JP2973249B2 - コルク栓の製造方法 - Google Patents

コルク栓の製造方法

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憲弘 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はコルク栓のコアー材に
合成樹脂被膜を形成する方法に係り、詳しくはコアー材
の接液面とは反対側の頂面を残して他の面の全てに合成
樹脂被膜を形成したコルク栓の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コルク栓はワインやウイスキー等飲料用
容器の栓としてガラス壜や陶器壜に古くから利用されて
いる。天然コルク栓は、詳細は省略するがコルク樫の樹
皮を切断・切削・研摩などの加工をし、漂白して天然コ
ルク栓としている。
【0003】圧搾コルク栓は、これも詳細を省略するが
粉砕したコルク粒子を精選し、接着剤と混合した後、加
熱加圧して成形した圧搾コルク板や圧搾コルク棒を加工
して圧搾コルク栓としている。この圧搾コルク栓はコル
ク粒子が表面に出ており、天然コルク栓と同様に側面と
接液面はコルク細胞で覆われている。これらのコルク栓
は、壜口に打栓されると栓本体と内容物が接触している
ために長期間の接触により内容物にコルク味が移った
り、コルクダストが内容物に落下したり、ウイスキー分
がコルク細胞に滲み込んでコルク栓の外側が変色するな
どの不具合を生ずる。
【0004】この種の不具合を解決する手段として、従
来例えば実開昭59−112746号公報ならびに実開
昭63−147456号公報記載のものが有った。この
従来の技術の内、前者はフイルム状の合成樹脂膜をコル
ク栓の表面に接着剤で貼り付けるというものである。ま
た、後者はコルク栓本体(コアー材)の少なくとも周側
面に付加反応硬化型のシリコーンゴムを射出成形手法で
取付けるというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来の技術の
内、前者は短円柱状でしかも若干テーパーを有するコル
クにフイルム状の合成樹脂膜を接着剤を塗着して取付け
るには非常に熟練を要し、かつ量産性に欠け、後者はコ
ルク栓にプライマーを塗布乾燥させるという前工程を経
て射出成形するため工程数が多く面倒で、厚手の被覆し
かできず、また目的に応じ2種の被覆をすることは更に
工程を要し安価量産は望めそうもないという問題点があ
った。
【0006】この発明は前記した各問題点を除去するた
めに、コアー材の入る第1の特性を有する合成樹脂製の
カップの一部に第2の特性を有する合成樹脂円形
ートを取付、これらをコアー材に加熱加圧融着して異特
性の合成樹脂膜を容易かつ安価に形成することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記したこの発明の目的
は、コルク栓のコアー材の一部に合成樹脂被膜を形成し
たコルク栓の製造方法において、比較的低融点の合成樹
脂薄膜で所定の直径と高さを有する短円柱状のコアー材
がその周側面との間に大きい間隙を生じないように入る
大きさのカップを作り、このカップ内に前記コアー材を
詰込み、前記カップの底面に前記底面より大きく、かつ
前記合成樹脂薄膜より高融点の合成樹脂薄膜円形シート
を仮付けする第1の工程と、前記工程でカップ詰めした
コアー材を加熱冷却が可能な金型内に入れて加圧加熱し
て前記コアー材の少なくとも側面ならびに接液面に前記
カップ材による第1の合成樹脂膜を溶着形成すると共
に、前記コアー材の側面の一部と接液面の第1の合成樹
脂膜の上に第2の合成樹脂膜を前記第1の合成樹脂膜を
バインダとして被着する第2の工程とで、異特性の合成
樹脂膜をコアー材に形成することで達成できる。
【0008】
【作用】この発明の方法を採用することでコルク栓とな
るコアー材の周側面と接液面とに予じめカップに加工し
て覆せた比較的低融点の合成樹脂を金型内で加熱溶融さ
せてコアー材に溶着させ、前記カップに仮付けした前記
合成樹脂より高融点の合成樹脂シートを前記金型でコア
ー材の周側面の一部と接液面を覆うように成形して前記
低融点合成樹脂をバインダとして前記周側面の一部と接
液面とに異特性の合成樹脂をコアー材に被着する。
【0009】これにより直接コルク栓と内容物とが接触
しなくなり、ダストの落下を防止し、コルク味の移りを
防止し、コルク栓の外側を見苦しく汚すことを防止する
ことができ、溶融ならびに被着樹脂は透明度が高くかつ
しなやかなのでコルクの素材感を失うことのないコルク
栓となり、加えて加工性がよく安価に提供できる。
【0010】
【実施例】実施例について図面を参照して説明する。先
ずこの発明の基本工程は図1〜図8に示すように、比較
的低融点の合成樹脂薄膜で所定の直径と高さを有する短
円柱状のコアー材4がその周側面との間に大きい間隙を
生じないように入る大きさのカップ1を作り、このカッ
プ1内に前記コアー材4を詰込み、前記カップ1の底面
2に前記底面より大きくかつ前記合成樹脂薄膜より高融
点の合成樹脂薄膜円形シート3を仮付けする第1の工程
と、前記工程でカップ詰めしたコアー材4を加熱冷却が
可能な金型13内に入れて加圧加熱して前記コアー材4
の少なくとも周側面5ならびに接液面6に前記カップ材
による第1の合成樹脂膜7を溶着形成すると共に、前記
コアー材4の周側面5の一部と接液面6の第1の合成樹
脂膜7の上に第2の合成樹脂膜8を前記第1の合成樹脂
膜7をバインダとして被着する第2の工程とで、異特性
の合成樹脂膜をコアー材4に形成するものである。
【0011】以下具体的な実施例を述べる。図1に示す
カップ1は図9〜図11に記載のようにコルク栓として
の最終所要寸法が得られる直径と高さを有する短円柱状
の天然コルクまたは圧搾コルク素材から作った図3、図
4に示すコアー材4がその周側面5との間に大きい間隙
が生じない寸法のカップ1を例えば融点が80℃〜13
0℃と比較的低融点の低密度ポリエチレン樹脂(以下L
DPE樹脂と称す)を用いてブロー成形機で作成する。
このカップ1はコアー材4の接液面6と周側面5との角
部が面取りされているので、この形状通りに加工しコア
ー材4を詰めた際大きい間隔がいずこでも生じない様に
しておく。
【0012】合成樹脂薄膜円形シート3は図2に示すよ
うに融点温度が180℃〜200℃と前記LDPE樹脂
に比して高いポリエチレンテレフタレート樹脂(以下P
ET樹脂と称す)の薄膜(厚さ12μm)を前記コアー
材4の接液面6の直径より大きく周側面5の一部をも覆
い得る直径の円板状に加工する。前記したLDPE樹脂
の融点を80℃〜130℃としたのは、80℃以下の融
点では、製品とした時温度変化に対する変形が大きく、
130℃以上では加熱の時に中に詰めたコルクが過熱に
より変色したり、樹脂が硬くなりコルク栓として栓機能
を満足し得ないためである。
【0013】更にLDPE樹脂製カップの厚さは0.2
mmから1.0mmの厚さのカップを、コアー材により
選択し使用すれば良い。LDPE樹脂製カップの厚さが
0.2mm以下では、被膜が破れたり、成形時にピンホ
ールとなたりして安定性を欠くし、1.0mmを超え
る厚さでは、硬くなりすぎて栓として不適当であった
り、温度依存性が大きすぎて硬軟の差が激しいし、LD
PE樹脂の不透明感がコルク栓にはっきりと著れて不
である。
【0014】図3、図4に示す天然コルク製のコアー材
4も圧搾コルク製のコアー材4も共に以下に述べる金型
13の下型17のキャビティ18の直径より0.5mm
程度直径を大きくし、コアー材4の握部取付面9の中央
から接液面6に貫通しない前記握部取付用の円穴10を
形成し、この円穴縁と周側面5と接液面6の角部とに面
取り11,12を形成する。
【0015】以上のコルク栓構成体をもって以下コアー
材の周側面と接液面とに樹脂膜を被着する工程を延べ
る。カップ1にコアー材4を方向を定めて入れ込む。こ
の場合、図5、図6に示すようにカップ1内にコアー材
4を空気だまりを作らないためにも正確に入れ込む。こ
の後、コアー材4を入れたカップ1の底面2に円形シー
ト3を特殊な接着剤でカップ1の中心と円形シート3の
中心とが大きくずれないように仮接着する。
【0016】次にこのように第1の工程で作ったコルク
栓素材Mを第2の工程で加熱加圧成形する。この第2の
工程では、図9に示す金形13を用いる。この金形13
は下向の軸杆15を後述するキャビティ18内に嵌入す
る円盤状の軸杆取付けホルダ16に取付けた上型14
と、前記したコアー材4の直径より0.5mm程度小径
のキャビティ18とその底に開通するエアー吹込孔19
を有する下型17とで構成されている。
【0017】下型17のキャビティ18内にコルク栓素
材Mを挿入し、上型14を位置合せして乗せることでコ
アー材4の円穴10に軸杆15が挿入し円穴内側面の加
工と合せて円穴の保形を行なう。このコルク栓素材Mを
仕込んだ金形13を加熱冷却可能なプレス機により加熱
冷却を行う。加熱はプレス加圧下で130℃〜170℃
の範囲であり、3分〜5分間加熱することにより下形1
7と上型14との間で前記コルク栓素材Mの握部取付面
9に加える加工と合せてLDPE樹脂で作ったカップ1
を溶融させてコアー材4の周側面5と接液面6に第1の
合成樹脂薄膜を形成する。
【0018】このLDPE樹脂の溶融でこれをバインダ
として前記温度では溶融しないPET樹脂の円形シート
3が周側面5の一部と接液面6に被着する。この後金型
温度を60℃まで下げ、上型14を上昇させエアー吹込
孔19からキャビティ18内に加圧エアーを吹込みキャ
ビティ18内のコルク栓を取出すことで前記第2工程が
完了する。このように第1、第2の工程を経て加工され
たコルク栓Cは図10、図11に示すように、天然コル
クおよび圧搾コルク共にコアー材4の周側面5と接液面
6にLDPE樹脂による膜厚が200μm〜800μm
の第1の合成樹脂膜7が、また前記周側面5の一部と接
液面6に膜厚が12μmの第2の合成樹脂膜8として異
特性の二重構造の合成樹脂膜で被覆されたものとなる。
このコルク栓Cは図12に示すようにガラス、合成樹脂
あるいは木製の握部Hが取付けられ目的のコルク栓とな
る。
【0019】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成した
ので、以下に記載の効果を奏する。以上の説明から明ら
かなように、本発明によれば目的に応じて選ばれた性能
の異なる数種の合成樹脂膜をコルク栓の側面及び接液面
に溶着一体化する方法を採用しているため、コルクと内
容物が直接触れることがない。従って内容物に対しコル
クに由来するコルク味がつかず、ダストの落下がなく、
変色の問題を解決し、しかもコルクの素材感を失うこと
のないコルク栓を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に採用しているLDPE樹脂製カップ
の断面図
【図2】この発明に採用しているPET樹脂薄膜円形シ
ートの斜視図
【図3】加工済天然コルク栓の断面図
【図4】加工済圧搾コルク栓の断面図
【図5】LDPE樹脂製カップに天然コルク栓を詰めた
断面図
【図6】LDPE樹脂製カップに圧搾コルク栓を詰めた
断面図
【図7】PET樹脂薄膜円形シートを仮貼りした天然コ
ルク栓の断面図
【図8】PET樹脂薄膜円形シートを仮貼りした圧搾コ
ルク栓の断面図
【図9】成形金型の成形時の断面図
【図10】この発明により合成樹脂膜を溶着した天然コ
ルク栓の斜視図
【図11】この発明により合成樹脂膜を溶着した圧搾コ
ルク栓の斜視図
【図12】この発明により完成した合成樹脂膜を一体化
したコルク栓の1例の側面図
【符号の説明】
1カップ 2底面 3円形シート 4コアー材 5周側面 6接液面 7第1の合成樹脂膜 8第2の合成樹脂膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−156003(JP,A) 特開 平5−31831(JP,A) 実開 昭63−147456(JP,U) 実開 昭59−112746(JP,U) 実開 平1−94257(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 35/44 - 35/54 B65D 39/00 - 55/16 B29C 69/00 B29D 31/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コルク栓のコアー材の一部に合成樹脂被
    膜を形成したコルク栓の製造方法において、比較的低融
    点の合成樹脂薄膜で所定の直径と高さを有する短円柱状
    のコアー材がその周側面との間に大きい間隙を生じない
    ように入る大きさのカップを作り、このカップ内に前記
    コアー材を詰込み、前記カップの底面に前記底面より大
    きく前記合成樹脂より高融点の合成樹脂薄膜円形シート
    を仮付けする第1の工程と、前記工程でカップ詰めした
    コアー材を加熱冷却が可能な金型内に入れて加圧加熱し
    て前記コアー材の少なくとも周側面ならびに接液面に前
    記カップ材による第1の合成樹脂膜を溶着形成すると共
    に、前記コアー材の側面の一部と接液面の第1の合成樹
    詣膜の上に前記合成樹脂薄膜円形シートを加圧成形して
    第2の合成樹脂膜を被着する第2の工程とで、異特性の
    合成樹脂膜をコアー材に形成するコルク栓の製造方法。
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WO2005077775A1 (ja) 2004-02-13 2005-08-25 Suntory Limited 容器用栓とその製法

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