JP2972584B2 - 光コネクタ及びその組立方法 - Google Patents

光コネクタ及びその組立方法

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JP2972584B2 JP8200706A JP20070696A JP2972584B2 JP 2972584 B2 JP2972584 B2 JP 2972584B2 JP 8200706 A JP8200706 A JP 8200706A JP 20070696 A JP20070696 A JP 20070696A JP 2972584 B2 JP2972584 B2 JP 2972584B2
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TOHOKU NIPPON DENKI KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光接続を行う光コネ
クタ及びその組立方法に関し、特に基板上に光ファイバ
ーを整列させて固定する一対のコネクタ部材をガイドピ
ンを介して結合する光コネクタ及びその組立方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、かかる光コネクタ及びその組立方
法としては、例えば、特開平5−66326号公報など
に開示されている。
【0003】図16(a),(b)はそれぞれかかる従
来の一例を説明するための光コネクタの断面図および同
コネクタにおける溝基板,プレートの斜視図である。図
16(a),(b)に示すように、かかる光コネクタ1
aは、光ファイバを配置するV溝41およびガイドピン
46を案内するピン案内溝43を形成した溝基板40
と、溝部44を形成し且つその溝部44にガイドピン4
6を押圧する弾性加圧部材45を設けた光ファイバを押
えるための上プレート42とを成形樹脂部47で覆って
構成される。特に、インサートモールドされる成形樹脂
部47と同一の樹脂材料をガイドピン46を覆う溝部4
4に導き、この樹脂を弾性加圧部材45として用いるこ
とにより、ガイド溝基板40のガイドピン溝43にガイ
ドピン46を押圧する構造を採用している。
【0004】一方、上プレート42には、インサートモ
ールド時に成形樹脂部47の一部を溝部44へ導き弾性
加圧部材45とするために、開口部48が形成されてい
る。この開口部48は上プレート42に対し、溝部44
で溝加工された肉薄部分を切削加工や放電加工により、
一部分を除去して形成している。
【0005】また、ガイドピンを用いる光コネクタの構
造としては、特開平2−256008号公報などにも開
示されている。
【0006】図17は従来のかかる他の例を示す光コネ
クタの斜視図である。図17に示すように、この光コネ
クタ1aはV溝基板40にフラットプレート51を接着
することにより、光ファイバを整列させるための三角形
のファイバー穴41を形成し、このファイバー穴41に
光ファイバを通すとともに、カバー49と基板40とを
接着剤で固定するものである。この場合、ガイドピン用
のガイド孔50はカバー49側に形成される。
【0007】かかる光コネクタ1aの組立にあたって
は、形成したファイバー穴41に光ファイバをうしろか
ら挿入するため、ファイバー穴41と光ファイバとの間
に所定の隙間をもたせている。
【0008】さらに、これらの他にも、類似するものと
して、特開平2−256008号公報などにも同様の光
コネクタが開示されている。
【0009】図18はかかる従来のまた別の例を示す光
コネクタの斜視図である。図18に示すように、この光
コネクタ1aはV溝基板40と、この基板40の上に被
せたフラットプレート51とによって形成されたファイ
バー穴41の後部に続くテーパー穴を樹脂成形により形
成した構造である。なお、52は開口部である。
【0010】この光コネクタ1aの組立にあたっては、
光ファイバをファイバー穴41に挿入した後に、開口部
52より接着剤を流して固定している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の光コネ
クタ及びその組立方法、すなわち図16の例において
は、樹脂を注入し、弾性加圧部材を形成するため、上プ
レートに開口部を形成する際、上プレートが破損したり
してコネクタとしての信頼性を低下させるという欠点が
ある。
【0012】その理由は、上プレートの肉薄部分を切削
加工などで一部除去して作るため、残った肉薄部分にガ
イドピンの力が集中しやすくなるからである。
【0013】要するに、上プレートはガイドピンを支え
る部材として機能しているため、光コネクタ1a相互の
嵌合時には大きな力を受ける。この上プレートが大きな
力を受けて破損したときには、ガイドピンの保持が不安
定となり、光ファイバの軸ずれが起り、光コネクタとし
ての信頼性が低下してしまう。
【0014】また、上述した図17および図18の例に
おいては、V溝基板にフラットプレートを張り付けるこ
とにより、光ファイバを整列させるためのファイバ穴を
形成し、この穴に光ファイバを挿入した後接着剤で固定
しているが、このような構造および組立では、光ファイ
バ相互の位置合わせ精度が低下し、接続損失が増大する
という欠点がある。
【0015】つまり、かかる光コネクタにおいては、フ
ァイバ穴と光ファイバ間に所定の隙間を設ける必要があ
った。この隙間により、光ファイバがファイバ穴に密着
しないため、光ファイバ相互の間隔にバラツキが生じ、
数μmの高精度で作ったガイド溝であっても、光ファイ
バの位置精度はガイド溝の精度よりも低下してしまうか
らである。
【0016】このように、ファイバ穴の中で光ファイバ
相互の間隔にバラツキが生じた光コネクタ相互の接合に
あたっては、対向する光ファイバの位置がバラツキの分
だけずれているので、接続損失が大きくなってしまう。
【0017】さらに、上述した図17や図18の光コネ
クタにおいては、ファイバ穴に通した光ファイバを固定
するための接着剤が狭いために穴の中に充分充填され
ず、すなわち流れ性が悪く、光コネクタとしての信頼性
を低下させるという欠点がある。
【0018】この接着剤の流れ性が悪く、接着剤を充填
しきれないと、ファイバ穴と光ファイバの隙間の接着剤
に気泡が残ってしまうことがある。このような接着剤に
気泡が残った場合、温度変化による熱膨張の影響で光フ
ァイバそのものがファイバ穴の内部で破損することがあ
り、光コネクタとしての信頼性を低下させる原因となっ
てしまう。
【0019】また、上述した図17や図18の光コネク
タにおいては、基板をインサートモールドするとき、基
板と樹脂部との接着強度を一定にしにくく、接合面が剥
離し、同様にコネクタとしての信頼性を低下させるとい
う欠点がある。
【0020】その理由は、基板とカバーを形成する樹脂
部との材料が異なるため、成型しただけでは、双方が分
離し易いためである。
【0021】これら双方が光コネクタの使用中に分離し
た場合には、溝基板に対するガイドピンの押さえが弱く
なると同時に、溝基板に対するガイドピンのずれの分だ
け光コネクタ相互の光ファイバの位置合わせにずれが生
じるため、光接続損失が増大してしまう。
【0022】また、溝基板と樹脂部材の分離を防ぐに
は、接着等の別工程を増やさねばならないが、かかる別
工程を増やすと、組立そのものが煩雑になってしまう。
【0023】本発明の第1の目的は、相互に組込まれた
光ファイバの高精度な位置合わせを実現できる光コネク
タを提供することにある。
【0024】また、本発明の第2の目的は、使用中の温
度変化などに対しても、耐久性があり、信頼性の高い光
コネクタを提供することにある。
【0025】さらに、本発明の第3の目的は、生産性を
向上させることのできる光コネクタの組立方法を提供す
ることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の光コネクタは、
光ファイバを整列させて固定し、ガイドピンを用いて対
向する一対のコネクタ部材を結合する光コネクタにおい
て、中央に前記光ファイバを整列させるV溝および両サ
イドに前記ガイドピンを案内するガイド溝を形成した溝
基板と、前記光ファイバを前記溝基板の前記V溝に接着
剤を介して押し付け所定の位置精度を得るための押え板
と、前記溝基板の前記ガイド溝に前記ガイドピンを押し
付ける一対の略コ字型バネ部材と、前記押え板で前記光
ファイバを固定した前記溝基板および前記一対の略コ字
型バネ部材を収容固定するコ字型カバーとを有して構成
される。
【0027】また、本発明の光コネクタにおけるコ字型
カバーは、一体に樹脂成形され、底面に前記溝基板およ
び前記略コ字型バネ部材をそれぞれ固着する接着面を形
成している。
【0028】また、本発明の光コネクタにおける一対の
略コ字型バネ部材は、前記ガイドピンを前記溝基板のガ
イド溝に押し付けるための複数の凸部をそれぞれに形成
している。
【0029】また、本発明の光コネクタにおけるコ字型
カバーは、底面に前記溝基板および前記バネ部材を固着
する接着面を形成するとともに、前記接着面の周囲に接
着剤の広がりを限定する多重溝を形成し、その隣合う溝
に挟まれた突起を前記接着面よりも若干高く形成してい
る。
【0030】さらに、本発明の光コネクタは、光ファイ
バを整列させて固定し、ガイドピンを用いて対向する一
対のコネクタ部材を結合する光コネクタにおいて、中央
に前記光ファイバを整列させるV溝および両サイドに前
記ガイドピンを案内するガイド溝を形成した溝基板と、
前記光ファイバを前記溝基板の前記V溝に接着剤を介し
て押し付け、上面に前記V溝とは直交する方向に係止溝
を形成した所定の位置精度を得るための押え板と、前記
押え板の係止溝に係合する突起部を形成した係止部を上
面側中央に形成する一方、前記溝基板の前記ガイド溝に
前記ガイドピンを押し付けるためのピン押圧部を上面の
両サイドに形成し、前記溝基板,前記押え板を収容固定
する箱型カバーとを有して構成される。
【0031】また、本発明の光コネクタは、光ファイバ
を整列させて固定し、ガイドピンを用いて対向する一対
のコネクタ部材を結合する光コネクタにおいて、中央に
前記光ファイバを整列させるV溝および両サイドに前記
ガイドピンを案内するガイド溝を形成した溝基板と、前
記光ファイバを前記溝基板の前記V溝に接着剤を介して
押し付け、前記溝基板の前記ガイド溝に前記ガイドピン
を押し付けるためのピン押圧部を上面の両サイドに形成
するとともに、前記溝基板を収容固定する上下分割型カ
バーとを有し、前記上下分割型カバーは、それぞれ樹脂
成形され、前記上分割型カバーはその両サイドに前記ピ
ン押圧部を形成し且つ前記光ファイバの押え板の機能を
兼ねるとともに、前記下分割型カバーは前記溝基板を固
定する接着面とその接着面の周囲に形成した多重溝とを
備えて構成される。
【0032】
【0033】
【0034】また、本発明の光コネクタの組立方法は、
樹脂成形したカバー部材に溝基板およびバネ部材を接着
する際、前記カバー部材に形成した多重溝の凸部に前記
溝基板および前記バネ部材を押し付けながら接着剤を硬
化させ、前記多重溝の凸部を圧縮変形させるように構成
される。
【0035】さらに、本発明の光コネクタの組立方法
は、光ファイバを整列させた溝基板および係止溝を備え
た押え板を係止部およびピン押圧部が形成された箱型カ
バーに挿入して係止させるように構成される。
【0036】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0037】図1は本発明の光コネクタの第1の実施の
形態を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の
形態による光コネクタ1は、片側のみを示しているが、
中央に光ファイバ2を配置するためのV溝6を形成し、
両サイドにガイドピンを案内するためのガイド溝10を
形成した溝基板3と、光ファイバ2を溝基板3に押し付
けるための押え板4と、内側への凸部8を形成し、ガイ
ドピンを溝基板3に押し付ける一対の略コ字型バネ7
と、底面で溝基板3およびバネ7を接着して収容するコ
字型カバー5とを有している。また、溝基板3のV溝6
に平行して形成されるガイド溝10の端面、すなわち光
コネクタ接合面には、ガイドピンの挿入を容易にするた
めにテーパー部9を形成している。
【0038】図2は図1に示す光コネクタを接続した状
態の斜視図である。図2に示すように、かかる光コネク
タ1は、光ファイバ2の端面側同志を向かい合わせ、2
本のガイドピン11を光コネクタ1に貫通させて固定す
る。すなわち、コ字型カバー5A,5Bにそれぞれ同一
部材を収容しており、そのカバー底部のガイド孔12よ
り2本のガイドピン11を装着することにより、機械的
結合を行って、光ファイバ2の光学的接続を行ってい
る。これらの光コネクタ1におけるガイドピン11は、
バネ7および凸部8によって固定される。
【0039】図3は図1,図2における光コネクタの部
品分解斜視図である。図3に示すように、この光コネク
タにおいて、溝基板3は光ファイバ2を配置するV溝6
とガイドピン11を案内するためのガイド溝10を形成
し、平板状の押え板4で光ファイバ2を固定する。この
溝基板3を組立たものを、ガイドピン11を押し付ける
ための2個以上の凸部8を形成した一対の略コ字型バネ
7とともにコ字型カバー5に収容するが、コ字型カバー
5の底面には、基板接着面13とバネ接着面14とを形
成し、しかもこれら接着面13,14の周囲に多重溝1
5を形成している。また、コ字型カバー5の底部には、
前述したように、ガイドピン11を貫通保持するための
ガイド孔12を所定位置に設ける。
【0040】図4(a)〜(d)はそれぞれ図2におけ
る光コネクタの基板組立手順を説明するための工程順に
示したA−A線断面図である。まず、図4(a)に示す
ように、基板組立を行うにあたり、光ファイバ2の先端
被覆をとり、溝基板3のV溝6に整列させるための準備
を行う。なお、10はガイド孔である。
【0041】ついで、図4(b)に示すように、被覆を
とった光ファイバ2を溝基板3のV溝6に整列させる。
【0042】また、図4(c)に示すように、配列した
光ファイバ2の上に押え板4を接着するための接着剤1
6をこれらの上から滴下させながら塗布する。
【0043】さらに、図4(d)に示すように、光ファ
イバ2を接着剤16の上から押え板4で押し付けなが
ら、接着剤16の硬化を行い、サブアッセンブリー状態
の基板組立体17を得る。
【0044】図5(a),(b)はそれぞれ図2におけ
る光コネクタの組立手順を説明するための工程順に示し
たA−A線断面図である。まず、図5(a)に示すよう
に、サブアッセンブリー状態の基板組立体17やバネ7
をコ字型カバー5に接着するにあたり、基板接着面1
3,バネ接着面14にそれぞれ接着剤18を塗布してお
き、この上からサブアッセンブリー状態の基板組立体1
7やバネ7をコ字型カバー5に挿入する。
【0045】ここで、コ字型カバー5の接着面13の周
囲に形成される多重溝15についてみると、中央より接
着面13を囲む第1の凹部15A,その外側に形成され
る第2の凹部15Bが設けられ、それらの間に凸部15
Cが形成されている。また、この凸部15Cは接着面1
3よりも若干高く、根元の幅が広く且つ先端が狭いテー
パ形状を形成している。なお、バネ接着面14の周囲に
形成される多重溝15についても同様である。
【0046】ついで、図5(b)に示すように、基板組
立体17やバネ7をコ字型カバー5の底面に押し付ける
と、凸部15Cの先端は基板組立体17やバネ7と密着
しつつ力を受けて接着面13と同じ高さになるまで変形
し、変形部19となったままで接着剤18の硬化を行
う。
【0047】このような本実施の形態の光コネクタにお
いては、基板3のV溝6に光ファイバ2を押え板4によ
って押しつけながら接着剤16の硬化を行うので、溝基
板3に加工されたV溝6の高い寸法精度がそのまま光フ
ァイバ2の高い位置精度に転換される。したがって、光
コネクタの接続時には、対向する光ファイバ2相互の位
置ずれが少なく、接続損失の小さい光コネクタを実現す
ることができる。
【0048】図6(a),(b)はそれぞれ図2におけ
る光コネクタのガイドピンとバネの関係を説明するため
の部分的なA−A拡大断面図およびそのB−B部分断面
図である。図6(a),(b)に示すように、バネ7は
2個以上の凸部8を形成しているため、ガイドピン11
とバネ7との接触個所が凸部8に限定される。このた
め、バネ7がガイドピン11を溝基板3に対して確実に
且つ傾くことなく押し付けることができ、光コネクタの
接続時には、対向する光ファイバ2相互の位置ずれが少
なく、接続損失の小さい光コネクタを実現することがで
きる。
【0049】また、コ字型カバー5は単独の工程(別工
程)で樹脂成形することにより、溝基板3やバネ7の接
着面13,14に第1の凹部15Aや凸部15Cおよび
第2の凹部15Bを形成することが可能になる。
【0050】これにより、接着剤18は接着面13,1
4と溝基板3やバネ7とに挾まれた空間に薄く広がり、
余剰分の接着剤18は接着面13,14から凸部15C
に囲まれた第1の凹部15Aに流れ出るが、凸部15C
が変形部19となり、しかも溝基板3やバネ7と密着し
ているため、接着剤18が変形部19を越えて第2の凹
部15B側に流れ出ることはない。
【0051】さらに、線膨張係数の異なる部材相互の接
着では、温度変化によって部材の変形や破損が起こるこ
とがあるが、上述したように、接着剤18を必要な範囲
にのみ限定して使用できるため、部材間に働く力の影響
を最小限にすることができ、変形による位置精度の低下
や部材の破損のない信頼性の高い光コネクタを実現する
ことができる。
【0052】図7は本発明の光コネクタの第2の実施の
形態を示す斜視図である。図7に示すように、本実施の
形態による光コネクタ1も、片側のみを示しているが、
中央に光ファイバ2を配置するためのV溝6を形成し、
両サイドにガイドピンを案内するためのガイド溝10を
形成した溝基板3と、光ファイバ2を溝基板3に押し付
けるための押え板22と、底面に溝基板3を接着して収
容する一方、上面には中央に押え板22と係合する係止
部23および両サイドにガイドピンを溝基板3に押し付
けるピン押圧部24を備えた箱型カバー21とを有して
いる。また、溝基板3のV溝6に平行して形成されるガ
イド溝10の端面、すなわち光コネクタ接合面には、ガ
イドピンの挿入を容易にするためにテーパー部9を形成
している。
【0053】図8は図7に示す光コネクタを接続した状
態の斜視図である。図8に示すように、この光コネクタ
1も、光ファイバ2の端面側同志を向かい合わせ、2本
のガイドピン11を光コネクタ1に貫通させて固定す
る。すなわち、箱型カバー21にそれぞれ同一部材を収
容しており、そのカバー底部のガイド孔12より2本の
ガイドピン11を装着することにより、機械的結合を行
って、光ファイバ2の光学的接続を行っている。これら
の光コネクタ1におけるガイドピン11は、箱型カバー
21のピン押圧部24により溝基板に固定される。
【0054】図9は図7,図8における光コネクタの部
品分解斜視図である。図9に示すように、この光コネク
タにおいて、溝基板3は光ファイバ2を配置するV溝6
とガイドピン11を案内するためのガイド溝10を形成
し、平板状の押え板22で光ファイバ2を固定する。こ
の押え板22には、V溝6とは直交する方向に、箱型カ
バー21の係止部23の下側に設けた突起に係合するた
めの係止溝25を形成するとともに、係止溝25を形成
する端部とは反対側の端部に面取りを施している。
【0055】図10(a)〜(d)はそれぞれ図8にお
ける光コネクタの組立手順を説明するための工程順に示
したC−C線断面図である。まず、図10(a)に示す
ように、基板組立を行うにあたり、光ファイバ2をカバ
ー21の底部側より通すとともに、溝基板3のV溝6に
整列させ、配列した光ファイバ2の上に押え板22を接
着するための接着剤16を塗布する。この押え板22に
は、上述したように、係止部23の突起部27と係合す
る係止溝25が形成され、また突起部27を乗り越え易
くするために、面取り部26を設けている。
【0056】ついで、図10(b)に示すように、光フ
ァイバ2を接着剤16の上から押え板22で押し付けな
がら、接着剤16の硬化を行い、サブアッセンブリー状
態の基板組立体28を得る。
【0057】また、図10(c)に示すように、接着剤
16を硬化させた後、予め光ファイバ2を通しておいた
箱型カバー21にサブアッセンブリー状態の基板組立体
28を面取り部26側から挿入する。
【0058】さらに、図10(d)に示すように、押え
板22の係止溝25に突起部27が嵌合することによ
り、基板組立体28はカバー21に収容固定される。
【0059】図11(a),(b)はそれぞれ図8にお
ける光コネクタのガイドピン無しの状態および有りの状
態のD−D線部分拡大断面図である。まず、図11
(a)に示すように、基板組立体28がカバー21に収
容固定されても、ガイドピンの断面よりも小さな点線で
示す内接円29を形成するように、カバー21に一体成
形されるピン押圧部24を形成されている。すなわち、
このピン押圧部24は材料自身の弾性で内側にテンショ
ンを与えられ、前述した第1の実施の形態におけるバネ
7と同様の機能を果している。
【0060】ついで、図11(b)に示すように、ガイ
ドピン11が挿入されると、そのガイドピン11を押し
付けるピン押圧部24は広がり、ガイドピン11を溝基
板3に押圧し、コネクタ相互を機械的に結合することに
より、光ファイバ2間を光学的に結合する。
【0061】このような本実施の形態の光コネクタにお
いては、溝基板3のV溝6に光ファイバ2を押え板22
によって押しつけながら塗布した接着剤16の硬化を行
うので、溝基板3に加工されたV溝6の高い寸法精度が
そのまま光ファイバ2の高い位置精度に転換される。し
たがって、光コネクタの接続時には、対向する光ファイ
バ2相互の位置ずれが少なく、接続損失の小さい光コネ
クタを実現することができる。
【0062】また、箱型カバー21は別工程で樹脂成形
することにより、押え板22に加工した係止溝25に対
応する係止部23や材料自身の弾性で溝基板3にガイド
ピン11を押し付けるピン押圧部24を箱型カバー21
に一体成形できるため、溝基板3と箱型カバー21の接
着工程を係止構造に転化でき、省力化を図ることができ
る。しかも、溝基板3と箱型カバー21は接着ではない
ため、接着剤の硬化工程を1回のみに限定できるだけで
なく、バネ部材の廃止により部品点数を削減できるとい
う利点を備えている。
【0063】図12は本発明の光コネクタの第3の実施
の形態を示す斜視図である。図12に示すように、本実
施の形態による光コネクタ1も、片側のみを示している
が、中央に光ファイバ2を配置するためのV溝6を形成
し、両サイドにガイドピンを案内するためのガイド溝1
0の一部を形成した溝基板3と、この溝基板3をサンド
イッチ式に上下から挟みつける分割型カバー30A,3
0Bとを有している。この上側の分割型カバー30Aは
ガイドピンを押え付けるピン押圧部31を形成し、しか
もこの上側の分割型カバー30Aと溝基板3とによりガ
イド溝10を形成するようにしている。なお、これらの
端部には、テーパ部9を作るようにしている。
【0064】図13は図12に示す光コネクタを接続し
た状態の斜視図である。図13に示すように、この光コ
ネクタ1も、光ファイバ2の端面側同志を向かい合わ
せ、2本のガイドピン11を光コネクタ1に貫通させて
固定する。すなわち、第1,第2の分割カバー30A,
30Bにそれぞれ同一部材を収容しており、ガイド孔1
2より2本のガイドピン11を装着することにより、機
械的結合を行って、光学的接続を行っている。
【0065】図14は図12,図13における光コネク
タの部品分解斜視図である。図14に示すように、この
光コネクタにおいて、第1の分割カバー30Aと第2の
分割カバー30Bは、単独の工程で樹脂成形されるが、
第1の分割カバー30Aは、前述した第2の実施の形態
におけるガイドピン11を押し付けるためのピン押圧部
24と同様のピン押圧部31を備え、材料自身の弾性で
溝基板3にガイドピン11を押し付ける機能と、光ファ
イバ2を溝基板3に押し付ける機能とを合わせ持ってい
る。また、第2の分割カバー30Bは、底面中央に溝基
板3を固定する接着面13と、この接着面13を囲む多
重溝15とを形成している。なお、多重溝15を形成す
る凹部および凸部の構造は、前述した第1の実施の形態
における構造と同様である。
【0066】図15(a),(b)はそれぞれ図13に
おける光コネクタの組立手順を説明するための工程順に
示したE−E線断面図である。まず、図15(a)に示
すように、溝基板3に光ファイバ2を整列させ、その上
から接着剤16を塗布する。また、このとき第2の分割
カバー30Bの接着面13および第1の分割カバー30
Aに接続される四隅に接着剤18を塗布しておく。しか
る後、これら第1の分割カバー30Aと第2の分割カバ
ー30Bとで溝基板3および光ファイバ2を上下より挟
み込み、押し付けながら接着剤16および接着剤18の
硬化を行う。
【0067】ついで、図15(b)に示すように、これ
らカバー30A,30Bを押し付けるとき、第1の分割
カバー30Aは溝基板3に光ファイバ2が密着するよう
に押し付け、第2の分割カバー30Bは凸部15Cの先
端が接着面13と同じ高さの変形部19になるまで溝基
板3に押し付ける。なお、接着面13に塗布された接着
剤18のうちの余剰分は、第2の分割カバー30Bに形
成された第1の凹部15Aで止まり、第2の凹部15B
まで漏れることはない。このように、第1,第2の分割
カバー30A,30Bの接着も溝基板3の接着と同時に
行われる。
【0068】このような本実施の形態の光コネクタにお
いては、溝基板3のV溝6に光ファイバ2を第1の分割
カバー30Aによって押しつけながら塗布した接着剤1
6の硬化を行うので、溝基板3に加工されたV溝6の高
い寸法精度がそのまま光ファイバ2の高い位置精度に転
換される。したがって、光コネクタの接続時には、対向
する光ファイバ2相互の位置ずれが少なく、接続損失の
小さい光コネクタを実現することができる。
【0069】また、上述した分割カバー30A,30B
は、単独の工程で樹脂成形することにより、材料自体の
弾性で溝基板3にガイドピン11を押し付けるピン押圧
部31を第1の分割カバー30Aに一体成形したり、さ
らには第2の分割カバー30Bに溝基板3との接着面1
3の周辺に多重溝15を形成したりすることができる。
【0070】このように、本実施の形態においては、溝
基板3に光ファイバ2やガイドピン11を押し付ける機
能を持たせることで、光コネクタの組立に用いる接着剤
16,18の硬化工程を1回のみに限定することもで
き、溝基板3にガイドピン11を押し付けるピン押圧部
31を一体成形することにより、ばね部材を不用にで
き、部品点数を削減することが可能になる。
【0071】さらに、線膨張係数の異なる部材相互の接
着では、温度変化によって部材の変形や破損が起こるこ
とがあるが、上述したように、接着剤18を必要な範囲
にのみ限定して使用できるため、部材間に働く力の影響
を最小限にすることができ、変形による位置精度の低下
や部材の破損のない信頼性の高い光コネクタを実現する
ことができる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光コネク
タおよびその組立方法は、溝基板のV溝に光ファイバを
押え板で押えながら接着し、各種構造のカバーに収容固
定するとともに、両サイドをガイドピンで結合すること
により、溝基板で得られた高い寸法加工精度を光ファイ
バの位置精度に転換することができ、光接続損失を少な
くできるという効果がある。
【0073】また、本発明の光コネクタおよびその組立
方法は、溝基板のV溝に光ファイバを整列させて接着す
る際、V溝に合わせた光ファイバの上から接着剤を滴下
することにより、光ファイバやV溝中の接着剤の充填等
の様子を確認、すなわち光ファイバを自由に動かすこと
およびV溝と光ファイバに囲まれた隙間へも接着剤を流
すことができ、しかも接着剤に気泡が混入したときで
も、検出し易く容易に取り除くことができ、さらに押え
板を静かに光ファイバに押し付けて接着することによ
り、気泡を含まないように信頼性を向上できるという効
果がある。
【0074】さらに、本発明の光コネクタおよびその組
立方法は、溝基板とカバーなどの成形樹脂部材とを接着
剤で確実に接着するが、カバーなどの成形樹脂部材を単
独で成形することにより、溝基板とカバーの接着面に接
着剤を溜める溝や流れ止め突起を設けることができ、し
かも成形樹脂部材を後工程で一括して接着することによ
り、溝基板と樹脂部材の接着強度を安定にでき、光接続
にずれが生じないように信頼性を高められるという効果
がある。要するに、このような接着剤を溜める溝や流れ
止めの突起により、接着の必要な部分に接着剤の付着を
限定でき、接着した異質部材間の熱膨張による変形や破
損を未然に防ぐことができるので、高信頼性の光接続を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光コネクタの第1の実施の形態を示す
斜視図である。
【図2】図1に示す光コネクタを接続した状態の斜視図
である。
【図3】図1,図2における光コネクタの部品分解斜視
図である。
【図4】図2における光コネクタの基板組立手順を説明
するための工程順に示したA−A線断面図である。
【図5】図2における光コネクタの組立手順を説明する
ための工程順に示したA−A線断面図である。
【図6】図2における光コネクタのガイドピンとバネの
関係を説明するための部分的なA−A拡大断面およびそ
のB−B部分断面を表わす図である。
【図7】本発明の光コネクタの第2の実施の形態を示す
斜視図である。
【図8】図7に示す光コネクタを接続した状態の斜視図
である。
【図9】図7,図8における光コネクタの部品分解斜視
図である。
【図10】図8における光コネクタの組立手順を説明す
るための工程順に示したC−C線断面図である。
【図11】図8における光コネクタのガイドピン無しの
状態および有りの状態のD−D線部分拡大断面図であ
る。
【図12】本発明の光コネクタの第3の実施の形態を示
す斜視図である。
【図13】図12に示す光コネクタを接続した状態の斜
視図である。
【図14】図12,図13における光コネクタの部品分
解斜視図である。
【図15】図13における光コネクタの組立手順を説明
するための工程順に示したE−E線断面図である。
【図16】従来の一例を説明するための光コネクタの断
面および同コネクタにおける溝基板,プレートの斜視状
態を表わす図である。
【図17】従来の他の例を示す光コネクタの斜視図であ
る。
【図18】従来のまた別の例を示す光コネクタの斜視図
である。
【符号の説明】
1 光コネクタ 2 光ファイバ 3 (V溝)基板 4,22 押え板 5 コ字型カバー 6 V溝 7 バネ 8 凸部 9 テーパー部 10 ガイド溝 11 ガイドピン 12 ガイド孔 13 基板接着面 14 バネ接着面 15 多重溝 15A 第1の凹部 15B 第2の凹部 15C 凸部 16,18 接着剤 17,28 基板組立体 19 変形部 21 箱型カバー 23 係止部 24 ピン押圧部 25 係止溝 26 面取り部 27 突起部 29 内接円 30A,30B 分割型カバー 31 ピン押圧部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−180506(JP,A) 特開 平2−256008(JP,A) 特開 平9−26527(JP,A) 実開 昭64−3807(JP,U) 実開 昭54−73743(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/36 - 6/40

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバを整列させて固定し、ガイド
    ピンを用いて対向する一対のコネクタ部材を結合する光
    コネクタにおいて、中央に前記光ファイバを整列させる
    V溝および両サイドに前記ガイドピンを案内するガイド
    溝を形成した溝基板と、前記光ファイバを前記溝基板の
    前記V溝に接着剤を介して押し付け所定の位置精度を得
    るための押え板と、前記溝基板の前記ガイド溝に前記ガ
    イドピンを押し付ける一対の略コ字型バネ部材と、前記
    押え板で前記光ファイバを固定した前記溝基板および前
    記一対の略コ字型バネ部材を収容固定するコ字型カバー
    とを有することを特徴とする光コネクタ。
  2. 【請求項2】 前記コ字型カバーは、一体に樹脂成形さ
    れ、底面に前記溝基板および前記略コ字型バネ部材をそ
    れぞれ固着する接着面を形成した請求項1記載の光コネ
    クタ。
  3. 【請求項3】 前記一対の略コ字型バネ部材は、前記ガ
    イドピンを前記溝基板のガイド溝に押し付けるための複
    数の凸部をそれぞれに形成した板ばねを用いた請求項1
    記載の光コネクタ。
  4. 【請求項4】 前記コ字型カバーは、底面に前記溝基板
    および前記バネ部材を固着する接着面を形成するととも
    に、前記接着面の周囲に接着剤の広がりを限定する多重
    溝を形成し、その隣合う溝に挟まれた突起を前記接着面
    よりも若干高くした請求項1記載の光コネクタ。
  5. 【請求項5】 光ファイバを整列させて固定し、ガイド
    ピンを用いて対向する一対のコネクタ部材を結合する光
    コネクタにおいて、中央に前記光ファイバを整列させる
    V溝および両サイドに前記ガイドピンを案内するガイド
    溝を形成した溝基板と、前記光ファイバを前記溝基板の
    前記V溝に接着剤を介して押し付け、上面に前記V溝と
    は直交する方向に係止溝を形成した所定の位置精度を得
    るための押え板と、前記押え板の係止溝に係合する突起
    部を形成した係止部を上面側中央に形成する一方、前記
    溝基板の前記ガイド溝に前記ガイドピンを押し付けるた
    めのピン押圧部を上面の両サイドに形成し、前記溝基
    板,前記押え板を収容固定する箱型カバーとを有するこ
    とを特徴とする光コネクタ。
  6. 【請求項6】 光ファイバを整列させて固定し、ガイド
    ピンを用いて対向する一対のコネクタ部材を結合する光
    コネクタにおいて、中央に前記光ファイバを整列させる
    V溝および両サイドに前記ガイドピンを案内するガイド
    溝を形成した溝基板と、前記光ファイバを前記溝基板の
    前記V溝に接着剤を介して押し付け、前記溝基板の前記
    ガイド溝に前記ガイドピンを押し付けるためのピン押圧
    部を上面の両サイドに形成するとともに、前記溝基板を
    収容固定する上下分割型カバーとを有し、前記上下分割
    型カバーは、それぞれ樹脂成形され、前記上分割型カバ
    ーはその両サイドに前記ピン押圧部を形成し且つ前記光
    ファイバの押え板の機能を兼ねるとともに、前記下分割
    型カバーは前記溝基板を固定する接着面とその接着面の
    周囲に形成した多重溝とを備えることを特徴とする光コ
    ネクタ。
  7. 【請求項7】 樹脂成形したカバー部材に溝基板および
    バネ部材を接着する際、前記カバー部材に形成した多重
    溝の凸部に前記溝基板および前記バネ部材を押し付けな
    がら接着剤を硬化させ、前記多重溝の凸部を圧縮変形さ
    せることを特徴とする光コネクタの組立方法。
  8. 【請求項8】 光ファイバを整列させた溝基板および係
    止溝を備えた押え板を係止部およびピン押圧部が形成さ
    れた箱型カバーに挿入して係止させることを特徴とする
    光コネクタの組立方法。
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