JP2971662B2 - 汚水処理方法 - Google Patents

汚水処理方法

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JP2971662B2
JP2971662B2 JP7624092A JP7624092A JP2971662B2 JP 2971662 B2 JP2971662 B2 JP 2971662B2 JP 7624092 A JP7624092 A JP 7624092A JP 7624092 A JP7624092 A JP 7624092A JP 2971662 B2 JP2971662 B2 JP 2971662B2
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秀樹 岩部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下水や産業廃水等の小
規模な汚水の硝化−脱窒処理に適した、単槽方式による
汚水の処理方法に関し、特に間欠曝気の効果的な制御方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、汚水を硝化一脱窒処理する方法と
して、回分法やオキシデーションディッチ法(OD法)
が知られている。
【0003】しかし、回分法は、複数の反応槽を必要と
するため、設置面積が広くなるばかりでなく、流入量の
変動に対する調整が面倒である。また、OD法は、反応
槽内に好気状態でも嫌気状態でもない中間的な境界部が
生じ、無駄なスペースとなり不経済であるという欠点が
ある。
【0004】そこで、広い設置面積を必要とせず、単一
の反応槽で汚水を効率よく硝化一脱窒処理することがで
き、操作も容易で、特に小規模な汚水の硝化一脱窒処理
に適用して有効な、汚水処理方法として、特開平1−31
0798号公報に記載の方法が提案され、実験により他方式
に対する優位性が認められている。この方法は反応槽の
内部に撹拌装置と曝気装置とを併設し、撹拌装置により
反応槽内の汚水を連続的に撹拌しながら、曝気装置によ
り間欠的に曝気して、所要時間ごとに同一反応槽内を嫌
気状態と好気状態とに交互に切換えることにより、汚水
を硝化一脱窒処理するもので、これまで、嫌気、好気
は、あらかじめ、タイマーにより設定した時間に従い、
ブロワーの運転停止、稼動を繰返すことによりサイクリ
ックに行ってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実際の汚水
処理では、負荷変動により、実質的な好気時間と嫌気時
間とは、タイマーの設定時間と大きくくい違うことがあ
る。例えば、昼間、流入水が多く負荷が大きい場合は、
DOが所定値に達せず、実質的に好気処理の時間が僅か
となって、硝化反応が抑制されKje−N除去率が低下す
るようになり、また、夜間、流入水が少なく負荷が小さ
い場合は、DOが高くなりすぎ、ブロワーを停止しても
曝気槽内が無酸素状態となるまでの時間を多く要し、結
果的に嫌気時間が僅かとなって、窒素除去の効果が低下
するなどの現象がみられた。このような状況から、実施
設の汚水処理においては、流入汚水の負荷変動に対応し
た制御を如何にするかに問題点のあることが判かった。
【0006】本発明は、上記従来法における問題点を解
決するためになされたもので、負荷の変動に対応した制
御ができる汚水処理方法を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、間欠曝気の
1サイクルにおける好気時間帯においての空気の供給量
或は撹拌の制御を行うことにより、流入汚水の負荷変動
に対処でき、良好な処理成績が得られることを見出し、
本発明を形成するに至った。
【0008】即ち、本発明の汚水処理方法は、単一の反
応槽内において、汚水を連続的に撹拌しながら間欠的に
曝気し、該槽内を嫌気状態と好気状態とに交互に切換え
ることにより汚水を処理する方法において、間欠曝気1
サイクルにおける、空気を供給しない嫌気時間帯と空気
を供給する好気時間帯とを所定の割合に定めて運転し、
かつ、好気時間帯において、空気供給の開始から槽内D
Oが所定値に達するまでの間においては、空気の供給量
及び/又は撹拌機の回転数を増大するとともに、槽内D
Oが所定の値を上回ったときには、空気の供給量及び/
又は撹拌機の回転数を低減して運転することを特徴とす
るものである。
【0009】本発明においては、間欠曝気槽に混合撹拌
と酸素供給とを行う装置、例えば水中エアレータを設置
し、タイマーのON,OFFによりフロワーからの空気
(酸素)の供給、停止を行い、空気の供給停止の際は混
合撹拌のみを行えるようにし、それぞれ槽内に、必要な
好気状態と嫌気状態とが交互に形成できるようにする。
【0010】上記の間欠曝気方式によって、有機物とS
Sの除去及び窒素除去が行われるが、それらの効果的な
処理を促すためには、曝気サイクルによって無酸素状態
(嫌気状態)と好気状態とでの反応時間を適正に保持
し、それを繰り返すことが重要である。嫌気状態の時間
が増えれば硝化反応が制御され、Kje−N除去率が低下
して行くことになり、反対に嫌気状態の時間が短くなる
と脱窒反応が阻害され、処理水中のNOx-N 濃度が高くな
る。これまで行ってきた多くの実験結果から、曝気サイ
クルにおいて、空気を供給する好気運転時間Bと空気の
供給を停止する嫌気運転時間Aとの比A/B は、0.4 〜1.
2 の範囲、さらに好ましくは0.6 〜1.0 の範囲とするの
が適当である。
【0011】上記の曝気サイクルによる槽内DOの経時
変化の一般例を図2に実線で示す。曝気サイクルの曝気
(空気供給)開始により槽内のDOは上昇し始め、曝気
停止とともに汚泥の呼吸に伴う酸素消費によりDOは次
第に減少する。この場合、DOが零になる時間は、DO
の最大値と混合液の酸素消費速度によって異なる。この
図にみられるように、間欠曝気プロセスでは、嫌気処理
の状態と好気処理の状態とが時間的に交互に繰返され
る。そして、上記の曝気サイクルは、一般的な生下水の
場合について長短各種の時間で実験を行ったが、処理の
安定性、除去性能から 120分程度が妥当と判断される。
【0012】ところで、実際の汚水処理では、負荷変動
により、実質的な好気時間と嫌気時間とは、タイマーの
設定時間と大きくくい違うことになる。例えば、昼間等
流入水が増大し負荷が大となった場合は、常設のブロワ
ーの運転だけでは空気量が不足して硝化処理が不十分と
なる。また、夜間流入水が少なく負荷が小さい場合は、
DOが高くなりすぎ、ブロワーを停止しても曝気槽内が
無酸素状態となるまでの時間を多く要し、結果的に嫌気
時間が僅かとなって、窒素除去の効果が低下することに
なる。
【0013】本発明においては、間欠曝気槽に槽内DO
を検知するDO計を設置し、曝気サイクルにおける空気
供給の開始時から、槽内DOが所定の値に達するまでの
間だけ、ブロワーからの空気の供給量を増大するか、或
は撹拌機の回転数を増大できるようにする。かくするこ
とによって、DO値の立上がりが良好となり、DOをほ
ぼ所定の状態にすることができ、DOが0.5mg/l以上と
なる好気状態の維持が容易となり、硝化処理効果を良好
に保つことができることになる。上記のDOの所定値
は、 0.5〜 1.5mg/lとするのが適当であり、一般的に好
ましくは約1.0mg/l とするのがよい。そして、槽内のD
Oが所定の値を越えた場合、ブロワーからの空気の供給
量を低減できるようにするか、或は、撹拌機の回転数を
低減できるようにする。この制御時間は、空気の供給を
行っている時間Bの中において、槽内DOが所定値に達
した時点から、空気の供給を停止する時点までの時間と
なる。かくすることによって、DOが高くなりすぎるの
が防止でき、槽内が無酸素状態となるまでの時間が短縮
され、DOが0.2mg/l 以下となる嫌気状態の維持が容易
となり、窒素除去効果を良好に保つことができることに
なる。また、この制御によって、その間動力の使用量が
少なくなり、ランニングコストの低減が図れることにな
る。上記のDOの所定値は、 1.2〜2.0mg/l とするのが
適当であり、一般的に好ましくは約1.5mg/l とするのが
よい。
【0014】
【作用】上記構成の本発明の方法では、反応槽内に連続
的に流入した汚水は、曝気、撹拌装置により連続的に撹
拌されながら間欠的に曝気され、所定の好気状態と嫌気
状態とが繰返されることにより、硝化、脱窒や脱リン処
理が効果的に行われることになる。
【0015】
【実施例】図1は本発明の実施例において使用される装
置のフローシートを示したもので、1は反応槽として用
いる間欠曝気槽、2は沈澱池である。間欠曝気槽1内に
は水中エアレータ3が設置されており、図示を略したタ
イマーのON,OFFにより、ブロワー4からの空気を
所定時間、例えば60分毎に供給、停止するようになって
いるとともに、水中エアレータ3の撹拌機の方は連続運
転されるようになっている。また、間欠曝気槽1内には
混合液のDOを測定するDO計5が設けられ、槽内DO
が1.0mg/l 以上に達するまでの間に、ブロワー4よりの
空気量を減少させ、或は水中エアレータ3の撹拌機の回
転数を低下させるようになっているとともに、槽内DO
が1.5mg/l を越えたときにコンプレッサ4からの空気量
を減少させ、或は水中エアレータ3の撹拌機の回転数を
低下させるようになっている。
【0016】間欠曝気槽1から排出された処理汚水は沈
澱槽に流入して固液分離され、汚泥の一部は汚泥ポンプ
Pにより間欠曝気槽1に返送され、残余の汚泥は系外に
排出され、そして、処理水は沈澱槽2の上部より取出さ
れる。
【0017】上記装置による実験は、本発明とこれと対
比する対照例について行なった。まず、図1に示すよう
な日間の時間流入水量変動を与えた。この流入負荷条件
で本発明とこれと対比する対照例について実験を行なっ
た。曝気サイクルはいずれも空気供給時間Bを60分、空
気供給停止時間Aを60分とし、本発明ではDOの設定値
を1.0mg/l 及び1.5mg/l とし、1.0mg/l に達するまで、
水中エアレータ3の回転数をインバータにより通常運転
時の20%増、また1.5mg/l を越えると通常運転時の20%
減として酸素供給量を制御するようにした。その他の処
理条件は表1のとおりである。
【0018】
【表1】 処理条件 (本 発 明) (対 照) 処 理 水 量 2〓/日 2〓/日 曝気サイクル 60分ON−60分OFF の繰返し 60分ON−60分OFF の繰返し 滞 溜 時 間 24時間 24時間 平均流入BOD 170mg/l 172mg/l 平均流入SS 125mg/l 122mg/l 平均流入N 32mg/l 30mg/l 水 温 19℃ 19℃ M L S S 3.500mg/l 3.600mg/l
【0019】上記実験による間欠曝気サイクルでのDO
の変化の一例を図3、図4に示す。図3は負荷の大とな
る午前10時から午後0時までの状態を示し、図4は負荷
の小となる午前2時から午前4時までの状態を示す。図
3では、高負荷時にもDOの立上がりが早く、十分な好
気時間帯が保持でき、NH4-Nの硝化が安定して進行する
ことが示されている。また、図4では、1.5mg/l 以上で
DOが抑制され、無駄な酸素供給が省略でき、かつDO
が上りすぎないため、空気供給停止後のDO低下が早
く、嫌気時間が対照に比べ多く確保できることにより、
脱窒反応が安定して行なえる効果のあることが示されて
いる。
【0020】上記実験の結果を表2に示す。本発明によ
る処理水質では、対照にくらべ窒素除去率において良好
な結果が得られた。また、水中エアレータの消費電力も
本発明で6.7kwh/日、対照で7.1kwh/日と電力消費量も
削減できた。
【0021】
【表2】 処理水質 本 発 明 対 照 例 BOD 2.5〜4.6mg/l 3.2〜7.2mg/l SS 10〜16mg/l 10〜17mg/l T−N 2.9〜4.7mg/l 3.8〜7.5mg/l NH4-N 0.8〜2.5mg/l 1.2〜2.3mg/l Nox-N 0.2〜2.1mg/l 0.6〜3.9mg/l
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明は、間欠曝気によ
って、単一反応槽内を好気、嫌気に交互に切換えること
により汚水を処理するにあたり、好気時間帯と嫌気時間
帯とを所定の割合に定めて運転するとともに、好気時間
帯中でのDOが所定値を上回るまで酸素の供給量を増加
させるようにし、かつ、好気時間帯中でのDOが所定値
を上回ったときには、好気処理を抑制するようにしたの
で、好気状態と嫌気状態での反応時間が適正に保持され
る。特に、負荷が大きい場合におけるDO値の立上げを
素早く行ない、NH4-Nの硝化がより効率よく行なわれ、
また、負荷の小さい場合におけるDO値の高まりが抑え
られることになり、全体に窒素除去効果及び、有機物S
Sの除去率も良好である。そして、動力の無駄な消費も
防げることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に適用する装置の概要図であ
る。
【図2】反応槽内DOの経時変化の例を示した図であ
る。
【図3】高負荷時におけるDOパタ−ンの比較を示した
図である。
【図4】低負荷時におけるDOパタ−ンの比較を示した
図である。
【符号の説明】
1 間欠曝気槽 2 水中エアレ−タ 3 沈澱池 4 ブロワ− 5 DO計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−18992(JP,A) 特開 平3−52696(JP,A) 特開 平1−310798(JP,A) 特開 昭62−65797(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 3/30 - 3/34 C02F 3/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の反応槽内において、汚水を連続
    的に攪拌しながら間欠的に曝気し、該槽内を嫌気状態と
    好気状態とに交互に切換えることにより汚水を処理する
    方法において、間欠曝気1サイクルにおける、空気を供
    給しない嫌気時間帯と空気を供給する好気時間帯とを所
    定の割合に定めて運転し、かつ、好気時間帯において、
    空気供給の開始から槽内DOが0.5〜1.5mg/lの所定値
    に達するまでは、空気の供給量及び攪拌機の回転数また
    はそのいずれかを、定常運転時より増大することによっ
    て、溶解酸素量を増加させてDO値の立上げを早くし、一
    方、槽内DOが1.5〜2.0mg/lの所定値を上回ったとき
    には、空気の供給量及び攪拌機の回転数、またはそのい
    ずれかを、定常運転時より低減することによって、溶解
    酸素量を減少させて、DO値を適正な範囲内に保持するこ
    とを特徴とする汚水処理方法。
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