JP2979792B2 - 半導体装置の電極形成方法 - Google Patents

半導体装置の電極形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の電極形成方
法に係り、特にSi基板と密着性が高く、パワーデバイ
スの裏面電極形成に用いて好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体ウエハ上にチタン膜、ニッ
ケル膜、金膜を順次スパッタリング法や蒸着法等によっ
て形成する積層金属電極の製造方法が知られているが、
ニッケル膜に強い膜応力が発生して積層金属電極とウエ
ハとの結合強度が低下し、特にチタンと半導体ウエハと
の界面において剥離してしまうという問題がある。
【0003】そのため、ウエハ表面を特定形状に研磨す
ることによりアンカー効果を得、密着力を高くする方法
や、例えば特開平2−167890号公報に示されるよ
うにニッケル膜応力を低くする方法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法においては、工程数の増加によりコスト高となった
り、研磨による割れ不良を誘発したりするという問題が
ある。
【0005】また、後者の方法による場合、アルゴンガ
ス圧力を12mTorr以上、基板温度100〜250
℃に制御すれば、ニッケル膜応力は3×108 N/m2
以下となり、ある程度効果が得られるものの、枚葉式ス
パッタリング装置等において工業的に連続使用した場
合、装置内温度は250℃以上に上昇してしまい、その
結果、ニッケル膜応力は高くなりやはり結合部での剥離
が生じてしまうことになる。
【0006】本発明は上述の問題に鑑みてなされたもの
であり、Si基板に特定形状の凹凸を形成するというよ
うに特別に工程数が増加することもなく、さらにニッケ
ル膜応力の低減を特に図らずとも、Si基板と金属電極
との密着力を高くすることのできる半導体装置の電極形
成方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述目的を達成するため
に、本発明に係る電極形成方法は、アルゴンイオンの逆
スパッタリングによる清浄化処理を施した後のシリコン
基板表面にコンタクト金属膜を形成し、該コンタクト金
属膜上に密着用金属としてニッケル膜を形成する工程を
含む半導体装置の電極形成方法において、前記シリコン
と前記コンタクト金属膜界面におけるアルゴン原子の面
密度を、4.5×10 14 (atoms/cm2 )の値以下に制御
することを特徴とし、より具体的には、前記コンタクト
金属膜形成時の基板温度を略350℃以下とする時、前
記界面におけるアルゴン原子の面密度を、前記清浄化処
理における前記逆スパッタリングの出力を制御すること
上述の値以下に制御するようにしている。
【0008】
【作用および効果】ここで、本発明は本発明者等が実験
考察を重ねた結果、シリコン基板表面にコンタクト金属
膜を形成する際に通常前処理として行われる基板清浄化
処理においてシリコン基板内に入り込んだアルゴンが、
ニッケル膜の強い膜応力に対してシリコン基板/コンタ
クト金属膜界面における結合強度を低下させる要因とな
っていることをつきとめ、該界面におけるアルゴン量を
制御することにより密着力を高くすることができること
を見出したことに基づいてなされたものである。
【0009】すなわち、シリコン基板表面に基板に対し
て不活性なアルゴンイオンを衝突させることで、該シリ
コン基板表面に成長した自然酸化膜は除去され、基板表
面が清浄化される。この清浄処理ではイオンの衝突に
よってシリコン基板表面はダメージを受け、最表面のシ
リコン(Si)はアモルファス化している。
【0010】この状態でオーミックコンタクト用の金
属,例えばチタン(Ti)を堆積した場合、Si/Ti
界面においてSiがTi中に拡散しSi−Tiのアモル
ファス層を形成し、Si/Ti界面の結合を強固とする
ものだが、その際、Si基板表面に存在しているアルゴ
ン(Ar)はTi堆積過程においてTi中に拡散するこ
とができず、Si基板とSi−Tiのアモルファス層と
の界面に集中することになる。
【0011】ここで、このSi基板とSi−Tiのアモ
ルファス層との界面に集中するアルゴン量と、電極/S
i間の結合強度との間には相関関係があることが、本発
明者らの実験考察により初めて明らかとされた。すなわ
ち、この界面におけるアルゴン量をニッケル膜の持つ膜
応力に対して所定の値以下とすることで、電極/Si間
の強い結合を保つことができることとなる。
【0012】なお、この界面に集中するアルゴン量は、
基板清浄化処理におけるアルゴンイオンの逆スパッタリ
ングの出力を制御してアンゴンイオンのエネルギーを制
御することで制御することができる。
【0013】このように、本発明によれば、Si基板に
入り込んだアルゴン量を制御する,言い換えれば基板
浄化処理におけるアルゴンイオンの逆スパッタリング条
件を制御することのみで、Si基板と金属電極との密着
力を高くすることができるという優れた効果が奏され
る。
【0014】
【実施例】図1は、本発明一実施例を適用した半導体装
置(DMOS素子)を示す縦断面図である。以下、本実
施例を図3を用いて製造工程に従って説明する。尚、図
3(a)乃至(f)には本実施例により製造される積層
金属電極が製造工程順に模式的に示してある。
【0015】まず、図3(a)において、例えば直径5
インチ、厚さ600μmのシリコン(Si)基板1上に
所定のパワーMOSトランジスタのゲート,ソース領域
を形成した後(図示略)、図3(b)に示す如く、表面
電極としてアルミ配線3を所定のパターンに形成する。
次に、図3(c)に示すようにアルミ配線3保護用のパ
ッシベーション膜として例えば窒化シリコン(SiN)
層5をプラズマCVD法等により形成する。
【0016】このようにしてシリコン基板1の表面側の
素子構成要素が形成されたならば、該基板1を図2に示
すスパッタリング装置に搬送し、シリコン基板1の裏面
側にMOSトランジスタのドレイン電極となる金属膜を
形成する。なお、図2に示すスパッタリング装置は、V
arian社製(XM−8)のDC平行平板型マグネト
ロンスパッタリング装置であり、基板温度を約20℃、
チャンバ23内に供給するアルゴン(Ar)ガス21の
圧力を7.5mTorrとしてスパッタリングする。な
お、Arガスはマスフローメーター51を介してガス導
入口53よりチャンバ23内に供給される。また、Ar
ガスの圧力はこのマスフローメータ51によるArガス
の供給量と後述する真空ポンプによる真空引きの程度に
より決定される。図2において、真空ポンプはロータリ
ーポンプ55,ターボポンプ57およびクライオポンプ
59より成り、真空引きは、まず、ロータリーポンプ5
5により粗引きを行い、ターボポンプ57により中引き
およびロック室61の真空引きを行い、クライオポンプ
59により本引きを行っている。
【0017】図2において、まず、トランスポート25
から搬入ロックテーブル27がウエハを受けとり、引続
きその搬入ロックテーブル27が下降動作をおこなうこ
とによりウエハをシャトル(図示せず)に渡す。シャト
ルは図2中点線上を移動可能に構成されており、受けと
ったウエハをまずプロセステーブル29上に移動させ
る。ステーション13(エッチング室)においては、プ
ロセステーブル29が低電位に、そして、キャプチャー
31側が高電位(具体的には接地電位)になるように高
周波電源が接続されており、この状態で15W,90秒
間の条件でスパッタリングを行うことにより、イオン化
したArガスがシリコン基板1の裏面に衝突し、裏面側
の最表面を2.5nm程度エッチングする。このエッチ
ングにより最表面に2nm程度成長していた自然酸化膜
や炭素などのコンタミネーションは除去され、またAr
ガスイオンの衝突によりシリコン基板最表面はアモルフ
ァス化される。上述のスパッタリング条件において、こ
のアモルファスSi層内に残存するArの原子密度は
2.0×1014atoms/cm2 であった。なお、上述のキャ
プチャー31はシリコン表面の汚染物(自然酸化膜な
ど)を捕集するためのものである。又、図2中、33は
放電を格納するためのマグネットである。
【0018】次に、ウエハをシャトルによりステーショ
ン15(Ti成膜室)に移動させ、プロセステーブル3
5上に配置する。このステーション15においては、プ
ロセステーブル35が高電位(具体的には接地電位)
に、そして、チタン(Ti)を含むターゲット37側が
低電位になるように直流電源が接続されており、この状
態で2kW,75秒間の条件でスパッタリングを行うこ
とによりイオン化したArガスがターゲット37に衝突
し、ターゲット37から飛び出したTi原子がシリコン
基板1上に堆積し、約250nmの厚さのTi膜7を形
成する。この堆積途中において、シリコン基板1とTi
膜7の界面には、図3(d)に示すようにSi−Tiの
アモルファス層8が形成される。なお、図3(d)にお
いて、6は上述のAr原子を含有したアモルファスSi
層である。
【0019】次に、ウエハをシャトルによりステーショ
ン17(Ni成膜室)に移動させ、プロセステーブル3
9上に配置する。このステーション17においてもステ
ーション15と同様に、プロセステーブル39側が高電
位に、そしてニッケル(Ni)を含むターゲット41側
が低電位になるように直流電源が接続されている。そし
て、この状態で1kW,240秒間の条件でスパッタリ
ングを行うことによりイオン化したArガスがターゲッ
ト41に衝突し、ターゲット41から飛び出したNi原
子が上述のTi膜7上に堆積し、図3(e)に示すよう
に約600nmの厚さのNi膜9を形成する。
【0020】そして、ウエハをシャトルによりステーシ
ョン19(Au成膜室)に移動させ、プロセステーブル
43上に配置する。このステーション19においても同
様に、プロセステーブル43側が高電位に、そして金
(Au)を含むターゲット45側が低電位になるように
直流電源が接続されている。そして、この状態で0.5
kW,12秒間でスパッタリングを行うことにより上述
のNi膜9上にAu原子を堆積させ、図3(f)に示す
ように、約50nmの厚さのAu膜11を形成する。
【0021】このように裏面電極として裏面側にTi,
Ni,Auが順次形成されたウエハはシャトルにより搬
出ロックテーブル47に渡され、さらに、搬出ロックテ
ーブルが上昇動作を行うことによりトランスポート49
に渡され、図1に示す半導体装置が製造される。
【0022】なお、上述の説明ではパワーMOSトラン
ジスタの詳細構造については省略したが、この構造は公
知のDMOS構造のものでよく、また他にバイポーラ素
子、ダイオード等であってもよい。
【0023】次に、上述の製造工程に従って製作した図
1に示す構造において、Si−Ti間の密着のメカニズ
ムについて説明する。図4には、図3(d)に示す工程
においてTi膜堆積前にArエッチでSi基板中に残存
したAr原子の面密度と、実際にTi,Ni,Auの裏
面電極を形成したときのピールテスト結果との関係を示
す。図4より明らかなように、残存するAr原子の面密
度とSi−Ti間剥離との間には相関関係がある。な
お、図4は基板温度を20℃とした時の結果を示してい
るが、基板温度を略350℃以下として裏面電極を形成
した際に、図4と同等の結果が得られており、Ar原
子の面密度が略4.5×1014atoms/cm2以下のときS
i−Ti間剥離は発生しておらず、強固に接着してい
る。しかしながら、Ar原子の面密度が略4.5×10
14atoms/cm2 を境として超えるような場合においては剥
離が発生している。
【0024】これは、図5の剥離モデル図に示すよう
に、Ti膜堆積時において基板表面のSi原子は容易に
Ti膜中に拡散するが、逆スパッタリング時に基板内に
入り込んだAr原子は拡散できず、Si・Ti拡散層と
Si基板界面に集中し、この界面に集中するAr原子は
Si/Ti間の結合に寄与しないために密着力を低下さ
せ、剥離を発生させるものと考察される。ここで、Ni
膜のもつ膜応力に対して剥離を発生させない範囲のAr
原子の面密度が存在し、Si基板中に残存するAr原子
の面密度が略4.5×1014atoms/cm2 以下のときはそ
の量が少ないために強い密着力は保持されるものの、そ
れ以上になると界面のAr集中の影響により剥離が発生
すると考えられる。なお、基板温度が略350℃以上の
場合にあってはArも拡散が許容されるものの、界面に
残存するAr原子の面密度は上述の範囲にすることが望
まれる。
【0025】このメカニズムは剥離面のミクロ解析によ
り裏付けることができる。表1には、Si基板中に残存
するArの原子密度を6.0×1014atoms/cm2 として
剥離したSi/Ti間の剥離面をX線光電子分析法によ
り解析した結果を示す。
【0026】
【表1】 表1からわかるように、Si側からはAr,Si,Cと
Oが、また、Ti側からはTi,Si,CとOが検出さ
れている。Ti側からはArが検出されないことから、
ArはTi中には拡散できないことが確認できる。な
お、ここで検出されたC,Oは分析までの間に大気中の
成分が吸着したものと考えられる。
【0027】以上のように上記一実施例によれば、Ti
膜7堆積前のArの逆スパッタによる基板最表面の清浄
化のときに、そのスパッタリング条件を制御してSi基
板内に入り込むAr原子の量を面密度4.5×1014at
oms/cm2 以下の値,2.0×1014atoms/cm2 としてい
るために、Ti膜7堆積時においてSi/Ti界面に結
合に寄与しないArが集中してもSi−Tiの結合に影
響を及ぼすことはなく、Si−Tiのアモルファス層8
による強固な結合を保持することができる。従って、S
i−Ti間の接合をNi膜9の膜応力に対して充分強固
にすることができる。また、その際に基板裏面に特別な
凹凸形状を形成する必要もなく、工程が増加することも
ない。さらに、基板裏面の自然酸化膜除去に際して、H
F系エッチャントによるエッチングでなくArの逆スパ
ッタを利用するようにしているため、工程が増えること
もなく、また炭素等有機物のコンタミネーションの除去
も施すことができる。さらに、Si−Tiアモルファス
層にて高い密着力が得られているため、Ti/Ni/A
u成膜後に熱処理して密着力の向上を図る必要もなく、
従って該熱処理による工程数の増加、並びにNiがAu
層を突き抜け最表面に拡散・酸化することによるはんだ
ぬれ不良を招くことも防止でき、また、該熱処理が原因
でTi/Ni間にボイドの多い合金層が形成され強度が
低下することも、ウエハの反りが大きくなることも防止
できる。また、裏面電極形成時の基板温度が低くても強
固な結合が実現できるため、Si基板表面側に形成した
アルミ電極配線が熱劣化することもない。
【0028】なお、上記一実施例ではウエハ表面にオー
ミックコンタクトをとるためにTi層7を形成した例を
示したが、このTiの代わりに例えばクロム(Cr),
バナジウム(V),ジルコニウム(Zr),アルミ(A
l)あるいは金(Au)を形成するようにしてもよい。
また、Ti層の厚さは250nmに限らず、100〜4
00nmの範囲でもよい。また、Ni層の厚さも600
nmに限らず、200〜1000nmの範囲でもよい。
【0029】さらに、特開平2−167890号公報に
示す如く、Ar圧力を12mTorr以上,基板温度を
100〜250℃の範囲に精密に制御してNiの膜応力
を3×108 N/m2 以下とすれば、本発明の効果はさ
らに向上するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例を適用して製造した半導体装置
(DMOS素子)を示す縦断面図である。
【図2】本発明一実施例において使用したスパッタリン
グ装置構造図である。
【図3】図(a)〜図(f)は本発明一実施例により製
造される積層金属電極をその製造工程順に模式的に示す
断面図である。
【図4】Ar面密度とTi−Si間剥離面積率との関係
を示す特性図である。
【図5】Ti−Si界面の剥離メカニズムを示すモデル
図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 6 アモルファスSi層 7 Ti膜 8 Si−Tiアモルファス層 9 Ni膜 11 Au膜 21 アルゴンガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/28 - 21/288 H01L 21/3205 H01L 21/3213 H01L 21/44 - 21/445 H01L 21/768 H01L 29/40 - 29/51

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルゴンイオンの逆スパッタリングによ
    る清浄化処理を施した後のシリコン基板表面にコンタク
    ト金属膜を形成し、該コンタクト金属膜上に密着用金属
    としてニッケル膜を形成する工程を含む半導体装置の電
    極形成方法において、前記シリコンと前記コンタクト金
    属膜界面におけるアルゴン原子の面密度を4.5×10
    14 (atoms/cm2 )の値以下に制御することを特徴とする
    半導体装置の電極形成方法。
  2. 【請求項2】 前記コンタクト金属膜は、チタン,バナ
    ジウム,クロム,ジルコニウム,金のうち何れかである
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の電極形
    成方法。
  3. 【請求項3】 前記ニッケル膜上に最終電極を形成する
    工程を付加したことを特徴とする請求項1または2に記
    の半導体装置の電極形成方法。
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