JP2966595B2 - ステンレス鋼の表面処理方法、表面処理ステンレス鋼、及びガスケット - Google Patents
ステンレス鋼の表面処理方法、表面処理ステンレス鋼、及びガスケットInfo
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は主にオーステナイト系ス
テンレス鋼表面を陰極とし、溶液中において電気化学的
処理を行ない、その表面に形成された皮膜により塗料お
よび接着剤のぬれ性を向上させ、塗装性、接着性を飛躍
的に向上させる表面処理、表面処理されたステンレス
鋼、及びこのステンレス鋼を利用したガスケットに関す
る。
テンレス鋼表面を陰極とし、溶液中において電気化学的
処理を行ない、その表面に形成された皮膜により塗料お
よび接着剤のぬれ性を向上させ、塗装性、接着性を飛躍
的に向上させる表面処理、表面処理されたステンレス
鋼、及びこのステンレス鋼を利用したガスケットに関す
る。
【０００２】
【従来の技術】米国特許第３６４２５８６号は、溶液中
でフェライト系ステンレス鋼を陽極電解処理することに
より塗装性の向上を図る方法を開示している。しかし、
この方法では、オーステナイト系ステンレス鋼を陽極電
解処理した場合に、このステンレス鋼が含有しているニ
ッケルにより反応が抑制され、ステンレス鋼表面に水和
酸化物皮膜が生成されない。このため、表面処理された
ステンレス鋼のぬれ性の向上が顕著ではなく、塗装性の
向上が認められない。
でフェライト系ステンレス鋼を陽極電解処理することに
より塗装性の向上を図る方法を開示している。しかし、
この方法では、オーステナイト系ステンレス鋼を陽極電
解処理した場合に、このステンレス鋼が含有しているニ
ッケルにより反応が抑制され、ステンレス鋼表面に水和
酸化物皮膜が生成されない。このため、表面処理された
ステンレス鋼のぬれ性の向上が顕著ではなく、塗装性の
向上が認められない。
【０００３】
【発明が解決しようとする技術的課題】本発明の目的
は、公害上の問題がなく、オーステナイト系ステンレス
鋼においても塗料の密着性の向上および接着性の向上を
図ることができるステンレス鋼の表面処理方法、この表
面処理を適用したステンレス鋼、及びこのステンレス鋼
を使用したガスケットを提供することにある。
は、公害上の問題がなく、オーステナイト系ステンレス
鋼においても塗料の密着性の向上および接着性の向上を
図ることができるステンレス鋼の表面処理方法、この表
面処理を適用したステンレス鋼、及びこのステンレス鋼
を使用したガスケットを提供することにある。
【０００４】
【課題を解決する手段】上記目的を達成するために、本
発明の表面処理方法は、ステンレス鋼表面をアルカリ溶
液中で陰極電解処理して鉄系水和酸化物を主体とする皮
膜を形成する。
発明の表面処理方法は、ステンレス鋼表面をアルカリ溶
液中で陰極電解処理して鉄系水和酸化物を主体とする皮
膜を形成する。
【０００５】表面処理されるステンレス鋼は、フェライ
ト系、オーステナイト系など任意のステンレス鋼に適用
できる。特にオーステナイト系ステンレス鋼に有意義で
ある。一般に本発明の表面処理がなされるステンレス鋼
は、予め表面仕上げがなされているが、そのの表面仕上
げはＢＡ、２Ｂ、その他任意のものでよい。
ト系、オーステナイト系など任意のステンレス鋼に適用
できる。特にオーステナイト系ステンレス鋼に有意義で
ある。一般に本発明の表面処理がなされるステンレス鋼
は、予め表面仕上げがなされているが、そのの表面仕上
げはＢＡ、２Ｂ、その他任意のものでよい。
【０００６】表面処理用のアルカリ溶液は、好適な例を
挙げれば、０．２〜５０重量％水酸化ナトリウムを含む
溶液、又は０．２〜５０重量％水酸化ナトリウムに０．
２〜２０重量％のリン酸三ナトリウム１２水塩、０．２
〜２０重量％の炭酸ナトリウムを加えた緩衝水溶液であ
る。好適な液温は２０℃〜９５℃、好適な電流密度は
０．５Ａ／ｄｍ2 以上、好適な処理時間は１０秒以上で
ある。上記条件の範囲が好ましい理由は、０．２重量％
未満の水酸化ナトリウム、０．２重量％未満のリン酸三
ナトリウム、０．２重量％未満の炭酸ナトリウムではス
テンレス鋼板の表面に均一な有効皮膜が得られにくく、
ステンレス鋼板の塗装性、接着性の向上が得られないた
めである。また、上限を越えると液の劣化が著しく、ま
た、経済的にも不利なためである。液温は２０℃未満で
は塗装性、接着性の向上の効果が小さく、液温を上げる
ことにより処理時間の短縮、消費電力が軽減される利点
があるが、９５℃以上では液濃度の管理が難しいためで
ある。また、電流密度０．５Ａ／ｄｍ2 以下、処理時間
１０秒以下では塗装性、接着性の向上の効果が小さい。
陰極電解処理に使用する対極はニッケル含有量が３重量
％未満の鉄系材料で、例えば鉄、フェライト系ステンレ
ス鋼である。
挙げれば、０．２〜５０重量％水酸化ナトリウムを含む
溶液、又は０．２〜５０重量％水酸化ナトリウムに０．
２〜２０重量％のリン酸三ナトリウム１２水塩、０．２
〜２０重量％の炭酸ナトリウムを加えた緩衝水溶液であ
る。好適な液温は２０℃〜９５℃、好適な電流密度は
０．５Ａ／ｄｍ2 以上、好適な処理時間は１０秒以上で
ある。上記条件の範囲が好ましい理由は、０．２重量％
未満の水酸化ナトリウム、０．２重量％未満のリン酸三
ナトリウム、０．２重量％未満の炭酸ナトリウムではス
テンレス鋼板の表面に均一な有効皮膜が得られにくく、
ステンレス鋼板の塗装性、接着性の向上が得られないた
めである。また、上限を越えると液の劣化が著しく、ま
た、経済的にも不利なためである。液温は２０℃未満で
は塗装性、接着性の向上の効果が小さく、液温を上げる
ことにより処理時間の短縮、消費電力が軽減される利点
があるが、９５℃以上では液濃度の管理が難しいためで
ある。また、電流密度０．５Ａ／ｄｍ2 以下、処理時間
１０秒以下では塗装性、接着性の向上の効果が小さい。
陰極電解処理に使用する対極はニッケル含有量が３重量
％未満の鉄系材料で、例えば鉄、フェライト系ステンレ
ス鋼である。
【０００７】この様に処理されたフェライト系ステンレ
ス鋼は、表面に鉄系の水和酸化物を主体とする皮膜が形
成される。また対極の成分にクロムが含まれる場合など
には、鉄系の水和酸化物とともにクロム系の水和酸化物
が形成される。この皮膜の膜厚は数百オングストローム
から数千オングストロームである。
ス鋼は、表面に鉄系の水和酸化物を主体とする皮膜が形
成される。また対極の成分にクロムが含まれる場合など
には、鉄系の水和酸化物とともにクロム系の水和酸化物
が形成される。この皮膜の膜厚は数百オングストローム
から数千オングストロームである。
【０００８】この様にして鉄系の水和化合物を形成した
ステンレス鋼に塗膜を形成した後、各種用途、例えばガ
スケットに使用される。塗膜に使用する塗料は基材との
密着性の観点から主にエポキシ−アクリル、シリコン−
アクリル、エポキシ−ポリエステル、シリコン−ポリエ
ステル等の変成アクリル系あるいは変成ポリエステル系
の塗料が好ましい。
ステンレス鋼に塗膜を形成した後、各種用途、例えばガ
スケットに使用される。塗膜に使用する塗料は基材との
密着性の観点から主にエポキシ−アクリル、シリコン−
アクリル、エポキシ−ポリエステル、シリコン−ポリエ
ステル等の変成アクリル系あるいは変成ポリエステル系
の塗料が好ましい。
【０００９】
【作用】本発明方法によれば、処理対象となるステンレ
ス鋼を陰極にて電解処理することにより塗料との密着性
の良好な皮膜が得られる。本発明による陰極電解処理に
より陽極より溶出した鉄を主体とするイオンを陰極表面
に水和酸化物皮膜として電着させ、同時に電解処理時に
発生する水素ガスにより鋼の表面が脱脂される。ステン
レス鋼表面に形成された皮膜は、塗料および接着剤のぬ
れ性が高く、塗装性、接着性を飛躍的に向上する。従っ
て、この表面処理鋼板に塗膜を形成したものはガスケッ
ト等に使用した場合、極めて優れた特性を有する。
ス鋼を陰極にて電解処理することにより塗料との密着性
の良好な皮膜が得られる。本発明による陰極電解処理に
より陽極より溶出した鉄を主体とするイオンを陰極表面
に水和酸化物皮膜として電着させ、同時に電解処理時に
発生する水素ガスにより鋼の表面が脱脂される。ステン
レス鋼表面に形成された皮膜は、塗料および接着剤のぬ
れ性が高く、塗装性、接着性を飛躍的に向上する。従っ
て、この表面処理鋼板に塗膜を形成したものはガスケッ
ト等に使用した場合、極めて優れた特性を有する。
【００１０】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。ただ
し本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に制約
されるものではない。 ［実施例１］ 本発明陰極処理と陽極処理とのぬれ性、
塗装性の比較
し本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に制約
されるものではない。 ［実施例１］ 本発明陰極処理と陽極処理とのぬれ性、
塗装性の比較
【００１１】オーステナイト系ステンレス鋼ＳＵＳ３０
４ステンレス鋼のＢＡ仕上げ材（板厚０．４mm）及び１
９重量％クロム含有のフェライト系ステンレス鋼（板厚
０．４mm）について、水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リ
ン酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム
４０ｇ／ｌの水溶液８０℃中で陽極電解電流密度６Ａ／
ｄｍ2 で１２０秒処理した後水洗、乾燥させた。また、
両鋼種を本発明である同溶液８０℃中で陰極電解電流密
度６Ａ／ｄｍ2 で１２０秒処理した後水洗、乾燥させ
た。このあと市販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μ
ｍの厚さで塗布し、試験材に供した。また、両ステンレ
ス鋼を電解処理せずに塗装系は同様のものを用いたもの
を比較材とした。ぬれ性の評価は塗装前にグリセリン
（一級試薬）との接触角を測定した。塗装性の評価はエ
リクセン６mm張り出し加工、２ｔ曲げ加工後ＣＡＳＳ試
験２４０時間に供し、その二次密着性をＣＡＳＳ試験
後、加工面にセロテープを貼り付け、急速に剥した後、
全く剥離の無いものを○印、僅かに剥離したものを△
印、著しく剥離したものを×印として目視で判定を行な
った。
４ステンレス鋼のＢＡ仕上げ材（板厚０．４mm）及び１
９重量％クロム含有のフェライト系ステンレス鋼（板厚
０．４mm）について、水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リ
ン酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム
４０ｇ／ｌの水溶液８０℃中で陽極電解電流密度６Ａ／
ｄｍ2 で１２０秒処理した後水洗、乾燥させた。また、
両鋼種を本発明である同溶液８０℃中で陰極電解電流密
度６Ａ／ｄｍ2 で１２０秒処理した後水洗、乾燥させ
た。このあと市販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μ
ｍの厚さで塗布し、試験材に供した。また、両ステンレ
ス鋼を電解処理せずに塗装系は同様のものを用いたもの
を比較材とした。ぬれ性の評価は塗装前にグリセリン
（一級試薬）との接触角を測定した。塗装性の評価はエ
リクセン６mm張り出し加工、２ｔ曲げ加工後ＣＡＳＳ試
験２４０時間に供し、その二次密着性をＣＡＳＳ試験
後、加工面にセロテープを貼り付け、急速に剥した後、
全く剥離の無いものを○印、僅かに剥離したものを△
印、著しく剥離したものを×印として目視で判定を行な
った。
【００１２】評価結果を表１に示す。陽極電解処理品で
はフェライト系ステンレス鋼に顕著なぬれ性の向上と塗
装性の向上が認められたが、オーステナイト系ステンレ
ス鋼ＳＵＳ３０４では、若干のぬれ性の向上が認められ
るものの、塗装性の向上は特に認められなかった。一
方、陰極電解処理を施したものでは両鋼種共に顕著なぬ
れ性の向上と塗装性の向上が認められた。 ［実施例２］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との二次加工性の評価
はフェライト系ステンレス鋼に顕著なぬれ性の向上と塗
装性の向上が認められたが、オーステナイト系ステンレ
ス鋼ＳＵＳ３０４では、若干のぬれ性の向上が認められ
るものの、塗装性の向上は特に認められなかった。一
方、陰極電解処理を施したものでは両鋼種共に顕著なぬ
れ性の向上と塗装性の向上が認められた。 ［実施例２］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との二次加工性の評価
【００１３】板厚０．４ｍｍのＳＵＳ３０４ステンレス
鋼のＢＡ仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液８０℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で６０秒処理した後水洗、乾燥させた。このあと市
販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗布
し、試験材に供した。また、本発明の陰極展開処理をし
ないで塗装系は同様のものを用いて比較例として両者の
塗膜密着性を曲げ加工、エリクセン６ｍｍ張り出し加
工、クロスカット後ＣＡＳＳ試験２４０時間に供し、そ
の二次密着性を評価し結果を表２に示した。 ［実施例３］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との二次加工性の評価
鋼のＢＡ仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液８０℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で６０秒処理した後水洗、乾燥させた。このあと市
販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗布
し、試験材に供した。また、本発明の陰極展開処理をし
ないで塗装系は同様のものを用いて比較例として両者の
塗膜密着性を曲げ加工、エリクセン６ｍｍ張り出し加
工、クロスカット後ＣＡＳＳ試験２４０時間に供し、そ
の二次密着性を評価し結果を表２に示した。 ［実施例３］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との二次加工性の評価
【００１４】板厚０．２ｍｍのＳＵＳ３０１ステンレス
鋼の１号仕上げ材を水酸化ナトリウム４０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液７５℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で６０秒処理した後水洗、乾燥させた。このあと市
販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗布
し、試験材に供した。また、本発明の陰極電解処理をし
ないで塗装系は同様のものを用いて比較例として両者の
塗膜密着性をＶ曲げ加工を施した後ＣＡＳＳ試験２４０
時間に供し、その二次密着性を評価し結果を表３に示し
た。 ［実施例４］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との塗膜密着性の評価
鋼の１号仕上げ材を水酸化ナトリウム４０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液７５℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で６０秒処理した後水洗、乾燥させた。このあと市
販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗布
し、試験材に供した。また、本発明の陰極電解処理をし
ないで塗装系は同様のものを用いて比較例として両者の
塗膜密着性をＶ曲げ加工を施した後ＣＡＳＳ試験２４０
時間に供し、その二次密着性を評価し結果を表３に示し
た。 ［実施例４］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との塗膜密着性の評価
【００１５】板厚０．２mmのＳＵＳ３０１ステンレス鋼
の１号仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン酸
三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４０
ｇ／ｌの水溶液８５℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄｍ
2 で６０秒、１８０秒、３００秒処理した後水洗、乾燥
させた。このあとシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍ
の厚さで塗布し、試験材に供した。また、本発明の陰極
電解処理をしないで塗装系は同様のものを用いて比較例
として両者の塗膜密着性をホンダ純正ラジエター液原液
１３０℃中に１００時間半浸漬し、塗膜の密着性を評価
した結果を表４に示した。 ［実施例５］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との塗膜密着性の評価
の１号仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン酸
三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４０
ｇ／ｌの水溶液８５℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄｍ
2 で６０秒、１８０秒、３００秒処理した後水洗、乾燥
させた。このあとシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍ
の厚さで塗布し、試験材に供した。また、本発明の陰極
電解処理をしないで塗装系は同様のものを用いて比較例
として両者の塗膜密着性をホンダ純正ラジエター液原液
１３０℃中に１００時間半浸漬し、塗膜の密着性を評価
した結果を表４に示した。 ［実施例５］ 本発明処理鋼と本発明処理をおこなわな
い鋼との塗膜密着性の評価
【００１６】板厚０．２ｍｍのＳＵＳ３０１ステンレス
鋼の１号仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液８５℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で５分間処理した後水洗、乾燥させた。序でイブに
シリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗布し
た。この後市販のフェノール系接着材を用いて２０μｍ
のアクリロニトリルブタジエンゴム（以下ＮＢＲと略
す）を張りつけた。また、本発明の陰極電解処理をしな
いで同様にＮＢＲを張りつけたものを比較例として両者
の密着性をホンダ純正ラジエター液（商品名）原液１３
０℃中に１００時間半浸漬および０．２ＲのＶ曲げ加工
後にテープ剥離試験で評価した結果を表５に示した。
鋼の１号仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液８５℃中で陰極電解電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で５分間処理した後水洗、乾燥させた。序でイブに
シリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗布し
た。この後市販のフェノール系接着材を用いて２０μｍ
のアクリロニトリルブタジエンゴム（以下ＮＢＲと略
す）を張りつけた。また、本発明の陰極電解処理をしな
いで同様にＮＢＲを張りつけたものを比較例として両者
の密着性をホンダ純正ラジエター液（商品名）原液１３
０℃中に１００時間半浸漬および０．２ＲのＶ曲げ加工
後にテープ剥離試験で評価した結果を表５に示した。
【００１７】実施例２、３における密着性の評価方法は
ＣＡＳＳ試験後におこない、実施例５では加工後に加工
面にセロテープを貼り付け、急速に剥した後におこなっ
た。そして、全く剥離の無いものを○印、僅かに剥離し
たものを△印、著しく剥離したものを×印として目視で
判定を行なった。実施例４、５のラジエター液原液に半
浸漬試験では剥離の全く無いものを○印、ブリスターが
認められるものを△印、著しく剥離したものを×印とし
て目視で判定を行なった。
ＣＡＳＳ試験後におこない、実施例５では加工後に加工
面にセロテープを貼り付け、急速に剥した後におこなっ
た。そして、全く剥離の無いものを○印、僅かに剥離し
たものを△印、著しく剥離したものを×印として目視で
判定を行なった。実施例４、５のラジエター液原液に半
浸漬試験では剥離の全く無いものを○印、ブリスターが
認められるものを△印、著しく剥離したものを×印とし
て目視で判定を行なった。
【００１８】表から判るように本発明の陰極電解処理を
施したものは優れた密着性、接着性能を有している。特
に実施例２においては加工度の高い０〜４ｔ曲げでは僅
かに剥離した△〜○に対し、比較例の塗膜は著しく剥離
していた。また、実施例５においても接着性が優れてい
ることが判った。 ［実施例６］ 本発明処理とクロメート処理との塗装密
着性比較
施したものは優れた密着性、接着性能を有している。特
に実施例２においては加工度の高い０〜４ｔ曲げでは僅
かに剥離した△〜○に対し、比較例の塗膜は著しく剥離
していた。また、実施例５においても接着性が優れてい
ることが判った。 ［実施例６］ 本発明処理とクロメート処理との塗装密
着性比較
【００１９】ステンレス鋼を基材とする塗装鋼板では、
塗装前処理として一般にクロメート処理がおこなわれて
いる。そこで、本発明とクロメート処理との塗装密着性
を比較した。
塗装前処理として一般にクロメート処理がおこなわれて
いる。そこで、本発明とクロメート処理との塗装密着性
を比較した。
【００２０】板厚０．４ｍｍのＳＵＳ３０４ステンレス
鋼のＢＡ仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液８０℃中で陰極電界電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で１２０秒処理した後、水洗、乾燥させた。この後
市販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗
布し、試験材に供した。また比較例として同鋼種にクロ
メート処理を０．０５〜０．１μｍの厚さに施した後、
市販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗
布した。両者の塗膜密着性を曲げ加工、エリクセン６ｍ
ｍ張出し加工後ＣＡＳＳ試験２４０時間に供し、その二
次密着性を評価し、結果を表６に示した。密着性の評価
方法はＣＡＳＳ試験後に加工面にセロテープを張付け、
急速に剥がした後、全く剥離のないものを○印、僅かに
剥離したものを△印、著しく剥離したものを×印として
目視にて判定をおこなった。表６から分かるように本発
明の陰極電界処理を施したものはクロメート処理と同等
以上の塗装密着性を有していることが分かる。
鋼のＢＡ仕上げ材を水酸化ナトリウム２０ｇ／ｌ、リン
酸三ナトリウム１２水塩３０ｇ／ｌ、炭酸ナトリウム４
０ｇ／ｌの水溶液８０℃中で陰極電界電流密度６Ａ／ｄ
ｍ2 で１２０秒処理した後、水洗、乾燥させた。この後
市販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗
布し、試験材に供した。また比較例として同鋼種にクロ
メート処理を０．０５〜０．１μｍの厚さに施した後、
市販のシリコンアクリル系塗料を５〜６μｍの厚さで塗
布した。両者の塗膜密着性を曲げ加工、エリクセン６ｍ
ｍ張出し加工後ＣＡＳＳ試験２４０時間に供し、その二
次密着性を評価し、結果を表６に示した。密着性の評価
方法はＣＡＳＳ試験後に加工面にセロテープを張付け、
急速に剥がした後、全く剥離のないものを○印、僅かに
剥離したものを△印、著しく剥離したものを×印として
目視にて判定をおこなった。表６から分かるように本発
明の陰極電界処理を施したものはクロメート処理と同等
以上の塗装密着性を有していることが分かる。
【００２１】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、本発明
方法に係るステンレス鋼によれば、密着性、接着性に優
れており、塗装ステンレス鋼が使用される用途、例えば
内装建材、車両用モールディング部品、家電・ＯＡ機器
等に利用できる。また、ガスケット部品等ではステンレ
ス鋼にＮＢＲ等のエラストマーを接合させているが、そ
の下地処理にも利用できる。
方法に係るステンレス鋼によれば、密着性、接着性に優
れており、塗装ステンレス鋼が使用される用途、例えば
内装建材、車両用モールディング部品、家電・ＯＡ機器
等に利用できる。また、ガスケット部品等ではステンレ
ス鋼にＮＢＲ等のエラストマーを接合させているが、そ
の下地処理にも利用できる。
【００２２】
【表１】
【００２３】
【表２】
【００２４】
【表３】
【００２５】
【表４】
【００２６】
【表５】
【００２７】
【表６】
Claims (5)
- 【請求項１】 ステンレス鋼表面をアルカリ溶液中で陰
極電解処理して鉄系水和酸化物皮膜を形成する表面処理
方法。 - 【請求項２】 陰極電解処理に使用する対極はニッケル
含有量が３重量％未満の鉄系材料である請求項１に記載
の表面処理方法。 - 【請求項３】 電解処理溶液は０．２〜５０重量％の水
酸化ナトリウムを含む溶液、又は０．２〜５０重量％水
酸化ナトリウムに緩衝剤として０．２〜２０重量％のリ
ン酸三ナトリウム１２水塩、０．２〜２０重量％の炭酸
ナトリウムを加えた緩衝水溶液で、液温が２０℃〜９５
℃、電流密度０．５Ａ／ｄｍ2 以上、処理時間１０秒以
上である請求項１又は２に記載の表面処理方法。 - 【請求項４】 ステンレス鋼表面に鉄系の水和酸化物を
主体とする皮膜を形成した表面処理ステンレス鋼。 - 【請求項５】 ステンレス鋼表面に鉄系の水和酸化物を
主体とする皮膜を形成し、この皮膜上に塗膜を形成して
なるガスケット。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22327391A JP2966595B2 (ja) | 1991-09-04 | 1991-09-04 | ステンレス鋼の表面処理方法、表面処理ステンレス鋼、及びガスケット |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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