JP2966026B2 - 顕微鏡 - Google Patents

顕微鏡

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、顕微鏡に関するもので、詳しくは位相物体
等の透明な物体にコントラストを付けて、観察する変調
コントラスト検鏡が可能な顕微鏡に関するものである。
〔従来の技術〕
多くの生活物体のように被検体が無色透明であると、
光波を通しても波長や振幅に変化が生じないので、普通
の検鏡法によっては観察をすることができない。そこ
で、被検体の光学的厚さを利用する位相差検鏡法という
方法が用いられている。
そして、ここで用いられる顕微鏡として変調コントラ
スト顕微鏡があり、特開昭51−29149号公報、特開昭51
−128548号公報に記載されているようなものがある。こ
れは、コンデンサレンズの入射瞳に形成された方形の開
口部材と、それに対応する光制御領域を有する手段を対
物レンズ射出瞳位置に配設して、位相物体をコントラス
ト変化で視認するようにしたものである。
次に、この顕微鏡の光学系の基本構成を第15図にした
がって説明すると、光源141から出射した光束はリレー
レンズ142を通り、開口を有する開口スリット143の開口
で絞られコンデンサレンズ144により被検体145に照射さ
れる。被検体145を透過した光束は、対物レンズ146によ
り射出瞳位置即ち変調器147上に開口像を形成する。変
調器147は、複数の異なった濃度領域を有していて被検
体145の光学的位相傾斜(屈折力)に変調コントラスト
効果をつけるものである。そして、変調器147は対物レ
ンズ146の射出瞳面上すなわちフーリエ変換面上に位置
している。変調コントラスト効果がつけられた被検体14
5の像は、可視像として結像面148に結像されるのであ
る。
ここで従来の具体例をみると、特開昭51−128548号公
報記載のものには、第16図Aに示したようにほぼ長方形
の開口149を形成した開口スリット150と、同図Bに示し
たように透過率が例えば10%、15%、5%の領域151、1
52、153を有する変調器154が設けられている。なお、O
は光軸を示している。
また、特開昭57−178212号公報記載のものには第17図
Aに示したようにほぼ長方形の開口155を左方に形成し
た開口スリット156と、同図B示したように前記と同様
の透過率の異なった領域157、158、159を有しかつそれ
らの一部が右方に偏った変調器160が設けられている。
また、米国特許4407569号明細書記載のものには、第1
8図Aに示したように弧状の開口161を左方に形成した開
口スリット162と、同図Bに示したように領域163、16
4、165を多重環状に形成した変調器166が設けられてい
る。
ここで、例えば第16図Aに示した開口スリット150と
同B図に示した変調器154を設けた第15図のごとき顕微
鏡により第19図に示したごとき台形状の被検体145を観
察した場合を説明する。被検体45の屈折率がn1(>
1)、媒質の屈折率がn2(=1)であり、矢印a方向の
光線が被検体145の下面に垂直に入射した後、傾斜した
側面に入射角(π/2−θa)で入射し、入射光軸Oとな
す角がθbですなわち矢印b方向の光線として射出して
行くとすれば、 n1 sinθa=n2 sin(θa+θb) となる。
したがって、第20図Aに示したごとく台形状被検体14
5の左側面(斜面)を観察した場合、光線が変調器147の
領域169(透過率5%)を通るので暗い像となり、同図
Bに示したごとく被検体145の中央部を観察した場合、
光線が変調器147の領域168(透過率15%)を通るので灰
色の像となり、同図Cに示したごとく被検体145の右側
面(斜面)を観察した場合、光線が変調器147の領域167
(透過率100%)を通るので明るい像となる。
次に、特開昭57−178212号公報に記載のもののように
第17図に示した開口スリット156と、変調器160を有する
場合、被検体145を射出する光線と光軸のなす角(θ
b)と光線の強度との関係は第21図に示したようにな
る。
すなわち、開口155を通って被検体145に射出された光
が大きく屈折されて全て変調器160の領域159を通る場合
は、結像面の明るさは最小(min)となるが、屈折率が
小さくなってくると、被検体145からの光は領域158と15
9の境界を越えて両領域にまたがるようになる。領域158
の透過率は159よりも大きいので、θbが減少するにつ
れて像面の明るさは漸増する。被検体145を通過した光
が領域157、158両方にまたがると、領域157、158の透過
率の差と領域158、159の透過率の差とが異なることによ
りθbの変化と像内の明るさの変化の割合が変わるた
め、明るさの像増加曲線には段がつく。被検体145から
の光が全て領域157を通る状態で像面の明るさが最大(m
ax)となる。
このようにして、フーリエ変換面上にある変調器147
によって、被検体145の透過光をフーリエ変換したもの
の強度が変調されて、結像面148に可視像が形成される
のである。
以上の従来例において、開口スリットのほぼ長方形等
の開口を変調器の光制御領域である各領域に対応させる
必要があり、このため開口スリットを回転させながら芯
出しを行うという方法が用いられている。
しかしこの方法は、構成の複雑化、コストアップを招
くため実開昭58−88617号公報に示されているように、
対物レンズを回転させる方法がある。これは、開口スリ
ットを回転させるという手段をとらず、また開口方向を
一定にしてコントラストの付き方を一方向にしたもので
ある。
また、特開昭51−29149号公報に示されているように
光制御領域部をリング状にすることによって、開口と対
応させるようにしたものがある。これも開口スリットの
回転を必要としない。
なお、米国特許第4062619号に開示してあるものは、
開口スリットを移動させて被検体のコントラストを変化
させるようにしたものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来のものは開口スリットの開口を変
調器の各光制御領域に対応させるために、開口スリット
をコンデンサレンズの中で回転させながら芯出しを行な
っているが、これは複雑な動作を要し構成の複雑化を招
く外、生産コストのアップを招くという不具合がある。
また、対物レンズを回転させるという方法は、回転機
構を高精度に構成しなければならず、生産効率を上げに
くい外、コストアップを招くという不具合がある。
また、光制御部材をリング状にするという方法は、コ
ンデンサレンズの簡素化には寄与するものの、コントラ
スト変化をつけるための手段の複雑化、コストアップを
招くという不具合がある。
また、開口スリットを移動させて被検体のコントラス
トの変化をつけるものは、開口スリットを移動させるた
めの構成の複雑化、コストアップを招く。さらに変調コ
ントラスト検鏡は、方向性を有したコントラストを生じ
るため、もし一方向にしかスリットが形成していなけれ
ば、被検体を回転させて所望の部位の見やすい位置を探
さなければならないという不具合がある。
本発明は、上記不具合を解決すべく提案されるもの
で、所望の倍率で顕微鏡観察をする場合に被検体のコン
トラストの方向が一定であり、さらにコントラストを変
えることができ、さらにコントラストの方向を被検体を
回転させることなく対応させることができ、安価で操作
性のよい顕微鏡を提供することを目的としたものであ
る。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明は、上記目的を達成するため光源と、その光軸
上にリレーレンズ、開口スリット、コンデンサレンズ、
対物レンズ、変調器を順次配設し、コンデンサレンズと
対物レンズとの間に被検体を配し、変調器上の開口像に
変調コントラストをつけることにより、可視像を結像す
るようにした顕微鏡において、対物レンズの射出位置に
リング状の光制御部材を有する変調器を設け、コンデン
サレンズの入射瞳位置に前記光制御部材に対応するリン
グ状開口部材を有する開口スリットを設け、該リング状
開口部材近傍にリング状開口部の開口角度を規制する扇
状絞り部材を設けたことを特徴とする顕微鏡とした。
このようにリング状の光制御部材を設けたことによ
り、各倍率でコントラストの方向を一定にでき、リング
状開口部材を設けたことにより、コントラスト方向を可
変にでき、扇状絞り部材を設けたことによりコントラス
トを変更できる。
〔実施例〕
以下、本発明の第1実施例を説明すると、第1図は本
実施例に係るコンデンサレンズの断面図である。コンデ
ンサレンズ1、2、3は、上カバー4によって保持して
ある。上カバー4は、下カバー6とともにターレット5
をも内設している。ターレット5は、ねじ8によって上
下カバー4、6に固定してある軸7により回転自在に支
持してある。
開口スリットは、周知の手段で芯出し可能に支持され
たリング状開口部材9と、前記軸7に回転可能に支持さ
れた開口板10を有している。なお、ターレット5と開口
板10は、コンデンサレンズ1、2、3に対しそれらの光
軸に合わせるように図示されていない手段によって、固
定してある。
第2図は、ターレット5の平面図である。リング状開
口部9a〜9bは、ターレット5の外側方向からねじ11によ
り押圧するとともに、内側からはバネ12により付勢しな
がら芯出しされている。このようにして形成されるリン
グ状開口部は、例えば9aは100倍、9bは40倍、9cは20
倍、9dは10倍、9eは4倍というように各々の倍率に応じ
たリング状開口部とする。
さらにターレット5には、リング状開口部と共通のリ
ング位置上に明視野用の明るさ絞り13を内設している。
この明るさ絞り13は、ターレット5外側近傍に配設して
あるピン14とリング15を介して回転されながら、絞り径
を可変にしてある。
第3図は、開口板10を示したもので、扇状開口部16a
〜16fが開口方向を各々A矢印からF矢印方向に変わる
ように形成してある。さらに開口部17は、前記開口部と
は開口角の異なる扇状開口部でA矢印方向に開口してい
る。孔18は明視野用のものであり、孔19は軸7嵌入用の
ものである。
第4図は、開口板10の他の実施例を示したもので、開
口角の異なる扇状開口部を形成したものである。20a、2
0cと21a〜21cと22a、22cはそれぞれ開口角が異なるよう
に形成してあるとともに、それぞれの開口部における開
口方向は変えてある。
第5図は、各素子の形状を示したものである。A段の
イ〜トは、対物レンズ射出瞳上に配設した変調器を示し
たもので、外周のリング状部23は透過率が中程度の領域
であり、中央部24は透過率が高い領域である。なお、透
過率が小の部分は対物レンズの瞳面の絞りで代用してい
る。
B段に示したものは、上記に対応する開口スリットの
リング状開口部25であり、C段に示したものは、開口板
の扇状開口部26、D段に示したものは、リング状開口部
25と扇状開口部26とを重ね合わせたものであり、図示の
ような開口部27となるのである。
そしてE段に示したものは、変調器上の開口像を示し
たものである。
第15図に対応させてイ列のA〜Eを見ると、Aは変調
器147に対応し、リング状開口部Bは431に対応し、扇状
開口部Cは432に対応する。そしてリング状開口部B
は、変調器Aに対応しリング状開口部Bの像は変調器A
上に投影される。扇状開口部Cは、リング状開口部Bの
開口角を規制し、この場合の開口角は60°であり変調程
度は中程度となる。開口部27は、リング状開口部25と26
とで形成され変調器A上にEに示されるように開口像を
示すこととなるのである。このようにして扇状開口部の
開口方向(左右方向)に明暗のコントラストが生じる。
ロ列は、対物レンズを交換した場合を示しており、変
調器Aの大きさが対物レンズの射出瞳径の変化とともに
変化し、リング状開口部Bの径も変えられるようにして
ある。しかし、扇状開口部Cの径は変える必要がなく、
扇状開口部Cの開口方向に明暗のコントラストが付く。
一方、扇状開口部の開口角をハ列Cのように(開口角
30°)すると、コントラストが強くなる。また、扇状開
口部の開口をニ列Cのように広くすると(開口角90°、
ホ列Cの場合は180°)コントラストが弱くなる。
また、扇状開口部の開口方向をヘ列Cのように変える
と、その開口方向(上下方向)に明暗のコントラストが
付く。
コンデンサレンズに扇状開口板を組み合わせることに
より、同様の効果が得られる。つまり、第3図に示すよ
うな開口板19を用いることにより6方向のコントラスト
と、1方向のコントラストの2種のコントラストが得ら
れる。また、第4図に示すような開口板19を用いること
により2ないし3方向のコントラスト3種が得られる。
そして、これら開口板は対物レンズ毎のリング状開口部
と独立しているために、倍率を変換してもコントラスト
やコントラスト方向は一定した像が得られるのである。
第6図は、本発明の第2実施例を示したもので、第1
実施例と対応する個所には同一符号を付した。本実施例
では、ターレット5に明るさ絞りを付設せずに下カバー
6に設けている。この明るさ絞り13は、固定ピン29と移
動ピン30と絞りバネ31を有する可変絞りであり、可動枠
32をレバー33で回転させることにより径が変化するよう
にしてある。
第7図A〜Eは、第1実施例の第5図と同様に各素子
の形状を示したものであるが、本実施例ではこれに可変
絞りFを付加して開口部の幅を変化させるようにしてい
る。このように開口部の幅を変化させることにより、コ
ントラストを変化させることができる。例えば、幅が小
さくなるとコントラストは強くなり、大きくなると弱く
なる。そして、第3図に示したような扇状開口板10を用
いると、6種の方向にコントラスト方向を変えられる扇
状開口を形成することができ、バリエーションのある観
察が可能となる。
第8図は、本発明の第3実施例に係る開口板10の実施
例である。3つの扇状開口部34、35、36は回転板37に設
けられるとともに、回転軸19を中心に各々光軸上に配設
してあり、この光軸を中心にして各々回転するようにし
てある。開口角90°の扇状開口部34はコントラストが
小、開口角60°の扇状開口部35はコントラストが中、開
口角30°の扇状開口部36はコントラストが大に対応し、
各々が各倍率で任意の方向のコントラスト方向を選択で
きる。
第9図は、本発明の第4実施例を示したものでほぼ第
1実施例のものと同様の構成であるが、開口板の代わり
にスイングアウトできる扇状開口器38を設けている。さ
らに半円の開口を形成した上開口板39と同様の開口を形
成した下開口板40は、各々360°回転可能であり、外側
から回転調整できるようになっている。
第10図は、各素子を示したもので上下開口板39、40の
重なり状態を変えることで狭い開口角度イ列から広い開
口角度ニ列に任意に設定できる。したがって、あらゆる
方向の種々のコントラスト条件の観察が可能となる。
第11図〜第14図は、本発明の第5実施例を示したもの
でほぼ第1実施例と同様の構成であるが、扇状開口部43
は回転板41に設けてあり、各倍率に対応したリング状開
口部9a、9b、9cと1:1で対応し、回転するようにターレ
ット5に保持され、下板42で支持されている。第14図
は、変調器と開口の関係を示したものだが、A図の変調
器は光制御領域44がリング状に全周の一部にしか存在し
ない。これに対し、扇状開口部43は上記光制御領域より
狭い角度の開口角度に設定してある。リング状開口部9
に1:1で回転可能に保持した回転板41を用いて、光制御
領域44に開口部を合わせた状態がE図に示したものであ
る。このように変調器の光制御領域が位置部分の角度に
しか存在しないため、各々の対物レンズによってコント
ラスト方向の向きが異なる。しかし、透過率の高い領域
45が広いため明るい像が得られることとなる。
〔発明の効果〕
以上のごとく、本発明によれば各倍率においてリング
状開口部をターレット等により切り換えられるが、開口
方向は扇状開口部により決められるので、コントラスト
の方向は一定とすることができる。また、リング状開口
部の芯出しは周知の位相差検鏡用の手段で行えるためコ
スト面で問題となることはない。また、扇状開口部の方
向を変えることにより、コントラスト方向は被検体を回
転させることなく変えることができる。また、リング状
開口部の開口角度を任意に変えることにより、コントラ
ストの調整ができる。また、可変絞りによりリング状開
口部の幅を変えることができ、コントラストの調整がで
きる。
したがって、各倍率でのコントラスト方向を一定に
し、さらにコントラスト方向およびコントラスト程度を
容易に調整できる低価格の顕微鏡を提供できることとな
った。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例の断面図、 第2図は、同ローレットの平面図、 第3図は、同開口板の平面図、 第4図は、同開口板の他の平面図、 第5図は、同各素子の形状説明図、 第6図は、本発明の第2実施例の断面図、 第7図は、同各素子の形状説明図、 第8図は、本発明の第3実施例に係る開口板の平面図、 第9図は、本発明の第4実施例の断面図、 第10図は、同各素子の形状説明図、 第11図は、本発明の第5実施例の断面図、 第12図は、同ローレットの平面図、 第13図は、同開口板の平面図、 第14図は、同各素子の形状説明図、 第15図は、本発明に係る基本光学系の概要図、 第16図〜第21図は、従来技術に係る説明図である。 1、2、3…コンデンサレンズ 4…上カバー 5…ターレット 6…下カバー 7…軸 8…ねじ 9…リング状開口部材 10…開口板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−30350(JP,A) 特開 昭51−29149(JP,A) 特開 平2−35408(JP,A) 特開 昭51−128548(JP,A) 特開 昭57−178212(JP,A) 実開 昭58−88617(JP,U) 米国特許4062619(US,A) 米国特許4407569(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 19/00 - 21/00 G02B 21/06 - 21/36

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と、その光軸上にリレーレンズ、開口
    スリット、コンデンサレンズ、対物レンズ、変調器を順
    次配設し、コンデンサレンズと対物レンズとの間に被検
    体を配し、変調器上の開口像に変調コントラストをつけ
    ることにより、可視像を結像するようにした顕微鏡にお
    いて、 対物レンズの射出瞳位置にリング状の光制御領域部材を
    有する変調器を設け、コンデンサレンズの入射瞳位置に
    前記光制御領域部材に対応するリング状開口部材を有す
    る開口スリットを設け、該リング状開口部材近傍にリン
    グ状開口部の開口角度を規制する扇状絞り部材を設けた
    ことを特徴とする顕微鏡。
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