JP2965963B1 - 耐酸化性部材 - Google Patents

耐酸化性部材

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Abstract

【要約】 【課題】 基材に充分な耐酸化特性を持たせることがで
きる耐酸化性部材を提供すること。 【解決手段】 基材4と、基材4の表面に設けられた熱
応力緩和層6と、熱応力緩和層6の表面に設けられた耐
熱耐酸化性保護層8と、耐熱耐酸化性保護層8の表面に
設けられた耐酸化性保護層10とを備える耐酸化性部
材。耐酸化保護層層10は、ウィスカーが添加された酸
化珪素から形成されている。このように酸化珪素にウィ
スカーを添加することによって高温域における流動性を
抑制することができ、これによって充分な耐酸化性特性
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温酸化雰囲気に
さらされる構造体や部品に用いられる耐酸化性部材に関
する。
【0002】
【従来の技術】温度、圧力、雰囲気などの極限環境下
で、耐熱性、耐熱衝撃性、高比剛性などに優れた耐熱材
料の開発が進められている。この耐熱材料の一つとし
て、複合材料としての炭素繊維強化型炭素複合材(以下
「C/C材」という)がある。C/C材は、高温強度が
高く、かつ比重が小さいため、比強度が要求される耐熱
部材として優れている。また、ヤング率が大きく、熱衝
撃性にも優れている。しかし、C/C材の炭素繊維およ
び炭素マトリックスは耐酸化性に劣り、酸化性雰囲気中
では酸化消耗が大きくなる。
【0003】このようなことから、C/C材を高温部材
として用いる場合、高温域での耐酸化性を高めるため
に、その表面に耐酸化性の保護層が設けられる。耐酸化
性の保護層を形成する方法で一般的であるのは、化学気
相蒸着法(以下CVDと記すことがある)によるセラミ
ックス被覆であり、たとえば特開平9−201895号
公報および特開平8−217576号公報等の開示で知
られている。
【0004】この方法によれば、炭化珪素、炭化チタ
ン、炭化ハフニウム、炭化タンタル等の炭化物、また窒
化珪素、窒化チタン、窒化硼素、窒化ジルコニウム等の
窒化物、さらにはアルミナ、ジルコニア等の酸化物やそ
の他硼化物の被覆を行うことができ、かつ、その被覆は
不純物が少なく、緻密で結晶構造的に特性の優れたもの
であるため、酸素の拡散がし難い組織となる。
【0005】ところが、C/C材の熱膨張は、その構成
要素である炭素繊維に由来してほぼ零であるのに対し
て、これらセラミックスは正の熱膨張挙動を示すことか
ら、C/C材の表面にこれらセラミックス層を直接設け
た場合、高温加熱の際に生ずる熱応力によってセラミッ
クス層にクラックを発生させたり、セラミックス層その
ものを剥離させたりすることが多い。
【0006】そこで、先の特開平9−201895号公
報や特開平8−217576号公報で開示されたよう
に、C/C材の表面を拡散反応法で炭化物に転化し、次
いでCVDによるセラミックス被覆を行うという方法が
とられている。C/C材とセラミックス層の間に炭化物
層を形成すると、形成された炭化物層はC/C材表面の
熱膨張率を被覆セラミックス層のそれに近づけるととも
に、C/C材の炭化繊維間に不規則に侵入し、また層自
体多孔質になるため、熱応力の緩和に有効に機能する。
【0007】CVD被覆セラミックスのうち、炭化珪
素、窒化珪素は、耐熱・耐酸化性に優れるとともに、応
力緩和のためのC/C材表面の上記炭化物層と反応しに
くく、かつ、同様な熱膨張率を有することから、C/C
材の耐酸化被覆として広く使用されており、たとえば、
上記の特開平9−201895号公報や特開平8−21
7576号公報のほか、多くの公知の開示文献等があ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭化珪
素や窒化珪素の耐酸化性にも限界があり、特に宇宙機の
ノーズコーンや翼前縁のように1400℃以上の高温で
1〜4000Paという減圧環境下に曝露されるとき、
炭化珪素、窒化珪素は活性酸化(以下Active酸化
と記すことがある)により一酸化珪素ガスとなって激し
く消耗することが知られている。
【0009】Active酸化を防止する方法として、
特開平2−106337号公報および特開平4−285
068号公報に開示されたように、炭化珪素皮膜の上に
珪素を含まない炭化物、硼化物、窒化物または金属を被
覆し、さらに最外層に酸化物を被覆する方法が考案され
ている。しかしながら、これらは珪素を含まない炭化
物、硼化物、窒化物または金属とその下にある炭化珪素
とが反応して劣化したり、珪素を含まない炭化物、硼化
物、窒化物または金属とその上の最外層の酸化物とが熱
応力によって剥離したり、反応して劣化するという問題
がある。また、たとえば特開昭63−307181号公
報および特開平8−217576号公報で開示されたよ
うに、炭化珪素、窒化珪素被覆上に直接酸化珪素または
セラミック粒子含有酸化珪素を被覆する方法も考案され
ている。酸化珪素は酸素透過性が低いほか、炭化珪素や
窒化珪素との密着性が良好であるという利点を有する
が、高温において軟化流動し、飛散等を伴って耐久性を
確保できなくなるという問題を有する。
【0010】本発明の目的は、上記問題点を解決し、充
分な耐酸化性および耐久性を有する耐酸化性部材を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材の表面側
に、純度99%以上であり、かつ平均粒径が0.01〜
10μmの酸化珪素と、ウィスカーとを有機溶媒中に分
散させて合成したスラリーを塗布し、その後不活性ガス
の環境下で約1400℃以上の温度で酸化珪素を焼成す
ることによって形成された耐酸化性保護層を設けたこと
を特徴とする耐酸化性部材である。
【0012】本発明に従えば、基材の表面側を保護する
耐酸化性保護層は、ウィスカーを添加された酸化珪素か
ら形成される。前記酸化珪素は、純度99%以上であ
り、かつ平均粒径0.01〜10μmの酸化珪素が用い
られ、これによって酸化珪素粒子の密な充填が可能とな
る。また耐酸化性保護層は、前記酸化珪素とウィスカー
とを有機溶媒中に分散させて合成したスラリーを塗布
し、その後不活性ガスの環境下で約1400℃以上の温
度で酸化珪素を焼成することによって形成される。この
ように耐酸化性保護層を形成することによって、酸化珪
素の微粒子を欠陥のない1つの保護層に焼結することが
でき、これによって内部への酸素の侵入を確実に抑える
ことができる。また前記耐酸化性保護層は、ウィスカー
を添加し、複合強化された酸化珪素から形成されてい
る。このように酸化珪素にウィスカーを添加することに
よって、高温における酸化珪素の流動性が抑制され、衝
撃、熱衝撃に対する耐酸化性保護層の耐久性が向上し、
かくして耐酸化性保護層によって基材を保護することが
できる。また、酸化珪素にウィスカーを添加することに
よって、酸化珪素の耐酸化性保護層を比較的厚く形成す
ることができ、これによっても基材に充分な耐酸化性を
持たせることができる。
【0013】また本発明は、基材と、前記基材の表面に
設けられた熱応力緩和層の表面に設けられた耐熱耐酸化
性保護層と、前記耐熱耐酸化性保護層の表面に設けられ
た耐酸化性保護層とを備え、前記耐酸化性保護層は、純
度99%以上であり、かつ平均粒径が0.01〜10μ
mの酸化珪素と、ウィスカーとを有機溶媒中に分散させ
て合成したスラリーを塗布し、その後不活性ガスの環境
下で約1400℃以上の温度で酸化珪素を焼成すること
によって形成されていることを特徴とする耐酸化性部材
である。
【0014】本発明に従えば、基材の表面側を保護する
耐酸化性保護層は、ウィスカーを添加された酸化珪素か
ら形成される。前記酸化珪素は、純度99%以上であ
り、かつ平均粒径0.01〜10μmの酸化珪素が用い
られ、これによって酸化珪素粒子の密な充填が可能とな
る。また耐酸化性保護層は、前記酸化珪素とウィスカー
とを有機溶媒中に分散させて合成したスラリーを塗布
し、その後不活性ガスの環境下で約1400℃以上の温
度で酸化珪素を焼成することによって形成される。この
ように耐酸化性保護層を形成することによって、酸化珪
素の微粒子を欠陥のない1つの保護層に焼結することが
でき、これによって内部への酸素の侵入を確実に抑える
ことができる。また前記耐酸化性保護層は、ウィスカー
を添加し、複合強化された酸化珪素から形成されている
ので、高温における酸化珪素の流動性が抑制され、衝
撃、熱衝撃に対する耐酸化性保護層の耐久性が向上し、
この耐酸化性保護層によってその下側の耐熱耐酸化性保
護層の酸化損耗を抑制することができる。また、酸化珪
素にウィスカーを添加することによって、酸化珪素の耐
酸化性保護層を比較的厚く形成することができ、これに
よっても耐熱耐酸化性保護層の損耗を抑制することがで
きる。
【0015】また本発明は、前記基材が炭素繊維強化型
炭素複合材から形成され、前記熱応力緩和層が拡散反応
法による炭化珪素から形成され、前記耐熱耐酸化性保護
層が化学気相蒸着法による炭化珪素または窒化珪素から
形成されていることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、基材が炭素繊維強化型炭
素複合材から形成され、熱応力緩和層が拡散反応法によ
る炭化珪素から形成されているので、基材と熱応力緩和
層との結合を強くすることができ、熱応力緩和層はポー
ラス状となるため、熱衝撃を緩和する作用を有する。ま
た、耐熱耐酸化性保護層が化学気相蒸着法による炭化珪
素から形成されるので、熱応力緩和層と耐熱耐酸化性保
護層との結合を強くすることができ、また下側に存在す
る熱応力緩和層に存在するポーラス状の孔を確実に覆う
ことができ、これによって高温酸素が熱応力緩和層を通
して基材に侵入するのを確実に防止することができる。
【0017】また本発明は、前記ウィスカーが炭素、炭
化珪素、および窒化珪素から選択された1種以上から形
成されていることを特徴とする。
【0018】本発明に従えば、ウィスカーが炭素、炭化
珪素、窒化珪素の1種以上から形成されるので、酸化珪
素の耐酸性保護層にウィスカーが実質上均一に混在し、
安定した耐酸化性保護層を形成することができる。
【0019】また本発明は、前記ウィスカーの直径が
0.01〜3.0μmであり、その長さが1〜300μ
mであることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、ウィスカーが所定の大き
さであるので、耐酸化性保護層に充分な強度を持たせな
がらその流動性を抑制することができる。
【0021】さらに本発明は、前記耐酸化性保護層の厚
さは10〜300μmであり、前記耐酸化保護層におけ
る前記ウィスカーの添加量は1〜30 vol%であること
を特徴とする。
【0022】本発明に従えば、耐酸化性保護層の厚さが
10〜300μmであるので、充分な耐酸化性特性を持
たせることができる。また、ウィスカーの添加量が1〜
30vol%であるので、耐酸化性保護層に充分な強度を
持たせながらその流動性を抑制することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に従う耐酸化性部材の実施形態について説明する。図
1は、本発明に従う耐酸化性部材の一実施形態の一部を
拡大して示す部分拡大断面図である。
【0024】図1を参照して、図示の耐酸化性部材2
は、基材4と、この基材4の表面に設けられた熱応力緩
和層6と、この熱応力緩和層6の表面に設けられた耐熱
耐酸化性保護層8と、この耐熱耐酸化性保護層8の表面
に設けられた耐酸化性保護層10から構成されている。
【0025】基材4は、炭素繊維とこの炭素繊維の相互
間および周囲を満たす炭素のマトリックスから形成され
たC/C材(炭素繊維強化型炭素複合材)から形成され
ている。このC/C材は、上述したとおり、高温環境下
において充分な強度を有する高温部材として好適であ
る。
【0026】熱応力緩和層6は、この実施形態では、基
材4としてのC/C材との密着性および熱衝撃性に優れ
た炭化珪素(SiC)の層から形成されている。この熱
応力緩和層6は、たとえば、基材4(C/C材)の炭素
と珪素とを拡散させて結合させる拡散反応法、たとえば
それ自体周知のパック法またはコンバージョン法によっ
て形成される。このような拡散反応法によって炭化珪素
の層を形成すると、この炭化珪素層が基材4の繊維間に
不規則に侵入して形成され、基材4と熱応力緩和層6と
が大きな密着力でもって結合される。また、このように
形成することによって、熱応力緩和層6がポーラス状に
形成され、外部からの熱衝撃に対して緩和作用を有し、
その表面側の耐熱耐酸化性保護層8の熱応力による剥離
を抑えることができる。この熱応力緩和層6は、層厚が
たとえば20〜150μm程度に形成される。
【0027】耐熱耐酸化性保護層8は、熱応力緩和層6
との間での剥離を防止するために、大きい密着力でもっ
て結合されるのが望ましく、この実施形態では、熱応力
緩和層6と同質の炭化珪素の層から形成されている。耐
熱耐酸化性保護層8は、たとえば、それ自体周知の化学
気相蒸着法によって形成される。化学気相蒸着法によっ
て炭化珪素の層を形成すると、その層は高純度原料ガス
から原子レベルで表面に析出して形成されるので、不純
物の混入が少なく、緻密で結晶構造的に安定した特性の
ものとなる。それ故に、この層8は、高温域においても
昇華、溶融などがし難く、また酸素の拡散がし難く、下
側の熱応力緩和層6および基材4を高温、酸化に対して
保護する作用を有する。このように熱応力緩和層6の表
面に耐熱耐酸化性保護層8を設けることによって、熱応
力緩和層6に存在するポーラス状の孔が塞がれ、酸素が
熱応力緩和層6を通して基材4に侵入するのを防止する
ことができる。なお、この耐熱耐酸化性保護層8は、化
学気相蒸着法による窒化珪素(Si3N4)から形成し
ても同様の効果を得ることができる。この耐熱耐酸化性
保護層8は、層厚がたとえば50〜200μm程度に形
成される。
【0028】化学気相蒸着法によっては比較的厚い層を
形成することが困難であり、また、厚くできたとしても
Active酸化による損耗速度は大きく、長期の耐久
性は期待できない。それ故に、この耐熱耐酸化性保護層
8を保護するために耐酸化性保護層10が設けられる。
耐酸化性保護層10は、ウィスカーが添加された酸化珪
素から形成される。耐酸化性保護層10に用いる酸化珪
素(SiO2)は、純度が99%以上であり、かつ平均
粒径が0.01〜10μmの酸化珪素を用いる。平均粒
径を0.01〜10μmに揃えることによって、酸化珪
素粒子の密な充填が可能となり、これによって自己焼結
によって耐酸化性保護層10を形成することができる。
【0029】ウィスカーは小さい繊維状のものであり、
炭素、炭化珪素、窒化珪素から選択された1種以上から
形成するのが望ましく、これらの材料から形成すること
によって、酸化珪素とともに焼結することによって耐酸
化性保護層10を形成することができる。ウィスカー
は、直径が0.01〜3μmで、長さが1〜300μm
であるのが望ましい。ウィスカーの直径が3μmを超え
る、またはその長さが300μmを超えると、ウィスカ
ー自体が大きくなり過ぎ、下側の耐熱耐酸化性保護層8
との結合力が低下し、またウィスカーを耐酸化性保護層
10に実質上均一に混在させることが困難となる。一
方、ウィスカーの直径が0.01μmより小さくなる、
またはその長さが1μmより小さくなると、ウィスカー
自体が小さくなり過ぎ、酸化珪素層に充分な強度を与え
ることおよび高温域における酸化珪素層の流動性を充分
に抑制することができなくなる。
【0030】耐酸化性保護層10におけるウィスカーの
添加体積比率は、1〜30 vol%(体積%)である(し
たがって酸化珪素の体積比率は、99〜70 vol%であ
る)のが望ましい。ウィスカーの添加体積比率が30 v
ol%を超えると、ウィスカーの添加量が過剰に多くな
り、耐熱耐酸化性保護層8との結合が低下する。一方、
ウィスカーの添加体積比率が1 vol%より少なくなる
と、ウィスカーの添加量が過少となり、酸化珪素層に充
分な強度を与えることおよび高温域における酸化珪素層
の流動性を充分に抑制することができなくなる。
【0031】この耐酸化性保護層10は、層厚が10〜
300μmであるのが望ましい。この層厚が10μmよ
り薄くなると、層厚が薄くなりすぎ、この耐酸化性保護
層10に充分な耐酸化性特性を持たせることができなく
なり、耐熱耐酸化性保護層8の酸化による損耗を充分に
抑制することができなくなる。一方、層厚が300μm
を超えると、必要以上に耐酸化性保護層10が厚くな
る。
【0032】このような耐酸化性保護層10は、たとえ
ば次のとおりにして形成することができる。まず、酸化
珪素の微粒子とウィスカーとを有機溶媒、たとえばプロ
パノールに分散させて液状のスラリーを形成する。次い
で、このスラリーを刷毛を用いて耐熱耐酸性保護層8の
表面に塗布する。この塗布は、スプレー、ディッピング
などにより行うこともできる。その後、不活性ガスの環
境下で約1400℃以上の温度でもって酸化珪素を焼成
し、ウィスカーでもって強化された酸化珪素の保護層を
形成する。このように形成することによって、酸化珪素
の微粒子を欠陥のない一つの保護層に焼結することがで
き、これによって内部への酸素の侵入を確実に抑えるこ
とができる。
【0033】このような耐酸化性保護層10を設けるこ
とによって、耐酸化性特性の優れた部材となる。特に、
C/C材から成る基材4に熱応力緩和層6および耐熱耐
酸化性保護層8を設け、その表面に上記耐酸化性保護層
10を設けることによって、耐熱耐酸化性を有する高強
度部材として、宇宙往還機機体用耐熱部材などに好都合
に用いることができる。
【0034】上述した実施形態では、基材4に熱応力緩
和層6および耐熱耐酸化性保護層8を設け、その表面に
耐酸化性保護層10を設けているが、熱応力緩和層6お
よび/または耐熱耐酸化性保護層8を省略し、基材4、
熱応力緩和層6または耐熱耐酸化性保護層8の表面にこ
の耐酸化性保護層10を設けるようにすることができ、
このように構成しても所望の効果が達成される。
【0035】実施例 本発明の耐酸化性部材の効果を確認するために、図1に
示す耐酸化性部材を形成し、形成した耐酸化性部材を用
いて加熱試験を行った。
【0036】炭素繊維強化型炭素複合材を基材として、
その表面に拡散反応法、具体的にはパック法によって炭
化珪素の熱応力緩和層を形成した。基材の大きさは50
mm(縦)×30mm(横)×2mm(厚さ)であり、
その表面に形成した熱応力緩和層の厚さは20〜125
μmであった。熱応力緩和層の形成は、珪素/炭化珪素
/酸化アルミニウム=15〜50/25〜82/3〜2
5wt%の混合粉中に前記基材を埋没させ、不活性雰囲
気下で1500〜1800℃の加熱処理により上記基材
の表面を炭化珪素に転化させる。反応時間は所望の皮膜
膜厚に応じて選択することができる。
【0037】熱応力緩和層を形成した後、その表面に化
学気相蒸着法によって炭化珪素の耐熱耐酸化性保護層を
形成した。形成した保護層の層厚は100μmであっ
た。耐熱耐酸化性保護層の形成は、たとえば、原料ガス
にメチルトリクロロシラン、四塩化珪素+メタン等を、
キャリアガスに水素、または水素+アルゴンの混合ガス
等を用いて、反応温度900〜1700℃反応圧力76
0torr以下で、前記原料ガスとキャリアガスの流量
比が(原料ガスの流量)/(キャリアガスの流量)=1
/100〜50/100の条件で行うのが好ましい。反
応時間は所望の膜厚に応じて選択することができる。
【0038】しかる後、耐熱耐酸化性保護層の表面に耐
酸化性保護層を形成し、形成した層の層厚は90μmで
あった。この耐酸化性保護層の形成は、まず、酸化珪素
の微粒子とウィスカーとをプロパノールに分散させ、こ
れらを分散させたスラリーをディッピング法で耐熱耐酸
性保護層8の表面に塗布し、その後、アルゴンガスの環
境下で1500℃の温度で焼成して行った。用いた酸化
珪素の純度は99.9%であり、また用いたウィスカー
は炭化珪素であり、その添加体積比率は3vol%であっ
た。また、用いたウィスカーの直径は0.05〜1.5
μmであり、その長さは5〜200μmであった。
【0039】このように形成した耐酸化性部材の試験片
を用いて静的加熱試験を行った。静的加熱試験は、80
0Paまで減圧されたチャンバー内にセットした耐酸化
性部材の試験片を、キセノンランプ加熱によって急速に
1550℃まで昇温・保持し、1100秒間の保持後冷
却することで実施した。
【0040】そして、この静的加熱試験後に、実施例の
試験片を切断して耐酸化性保護層の剥離状態などを撮影
した結果、図2に示すとおりの切断面が得られた。図2
から明らかなとおり、最外層である耐酸化性保護層にお
いて剥離がなく、また損耗、溶融も見られなかった。ま
た、耐酸化性保護層の下側の耐熱耐酸化性保護層におい
ても損耗がなく、さらに耐酸化性保護層と耐熱耐酸化性
保護層との密着性も良好であった。このように、ウィス
カーを添加した耐酸化性保護層を設けることによって、
充分な耐酸化性特性が得られることが確認できた。同様
にして、ウィスカーの種類および/または添加体積比率
を変化させて形成した試験片について上記と同じ内容の
静的加熱試験を実施した。この結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】比較例 比較例として、耐酸化性保護層を除いた以外は実施例と
実質上同一の試験片を形成して加熱試験を行った。比較
例における基材、熱応力緩和層および耐熱耐酸化性保護
層は、実施例と同様に形成した。また、この試験片を用
いた静的加熱試験を、保持時間を275秒間に縮めた以
外は実施例と同様に行った。
【0043】比較例においては、静的加熱試験の後に試
験片を切断してその切断面を撮影した結果、図3に示す
とおりの切断面が得られた。図3から明らかなとおり、
最外層である耐熱耐酸化性保護層の一部において損耗が
見られた。このことから、耐酸化性保護層を設けない場
合、耐熱耐酸化性保護層に損耗、クラックが生じ、充分
な耐酸化性特性が得られなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明の請求項1の耐酸化性部材によれ
ば、基材の表面側を保護する耐酸化性保護層は、ウィス
カーを添加された酸化珪素から形成される。前記酸化珪
素は、純度99%以上であり、かつ平均粒径0.01〜
10μmの酸化珪素が用いられ、これによって酸化珪素
粒子の密な充填が可能となる。また耐酸化性保護層は、
前記酸化珪素とウィスカーとを有機溶媒中に分散させて
合成したスラリーを塗布し、その後不活性ガスの環境下
で約1400℃以上の温度で酸化珪素を焼成することに
よって形成される。このように耐酸化性保護層を形成す
ることによって、酸化珪素の微粒子を欠陥のない1つの
保護層に焼結することができ、これによって内部への酸
素の侵入を確実に抑えることができる。また前記耐酸化
性保護層は、ウィスカーを添加し、複合強化された酸化
珪素から形成されている。このように酸化珪素にウィス
カーを添加することによって、高温における酸化珪素の
流動性が抑制され、衝撃、熱衝撃に対する耐酸化性保護
層の耐久性が向上し、かくして耐酸化性保護層によって
基材を保護することができる。また、酸化珪素にウィス
カーを添加することによって、酸化珪素の耐酸化性保護
層を比較的厚く形成することができ、これによっても基
材に充分な耐酸化性を持たせることができる。
【0045】また本発明の請求項2の耐酸化性部材によ
れば、基材の表面側を保護する耐酸化性保護層は、ウィ
スカーを添加された酸化珪素から形成される。前記酸化
珪素は、純度99%以上であり、かつ平均粒径0.01
〜10μmの酸化珪素が用いられ、これによって酸化珪
素粒子の密な充填が可能となる。また耐酸化性保護層
は、前記酸化珪素とウィスカーとを有機溶媒中に分散さ
せて合成したスラリーを塗布し、その後不活性ガスの環
境下で約1400℃以上の温度で酸化珪素を焼成するこ
とによって形成される。このように耐酸化性保護層を形
成することによって、酸化珪素の微粒子を欠陥のない1
つの保護層に焼結することができ、これによって内部へ
の酸素の侵入を確実に抑えることができる。また前記耐
酸化性保護層は、ウィスカーを添加し、複合強化された
酸化珪素から形成されているので、高温における酸化珪
素の流動性が抑制され、衝撃、熱衝撃に対する耐酸化性
保護層の耐久性が向上し、この耐酸化性保護層によって
その下側の耐熱耐酸化性保護層の酸化損耗を抑制するこ
とができる。また、酸化珪素にウィスカーを添加するこ
とによって、酸化珪素の耐酸化性保護層を比較的厚く形
成することができ、これによっても耐熱耐酸化性保護層
の損耗を抑制することができる。
【0046】また本発明の請求項3の耐酸化性部材によ
れば、基材が炭素繊維強化型炭素複合材から形成され、
熱応力緩和層が拡散反応法による炭化珪素から形成され
ているので、基材と熱応力緩和層との結合を強くするこ
とができ、熱応力緩和層はポーラス状となるため、熱衝
撃を緩和する作用を有する。また、耐熱耐酸化性保護層
が化学気相蒸着法による炭化珪素から形成されるので、
熱応力緩和層と耐熱耐酸化性保護層との結合を強くする
ことができ、また下側に存在する熱応力緩和層に存在す
るポーラス状の孔を確実に覆うことができ、これによっ
て高温酸素が熱応力緩和層を通して基材に侵入するのを
確実に防止することができる。
【0047】また本発明の請求項4の耐酸化性部材によ
れば、ウィスカーが炭素、炭化珪素、窒化珪素の1種以
上から形成されるので、酸化珪素の耐酸性保護層にウィ
スカーが実質上均一に混在し、安定した耐酸化性保護層
を形成することができる。
【0048】また本発明の請求項5の耐酸化性部材によ
れば、ウィスカーが所定の大きさであるので、耐酸化性
保護層に充分な強度を持たせながらその流動性を抑制す
ることができる。
【0049】さらに本発明の請求項6の耐酸化性部材に
よれば、耐酸化性保護層の厚さが10〜300μmであ
るので、充分な耐酸化性特性を持たせることができる。
また、ウィスカーの添加量が1〜30 vol%であるの
で、耐酸化性保護層に充分な強度を持たせながらその流
動性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う耐酸化性部材の一実施形態の一部
を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図2】実施例の試験片に静的加熱試験を行った後、そ
の試験片を切断して撮影した切断面図である。
【図3】比較例の試験片に静的加熱試験を行った後、そ
の試験片を切断して撮影した切断面図である。
【符号の説明】
2 耐酸化性部材 4 基材 6 熱応力緩和層 8 耐熱耐酸化性保護層 10 耐酸化性保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−217576(JP,A) 特開 平5−279150(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 41/87

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面側に、純度99%以上であ
    り、かつ平均粒径が0.01〜10μmの酸化珪素と、
    ウィスカーとを有機溶媒中に分散させて合成したスラリ
    ーを塗布し、その後不活性ガスの環境下で約1400℃
    以上の温度で酸化珪素を焼成することによって形成され
    た耐酸化性保護層を設けたことを特徴とする耐酸化性部
    材。
  2. 【請求項2】 基材と、前記基材の表面に設けられた熱
    応力緩和層の表面に設けられた耐熱耐酸化性保護層と、
    前記耐熱耐酸化性保護層の表面に設けられた耐酸化性保
    護層とを備え、 前記耐酸化性保護層は、純度99%以上であり、かつ平
    均粒径が0.01〜10μmの酸化珪素と、ウィスカー
    とを有機溶媒中に分散させて合成したスラリーを塗布
    し、その後不活性ガスの環境下で約1400℃以上の温
    度で酸化珪素を焼成することによって形成されているこ
    とを特徴とする耐酸化性部材。
  3. 【請求項3】 前記基材が炭素繊維強化型炭素複合材か
    ら形成され、前記熱応力緩和層が拡散反応法による炭化
    珪素から形成され、前記耐熱耐酸化性保護層が化学気相
    蒸着法による炭化珪素または窒化珪素から形成されてい
    ることを特徴とする請求項2記載の耐酸化性部材。
  4. 【請求項4】 前記ウィスカーが炭素、炭化珪素、およ
    び窒化珪素から選択された1種以上から形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐酸
    化性部材。
  5. 【請求項5】 前記ウィスカーの直径が0.01〜3.
    0μmであり、その長さが1〜300μmであることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐酸化性部
    材。
  6. 【請求項6】 前記耐酸化性保護層の厚さは10〜30
    0μmであり、前記耐酸化性保護層における前記ウィス
    カーの添加量は1〜30 vol%であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の耐酸化性部材。
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