JP2963563B2 - 粘ちょう物質から直状の繊維を製造する方法および装置 - Google Patents

粘ちょう物質から直状の繊維を製造する方法および装置

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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘ちょうな物質に気体
流を作用させて、該物質の細く、かつ直状で毛足の長い
繊維を製造する方法と装置に関する。
【0002】
【従来技術】粘ちょう物質から繊維強化複合材料や繊維
状シート用の原料繊維を得る方法としては、特に直状で
毛足の長い繊維の場合には、いわゆる「長繊維紡糸法」
が一般に用いられてきた。
【0003】ここで、「長繊維紡糸法」とは、まず加熱
などの手段により粘ちょうにした物質を小孔から自重で
流下させるか、ないしは荷重をかけて押し出す(以後、
便宜上、いずれの場合も単に「流出」と称する。)。次
に、こうして得られた太い、いわゆる「一次繊維」を高
速で回転するドラム(ワインダー)で引き伸ばしながら
巻き取る。この長繊維紡糸法においては、ドラムの回転
によって生じる牽引力によって粘ちょう物質の延伸と細
繊化(細化)が行われるが、このドラムの回転による粘
ちょう物質の延伸と細繊化を以後、「ドラム巻取り法」
と称する。
【0004】ところで、近年、前記ドラム巻取り法に代
えて「エアジェット牽引法」と称するエアジェットを用
いてこの一次繊維の延伸細化を行なう方法が、特に不織
布の製造法の中で盛んに行われるようになってきた。こ
のエアジェット牽引法は、まず、さきに説明した長繊維
の場合と同じ方法で粘ちょう物質から一次繊維が形成さ
れ、次に、この一次繊維の周りを囲むように配置された
エアジェットノズルから、繊維の流れ方向に沿って概ね
その進行方向と平行に高速気体流を噴出させる。そし
て、この気体流を一次繊維に作用させ、これを牽引する
ことによって延伸細化する方法である。
【0005】なお、前記不織布とは、一般に、原料繊維
を均一な厚みとなるように開繊、積層させてシート状に
成形し(これを「ウェブ」と称する)、繊維の脱離を防
ぐためにこれらを結合させたシート状あるいはマット状
の物質を言う。
【0006】そして一般的な不織布製造工程は、繊維形
成(紡糸)、繊維の開繊と捕集、結合、そして巻取りの
各工程から構成される(ただし紡糸を含まない場合もあ
る。)。
【0007】前記ドラム巻取り法では一旦巻取った繊維
からウェブを形成するために開繊する必要があり、工程
が複雑になったりその間に繊維の損傷が生じたりする
が、このエアジェット牽引法によれば、エアジェットノ
ズルの出口形状を工夫したり、開繊用の別のノズルと組
み合わせることによって、繊維化に引き続いて繊維の開
繊を行うことができるために、工程を短縮でき、しかも
繊維品質を損なうことも少なくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ドラム巻取り法では、
紡糸工程中の「糸切れ」が繊維品質と生産性にとって大
きな障害となる。そしてエアジェット牽引法も、基本的
にはドラムがエアジェットに変わっただけであるので、
エアジェット牽引法においても、この糸切れ防止は同じ
く大きな課題である。
【0009】糸切れが発生すると、その時点で繊維の延
伸細化が中断するために、太い繊維や、いわゆる「ビー
ズ」と呼ばれる粘ちょう物質がまったく延伸されずに固
化した塊が繊維中に混入するために、繊維品質を損な
う。一方、紡糸工程においては、牽引される繊維自体が
延伸細化を継続する担い手であることから、一旦延伸細
化が中断してしまうと、これを自然に元の状態に復帰さ
せる(以後、便宜上「自己復帰」と称する。)事ができ
ず、人間が1次繊維を引っ張ってドラムもしくはエアジ
ェットノズル内にこれを持ち来たして復旧させなければ
ならない。場合によっては、紡糸作業を停止して復旧さ
せる場合もある。そのため生産性が大きく低下すること
が問題点としてあった。
【0010】この「糸切れ」の原因は、その発生場所に
よって大きく次の3点に分けることができる。すなわ
ち、「ドラム巻取り法」もしくは「エアジェット牽引
法」においては、はじめに粘ちょうにされ、一般に「チ
ップ」と呼称される小孔から流出した物質は、ドラムの
回転力もしくはエアジェットの牽引力によって断面径が
徐々に狭くなり、いわゆる「メニスカス」と呼ばれる逆
円錐形を呈するようになる。そしてドラムやエアジェッ
トの牽引力によって断面径を小さくされながら、放熱に
よる冷却や、場合によっては化学反応によって徐々にそ
の粘性が高まり、ついには固化し、そのときの断面直径
を最終繊維径とする繊維となってドラムに巻取られる
か、もしくはエアジェットノズルの下流域へ搬送され
る。
【0011】「糸切れ」の発生場所は、この繊維形成過
程に沿ってメニスカス付近、メニスカスからドラム
もしくはエアジェットノズルに達するまでの間、および
ドラム上もしくはエアジェットノズル内の3カ所に分
けることができる。
【0012】その「糸切れ」の原因としては前記各繊維
形成過程箇所において、それぞれ次のようなことが挙げ
れる。 においては、粘ちょう物質の粘性の変動やドラム回転
力もしくはエアジェットの牽引力の脈動に起因する粘ち
ょう物質の流出量の変動、物質中に含まれる泡や異物な
どの不均質によって生じる流出異常、およびチップの汚
れによるチップ開口面積の変化や粘ちょう物質の「濡
れ」面積の変化等によって生ずるメニスカス形成不良、 においては気流の乱れによる外乱や多数のチップから
多数本の繊維を同時に製造する場合の隣合う繊維同士の
接触、 においては繊維とドラムもしくはエアジェットノズル
との接触。
【0013】これらの「糸切れの」原因を取り除くため
にこれまで幾多の努力がなされてきた。例をあげれば、
「流出異常」については、粘ちょう物質の精密な温度調
節による粘性維持と流量調整、物質の精製や繊維化の前
段階での不均質のトラップ、チップ形状の改良、ドラム
やエアジェットノズルの構造や形状の改良などである。
また、「外乱」については、繊維接触に対しては気流の
整流、そして「エアジェットノズルとの接触」に対して
はノズル形状の改良などである。
【0014】その結果、「ドラム巻取り法」において
も、「エアジェット牽引法」においても多大な成果が達
成されている。しかしながらここに一つの大きな問題が
あった。すなわち、これらの改良の多くは基本的に「糸
切れ」を防止しようとするものであり、可能な限り「糸
切れ」が生じないようにしようとするものであった。従
って、一旦糸が切れた場合に、先にあげたような元の状
態へ「自己復帰」できないという状況は変わっていない
のである。
【0015】そこで本発明の目的は粘ちょう物質の延伸
と細繊化(細化)における「糸切れ」時に「自己復帰」
が容易にできる直状繊維の製造方法および装置を提供す
ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは「自己復
帰」方法について鋭意検討した結果、粘ちょう物質を牽
引し、もってこれを延伸細化するエアジェット(以後
「牽引用ジェット」と称する。)に加え、別の気体流を
用いて、この気体流を流出した直後であって牽引を受け
る前の粘ちょう物質流に作用させることによって自己復
帰を可能ならしめるという知見に至ったのである。
【0017】ただし、この気体流を粘ちょう物質の流出
方向に概ね平行に吹き出させるならば、粘ちょう物質の
流出量や気体の流量に脈動などの変動が生じれば、気体
流の付加が新たな糸切れの原因となることが予想される
のである。すなわち、ここでは、粘ちょう物質の流出方
向と気体流の吹き出し方向が概ね同じであるのに加え、
牽引用エアジェットの進行方向もほぼ同じ、いわば順方
向である。そこで上記のような変動が発生し、牽引用や
付加する気体流と粘ちょう物質流出量のバランスが狂え
ば、糸切れがなく、安定な繊維形成が行われているにも
かかわらず、一次繊維径に大きなばらつきが生じ、繊維
径が過度に細くなれば糸切れに至ることが予想されるの
である。
【0018】そこで、自己復帰とともに、安定な繊維形
成状態における粘ちょう物質流の連続で安定な供給と一
次繊維の形成が必要である。本発明者らは、気体流の進
行方向に工夫を加え、気体流の作用によって流出した粘
ちょう物質を回転させ、その後渦巻き状に飛び出させる
ことによって、自己復帰とともに粘ちょう物質流の安定
な供給と一次繊維の形成が達成されることを知見したの
である。ここで、この付加的な気体流を便宜上「復帰用
ジェット」と称する。
【0019】すなわち、本発明は次の構成からなる。粘
ちょう物質に高速気体流を作用させて、該物質の細い繊
維を得る方法において、粘ちょう物質を流出オリフィス
から流出させ、前記オリフィスの周りに周方向に間隔を
置いて配置した、少なくとも3本の第1の気体ノズルか
ら前記粘ちょう物質の流出流の中心軸線を横断する断面
の外周に沿う接線方向の成分と、前記物質の流出方向に
向かって、まず前記物質の中心軸線に徐々に接近し、次
に前記中心軸線から徐々に離れていく成分とを有してい
る第1の気体流を吹き出させ、前記粘ちょう物質の流出
流の中心軸線に前記第1の気体流が最も接近した位置よ
りも前記粘ちょう物質の流出流の下流側の部分であっ
て、前記粘ちょう物質の流出流の中心軸線の周りに、該
中心軸線を挟む少なくとも2箇所に、または該中心軸線
を中心として環状に配置した第2の気体ノズルから第2
の気体流を前記粘ちょう物質の流出流方向と概ね平行に
なるような方向に吹き出させる粘ちょう物質から直状の
繊維を製造する方法である。
【0020】また本発明の目的は次の構成からも達成さ
れる。粘ちょう物質を流出させるための流出オリフィス
と、該流出オリフィスの周りに周方向に間隔を置いて配
置した少なくとも3本の第1の気体ノズルと、該流出オ
リフィスの周りに環状に、もしくは該オリフィスを挟む
少なくとも2カ所に配置した第2の気体ノズルを備え、
第1の気体ノズルはそれらの噴出口からの気体流噴出方
向が前記オリフィスより流出する前記粘ちょう物質の中
心軸線を横断する断面の外周に沿う接線方向の成分と、
前記粘ちょう物質の流出方向に向かって、まず前記粘ち
ょう物質の中心軸線に徐々に接近し、次に該中心軸線か
ら徐々に離れていく成分とを有する方向を指向して配設
されており、第2の気体ノズルは、その噴出口が前記粘
ちょう物質の中心軸線に前記第1の気体流が最も接近し
た位置よりも前記粘ちょう物質流出流の下流側に位置し
ており、かつ、前記第2の気体ノズルの噴出口からの気
体流噴出方向が該粘ちょう物質の流出方向に概ね平行な
方向を指向して配設されている粘ちょうな物質から直状
の繊維を製造する装置である。
【0021】本発明は言い換えれば、粘ちょう物質の繊
維化過程における糸切れ直後の自動的かつ安定的な繊維
形成の回復、すなわち「自己復帰」を目的とし、流出す
る粘ちょう物質流に牽引用エアジェットを作用させて、
該物質の細く直状で、毛足の長い繊維を製造する方法に
於て、流出した物質に復帰用ジェットを作用させ、該物
質を回転させ、渦巻き状に飛び出させることによって、
糸切れ発生後、直ちに自動的に、かつ安定に牽引用エア
ジェットノズルに向かって一次繊維を供給させることで
ある。
【0022】エアジェットを用いて粘ちょう物質を回転
させ螺旋状に飛び出させる方法として、いわゆる「旋回
ガスジェット法」(Rotary Gas Jet法、以後RGJ法と
略称する。)が本出願人より提案されている(例えば、
特公昭57−17855号、特公昭58−57374
号、特公昭60−7042号など)。
【0023】ここでRGJ法を図5(図5(b)は図5
(a)のA−A’線切断図である。)を用いて詳細に説
明すると、例えば、図5に示すように溶融物ノズル31
から粘ちょうにされた物質32を連続に流出させるこ
と、および、流出した粘ちょう物質32の進行方向に沿
う第1の区域33において、粘ちょう物質32の中心軸
に垂直な横断面外周に沿う接線方向成分を有する気体流
34を気体流ノズル35から吹き出し、粘ちょう物質3
2が横方向に変位するのを妨げるように接触させて、粘
ちょう物質32を限定された領域に閉じ込めながら粘ち
ょう物質32の進行方向の周りに回転させることからな
り、それによって前記第1区域33から粘ちょう物質3
2の進行方向に引き続く第2の区域36において、主と
して前記気体流34の回転の力の慣性に基づく回転によ
る遠心力によって粘ちょう物質32を横方向に向かって
飛び出させ、そしてその飛び出し方向を粘ちょう物質流
の中心軸からみた円周方向であって、かつ前記回転と同
じ向きに回転させて、粘ちょう物質32から該物質の繊
維37を連続的に引き出すことを特徴とする繊維の製造
方法である。該方法においては、溶融物ノズル32から
の流出に際し円柱状を呈する粘ちょう物質32の流れに
対して、該物質32の進行方向と同一方向成分と該物質
32の進行方向中心軸の周りの回転成分とを合わせ持つ
気体流34を、前記第1の区域33においては粘ちょう
物質32の流れの中心軸線に近づくように、引き続く第
2の区域36においては該中心軸線から遠ざかるように
作用させている。
【0024】ここでは、流出した粘ちょう物質32は第
1の区域33においては、該物質32の中心軸線に徐々
に近づく気体流34の作用を受けて、回転しながら先細
りの円錐形状(コーン)38を形成し、次に先細りの先
端から糸状に、すなわち一次繊維としてその回転方向、
すなわち横方向に向かって渦巻き状に旋回しながら飛び
出して行く。そして第2区域36において粘ちょう物質
32の流れの中心軸線から徐々に遠ざかる気体流34の
牽引作用を受けて延伸細化され、細い繊維37となるの
である。
【0025】このRGJ法における気体流(RGJ気体
流)34を用いれば、先に説明した種々の場所おいて、
種々の原因によって「糸切れ」が発生しても、搬送用エ
アジェットの作用によって直ちに新たな繊維状粘ちょう
物質の供給、すなわち一次繊維の形成が行われる。従っ
て「自己復帰」が達成されるのである。
【0026】また、RGJ法において特徴的なのは、前
記第1の区域33の後半で先細りとなった粘ちょう物質
32の先端は、前記飛び出しによる引っ張り力を受けて
連続的に一次繊維を供給し、飛び出しによって失われた
粘ちょう物質32の量は第1の区域33の円錐形状38
内の粘ちょう物質32によって連続的に補給される。さ
らにこの円錐38内の粘ちょう物質32の欠乏が流出前
の粘ちょう物32からの連続的な補給を促すのである。
従って連続で安定な粘ちょう物質32の供給とそれに引
き続く一次繊維37の形成が達成されるのである。
【0027】本発明はRGJ法に基づく「復帰用ジェッ
ト」によって形成された一次繊維を、引続き「牽引用ジ
ェット」で牽引し、延伸細化して細く直状で、しかも毛
足の長い繊維にするのである。
【0028】本発明における繊維化の過程を要約する
と、まず粘ちょう物質を流出させること、次にこれに
「復帰用ジェット」を作用させて、粘ちょう物質を回転
させ、円錐形の先端から飛び出させること、そして飛び
出した1次繊維に「牽引用ジェット」を作用させ、これ
を延伸細化させることである。
【0029】ここで、本発明のよりよい理解のために、
本発明と従来のRGJ法などの繊維化方法との違いを説
明する。
【0030】RGJ法を用いて得られる繊維は、カール
状に湾曲したウールと呼ばれる短繊維である。これは前
述したように、回転力を与えられて円錐の先端から周方
向に飛び出した繊維状の粘ちょう物質(一次繊維)が、
粘ちょう物質の流出方向に進行する、すなわち飛び出し
た一次繊維と交差する気体流の作用を受けて延伸される
からである。うずまき状に旋回しながら進行する一次繊
維は、その長手方向に気体流の速度による移動作用を受
ける部分と受けない部分が交互に発生し、この速度差に
よって繊維がカール状に湾曲するのである。そして粘ち
ょう物質に与えられる回転力が大きいほど数多くの湾曲
が生じるのである。
【0031】このRGJ法において、前記の回転力を小
さくすることによって、本発明が目的とする直状の繊維
を得る方法が提案されている(特開昭63−21004
2号)。この方法では、粘ちょう物質流の中心軸線とR
GJ気体流の中心軸線の交差角度を従来より小さくする
ことによって回転力を小さくしている。この方法は用い
る気体流が一種類であるので、装置が簡単で済み、ま
た、二種類の気体流を組み合わせることによって生じる
制限が無いので直状繊維を得るのに優れた方法である
が、上記方法によって得られた繊維では、その径のばら
つきが大きくなり、また、繊維形成の安定性が劣ること
が予想される。なぜならば、連続で安定な粘ちょう物質
の供給と一次繊維形成を実現する最たる理由であった回
転力を低下させているからである。
【0032】また、本発明のように前記の旋回ガスジェ
ット流に加えて別の二次ジェット流を付加する方法が提
案されているが(特開昭62−226835号)、この
方法によって得られる繊維は旋回ガスジェット流を単独
で用いた場合と同じく、カール状に湾曲した短繊維であ
る。従ってこれらの方法は本発明と同じ様な手段を用い
ながらも、粘ちょう物質に与える作用が異なるものと思
われる。この従来公知のRGJ法を用いる方法と本発明
との違いは後記の作用欄で詳細に説明する。
【0033】本発明は、このエアジェットによって粘ち
ょう物質から直状で毛足が長く、しかも細い繊維を得る
方法に該当するものである。但し、繊維形成方法である
から、本発明が用いられるところは上にあげた不織布製
造法にとどまらず、一般の直状で毛足の長い繊維形成方
法として汎く適用可能である。
【0034】本発明において、第1の気体流の種類は限
定的でない。また、第2の気体流の種類と温度は限定的
でない。経済性を考えれば、一般のエアジェットノズル
で使用されるような室温の空気で十分である。
【0035】以下、本発明が適用される装置の一例によ
って、本発明の手段と作用を図面を用いて詳細に説明す
る。図1は、装置全体を示す断面図(図2のA−A’線
切断図)である。図1の装置は、粘ちょう物質供給用装
置(流出部分のみ図示)と、これと一体となった復帰用
ジェットノズル(第1のノズル)2と、牽引用ジェット
ノズル(第2のノズル)11および、各々のノズル2、
11へ気体を供給する装置(図示せず)から構成されて
いる。図2は、図1のA−A’線に沿って、向かって下
方向から見た横断面図、図3は、図1のB−B’線に沿
って、向かって下方向から見た横断面図である。
【0036】図1、図2において、繊維化する物質を加
熱などの方法によって粘ちょうにして供給するための装
置1は同図ではその粘ちょう物質流出口付近が示されて
いる。粘ちょうにされた物質2は流出オリフィス3を通
って円錐形9を形成しながら流出している。ここで、流
出時の該物質2の粘性は30〜100ポアズが適当であ
る。
【0037】一方、粘ちょう物質供給装置1には復帰用
旋回ガスジェット流(第1の気体流)導入管4が接続さ
れ、粘ちょう物質供給装置1の内部には復帰用旋回ガス
ジェット流導入管4と連通するマニホールド(気体分配
管)5が設けられている。そして、流出オリフィス3の
周囲にほぼ対称にマニホールド5に連通した複数個の第
1の気体流吹き出しノズル(第1のノズル)6と、その
吹き出し口7(図面では4個)が設けられている。
【0038】これら第1のノズル6は、その吹き出し口
7が、全ての吹き出し口7の噴出口の中心を含む直径D
1(「吹き出し径」と称する。)の円の中心を通り、こ
の円に直交する中心軸線(=D1の中心軸線)H0が流出
オリフィス3の中心軸線、言い換えれば粘ちょう物質2
の流れの中心軸線と同軸となっており、かつ該物質流2
を横断する断面の外周に沿う接線方向の成分と、中心軸
線H0に向かって、まず中心軸線H0に徐々に接近し、中
心軸線H0上の点Pを含み中心軸線H0に直交する面内に
於いて中心軸線H0に最も接近し、次に中心軸線H0から
徐々に離れて行く成分とを有する方向を指向して配設さ
れている。
【0039】ここで便宜上、点Pを「焦点」とし、焦点
Pを含み中心軸線H0に直交する平面と第1のノズル6
の各々の吹き出し口7の断面の中心軸線H1との交点で
形成される円の直径D1'(図2)を「絞り径」とする。
【0040】また、図1および図2では、粘ちょう物質
供給系統(装置本体1と流出オリフィス3まで)と、第
1の気体流供給系統(導入管4から吹き出し口7まで)
は一体として構成されているが、以下に述べる本発明に
好適な条件を満たすものであれば、各々の系統が独立し
て配置されていてもよい。さらに、複数個設けられた第
1の気体ノズル6の各々が独立したノズルとして配置さ
れていてもよい。
【0041】図1、図2において、第1のノズル6は4
個示されているが、その数は3個以上であれば幾らあっ
ても良い。特に、第1のノズル6が流出オリフィス3の
周囲に対称的に配置されているのが好適である。
【0042】図1、図3に示す牽引用ジェットノズル本
体(第2のノズル本体)11は、本発明においては従来
公知のエアジェットノズルが限定的でなく使用できる。
本発明においては、第2のノズル本体11は、全体とし
て中空の円筒形状を有しており、第1のノズル6側の端
部には、第2の気体流導入管12と、これに連通するマ
ニホールド13が設けられている。そして、第2のノズ
ル本体11内側に第2の気体流を噴出するための環状の
スリット形の第2のノズル14とその噴出口15が、マ
ニホールド13に連通して設けられている。
【0043】本発明では、この第2のノズル14は、そ
の噴出口15が、流出オリフィス3から見て前記焦点P
の下流側に位置するように配置されている。本発明の実
施例では第2のノズル14の気体噴出口15の内径D2
(図3)の中心軸線が流出オリフィス3の中心軸線H0
と一致するように第2のノズル本体11の位置と、流出
オリフィス3との平行関係が設定されているが、両者が
概ね平行であれば、この位置は限定的ではない。
【0044】また、本発明の実施例では、第2の気体流
噴出口15は流出オリフィス3の中心軸線H0を囲む円
形で環状のスリットとなっているが、流出オリフィス3
に対して少なくとも2方向から気体流が噴出するのであ
れば、従来公知のエアジェットノズルのように矩形であ
っても、櫛歯状であっても、また2個の矩形のスリット
を用いて2列の帯状の気体流が噴出するようにしてもよ
い。
【0045】このように配設された第1のノズル6と第
2のノズル14に於て、例えば4本の第1のノズル6の
気体吹き出し口7より、第1の直線状気体流8が吹き出
され、該気体流8は、各々がはじめは中心軸線H0に徐
々に接近し、点P付近で中心軸線H0に最も接近した
後、中心軸線H0から徐々に離れて行くように進行す
る。一方、第2のノズル14の噴出口15より環状の第
2の高速気体流16が噴出される。
【0046】図1には粘ちょう物質2が繊維化される様
子も表している。装置1内で粘ちょうにされた物質2
は、流出オリフィス3を通って流出する。この粘ちょう
物質流は、はじめに、第1のノズル6の吹き出し口7よ
り吹き出された第1の気体流8によって、まず流出オリ
フィス3の中心軸線H0に徐々に近づく気体流の方向成
分によって円錐形9を形成せられ、かつ回転力を与えら
れる。引き続き、該中心軸線H0から徐々に離れて行く
方向成分の作用によって円錐形9の先端部から周方向に
渦巻き状に飛び出して行く。このようにして形成された
一次繊維10は、減衰していく第1の気体流8に引き続
いて第2の高速気体流の噴出によって第2のノズル14
の上部に生じ、第2のノズル内に流入する伴流17によ
り搬送され、自然に第2のノズル本体11内に運ばれ
る。ここで第2の気体流16の牽引力を受ける。この牽
引力によって一次繊維は最終繊維径18にまで延伸細化
され、第2のノズル本体11から下流方向へ出て行くの
である。
【0047】本発明によれば、第1の気体流(復帰用ジ
ェット)8を前記のように吹き出すことによって、繊維
形成過程の種々の場所で、種々の原因によって糸切れが
発生しても直ちに新たな粘ちょう物質2の供給と一次繊
維10の形成が自動的に行われる。すなわち自己復帰が
なされる。また連続で安定な粘ちょう物質2の供給と一
次繊維10の形成が実現される。そして第2の気体流
(牽引用ジェット)16の作用によって一次繊維10を
牽引することにより、粘ちょう物質2は延伸細化され
て、細く、直状で毛足の長い繊維18に成形される。
【0048】これらの一連の第1の気体流8による自己
復帰作用、第2の気体流16による牽引作用、そして前
記2つの気体流8、16の作用を円滑に達成するため、
本発明の実施例では以下のような好適な装置の仕様と繊
維形成条件を設定した。
【0049】はじめに、自己復帰作用のためには、自己
復帰用ジェット流(第1の気体流)8が、既に述べたよ
うに、はじめは粘ちょう物質流の中心軸線H0に徐々に
近づき、焦点Pで該中心軸線H0に最も近づき、次に該
中心軸線H0から徐々に離れるように進行することが必
要である。このために好適な第1のノズル6の仕様は、
従来公知のRGJ法に準じ、以下のように示される。 ・流出オリフィス3の直径d0: 0.1〜2.5mm、好まし
くは 0.3〜2.0mm。 ・第1のノズル6の直径d1 : 0.2〜1.5mm、好まし
くは 0.3〜0.8mm。 ・第1のノズル6の長さG1 : 1.0〜7.5mm、好まし
くは 1.5〜4.0mm。 ・第1のノズル6の吹き出し径D1: 0.5〜5.0mm、好
ましくは 0.7〜4.0mm。 ・流出オリフィス3と第1のノズル6の各々の中心軸線
のなす角度(傾角)α:20〜70°、好ましくは35〜55
°。 ・全ての第1のノズル6の吹き出し口を含む面と焦点P
との距離L1: 0.5〜3.0mm、好ましくは 1.0〜2.0m
m。 ・第1のノズル6の絞り径D1' : 0.1〜2.0mm、好ま
しくは 0.2〜1.5mm。
【0050】ここで、第1の気体流8の吹き出しエネル
ギーは、これが大きすぎると一次繊維10がカールし、
第2の気体流16による延伸作用を受ける前に固化して
しまうために直状の繊維が得られない。本発明での自己
復帰と安定な一次繊維10の供給という第1の気体流8
の目的と合わせて考えれば、第1の気体流8のエネルギ
ーは前記の目的を達するために必要十分な程度の大きさ
以上にすべきではない。このエネルギー量は繊維化する
物質の流出温度と流出量によって決定される。気体流の
温度は、本発明の実施例のように、第1のノズル6を中
心とする第1の気体流供給系統が粘ちょう物質供給系統
と一体となっている場合は、粘ちょう物質2の流出温度
と同じであることが必要であるが、気体流供給系統が粘
ちょう物質供給系統と分離している場合にはこの限りで
はない。
【0051】次に牽引用の第2のノズル14については
従来公知のノズルが使用できるが、前記2つの作用(第
1の気体流8による自己復帰作用と第2の気体流16に
よる一次繊維牽引作用)を相乗的に達成するために、特
に粘ちょう物質流出オリフィス3や第1のノズル6との
位置関係およびエネルギー量に制限がある。
【0052】すなわち、直状繊維18を得るため、第2
の気体流16の作用を最終繊維径にまで延伸細化された
繊維におよぼすには、第2の気体流16がこの最終繊維
に向かって噴出される位置は、少なくとも粘ちょう物質
2が一次繊維10として円錐形部分9から飛び出す前記
焦点Pより下流側でなければならない。そして、一次繊
維10の飛び出しから繊維形成に至るいわゆる「繊維化
領域」内における第1の気体流8と第2の気体流16、
および第2の気体流16の噴出によって第2のノズル1
4の上流側に生じる伴流17とで構成される、繊維の周
囲を包む気体の流れを考えれば、繊維形成を安定に行う
ためには、第2の気体流16が粘ちょう物質2の流出オ
リフィス3の中心軸線H0を挟む、少なくとも2方向か
ら、もしくは該中心軸線H0を中心として環状に、かつ
該中心軸線H0と概ね平行となるように噴出されること
が必要である。
【0053】そしてこれらの理由から、第2のノズル1
4は、その噴出口15が、粘ちょう物質流の中心軸線H
0に第1の気体流8が最も接近した位置(焦点P)より
も該物質2の下流側に位置しており、かつ、該第2のノ
ズル14の噴出口15の内壁の延長面が、該物質2の流
出方向に沿って、該物質2の中心軸線と概ね平行な方向
を指向するように配設されていることが必要である。
【0054】第2の気体流16の噴出エネルギーは、そ
れが繊維を伝わることにより生じる前記の繊維の延伸細
化領域において一次繊維10におよぼす牽引力が、第1
の気体流8が粘ちょう物質流と該一次繊維10におよぼ
す回転力と延伸力よりも小さければ、第1の気体流8の
作用によって繊維がカール状に湾曲するので好ましくな
い。従って、第2の気体流16の噴出エネルギーは少な
くとも第1の気体流8の噴出エネルギーよりも大きくな
ければならない。
【0055】これら、第2のノズル14の噴出口15が
焦点Pの下流側であること、伴流17が第2のノズル1
4内に円滑に流入すること等の条件を満たすように第1
のノズル6と第2のノズル14との間隔L2が設定され
る。
【0056】本発明において、第2の気体流16の種類
と温度は限定的でない。経済性を考えれば、一般のエア
ジェットノズルで使用されるような室温の空気で十分で
ある。
【0057】ここで、従来公知のRGJ法に於て、繊維
が延伸される領域に加熱ガスを供給するなどして該領域
の温度を高め、延伸されつつある繊維の冷却を防止する
ことによって繊維化を効果的に行なう方法が本出願人よ
り提案されている(特開昭62−252336号)が、
この延伸領域の加熱は本発明においても有効である。
【0058】なお、粘ちょう物質の種類に関して、本発
明は、基本的に従来公知のRGJ法と同じく、ガラス、
セラミック、スラグ、岩石などの熱軟化性物質、炭素繊
維製造用ピッチなど、加熱などの方法によって粘ちょう
となる物質一般に汎く適用可能である。
【0059】最後に、図1〜図3に示す装置ではただ1
個の流出オリフィス3が設けられているが、通常の紡糸
法のように、多数のオリフィス3を用いることも可能で
ある。図4は、多数のオリフィス3を用いる一つの実施
例を表した図であり、下方向から見た図である。ここで
は、1個のオリフィス3とこれを取り囲む複数(図4で
は4個)の第1のノズル6を1組として、多数の組(従
って全体では多数のオリフィス6を持つ。)が、粘ちょ
う物質供給装置(図示せず。)の底面部に列状に並べら
れている。そして、該オリフィス列を挟んで2個の牽引
用ノズル本体11が該オリフィス列と対向して、かつ平
行に配置されている。各々の牽引用ノズル本体11には
図4の斜線で示するよう、スリット状の第2の気体流1
8の噴出口15が設けられている。このように、オリフ
ィス6を挟んで少なくとも2方向から第2の気体流18
を噴出させれば良いのである。
【0060】
【作用】本発明によれば、第1の気体流(復帰用ジェッ
ト)8を前記のように吹き出すことによって、繊維形成
過程の種々の場所で、種々の原因によって糸切れが発生
しても直ちに新たな粘ちょう物質2の供給と一次繊維1
0の形成が自動的に行われる。すなわち自己復帰がなさ
れる。また連続で安定な粘ちょう物質2の供給と一次繊
維10の形成が実現される。そして第2の気体流(牽引
用ジェット)16の作用によって一次繊維10を牽引す
ることにより、粘ちょう物質2は延伸細化されて、細
く、直状で毛足の長い繊維18に成形されるのである。
【0061】ここで粘ちょう物質2が細く、直状で毛足
の長い繊維18に成形されるまでに、第1の気体流8と
第2の気体流16から受ける作用について、本発明にお
いて特徴的であり、かつ重要な2点のポイントを説明す
る。
【0062】第1点は、一次繊維10が牽引を受ける領
域と繊維の延伸細化が生ずる領域が異なることである。
すなわち、第2の気体流16そのものが一次繊維10に
牽引作用を及ぼすのは第2のノズル14内であるが、こ
こでは既に繊維は固化し、最終繊維径にまで延伸細化さ
れている。実際に繊維の延伸細化が生じているのは、粘
ちょう物質2が円錐形9の先端から一次繊維10として
飛び出した直後の、まだ柔らかい領域である。すなわ
ち、第2のノズル14内で繊維に与えられた牽引力は繊
維内を上流方向に伝わり、繊維が粘ちょうな領域で繊維
に作用をおよぼすのである。本発明におけるこの繊維の
延伸機構は、はじめに説明した「ドラム巻取り法」や従
来公知の「エアジェット牽引法」と同じであり、牽引力
が作用する領域も同じである(「ドラム巻取り法」や
「エアジェット牽引法」ではメニスカス直下)。
【0063】本発明で得られた繊維18が細く、直状で
毛足の長い理由はここにある。そして、本発明が従来公
知のRGJ法に示されたように、2種類の異なった気体
流を用いているのにもかかわらず、カールの無い繊維が
得られる理由でもある。すなわち従来公知の方法では粘
ちょうな一次繊維10に向かって第2の気体流16が噴
出されるため、気体流の作用領域と繊維の延伸が生じる
領域がほぼ同じと考えて良い。
【0064】第2点は第2の気体流によって生ずる伴流
17の関与である。円錐形の粘ちょう物質9の先端部分
から第2の気体流16の作用領域まで一次繊維10を搬
送するのは、はじめは第1の気体流8である。やがて、
第1の気体流8が減衰すると引き続いて第2の高速気体
流16の噴出によって第2のノズル14の上部に生じ、
第2のノズル14内に流入する伴流17が第1の気体流
8に変わって一次繊維10の搬送を行うようになる。一
次繊維10は、この伴流17の流れに乗って自然に第2
のノズル14内に運ばれる。ここにおいて一次繊維10
が円滑に第2のノズル14内に持ち込まれる理由が理解
されよう。
【0065】なお、図1〜図4は本発明を分かり易く説
明するために用いた図であり、本発明は上記図面に示し
た構造に限定されるものではない。
【0066】
【実施例】
実施例1 図1ないし図3に示した装置を用いて、表1に示したノ
ズル6、14の仕様と粘ちょう物質2および気体流8、
16の条件で繊維形成を行った。得られた結果を表2に
示す。
【0067】比較例1 図1ないし図3に示した装置の中で第1の気体流8の供
給系統を無くし、装置1内に流出オリフィスのみが存在
するようにした、いわゆる通常のエアジェット牽引法の
装置を用いて実施例と同様の条件で繊維化を行った。こ
の時の条件を表1に、結果を表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表2の自己復帰回数をみると実施例と比較
例で大きな差があることが明らかである。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、繊維形成工程における
糸切れ発生後の自己復帰が達成されるために、従来のエ
アジェット牽引法に比して、復帰のために人手を要する
事なく、紡糸作業を中断することもなくなるので、生産
性が向上し、また、これによって繊維中に含まれるビー
ズや太い繊維の混入量が減少し、品質の高い繊維が粘ち
ょう物質から得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の装置全体を示す断面図であ
る。
【図2】 図1のA−A’線に沿って、向かって下方向
から見た横断面図である。
【図3】 図1のB−B’線に沿って、向かって下方向
から見た横断面図である。
【図4】 本発明の多数の粘ちょう物質流出オリフィス
を用いる実施例の向かって下方向から見た装置の概念図
である。
【図5】 RGJ法による粘ちょう物質から繊維を製造
する装置の概略図である。
【符号の説明】
1 粘ちょう物質供給装置、 2 粘ちょう物質、3
粘ちょう物質流出オリフィス、4 復帰用旋回ガスジェ
ット流(第1の気体流)導入管、5第1の気体流マニホ
ールド、6 第1の気体流吹き出しノズル(第1のノズ
ル)、7 第1の気体流吹き出し口、 8 第1の気体
流、9 円錐形粘ちょう物質、 10 1次繊維、11
牽引用エアジェット流(第2の気体流)噴出ノズル本
体(第2のノズル本体)、12 第2の気体流導入管、
13 第2の気体流マニホールド、14 第2の高速
気体流噴出ノズル(第2のノズル)、15 第2の気体
流噴出口、 16 第2の気体流、17 第2の気体流
の伴流、 18 繊維
フロントページの続き (72)発明者 池田 薫 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 岩井 孝宏 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 審査官 渕野 留香 (56)参考文献 特開 昭62−226835(JP,A) 特開 昭58−88136(JP,A) 実開 昭55−91841(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01D 5/08 C03B 37/06 D01D 5/098

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘ちょう物質に高速気体流を作用させ
    て、該物質の細い繊維を得る方法において、 粘ちょう物質を流出オリフィスから流出させ、前記オリ
    フィスの周りに周方向に間隔を置いて配置した、少なく
    とも3本の第1の気体ノズルから前記粘ちょう物質の流
    出流の中心軸線を横断する断面の外周に沿う接線方向の
    成分と、前記物質の流出方向に向かって、まず前記物質
    の中心軸線に徐々に接近し、次に前記中心軸線から徐々
    に離れていく成分とを有している第1の気体流を吹き出
    させ、 前記粘ちょう物質の流出流の中心軸線に前記第1の気体
    流が最も接近した位置よりも前記粘ちょう物質の流出流
    の下流側の部分であって、前記粘ちょう物質の流出流の
    中心軸線の周りに、該中心軸線を挟む少なくとも2箇所
    に、または該中心軸線を中心として環状に配置した第2
    の気体ノズルから第2の気体流を前記粘ちょう物質の流
    出流方向と概ね平行になるような方向に吹き出させるこ
    とを特徴とする粘ちょう物質から直状の繊維を製造する
    方法。
  2. 【請求項2】 粘ちょう物質を流出させるための流出オ
    リフィスと、該流出オリフィスの周りに周方向に間隔を
    置いて配置した少なくとも3本の第1の気体ノズルと、
    該流出オリフィスの周りに環状に、もしくは該オリフィ
    スを挟む少なくとも2カ所に配置した第2の気体ノズル
    を備え、 第1の気体ノズルはそれらの噴出口からの気体流噴出方
    向が前記オリフィスより流出する前記粘ちょう物質の中
    心軸線を横断する断面の外周に沿う接線方向の成分と、
    前記粘ちょう物質の流出方向に向かって、まず前記粘ち
    ょう物質の中心軸線に徐々に接近し、次に該中心軸線か
    ら徐々に離れていく成分とを有する方向を指向して配設
    されており、第2の気体ノズルは、その噴出口が前記粘
    ちょう物質の中心軸線に前記第1の気体流が最も接近し
    た位置よりも前記粘ちょう物質流出流の下流側に位置し
    ており、かつ、前記第2の気体ノズルの噴出口からの気
    体流噴出方向が該粘ちょう物質の流出方向に概ね平行な
    方向を指向して配設されていることを特徴とする粘ちょ
    うな物質から直状の繊維を製造する装置。
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