JP2970190B2 - サーミスタ用酸化物半導体 - Google Patents
サーミスタ用酸化物半導体Info
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- JP2970190B2 JP2970190B2 JP7074992A JP7074992A JP2970190B2 JP 2970190 B2 JP2970190 B2 JP 2970190B2 JP 7074992 A JP7074992 A JP 7074992A JP 7074992 A JP7074992 A JP 7074992A JP 2970190 B2 JP2970190 B2 JP 2970190B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温領域の温度センサ
として使用される負の温度係数を有するサーミスタ用酸
化物半導体に関するものである。
として使用される負の温度係数を有するサーミスタ用酸
化物半導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、700℃を超える高温用サーミス
タとしてはMg(Al,Cr,Fe) 2O4系に代表され
るスピネル型サーミスタ、あるいはAl2O3−Cr2O3
系、ZrO2−Y2O3系の耐熱材料が用いられており、
これらの材料は一般的なセラミックス製造プロセスであ
る配合、混合、仮焼、粉砕、造粒、成形、焼成過程を経
て焼結体を得るものであった。この焼結体が高温サーミ
スタとしての機能を発揮するには、その電気特性を引き
出すための電極が必要であるが、汎用のディスク型サー
ミスタで用いられているような印刷工法で形成された銀
電極ではなく、耐熱性が高くしかも安定な白金を用いた
電極が焼結体との一体型で形成されて用いられている。
タとしてはMg(Al,Cr,Fe) 2O4系に代表され
るスピネル型サーミスタ、あるいはAl2O3−Cr2O3
系、ZrO2−Y2O3系の耐熱材料が用いられており、
これらの材料は一般的なセラミックス製造プロセスであ
る配合、混合、仮焼、粉砕、造粒、成形、焼成過程を経
て焼結体を得るものであった。この焼結体が高温サーミ
スタとしての機能を発揮するには、その電気特性を引き
出すための電極が必要であるが、汎用のディスク型サー
ミスタで用いられているような印刷工法で形成された銀
電極ではなく、耐熱性が高くしかも安定な白金を用いた
電極が焼結体との一体型で形成されて用いられている。
【0003】これらの耐熱材料の特徴は、目的とする高
温領域での抵抗値がセンサとして適当でありしかも安定
であるために、融点が高い絶縁体をベースにし、140
0℃以上の高温で焼結されていることが挙げられる。し
たがって、一般的にサーミスタの電気特性は比抵抗およ
びサーミスタ定数B(以下、B定数という)で示される
が、前述のほとんどの材料の比抵抗は通常のサーミスタ
を使用する200℃以下の温度領域では数100MΩ以
上であり、いわゆる絶縁体の範疇に区分されるものであ
った。
温領域での抵抗値がセンサとして適当でありしかも安定
であるために、融点が高い絶縁体をベースにし、140
0℃以上の高温で焼結されていることが挙げられる。し
たがって、一般的にサーミスタの電気特性は比抵抗およ
びサーミスタ定数B(以下、B定数という)で示される
が、前述のほとんどの材料の比抵抗は通常のサーミスタ
を使用する200℃以下の温度領域では数100MΩ以
上であり、いわゆる絶縁体の範疇に区分されるものであ
った。
【0004】また、従来より自動車の排気ガス対策用の
触媒の温度センサとして、700℃以上の高温領域で上
記材料が用いられてきたが、最近では環境問題、燃費向
上などの要求から排気ガス用触媒の温度を正確に測定す
る必要があり、抵抗値の経時変化が±20%以内である
ことが要求されるようになってきた。しかし通常の触媒
が動作する300〜700℃の温度領域で適当な抵抗値
をとり、かつ触媒の最高温度である1000℃までの耐
熱性を満足することは困難であった。そのような背景か
らMg(Al,Cr)2O4系の材料を用いることにより
300〜1000℃の温度を検知し、かつ耐熱性をもた
せることを可能にしたセンサが開発されている。
触媒の温度センサとして、700℃以上の高温領域で上
記材料が用いられてきたが、最近では環境問題、燃費向
上などの要求から排気ガス用触媒の温度を正確に測定す
る必要があり、抵抗値の経時変化が±20%以内である
ことが要求されるようになってきた。しかし通常の触媒
が動作する300〜700℃の温度領域で適当な抵抗値
をとり、かつ触媒の最高温度である1000℃までの耐
熱性を満足することは困難であった。そのような背景か
らMg(Al,Cr)2O4系の材料を用いることにより
300〜1000℃の温度を検知し、かつ耐熱性をもた
せることを可能にしたセンサが開発されている。
【0005】図1に上記自動車の排気ガス対策用の触媒
温度を検知するセンサの断面図を示す。なお、このセン
サは300〜700℃の温度範囲を検知して、かつ10
00℃の耐熱性を有するものである。図1において1は
高温サーミスタ素子、2は耐熱キャップ、3はMgO充
填材4を内部に充填し高温サーミスタ素子1の抵抗値を
検出するための2本のシース5を有する二芯管、6は防
水ブッシュでカラー7で固定されている。また、耐熱キ
ャップ2、二芯管3、シース5は耐熱材料であるSUS
310S製であり、耐熱キャップ2は二芯管3の外周に
溶接で接続固定されており、高温サーミスタ素子1は密
閉された空間に保持されて構成されている。
温度を検知するセンサの断面図を示す。なお、このセン
サは300〜700℃の温度範囲を検知して、かつ10
00℃の耐熱性を有するものである。図1において1は
高温サーミスタ素子、2は耐熱キャップ、3はMgO充
填材4を内部に充填し高温サーミスタ素子1の抵抗値を
検出するための2本のシース5を有する二芯管、6は防
水ブッシュでカラー7で固定されている。また、耐熱キ
ャップ2、二芯管3、シース5は耐熱材料であるSUS
310S製であり、耐熱キャップ2は二芯管3の外周に
溶接で接続固定されており、高温サーミスタ素子1は密
閉された空間に保持されて構成されている。
【0006】また、図2は上記高温サーミスタ素子1の
一例を示す斜視図であり、白金パイプ8を挿入して焼成
されている。
一例を示す斜視図であり、白金パイプ8を挿入して焼成
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、高温サーミスタ素子1が密閉された空間に
おかれているために、高温においてこの空間の酸素分圧
をはじめとするガス成分が変化して、特に低温側抵抗変
化率、例えば300℃での変化率は100%と大きく、
抵抗値変化率を±20%以内に抑えることができず、3
00〜600℃での正確な温度測定が困難であった。
の構成では、高温サーミスタ素子1が密閉された空間に
おかれているために、高温においてこの空間の酸素分圧
をはじめとするガス成分が変化して、特に低温側抵抗変
化率、例えば300℃での変化率は100%と大きく、
抵抗値変化率を±20%以内に抑えることができず、3
00〜600℃での正確な温度測定が困難であった。
【0008】本発明は上記問題点を解決し、高温下にお
ける耐熱キャップ中のガス雰囲気が変化してもサーミス
タ素子の抵抗値変化が少ないサーミスタ用酸化物半導体
を提供することを目的とするものである。
ける耐熱キャップ中のガス雰囲気が変化してもサーミス
タ素子の抵抗値変化が少ないサーミスタ用酸化物半導体
を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明によるサーミスタ用酸化物半導体は、 (1)金属酸化物の混合焼結体であって、その構成金属
元素として、マグネシウム、アルミニウム、クロム、カ
ルシウム、希土類元素((Y,La,Ce,Pr,N
d,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu)以下、REという)からなり、マグネ
シウム、アルミニウム、クロムを100原子%としたと
き、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
RE 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.1≦b≦10 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。
に本発明によるサーミスタ用酸化物半導体は、 (1)金属酸化物の混合焼結体であって、その構成金属
元素として、マグネシウム、アルミニウム、クロム、カ
ルシウム、希土類元素((Y,La,Ce,Pr,N
d,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu)以下、REという)からなり、マグネ
シウム、アルミニウム、クロムを100原子%としたと
き、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
RE 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.1≦b≦10 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。
【0010】(2)金属酸化物の混合焼結体であって、
その構成金属元素として、マグネシウム、アルミニウ
ム、クロム、カルシウム、トリウムからなり、マグネシ
ウム、アルミニウム、クロムを100原子%としたと
き、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
Th 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.01≦b≦10 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。
その構成金属元素として、マグネシウム、アルミニウ
ム、クロム、カルシウム、トリウムからなり、マグネシ
ウム、アルミニウム、クロムを100原子%としたと
き、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
Th 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.01≦b≦10 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。
【0011】(3)金属酸化物の混合焼結体であって、
その構成金属元素として、マグネシウム、アルミニウ
ム、クロム、カルシウム、ジルコニウムからなり、マグ
ネシウム、アルミニウム、クロムを100原子%とした
とき、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
Zr 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.1≦b≦30 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。という構成にし
たものである。
その構成金属元素として、マグネシウム、アルミニウ
ム、クロム、カルシウム、ジルコニウムからなり、マグ
ネシウム、アルミニウム、クロムを100原子%とした
とき、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
Zr 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.1≦b≦30 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。という構成にし
たものである。
【0012】
【作用】上記構成により、主成分であり主に電気伝導を
つかさどるMg(Al,Cr) 2O4スピネル型固溶体に
CaOおよび希土類酸化物、ThO2、ZrO2を添加、
焼結させることにより緻密化をはかり、かつ希土類酸化
物、ThO2、ZrO2を粒界に析出させて、吸着ガスの
酸化物半導体中への拡散を抑制し、Mg(Al,Cr)
2O4スピネル型固溶体中の酸素を還元する反応を阻止す
ることにより抵抗値の変化を抑えることができる。
つかさどるMg(Al,Cr) 2O4スピネル型固溶体に
CaOおよび希土類酸化物、ThO2、ZrO2を添加、
焼結させることにより緻密化をはかり、かつ希土類酸化
物、ThO2、ZrO2を粒界に析出させて、吸着ガスの
酸化物半導体中への拡散を抑制し、Mg(Al,Cr)
2O4スピネル型固溶体中の酸素を還元する反応を阻止す
ることにより抵抗値の変化を抑えることができる。
【0013】
【実施例】本発明の実施例においては、従来例で説明し
た図1の触媒温度検知用センサならびに図2の高温サー
ミスタ用素子と比較して、同素子の構成材料が異なるも
のの図面上の構成は同様であるため、同じ図面を用いて
説明を行うものとする。
た図1の触媒温度検知用センサならびに図2の高温サー
ミスタ用素子と比較して、同素子の構成材料が異なるも
のの図面上の構成は同様であるため、同じ図面を用いて
説明を行うものとする。
【0014】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例
を説明する。
を説明する。
【0015】酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ
(Al2O3)、酸化第2クロム(Cr 2O3)、炭酸カル
シウム(CaCO3)、希土類酸化物Y2O3、La
2O3、CeO2、Pr6O11、Nb2O3、Sm2O3、Eu
2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er
2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3を(表1),(表
2)に示す組成になるように所定量秤量し、ボールミル
にて16時間混合し、1200℃で仮焼した後、再びボ
ールミルで18時間粉砕し、乾燥後10重量%のPVA
(ポリビニルアルコール)水溶液を8重量%添加して造
粒を行い、前述の図2に示す形状に成形し、白金パイプ
8を挿入した後1600℃で焼成して高温サーミスタ素
子1を得た。この高温サーミスタ素子1は前述の図1に
示す触媒温度検知用のセンサ中に組み込んで使用され
る。
(Al2O3)、酸化第2クロム(Cr 2O3)、炭酸カル
シウム(CaCO3)、希土類酸化物Y2O3、La
2O3、CeO2、Pr6O11、Nb2O3、Sm2O3、Eu
2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er
2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3を(表1),(表
2)に示す組成になるように所定量秤量し、ボールミル
にて16時間混合し、1200℃で仮焼した後、再びボ
ールミルで18時間粉砕し、乾燥後10重量%のPVA
(ポリビニルアルコール)水溶液を8重量%添加して造
粒を行い、前述の図2に示す形状に成形し、白金パイプ
8を挿入した後1600℃で焼成して高温サーミスタ素
子1を得た。この高温サーミスタ素子1は前述の図1に
示す触媒温度検知用のセンサ中に組み込んで使用され
る。
【0016】上記図2に示す形状の高温サーミスタ素子
1の300℃、600℃、900℃における抵抗値およ
び、900℃、1000時間の放置試験後の300℃に
おける抵抗変化率を(表1),(表2)に示す。なお、
抵抗変化率は(密閉耐久試験後抵抗値−初期抵抗値)/
初期抵抗値×100(%)の計算式で算出した。
1の300℃、600℃、900℃における抵抗値およ
び、900℃、1000時間の放置試験後の300℃に
おける抵抗変化率を(表1),(表2)に示す。なお、
抵抗変化率は(密閉耐久試験後抵抗値−初期抵抗値)/
初期抵抗値×100(%)の計算式で算出した。
【0017】また、本実施例において(表1),(表
2)に示すような電気伝導を主につかさどるMg(A
l,Cr)2O4スピネル構造にCaOと希土類酸化物を
同時に添加することにより、耐熱キャップ2の中に密閉
した状態でも、抵抗値変化率は±20%以下であり、抵
抗変化率の小さな高温サーミスタ素子1を得ることがで
き、そのメカニズムは次のように考えることができる。
耐熱キャップ2内は800℃以上の高温になるにつれ内
圧が上昇し、また耐熱キャップ2を構成する金属中から
水素や一酸化炭素などの還元性ガスが放出される。これ
らの放出ガスは直接、あるいは酸素と結びつき水蒸気や
二酸化炭素に変化した後、高温サーミスタ素子1の表面
に吸着し内部へ拡散する。高温サーミスタ素子1の構成
材料である金属酸化物はガスセンサの役割もするため、
従来粒界に生成する吸着サイトに粒界を伝わった吸着ガ
スがトラップされて抵抗値を変化させたり、また粒界を
伝わった還元性ガスが直接酸素を奪い抵抗値を変化させ
ていると考えられる。
2)に示すような電気伝導を主につかさどるMg(A
l,Cr)2O4スピネル構造にCaOと希土類酸化物を
同時に添加することにより、耐熱キャップ2の中に密閉
した状態でも、抵抗値変化率は±20%以下であり、抵
抗変化率の小さな高温サーミスタ素子1を得ることがで
き、そのメカニズムは次のように考えることができる。
耐熱キャップ2内は800℃以上の高温になるにつれ内
圧が上昇し、また耐熱キャップ2を構成する金属中から
水素や一酸化炭素などの還元性ガスが放出される。これ
らの放出ガスは直接、あるいは酸素と結びつき水蒸気や
二酸化炭素に変化した後、高温サーミスタ素子1の表面
に吸着し内部へ拡散する。高温サーミスタ素子1の構成
材料である金属酸化物はガスセンサの役割もするため、
従来粒界に生成する吸着サイトに粒界を伝わった吸着ガ
スがトラップされて抵抗値を変化させたり、また粒界を
伝わった還元性ガスが直接酸素を奪い抵抗値を変化させ
ていると考えられる。
【0018】しかし本発明の実施例に示すように、Ca
Oを添加して緻密化をはかることにより粒界の吸着サイ
トを減らし、かつ希土類酸化物を添加して粒界に析出さ
せることにより吸着ガスの拡散を抑制して抵抗値の変化
を抑えることが可能になる。また、析出物は分析した結
果、(RE)CrO3で表されるペロブスカイト構造で
あることが判明した。
Oを添加して緻密化をはかることにより粒界の吸着サイ
トを減らし、かつ希土類酸化物を添加して粒界に析出さ
せることにより吸着ガスの拡散を抑制して抵抗値の変化
を抑えることが可能になる。また、析出物は分析した結
果、(RE)CrO3で表されるペロブスカイト構造で
あることが判明した。
【0019】但し、(表1),(表2)に示すように*
印の試料は本発明の請求の範囲以外のものであるが、C
aの量が5原子%を超えると焼成中にCaが飛散して高
温サーミスタ素子1はポーラスになり、密閉された雰囲
気の影響を受けやすくなり抵抗値変化率が±20%を越
えてしまう。また、希土類酸化物も10原子%を超える
とペロブスカイト構造(RE)CrO3の偏析の量が増
加し主成分であるMg(Al,Cr)2O4のCrの取り
込み量が増加し、特性のバランスが崩れ、抵抗値変化率
が大きくなる。また、Ca、希土類酸化物ともに0.1
原子%未満になると緻密化をはかることができなくな
り、同様に抵抗値変化率が大きくなるものである。
印の試料は本発明の請求の範囲以外のものであるが、C
aの量が5原子%を超えると焼成中にCaが飛散して高
温サーミスタ素子1はポーラスになり、密閉された雰囲
気の影響を受けやすくなり抵抗値変化率が±20%を越
えてしまう。また、希土類酸化物も10原子%を超える
とペロブスカイト構造(RE)CrO3の偏析の量が増
加し主成分であるMg(Al,Cr)2O4のCrの取り
込み量が増加し、特性のバランスが崩れ、抵抗値変化率
が大きくなる。また、Ca、希土類酸化物ともに0.1
原子%未満になると緻密化をはかることができなくな
り、同様に抵抗値変化率が大きくなるものである。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】(実施例2)次に(表3)を用いて本発明
の第2の実施例を説明する。高温サーミスタ素子1の製
造方法は上記第1の実施例と同様であるが、配合におい
て酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al
2O3)、酸化第2クロム(Cr2O3)、炭酸カルシウム
(CaCO3)、酸化トリウムの(ThO2)を用いる。
(表3)には上記(表1),(表2)と同様に300
℃、600℃、900℃における抵抗値、900℃、1
000時間の放置試験後の300℃における抵抗変化率
を示す。この(表3)から上記第1の実施例と同様に酸
化トリウムを添加することにより耐久性能が向上してい
ることがわかる。
の第2の実施例を説明する。高温サーミスタ素子1の製
造方法は上記第1の実施例と同様であるが、配合におい
て酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al
2O3)、酸化第2クロム(Cr2O3)、炭酸カルシウム
(CaCO3)、酸化トリウムの(ThO2)を用いる。
(表3)には上記(表1),(表2)と同様に300
℃、600℃、900℃における抵抗値、900℃、1
000時間の放置試験後の300℃における抵抗変化率
を示す。この(表3)から上記第1の実施例と同様に酸
化トリウムを添加することにより耐久性能が向上してい
ることがわかる。
【0023】酸化トリウム添加の特徴は希土類酸化物の
添加量と比較して10分の1の量で効果が出ることであ
り、酸化トリウムも希土類元素と同様に主成分であるM
g(Al,Cr)2O4スピネルには固溶せず、かつCr
と固溶せず単独で析出する。さらに、酸化トリウムは還
元雰囲気に安定であることが知られており、そのために
希土類酸化物と比較して少量の添加量で効果を発揮す
る。しかし、添加量が10原子%を超えると急速に焼結
性が悪くなりポアの発生が増加して抵抗値変化率が急速
に増加する。また0.01原子%未満ではその効果がみ
られないものである。
添加量と比較して10分の1の量で効果が出ることであ
り、酸化トリウムも希土類元素と同様に主成分であるM
g(Al,Cr)2O4スピネルには固溶せず、かつCr
と固溶せず単独で析出する。さらに、酸化トリウムは還
元雰囲気に安定であることが知られており、そのために
希土類酸化物と比較して少量の添加量で効果を発揮す
る。しかし、添加量が10原子%を超えると急速に焼結
性が悪くなりポアの発生が増加して抵抗値変化率が急速
に増加する。また0.01原子%未満ではその効果がみ
られないものである。
【0024】
【表3】
【0025】(実施例3)次に(表4)を用いて第3の
実施例を説明する。なお(表4)の表記方法は前述の
(表1),(表2),(表3)と同様である。
実施例を説明する。なお(表4)の表記方法は前述の
(表1),(表2),(表3)と同様である。
【0026】本実施例では、配合において酸化マグネシ
ウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、酸化第2クロ
ム(Cr2O3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化
ジルコニウムの(ZrO2)を用いる。酸化ジルコニウ
ムを添加することにより、同様に抵抗値変化率が改善さ
れている。酸化ジルコニウムの添加量を変化させること
により抵抗値を幅広い範囲で制御することができる。し
かし、添加量が30原子%を超えると焼結性が悪化して
抵抗値変化率が大きくなり、0.1原子%未満ではその
効果がみられない。
ウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、酸化第2クロ
ム(Cr2O3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化
ジルコニウムの(ZrO2)を用いる。酸化ジルコニウ
ムを添加することにより、同様に抵抗値変化率が改善さ
れている。酸化ジルコニウムの添加量を変化させること
により抵抗値を幅広い範囲で制御することができる。し
かし、添加量が30原子%を超えると焼結性が悪化して
抵抗値変化率が大きくなり、0.1原子%未満ではその
効果がみられない。
【0027】
【表4】
【0028】また、上記本実施例では耐熱金属製の耐熱
キャップ2の中で使用する高温サーミスタ用半導体とし
て説明を行ったが、環境変化に強い材料であることは上
記実施例1〜3にて述べた通りであり、ディスク形状、
あるいはガラス封入してセンサとしても充分使用可能で
あることは言うまでもない。
キャップ2の中で使用する高温サーミスタ用半導体とし
て説明を行ったが、環境変化に強い材料であることは上
記実施例1〜3にて述べた通りであり、ディスク形状、
あるいはガラス封入してセンサとしても充分使用可能で
あることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明は、Mg、Al、
Crを主成分とするスピネル酸化物にCaおよび希土類
酸化物、酸化トリウム、酸化ジルコニウムを添加した緻
密化をはかり、希土類元素、トリウム、ジルコニウムを
構成元素とする酸化物を析出させることにより、耐熱金
属製の耐熱キャップにより密閉された環境の中でも常に
安定した性能を発揮し、信頼性の高いサーミスタ用酸化
物半導体を得ることができるものである。
Crを主成分とするスピネル酸化物にCaおよび希土類
酸化物、酸化トリウム、酸化ジルコニウムを添加した緻
密化をはかり、希土類元素、トリウム、ジルコニウムを
構成元素とする酸化物を析出させることにより、耐熱金
属製の耐熱キャップにより密閉された環境の中でも常に
安定した性能を発揮し、信頼性の高いサーミスタ用酸化
物半導体を得ることができるものである。
【図1】本発明の一実施例ならびに従来例を示す触媒温
度検知用センサの断面図
度検知用センサの断面図
【図2】本発明の一実施例ならびに従来例を示す高温サ
ーミスタ用素子の斜視図
ーミスタ用素子の斜視図
1 高温サーミスタ素子 2 耐熱キャップ 3 二芯管 4 MgO充填材 5 シース 6 防水ブッシュ 7 カラー 8 白金パイプ
フロントページの続き (72)発明者 畑 拓興 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−95093(JP,A) 特開 昭55−12780(JP,A) 特許2904007(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01C 7/02 - 7/22
Claims (3)
- 【請求項1】金属酸化物の混合焼結体であって、その構
成金属元素として、マグネシウム、アルミニウム、クロ
ム、カルシウム、希土類元素(Y,La,Ce,Pr,
Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu)からなり、前記マグネシウム、アルミ
ニウム、クロムを100原子%としたとき、その構成比
が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
希土類元素 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.1≦b≦10 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。 - 【請求項2】金属酸化物の混合焼結体であって、その構
成金属元素として、マグネシウム、アルミニウム、クロ
ム、カルシウム、トリウムからなり、前記マグネシウ
ム、アルミニウム、クロムを100原子%としたとき、
その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
Th 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.01≦b≦10 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。 - 【請求項3】金属酸化物の混合焼結体であって、その構
成金属元素として、マグネシウム、アルミニウム、クロ
ム、カルシウム、ジルコニウムからなり、前記マグネシ
ウム、アルミニウム、クロムを100原子%としたと
き、その構成比が Mgx(Al1-yCry)2O4+a原子%Ca+b原子%
Zr 0.95≦x≦1.05,0≦y≦0.9 0.1≦a≦5,0.1≦b≦30 で表されるサーミスタ用酸化物半導体。
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JPH05275206A JPH05275206A (ja) | 1993-10-22 |
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