JP2970535B2

JP2970535B2 - 繊維長尺体処理装置

Info

Publication number: JP2970535B2
Application number: JP14506496A
Authority: JP
Inventors: 忠司魚住
Original assignee: Murata Machinery Ltd
Current assignee: Murata Machinery Ltd
Priority date: 1996-05-15
Filing date: 1996-05-15
Publication date: 1999-11-02
Anticipated expiration: 2016-05-15
Also published as: JPH09302575A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、紡績糸、マルチフ
ィラメント糸、加工糸、偏平糸等の各種糸条や種々の断
面形状を有する組紐等の繊維長尺体に液体樹脂を含浸さ
せ、その後、乾燥させるようにした繊維長尺体処理装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、液体樹脂が貯留された含浸槽内に
配設されたガイドに、繊維長尺体を案内しながら、繊維
長尺体に液体樹脂を含浸させ、次いで、液体樹脂が含浸
された繊維長尺体を乾燥させるようにした繊維長尺体処
理装置が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述した、従来の繊維
長尺体処理装置においては、含浸槽に貯留された液体樹
脂に浸漬された繊維長尺体が強く引っ張られているため
に、繊維長尺体処理を形成する繊維が、より密に集合す
るために、繊維長尺体の内部まで、液体樹脂が含浸され
ないという問題がある。

【０００４】また、液体樹脂が少なくなった場合に、含
浸槽に液体樹脂を補充すると、注入される液体樹脂によ
り、含浸槽内の液体樹脂に泡が発生する。このような泡
が、繊維長尺体に付着すると、繊維長尺体に、必要とさ
れる十分な液体樹脂が含浸されなかったり、液体樹脂の
含浸むらが発生することになる。

【０００５】本発明の目的は、上述した従来の繊維長尺
体処理装置が有する課題を解決するとともに、含浸性能
及び含浸処理効率の向上した繊維長尺体処理装置を提供
することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために、第１には、含浸槽を挟んで、繊維長
尺体の含浸槽への進入側と、繊維長尺体の含浸槽からの
排出側に、それぞれ、積極的に繊維長尺体を移送する、
接近して配設された一対のフィードローラーからなる移
送部材を配設するとともに、前記一対のフィードローラ
ーに繊維長尺体を巻回し、且つ、前記進入側に配設され
た移送部材の移送速度を、前記排出側に配設された移送
部材の移送速度より、速くしたものであり、第２には、
上記含浸槽内に、複数のガイドローラーを千鳥状に配設
して、該ガイドローラーに繊維長尺体を千鳥状に掛け渡
すとともに、少なくとも１つのガイドローラーに、繊維
長尺体を挟持し圧接する圧接ローラーを配設したもので
あり、第３には、上記含浸槽の液面が下がった場合に、
下動して、液面を上昇させる浮き部材を有する液面上昇
手段を配設したものである。

【０００７】以下に、本発明の繊維長尺体処理装置の正
面図である図１、本発明の繊維長尺体処理装置の平面図
である図２及び本発明の繊維長尺体処理装置の一部断面
を含む右側面図である図３を用いて、本発明の繊維長尺
体処理装置について説明するが、本発明の趣旨を越えな
い限り何ら、本実施例に限定されるものではない。

【０００８】

【実施例】１は、繊維長尺体ｙが巻回されている巻き戻
しボビンであり、２は、繊維長尺体ｙを積極的に移送す
るための、接近して配設された一対のフィードローラー
２ａ、２ｂからなる移送部材である。移送部材２を構成
する一対のフィードローラー２ａ、２ｂには、図１に示
されているように、繊維長尺体ｙが８の字を形成するよ
うに、たすき掛けされている。また、フィードローラー
２ａ、２ｂの周面には、それぞれ、複数の環状溝２
ａ’、２ｂ’が形成されており、該環状溝２ａ’、２
ｂ’に、たすき掛けされる繊維長尺体ｙが、一本ずつ、
挿入されるように構成されている。このような環状溝２
ａ’、２ｂ’を形成したことにより、フィードローラー
２ａ、２ｂに巻回された繊維長尺体ｙが、フィードロー
ラー２ａ、２ｂの軸線方向に移動して、隣接する繊維長
尺体ｙ同士が接触したり、交絡することが防止される。
何方か一方のフィードローラー２ａ、２ｂ或いは両方の
フィードローラー２ａ、２ｂは、図示されていない駆動
装置により、積極的に回転されるように構成されてい
る。

【０００９】３は、移送部材２の下流側（便宜的に、繊
維長尺体ｙの走行方向、即ち、図１において、右方向
を、下流側と称する。）に配設された消極回転する、即
ち、走行する繊維長尺体ｙとの接触摩擦により回転する
ガイドローラーである。ガイドローラー３は、図示され
ていない繊維長尺体処理装置の適当なフレームに配設さ
れている。なお、ガイドローラー３には、繊維長尺体ｙ
の外れを防止するために、溝３ａが形成されることが好
ましい。

【００１０】４は、液体樹脂が貯留された含浸槽であ
り、含浸槽４には、上述したガイドローラー３と同様の
消極回転する複数のガイドローラーからなるガイドロー
ラー群５が配設されたガイドローラー支持部材６が浸漬
されている。

【００１１】本実施例におては、ガイドローラー支持部
材６に配設されたガイドローラー群５は、上下方向に千
鳥状に配置されたガイドローラー５ａ〜５ｇから構成さ
れており、ガイドローラー５ａ〜５ｇには、千鳥状に繊
維長尺体ｙが掛け渡されている。また、ガイドローラー
支持部材６には、中間に位置する２つのガイドローラー
５ｃ、５ｅに掛け渡された繊維長尺体ｙを挟持するとと
もに、圧接するための圧接ローラー７ａ、７ｂが配設さ
れている。圧接ローラー７ａ、７ｂは、ガイドローラー
支持部材６に一端が枢支された揺動レバー８ａ、８ｂの
中間部に回転自在に配設されている。揺動レバー８ａ、
８ｂの自由端には、一端がガイドローラー支持部材６に
取着されたコイルスプリング９ａ、９ｂが懸架されてお
り、従って、コイルスプリング９ａ、９ｂの付勢力によ
り、圧接ローラー７ａ、７ｂが、それぞれ、ガイドロー
ラー５ｃ、５ｅに圧接されるように構成されている。

【００１２】１０は、上述した移送部材２の下流側に配
設されたガイドローラー３と同じ構造を有するガイドロ
ーラーであり、ガイドローラー３、１０は、共に、含浸
槽４の上方に配設されている。また、１１は、繊維長尺
体ｙの含浸槽４への進入側に配設された、上述した移送
部材２と同じ構造を有する、接近して配設された一対の
フィードローラー１１ａ、１１ｂからなる移送部材であ
り、繊維長尺体ｙの含浸槽４からの排出側に配設されて
いる。該移送部材１１のフィードローラー１１ａ、１１
ｂにも、図１に示されているように、繊維長尺体ｙが８
の字を形成するように、たすき掛けされている。

【００１３】１２は、ガイドローラー支持部材６に配設
されたガイドローラー群５に掛け渡されて液体樹脂が含
浸された繊維長尺体ｙを乾燥させるための乾燥室であ
り、１３は、液体樹脂の含浸処理が終了した繊維長尺体
ｙを、巻き取るために巻き取りボビンである。

【００１４】巻き戻しボビン１から巻き戻された繊維長
尺体ｙは、移送部材２により積極的に引き出され、次い
で、ガイドローラー３に案内されるとともに、方向変換
されて、含浸槽４内の液体樹脂に浸漬されたガイドロー
ラー群５に掛け渡されて液体樹脂が含浸される。含浸槽
４から引き出された繊維長尺体ｙは、ガイドローラー１
０に案内されるとともに、方向変換されて、繊維長尺体
ｙの含浸槽４からの排出側に配設された移送部材１１に
より積極的に送られ、次いで、乾燥室１２に入り、乾燥
処理が施される。乾燥された繊維長尺体ｙは、巻き取り
ボビン１３に巻き取られる。

【００１５】本発明の繊維長尺体処理装置においては、
巻き戻しボビン１側、即ち、繊維長尺体ｙの含浸槽４へ
の進入側に配設された移送部材２の繊維長尺体ｙの移送
速度が、巻き取りボビン１３側、即ち、繊維長尺体ｙの
含浸槽４からの排出側に配設された移送部材１１の繊維
長尺体ｙの移送速度より速くなるように構成されてい
る。従って、含浸槽４内の液体樹脂に浸漬されたガイド
ローラー群５に掛け渡された繊維長尺体ｙには弛みが生
じ、含浸槽４に浸漬された繊維長尺体ｙの張力は、実質
的に、零になり、繊維長尺体ｙへの液体樹脂の含浸が促
進され、繊維長尺体ｙには、十分な液体樹脂が含浸され
ることになる。

【００１６】上述したように、移送部材２と移送部材１
１との間で、繊維長尺体ｙの弛みが生じた後は、繊維長
尺体ｙは、繊維長尺体ｙの含浸槽４からの排出側に配設
された移送部材１１のみにより、乾燥室１２方向に移送
されることになる。そして、弛みが、所定以上になる
と、繊維長尺体ｙの含浸槽４への進入側に配設された移
送部材２を構成する一対のフィードローラー２ａ、２ｂ
に８の字に、たすき掛けされた繊維長尺体ｙも弛むこと
になる。このように移送部材２を構成する一対のフィー
ドローラー２ａ、２ｂに８の字に、たすき掛けされた繊
維長尺体ｙが弛むと、移送部材２による巻き戻しボビン
１からの繊維長尺体ｙの引き出し速度が遅くなる。そし
て、この引き出し速度が、繊維長尺体ｙの含浸槽４から
の排出側に配設された移送部材１１の移送速度より遅く
なると、繊維長尺体ｙの弛みが、徐々に解消されること
になる。

【００１７】上述したように、移送部材２を構成する一
対のフィードローラー２ａ、２ｂに８の字に、たすき掛
けされた繊維長尺体ｙの弛みがなくなると、繊維長尺体
ｙが、フィードローラー２ａ、２ｂに強く巻きつくため
に、再度、移送部材２により、移送部材１１より速い移
送速度でもって、巻き戻しボビン１から繊維長尺体ｙが
引き出されることになる。そして、移送部材２により、
移送部材１１より速い移送速度でもって、巻き戻しボビ
ン１から繊維長尺体ｙが引き出されると、再び、移送部
材２と移送部材１１との間で、繊維長尺体ｙの弛みが生
じ、繊維長尺体ｙは、繊維長尺体ｙの含浸槽４からの排
出側に配設された移送部材１１のみにより、移送される
ことになる。このような弛みの発生及び弛みの解消の繰
り返しにより、繊維長尺体ｙが移送されることになる
が、弛みが解消しても、繊維長尺体ｙの含浸槽４への進
入側に配設された移送部材２の繊維長尺体ｙの移送速度
が、繊維長尺体ｙの含浸槽４からの排出側に配設された
移送部材１１の繊維長尺体ｙの移送速度より速いので、
常に、含浸槽４に浸漬された繊維長尺体ｙの張力が、実
質的に、零に維持されることになる。

【００１８】また、含浸槽４に浸漬された繊維長尺体ｙ
は、ガイドローラー５ｃと圧接ローラー７ａにより押圧
されるので、繊維長尺体ｙ内に含まれる空気が押し出さ
れるとともに、一旦、含浸された液体樹脂も押し出され
る。そして、ガイドローラー５ｃと圧接ローラー７ａに
よる押圧が解除されると、圧縮された繊維長尺体ｙは膨
張することになり、この膨張に伴って、液体樹脂が、繊
維長尺体ｙの内部まで浸入することになる。このような
繊維長尺体ｙの圧縮及び膨張が、ガイドローラー５ｅと
圧接ローラー７ｂにより、再度、行われ、より十分な液
体樹脂が、繊維長尺体ｙのより内部まで浸入することに
なる。

【００１９】次に、含浸槽４に貯留されている液体樹脂
の量が減少し、液面が所定位置より下がった場合に、液
面を上昇させるための液面上昇手段について、主とし
て、図３を用いて説明する。

【００２０】１４は、含浸槽４内に配置された浮き部材
であり、浮き部材１４の支持枠１４ａは、含浸槽４の外
側に上下方向に配設された一対のスプロケット１５、１
６間に張設された無端チエーン１７の所定のチエーンブ
ロックに取着されている。１８は、一方のスプロケット
１５を回転駆動させるためのモーター等の駆動源であ
る。１９は、フロート１９ａ及び一端にフロート１９ａ
が取着されているとともに、他端に検知板１９ｂが取着
されたシーソーバー１９ｃを有する液面検出部材であ
り、２０は、検知板１９ｂの位置を検出する近接スイッ
チである。

【００２１】図３には、ガイドローラー群５を構成する
全てのガイドローラーが、含浸槽４に貯留された液体樹
脂に浸漬された状態の、通常の液面状態が示されてい
る。また、図３には、浮き部材１４の下端部が、一部、
液体樹脂内に入った状態が示されている。勿論、最初
は、浮き部材１４の下面が、液体樹脂の液面に接してい
てもよい。

【００２２】図３に示されている状態から、液体樹脂が
消費されて、液面が下がると、シーソーバー１９ｃが、
支点１９ｄを中心に、反時計方向に回転するので、近接
スイッチ２０から検知板１９ｂが離れる。すると、図示
されていない制御装置を介して、モーター等の駆動源１
８が駆動し、スプロケット１５が反時計方向に回転さ
れ、支持枠１４ａを介して無端チエーン１７に取着され
ている浮き部材１４が下動することになり、従って、液
体樹脂の液面が上昇する。液体樹脂の液面の上昇によ
り、フロート１９ａが上昇すると、シーソーバー１９ｃ
が、支点１９ｄを中心に、時計方向に回転するので、検
知板１９ｂが近接スイッチ２０に接近する。検知板１９
ｂを近接スイッチ２０が検知すると、図示されていない
制御装置を介して、モーター等の駆動源１８の駆動を停
止される。このようにして、液体樹脂の液面を、常に、
一定位置に保つことができる。

【００２３】上述したように、本発明の繊維長尺体処理
装置においては、液体樹脂が消費されて、液面が下がっ
た場合に、所定量、浮き部材１４を下動させることによ
り、液体樹脂の液面を、常に、一定位置に保つようにし
たものである。従って、液体樹脂が消費されて、液面が
下がった場合に、液体樹脂を注ぎ足すようにした従来の
繊維長尺体処理装置のように、液体樹脂の注入により、
含浸槽内の液体樹脂に泡が発生するようなことがない。
また、液体樹脂を注ぎ足すことなく、液面を一定位置に
保つようにしたので、液体樹脂の組成の変化を防止で
き、従って、一定した品質の樹脂含浸繊維長尺体を製造
することができる。

【００２４】本発明の繊維長尺体処理装置は、特に、組
紐の液体樹脂含浸処理に適している。組紐は、一般的、
伸びやすいので、液体樹脂含浸処理の際に、引っ張られ
ると、伸長して細くなって、組み目が詰まり、従って、
組紐の内部への液体樹脂の浸入が十分に行われないこと
になる。本発明においては、実質的に、引っ張り張力が
零の状態で、液体樹脂含浸処理を行うことができるの
で、組み目が拡がり、組紐の内部への液体樹脂の浸入が
容易となる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載する効果を奏することができ
る。

【００２６】進入側に配設された移送部材の繊維長尺体
の移送速度を、排出側に配設された移送部材の繊維長尺
体の移送速度より、速くしたので、含浸槽内の液体樹脂
に浸漬された繊維長尺体の張力が、実質的に、零にな
り、従って、繊維長尺体への液体樹脂の含浸が促進され
るとともに、繊維長尺体の含浸処理をスピードアップす
ることができる。

【００２７】含浸槽内のガイドローラーの少なくとも１
つに圧接ローラーを配設したので、繊維長尺体内に含ま
れる空気が押し出されるとともに、圧縮された繊維長尺
体が膨張することにより、液体樹脂が、より繊維長尺体
の内部まで浸入し、効果的な含浸処理を行うことができ
る。

【００２８】含浸槽に液面を上昇させるための液面上昇
手段を配設したので、液体樹脂を注ぎ足すようにした従
来の繊維長尺体処理装置のように、液体樹脂の注入によ
り、含浸槽内の液体樹脂に泡が発生するようなことがな
く、また、液体樹脂を注ぎ足すことなく、液面を一定位
置に保つようにしたので、液体樹脂の組成の変化を防止
することができ、従って、一定した品質の樹脂含浸繊維
長尺体を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の繊維長尺体処理装置の正面図で
ある。

【図２】図２は本発明の繊維長尺体処理装置の平面図で
ある。

【図３】図３は本発明の繊維長尺体処理装置の一部断面
を含む右側面図である。

【符号の説明】

ｙ・・・・・・繊維長尺体１・・・・・・巻き戻しボビン２、１１・・・移送部材５・・・・・・ガイドローラー群６・・・・・・ガイドローラー支持部材７ａ、７ｂ・・圧接ローラー１２・・・・・乾燥室１３・・・・・巻き取りボビン１４・・・・・浮き部材１９・・・・・液面検出部材２０・・・・・近接スイッチ

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】含浸槽を挟んで、繊維長尺体の含浸槽への
進入側と、繊維長尺体の含浸槽からの排出側に、それぞ
れ、積極的に繊維長尺体を移送する、接近して配設され
た一対のフィードローラーからなる移送部材を配設する
とともに、前記一対のフィードローラーに繊維長尺体を
巻回し、且つ、前記進入側に配設された移送部材の移送
速度を、前記排出側に配設された移送部材の移送速度よ
り、速くしたことを特徴とする繊維長尺体処理装置。
【請求項２】上記含浸槽内に、複数のガイドローラーを
千鳥状に配設して、該ガイドローラーに繊維長尺体を千
鳥状に掛け渡すとともに、少なくとも１つのガイドロー
ラーに、繊維長尺体を挟持し圧接する圧接ローラーを配
設したことを特徴とする請求項１に記載の繊維長尺体処
理装置。
【請求項３】上記含浸槽の液面が下がった場合に、下動
して、液面を上昇させる浮き部材を有する液面上昇手段
を配設したことを特徴とする請求項１又は請求項２に記
載の繊維長尺体処理装置。