JP2972301B2 - 車両用音響装置 - Google Patents

車両用音響装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野)車室内 本発明は、車両用音響装置に関し、特に車室内の前方
側及び後方側に設けたスピーカの音量配分を可変できる
車両用音響装置に関する。
(従来の技術) 従来の車両用音響装置では、例えば、スイツチ群を設
けて車室内のスピーカからの出力やスピーカの指向性を
車室内前方座席及び後方座席それぞれにて調整自在と
し、その位置での音場の制御を可能にしている。
また、車室内の騒音のレベルを検知して、そのレベル
をもとに騒音に妨げられないようスピーカからの出力を
制御しているものもある。
この従来例としての実開昭62−84830号は、騒音レベ
ルが増大するほど、スピーカからの出力レベルを増大さ
せているが、出力レベルの増大に際して、前方スピーカ
の出力レベルよりも後方スピーカの出力レベルを常に大
きく設定している。後方スピーカの出力をより大きくす
る理由は、前方に配置されているスピーカの出力特性
が、低域においてレスポンスが悪く、また定格出力も小
さいので、出力レベルの増大制御に伴って、前方スピー
カが早めに歪分が増大して音質劣化することに鑑みて、
常に後方スピーカの出力レベルを大きく設定することに
より、前方スピーカの音質劣化を遅くするというもので
ある。
(発明が解決しようとする課題) 上記従来の車両用音響装置では、車室内後方に位置す
るスピーカと後部座席に座つている人と耳との距離の方
が、前座席の運転者の耳と車室内前方に位置するスピー
カとの距離よりも近い。従つて、上記従来の車両用音響
装置では、検知した車室内の騒音レベルをもとに車室内
前方側、及び後方側のスピーカの出力を一律に可変させ
るか、あるいは実開昭62−84830号のように後方スピー
カの出力増大制御量を前方スピーカのそれよりも常に大
きく設定させているため、後部座席に位置する人にはそ
の出力変化が急激な音量変化として現われ、違和感のあ
るものとなるという問題がある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、後方スピーカが後部座席乗員に対して、前
方スピーカが前部乗員に対してよりも、比較的近い位置
に設置されていることに伴う上述の問題に鑑みて成され
たもので、その課題を解決する一手段として以下の構成
を備える。
即ち、車室内の前側と後側とに設けたスピーカの音量
配分を変更する変更手段を具備した車両用音響装置であ
って、 車室内の騒音レベルを検出する検出手段と、 前記検出手段にて検出した騒音レベルが大きいときに
は前記両スピーカの出力を増大方向に制御する騒音感応
制御手段と、 前記変更手段により後ろ側の音量配分が大きくされた
ときには、前記騒音感応制御手段による出力の増大制御
を規制する補正手段とを備えることを特徴とする。
(作用) 即ち、変更手段により後ろ側の音量配分が大きくされ
ようとするときには、補正手段が、騒音感応制御手段に
よる出力の増大制御を規制するので、後部乗員には違和
感を起こさせない。
好ましくは、騒音感応制御手段は、前側、後側両スピ
ーカの平衡位置が、車室中央を含んでそれよりも前方に
あるときに騒音感応を制御する。
尚、前記補正手段による規制には種々の形態が考えら
れるが、本発明の好適な一態様に拠れば、騒音感応制御
手段による制御を禁止することによっても可能である。
また、本発明の好適な一態様に拠れば、前記騒音感応
制御手段による増大制御のための制御量を、前記変更手
段による後ろ側の音量配分が大きいほど、小さくするこ
とによっても可能である。
また、本発明の好適な一態様に拠れば、前記騒音感応
制御手段がスピーカ出力の低周波数領域を増大制御する
ものである場合には、前記騒音感応制御手段による低周
波数領域での増大制御のための制御量を、前記変更手段
による後ろ側の音量配分が大きいほど、小さくすること
によっても可能である。
(実施例) 以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施例
を詳細に説明する。
第1図は本発明に係る一実施例である、車両用音響装
置(以下、装置という)の構成を示すブロツク図であ
る。同図に示した装置は、音源としてラジオ21、カセツ
ト22、そしてコンパクトデイスク(CD)23を有し、その
何れかが切替器30にて切替えられ、コントロールイコラ
イザー1に入力される。コントロールイコライザー1
は、入力した信号をボリユームコントロール2、及び後
述するフエダーコントロール3からの指示入力に従い、
さらに騒音検出回路5からの信号であるイコライザー制
御信号の制御を受けてパワーアンプ4に出力する。
ボリユームコントロール2の制御により、車室前側の
スピーカ11(以下、フロントスピーカという)と車室後
側スピーカ12(以下、リアスピースという)の音量を調
整し、両スピーカの音量配分をフエダーコントロール3
にて変更する。そして、パワーアンプ4は設定された音
量、及びその配分に従い入力信号を電力増幅し、増幅信
号をそれぞれフロントスピーカ11とリアスピーカ12から
出力する。
車室内10に配置されたフロントスピーカ11やリアスピ
ーカ12からの出力は、同じく車室内10に配置されたマイ
クロホン13にて拾われ、車室内音信号として騒音検出回
路5に入力される。
一方、コントロールイコライザー1からの出力信号
は、上述のようにパワーアンプ4へ入力されると共に騒
音検出回路5にも入力される。この騒音検出回路5は、
不図示のローパスフイルタと積分比較回路とを備えてお
り、前述のマイクロホン13が拾つた音、即ち、両スピー
カからの出力信号と車室内の騒音との混合信号である車
室内音信号とコントロールイコライザー1からの出力信
号とを比較して音源信号成分を除去する。そして、得ら
れた信号(車室内の騒音信号)をイコライザー制御信号
としてコントロールイコライザー1内の騒音感応制御部
1aに入力する。騒音感応制御部1aは、このイコライザー
制御信号により車室内10の騒音レベルを知り、これをも
とに、後述する周波数特性と増幅度とに従つて出力信号
のレベルを調整する。
第2図は、車室内でのスピーカ配置と乗車している人
間との位置関係を示す図である。同図に示すように、車
室内後方に位置するリアスピーカ12と後部座席に座つて
いる人52の耳との距離l1と、前座席の運転者51の耳と車
室内前方に位置するフロントスピーカ11との距離l2との
関係は、l1>l2である。つまり、フロントスピーカ11及
びリアスピーカ12から同レベルの信号が出力されている
場合、言うまでもなく後部座席に座つている人52へ到達
する音圧レベルの方が大きいことになる。
次に、検出した車室内の騒音レベルとそれに基づくス
ピーカ出力との関係について説明する。
第3図(a)〜(c)は、フエダーコントロール3の
位置と騒音感応制御部1aにおける騒音感応(制御感応)
レベルとの関係を示す図である。
第3図(a)は、フエダーコントロール3による指示
が中央近辺、即ち、フロントスピーカ11とリアスピーカ
12の平衡位置が車室中央近辺からフロント側(図の斜線
領域)にあるときに騒音感応制御部1aの騒音感応が機能
し、入力された騒音信号レベル(イコライザー制御信
号)に比例させて騒音感応レベルを上げる。つまり、こ
の領域において騒音レベルに対して制御量を均一にして
いる。逆に、フエダーコントロール3が中央近辺からリ
ア側にあるときには、騒音感応は全く機能しない。
第3図(b)は、フエダーコントロール3が中央から
フロント側にあるときは、入力された騒音信号レベル
(イコライザー制御信号)に従つて騒音感応を100%作
動させ得る状態にし、またフエダーコントロール3が中
央からリア側にあるときには、リア側に近くなる程、騒
音感応の作動可能レベルを直線的に低下させる場合を示
している。ここでも、中央からフロント側の領域におい
て騒音レベルに対して制御量を均一にしている。
また、第3図(c)は、フエダーコントロール3の位
置により騒音感応制御部1aの騒音感応レベルの周波数特
性を変える例を示している。同図において、曲線はフ
エダーコントロール3がセンターからフロントにあると
きの周波数特性であり、以下、曲線はフエダーコント
ロール3がセンターからセンターとリアの中間にあると
き、そして曲線はフエダーコントロール3がリア側に
位置するときに対応する。つまり、フエダーコントロー
ル3の位置がフロント側に近い程、リアスピーカの低音
域が強調されるのである。
第4図は、コントロールイコライザー1による騒音レ
ベルに対する周波数特性と増幅度との関係を示す図であ
る。
コントロールイコライザー1の騒音感応制御部1aは、
前述の如く騒音検出回路5からイコライザー制御信号を
受けて車室内10の騒音レベルを知り、そのレベルに従つ
て、第4図に示すような周波数特性にて入力信号を増幅
する。
検知した騒音レベルと車両の状態との関係は、 騒音レベル70dB:アイドリング状態 75dB:中速走行状態 90dB:アスフアルト高速走行状態 である。第4図に示すように、騒音レベルが高い程、低
音域の減衰を補う目的でその増幅度を大きくとる。
以上説明したように、本実施例によれば、車両の車室
内騒音を検知し、そのレベルを考慮して車室内前側及び
後側に設けたスピーカの音量配分に応じた音量や周波数
特性の補正を行なうことで、前部座席、後部座席それぞ
れの位置において最適なスピーカ出力を得ることができ
るという効果がある。
また、後側スピーカの出力変化量を前側スピーカに比
べて抑制することで、スピーカと耳との距離が近い後部
座席に座つている人に対する音量の変化をより自然なも
のとすることができるという効果がある。
尚、本発明は上述の実施例に限定されるものではな
く、第3図に示したフエダーコントロールの位置と騒音
感応制御部での騒音感応(制御感度)レベルとの関係に
おいて、第3図(a)と第3図(c)の特性を合成し
て、車室中央近辺からフロント側での騒音感応レベルの
周波数特性を変えるようにしても良い。同様に、第3図
(b)と第3図(c)の特性を合成して、特定領域の騒
音感応レベルの周波数特性を変えるようにしても良い。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、例えばフェー
ダーコントロールのような変更手段により後ろ側の音量
配分が大きくされようとするときには、補正手段が、騒
音感応制御手段による出力の増大制御を規制するので、
後部乗員には違和感を起こさせないという効果が得ら
れ、前述の従来技術の問題は解消される。
前記補正手段による規制には種々の形態が考えられ
る。
例えば、本発明の好適な一態様に拠れば、例えば第3
図(a)の如く、フェダーコントロールが中央近辺から
リア側にあるように変更手段が設定されたときには、騒
音感応は全く機能しないように設定される、即ち、騒音
感応制御手段による制御が禁止することによって、補正
手段による規制は実現される。
また、本発明の好適な一態様に拠れば、例えば第3図
(b)の如く、フェダーコントロール3が中央からリア
側にあるように変更手段が設定されている場合には、リ
ア側に近くなる程、騒音感応の作動可能レベルを直線的
に低下させている、即ち、騒音感応制御手段による増大
制御のための制御量をより小さくすることによって、補
正手段による規制は実現される。
また、本発明の好適な一態様に拠れば、前記騒音感応
制御手段がスピーカ出力の低周波数領域を増大制御する
ものである場合には、例えば第3図(c)の曲線の如
くに、フェダーコントロール3の位置がフロント側に近
い程、リアスピーカの低音域が強調される、換言すれ
ば、変更手段により後部スピーカの出力が増大されよう
とする場合には、前記騒音感応制御手段による低周波数
領域での増大制御のための制御量をより小さくすること
によって、補正手段による規制は実現される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る一実施例である車両用音響装置の
構成を示すブロツク図、 第2図は車室内でのスピーカ配置と乗車している人間と
の位置関係を示す図、 第3図(a)〜(c)は、フエダーコントロール3の位
置と騒音感応制御部1aにおける騒音感応(制御感度)レ
ベルとの関係を示す図、 第4図は騒音レベルに対する周波数特性と増幅度との関
係を示す図である。 図中、1……コントロールイコライザー、2……ボリユ
ームコントロール、3……フエダーコントロール、4…
…パワーアンプ、5……騒音検出回路、11,12……スピ
ーカ、13……マイクロホンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−263503(JP,A) 特開 平2−21817(JP,A) 実開 昭61−14524(JP,U) 実開 昭57−195217(JP,U) 実開 昭62−89830(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03G 3/20 - 3/34 G01H 3/00 H04R 3/00 310

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内の前側と後側とに設けたスピーカの
    音量配分を変更する変更手段を具備した車両用音響装置
    であって、 車室内の騒音レベルを検出する検出手段と、 前記検出手段にて検出した騒音レベルが大きいときには
    前記両スピーカの出力を増大方向に制御する騒音感応制
    御手段と、 前記変更手段により後ろ側の音量配分が大きくされたと
    きには、前記騒音感応制御手段による出力の増大制御を
    規制する補正手段とを備えることを特徴とする車両用音
    響装置。
  2. 【請求項2】騒音感応制御手段は、前側、後側両スピー
    カの平衡位置が、車室中央を含んでそれよりも前方にあ
    るときに騒音感応を制御することを特徴とする請求項第
    1項記載の車両用音響装置。
  3. 【請求項3】前記補正手段は前記騒音感応制御手段によ
    る制御を禁止することを特徴とする請求項第1項記載の
    車両用音響装置。
  4. 【請求項4】前記補正手段は、前記騒音感応制御手段に
    よる増大制御のための制御量を、前記変更手段による後
    ろ側の音量配分が大きいほど、小さくすることを特徴と
    する請求項第1項記載の車両用音響装置。
  5. 【請求項5】前記騒音感応制御手段はスピーカ出力の低
    周波数領域を増大制御すると共に、前記補正手段は、前
    記騒音感応制御手段による低周波数領域での増大制御の
    ための制御量を、前記変更手段による後ろ側の音量配分
    が大きいほど、小さくすることを特徴とする請求項第4
    項記載の車両用音響装置。
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WO2014174840A1 (ja) * 2013-04-24 2014-10-30 日産自動車株式会社 車両用音響制御装置、車両用音響制御方法
JP7255324B2 (ja) * 2019-04-04 2023-04-11 日本電信電話株式会社 周波数特性変更装置、その方法、およびプログラム

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