JP3044641B2 - 著しく高い塗装焼付硬化性能を有する常温非時効性冷延鋼板 - Google Patents

著しく高い塗装焼付硬化性能を有する常温非時効性冷延鋼板

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JP3044641B2 JP5087649A JP8764993A JP3044641B2 JP 3044641 B2 JP3044641 B2 JP 3044641B2 JP 5087649 A JP5087649 A JP 5087649A JP 8764993 A JP8764993 A JP 8764993A JP 3044641 B2 JP3044641 B2 JP 3044641B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非常に高い塗装焼付硬
化性能を有する常温非時効性冷延鋼板に関するものであ
る。本発明が係わる冷延鋼板とは、自動車、家庭電気製
品、建物などに使用されるもので、表面処理をしない狭
義の冷延鋼板と、防錆のために、例えばZnメッキや合
金化Znメッキあるいは電気Znメッキなどの表面処理
を施した広義の冷延鋼板の両方を含む。
【0002】
【従来の技術】最近、地球環境問題に端を発して自動車
の燃費を法的に規制する動きがある。このような動きに
対して、自動車の車体を軽量化する目的から自動車外板
等に使用する鋼板を高強度化して板厚を減少させる方法
が対策として採られてきた。自動車用鋼板を高強度化す
ると、一般的にはその他の特性、例えば降伏点、r値、
伸びが悪化して外板等の用途に耐えられなくなる。そこ
で、これらの特性を満足させるために極低炭素鋼をベー
スにした高強度鋼板が提案され、採用されている。そし
て、特に外板パネルに対しては、板厚が減少することに
よって飛び石等が当たった時に容易に凹まない(耐デン
ト性)ように焼付硬化性(BH性)を付与した、非時効
性の鋼板が盛んに採用されるようになった。
【0003】例えば、特公平3−2224号公報や特公
平3−21611号公報には、極低炭素鋼にNb、T
i、Bを選択添加して、焼鈍後にフェライト相と低温変
態生成相を共存させた複合組織冷延鋼板が開示されてい
る。これらの鋼板は、パネル用として要求される深絞り
性、高延性、常温非時効性およびBH性を備えている。
しかしながら、これらに開示された鋼板のBH性は高々
6kgf/mm2 程度であり、さらに車体の軽量化を進
めたいとする需要家の要求に対してはまだ不十分なBH
レベルにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動車の外板パネルな
どに使用される鋼板には、プレス加工後にスプリングバ
ックや面歪などが生じない良好な面形状性が厳しく要求
されるため、降伏強度は25kgf/mm2 以下である
ことが必須である。一方、プレス成形をした後の鋼板に
は耐デント性が要求されるため、できるだけ高い降伏強
度が必要となり、著しく高い焼付硬化性能が求められ
る。
【0005】以上から、車体の軽量化に有益な外板パネ
ル用として望ましい鋼板は、プレス加工前の降伏強度が
成形可能な範囲でできるだけ高く、プレス加工後の塗装
焼付で著しく降伏強度が上昇する特性をもつことが必要
である。もちろん、深絞り性や張出し性に優れ、常温非
時効性であることも必須要件となる。本発明は、以上の
ような要望を満足するものであって、特に塗装焼付硬化
性能に関しては7kgf/mm2 以上の高いBH量を目
的に応じて付与することができ、かつ常温非時効性を兼
ね備え、引張強度が33〜38kgf/mm2 、降伏強
度が20〜25kgf/mm2 の冷延鋼板を提供するこ
とを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
標を達成するために、鋭意研究を遂行し、以下に述べる
ような従来にはない知見を得た。すなわち、Mnを添加
した極低炭素鋼をベースにして、必要に応じてTi、N
bのうち1種以上あるいはCrをそれぞれ単独または複
合添加した鋼においては、比較的容易に7kgf/mm
2 以上のBH性を付与することができ、またたとえBH
量が10kgf/mm2 程度となっても、人工時効後の
YP−Elが0.2%を超えることはなく、非常に優れ
た常温非時効性とBH性とを両立することが分かった。
この原因は必ずしも明かではないが、Mnを用いてアシ
キュラーフェライト単相組織とした鋼においては、生成
するアシキュラーフェライト中の可動転位密度が従来の
Nb、Ti、Bの複合添加によって得られた複合組織の
それよりもかなり高いことが原因であると思われる。
【0007】さらに本発明者らは、0.0035%C−
1.5%Mn−0.01%P−0.004%S−0.0
1%Si−0.030%Ti−0.04%Al−0.0
018%Nなる化学成分を有する鋼を用いて、アシキュ
ラーフェライトの体積分率とBH、人工時効後のYP−
Elとの関係について検討した。この結果を図1に示
す。図1から明らかなように、高いBHと常温非時効性
(YP−El<0.2%)とを両立するためには、アシ
キュラーフェライトの体積率を5%超とすることが必須
であることが判明した。これは、アシキュラーフェライ
トの体積率が5%超となると、鋼板に導入される可動転
位密度が顕著に増加し、高BHと常温非時効性とが両立
したものと考えられる。
【0008】また、本発明者らは、組織中にアシキュラ
ーフェライトを有する鋼においては、r値と鋼板強度と
の間に密接な相関が存在することを見出した。すなわ
ち、0.003%C−0.01%Si−0.10%Mn
−0.007%P−0.004%S−0.015%Ti
−0.010%Nb−0.002%Nなる成分を有する
鋼をベースとして、Mnを0.10〜1.7%まで変化
させた鋼、および0.003%C−0.01%Si−
0.70%Mn−0.007%P−0.004%S−
0.015%Ti−0.010%Nb−0.002%N
をベースとしてPを0.007〜0.07%まで変化さ
せた鋼を(Ac3 +30)℃の温度で焼鈍してアシキュ
ラーフェライト単相組織を得た。このときの鋼板強度
(引張強度と降伏強度)とr値との関係をグラフにした
のが図2である。図2から明らかなように、引張強度は
33kgf/mm2 以上とすることが必須であり、降伏
強度については20kgf/mm2 以上とすることが必
須であることが分かった。この理由については必ずしも
明らかではないが、変態前と後との結晶方位の関係、す
なわち集合組織の関係に対して残留応力の影響があるた
めと推察される。すなわち、α→γ変態にともなって発
生する残留応力が、高強度鋼板の方が低強度鋼板よりも
大きいため、γ→α変態における方位選択性に対して影
響を与えるものと考えられる。
【0009】本発明は、このような思想と新知見に基づ
いて構成された従来にはない全く新しい鋼板であり、そ
の要旨とするところは以下のとおりである。 (1)重量%で、C:0.0020〜0.0060%、
Si:0.001〜0.8%、Mn:0.5〜2.5
%、P:0.001〜0.08%、S:0.0002〜
0.020%、Al:0.005〜0.2%、N:0.
0002〜0.0060%を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなる組成にして、アシキュラーフェラ
イト単相組織を有し、引張強度:33〜38kgf/m
2 、降伏強度:20〜25kgf/mm2 、BH:7
kgf/mm2 以上でかつ実質的に非時効であることを
特徴とする著しく高い塗装焼付硬化性能を有する常温非
時効性冷延鋼板。
【0010】(2)Ti:0.001〜0.2%および
Nb:0.001〜0.2%のうち1種以上を含有する
前項1記載の著しく高い塗装焼付硬化性能を有する常温
非時効性冷延鋼板。 (3)Cr:0.01〜3.0%を含有する前項1また
は2記載の著しく高い塗装焼付硬化性能を有する常温非
時効性冷延鋼板。
【0011】(4)B:0.0001〜0.0070%
を含有する前項1〜3のいずれかに記載の著しく高い塗
装焼付硬化性能を有する常温非時効性冷延鋼板。 次に本発明における限定理由について詳細に説明する。 C:Cは製品の材質特性を決定するきわめて重要な元素
である。本発明は真空脱ガス処理をした極低炭素鋼を前
提とするが、Cが0.0020%未満となるとBHを7
kgf/mm2 以上付与することが困難となり、2次加
工性が劣化し、かつ製造コストが著しく増加するので、
その下限を0.0020%とする。一方、C量が0.0
060%を超えると成形性の劣化を招き、また常温非時
効性が確保されなくなるので、上限を0.0060%と
する。なお、高いBHと優れた成形性とを両立させるた
めには、C:0.0030%超〜0.0050%未満と
することが望ましい。
【0012】Si:Siは安価に強度を増加させる元素
として知られており、その添加量は狙いとする強度レベ
ルに応じて変化するが、添加量が0.8%超となると降
伏強度が上昇しすぎてプレス成形時に面歪が生じる。ま
た、α→γ変態点が上昇し、アシキュラーフェライト単
相組織を得るための焼鈍温度が著しく高くなる。さら
に、化成処理性の低下、溶融亜鉛メッキ密着性の低下、
合金化反応の遅延による生産性の低下などの問題が生ず
る。下限は、製鋼技術およびコストの観点から0.00
1%とする。
【0013】Mn:Mnは本発明において最も重要な元
素の1つである。すなわち、Mnはα→γ変態点を低下
させるので、アシキュラーフェライト単相組織を得るの
にそれほど高い温度を必要とせず、生産性の向上をもた
らす元素である。しかも、Mnを活用することによって
得られたアシキュラーフェライト単相組織鋼板において
は、通常では得られない7kgf/mm2 以上のBH量
を比較的容易に付与することができ、7kgf/mm2
以上のBH性を有する場合にも非常に優れた常温非時効
性を示す。この性質は、Mnを活用して得られたアシキ
ュラーフェライト単相組織鋼板に特有のもので、フェラ
イト単相組織鋼板やNb、B、Tiの数種類の組合せに
よって得られた複合組織鋼板では示さない特性である。
さらにMnは化成処理性を改善したり、溶融亜鉛メッキ
性を改善する効果も有する。Mnは0.5%未満の添加
では、上に述べた効果が顕著に現れないので、その下限
を0.5%とする。一方、2.5%を超えると製造コス
トが高くなるので上限を2.5%とする。なお、上記の
効果をさらに発揮させるためには、0.8%超のMnを
添加することが好ましい。
【0014】P:PはSiと同様に安価に強度を上昇さ
せる元素として知られており、その添加量は狙いとする
強度レベルに応じて変化する。添加量が0.08%を超
えるとアシキュラーフェライト単相組織を得るための焼
鈍温度が著しく高くなり、また降伏強度が増加し過ぎて
プレス時に面形状不良を引き起こす。さらに、連続溶融
亜鉛メッキ等に合金化反応が極めて遅くなり、生産性が
低下する。また、2次加工性も劣化する。したがって、
その上限値を0.08%とする。また、製鋼技術および
コストの観点から下限は0.001%とする。
【0015】S:S量は低い方が好ましいが、0.00
02%未満になると製造コストが高くなるのでこれを下
限値とする。一方、0.020%超となるとMnS等の
硫化物が数多く析出し、加工性が劣化したり、熱間圧延
時に割れが発生したりするのでこれを上限値とする。 Al:Alは脱酸調整およびTiを添加しない場合には
Nの固定に使用するが、0.005%未満では脱酸調整
およびNを固定する効果が充分でなく、またTiやNb
の歩留が低下する。一方、0.2%超になるとコストア
ップを招くので上限を0.2%とする。
【0016】N:Nは低い方が好ましい。しかし、0.
0002%未満にするには著しいコストアップを招く。
一方、あまり多いと多量のTi、Nb、Alが必要にな
ったり、加工性が劣化したりするので0.0060%を
上限値とする。本発明においては、上記の成分以外にT
i、Nb、CrあるいはBを必要に応じて添加する。
【0017】Ti、Nb:Ti、NbはN、C、Sの全
部または一部を固定することにより、極低炭素鋼の加工
性と非時効性を確保する役割を有する。さらには熱延板
の結晶粒を微細化し、製品板の加工性を良好にする。T
i、Nbがそれぞれ0.001%未満ではその添加効果
が現れないのでこれを下限値とする。一方、0.2%を
超えると著しい合金コストの上昇を招くので上限値をそ
れぞれ0.2%とする。また、優れた成形性と高いBH
性とを両立させるためには、Tiおよび/またはNbと
Cとの原子比を0.7以上2.0以下とすることが望ま
しい。
【0018】Cr:Crは、Mnと同様な作用効果をも
たらす元素であり、Mnとの複合添加によって本発明の
高BH性、常温非時効性を容易に付与できる。Crを添
加する際は、0.01%未満では前記の効果が発揮され
ないので、下限を0.01%とし、3.0%を超えると
製造コストの上昇を招くので上限を3.0%とする。 B:Bは2次加工脆化の防止に有効であるので添加して
もよい。添加する場合の下限は0.0001%とする。
一方、0.0070%を超えると製造コストが上昇し、
また加工性の劣化の原因ともなるので上限を0.007
0%とする。
【0019】製造条件については特に限定されるもので
はないが、以下のような条件で行うのが望ましい。熱延
の仕上温度は製品板の加工性を確保するという観点から
Ar3 −100℃以上とすればよいが、より高いr値を
指向する際は、Ar3 点直上で仕上げるのが好ましい。
また、巻取温度は室温から750℃とする。本発明はそ
の製品材質が熱延巻取温度の影響をあまり受けないとい
う特徴を有する。これは、MnやCrなどをかなり添加
しており熱延板の組織が著しく微細で均一化しているこ
とが一因と考えられる。巻取温度の上限が750℃であ
ることは、コイル両端部での材質劣化に起因する歩留低
下を防止する観点から決定される。
【0020】冷間圧延は通常の条件でよく、焼鈍後の深
絞り性を確保する目的からその圧延率は60%以上とす
る。連続焼鈍あるいはライン内焼鈍方式の連続溶融亜鉛
メッキ設備の焼鈍温度は、Ae1 変態点以上とする。焼
鈍温度がAe1 変態点未満では、本発明の特徴であるア
シキュラーフェライト単相組織を得ることはできない。
【0021】焼鈍後の調質圧延は0〜3%の範囲の圧下
率とすればよい。本発明によれば、調質圧延を全く行わ
なくても常温非時効性を得ることができる。鋼板の形状
矯正や表面粗度の調整、あるいはさらに常温非時効性を
向上させたい場合には調質圧延を行うが、圧下率が3%
を超えると著しく降伏強度が高くなり、耐面歪性を損な
うので3%を上限とする。
【0022】鋼板の組織は、アシキュラーフェライト
相組織とする必要がある。後述する実施例1の表3〜表
5において明らかなように、アシキュラーフェライトの
体積率を100%とすると100%未満の場合に比較し
て、優れたBH性と常温非時効性(低いYP−El)が
得られる
【0023】鋼板の強度は、引張強度33〜38kgf
/mm2 、降伏強度20〜25kgf/mm2 とする。
引張強度が33kgf/mm2 未満となると本発明のよ
うなアシキュラーフェライト単相組織鋼板の場合、著し
く深絞り性が劣化するのでこれを下限とする。また、引
張強度が38kgf/mm2 超となると降伏強度が25
kgf/mm2 超となり、プレス成形時の面歪の原因と
なるので38kgf/mm2 を上限とする。降伏強度
は、20kgf/mm2 未満では、やはり深絞り性が著
しく劣化し、また耐デント性が劣化するのでこれを下限
とする。また、降伏強度が25kgf/mm2 超では、
耐面歪性が劣化するので上限を25kgf/mm2 とす
る。これらの観点から、降伏強度は21〜24kgf/
mm2 とするのが好ましい。降伏比については、耐面歪
性と耐デント性との観点から0.6〜0.7とするのが
望ましい。
【0024】かくして、本発明によれば、高い塗装焼付
硬化性能と常温非時効性とを併せ持ち、平均r値(深絞
り特性)や伸び(張出し特性)などの加工性にも優れる
鋼板を得ることができる。特に塗装焼付硬化性能に関し
ては、7kgf/mm2 以上の高いBH量を必要に応じ
て付与することができ、かつ常温非時効性を兼ね備えた
冷圧鋼板を提供することが可能である。
【0025】次に本発明を実施例にて説明する。
【0026】
【実施例】
実施例1 表1、表2(表1のつづき)に示す組成を有する鋼を溶
製し、スラブ加熱温度1200℃、仕上温度900℃、
巻取温度700℃で熱間圧延して、4.0mm厚の鋼帯
とした。酸洗後、80%の圧下率の冷間圧延を施して
0.8mm厚の冷延板とし、次いで平均加熱速度10℃
/sec、均熱840〜1010℃×60sec、均熱
温度から680℃までの温度域を平均冷却速度5℃/s
ec、680℃から室温までを平均冷却速度80℃/s
ecの連続焼鈍を行った。さらに0.5%の圧下率の調
質圧延を施し、JIS5号引張試験片を採取して引張試
験に供した。引張試験結果をまとめて表3〜表5に示
す。
【0027】ここで、BH量は2%予歪材に170℃×
20分の塗装焼付相当の熱処理を施してから再度引張試
験を行った場合の応力の増加量(再引張試験時の下降伏
応力から2%変形応力を差し引いた値)である。また、
2次加工脆化遷移温度は、調質圧延した鋼板から直径5
0mmのブランクを打ち抜き、次いで直径33mmのポ
ンチでカップ成形し、これに種々の温度で落重試験を施
した場合の延性−脆性遷移温度である。
【0028】表3〜表5から明らかなように、従来鋼の
同レベルの引張強度を有する鋼板と比較して、本発明鋼
は従来にない高いBH性を有し、かつ非常に優れた常温
非時効性を兼ね備えていることが分かる。このことはM
nやCrを用いてアシキュラーフェライト単相組織とし
た鋼板においては、比較鋼に比べて、好ましい転位密度
を有することが主な原因であると思われる。また、本発
明鋼は降伏強度が耐面歪性と耐デント性に対して適切な
範囲にあり、r値や伸びにも優れている。したがって、
例えば自動車の外内板パネルには好適の材料である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば従来にないBH性と常温非時効性とを兼ね備え
た冷延鋼板を得ることができる。また、本発明鋼はプレ
ス成形性も良好であり、さらに溶融亜鉛メッキ特性にも
優れているため防錆機能も発揮できる。その結果、本発
明鋼を自動車のボディやフレームなどに使用すると板厚
の軽減、すなわち車体の軽量化が可能となるので、最近
注目されている地球環境の保全にも本発明は大きく寄与
できる。このように本発明の産業上の意義はきわめて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】アシキュラーフェライトの体積率とBHおよび
人工時効後のYP−Elとの関係を示す図である。
【図2】鋼板の強度とr値との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−277741(JP,A) 特開 平3−266544(JP,A) 特公 平6−21334(JP,B2) 特公 平3−2224(JP,B2) 特公 平3−21611(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.0020〜0.00
    60%、Si:0.001〜0.8%、Mn:0.5〜
    2.5%、P:0.001〜0.08%、S:0.00
    02〜0.020%、Al:0.005〜0.2%、
    N:0.0002〜0.0060%を含有し、残部Fe
    および不可避的不純物からなる組成にして、アシキュラ
    ーフェライト単相組織を有し、引張強度:33〜38k
    gf/mm2 、降伏強度:20〜25kgf/mm2
    BH:7kgf/mm2 以上でかつ実質的に非時効であ
    ることを特徴とする著しく高い塗装焼付硬化性能を有す
    る常温非時効性冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 Ti:0.001〜0.2%およびN
    b:0.001〜0.2%のうち1種以上を含有する請
    求項1記載の著しく高い塗装焼付硬化性能を有する常温
    非時効性冷延鋼板。
  3. 【請求項3】 Cr:0.01〜3.0%を含有する請
    求項1または2記載の著しく高い塗装焼付硬化性能を有
    する常温非時効性冷延鋼板。
  4. 【請求項4】 B:0.0001〜0.0070%を含
    有する請求項1〜3のいずれかに記載の著しく高い塗装
    焼付硬化性能を有する常温非時効性冷延鋼板。
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