JP2977883B2 - 耐火物用パッキング材 - Google Patents

耐火物用パッキング材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は溶融金属に対する耐食性、気密性、難型性の
良好な耐火物間に介在させるパッキング材に関する。
〔従来の技術〕
溶鋼の連続鋳造において、親鍋からタンディッシュ、
タンディッシュからモールドへの溶鋼流量のコントロー
ル手段は、ストッパー方式から制御性の高いスライディ
ングノズル方式に移行しつつある。
スライディングノズル装置において使用される耐火物
の種類も多く、必然的にその接合部も多くなる。例えば
親鍋のスライディングノズル方式では、羽口れんがと上
部ノズル、上部ノズルと上部プレートの接合、また下部
プレートと下部ノズル等の接合には、通常モルタルが使
用されている。さらに下部ノズルとロングノズルとの接
合には、鍋交際の際、すみやかに耐火物間の接合を外れ
易くするために、通常セラミックファイバーシートが使
用されている。
このように多くのれんがを接合し、一つのシステムと
して機能させるためにはパッキング材の働きは極めて重
要である。
ところが、上記従来パッキング材として使用されてき
たモルタルの欠点は、作業に熟練を要し、またれんが交
換時のモルタル除去の際、れんがの接合部を痛めてしま
うこと、及び気密性が十分でないことである。また、使
用時に必要量以上にまとめて混練する場合が多く、廃棄
される量も多くなるという問題もある。一方セラミック
ファイバーの欠点は、溶鋼に対する耐食性、気密性に劣
ることであるが、作業工程上れんが交換を短時間で行わ
なければならないため、上記欠点があるにもかかわら
ず、離型性等の作業性を重視して使用されているのが現
状である。
上記のモルタル、セラミックファイバー等の従来のパ
ッキング材の欠点を解消するための手段として、特公昭
60−15592号公報にあっては耐火性粉末、繊維、低融点
金属からなる配合を縮合リン酸ソーダまたはフェノール
樹脂をバインダーとして混練、成形したパッキング材を
使用することが開示されている。また、特公昭63−4446
2号公報においては下部ノズル(コレクターノズル)と
ロングノズル(エアシールパイプ)の間に、耐火性粉末
とバインダーからなるパッキング材と黒鉛質パッキング
を組み合わせて挟むことにより、ロングノズルとの離型
性を与えることが開示されている。
ところが、上記各公報に開示されたパッキング材で
は、予熱された浸漬ノズルにセットし下部ノズルと嵌合
させるまでの時間が長い場合にはバインダーとして使用
しているフェノール樹脂の硬化が進行し、嵌合させる時
には変形性が失われ、また熱収縮により発生した亀裂、
気孔のためにシール性が低下するという問題がある。ま
た、リン酸ソーダをバインダーとして使用した場合、経
時変化により材質が硬化し変形性が失われるという問題
があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上記従来のパッキング材の欠点を解消して、
スライディングノズル装置ノズル内孔の接合部における
溶鋼流のために発生する負圧のために外部の空気を巻き
込み鋼の品質低下を招くことがない耐火物の接合部用パ
ッキング材を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、耐火性粉末の少なくとも1種以上と200〜1
000℃の軟化温度を持つ変形付与材としての低融点粉末
の少なくとも1種以上と繊維質材料とからなる配合物
に、低融点金属とバインダーを添加してなり、常温及び
熱間で変形性を有する耐火物用パッキング材である。
〔作用〕
低融点粉末は200〜1000℃の軟化温度を持ち、バイン
ダーが熱硬化する温度域でも軟化変形して熱間でパッキ
ング材自体に変形性を付与し、通気性の低下及び可使用
時間の延長を達成せしめ、あるいは溶融してジョイント
材自体の気孔を充填し緻密化することによって通気性の
低下を達成せしめるものである。
低融点粉末としては硼酸、硼珪酸ソーダ、燐酸アルミ
ソーダ等のガラスと、これらにジルコン、石灰、酸化チ
タン、酸化バリウム、酸化鉛等の酸化物を添加したほう
ろう用釉薬粉末が好適に使用される。
低融点粉末の軟化温度は、200℃以下ではパッキング
材自体の構造が維持できなくなり、1000℃以上では浸漬
ノズル(またはロングノズル)と下部ノズルの嵌合の際
に十分な変形性を発揮できない。またその添加量につい
ては0.5重量%未満では軟化変形量が少なくパッキング
材自体の変形性が得られず、40重量%を超えると熱間で
のパッキング材の構造が維持できなくなる。
このようにパッキング材に低融点粉末を添加すること
により通気性の低下は達成できるが、これらに加えて発
泡スチロール、発泡ポリエチレン、ウレタン等の製造時
に用いられる加熱により膨張する有機質材料、膨張性黒
鉛、バーミキュライトのような無機質材料を0.01〜5重
量%添加することによって、パッキング材自体の気孔の
充填が一層可能となり、気密性がさらに良好となる。
例えば膨張性黒鉛は急激な加熱により約60倍の体積と
なる。添加量が0.01重量%以下では前述の効果がなく、
5重量%以上ではパッキング材自体の構造が維持できな
くなる。
耐火性粉末は通常、金属酸化物、金属窒化物の内から
任意に選んだ1種以上のものを使用することが可能であ
るが、アルミナ、ムライト、粘土、カーボン等が好適に
使用される。
繊維は成形したパッキング材の保形性維持のために添
加され、通常の無機質、有機質、金属等の繊維が使用可
能である。添加量については、パッキング材の保形性、
展性、引っ張り強度の点では多い方が良好であるが、混
練時の配合の状態から外掛けで3〜10重量%が適当であ
る。
低融点金属は、例えば金属Alを0.5〜30重量%、配合
中に添加することによって、使用中にAlが溶融し、パッ
キング材中に浸透してきた空気中の酸素をキャッチして
アルミナになり、またこの際の体積膨張によりパッキン
グ材の気孔を充填し、緻密化することによって通気性の
低下を達成せしめたものである。低融点金属はAlの他
に、Mg、Cu、Znおよびこれらの合金等が考えられるが、
量的問題、取り扱いの問題、酸化物になってからの耐食
性の問題を考慮するとAlが好適である。金属Alの添加量
については、0.5重量%以下では前述の効果がなく、30
重量%以上では融液の生成量が多くなり、パッキング材
の構造が維持できなくなる。
本パッキング材はモルタルと同様の使用法も可能であ
るが、予め成形しセラミックファイバーシートと同様の
使用方法が適しており、鋳造用耐火物の間に使用し、使
用時に変形性を有するものである。使用先、使用箇所に
よっては、れんが交換時の離型性が重要な具備特性にな
る。例えばれんが交換時、ロングノズルと取鍋スライデ
ィングノズル下部ノズルの場合は下部ノズル側に、浸漬
ノズルとタンディッシュスライディングノズル下部ノズ
ルの場合は浸漬ノズル側に、それぞれパッキング材が付
着しないと後の工程に支障をきたす。したがって、ロン
グノズルやタンディッシュスライディングノズル下部ノ
ズルのダボ面に離型剤を塗布する方法、あるいは成形し
た本パッキング材の片側の面に水溶性あるいは油性の黒
鉛質あるいは二硫化モリブデンまたは窒化硼素系等の離
型剤を塗布することで十分対処できる。
〔実施例〕
第1表に示す試験材を調製し、各種のテストに供し
た。
第1表において符号B〜Eが本発明の実施例であり、
Aは比較例を示す。
比較例Aは特公昭60−15592号公報所載のパッキング
材を示し、アルミナ粉末325メッシュ以下65重量%、粘
土20重量%、ベントナイト5重量%、金属Al10.2mm以下
10重量%、セラミックファイバー外掛けで6重量%、カ
ーボン粉末外掛けで1重量%からなる配合に、バインダ
ーとしてフェノール樹脂/エチレングリコール(4/1)
外掛けで32重量%添加してミキサーで混練し成形したも
のである。
本発明の実施例Bは硼酸を材質Aのアルミナ粉末の代
替として内掛けで10重量%添加した配合をバインダーと
してフェノール樹脂/エチレングリコール(4/1)を外
掛けで36重量%添加して混練、成形したものである。
実施例C,Dはそれぞれ硼珪酸ガラス、ジルコン・硼珪
酸ガラスを材質Aのアルミナ粉末325メッシュの代替と
して内掛けで10重量%添加した配合を、バインダーとし
てフェノール樹脂/エチレングリコール(4/1)を35重
量%添加して混練、成形したものである。
実施例Eは実施例Cの配合物に膨張性黒鉛を外掛けで
0.2重量%とバインダーとしてフェノール樹脂/エチレ
ングリコール(4/1)を35重量%添加して混練、成形し
たものである。
上記パッキング材の品質測定結果を第2表及び第3表
に示す。
品質の測定には第1図に示す装置を用い、下記の手順
により熱間シール性を気密性維持時間で評価した。
これは予熱された浸漬ノズル(またはロングノズル)
のフランジ部にパッキング材を置いて、下部ノズルと嵌
合させるまでを想定している。
同図において、ヒーター1内に浸漬ノズル(またはロ
ングノズル)想定の受け金物2を置き、600℃まで加熱
した。下部ノズル想定の中空押付けロッド3の底部に初
期厚み5mmのジョイント材テストサンプル4を貼り付
け、ヒーター1内の受け金物2の上面にのせる。30秒後
に押付けボルト5によりバネを撓ませ、ロードセル6の
表示を見ながら設定値まで締めつける。10分間600℃に
保った後真空ポンプ7を作動させ、中空押付けロッド3
内部を0.5気圧まで減圧する。0.5気圧まで到達した時点
でボールバルブ8を閉めて、中空押付けロッド3の内部
圧力の大気圧への復帰過程を圧力センサーにより記録す
る。
第2表に上記要領で気密性維持時間を600℃、0.5atm
から1atmまでの復帰時間を測定したものを示す。
以上の結果より明らかなように、本発明の実施例B,C,
D,Eはいずれも比較例Aよりも低い通気性すなわち高い
シール性を有していることがわかる。そのなかでも特に
低融点粉末として硼珪酸ガラスを添加し、さらに加熱に
より膨張する材料として膨張性黒鉛を添加した実施例E
は、その体積安定性から特に面圧が高い場合にシール性
の大幅な向上を示している。
上記のような評価方法、いわゆる熱間セット時の通気
性・可使用時間の評価の他に、冷間セット時の評価も、
第1図に示す装置を用い、以下の手順で行った。これは
鋳造用耐火物を予め嵌合させておき、その後でタンディ
ッシュ(または親鍋)を予熱する操業方法を想定して行
なった。
第1図において、押付けロッド3の底部に初期厚み6m
mのジョイント材テストサンプル4を貼り付け、常温の
受け金物2の上面にのせる。押付けボルト5によりバネ
を撓ませ、ロードセル6の表示を見ながら押付け圧が5k
g/cm2になるまで締めつける。受け金物2の温度を600℃
まで昇温させた後、真空ポンプ7を作動させ、押付けロ
ッド3内部を0.5atmまで減圧する。0.5atmに到達した時
点でボールバルブ8を閉めて、押付けロッド3内部圧力
の0.75atmへの復帰過程を圧力センサーにより記録す
る。
上記方法で評価した冷間セット時の各ジョイント材の
通気性・可使用時間を第3表に示す。
なお、同試験は気密性維持温度を600℃とし、0.5atm
から0.75atmまでの復帰時間を測定したものである。
第3表の結果から明らかなように、本発明の実施例B,
C,D,Eは冷間セットにおいていずれも比較用材質Aより
も良好なシール性すなわち低通気性を有している。特に
硼珪酸ガラスを添加したD及びEは気密性維持時間の大
幅な向上を示している。
以上に示した、本発明を適用したパッキング材の内、
硼珪酸ガラスを添加した材質Bを冷間セットを前提とす
るタンディッシュ下部ノズル〜浸漬ノズル間のジョイン
ト材として実炉使用した結果、下部ノズル〜浸漬ノズル
間からの空気巻き込みもなく、鋼の品質が大幅に向上す
るという結果が得られた。
〔発明の効果〕
本発明においては耐火物間に介在させるパッキング材
の原料として200〜1000℃の軟化温度を有する低融点粉
末を使用することにより、通気性の低下(シール性の向
上)を達成することができる。更に、この材質に加熱に
より膨張する原料を添加することにより、シール性を一
層向上させることができる。これに伴い、連続鋳造にお
いて耐火物の接合部からの空気の巻き込みを軽減し、鋼
の品質を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例における通気性(シール性)
及び可使用時間測定装置を示す。 1:ヒーター、2:受け金物 3:押付けロッド 4:ジョイント材テストサンプル 5:押付けボルト、6:ロードセル 7:真空ポンプ、8:ボールバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越智 正則 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎窯業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−15592(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐火性粉末の少なくとも1種以上と200〜1
    000℃の軟化温度を持つ変形付与材としての低融点粉末
    の少なくとも1種以上と繊維質材料とからなる配合物
    に、低融点金属とバインダーを添加してなり、常温及び
    熱間で変形性を有する耐火物用パッキング材。
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