JP2969363B2 - チロシナーゼ活性抑制剤、抗酸化剤 - Google Patents

チロシナーゼ活性抑制剤、抗酸化剤

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JP2969363B2 JP8673790A JP8673790A JP2969363B2 JP 2969363 B2 JP2969363 B2 JP 2969363B2 JP 8673790 A JP8673790 A JP 8673790A JP 8673790 A JP8673790 A JP 8673790A JP 2969363 B2 JP2969363 B2 JP 2969363B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、チロシナーゼ活性抑制剤、抗酸化剤およ
び抗菌剤に関するものである。
<従来の技術および発明の背景> 肌(皮膚)の黒化には色素のメラニンが深く関与して
いるものと考えられている。すなわち、紫外線等の外的
刺激を受けてメラニンが肌の皮膚組織で生産され、その
ために肌の黒化が促進され、シミ・ソバカス・色黒など
の症状が引き起こされるものと考えられている。
肌の美白の作用機序としていくつかが挙げられるが、
その一つとしてメラニンの生成に関与するチロシナーゼ
(酵素)の活性化を抑制することが提唱されている。
従来、チロシナーゼの活性を抑制し得る公知の物質と
してグルタチオンが有効であるとされている。しかし、
このグルタチオンは、湿性の条件下では酸化され易く、
かつ変色・変臭などを誘発し易いため、特に化粧料に配
合する成分としては致命的な問題があった。また、生薬
(天然物)中、たとえば防風、浜防風およびツクリタケ
(Agaricus bisporous)にもチロシナーゼ活性抑制効
果を有する物質の存在が知られている。(特公昭59−48
808号) これら天然物中に存在する公知のチロシナーゼ活性抑
制物質はいずれも刺激性が少ないという利点があるが、
反面そのチロシナーゼ活性抑制率が低く、しかも量産に
適しないという諸問題がある。それゆえ、チロシナーゼ
活性抑制率が高く、化学的安定性・保存性・安全性のあ
る物質で量産のできるものの開発が要望されていた。
発明者等は、上記諸要請に基づき、天然物由来のチロ
シナーゼ活性抑制物質の排除・研究を進め、先ずニンギ
ョウタケ,ショウゲンジ,ホンシメジ,ウスムラサキハ
ツ,ウスムラサキホウキタケおよびマイタケの各子実体
から水または/および有機溶剤により抽出される抽出物
中に優れたチロシナーゼ活性抑制効果を有する物質が存
在することを見出して第1の発明を完成した。(特開平
2−49710号)そして、発明者等は、さらに研究を進め
て前記ニンギョウタケの抽出物に含まれるチロシナーゼ
活性抑制効果を有する物質を単離・精製し、かつ当該チ
ロシナーゼ活性抑制効果を有する有効物質の化学構造
(有効物質が『5−ファルネシル−6メチル−レゾルシ
ノール/別名:ネオグリフォリン,または2−ファルネ
シル−オルシノール,または国際命名法による化合物
名:E,E−5−メチル−4−(3,7,11−トリメチル−2,6,
10−ドデカトリエニル)−1,3−ベンゼンジオール』で
あること)を明らかにすることにより新たな第2の発明
を完成して、天然物中に存在する有効物質の化学的合成
による質的安定・チロシナーゼ活性抑制率の実質的向上
および有効物質の安定的な量産・供給を可能にする途を
拓いた。(特願平1−247726号) <発明が解決しようとする問題点> この発明は、発明者等による一連の前記諸発明をさら
に一歩前進させ、前記ネオグリフォリンの類似化合物と
もいうべき『オルシノール誘導体』の数種類を化学的合
成方法により得て、それぞれの有効な生理活性、すなわ
ちチロシナーゼ活性抑制効果、抗酸化効果、抗菌効果な
どを確認することにより完成されたものであり、化粧料
・医薬品・食料品に利用できる優れた有効物質を提供す
ることを目的とするものである。
<問題点を解決するための手段> 上記目的を達成するために、この発明では、 一般式〔A〕I型化合物および一般式〔B〕II型化合
〔式中、R1およびR2は一般式〔C〕 で表われる基であって、R1はn=0,1,2,4で示される
基、R2はn=0,1,2, 3,4で示される基〕で表わされる
化合物群から選択される化合物の1種または2種以上を
含有することを特徴とするチロシナーゼ活性抑制剤。
一般式〔A〕I型化合物および一般式〔B〕II型化合
〔式中、R1およびR2は一般式〔C〕 で表わされる基であって、R1はn=0,1,2,3,4で示され
る基、R2はn=0,1,2,3,4で示される基〕で表わされる
化合物群から選択される化合物の1種または2種以上を
含有することを特徴とする抗酸化剤。
一般式〔A〕I型化合物および一般式〔B〕II型化合
〔式中、R1およびR2は一般式〔C〕 で表わされる基であって、R1はn=1,2,4で示される
基、R2はn=1,2,4で示される基〕で表わされる化合物
群から選択される化合物の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする抗菌剤。
をそれぞれ構成することとした。
この発明にかかる前記オルシノール誘導体において、
R1,R2の各置換基を具体的に記述すると、 をそれぞれ示すこととなる。
したがって、前記一般式〔A〕I型化合物および一般
式〔B〕II型化合物において、R1およびR2に前記プレニ
ル基、ゲラニル基、ファネルシル基、ゲラニルゲラニル
基を置換して化学的合成方法により調製された各種オル
シノール誘導体は、 〔A〕I型化合物に関しては、 R1がプレニル基であるI型化合物(2−プレニル−オ
ルシノール)、 R1がゲラニル基であるI型化合物(2−ゲラニル−オ
ルシノール)、 R1がファルネシル基であるI型化合物(2−ファルネ
シル−オルシノール)、 R1がゲラニルゲラニル基であるI型化合物(2−ゲラ
ニルゲラニル−オルシノール)、 〔B〕II型化合物に関しては、 R2がプレニル基であるII型化合物(4−プレニル−オ
ルシノール)、 R2がゲラニル基であるII型化合物(4−ゲラニル−オ
ルシノール)、 R2がファルネシル基であるII型化合物(4ファルネシ
ル−オルシノール)、 R2がゲラニルゲラニル基であるII型化合物(4−ゲラ
ニルゲラニル−オルシノール)、 の〜の各種オルシノール誘導体をそれぞれ得ること
になる。なお、n=0の場合、つまりR1=R2=H(水素
原子)の場合、いうまでもなくI型化合物およびII型化
合物はオルシノールである。
i)各種オルシノール誘導体の合成方法: この発明にかかる各種オルシノール誘導体の化学的合
成は、公知の方法つまりJ.Marquet等の方法(文献:Chem
istry Letters 1981,p173〜176)により行う。すなわ
ち、オルシノール(2モル)とプレニルアルコール類
〔=テルペンアルコール類;たとえば、プレノール、ゲ
ラニオール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール〕
(1モル)とをそれぞれの割合で混合溶解し、これに0.
7モルの割合で縮合剤(たとえば、無水塩化コバルト/Co
Cl2)を加え、約60℃〜70℃,約2時間加熱反応させ
る。この化学的合成方法により、オルシノールの各種誘
導体・前記〔A〕I型化合物および〔B〕II型化合物の
混合物ならびに未反応物等が得られる。なお、合成に使
用する初発原料である前記オルシノール(市販品)およ
び各種プレニルアルコール類(市販品)の純度について
は、ガスクロマトグラフィー(GLC)によりその純度を
測定し、可能な限り高純度のものを使用する。
前記合成反応式を化学式で示すと次のとおりである。
反応終了後、室温まで冷却し、これに約50倍容のジエ
チルエーテルを加えて目的とするI型化合物およびII型
化合物をジエチルエーテル相に溶かす。このジエチルエ
ーテル相を約1/2容の水で数回洗浄した後、無水硫酸ナ
トリウム(約5g)を加えて脱水する。次いでジエチルエ
ーテルを留去し、粗反応生成物を得る。なお、各種合成
生成物の収率は、粗反応生成物の高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィー(GLC)
の分析結果より求める。
ii)この発明にかかる目的とする各種オルシノール誘導
体(合成生成物)の単離・精製方法: 目的とする各種合成生成物の単離・生成には、順相お
よび逆相の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を組み
合わせて目的とする合成化合物に該当する保持時間(Rt
値:文献に基づくRt値)をメルクマルとして、目的化合
物を分取する。そして、この単離精製された目的の化合
物は、ガスクロマトグラフィー(GLC)によりその純度
を測定する。
合成にかかる各種オルシノール誘導体の固定・確認に
は(a)赤外線吸収スペクトル(IR)、(b)紫外線吸
収スペクトル(UV)、(c)マススペクトル(MS)、
(d)薄層クロマトグラフィー(TLC)、(e)ガスク
ロマトグラフィー(GLC)および(f)プロトン核磁気
共鳴スペクトル(1H−NMR)によりおこなう。
iii)この発明にかかる各種オルシノール誘導体(合成
物)の生理活性の測定。
供試試料には、前記合成および単離・精製後の各種化
合物(各種オルシノール誘導体)を使用する。
(a)この発明にかかる各種オルシノール誘導体のチロ
シナーゼ活性抑制効果の測定方法。
各種オルシノール誘導体のチロシナーゼ活性抑制効果
の測定には、ドーパクロム(メラニンの前駆物質)の生
成量を測定する公知の方法に基づき測定する。
すなわち、オルシノールおよび各種オルシノール誘導
体を適当な希釈溶剤(たとえば、エタノール/1,3−ブチ
レングリコール(以下「1,3−BG」という)/蒸留水=5
0/30/70の混合溶液)を用いて適当な濃度、たとえば約
0.1〜10%等の濃度であって,475nmにおける吸光度が適
当な値を示す範囲の濃度、に希釈調整したものを「測定
用供試試料溶液」とする。試験管に、L−チロシン溶液
(濃度:0.3mg/m)1mと、マッキルベイン緩衝液(Mc
Ivain Buffer Solution)(pH6.8)1mとをそれぞれ
入れておき、これらの各試験管に前記オルシノール誘導
体を溶解した各種測定用供試試料溶液またはブランクテ
スト(陰性対照)の希釈溶剤(エタノール/1,3−ブチレ
ングリコール/蒸留水=50/30/70の混合溶液)をそれぞ
れ0.9m加え、これを37℃の恒温水槽中で10分間インキ
ュベートする。
前記インキュベートしたものにチロシナーゼ溶液(濃
度:1mg/m・マッキルベイン緩衝液)を0.1m加えて、
よく撹拌し直ちに475nmにおける吸光度を経時的に測定
する。(各測定時点での吸光度値として、チロシナーゼ
溶液添加直後の吸光度に対しては添字を,添加後X分
インキュベート経過後の吸光度値に対しては添字xをそ
れぞれ付して示す)各吸光度値を次の式に代入してチ
ロシナーゼ活性抑制率を算出する。なお、この発明にお
ける各種オルシノール誘導体のチロシナーゼ活性抑制率
の算出には、反応液投入後10分後の吸光度を使用する。
B0:ブランク溶液の0分後における吸光度値 Bx:ブランク溶液のX分後における吸光度値 A0:試験溶液の0分後における吸光度値 Ax:試験溶液のX分後における吸光度値 この発明にかかる各種オルシノール誘導体のチロシナ
ーゼ活性抑制効果の比較検討するに際しては、チロシナ
ーゼ活性を50%抑制するのに必要な供試料の量をモル濃
度(M)で示すこととし、これを仮にID50として表わ
す。そして、前記ID50値は次の式により算出した。な
お、前記ID50値を式により算出するに際して、前記ID
50の誤差をできるだけ小さくするために、Csの濃度
(M)はID50値濃度(M)に近似したCs濃度(M)を試
行選定し、当該『ID50の近似Cs濃度』におけるチロシナ
ーゼ活性抑制率(TI)を測定するのが肝要である。
ID50:供試試料のチロシナーゼ活性50%抑制濃度(単
位:モル=M) Cs:測定に供した供試試料の濃度(単位:モル=M) TI:測定にかかるチロシナーゼ活性抑制率(単位:%)
〔つまり、前記測定に供した供試料に濃度Cs(M)にお
けるチロシナーゼ活性抑制率〕 第9表は、オルシノールおよびこの発明にかかる各種
オルシノール誘導体のチロシナーゼ活性抑制効果(I
D50)の比較表である。第9表は、オルシノールおよび
この発明にかかるいずれのオルシノール誘導体も、10-3
〜10-5モル(M)単位でチロシナーゼ活性50%抑制効果
を示すことを示唆している。そして、一般的には同一置
換基の誘導体について比較検討すれば、II型化合物より
もI型化合物の方が優れたチロシナーゼ活性抑制効果を
有することをも同時に示唆している。特に、置換基にお
けるnの値が小さい程チロシナーゼ活性抑制効果の差が
大きい。(つまり、プレニル基>ゲラニル基>ファルネ
シル基>ゲラニルゲラニル基) (b)この発明にかかる各種オルシノール誘導体の抗酸
化効果(抗酸化力価)の測定方法。
各種オルシノール誘導体の抗酸化効果(抗酸化力価)
の測定は、公知のロダン鉄法に基づき測定する。すなわ
ち、標準的な被酸化試料としてリノール酸を使用する。
そして、チオシアン酸アンモニウム試薬と,酸化された
リノール酸と,塩化第一鉄試薬とを反応させて赤色を呈
するロダン鉄を生成せしめ、500nmにおける吸光度を測
定することにより、このロダン鉄の生成量(赤色色素)
を定量測定する。したがって、被酸化試料のリノール酸
が酸化される程高い吸光度を示し、よって、前記各種オ
ルシノール誘導体が有する抗酸化作用に基づき前記被酸
化試料(リノール酸)の酸化が抑制されると、生成ロダ
ン鉄による吸光度が低い値を示すこととなる。なお、こ
の測定における陰性対照(ブランク)にはエタノール
を、陽性対照には0.01%α−トコフェロール(エタノー
ル希釈液)を使用する。そして、塩化第一鉄試薬を加え
て3分後の500nmにおける吸光度を測定する。その後、
各試料溶液の経時的抗酸化効果(力価)を計測するため
に、各測定試料液は38℃に保ち、24時間毎に波長500nm
における吸光度を経時的に測定する。
第10表は、オルシノール,この発明にかかる各種オル
シノール誘導体および陽性対照(いずれも濃度:0.01
%)の抗酸化効果(力価)の測定結果示す。第10表は、
測定濃度0.01%という低濃度において、優れた抗酸化効
果(力価)を奏することを示唆している。同一置換基の
各種誘導体を比較した場合、I型化合物の方がII型化合
物よりも優れた抗酸化作用を有していることを示唆して
いる。そして、I型化合物について共通した作用・効果
としては、24時間〜48時間において特に優れた抗酸化作
用・効果を有することを示唆している。また、従来の公
知の抗酸化剤としてその効果が一般的に是認されている
α−トコフェロールと比較した場合、置換基がプレニル
基またはファルネシル基のI型化合物については特に顕
著な抗酸化効果(力価)を奏することが示唆されてい
る。
(c)この発明にかかる各種オルシノール誘導体の抗菌
効果の測定方法。
オルシノールおよびこの発明にかかる各種オルシノー
ル誘導体の抗菌効果の測定は、公知のペーパーディスク
法により測定する。供試菌株としては、この発明にかか
る各種オルシノール誘導体の食料品・医薬品(内服薬)
への応用・利用を考慮して、菌体外毒素生産菌の黄色ブ
ドウ球菌(スタフィロコッカス・オーレウス/Staphyloc
occus aureus)に対する抗菌効果を測定する。一方、
この発明にかかる各種オルシノール誘導体の化粧料・医
薬品(外用薬)等への応用・利用を考慮して、細菌由
来のリパーゼ等の酵素を生産して皮脂の成分である中性
脂質が加水分解されて遊離の脂肪酸ができ,この脂肪酸
により皮膚に炎症を起こすと考えられている点、さらに
細菌が各種毒素・酵素を菌体外に生産し、ニキビ病巣
部に関与していると考えられている点等々、このような
の諸問題を考慮して、その代表的な細菌(プロピオ
ニバクテリウム・アクネスPropionibacterium acnes)
に対する抗菌効果を測定する。
第11表は、前記黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス
・オーレウス)に対する抗菌効果試験の測定結果例を示
す。第12表は、前記プロピオニバクテリウム・アクネス
に対する抗菌効果試験の測定結果例を示す。第11表およ
び第12表は、いずれも、この発明にかかる各種オルシノ
ール誘導体は0.01%〜0.5%という濃度においても、優
れた抗菌作用・効果を奏することを示唆している。特
に、G−I型化合物およびG−II型化合物の誘導体はプ
ロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium
acnes)に対する抗菌効果が顕著であることを示唆し
ている。
<作用> この発明にかかる各種オルシノール誘導体(8種類)
は、いずれも優れた生理活性、すなわち(a)チロシナ
ーゼ活性抑制作用、(b)抗酸化作用および(c)抗菌
作用を有することが認められる。また、オルシノールに
ついては、前記チロシナーゼ活性抑制作用および抗酸化
作用が認められる。
<実施例> I〕化学的合成方法による、この発明にかかる各種オル
シノール誘導体の調製例 i)置換基(R1およびR2)が、プレニル基(n=1)で
ある〔A〕I型化合物および〔B〕II型化合物の調製
例。
(a)合成原料: ・プレノール(prenol) (3−methyl−2−buten−1−ol) (C5H10O:分子量(MW)=86.13市販品/純度=99.3以
上) ・オルシノール(orcinol) (3,5−dihydroxytoluene) (C7H8O2:MW=124.14市販品/純度=95.0%以上) (b)合成方法: オルシノール2.5g(0.02M)とプレノール0.9g(0.01
M)とをナス型フラスコに秤りとり、これに無水塩化コ
バルト(CoCl2)0.9gを加え、還流冷却器を付し、時々
攪拌しながら70℃,2時間加熱した。
反応後、これを冷却したのち、ジエチルエーテル100m
を加えて反応物を溶かし、これを濾過してコバルト化
合物と分けた。
ジエチルエーテル相は、50mの水で数回洗浄した
後、無水硫酸ナトリウム5g加えて脱水した。その後、エ
チルエーテルを留去し、粗反応生成物(未反応物も含
む)を約3.2gを得た。
この粗反応生成物中、I型化合物〔2−プレニル−オ
ルシノール(以下「P−I型化合物」という)〕が約2
0.4%,II型化合物〔4−プレニル−オルシノール(以下
「P−II型化合物」という)〕が約6.6%含まれてい
た。
(c)P−I型化合物およびP−II型化合物の単離・精
製: 順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
・カラム条件: Shima−pack PREP−SIL,2.0cmφ×25cm,液相:イソプ
ロピルアルコール/n−ヘキサン=5/95,流速:9.0m/mi
n,UV:220nm) −1分画P−I型化合物:Rt=18分前後 −2分画P−II型化合物:Rt=11分後 逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
前記−1分画および−2分画を集め、溶剤を留去
した後、それぞれ逆相高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)によりさらに精製・単離した。
・カラム条件: Shima−pack PREP−ODS,2.0cmφ×25cm,(液相:メタ
ノール/水=65/35)+酢酸0.1%,流速:9.0m/min,U
V:220nm) −1分画P−I型化合物:Rt=17分前後 −2分画P−II型化合物:Rt=33分前後 前記−1分画および−2分画を分取し、これに3
倍容の水を加え、1/2容のジクロロメタンにより3回抽
出し、脱水し、溶剤を留去しP−I型化合物およびP−
II型化合物をそれぞれ得た。なお、前記P−I型化合物
の純度は99.4%以上、P−II型化合物の純度は99.1%以
上であった。また、粗反応生成物1gよりP−I型化合物
を114mg,P−II型化合物を55mg得た。
ii)置換基(R1およびR2)が、ゲラニル基(n=2)で
ある〔A〕I型化合物および〔B〕II型化合物の調製
例。
(a)合成原料: ・ゲラニオール(Geraniol) (trans−3,7−dimethyl−2,6−octadien−1−ol) (C10H18O:分子量(MW)=154.24市販品/純度=98.5以
上) ・オルシノール(orcinol) (3,5−dihydroxytoluene) (C7H8O2:MW=124.14市販品/純度=95.0%以上) (b)合成方法: オルシノール2.5g(0.02M)とゲラニオール1.6g(0.0
1M)とをナス型フラスコに秤りにとり、これに無水塩化
コバルト(CoCl2)0.9gを加え、還流冷却器に付し、時
々攪拌しながら70℃,2時間加熱した。
反応後、これを冷却したのち、ジエチルエーテル100m
を加えて反応物を溶かし、これを濾過してコバルト化
合物と分けた。
ジエチルエーテル相は、50mの水で数回洗浄した
後、無水硫酸ナトリウム5g加えて脱水した。その後、エ
チルエーテルを留去し、粗反応生成物(未反応物も含
む)を約3.9gを得た。
この粗反応生成物中、I型化合物〔2−ゲラニル−オ
ルシノール(以下「G−I型化合物」という)〕が約2
2.6%,II型化合物〔4−ゲラニル−オルシノール(以下
「G−II型化合物」という)〕が約13.0%含まれてい
た。
(c)G−I型化合物およびG−II型化合物の単離・精
製: 順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
・カラム条件: Shima−pack PREP−SIL,2.0cmφ×25cm,液相:n−ヘキ
サン/イソプロパノール=95/%,流速:9.0m/min,UV:
220nm) −1分画G−I型化合物:Rt=18分前後 −2分画G−II型化合物:Rt=14分前後 逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
前記−1分画および−2分画を集め、溶剤を留去
した後、それぞれ逆相高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)によりさらに精製・単離した。
・カラム条件: Shima−pack PREP−ODS,2.0cmφ×25cm,液相:メタノ
ール/水=85/15,流速:9.0m/min,UV:220nm) −1分画G−I型化合物:Rt=16分前後 −2分画G−II型化合物:Rt=12分前後 前記−1分画および−2分画を分取し、これに3
倍容の水を加え、1/2容のジクロロメタンにより3回抽
出し、脱水し、溶剤を留去しG−I型化合物およびG−
II型化合物をそれぞれ得た。なお、前記G−I型化合物
の純度は97.95以上、G−II型化合物の純度は99.7%以
上であった。また、粗反応生成物1gよりG−I型化合物
を155mg,G−II型化合物を88mg得た。
iii)置換基(R1およびR2)が、ファネルシル基(n=
3)である〔A〕I型化合物および〔B〕II型化合物の
調製剤。
(a)合成原料: ・ファネルシル基(Farnesol) (E,E−3,7−dimethyl−2,6−octadien−1−ol) (C15H26O:分子量(MW)=222.37市販品/純度=99.5以
上) ・オルシノール(orcinol) (3,5−dihydroxytoluene) (C7H8O2:MW=124.14市販品/純度=95.0%以上) (b)合成方法: オルシノール2.5g(0.02M)とファルネソール2.2g
(0.01M)とをナス型フラスコに秤りとり、これに無水
塩化コバルト(CoCl2)0.9gを加え、還流冷却器を付
し、時々攪拌しながら70℃,2時間加熱した。
反応後、これを冷却したのち、ジエチルエーテル100m
を加えて反応物を溶かし、これを濾過してコバルト化
合物と分けた。
ジエチルエーテル相は、50mの水で数回洗浄した
後、無水硫酸ナトリウム5g加えて脱水した。その後、エ
チルエーテルを留去し、粗反応生成物(未反応物も含
む)を約4.4gを得た。
この粗反応生成物中、I型化合物〔2−ファルネシル
−オルシノール(以下「F−I型化合物」という)〕が
約21.0%,II型化合物〔4−ファルネシル−オルシノー
ル(以下「F−II型化合物」という)〕が約9.5%含ま
れていた。
(c)F−I型化合物物およびF−II型化合物の単離・
精製: 順相高速液体クロマトグラフィー(HPLCによる単離・
精製。
・カラム条件: Shima−pack PREP−SIL,2.0cmφ×25cm,液相:n−ヘキ
サン/イソプロパノール=95/5,流速:9.0m/min,UV:22
0nm) −1分画F−I型化合物:Rt=15分前後 −2分画F−II型化合物:Rt=9分前後 逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
前記−1分画および−2分画を集め、溶剤を留去
した後、それぞれ逆相高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)によりさらに精製・単離した。
・カラム条件: Shima−pack PREP−ODS,2.0cmφ×25cm,液相:メタノ
ール/水=90/10,流速:9.0m/min,UV:220nm) −1分画F−I型化合物:Rt=22分前後 −2分画F−II型化合物:Rt=15分前後 前記−1分画および−2分画を分取し、これに3
倍容の水を加え、1/2容のジクロロメタンにより3回抽
出し、脱水し、溶剤を留去しF−I型化合物およびF−
II型化合物をそれぞれ得た。なお、前記F−I型化合物
の純度は99.5%以上、F−II型化合物の純度には99.3%
以上であった。また、粗反応生成物1gよりF−I型化合
物を122mg,F−II型化合物を58mg得た。
なお、ここで合成されたオルシノールのファルネシル
誘導体つまりF−I型化合物およびF−II型化合物は、
いずれも天然物(ニンギョウタケなど)に存在する化合
物〔ネオグリフォリン(=F−I型化合物)およびグリ
フォリン(F−II型化合物)〕であることが各種化合物
同定・確認データ(赤外線スペクトル、紫外線スペクト
ル、マススペクトル、TLC、NMRなどの諸データ)より判
明した。
iv)置換基(R1およびR2)が、ゲラニルゲラニル基(n
=4)である〔A〕I型化合物および〔B〕II型化合物
の調製剤。
(a)合成原料: ・ゲラニルゲラニオール(Geranylgeraniol) (E,E,E−3,7,11,15−tetramethyl−2,6,10,14−pent
adecatetraen−1−ol) (C20H34O:分子量(MW)=290.49市販品/純度98.8以
上) ・オルシノール(orcinol) (3,5−dihydroxytoluene) (C7H8O2:MW=124.14市販品/純度=95.0%以上) (b)合成方法: オルシノール2.48g(0.02M)とゲラニルゲラニオール
2.90g(0.01M)とをナス型フラスコに秤りとり、これに
無水塩化コバルト(CoCl2)0.9gを加え、還流冷却器を
付し、時々攪拌しながら70℃,2時間加熱した。
反応後、これを冷却したのち、ジエチルエーテル100m
を加えて反応物を溶かし、これを濾過してコバルト化
合物と分けた。
エチルエーテル層は、50mの水で数回洗浄した後、
無水硫酸ナトリウム5g加えて脱水した。その後、エチル
エーテルを留去し、粗反応生成物(未反応物も含む)を
約5.2gを得た。
この粗反応生成物中、I型化合物〔2−ゲラニルゲラ
ニル−オルシノール(以下「GG−I型化合物」とい
う)〕が約21.2%,II型化合物〔4−ゲラニルゲラニル
−オルシノール(以下「GC−II型化合物」という)〕が
約15.6%含まれていた。
(c)GG−I型化合物およびGG−II型化合物の単離・精
製: 順層高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
・カラム条件: Shima−pack PREP−SIL,2.0cmφ×25cm,液相:イソプ
ロピルアルコール/n−ヘキサン=5/95,流速:9.0m/mi
n,UV:220nm) −1分画GG−I型化合物:Rt=15分前後 −2分画GG−II型化合物:Rt=9分前後 逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による単離
・精製。
前記−1分画および−2分画を集め、溶剤を留去
した後、それぞれ逆相高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)によりさらに精製・単離した。
・カラム条件: Shima−pack PREP−ODS,2.0cmφ×25cm,液相:メタノ
ール/水=95/5,流速:9.0m/min,UV:220nm) −1分画GG−I型化合物:Rt=22分前後 −2分画GG−II型化合物:Rt=16分前後 前記−1分画および−2分画を分取し、これに3
倍容の水を加え、1/2容のジクロロメタンにより3回抽
出し、脱水し、溶剤を留去しGG−I型化合物およびGG−
II型化合物をそれぞれ得た。なお、前記GG−I型化合物
の純度は99.7%以上、GG−II型化合物の純度は98.9%以
上であった。また、粗反応生成物1gよりGG−I型化合物
を145mg,GG−II型化合物を110mg得た。
この実施例において合成した各種オルシノール誘導体
(単離・精製後の各化合物)の各種同定・確認データは
第1表ないし第8表に示すとおりである。
第1表は、この実施例において合成した各種オルシノ
ール誘導体(単離・精製後)の各種性状を示す比較表で
ある。第2表は、この実施例において合成した各種オル
シノール誘導体(単離・精製後)のガスクロマトグラフ
ィー(GLC)の同定・確認結果例である。この第2表の
結果より、各種オルシノール誘導体は、高純度で単離・
精製されていることが立証される。第3表は、この実施
例において合成した各種オルシノール誘導体の薄層クロ
マトグラフィー(TLC)結果の比較表である。第3表よ
りいずれも単一のスポットのみを得ており、単離・精製
されていることが立証されている。第4表は、この実施
例において合成した各種オルシノール誘導体の紫外線吸
収スペクトル(UVスペクトル)結果の比較表であり、各
種化合物の極大吸収波長およびモル吸光係数の比較表で
ある。第5表は、この実施例において合成した各種オル
シノール誘導体の赤外線吸収スペクトル(IRスペクト
ル)の各特徴的吸収波長を示す比較表である。なお、合
成にかかる各種オルシノール誘導体の赤外線吸収スペク
トル(IRスペクトル)の図を第1図〜第8図に示した。
第6表は、この実施例において合成した各種オルシノー
ル誘導体の分子イオンピークの理論値と実測値結果との
比較表であり、この表から目的物が合成・単離・精製さ
れていることが立証される。第7表は、この実施例にお
いて合成した各種オルシノール誘導体のマススペクトル
(MS)における各フラグメントの比強度を表である。こ
の第7表により、各種オルシノール誘導体の各フラグメ
ントを解析すると、目的とする各種オルシノール誘導体
が得られ、単離・精製されていることが立証されてい
る。第8表は、この実施例において合成された各種オル
シノール誘導体の1H−NMRの結果例の比較表である。第
8表の結果によれば、この発明の実施例で合成・単離・
精製された各種オルシノール誘導体の1H−NMRスペクト
ルは目的とする各化合物の化学構造に一致した値を示し
ており、目的の各種オルシノール誘導体が確実に合成さ
れ,単離・精製されていることが立証されている。な
お、合成にかかる各種オルシノール誘導体の1H−NMRの
スペクトル図を第9図〜第16図に示した。
II〕この発明にかかる各種オルシノール誘導体の各種生
理活性の測定試験。
A)供試料: 後述の(i)チロシナーゼ活性抑制効果測定試験、
(ii)抗酸化効果試験および(iii)抗菌効果試験の各
種試験の供試料として、オルシノールおよび前記実施例
Iで合成され,精製・単離された各種オルシノール誘導
体(8種類)、すなわち前記、 P−I型合合物、P−II型化合物、 G−I型化合物、G−II型化合物、 F−I型化合物、F−II型化合物、 GG−I型化合物、GG−II型化合物 をそれぞれ使用した。
i)各種オルシノール誘導体のチロシナーゼ活性抑制効
果測定試験。
(a)供試料等の測定用溶液の調製。
前記供試料(前記〜)およびオルシノールをエタ
ノール/1,3−ブチレングリコール/水=50/30/70(v/
v)を希釈液として適当な濃度(たとえば、約0.1%〜10
%等の濃度であって、475nmにおける吸光度が適当な値
を示す範囲の濃度)に希釈して調製する。
(b)測定方法 試験管にそれぞれL−チロシン溶液(濃度:0.3mg/m
)1mと、マッキルベイン緩衝液(McIvain Buffer
Solution)(pH6.8)1mとをいれておき、これらの
各試験管に前記(a)で調製した各供試料の測定用溶液
およびブランク(陰性対照)用の希釈溶液〔エタノール
/1,3−ブチレングリコール/水=50/30/70(v/v)〕を
それぞれ0.9m加え、これを37℃の恒温水槽中で10分間
インキュベートする。
前記インキュベートしたものにチロシナーゼ溶液(濃
度:1mg/m・マッキルベイン緩衝液)を0.1m加えて、
よく攪反し直ちに475nmにおける吸光度を経時的に測定
する。(各測定時点での吸光度値として、チロシナーゼ
溶液添加直後の吸光度に対しては添字を,添加後X分
インキュベート経過後の吸光度値に対しては添字xをそ
れぞれ付して示す)各吸光度値を次の式に代入してチ
ロシナーゼ活性抑制率を算出する。なお、この発明にお
ける各種オルシノール誘導体のチロシナーゼ活性抑制率
の算出には、反応液投入後10分後(x=10)の吸光度を
使用する。なお、この吸光度値はドーパクロム(メラニ
ンの前駆物質)の生成料により測定されるものである。
B0 :ブランク溶液の0分後における吸光度値 B10:ブランク溶液の10分後における吸光度値 A0 :試験溶液の0分後における吸光度値 A10:試験溶液の10分後における吸光度値 この発明にかかる各種オルシノール誘導体のチロシナ
ーゼ活性抑制効果を比較検討するに際しては、チロシナ
ーゼ活性を50%抑制するのに必要な供試試料の量をモル
濃度(M)で示すこととし、これを仮にID50として表わ
す。そして、前記ID50値は次の式により算出した。な
お、ID50値の測定に際しては、ID50値の誤差を最小とす
るため、各測定用供試料の濃度(Cs)を可能なかぎりチ
ロシナーゼ活性抑制率が50%に近い濃度となるように選
定しておこなった。
ID50:チロシナーゼ活性を50%抑制するのに必要な濃度
(単位:モル=M) Cs:測定に供した供試試料の濃度(単位:モル=M) TI:測定にかかるチロシナーゼ活性抑制率(単位:%) (c)試験結果 この発明にかかる各種オルシノール誘導体及びオルシ
ノールのID50を第9表に示した。
第9表は、オルシノールおよびこの発明にかかる各種
オルシノール誘導体のチロシナーゼ活性抑制効果(I
D50)の比較表である。第9表は、オルシノールおよび
この発明にかかるいずれのオルシノール誘導体も、10-3
〜10-5モル(M)単位でチロシナーゼ活性50%抑制効果
を示すことを示唆している。そして、一般的には同一置
換基の誘導体について比較検討すれば、II型化合物より
もI型化合物の方がすぐれたチロシナーゼ活性抑制効果
を有することをも同時に示唆している。特に、置換基に
おけるnの値が小さい程チロシナーゼ活性抑制作用の差
が大きい。(つまり、プレニル基>ゲラニル基>ファル
ネシル基>ゲラニルゲラニル基)。
ii)各種オルシノール誘導体の抗酸化効果測定試験。
(『ロダン鉄法』による) (a)供試料および陽性対照等の測定用溶液の調製: 前記供試料(前記〜)およびオルシノールをエタ
ノールで希釈し、0.01%濃度の各測定用溶液を調製し
た。なお、陽性対照としてα−トコフェロールの0.01%
溶液を使用し、陰性対照(ブランク)としてエタノール
使用した。
(b)試薬の調製: (1)リノール酸(冷凍保存) (2)0.1Mリン酸緩衝液: (A液)0.1M KH2PO4、 (B液)0.1M Na2HPO4・12H2O 前記(A液):(B液)=4:6に混合し、pH7.0に調整
した液を調製する。
(3)30%ロダンアンモニウム液: チオシアン酸アンモニウムを30%(W/W)水溶液とな
るように調製する。
(4)2×10-2M塩化第一鉄(3.5%HCl)水溶液: 2×10-2M塩化第一鉄・5水塩を濃塩酸10mに溶か
し、90mの水で希釈して調製する。
(c)ロダン鉄法の試料の調製: (1)リノール酸0.8413gを30mのエタノールに溶解し
て調製する。
(2)前記(c)(1)のリノール酸エタノール液に前
記(b)(1)の0.1Mリン酸緩衝液を加えて全量150m
としたものを調製する。
(3)前記(c)(2)の調製液10mと、前記(a)
の各種供試料の測定用溶液2mと、前記(b)(1)の
0.1Mリン酸緩衝液8mとを混ぜる。
(d)ロダン鉄法: (1)前記(c)(3)の試料液0.1mに、75%エタノ
ール4.7mおよび前記(b)(3)の30%ロダンアンモ
ニウム液0.1mを加えた。
(2)前記(b)(4)の2×10-2M塩化第一鉄(3.5%
HCl)水溶液0.1mを前記(d)(1)の混合液に加え
て、3分後の波長λ=500nmにおける吸光度を測定し
た。
(3)前記(d)(2)の反応液は38℃に保ち、24時間
毎経時的に波長λ=500nmにおける吸光度を測定した。
(4)陽性対照としては、前記各種オルシノール誘導体
の測定用溶液の代わりに、0.01%α−トコフェロール
(エタノール溶液)について同様に吸光度の測定をし
た。また、陰性対照としては、エタノールについて同様
に吸光度の測定をした。
第10表は、オルシノール、この発明にかかる各種オル
シノール誘導体、陽性対照(α−トコフェロール)およ
び陰性対照(ブランク=エタノール)についての抗酸化
効果の測定結果の一例を示すものである。
第10表は、オルシノールおよびこの発明にかかる各種
オルシノール誘導体(濃度:0.01%)の抗酸化効果(力
価)の測定結果示す。第10表は、測定濃度0.01%という
低濃度において、優れた抗酸化効果(力価)を奏するこ
とを示唆している。同一置換基の各種誘導体を比較した
場合、I型化合物の方がII型化合物よりも優れた抗酸化
作用を有していることを示唆している。そして、I型化
合物について共通した作用・効果としては、24時間〜48
時間において特に優れた抗酸化作用・効果を有すること
を示唆している。また、従来の公知の抗酸化剤としてそ
の効果が一般的に是認されているα−トコフェロールと
比較した場合、置換基がプレニル基またはファネシル基
のI型化合物については特に顕著な抗酸化効果(力価)
を奏することを示唆している。
iii)各種オルシノール誘導体の抗菌効果測定試験実施
例。(『ペーパーディスク法』)による (a)供試菌株: (1)スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococc
us aureus):この発明にかかる各種オルシノール誘導
体の食品・医薬品(内服薬)への応用・利用を考慮して
菌体外に毒素・酵素を生産するこの黄色ぶどう球菌を選
んだ。
(2)プロピオニバクテリウム・アクネス(Propioniba
cterium acnes):この発明にかかる各種オルシノール
誘導体の化粧料・医薬品(外用薬)への応用・利用を考
慮して、ニキビ等の皮膚病巣部に関与していると考えら
れている代表的微生物としてこの菌株を選んだ。
(b)使用培地: (1)スタフィロコッカス・オーレウスの培養に関して
は、SCD培地(日本製薬株式会社製)を使用した。
(2)プロピオニバクテリウム・アクネスの培養に関し
ては、GAM培地(日本製薬株式会社製)を使用した。
なお、寒天平板をつくる場合には、寒天の含量を1.5
%とした。
(c)測定用各種供試料: 供試料としては、この発明の前記合成にかかる各種オ
ルシノール誘導体(前記〜の8種類)とオルシノー
ルとを使用し、これらの各供試料をDMSO(ジメチルスル
ホキシド)で所定の濃度に溶解したものを使用した。溶
解濃度としては、0.01%、0.025%、0.05%、0.1%の4
種または0.5%の1種の濃度について測定した。
(d)菌株の前培養: (1)フタフィロコッカス・オーレウスは、SCD液体培
地で28℃,24時間好気培養をしたものを使用した。
(2)プロピオニバクテリウム・アクネスはGAM液体培
地で37℃,3日間嫌気培養をしたものを使用した。
(e)平板培地への供試菌株の混釈: 前記(d)前培養した菌液(菌体数:約1.0×106個/m
)は、それぞれスタフィロコッカス・オーレウスの菌
液0.1mをSCD寒天培地20mに、プロピオニバクテリウ
ム・アクネスの菌液0.1mをGAM寒天培地20mを加え、
混釈して平板寒天培地をつくった。
(f)測定用各種供試料の添加: スタフィロコッカス・オーレウスに関しては15mmφの
ペーパーディスクを、一方、プロピオニバクテリウム・
アクネスに関しては直径6mmφのペーパーディスクを使
用し、それぞれのペーパーディスクに前記測定用各種供
試料を浸した後、前記供試菌株を混釈した前記各平板培
地上に前記各種供試料を含浸したペーパーディスクを接
着させた。
(g)抗菌効果測定のための培養: スタフィロコッカス・オーレウスに関しては37℃,好
気条件下で3日間培養し、一方、プロピオニバクテリウ
ム・アクネスに関しては37℃,嫌気条件下で3日間培養
し、それぞれ前記培養後、阻止円の直径を測定した。
第11表は、この発明にかかる各種オルシノール誘導体
およびオルシノールのスタフィロコッカス・オーレウス
に対する抗菌効果の試験結果例を示す。一方、第12表
は、この発明にかかる各種オルシノール誘導体およびオ
ルシノールのプロピオニバクテリウム・アクネスに対す
る抗菌効果の試験結果例を示す。
第11表は、前記黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス
・オーレウス)に対する抗菌効果試験の測定結果例を示
す。第12表は、前記プロピオニバクテリウム・アクネス
に対する抗菌効果試験の測定結果例を示す。第11表およ
び第12表は、いずれも、この発明にかかる各種オルシノ
ール誘導体は0.01%〜0.5%という濃度においても、優
れた抗菌作用・効果を奏することを示唆している。特
に、G−I型化合物およびG−II型化合物の誘導体はプ
ロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterum
acnes)に対する抗菌効果が顕著であることを示唆して
いる。
<効果> この発明にかかる各種オルシノール誘導体(8種類)
およびオルシノールは、いずれも優れた(1)チロシナ
ーゼ活性抑制作用,(2)抗酸化作用を有しており、ま
たこの発明にかかる各種オルシノール誘導体は(3)抗
菌作用を有しているので、 (a)チロシナーゼ活性抑制作用に基づき、これらを配
合した化粧料等には優れた肌の美白作用・効果を有す
る。
(b)抗酸化作用に基づき、これらを配合した各種製品
の酸化防止を達成ができる。しかも後述(c)のよう
に、この発明にかかる各種オルシノール誘導体は食料品
・化粧料・医薬品(内服薬および外用薬)等々に広く適
用でき、その利用・応用範囲が極めて広い。
(c)抗菌作用に基づき、これらを食料品・医薬品(内
服薬)等に配合することにより食料品の防腐や食中毒の
防止を図ることができ、食品衛生上すぐれた抗菌剤とな
り得る。また、化粧料・医薬品(外用薬)等に配合する
ことにより、皮膚微生物等の繁殖防止を図ることがで
き、皮膚衛生上すぐれた抗菌剤にもなり得る。
(d)前記(a)〜(c)記載のすぐれた作用を有する
この発明にかかる各種オルシノール誘導体は、化学的合
成方法により高純度で得ることができるので、各種利用
目的に応じて合目的的に利用・応用でき、しかも不純物
が混在しないため安全で、品質が一定で、さらに量産・
安定供給できるという産業上極めて優れた利点がある。
等々、この発明の目的を達成する顕著な効果を奏するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、P−I型化合物のIRスペクトル図、 第2図は、P−II型化合物のIRスペクトル図、 第3図は、G−I型化合物のIRスペクトル図、 第4図は、G−II型化合物のIRスペクトル図、 第5図は、F−I型化合物のIRスペクトル図、 第6図は、F−II型化合物のIRスペクトル図、 第7図は、GG−I型化合物のIRスペクトル図、 第8図は、GG−II型化合物のIRスペクトル図、 第9図は、P−I型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第10図は、P−II型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第11図は、G−I型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第12図は、G−II型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第13図は、F−I型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第14図は、F−II型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第15図は、GG−I型化合物の1H−NMRスペクトル図、 第16図は、GG−II型化合物の1H−NMRスペクトル図 をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上原 久生 大阪府大阪市福島区海老江1丁目11番17 号 (72)発明者 田中 弘 大阪府寝屋川市緑町43番地の1 (56)参考文献 特開 昭61−27909(JP,A) 特許2844088(JP,B2) CHEMICAL ABSTRACT S 103:173736 J.Pharm.Sci.,Vol. 71,No.12,1982,P.1319−1323 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 7/00 - 7/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔A〕I型化合物および一般式
    〔B〕II型化合物 〔式中、R1およびR2は、一般式〔C〕 で表される基であって、R1はn=0,1,2,4で示される
    基、R2はn=0,1,2,3,4で示される基〕 で表される化合物群から選択される化合物の1種または
    2種以上を含有することを特徴とするチロシナーゼ活性
    抑制剤。
  2. 【請求項2】一般式〔A〕I型化合物および一般式
    〔B〕II型化合物 〔式中、R1およびR2は、一般式〔C〕 で表される基であって、R1はn=1,2,3,4で示される
    基、R2はn=1,2,3,4で示される基〕 で表される化合物群から選択される化合物の1種または
    2種以上を含有することを特徴とする抗酸化剤。
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