JP2978379B2

JP2978379B2 - 双ドラム式連続鋳造用扁平外ノズル構造

Info

Publication number: JP2978379B2
Application number: JP5217249A
Authority: JP
Inventors: 秀男築地; 幸生井上; 康志筒井; 章生石井; 靖博山上; 衛山田
Original assignee: KUROSAKI YOGYO KK; Nippon Steel Corp
Current assignee: KUROSAKI YOGYO KK; Nippon Steel Corp
Priority date: 1993-09-01
Filing date: 1993-09-01
Publication date: 1999-11-15
Anticipated expiration: 2014-11-15
Also published as: JPH0768356A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、双ドラム式連続鋳造装
置において、タンディッシュから移動鋳型内に溶湯を供
給する場合に用いられる扁平ノズルに関し、より具体的
には、上部に内ノズル挿通孔を有し下端部にスリット状
ノズル孔を有する外ノズル構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から一般に知られている双ドラム式
連続鋳造装置を用いた連続鋳造においては、図３に示さ
れるように、回転する一対の冷却ドラムＲａ、Ｒｂとこ
のドラムの両端に当接されるサイド堰Ｓａ，Ｓｂによっ
て形成される移動鋳型内に、タンディッシュ内から内ノ
ズルａ、外ノズルｂを介して溶湯ｅを供給し、移動鋳型
内に所定レベルの湯溜り部ｐをつくりつつ、冷却ドラム
で冷却して凝固シェルを形成し、この凝固シェルを一対
の冷却ドラムの最接近部に形成されるギャップにおいて
圧接・一体化して広幅薄肉鋳片ｃを得るようになってい
る。

【０００３】この際、均質な薄肉鋳片を得るためには、
移動鋳型内に形成されるメニスカスの位置変動を極力抑
制する必要があり、そのために、移動鋳型内への溶湯の
供給するためのノズルの役割は重要である。

【０００４】このような要求に答えるものとして、例え
ば特開昭６３−２０３２５４号の発明では、下部閉鎖端
近傍の冷却ドラムＲａ，Ｒｂ側側壁にスリット状ノズル
孔ｏを有し、多孔質耐火物からなるフィルターｆと溶融
性金属部材ｄを内蔵した外ノズルｂが提案されている。
ここに示される外ノズルｂは、図４に示されるように溶
湯を冷却ドラムの長手方向に均一に供給するために扁平
で、これを耐火物で一体的に成型することは決して容易
ではない。

【０００５】このようなノズルを耐火物を成型して得る
場合には、一般的にはロストワックス法等の中子をが用
いることが考えられるが、容量が大きい場合、１０００
Kg／cm²以上の成型圧力が必要であり、この場合、中子
が変形したり、また焼成過程で変形し、所望の形状のノ
ズルを得ることは困難である。そのため、一般的には、
このような形状のノズルは、ノズル本体を上部と下部に
分割して製造しこれらを接着して組み立てて一体化する
ことによって得られる場合が多い。

【０００６】このように組み立てて得られた外ノズルｂ
は、溶湯の整流用のフィルターｆを内蔵後、タンディッ
シュに装着された内ノズルａを内装して固定され、連続
鋳造に供されるが、連続鋳造の進行に伴い、フィルター
ｆに介在物が付着・成長してフィルターは目詰まりを起
こす。

【０００７】目詰まりが進行しその目詰まり度が８０％
を越えると溶湯の外ノズル内貯留量が増加し、ノズル内
の溶湯圧力が増加して上部と下部の接着強度を超え、上
部と下部の組み合わせ部分を起点に、外ノズルが破壊に
至る場合が多い。外ノズルの強化方法として、使用材
料、接着剤の高級化等が考えられるが、その強度には限
界があり、またコスト高になる等、根本的解決にはなら
ない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、双ドラム式
連続鋳造用扁平外ノズル本体を、上部と下部に分割して
製造し、これを補強ピンと接着剤を用いて組み立て一体
化する場合において、補強ピンと接着剤による補強効率
を高めて、強固な組み立てを効率的に実現可能な双ドラ
ム式連続鋳造用扁平外ノズル構造を提供するものであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、外ノズル本体
を、内ノズル挿通孔を有し下端部に垂下壁を有するセラ
ミックス材からなる上部本体と、下端部にスリット状ノ
ズル孔を有し上部にするセラミックス材からなる下部本
体とに分割し、上部本体の嵌合壁と下部本体の垂下壁を
嵌合し、この嵌合壁と同系のセラミックス材からなる補
強ピンを挿通して両壁を嵌合・連結するように構成し、
この嵌合・連結に際して、両壁の嵌合面間および両壁と
補強ピン外周面間に、セラミックス・ボンドを介在さ
せ、これを固化・接着して上部本体と下部本体とを一体
化する場合、前記補強ピンの外径を１０〜２５mmの範囲
とし、垂下壁と嵌合壁との重合部における補強ピンによ
る水平方向の補強強度分布を左右対称とし、中央部２〜
３に対し両端部がをそれぞれ１の割合になるように、補
強ピンを挿通・配列したことを特徴とする双ドラム式連
続鋳造用扁平ノズル構造である。

【００１０】

【作用】本発明においては、外ノズルのセラミックス材
からなる上部本体と下部本体を嵌合・連結する場合に、
下部本体と同系のセラミックス材からなる補強ピンとセ
ラミックス・ボンドを併用して、上部本体と下部本体と
セラミックス・ボンドと補強ピンを強固に一体化する場
合に、外ノズルに加わる水平方向の内圧分布に応じた補
強強度分布にできるので、上部本体と下部本体の組み立
て強度を効率的に高め、安定化することができ、外ノズ
ル機能を長時間に亘って安定維持することができ、連続
鋳造操業を安定化することが可能である。

【００１１】本発明者等は種々の実験により、扁平な外
ノズルに溶湯による内圧が加わった場合、正面側、背面
側ともに、図２に示すように、発生する引張応力は中央
部Ｙで大きく、両端部Ｘで小さく、中央部を中心にして
ほぼ左右対称に分布することを確認するに至った。この
ようなことから、補強ピンによるより効率的な補強とい
う観点では、この補強密度を、要補強全範囲において均
等に分布させることは、必ずしも得策ではない。したが
って、本発明では、この扁平外ノズルに生ずる引張応力
分布に応じて、補強ピンによる補強強度分布を付与する
ことによって、補強の効率化を図るとともに材料、加工
のコストの低減を図るものである。

【００１２】以下に実施例を示すが、ここでは、便宜的
に一面側（例えば正面側のみ）を主体に説明する。

【００１３】

【実施例】以下に本発明を図１（ａ）〜（ｃ）に示す実
施例に基づいて説明する。本発明の扁平外ノズル１は、
例えばＡｌ₂Ｏ₃−Ｃ系のセラミックス材からなる上部
本体２と下部本体３をそれぞれ別々に製造（成型、焼
成）し、この上部本体２と下部本体３を組み立てて得ら
れるものである。

【００１４】上部本体２の中央部には内ノズル４の挿通
孔２ａが設けられ下部外周部には下部本体３と嵌合する
嵌合係止部２ｂを有する垂下壁２ｃが形成されている。
また、下部本体３の上端は解放端になっており、その上
端部は前記上部本体２の嵌合係止部２ｂに嵌合する嵌合
壁３ａになっており、また、下端部にはスリット状のノ
ズル孔５が形成されている。

【００１５】上部本体の垂下壁２ｃと下部本体の嵌合壁
３ａには、それぞれ嵌合状態で連通する多数個のほぼ同
径である挿通孔６が、下部本体の水平方向中央部で３個
（両側では６個）配列されており、その両端部側ではそ
れぞれ２個（両側では４個）と、中央部で密に、両端部
側で疎密に配列されており、中央部を中心にして左右対
称に配列されている。この挿通孔には、外ノズル本体と
同系即ち、Ａｌ₂Ｏ₃−Ｃ系のセラミックス材からなる
補強ピン７が挿通され、上部本体２と下部本体３が連結
される。

【００１６】この上部本体２の垂下壁２ｃと下部本体３
の嵌合壁３ａとの嵌合およびこの嵌合部の挿通孔６への
補強ピン７挿通に際しては、垂下壁２ｃと嵌合壁３ａの
嵌合面間および挿通孔６と補強ピン７の外周面間に、ノ
ズル本体および補強ピンと同系即ち、Ａｌ₂Ｏ₃−Ｃ系
のセラミックス材を主成分とするレジン・ボンド８を塗
布・介在させ、これを固化して一体化する。

【００１７】即ち、補強ピン７は、単に上部本体２と下
部本体３を連結するのみの機能だけではなく、これらと
一体的機能、即ち、組み立て部の補強機能を有するもの
であり、上部本体、下部本体とほぼ同等の強度を有する
ものであることが好ましいと言える。

【００１８】そして、前記したように、この外ノズルに
発生する応力の分布は中央部で大きく、両端部側で小さ
く、中央部を中心に対称な分布になっているので、この
応力分布に応じて補強ピンと接着剤による補強強度分布
を決めることが好ましい。

【００１９】この補強ピンによる補強強度分布は、垂下
壁と嵌合壁の材料特性、厚み、補強ピンの材料特性、外
径、配列（数）、接着剤特性等を調整することによって
調整することができるが、この実施例では、補強ピンの
材料特性と外径を同じにして、その配列により補強強度
分布を調整するようにしている。

【００２０】この補強ピンに補強機能を持たせるために
は、この補強ピンの外径の下限値は垂下壁、嵌合壁の厚
み程度、また上限値は、垂下壁と嵌合壁の重合部幅の１
／３〜１／２程度であることが好ましい。実数値で表す
と１０〜２５mm程度であることが好ましい。１０mm以下
では応力に耐えられず短時間で折損し、補強効果は小さ
くなる。また２５mm以上では、垂下壁と嵌合壁との重合
部の強度が低下して、ここで破壊が生じ易くなる。

【００２１】補強強度分布は、図２から、垂下壁と嵌合
壁の重合部を水平方向に３等分して見た時の補強強度分
布は中央部Ｙが２〜３、その両側の両端部Ｘがそれぞれ
１の割合で、中央部を中心に左右対称になるように、補
強ピンの配列を決めている。ここでは、補強ピンの材料
特性、外径を同じにしているので、補強強度分布は、便
宜的に、中央部、両端部の各部における補強ピンの挿通
本数合計の割合によって決めている。外径を変える場合
は、各部に挿通される補強ピンの挿通部の体積あるいは
断面積の合計を用いるようにしても良い。

【００２２】この補強ピン７を挿通する挿通孔６は、こ
の補強ピンの外径、配列に応じて、形成されるものであ
り、上部本体２、下部本体３を製造する際に、それぞれ
形成しても良いが、製造時の寸法誤差、変形により、上
部本体と下部本体の挿通孔６の位置が一致しないことが
予想されるので、両本体を製造後、仮嵌合の状態で形成
することが好ましいと言える。

【００２３】この挿通孔は、外ノズルの内部に貫通させ
なくても良いが、ここに挿通される補強ピンとの間には
接着剤として、セラミックス・ボンドを介在させるの
で、この挿通孔を形成する時は、そのための間隙が得ら
れるようにする。

【００２４】上部本体２と下部本体３と補強ピン７は、
接着・固定して一体的に機能させるので、同じ材質のセ
ラミックス材を用いることが好ましいと言えるが、上部
本体と下部本体とは実用状態では、晒される条件が異な
るので、この条件に応じて材料を使い分けることが必要
である。

【００２５】下部本体は、溶湯に浸漬されるので、耐熱
性、耐溶損性、機械強度、耐熱衝撃性に優れ、また、通
電加熱されるので、ある程度導電性を有するものが適性
があると言える。このような観点から、溶湯が炭素鋼で
ある場合は、Ａｌ₂Ｏ₃を２０〜６０％，Ｆ．Ｃを２０
〜４０％含有し、残部ムライト、ジルコニア・ムライ
ト、金属Ｓｉ等を含有するＡｌ₂Ｏ₃−Ｃ系セラミック
ス材、Ａｌ₂Ｏ₃を２０〜６０％，ＳｉＯ₂を１０〜３
０％，Ｆ．Ｃを２０〜４０％含有するＡｌ₂Ｏ₃−Ｓｉ
Ｏ₂−Ｃ系セラミックス材、或いはＣａＯ・ＺｒＯ₂−
Ｃ系のセラミックス材が好適である。

【００２６】溶湯がステンレス鋼である場合は、ＳｉＯ
₂成分が溶湯と反応して溶湯の純度が低下する恐れがあ
るので、ＳｉＯ₂成分を含まないＡｌ₂Ｏ₃−Ｃ系のセ
ラミックス材、あるいはＣａＯ・ＺｒＯ₂−Ｃ系のセラ
ミックス材を用いることが好ましい。

【００２７】上部本体は、下部本体と同様のセラミック
ス材も用いる場合もあるが、溶湯に浸漬しないので、安
価で容易に得られるフュ−ズドシリカ（ＳｉＯ₂）でも
前記成分系を用いた場合の下部本体の耐性に概ねバラン
スさせることができる。即ち、外ノズルの寿命を短縮す
る大きな要因にはならない。

【００２８】図中９は内ノズル４からの溶湯に圧損を付
与するための溶融性金属金網、１０は溶湯を整流するた
めの多孔質セラミックス材からなるフィルター、また、
１１は外ノズルの特に下部本体３およびフィルタ−１０
を予熱する通電加熱装置である。

【００２９】図３は、上記のように構成された本発明の
外ノズル１をタンディッシュ１２に当接・固定した状態
を示している。タンディッシュ底部の外皮鉄皮１３の内
側には耐火物が内張され、ここに埋め込まれた耐火ブロ
ック１４に内ノズル４の挿入孔１４ａが設けられてい
る。この挿入孔はその径が下方に向かい小さくなるよう
な傾斜孔となっており、外皮鉄皮１３を貫通している。

【００３０】この挿入孔１４ａには、上部外周面がこの
挿入孔内面に係止される、テ−パ面になっている内ノズ
ル４がタンディッシュ１２の内側から挿入されている。
この内ノズルの下端部は閉鎖端になっており、その近傍
の側壁にはノズル孔４ａが設けられている。

【００３１】この内ノズル４の上方には、タンディッシ
ュ１２からの溶湯供給量を制御するストッパ−１５が上
下位置調整自在に配設されている。即ち、内ノズルの上
端面とストッパ−の下端面間の間隙を調整することによ
って、移動鋳型内への溶湯供給量を制御することができ
る。内ノズル４の下部は、本発明の外ノズル１の上部本
体２に設けた挿通孔２ａに挿通されている。

【００３２】外ノズル１は支持体１６とこの支持体に固
定される可動支持部１７とこれらを固定するボルト・ナ
ット１８により、固定され、この外ノズルの上端面はシ
−ル性を維持する断熱シ−ト１９を介して、外皮鉄皮１
３の外面に当接されている。

【００３３】このように本発明の外ノズル１に、内ノズ
ル４を挿入し、所定位置に位置決めした後、この外ノズ
ル１の下部、フィルターを通電加熱装置で予熱するとと
もにストッパー１５を上げてこのストッパーの下端面と
内ノズル２の上端面間に所定の間隙を形成し、タンディ
ッシュ１２から溶湯を内ノズル４を介して外ノズル１に
供給し、溶融性金属網９、フィルタ−１０による圧損作
用で溶湯を外ノズル１の下部本体３内に充満させ、この
溶湯をがタンディッシュ１２、内ノズル４、外ノズル１
間で密に連続させて、外ノズル下部のスリット状ノズル
孔５から移動鋳型内に供給し、所定レベルの湯溜り部を
つくりつつ、連続鋳造を行う。定常操業移行後において
は、移動鋳型内におけるメニスカスＭの位置が極力変動
しないように、ストッパー１５の位置を調整し溶湯供給
量が制御される。

【００３４】本発明の外ノズル１は、上部本体２と下部
本体３と補強ピン７をセラミックス・ボンドによる接着
作用により強固に一体化しているので、上部本体と下部
本体との組み立て部で破壊することはなく、ノズル機能
を長期にわたって維持し、連続鋳造操業を安定化し、均
質な薄肉鋳片を安定的に鋳造することができる。

【００３５】なお、本発明は、この実施例に限られるも
のではなく、請求項１の構成を満足する範囲内で適宜構
成を変更するものである。例えば、補強ピンによる補強
強度分布調整は、中央部と両端部で補強ピンの材料特
性、外径、配列数を使い分けることによって行っても良
い。

【００３６】また、この外ノズル１のスリット状ノズル
孔５は水平方向に複数分割されていても良い。また、本
発明の外ノズル１の取り付け構造については、本発明の
要部ではないが、たとえば、この外ノズル１は支持体１
６に可動支持部１７、ボルト・ナット１８によってタン
ディッシュ１２の外皮鉄皮１３の外面に当接・固定し一
体化しているが、支持体１６を別設して、適宜の手段で
支持しても良い。

【００３７】

【実験例】図１に示した本発明の外ノズル１について、
水モデル実験によりその耐圧性を評価した。その結果を
従来例の場合とともに説明する。この実験で用いた材料
構成と、上部本体と下部本体との組み立て手段は表１に
示すとおりである。

【００３８】

【表１】

【００３９】従来例は、上部本体と下部本体を同じ材質
にして、上部本体と下部本体を接着剤のみで組み立てた
外ノズルであるが、これは、冷間で０．８〜１．０kg／
cm²の圧力を加えた時、上部本体と下部本体の接着部に
亀裂が生じ、瞬時に破壊してしまった。実用レベルの温
度（熱間）での強度は、冷間での強度の７０％程度と考
えられるから、実用条件下では０．５〜０．７kg／cm²
程度と評価される。

【００４０】フィルターが１００％閉塞したと仮定する
と、タンデイッシュヘッド分の外ノズルの内圧は、１．
１kg／cm²、これを冷間に換算すると１．４kg／cm²と
なるので、外ノズルの冷間強度としては、これに耐え得
る強度があることが望ましい。この観点では、冷間強度
が０．８〜１．０kg／cm²である従来例の外ノズルで
は、実用に供し得ないものになる。

【００４１】しかし、実操業ではフィルターが１００％
閉塞したら外ノズルとして機能を完全に失うことになる
から、実操業では、そうなるまで外ノズルを使用するこ
とはなく、通常の連続鋳造では、操業効率を考慮してフ
ィルターの閉塞率が４０〜５０％レベルになるまで外ノ
ズルの使用を継続するのが通例である。

【００４２】実操業下でのフィルターの閉塞率と外ノズ
ルの関係の調査結果を参考にすると、従来例の外ノズル
を、例えば鋳造速度１．５ｔ／min の連続鋳造に実用し
た場合には、フィルターの閉塞率が２０％レベルで、破
壊し使用不能になることが判った。

【００４３】前記のように、通常の連続鋳造では、フィ
ルターの閉塞率は４０〜５０％レベルまで許容範囲とし
ており、この従来例の外ノズルを実用に供した場合、短
期間で破壊してしまうことになり、操業効率が大幅に低
下し、生産性が大幅に低下することは避けられない。

【００４４】これに対して、上部本体と下部本体と中央
部３本、その両端部それぞれ１本の同径の補強ピンを同
じセラミックス材で形成するとともに、これらを同系の
セラミックス材を主成分とするレジン・ボンドとによ
り、接着・固定して一体化した本発明例では、冷間で
１．４〜１．９kg／cm²の圧力を加えた時、下部本体の
中央部に亀裂を生じたが、上部本体と下部本体との一体
化部（接着剤と補強ピンによる接着・固定部）は健全で
あった。したがって、この一体化部は、本体より強固で
あり、少なくとも、実用レベルの温度（熱間）では１．
１〜１．３kg／cm²の内圧に耐えられ、鋳造速度１．５
ｔ／min の連続鋳造に実用した場合、フィルターの閉塞
率が５０％レベルまでは、この一体化部が破壊すること
はなく、前記従来例の外ノズルに比し、その寿命を２倍
以上に延長できることが判った。また、たとえ、閉塞率
が１００％に達しても、ノズル破壊に伴う設備損傷を皆
無にできることが判った。したがって、本発明の外ノズ
ルを使用すれば、操業効率を大幅に向上し、生産性を大
幅に向上することができる。

【００４５】なお、この例は、上部本体、下部本体、補
強ピン、セラミックス・ボンドを形成するセラミックス
材としてＡｌ₂Ｏ₃−ＳｉＯ₂−Ｃ系のセラミックス材
を用いた場合のものであるが、Ａｌ₂Ｏ₃−Ｃ系のセラ
ミックス材を用いた場合でも概ね同様の結果が得られ
る。

【００４６】

【発明の効果】本発明においては、、外ノズルのセラミ
ックス材からなる上部本体と下部本体を嵌合・連結する
場合に、下部本体と同系のセラミックス材からなる補強
ピンとセラミックス・ボンドを併用して、上部本体と下
部本体とセラミックス・ボンドと補強ピンを強固に一体
化する場合に、外ノズルに加わる水平方向の内圧分布に
応じた補強強度分布にできるので、上部本体と下部本体
の組み立て強度を効果的に高め、安定化することがで
き、外ノズル機能を長時間に亘って安定維持することが
でき、連続鋳造操業を安定化することが可能である。ま
た、補強の効率化を図り、補強のための材料、加工のコ
ストの低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す説明図であり、（ａ）図
は一部切り欠き正面説明図、（ｂ）図は（ａ）図におけ
る一部切り欠き断面側面説明図、また（ｃ）図は（ｂ）
図における上部本体と下部本体の組み立て部分の拡大説
明図である。

【図２】扁平外ノズルに発生する応力分布を示す説明
図。

【図３】本発明の偏平ノズル取り付け構造例を示す断面
説明図。

【図４】従来の双ドラム式連続鋳造装置例を示す立面説
明図。

【図５】従来の偏平ノズル例を示す断面説明図

【符号の説明】

１外ノズル２上部本体２ａ内ノズル挿通孔２ｂ嵌合係止部２ｃ垂下壁３下部本体３ａ嵌合壁４内ノズル４ａノズル孔５スリット状ノズル孔６挿通孔７補強ピン８ａ，８ｂレジン・ボンド９溶融性金属網１０フィルター１１通電加熱装置１２タンディッシュ１３外皮鉄皮１４耐火ブロック１４ａ挿入孔１５ストッパー１６支持体１７可動支持部１８ボルト・ナット１９断熱シートａ内ノズルｂ外ノズルｃ鋳片ｆ多孔質耐火物（フィルター）ｄ溶融性金属部材ｅ溶湯ｐ湯溜り部Ｒａ，Ｒｂ冷却ドラムＳａ，Ｓｂサイド堰ｏスリット状ノズルＹ中央部Ｘ両端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者筒井康志千葉県富津市新富20−１新日本製鐵株式会社技術開発本部内 (72)発明者石井章生千葉県富津市新富20−１新日本製鐵株式会社技術開発本部内 (72)発明者山上靖博千葉県富津市新富20−１新日本製鐵株式会社技術開発本部内 (72)発明者山田衛山口県光市大字島田3434番地新日本製鐵株式会社光製鐵所内 (56)参考文献特開昭60−207454（ＪＰ，Ａ) 特開昭64−11055（ＪＰ，Ａ) 特開平４−300050（ＪＰ，Ａ) 特開平６−126395（ＪＰ，Ａ) 特開平７−60413（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B22D 11/06 330 B22D 41/50 520

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】外ノズル本体を、内ノズル挿通孔を有し
下端部に垂下壁を有するセラミックス材からなる上部本
体と、下端部にスリット状ノズル孔を有し上部にするセ
ラミックス材からなる下部本体とに分割し、上部本体の
嵌合壁と下部本体の垂下壁を嵌合し、この嵌合壁と同系
のセラミックス材からなる補強ピンを挿通して両壁を嵌
合・連結するように構成し、この嵌合・連結に際して、
両壁の嵌合面間および両壁と補強ピン外周面間に、セラ
ミックス・ボンドを介在させ、これを固化・接着して上
部本体と下部本体とを一体化する場合、前記補強ピンの
外径を１０〜２５mmの範囲とし、垂下壁と嵌合壁との重
合部における補強ピンによる水平方向の補強強度分布を
左右対称とし、中央部２〜３に対し両端部がそれぞれ１
の割合になるように、補強ピンを挿通・配列したことを
特徴とする双ドラム式連続鋳造用扁平外ノズル構造。