JP2974414B2 - 薄帯鋳片の製造方法 - Google Patents

薄帯鋳片の製造方法

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JP2974414B2 JP7525086A JP52508695A JP2974414B2 JP 2974414 B2 JP2974414 B2 JP 2974414B2 JP 7525086 A JP7525086 A JP 7525086A JP 52508695 A JP52508695 A JP 52508695A JP 2974414 B2 JP2974414 B2 JP 2974414B2
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啓之 中島
秀毅 岡
英麿 竹内
重典 田中
義盛 福田
聡 赤松
雅文 宮嵜
義一 松村
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【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、鋳型壁面が鋳片と同期して移動する連続鋳
造機によって炭素鋼の薄帯鋳片を製造する方法に関し、
特に鋳片表面に生成するスケールの性状を制御する方法
に関するものである。
背景技術 鋳型壁面が鋳片と同期して移動する連続鋳造機とし
て、例えば双ドラム式連続鋳造機が知られている。この
装置は、互いに反対方向へ回転する一対の冷却ドラム
と、冷却ドラムの両端面に押し当てられた一対のサイド
堰とで、溶鋼の湯溜まり部を形成し、湯溜まり部に溶鋼
を供給し、溶鋼を冷却ドラムの周面で冷却・凝固させて
凝固シェルを冷却ドラムの間隙で一体化させて薄帯鋳片
を鋳造する装置である。
このような連続鋳造機によって、Cが0.5%以下の炭
素鋼を厚さ10mm以下の薄帯鋳片に鋳造すると、鋳造され
た鋳片の表面に厚いスケールが生成する。このスケール
が生成した鋳片を酸洗すると表面肌荒れが表れ、この鋳
片を冷間圧延すると、冷延板にヘゲ疵等の欠陥が発生し
て製品の表面性状を著しく損なっていた。また、このス
ケールが生成した鋳片をプレス加工や曲げ加工すると、
スケールが剥離して製品の表面性状を損うという問題が
あった。
従来、双ドラム式連続鋳造において、鋳片のスケール
生成を抑制する方法として、鋳造機を囲んでシールチャ
ンバーを設け、冷却ドラムを出た鋳片を不活性ガス雰囲
気のもとでロールに沿わせて150℃以下まで冷却するこ
とで、スケールの生成を完全に防止する方法が、例えば
特開昭59−199152号公報によって知られている。
しかしながら、双ドラム式連続鋳造によるときの鋳造
速度は、80m/分程度と速いため、鋳片を、その温度が15
0℃以下になるまで不活性ガス雰囲気に保持するために
は、長大な冷却装置を必要とし、また生産能率が悪く、
さらには多量の不活性ガスを消費するという問題があ
る。
発明の開示 本発明は、炭素鋼薄帯鋳片の連続鋳造において、鋳片
に生成するスケールを薄くし、かつその後の冷延やプレ
ス等の加工に適した組成とすることを課題とする。
また、鋳片のスケール生成を抑制するための装置を簡
単なものにし、且つ不活性ガスの消費量を節減するとと
もに、鋳片を能率よく製造することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の薄帯鋳片の製造方法の要
旨は次のとおりである。
(1)Cが0.5%以下、CrまたはCuが0.1%未満からなる
炭素鋼を、鋳型壁面が鋳片と同期して移動する連続鋳造
機により厚さ10mm以下の薄帯鋳片に鋳造し、該薄帯鋳片
を捲取機によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の製造方法に
おいて、前記薄帯鋳片の鋳造に続いて、少なくとも1200
℃までの温度域では、該薄帯鋳片を雰囲気ガス組成が酸
素濃度5.0%以下、残部が不活性ガスからなるガス雰囲
気で保持し、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s
以上の冷却速度で800〜750℃までの温度域を冷却し、捲
取機によりコイル状に捲取ることを特徴とする表面スケ
ールを低減する薄帯鋳片の製造方法。
(2)前記不活性ガスとしてアルゴンを用い、前記ガス
雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上の冷却速度で800
℃までの温度域を冷却することにより、さらにデスケー
ル性に優れたスケールを有する(1)記載の薄帯鋳片の
製造方法。
(3)前記不活性ガスとしてアルゴンを用い、前記ガス
雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上の冷却速度で800
℃までの温度域を冷却し、前記捲取機によりコイル状に
捲取る薄帯鋳片の温度を、500℃以上、800℃以下にする
ことにより、さらにデスケール性に優れたスケールを有
する(1)記載の薄帯鋳片の製造方法。
(4)前記不活性ガスとして窒素を用い、前記ガス雰囲
気での保持に続いて10℃/s以上の冷却速度で750℃まで
の温度域を冷却することにより、さらに耐プレス剥離性
に優れたスケールを有する(1)記載の薄帯鋳片の製造
方法。
(5)前記不活性ガスとして窒素を用い、前記ガス雰囲
気での保持に続いて10℃/s以上の冷却速度で750℃まで
の温度域を冷却し、前記捲取機によりコイル状に捲取る
薄帯鋳片の温度を、600℃以下にすることにより、さら
に耐プレス剥離性に優れたスケールを有する(1)記載
の薄帯鋳片の製造方法。
(6)前記不活性ガスとして露点40℃以下の燃焼廃ガス
を用い、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上
の冷却速度で750℃までの温度域を冷却することによ
り、さらに耐プレス剥離性に優れたスケールを有する
(1)記載の薄帯鋳片の製造方法。
(7)前記不活性ガスとして露点40℃以下の燃焼廃ガス
を用い、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上
の冷却速度で750℃までの温度域を冷却し、前記捲取機
によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の温度を600℃以下に
することにより、さらに耐プレス剥離性に優れたスケー
ルを有する(1)記載の薄帯鋳片の製造方法。
(8)Cが0.5%以下、CrまたはCuが0.1%以上からなる
炭素鋼を鋳型壁面が鋳片と同期して移動する連続鋳造機
により厚さ10mm以下の薄帯鋳片に製造し、該薄帯鋳片を
捲取機によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の製造方法にお
いて、前記薄帯鋳片の鋳造に続いて、少なくとも1200℃
までの温度域では、該薄帯鋳片を雰囲気ガス組成が酸素
7.0%以下、残部が不活性ガスからなるガス雰囲気に保
持し、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上の
冷却速度で750℃までの温度域を冷却し、捲取機により
コイル状に捲取ることを特徴とする表面スケールを低減
する薄帯鋳片の製造方法。
(9)前記不活性ガスとして窒素を用いることにより、
さらに耐プレス剥離性に優れたスケールを有する(8)
記載の薄帯鋳片の製造方法。
(10)前記不活性ガスとして窒素を用い、前記捲取機に
よりコイル状に捲取る薄帯鋳片の温度を、600℃以下に
することにより、さらに耐プレス剥離性に優れたスケー
ルを有する(8)記載の薄帯鋳片の製造方法。
図面の簡単な説明 第1図は本発明を実施するための双ドラム式連続鋳造
機を示す概略平面図である。
第2図は第1〜第3発明のアルゴンガス雰囲気中の酸
素ガス濃度とスケール厚みとの関係を示す図である。
第3図は第1〜第3発明の鋳片の冷却速度とスケール
厚みとの関係を示す図である。
第4図は第1〜第3発明の鋳片の捲取温度とスケール
組成との関係を示す図である。
第5図は第4および第5発明の窒素ガス雰囲気中の酸
素ガス濃度とスケール厚みとの関係を示す図である。
第6図は第4および第5発明の鋳片の冷却速度とスケ
ール厚みとの関係を示す図である。
第7図は第4および第5発明の鋳片の捲取温度とスケ
ール組成との関係を示す図である。
第8図は第6および第7発明の燃焼廃ガス雰囲気中の
酸素濃度と露点およびスケール厚みとの関係を示す図で
ある。
第9図は第6および第7発明の鋳片の冷却速度とスケ
ール厚みとの関係を示す図である。
第10図は第6および第7発明の鋳片の捲取温度とスケ
ール組成との関係を示す図である。
第11図は第8〜第10発明の窒素ガス雰囲気中の酸素ガ
ス濃度とスケール厚みとの関係を示す図である。
第12図は第8〜第10発明の鋳片の冷却速度とスケール
厚みとの関係を示す図である。
第13図は第8〜第10発明の鋳片の捲取温度とスケール
組成との関係を示す図である。
発明を実施するための最良の形態 連続鋳造後の鋳片を、その温度が1200℃を超える温度
域で大気に曝すと、大気中の酸素が鋳片表面で濃化して
鋳片表面に剥離し難いFe3O4スケールが生成する。これ
に対して本発明第1〜第3発明では、連続鋳造後の鋳片
を、その温度が、少なくとも1200℃までの温度域を酸素
ガス濃度5%以下のアルゴンガス雰囲気におくと、鋳片
表面で酸素が濃化しないため、スケールの組成が剥離し
易いFeOになり、厚みが10μm以下になる。このスケー
ルは剥離し易いためデスケール性に優れており、またこ
の酸洗後の鋳片の表面粗度も小さい。
このアルゴンガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以
上の冷却速度で800℃までの温度域を冷却すると、この
温度域におけるスケールの生成が抑制されて、スケール
厚みを10μm以下に抑制することができる。このスケー
ルが生成した鋳片を酸洗するとスケールは剥離し易いた
め残存しない。また鋳片の表面粗度が小さいため冷延後
の表面は平滑性に優れた表面性状となる。
前記各処理に続いて、鋳片を、その温度が500℃以
上、800℃以下であるとき、捲取機によりコイル状に捲
取ると、鋳片表面とスケールとの界面におけるFe3O4
生成が抑制されて、スケールはFeOを主成分とし厚み10
μm以下に抑制される。
第1図は、本発明を実施するための双ドラム式連続鋳
造機を示している。一対の冷却ドラム1a,1bは、内部に
水冷機構を内蔵し、互いに反対方向へ回転する。冷却ド
ラム1a,1bの両端面には一対のサイド堰2a,2b(反対側は
図示しない)が押し当てられており、一対の冷却ドラム
1a,1bと一対のサイド堰2a,2bとで、溶鋼の湯溜まり部3
が形成されている。湯溜まり部3にはタンディッシュ4
から溶鋼13が供給され、溶鋼13は回転する一対の冷却ド
ラム1a,1bの周面で冷却・凝固して凝固シェル14a、14b
を生成する。凝固シェル14a,14bは冷却ドラム1a,1bと同
期して移動し、冷却ドラム1a,1bの最接近点で一体化さ
れて薄帯鋳片12となる。
一対の冷却ドラム1a,1bの下端には、シールチャンバ
ー5および冷却装置7が接続して設けられており、シー
ルチャンバー5と冷却ドラム1a,1bおよび薄帯鋳片12と
の間隙部には耐火物ウール等のシール材が設けられてい
る。シールチャンバー5内には、アルゴンガスが供給さ
れてシールチャンバー5内の酸素ガス濃度は5.0%以下
に維持されている。薄帯鋳片12はピンチロール6a,6b、
複数対のガイドロール10a,10b及び複数の支持ロール11
によってシールチャンバー5内を送られて、シールチャ
ンバー5内のアルゴンガス雰囲気中で1200℃まで冷却さ
れることで、Fe3O4スケールの生成が抑制される。
次に薄帯鋳片12は、シールチャンバー5を出て冷却装
置7に導入される。冷却装置7は、薄帯鋳片12を挟んで
上下に多数の冷却ノズル8が配列されており、薄帯鋳片
12は、冷却ノズル8から噴出する気水によって、10℃/s
以上の冷却速度で800℃までの温度域を冷却されること
で、Fe3O4スケールの生成が抑制されスケール厚みは10
μm以下に抑制される。
第2図は、双ドラム式連続鋳造機に長さ5mまたは10m
のシールチャンバー及び冷却装置を接続して設け、この
シールチャンバーに酸素濃度2〜20%のアルゴンガスを
充満させ、C;0.03〜0.5%の炭素鋼を、板厚3mmの薄帯鋳
片に鋳造し、この鋳片をシールチャンバー内のアルゴン
ガス雰囲気においた後、チャンバーを出た鋳片を気水冷
却したときの、鋳片に生成したスケールの厚みとアルゴ
ン雰囲気中の酸素濃度との関係を示している。
なお、鋳造速度を63m/分と一定にしたとき、長さ5mの
シールチャンバーを出たときの鋳片温度は1200℃であ
り、長さ10mのシールチャンバーを出たときの鋳片温度
は1100℃であった。
第2図において、鋳片温度が1200℃および1100℃共
に、アルゴンガス雰囲気中の酸素濃度が5%を超える
と、スケール厚みが10μmを超えて厚くなる。スケール
厚みが10μmを超えると、この鋳片を酸洗した時表面肌
荒れが表われ、この鋳片を冷間圧延するヘゲ疵、スケー
ル疵が発生して製品の表面性状を損なう。したがって、
スケール厚みは10μm以下に抑制することが必要であ
り、このためには、鋳片温度が少なくとも1200℃まで
(1200℃以下まで)の温度域を酸素濃度5%以下のアル
ゴンガス雰囲気におくことが必要である。
鋳片温度が1200℃より低い温度域では、スケールの生
成速度が小さい。このため、この温度域で鋳片をアルゴ
ンガス雰囲気におくことはスケール抑制効果に対して、
シールチャンバーが長大になり、また製造能率が悪くな
り、得策でない。鋳片温度が800℃までの温度域では、1
0℃/s以上の冷却速度で冷却すると、スケール厚みの増
大を効率良く抑制することができる。
第3図は、鋳片をシールチャンバーによって酸素濃度
5%のアルゴンガス雰囲気においた後、チャンバーを出
た鋳片を、冷却装置によって800℃まで冷却したときの
冷却速度と鋳片に生成したスケール厚みとの関係を示し
ている。なお、冷却速度は水量を調整することで変化さ
せた。
第3図において、鋳片の冷却速度を10℃/s以上にする
と、スケール厚みを10μm以下に抑制することができ
る。
なお、シールチャンバーを出るときの鋳片の温度が12
00℃を超えると、スケール厚みを10μm以下に抑制する
ことができない。
第2図及び第3図に示した処理に続いて、鋳片を500
℃以上、800℃以下の温度域で捲取ると、鋳片は、その
保有熱によって500〜800℃の温度域に1時間以上保持さ
れる。これにより、スケールはFe3O4の生成が抑制され
てFeOが主成分になる。
第4図は、第2図及び第3図に示した処理に続いて、
鋳片を捲取機によりコイル状に捲取るときの捲取温度と
捲取り後の鋳片に生成したスケールの組成との関係を示
している。図において、捲取機によりコイル状に捲取る
ときの鋳片の温度が500℃以上、800℃以下であると、Fe
Oを主成分とする剥離し易いスケールが安定して生成さ
せる。これにより、鋳片のデスケールが容易になる。
本発明第4発明および第5発明においては、連続鋳造
後の鋳片を、その温度が少なくとも1200℃までの温度域
で酸素ガス濃度5.0%以下の窒素ガス雰囲気におくと、
窒素が鋳片の表面で濃化することで、酸素の鋳片表層へ
の進入が抑制される。これによってFeOスケールの生成
が抑制されて、Fe3O4を主成分とするスケールにするこ
とができる。
また、前記酸素ガス濃度5.0以下の窒素ガス雰囲気で
の保持に続いて、10℃/s以上の冷却速度で750℃までの
温度域を冷却すると、前記雰囲気での保持後におけるス
ケールの生成を抑制することができる。以上の条件で冷
却された鋳片のスケールはFe3O4を主成分とし、その厚
みは10μm以下である。このようなスケールをもつ鋳片
はプレス加工や曲げ加工してもスケールは剥離しない。
さらには、前記冷却後の鋳片を、その温度が600℃以
下であると、捲取機によりコイル状に捲取ると、FeOス
ケールの生成をさらに抑制することができる。この下限
捲取り温度は、低いほど良いが、技術的及び経済的に好
ましい温度とする。
第5図は、双ドラム式連続鋳造装置鋳造機の後方に長
さ5mまたは10mに可変のシールチャンバーを接続して設
け、このシールチャンバーに気水冷却装置を接続して設
け、シールチャンバーに酸素濃度2〜20%の窒素ガスを
充満させ、鋳造機を出た板厚3mmの炭素鋼鋳片をシール
チャンバー内の窒素ガス雰囲気においた後、チャンバー
を出た鋳片を気水冷却したときの、鋳片に生成したスケ
ールの厚みと窒素ガス雰囲気中の酸素濃度との関係を示
している。
なお、鋳造速度を63m/分と一定にしたとき、長さ5mの
シールチャンバーを出たときの鋳片温度は1200℃であ
り、長さ10mのシールチャンバーを出たときの鋳片温度
は1000℃であった。
第5図において、鋳片温度が1200℃および1000℃共
に、窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が5.0%を超える
とスケール厚みが10μmを超えて厚くなる。スケール厚
みが10μmを超えると、この鋳片をプレス加工や曲げ加
工したとき、スケールが剥離して製品の表面性状を損な
う。したがって、スケールの剥離を防止するためには、
鋳片の温度が少なくとも1200℃まで(1200℃以下まで)
の温度域を酸素ガス濃度が5.0%以下望ましくは0%の
窒素ガス雰囲気におくことが必要である。
第6図は、シールチャンバー内に酸素濃度5.0%の窒
素ガスを充満させて、シールチャンバーを出た鋳片を冷
却装置によって750℃まで冷却したときの鋳片冷却速度
と鋳片に生成したスケール厚みとの関係を示している。
第6図において、シールチャンバーを出た鋳片の冷却
速度10℃/s以上にすると、スケール厚みを10μm以下に
抑制することができる。また、この上限冷却速度は速い
ほど良いが技術的及び経済的に好ましい速度とする。
なお、シールチャンバーを出るときの鋳片の温度が12
00℃を超えると、スケール厚みを10μm以下に抑制する
ことができない。
第7図は、第6図に示した冷却速度10℃/s以上の冷却
に続いて、捲取機によりコイル状に捲取るときの鋳片の
温度(捲取り温度)と捲取った後の鋳片に生成したスケ
ールの組成との関係を示している。図において、捲取機
によりコイル状に捲取るときの鋳片の温度を600℃以
下、好ましくは550℃以下にすると、鋳片はその保有熱
によって600℃以下、好ましくは550℃以下に保持される
ことで、鋳片のスケールはFeOの生成が抑制されてスケ
ールに占めるFe3O4の割合が多くなる。
本発明の第6発明および第7発明において、連続鋳造
後の薄帯鋳片を、その温度が少なくとも1200℃までの温
度域では、酸素ガス濃度が5%以下で露点が40℃以下で
燃焼廃ガス雰囲気におくと、鋳片は燃焼廃ガス中のC
O2、窒素及び酸素雰囲気によって、スケールの生成が抑
制される。
また、前記燃焼廃ガス雰囲気での保持に続いて、10℃
/s以上の冷却速度で750℃までの温度域を冷却すると、
前記同様にスケールの生成が抑制されて、FeOを主成分
とする厚み10μm以下のスケールが生成する。このスケ
ールが付いたままの鋳片をプレス加工や曲げ加工して
も、スケールは剥離しない。
前記鋳片の冷却に続いて、鋳片を、その温度が600℃
以下、望ましくは500℃以下であるとき、捲取機により
コイル状に捲取ることで、鋳片に生成するスケールの主
成分を、FeOを抑制してFe3O4にすることができる。この
下限捲取り温度は、低いほど良いが技術的及び経済的に
好ましい温度とする。
第8図は、鋳造機の下端に長さ5mのシールチャンバー
を接続して設け、このシールチャンバーに酸素濃度2〜
20%、露点0〜50℃の燃焼廃ガスを充満させ、C0.005〜
0.5%の炭素鋼を、板厚3mmの薄帯鋳片に鋳造し、この鋳
片をシールチャンバー内の燃焼廃ガス雰囲気においた
後、チャンバーを出た鋳片を気水冷却したときの、燃焼
廃ガス雰囲気中の酸素濃度と露点および鋳片に生成した
スケールの厚みとの関係を示している。
なお、鋳造速度を63m/分と一定にしたとき、長さ5mの
シールチャンバーを出たときの鋳片温度は1200℃であ
り、長さ10mのシールチャンバーを出たときの鋳片温度
は1100℃であった。
第8図において、シールチャンバーを出る鋳片の温度
が1200℃であるときは、燃焼廃ガス雰囲気中の酸素濃度
が5%もしくは露点が40℃を超えると、スケール厚みが
10μmを超えて厚くなる。スケール厚みが10μmを超え
ると、この鋳片をプレス加工や曲げ加工したとき、スケ
ールが剥離して製品の表面性状を損なう。したがって、
スケール厚みは10μm以下に抑制することが必要であ
り、このためには、薄帯鋳片の温度が少なくとも1200℃
まで(1200℃以上)の温度域を酸素濃度が5%以下望ま
しくは0%の燃焼廃ガス雰囲気におくことが必要であ
る。
鋳片温度が1200℃以下では、スケールの生成速度が小
さい。このため、この温度域で鋳片を燃焼廃ガス雰囲気
におくことは、スケール生成の抑制効果に対して、シー
ルチャンバーが長大になり、また製造能率が悪くなり、
得策でない。鋳片温度が1200℃以下、具体的には、1200
〜750℃までの温度域では、10℃/s以上の冷却速度(い
いかえれば滞留時間が60秒以下)で冷却すると、スケー
ルの生成を効率良く抑制することができる。
第9図は、鋳造機にシールチャンバーおよび冷却装置
を接続して設け、シールチャンバーに酸素濃度5%、露
点0〜40℃の燃焼廃ガスを充満させ、前記と同様の炭素
鋼を、板厚3mmの薄帯鋳片に鋳造し、この鋳片を1200℃
までシールチャンバー内の燃焼廃ガス雰囲気においた
後、チャンバーを出た鋳片を、冷却装置によって、750
℃まで冷却したときの冷却速度と鋳片に生成したスケー
ル厚みとの関係を示している。なお、冷却速度は水量を
調整することが変化させた。
第9図において、鋳片の冷却速度を10℃/s以上にする
と、スケール厚みを10μm以下に抑制することができ
る。また、この上限冷却速度は速いほど良いが、技術的
及び経済的に好ましい速度とする。
なお、シールチャンバーを出るときの鋳片の温度が12
00℃を超えると、スケール厚みを10μm以下に抑制する
ことができない。
第8図及び第9図に示した処理に続いて、薄帯鋳片を
600℃以下、好ましくは500℃以下の温度域で捲取ると、
鋳片は、その保有熱によって600℃以下、好ましくは500
℃以下の温度域に1時間以上保持される。これにより、
鋳片に生成するスケールの主成分を、FeOを抑制してFe3
O4にすることができる。
第10図は、前記各処理後の薄帯鋳片を捲取機によりコ
イル状に捲取るときの、捲取温度と鋳片に生成したスケ
ールの組成との関係を示している。図において、捲取機
によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の温度が600℃以下で
あると、Fe3O4を主成分とする剥離し難いスケールを安
定して生成させることができる。これにより、鋳片加工
時におけるスケールの剥離を防止することができる。
本発明第8〜第10発明では、連続鋳造後の鋳片を、そ
の温度が少なくとも1200℃までの温度域で、酸素ガス濃
度7.0%以下の窒素ガス雰囲気におくと、窒素が鋳片の
表面に濃化することで、鋳片表層への酸素の進入が阻止
されて、スケールの生成が抑制される。このとき、鋳片
にCrまたはCuが0.1%以上含まれていると、鋳片表面に
緻密なCrNまたはCuNが生成して、鋳片表層への酸素の侵
入が更に阻止される。
この窒素ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上の
冷却速度で750℃までの温度域を冷却することで窒素ガ
ス雰囲気での保持後におけるスケールの生成が抑制され
る。このとき、前記CrNおよびCuNは急冷によって均一分
散するため、鋳片表層への酸素の侵入が阻止され、スケ
ールの生成が更に抑制され、スケールの厚みを10μm以
下に抑制することができる。このスケールが生成したま
まの鋳片をプレス加工や曲げ加工しても、スケールは剥
離しない。
さらに、前記冷却後の鋳片を、その温度が600℃以下
であるとき、捲取機によりコイル状に捲取ると、鋳片表
面とスケールとの界面におけるFeOの生成が抑制され
て、スケールに占めるFe3O4の割合を多くすることがで
きる。このスケールが生成したままの鋳片をプレス加工
や曲げ加工しても、スケールは剥離しない。
第11図は、双ドラム式連続鋳造機に長さ5mまたは10m
のシールチャンバーおよび気水冷却装置を接続して設
け、シールチャンバーに酸素濃度2〜20%の窒素ガスを
充満させ、C;0.0T〜0.5%、Cr;0.05〜1.0%、Cu;0.03〜
1.0%、の炭素鋼を、板厚3mmの鋳片に鋳造し、この鋳片
をシールチャンバー内の窒素ガス雰囲気においた後、チ
ャンバーを出た鋳片を気水冷却したときの、鋳片に生成
したスケールの厚みと窒素ガス雰囲気中の酸素濃度との
関係を示している。
なお、鋳造速度を63m/分と一定にしたとき、長さ5mの
シールチャンバーを出たときの鋳片温度は1200℃であ
り、長さ10mのシールチャンバーを出たときの鋳片温度
は1100℃であった。
第11図において、シールチャンバーを出たときの鋳片
温度が1100℃および1200℃共に、窒素ガス雰囲気中の酸
素濃度が7%を超えると、スケール厚みが10μmを超え
て厚くなる。(第5図参照)また窒素ガス雰囲気中の酸
素濃度が7%以下であっても鋳片のCuまたはCrが0.1%
未満であるとスケール厚みが10μmを超えて厚くなる。
スケール厚みが10μmを超えると、この鋳片をプレス加
工や曲げ加工したとき、スケールが剥離して製品の表面
性状を損なう。したがって、スケール厚みを10μm以下
に抑制するためには、鋳片のCuまたはCrを0.1%以上に
し、かつ鋳片温度が少なくとも1200℃まで(1200℃以下
まで)の温度域では酸素濃度7%以下の窒素ガス雰囲気
におくことが必要である。
鋳片温度が1200℃以下では、スケール生成速度が小さ
い。このため、この温度域で鋳片を窒素ガス雰囲気にお
くことは、スケール抑制効果に対して、シールチャンバ
ーが長大になり、また製造能率が悪くなり、得策でな
い。鋳片温度が1200℃以下では、具体的には750℃まで
の温度域では、10℃/s以上の冷却速度で冷却すると、ス
ケールの生成を効率良く抑制することができる。
第12図は、シールチャンバーに酸素濃度7%の窒素ガ
スを充満させ、第4図と同様の炭素鋼をシールチャンバ
ー内の窒素ガス雰囲気においた後、チャンバーを出た鋳
片を、冷却装置によって、750℃までの温度域を冷却し
たときの冷却速度と鋳片に生成したスケール厚みとの関
係を示している。なお、冷却速度は水量を調整すること
で変化させた。
第12図において、鋳片の冷却速度を10℃/s以上にする
と、鋳片のCuおよびCrの濃度に関係なくスケール厚みを
10μm以下に抑制することができる。
なお、シールチャンバーを出るときの鋳片の温度が12
00℃を超えると、スケール厚みを10μm以下に抑制する
ことができない。
第11図および第12図に示した処理に続いて、鋳片を60
0℃以下の温度域で捲取ると、鋳片は、その保有熱によ
って600℃以下の温度域に1時間以上保持される。これ
により、FeOスケールの生成が抑制されて、スケールに
占めるFe3O4の割合を多くすることができる。
第13図は、鋳片を捲取機によりコイル状に捲取るとき
の捲取温度と鋳片に生成しスケールの組成との関係を示
している。図において、捲取機によりコイル状に捲取る
ときの鋳片温度が600℃以下、好ましくは550℃以下であ
ると、Fe3O4を主成分とする剥離し難いスケールを安定
して生成させることができる。これにより、鋳片加工時
におけるスケールの剥離を防止することができる。ま
た、このとき鋳片のCrまたはCuが0.1%以上であると、
鋳片表面にCrNあるいはCuNが濃化析出するために、スケ
ールに占めるFe3O4の割合を高くすることができる。
以下、実施例によって本発明を詳述する。
実施例 実施例1 本発明の第1〜第3発明についての実施例を説明す
る。
第1図の双ドラム式連続鋳造機において、本実施例で
はシールチャンバー5内には、アルゴンガスが供給され
てシールチャンバー5内の酸素ガス濃度は5.0%以下に
維持されている。薄帯鋳片12はシールチャンバー5内を
送られて、シールチャンバー5内のアルゴンガス雰囲気
中で1200℃まで冷却されることで、Fe3O4スケールの生
成が抑制される。
次に薄帯鋳片12は、シールチャンバー5を出て冷却装
置7に導入される。冷却装置7は、薄帯鋳片12を挟んで
上下に多数の冷却ノズル8が配列されており、薄帯鋳片
12は、冷却ノズル8から噴出する気水によって、10℃/s
以上の冷却速度で800℃までの温度域を冷却されること
で、Fe3O4スケールの生成が抑制されスケール厚みは10
μm以下に抑制される。
冷却装置7を出た薄帯鋳片12は、500℃以上、800℃以
下の温度域で捲取機9によってコイル状に捲取られるこ
とで、500〜800℃の温度域に1時間以上保温される。こ
の保温によって、鋳片表面とスケールとの界面における
Fe3O4の生成が抑制されて、FeOを主成分とするスケール
になる。
第1図に示した双ドラム式連続鋳造機を用いて炭素鋼
を鋳造速度80m/sで板厚2.0〜6.0mmの薄帯鋳片に鋳造
し、この鋳片を捲取機に捲取って常温まで冷却した後、
90度および120度の曲げ加工した。
第1表に鋳造した炭素鋼の成分組成を示し、第2表に
シールチャンバー内の雰囲気、鋳片の冷却速度およびシ
ールチャンバーを出るときの鋳片の温度、さらには捲取
り時の鋳片の温度を示し、第3表に鋳片に生成したスケ
ールの厚み、組成および、この鋳片を酸洗したときの脱
スケール性及び冷間圧延後の表面性状を示している。な
お、第3表のスケールの組成は、FeO(%)のみを示
し、残りの(%)はFe3O4及び一部Fe2O3である。
本発明例のNo.1は、好ましい条件である鋳片の捲取り
温度が不適切であるため、スケールが厚目であった。N
o.2〜5では、全ての条件が適切であるため、スケール
の残存はなく、冷延板の表面性状も良好であった。これ
に対して、比較例のNo.6〜8では、本発明の必要条件の
うちの一つが不適切であるため、スケールが少量残存
し、冷延板にヘゲ疵が中程度発生した。No.9〜10では、
本発明の必要条件の全てが不適切であるため、スケール
が多量残存し、冷延板にヘゲ疵が多量発生した。
なお、本発明の800℃までの冷却速度は10℃/s以上に
限定されるが、好ましくは実施例にある10〜15℃/sの範
囲である。
さらに、鋳片スケールの成分値については、特に限定
するものではないが本発明では実施例にあるとおり、好
ましくはFeOが70〜95%の範囲である。
実施例2 本発明の第4および第5発明の実施例を説明する。
実施例1と同様な装置によって、シールチャンバー5
内には、窒素ガスが供給されてシールチャンバー5内の
酸素ガス濃度は5.0%以下に維持されている。薄帯鋳片1
2はシールチャンバー5内を送られて、シールチャンバ
ー5内の窒素ガス雰囲気中で少なくとも1200℃まで冷却
されることで表面にFe3O4を主成分とするタイトで薄い
スケールが生成する。シールチャンバー5を出た薄帯鋳
片12は、次に冷却装置7に導入される。冷却装置7は薄
帯鋳片12を挟んで上下に多数の冷却ノズル8が配設され
ており、薄帯鋳片12は、冷却ノズル8から噴出する気水
によって10℃/s以上の冷却速度で750℃までの温度域を
冷却されることで窒素雰囲気での保持後におけるスケー
ルの生成が抑制されて厚さ10μm以下のFeOスケールが
安定して生成する。
冷却装置7を出た薄帯鋳片12は、次に600℃以下に温
度域で捲取機9によってコイル状に捲取られることで、
600℃以下の温度域で1時間以上保温される。この保持
によってFeOスケールの生成を抑制されてスケールに占
めるFe3O4の割合が多くなる。
第1図に示した連続鋳造機を用いて炭素鋼の薄帯鋳片
を鋳造速度63m/sで板厚2.0〜6.0mmの鋳片に鋳造し、捲
取機に捲取った後、この鋳片を90度および120度の曲げ
加工した。
第4表に鋳造した炭素鋼の成分組成を示し、第5表に
シールチャンバー内の雰囲気およびシールチャンバーを
出るときの鋳片の温度および鋳片の冷却速度、さらには
捲取り時の鋳片の温度を示し、第6表に鋳片のスケール
厚み、組成および鋳片を曲げ加工したときのスケールの
剥離状況を示している。なお、第6表のスケールの組成
は、Fe3O4(%)のみを示し、残りの(%)はFeOが主成
分であり、他にFe2O3も含む。
第6表に示す本発明例のNo.11〜14では、スケールは9
0度曲げ及び120度曲げで剥離しなかった。これに対して
比較例No.15〜19では、スケールは90度曲げで一部の例
で僅かに剥離し、120度曲げでは全ての例で殆どが剥離
した。
実施例3 本発明の第6および第7発明の実施例を説明する。
実施例1と同様な装置によって、シールチャンバー5
内には、燃焼廃ガスが供給されてシールチャンバー5内
の酸素ガス濃度は0%に維持されている。薄帯鋳片12は
ピンチロール6a,6bによってシールチャンバー5内を送
られて、シールチャンバー5内の燃焼ガス雰囲気中で、
少なくとも1200℃まで冷却されることで表面にFe3O4
主成分とするタイトで薄いスケールが生成する。
シールチャンバー5を出た薄帯鋳片12は、次に冷却装
置7に導入される。冷却装置7は、薄帯鋳片12を挟んで
上下に多数の冷却ノズル8が配設されており、薄帯鋳片
12は、冷却ノズル8から噴出する気水によって、10℃/s
以上の冷却速度で750℃までの温度域を冷却されること
でスケールの生成が抑制される。
冷却装置7を出た薄帯鋳片12は、600℃以下の温度域
で捲取機9によってコイル状に捲取ることで、600℃以
下の温度域に1時間以上保温される。この保温によっ
て、鋳片表面とスケールとの界面におけるFeOの生成が
抑制されて、スケールの主成分をFe3O4にすることがで
きる。
第1図に示した連続鋳造機を用いて炭素鋼を鋳造速度
80m/sで板厚2.0〜4.0mmの薄帯鋳片に鋳造し、捲取機に
捲取って常温まで冷却した鋳片を、90度および120度の
曲げ加工した。
第7表に鋳造した炭素鋼の成分組成を示し、第8表に
シールチャンバー内の雰囲気、鋳片の冷却速度およびシ
ールチャンバーを出るときの鋳片の温度、さらには捲取
り時の鋳片の温度を示し、第9表に鋳片のスケール厚
み、組成および鋳片を加工したときのスケールの剥離状
況を示している。なお、第8表のシールチャンバー内の
燃焼廃ガスの組成はCO2が11%、酸素は表中に示し残り
は窒素である。また、第9表のスケールの組成はFe3O4
(%)のみを示し、残りの(%)はFeOの他に一部はFe2
O3である。
第9表に示す本発明例のNo.20、21では、好ましい条
件である鋳片の巻取り温度条件が不適切であるため、12
0度曲げで僅かに肌荒れが生じた。No.22〜24では、全て
の条件が適切であるため、スケールは全く剥離しなかっ
た。
これに対して、比較例のNo.25、26及び28では、本発
明の第8表の必要条件の内少なくとも1つ以上が不適切
であるため、スケールが厚く、90度、120度曲げ共にス
ケールが剥離した。また、No.27では、鋳片の冷却速度
が不適切であり、90度曲げでは、スケールは剥離しなか
ったが肌荒れが生じた。No.29では、本発明の全ての条
件が不適切であるため、FeOを主成分とするスケールが
生成し、90、120度曲げ共にスケールが剥離した。
実施例4 本発明の第8〜第10発明の実施例を説明する。
実施例1と同様な装置によって、シールチャンバー5
内には、窒素ガスが供給されてシールチャンバー5内の
酸素ガス濃度は5.0%以下に維持されている。薄帯鋳片1
2はピンチロール6a,6bによってシールチャンバー5内を
送られて、シールチャンバー5内の窒素ガス雰囲気中で
少なくとも1200℃まで冷却されることで表面に薄くてタ
イトなFe3O4スケールが生成する。
シールチャンバー5を出た薄帯鋳片12は、次に冷却装
置7に導入される。冷却装置7は薄帯鋳片12を挟んで上
下に多数の冷却ノズル8が配列されており、薄帯鋳片12
は、冷却ノズル8から噴出する気水によって、10℃/s以
上の冷却速度で750℃までの温度域を冷却されることで
窒素ガス雰囲気での保持後におけるスケールの生成が抑
制されて厚さ10μm以下のスケールが安定して生成す
る。
冷却装置7を出た薄帯鋳片12は、600℃以下の温度域
で捲取機9によってコイル状に捲取ることで、600℃以
下の温度域で1時間以上保温される。この保持によっ
て、鋳片表面とスケールとの界面におけるFeOの生成が
抑制されて、スケールに占めるFe3O4の割合が多くな
る。
第1図に示した双ドラム式連続鋳造機を用いて炭素鋼
を鋳造速度80m/sで板厚2.0〜6.0mmの薄帯鋳片に鋳造
し、捲取機に捲取って常温まで冷却した鋳片を、90度お
よび120度の曲げ加工した。
第10表に鋳造した炭素鋼の成分組成を示し、第11表に
シールチャンバー内の雰囲気、鋳片の冷却速度およびシ
ールチャンバーを出るときの鋳片の温度、さらには捲取
り時の鋳片の温度を示し、第12表に鋳片のスケール厚
み、組成およびこの鋳片を曲げ加工したときのスケール
の剥離状況を示している。なお、第12表のスケールの組
成はFe3O4(%)のみを示し、残りの(%)はFeOが殆ど
であり、一部にFe2O3を含む。
本発明例のNo.30、31では、好ましい条件である鋳片
の巻取温度が不適切であるため、120度曲げで僅かに肌
荒れが生じた。また、No.32〜34では、全ての条件が適
切であるため、肌荒れ及びスケールの剥離は生じなかっ
た。
これに対して、比較例のNo.35〜37では、本発明の必
要条件の内の一つが不適切であるため、90度曲げで僅か
に剥離し、120度曲げでは殆どが剥離した。また、No.38
の比較例では、本発明の全ての条件を外れているため、
スケールが厚く、全ての曲げ加工でスケールが殆ど剥離
した。No.39の比較例では、鋳造した鋼のCrおよびCuが
少ないため、90度曲げでスケールの一部が剥離し、120
度曲げで肌荒れが生じた。
なお、本発明は化学成分のCuまたはCrが0.1%以上の
炭素鋼を対象としているが、これらの合計含有量が0.1
%以上の炭素鋼においても本発明の他の構成要件を満足
する場合には、同様の効果が期待される。
また、本発明の750℃までの冷却速度は10℃/s以上に
限定されるが、好ましくは実施例にある10〜15℃/sの範
囲である。
さらに、鋳片スケールの成分値については、特に限定
するものではないが、本発明では実施例にあるとおり、
好ましくはFe3O4が70〜95%の範囲である。
産業上の利用可能性 本発明によれば、雰囲気ガスの酸素濃度を規制したア
ルゴンガス雰囲気として1200℃まで保持すること、およ
びその後の急速冷却を組み合わせることによって、連続
鋳造における薄帯鋳片のスケールの厚みを減少し、その
組成をFeOを主成分とし、剥離性に優るスケールにする
ことができる。このためデスケール性に優れ、かつ表面
性状の良好な鋳片を製造できる。また、ガス雰囲気を窒
素ガスとすることによって、さらに燃焼排ガスによって
雰囲気を形成し前記温度に保持し、その後急速冷却する
ことによって、スケール組成をFe3O4を主体にできる。
このため、得られるスケールは加工時に剥離し難くな
り、製品の表面性状が改善される。本発明の装置では温
度域が1200℃までの保持でよいため、能率がよく且つ装
置が小型で済み、また使用するガスが少なくて済むた
め、鋳片を低コストで製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−67201 (32)優先日 平6(1994)4月5日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 田中 重典 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (72)発明者 福田 義盛 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (72)発明者 赤松 聡 千葉県富津市新富20―1 新日本製鐵株 式会社技術開発本部内 (72)発明者 宮嵜 雅文 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (72)発明者 松村 義一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 平4−14171(JP,A) 特開 平2−133528(JP,A) 特開 昭63−30159(JP,A) 特開 昭59−199152(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/06 330 B22D 11/124 B22D 11/22 B22D 11/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cが0.5%以下、CrまたはCuが0.1%未満か
    らなる炭素鋼を、鋳型壁面が鋳片と同期して移動する連
    続鋳造機により厚さ10mm以下の薄帯鋳片に鋳造し、該薄
    帯鋳片を捲取機によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の製造
    方法において、前記薄帯鋳片の鋳造に続いて、少なくと
    も1200℃までの温度域では、該薄帯鋳片を雰囲気ガス組
    成が酸素濃度5.0%以下、残部が不活性ガスからなるガ
    ス雰囲気で保持し、前記ガス雰囲気での保持に続いて、
    10℃/s以上の冷却速度で800〜750℃までの温度域を冷却
    し、捲取機によりコイル状に捲取ることを特徴とする表
    面スケールを低減する薄帯鋳片の製造方法。
  2. 【請求項2】前記不活性ガスとしてアルゴンを用い、前
    記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上の冷却速度
    で800℃までの温度域を冷却することにより、さらにデ
    スケール性に優れたスケールを有する請求の範囲1記載
    の薄帯鋳片の製造方法。
  3. 【請求項3】前記不活性ガスとしてアルゴンを用い、前
    記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s以上の冷却速度
    で800℃までの温度域を冷却し、前記捲取機によりコイ
    ル状に捲取る薄帯鋳片の温度を、500℃以上、800℃以下
    にすることにより、さらにデスケール性に優れたスケー
    ルを有する請求の範囲1記載の薄帯鋳片の製造方法。
  4. 【請求項4】前記不活性ガスとして窒素を用い、前記ガ
    ス雰囲気での保持に続いて10℃/s以上の冷却速度で750
    ℃までの温度域を冷却することにより、さらに耐プレス
    剥離性に優れたスケールを有する請求の範囲1記載の薄
    帯鋳片の製造方法。
  5. 【請求項5】前記不活性ガスとして窒素を用い、前記ガ
    ス雰囲気での保持に続いて10℃/s以上の冷却速度で750
    ℃までの温度域を冷却し、前記捲取機によりコイル状に
    捲取る薄帯鋳片の温度を、600℃以下にすることによ
    り、さらに耐プレス剥離性に優れたスケールを有する請
    求の範囲1記載の薄帯鋳片の製造方法。
  6. 【請求項6】前記不活性ガスとして露点40℃以下の燃焼
    廃ガスを用い、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃
    /s以上の冷却速度で750℃までの温度域を冷却すること
    により、さらに耐プレス剥離性に優れたスケールを有す
    る請求の範囲1記載の薄帯鋳片の製造方法。
  7. 【請求項7】前記不活性ガスとして露点40℃以下の燃焼
    廃ガスを用い、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃
    /s以上の冷却速度で750℃までの温度域を冷却し、前記
    捲取機によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の温度を600℃
    以下にすることにより、さらに耐プレス剥離性に優れた
    スケールを有する請求の範囲1記載の薄帯鋳片の製造方
    法。
  8. 【請求項8】Cが0.5%以下、CrまたはCuが0.1%以上か
    らなる炭素鋼を鋳型壁面が鋳片と同期して移動する連続
    鋳造機により厚さ10mm以下の薄帯鋳片に製造し、該薄帯
    鋳片を捲取機によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の製造方
    法において、前記薄帯鋳片の鋳造に続いて、少なくとも
    1200℃までの温度域では、該薄帯鋳片を雰囲気ガス組成
    が酸素7.0%以下、残部が不活性ガスからなるガス雰囲
    気に保持し、前記ガス雰囲気での保持に続いて、10℃/s
    以上の冷却速度で750℃までの温度域を冷却し、捲取機
    によりコイル状に捲取ることを特徴とする表面スケール
    を低減する薄帯鋳片の製造方法。
  9. 【請求項9】前記不活性ガスとして窒素を用いることに
    より、さらに耐プレス剥離性に優れたスケールを有する
    請求の範囲8記載の薄帯鋳片の製造方法。
  10. 【請求項10】前記不活性ガスとして窒素を用い、前記
    捲取機によりコイル状に捲取る薄帯鋳片の温度を、600
    ℃以下にすることにより、さらに耐プレス剥離性に優れ
    たスケールを有する請求の範囲8記載の薄帯鋳片の製造
    方法。
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