JPH08190054A - 振幅変調コントラスト顕微鏡 - Google Patents

振幅変調コントラスト顕微鏡

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JPH08190054A
JPH08190054A JP255995A JP255995A JPH08190054A JP H08190054 A JPH08190054 A JP H08190054A JP 255995 A JP255995 A JP 255995A JP 255995 A JP255995 A JP 255995A JP H08190054 A JPH08190054 A JP H08190054A
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light
modulator
region
microscope
transmittance
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JP255995A
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Taku Sato
卓 佐藤
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】振幅変調コントラスト方式)の顕微鏡におい
て、モジュレータの光透過率変更をスタティックに行う
ことができるようにすること。 【構成】透光性試料4の透過光を対物レンズ5を介し、
光透過率が領域対応に変わるモジュレータ8に通して光
の振幅変調を加えることにより、コントラスト像を得る
モジュレーションコントラスト方式(振幅変調コントラ
スト方式)の顕微鏡において、上記モジュレータ8は少
なくとも印加電圧に応じて光透過率を可変可能な光透過
領域9と光透過率一定の領域10とをもつ構成とすると
共に、このモジュレータの光透過率可変可能な光透過領
域に対して所望の印加電圧を供給する手段6を設けた構
成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明あるいは、準透明
な試料の位相情報の観察を可能とする振幅変調コントラ
スト顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】無色透明な媒質の中にある似たような屈
折率の無色透明な試料を観察するために、試料の位相情
報を振幅に変換することによって視認可能にする顕微鏡
システムは、位相コントラスト顕微鏡、干渉顕微鏡、ま
たは、振幅変調コントラスト顕微鏡(米国特許公報US
P4200353号参照)として知られている。
【0003】すなわち、無色透明な媒質の中に、その媒
質と僅かに屈折率が異る同じく無色透明な物体(位相分
体)がある場合、普通の顕微鏡で観察しようとしても、
肉眼ではこれを確認することができない。人間の眼やフ
ィルムなどの感光材料は光の明暗(光の強度、振幅の目
標)と、色の違い(波長の差)に対しては感ずることが
できるものの、位相の差には感ずることができないから
である。そこで、この通常の方法で見えない無色透明な
物体の位相分布を強度の差(明暗の差)の情報に変換し
て、肉眼あるいは感光材料で観察することができるよう
にしたものが上述の如き位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡
であり、これ等の原理や構成は良く知られている。
【0004】位相差顕微鏡の概要を説明しておく。通常
の光学顕微鏡に位相物体を通った光の振幅のみを変調
(モジュレート)して像をつくるようにしたものは、1
975年に、R.HoffmanとL.Gross等に
よって原理発表がなされている。
【0005】これは図7(a)に示すように、対物レン
ズ51の射出瞳面にモジュレータ52が置かれる。この
モジュレータ52は図7(b)に示すように、3段階に
透過率が異なっている領域をもつフィルタである。モジ
ュレータ52は左側のDの部分は光をほとんど通さない
部分で暗黒領域部分、次のGの部分は透過率が約15%
の灰色領域部分、さらに次のBの部分は光を全部通す明
るい領域で透明領域部分となっている。対物レンズ51
にはモジュレータ52と反対側(光源56からの光が到
来する側)の位置に、試料57を介して対向して試料5
7に当てる照明光を集光するためのコンデンサレンズ5
3が配置される。そして、コンデンサレンズ53の前側
焦点面(光源56からの光が到来する側)に、図に示す
如くスリット54を置く。スリット54の片側に附加し
てあるP1 とその下側(光源56からの光が到来する
側)のP2 はそれぞれ偏光板であり、偏光板P2 は回転
操作可能に支持されていて、この偏光板P2 を回転操作
することによってスリット54を通過する光量をコント
ロールできるようになっている。
【0006】モジュレータ52の置かれている対物レン
ズ51の射出瞳面とスリット54の置かれているコンデ
ンサレンズ53の前側焦点面は、互いに共役関係にあ
り、そのため、スリット54の像はモジュレータ52の
面に形成される。対物レンズの射出瞳面にあるモジュレ
ータ52をみながら、スリット像をモジュレータ52の
灰色領域部分Gに合せておく。またモジュレータ52と
スリット54は傾斜照明系の如く偏芯した位置関係に置
かれている。50は接眼レンズである。
【0007】このような構成において、試料57として
透明な位相物体を置いたとする。図8に透明な位相物体
を通過した光がモジュレータ52を介することによっ
て、コントラストがつけられた像を形成する過程を示
す。この図は説明の都合上、スリット54とモジュレー
タ52を光軸の中心にもってきている。
【0008】いま、観察対象とする透明な位相分布を持
った試料が図に示すプリズムの形状をもった試料57で
あるとする。光源56より出射され、スリット54を通
ってコンデンサレンズ53で平行になった光線が、この
プリズム状の試料57に入射すると、試料57の左側の
傾斜部分57aを通過する光線は入射光線より左側に、
また右側の傾斜部分57bを通過する光線は入射光線よ
り右側に各々曲がる。またプリズム状の試料57の下面
と上面が平行部分である中央57cを通過する光線は曲
がらず、そのまま直進する。
【0009】これらの光線は対物レンズ51を通過後、
モジュレータ52に入射し、上記左側の光はモジュレー
タ52の暗黒領域部分Dを通り、強度が弱められて暗い
光となって対物レンズ51の結像位置に達し、中間像5
8aをつくる。上記中央部を通った光はモジュレータ5
2の灰色領域部分Gを通り、少し強度が減った光として
中間像58bをつくる。また上記右側の光はモジュレー
タ52の明るい部分である透明領域部分Bを通り、明る
さを弱められることなく中間像58cをつくる。
【0010】このようにして透明なプリズム状の位相分
布をもった試料57の像は、その傾きや厚さの変化に応
じて明暗の差がついた58a,58b,58cからなる
目に見える像となる。これが位相情報を振幅に変換する
ことによって可視像化する振幅変調コントラスト型の位
相差顕微鏡(モジュレーションコントラスト)の原理で
ある。
【0011】そして、スリット54の幅や、光量を変化
させることで、得られる像のコントラストを変えること
ができ、またスリット54とモジュレータ52を光路の
端の部分に位置せしめて、偏斜照明の効果をもたせるこ
とにより、コントラストを上げることができるようにな
る。
【0012】すなわち、偏斜照明の効果をもたせるため
には、振幅変調コントラスト型の位相差顕微鏡(振幅変
調コントラスト顕微鏡)では、その構成要素となる光制
御部材(モジュレータ52)の一部に所定の光透過率を
有する吸収板を設け、回転偏光板(偏光板P1 を有した
スリット54と偏光板P2 )との組み合せによって、暗
視野と明視野との状態を連続的に任意に選択することが
できるようにすれば良く、その例としては、特開昭57
−178211号公報に示される如き技術がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】無色透明な媒質の中に
ある似たような屈折率の無色透明な試料を観察するため
に、試料の位相情報を振幅に変換することによって視認
可能にする顕微鏡システムの一つとしての振幅変調コン
トラスト顕微鏡では、試料の種類に応じて、その位相特
性をより鮮鋭に可視化するために、最適な透過率を有す
る光制御部材を選択したり、偏光板の回転を必要とす
る。すなわち、コントラストを上げるべく、偏斜照明の
効果をもたせるために、最適な透過率を有する光制御部
材の選択や偏光板の回転操作ができる構成としてある。
【0014】このような可動部を有してこの可動部の操
作を顕微鏡の使用中に要求されるような顕微鏡システム
を、宇宙空間などの微小重力環境(宇宙軌道上でのスペ
ースシャトルなどに代表されるような宇宙実験室)で使
用する場合、つぎのような問題が生じる。
【0015】すなわち、微小重力環境では、機械的可動
部の操作を行うと、機械的振動に伴う重力擾乱(残留重
力)を引き起こすという問題である。試料の観察途中で
の光制御部材の変更や偏向板の回転は、何らかの機械的
動作を伴い、これが宇宙空間などの微小重力環境では微
小な重力擾乱を引き起こして試料に影響を与えるため、
避けなければならない。
【0016】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは試料の位相特性の観
察における最適化を機械的な可動部をもつことなく行う
ことができるようにして宇宙空間などの微小重力環境で
の研究にも使用できるようにする振幅変調コントラスト
顕微鏡を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はつぎのようにする。すなわち、透光性試料
の透過光を対物レンズを介し、光透過率が領域対応に変
わるモジュレータに通して光の振幅変調を加えることに
より、コントラスト像を得るモジュレーションコントラ
スト方式(振幅変調コントラスト方式)の顕微鏡におい
て、上記モジュレータは少なくとも印加電圧に応じて光
透過率を可変可能な光透過領域と光透過率一定の領域と
をもつ構成とすると共に、このモジュレータの光透過率
可変可能な光透過領域に対して所望の印加電圧を供給す
る手段を設けた構成とする。
【0018】
【作用】このような構成の本顕微鏡装置は、光に振幅変
調を加えるモジュレータは少なくとも印加電圧に応じて
光透過率を可変可能な液晶光学素子を光透過率可変可能
な光透過領域に使用して、この領域に供給する電圧を所
望に調整することで、多様な光透過率を機械的可動要素
を用いることなく実現する。
【0019】この静止動作型(スタティック型)とした
ことにより、観察中に光透過率を可変するにあたって
は、モジュレータに与える電圧レベルを調整するだけで
良く、宇宙空間などの微小重力環境で使用する場合にお
いて、機械的振動を伴うことなく光透過率を可変調整す
ることができるようになって、モジュレータの操作に関
しては重力擾乱を引き起こす心配がなくなる。
【0020】振幅変調コントラスト顕微鏡においては、
光源より発せられた照明光をスリットを通し、コンデン
サレンズによって平行光束化した後、透明、または準透
明な位相物体(試料)に当てる。位相物体にあたった光
はこれを透過し、対物レンズを通過後、モジュレータに
入射する。モジュレータは、液晶によって所定の透過率
をもつように設けられた領域とそうでない領域に区分さ
れており、位相勾配を有する位相物体を透過した光がそ
れぞれの領域を通過することで、その光の振幅(強度)
が変調され、コントラスト像になる。このようにして位
相勾配が視認可能となるが、ここで、液晶は印加電圧に
対応して光透過率が変わる特性をもっているので、印加
電圧を適宜な値に制御することによって所定の光透過率
が得られる。
【0021】透過率の固定されたフィルタの光制御部材
では、組み合わせて使っても実現できる透過率の種類に
は限りがあるが、液晶光学素子を用いることで、印加電
圧の制御というスタティックな操作にて透過率を無段階
に設定可能とし、微小重力環境での重力擾乱を引き起こ
さないようにする。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。 (第1実施例)図1に本発明を適用する振幅変調コント
ラスト顕微鏡の光学系を示す。図に示すように、この光
学系は、光源1、スリット2、コンデンサレンズ3、対
物レンズ5、光制御部材8からなり、コンデンサレンズ
3と対物レンズ5の間に、試料である位相物体4を配設
させる。7は像面である。
【0023】光源1は照明光を発光するものであり、ス
リット2はこの光源1からコンデンサレンズ3への光量
を制限するためのものである。スリット2を介して光源
1からコンデンサレンズ3へ入射した光はこのコンデン
サレンズ3により収束されて位相物体4を照明すること
になる。対物レンズ5はこの位相物体4の像を拡大す
る。
【0024】光制御部材8は、モジュレータの役割を果
たすものであって、光制御部材8の置かれている対物レ
ンズ5の射出瞳面とスリット2の置かれているコンデン
サレンズ3の前側焦点面は、互いに共役関係にあり、そ
のため、スリット2の像は光制御部材8の面に形成され
る。
【0025】光制御部材8は液晶光学素子から成るもの
で、例えば、図7の(b)の如き円板状の構造となって
いる。光制御部材8は、液晶によって所望の光透過率を
持たせることができるように設けられた液晶による領域
(光吸収領域)9と、そうでない領域(光透過率の変わ
らない領域、光透過率不変領域)10に区分されてお
り、位相勾配を有する位相物体4を透過した光がそれぞ
れの領域を通過することで、その光の振幅(強度)が変
調され、像面7に結像される。このようにして位相勾配
が視認可能となる。
【0026】光制御部材8はアクリルやガラスなどの透
光性透明板の一部領域に液晶素子を取り付けた構成であ
り、図1の構成の場合、円板状に加工した透光性透明板
に、円板の端部を利用してここに半月状の液晶素子板を
取り付け、半月状の光吸収領域9としてある。光制御部
材8における透光性透明板のみからなる領域は光透過率
不変領域10となる。
【0027】そして、該光制御部材8の光吸収領域9に
おける光透過率を制御するための制御部6が設けられて
いる。制御部6は該光制御部材8の光吸収領域9に印加
する電圧を供給するものであり、観察者が操作する操作
部と、この操作部の操作対応に発生電圧や周波数を制御
して液晶制御出力(液晶の駆動電圧)として出力する機
能を有している。
【0028】図1に示す本装置は、コンデンサレンズ3
と対物レンズ5との間に、観察対象試料である透明、ま
たは準透明な位相物体4を配置し、光源1を点灯する。
すると、この光源1より発せられた照明光はスリット2
を通過し、コンデンサレンズ3によって平行光束とされ
た後、観察対象試料である位相物体4を透過する。そし
て、位相物体4を透過した光はさらに、対物レンズ5を
通過後、光制御部材8に入射することになる。
【0029】モジュレータである光制御部材8は、液晶
によって形成され、所望の光透過率を持つことができる
ように設けられた領域(光吸収領域)9とそうでない領
域(光透過率不変領域)10に区分されており、位相勾
配を有する位相物体4を透過した光がその透過経路上に
ある光制御部材8のそれぞれの領域を通過することで、
光透過率不変領域10の透過光は減衰せず、光吸収領域
9の透過光はその光吸収領域9での光透過率対応に減衰
されることで、その光の振幅(強度)が変調され、像面
7に結像することになる。このようにして位相物体4の
持つ位相勾配が光の振幅に変調されて像面7に結像する
結果、コントラスト像になり、観察者が視認可能にな
る。
【0030】ここで、液晶は、印加電圧がある程度低い
領域では光透過率が大きく、印加電圧がそれより大きく
なるとリニアに光透過率が小さくなってゆき、その後、
飽和してそれ以上電圧を変化させても光透過率はその最
小値を維持するといった図2に示すような印加電圧に対
する光透過率の特性を持っているので、印加電圧を適宜
な値に制御することによって所定の光透過率が得られ
る。
【0031】透過率の固定されたフィルタを用いた光制
御部材では、組み合わせて使用しても実現できる光透過
率の種類には限りがある。これを本発明では電界の強さ
(印加電圧の大きさ)で光透過率の変わる液晶光学素子
を用い、この液晶光学素子に与える印加電圧の制御によ
り、光透過率を無段階に設定可能な構成とした。
【0032】図3(a)には第1実施例に係る光制御部
材8が示されている。図に示すように円板状の光制御部
材8の一部には液晶による光透過率可変の光吸収領域9
が設けられており、制御部6により図3(b)に示すよ
うな矩形交流電圧を発生させてこれを駆動電圧としてこ
の光吸収領域9に印加することにより、光吸収領域9は
振幅変調コントラスト顕微鏡の変調器として働く。ま
た、図4(b)に示すように、駆動電圧を該光制御部材
8の光吸収領域9として設けた液晶素子のしきい値以下
に設定することによって、この光吸収領域9は光吸収が
なくなり、その結果、光制御材8は、図4(a)に示す
ような単なる平行平面板となり、振幅変調効果の得られ
ない明視野顕微鏡としての利用が可能となる。
【0033】以上は、透光性試料の透過光を対物レンズ
を介し、光透過率が領域対応に変わるモジュレータに通
して光の振幅変調を加えることにより、コントラスト像
を得るモジュレーションコントラスト方式(振幅変調コ
ントラスト方式)の顕微鏡において、上記モジュレータ
は少なくとも印加電圧に応じて光透過率を可変可能な光
透過領域と光透過率一定の領域とをもつ構成とすると共
に、このモジュレータの光透過率可変可能な光透過領域
に対して所望の印加電圧を供給する手段を設けた構成と
した顕微鏡であり、光に振幅変調を加えるモジュレータ
は少なくとも印加電圧に応じて光透過率を可変可能な液
晶光学素子を光透過率可変可能な光透過領域に使用し
て、この領域に供給する電圧を所望に調整することで、
多様な光透過率を機械的可動要素を用いることなく実現
するようにしたものである。
【0034】この静止動作型(スタティック型)とした
ことにより、観察中に光透過率を可変するにあたって
は、モジュレータに与える電圧レベルを調整するだけで
良く、宇宙空間などの微小重力環境で使用する場合にお
いて、機械的振動を伴うことなく光透過率を可変調整す
ることができるようになって、モジュレータの操作に関
しては重力擾乱を引き起こす心配がなくなる。
【0035】以上の第1実施例は、モジュレータである
光制御部材8に、光吸収領域9を1つと、光透過率不変
領域10を1つの計2領域の構成を採用したものであっ
た。しかし、光吸収領域9が1つでは性能的に不足する
こともあり、少なくとも光吸収率が異なる2種の可変光
吸収領域を確保したいところである。その実施例をつぎ
に第2実施例として説明する。
【0036】(第2実施例)本発明の第2実施例につい
て図5を参照して説明する。本実施例は図5に示すよう
に、例えば、透明な円板状の光制御部材8に、液晶によ
る2つの光吸収領域11,12が設けられている。つま
り、図の例の場合、透明な円板におけるその円の半分は
何も付加していない光透過率不変領域13であり、残り
の半分が2分割されていて、光吸収領域11,12とな
っている。光吸収領域11,12はともに液晶光学素子
を用いて形成されており、光吸収領域11にはこの領域
の形状に合わせた第1の液晶光学素子板を透明な円板上
に取り付けてあり、光吸収領域12にはこの領域の形状
に合わせた第2の液晶光学素子板を透明な円板上に取り
付けて構成してある。
【0037】なお、光吸収領域は2領域に限定されるも
のではなく、それ以上の複数の領域にすることも可能で
ある。また、透明な円板状の光制御部材8全体を複数に
分割してそれぞれの領域に液晶光学素子板を取り付ける
構成であっても良い。
【0038】光吸収領域11,12には、それぞれの光
透過率を異ならせることができるように出力電圧、周波
数をそれぞれ調整することができる制御部14,15が
接続され、これら制御部14,15によって各別に駆
動、制御できる構成である。当然のことながら、光吸収
領域が多数に亙る場合には、その数分の上記制御部がそ
れぞれの光吸収領域対応に設けられ、対応する光吸収領
域を各別に駆動、制御できる構成にする。
【0039】ここで、液晶は周波数依存性のない領域で
は、印加電圧の実効値に応答する性質があるため、光透
過率を大きくしたい場合は、図6(a)に示すような液
晶の駆動波形に対して、図6(b)に示すように駆動電
圧レベルを小さくするか、または、図6(c)に示すよ
うにデューティ比を小さくするようにする。
【0040】このように、光透過率を大きくしたい場合
は、駆動電圧を小さくするか、デューティ比を小さく
し、逆に光透過率を小さくしたい場合には、駆動電圧を
大きくするか、デューティ比を大きくすることにより、
各光吸収領域において所望の光透過率を得ることが可能
となる。
【0041】以上のように構成された本実施例の装置で
は、複数の光吸収領域11,12の光透過率を個別に制
御することにより、位相物体4の種類や変化に応じて位
相特性の観察における最適化を容易に行うことができ
る。また、制御部14,15に記憶手段を付加して予め
種々の光透過率パターンに合わせた電圧、周波数を設定
しておき、これらを選択することによって、位相物体4
の種類や変化に合わせた設定を瞬時に行うこともできる
ようになる。
【0042】なお、第2実施例おける図5では、液晶に
よる2つの光吸収領域を隣接して設けるように説明して
あるが、その配置はこれに限定されるものではなく、間
隔を離して設ける構成とすることもできる。
【0043】また、上記実施例では光吸収領域の位置、
大きさは固定されているものとして説明してあるが、光
吸収領域の位置、大きさは任意に変更できるように制御
されるものとして製作することが可能である。
【0044】以上、本発明の実施例は、透光性試料の透
過光を対物レンズを介し、光透過率が領域対応に変わる
モジュレータに通して光振幅変調を加えることにより、
コントラスト像を得るモジュレーションコントラスト方
式(振幅変調コントラスト方式)の顕微鏡において、上
記モジュレータは少なくとも印加電圧に応じて光透過率
を可変可能な光透過領域と光透過率一定の領域とをもつ
構成とすると共に、このモジュレータの光透過率可変可
能な光透過領域に対して所望の印加電圧を供給可能に構
成した顕微鏡であり、光に振幅変調を加えるモジュレー
タは少なくとも印加電圧に応じて光透過率を可変可能な
液晶光学素子を光透過率可変可能な光透過領域に使用し
て、この領域に供給する電圧を所望に調整することで、
多様な光透過率を機械的可動要素を用いることなく実現
するようにした静止動作型(スタティック型)のもので
あり、観察中に光透過率を可変するにあたっては、モジ
ュレータに与える電圧レベルを調整するだけで良く、宇
宙空間などの微小重力環境で使用する場合において、機
械的振動を伴うことなく光透過率を可変調整することが
できるようになるものである。そのため、モジュレータ
の操作に関しては重力擾乱を引き起こす心配がなくなる
効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、透
明、あるいは準透明な試料の位相情報の観察における最
適化を、機械的な可動部分をもたずに、外部から制御で
きるため、宇宙空間などを利用した微小重力環境での研
究に最適な顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振幅変調コントラスト顕微鏡の構
成図。
【図2】液晶の光応答特性を示す図。
【図3】本発明の第1実施例に係る光制御部材の平面図
と、この光制御部材の駆動電圧を示す図。
【図4】本発明の第1実施例に係る光制御部材の駆動電
圧を無電圧とした場合の光制御部材の状態と、その駆動
電圧を示す図。
【図5】本発明の第2実施例の要部を説明する構成図。
【図6】光透過率を大きくしたい場合に光制御部材に与
える駆動電圧波形の例を説明するための図。
【図7】振幅変調コントラスト法の原理を説明するため
の図。
【図8】振幅変調コントラスト法の原理を説明するため
の図。
【符号の説明】
1…光源 2…スリット 3…コンデンサレンズ 4…位相物体(試料) 5…対物レンズ 6,14,15…制御部 7…像面 8…光制御部材(モジュレータ) 9,11,12…光吸収領域 10,13…光透過率不変領域。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性試料の透過光を対物レンズを介
    し、光透過率が領域対応に変わるモジュレータに通して
    光の振幅変調を加えることにより、コントラスト像を得
    るモジュレーションコントラスト方式の顕微鏡におい
    て、 上記モジュレータは少なくとも印加電圧に応じて光透過
    率を可変可能な光透過領域と光透過率一定の領域とをも
    つ構成とすると共に、このモジュレータの光透過率可変
    可能な光透過領域に対して所望の印加電圧を供給する手
    段を設けたことを特徴とする振幅変調コントラスト顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】 モジュレータは一部に液晶光学素子を用
    いた少なくとも2つ以上の異なる光の透過率を有する領
    域に区分けされた構成とすることを特徴とする請求項1
    記載の振幅変調コントラスト顕微鏡。
JP255995A 1995-01-11 1995-01-11 振幅変調コントラスト顕微鏡 Withdrawn JPH08190054A (ja)

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