッキ皮膜中のFe濃度を測定した。これらの
結果を表4にまとめて示す。
した。 ◎ :面積率で100%メッキが付着した状態 ○ :面積率で90%以上メッキが付着した状態 △ :面積率で60〜90%メッキが付着した状態 × :面積率で30〜60%メッキが付着した状態 ××:面積率で30%以下しかメッキが付着していない
状態
を行い、亜鉛皮膜の剥離状況を曲げ加工部にセロテープ
を接着したのち、これをはがしてテープに付着した剥離
メッキ量から判定した。評価は下記の5段階とした。 1:剥離大 2:剥離中 3:剥離小 4:剥離微量
5:剥離全くなし また、メッキ層中のFe濃度は、X線回折によって求め
た。表4から明らかなように本発明では、メッキ性外
観、パウダリング性が良好であり、合金層中のFe濃度
も望ましい相と考えられているδ1相のそれに相当する
量となっている。
よれば従来にはないBH性と常温非時効性とを兼ね備え
た冷延鋼板を得ることができる。また、本発明鋼は、プ
レス成形性も良好であり、さらに、溶融亜鉛メッキ特性
にも優れているため防錆機能も発揮できる。その結果、
本発明鋼を自動車のボディやフレームなどに使用すると
板厚の軽減すなわち車体の軽量化が可能となるので最近
注目されている地球環境の保全にも本発明は大きく寄与
できる。このように本発明の産業上の意義はきわめて大
きい。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.0005〜0.00
70%、Si:0.001〜0.8%、Mn:0.01
〜4.0%、P:0.005〜0.15%、S:0.0
010〜0.015%、Al:0.005〜0.1%、
N:0.0003〜0.0060%、さらに、Ti:
0.003〜0.1%およびNb:0.003〜0.1
%のうち一種類以上を含有し、残部Feおよび不可避的
不純物からなる組成にして、マッシブフェライト、ベイ
ナイト、マルテンサイト又はアシキュラーフェライトで
構成される低温変態生成物単相組織を有することを特徴
とする焼付硬化性と成形性とに優れた冷延鋼板あるいは
溶融亜鉛メッキ冷延鋼板。 - 【請求項2】 B:0.0030%未満を含有する請求
項1に記載の冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼
板。 - 【請求項3】 Cr:0.01〜3.0%を含有する請
求項1あるいは2に記載の冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メ
ッキ冷延鋼板。 - 【請求項4】 スラブを(Ar3−100)℃以上の温
度で熱間圧延の仕上げを行い、室温から750℃の温度
で巻取り、60%以上の圧延率で冷間圧延を行い、連続
焼鈍における焼鈍温度をAe3変態点以上とすることを
特徴とする請求項1〜3に記載の冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 スラブを(Ar3−100)℃以上の温
度で熱間圧延の仕上げを行い、室温から750℃の温度
で巻取り60%以上の圧延率で冷間圧延を行い、焼鈍温
度をAe3変態点以上としたインライン焼鈍型の溶融亜
鉛メッキを施すことを特徴とする請求項1〜3に記載の
溶融亜鉛メッキ冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (6)
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US08/712,247 US5690755A (en) | 1992-08-31 | 1996-09-11 | Cold-rolled steel sheet and hot-dip galvanized cold-rolled steel sheet having excellent bake hardenability, non-aging properties at room temperature and good formability and process for producing the same |
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