JP2963048B2 - 9,10−エンドエタノ−9,10−ジハイドロアントラセン−11,11−ジカルボン酸のモノエステルまたはジエステルの合成方法、この合成方法により得られる新規なモノエステルまたはジエステル、及びこれらの、均整または不整メチリデンマロネートの合成への応用 - Google Patents

9,10−エンドエタノ−9,10−ジハイドロアントラセン−11,11−ジカルボン酸のモノエステルまたはジエステルの合成方法、この合成方法により得られる新規なモノエステルまたはジエステル、及びこれらの、均整または不整メチリデンマロネートの合成への応用

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JP2963048B2 JP8094791A JP9479196A JP2963048B2 JP 2963048 B2 JP2963048 B2 JP 2963048B2 JP 8094791 A JP8094791 A JP 8094791A JP 9479196 A JP9479196 A JP 9479196A JP 2963048 B2 JP2963048 B2 JP 2963048B2
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    • C07C69/34Esters of acyclic saturated polycarboxylic acids having an esterified carboxyl group bound to an acyclic carbon atom
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、9,10−エンドエタ
ノ−9,10−ジハイドロアントラセン−11,11 −ジカルボ
ン酸の作成法、および該法により作成された新規なモノ
エステル、またはジエステルおよび均整又は不整のマロ
ン酸メチリデン(メチリデンマロネート)の作成におけ
る該エステルの利用に関する。更に、本発明のモノエス
テルまたはジエステル誘導体は、下記の式 (I) のマロ
ン酸メチリデンの作成を可能とする。
【化2】 式中R1およびR2は、直鎖または分岐の炭素数1から6の
アルキル基、炭素数3から6の脂環式化合物、シスまた
はトランス型の、炭素数2から6のアルケニル基、炭素
数2から6のアルキニル基を表わし、上記の基は、エー
テル、エポキシド、ハロゲノ、シアノ、エステル、アル
デヒトまたはケトン、アリール等の官能基で適宜置換さ
れていてもよい。
【0002】
【従来の技術】上記の式 (I) の化合物の価値は、有機
合成およびポリマー化学では公知である。上記式 (I)
と類似の式で表わされるマロン酸メチリデンの作成を可
能とする多くの方法の記載が、既になされている。例え
ば塩基性作製法では、マロン酸エチリデンとホルムアル
デヒトを氷酢酸中で、金属酢酸系の触媒存在下で反応さ
せ、触媒をろ別し、溶媒を分離した後、ジエチルマロン
酸エチリデンを蒸留により生成する。該マロン酸エチリ
デンはこの後、重合に使用することが可能である(ケミ
カルアブストラクト1953,vol.49,アブストラクト 6
836d )。同様の塩基性反応が、ケミカル アブストラク
ト,vol.76 1976 ,アブフトラクト 139905 mに記載
されている。重合に関しては“ Die MakromolekulareC
hemis”107 (1967)p. 4−5が参照できる。しかし、R
1とR2がt−ブチル基である場合を除いて、マロン酸と
ホルムアルデヒトの反応の第一生成物であるヒドロキシ
ル化合物の熱分解の通常の条件下では、生成した上記マ
ロン酸メチリデン (I) は重合する(P.BALLESTEROS,
B.W.ROBERTS and J.WANG, J.Org.Chem. 48,3603-360
5(1983)参照)。更に、ジエンの存在下でマロン酸ジエ
ステルとホルムアルデヒトを反応させ、Diels-Alder 付
加反応物を生成し、さらに、この反応生成物を熱分解し
て、マロン酸メチリデンを得ることにより、均整(対
称)または不整(非対称)マロン酸メチリデンを作成す
る方法が、既に提案されている。EASTMAN KODAK の英国
特許第 A-1, 560,326号では、用いられるジエンは、置
換ペンタジエン、ヘキサジエン、イソプレン、または、
未置換または置換のbuta−1,3 −ジエン等の直鎖ジエン
であり、中間付加反応生成物は600℃で熱分解され、
マロン酸メチリデンが生成する。更に、PONTICELLOのド
イツ特許第C-27,34,082 号には、アクリル酸メチルとシ
クロペンタジエン間のDiels-Alder 型反応を行い、中間
反応物を得、つづいて種々の化学反応を行い、この中間
反応物からジエステルを生成した後に熱分解を行い、非
対称マロン酸メチリデンを得る方法が記載されている。
また、シアノアクリル酸エステルと、アントラセンに代
表される共役ジエンとの反応によるα−シアノアクリル
酸アルキルの合成も公知である。この反応により、Diel
s-Alder 付加反応生成物が生成し、この生成物は加水分
解される(PONTCELLOの米国特許第4-3,975,422 号または
GIRAL, Annal, Pharmaceutiques Francaises 1985, 4
3, no. 5page 439-449, または米国特許第4,056,543
号参照)。この反応では、シアノ−アクリル酸エステル
は、最初から不飽和結合を有しており、これがアントラ
センとの付加反応で利用される。このタイプの付加反応
は、非常に古くから知られており、BACHMAN and TANNER
により J. Org. Chem (1939),p.500 に記載されてい
る。この付加反応は、シクロペンタジエンまたはノルボ
ルネンとの付加反応により既に生成しているマロン酸メ
チリデンを精製するために用いられてきた(C. A., vo
l 95, 1981, アブストラクト168570w )。このように、
当該の分野において技量を有する者に関する限り、アン
トラセンの使用は、不飽和化合物即ち、先に生成してい
るジエチルマロン酸メチリデンまたはシアノアクリル酸
エステル、との付加反応生成物の生成を目的としたもの
のみが記載されている。更に、従来技術の現状は、上記
の英国特許第A-1 560,323 号明細書中で、当該分野に
おいて技量を有する者に、マロン酸塩とホルムアルデヒ
ト間の反応中、in situ でマロン酸メチリデンをトラッ
プすることを目的とした直鎖ジエンの用い方を教授する
ものである。このように、当該分野において技量を有す
る者の見地からいえば、環式ジエンを用いたこの種の i
n situでのトラッピング工程は、好ましくない反応条件
のために可能であるとはされていなかった。しかし、全
ったく予想しがたいことであり、かつ従来技術の現状が
教授するところと矛盾して、アントラセンは共役ジエン
であり、マロン酸エステルとホルムアルデヒト間の反応
により in situで生成したマロン酸メチリデンを高効率
でトラップし(即ち高収率である)in situ で非常に簡
易に、生成した付加反応生成物を迅速に結晶化可能な状
態にせしめることが発見された。要約すると、現時点で
のあらゆる合成法が、重大な問題を有し、そのため、不
可能ではないとしても、工業規模でのこれら合成法の実
用は困難であった。このように、マロン酸メチリデンの
直接生成法では、生成したマロン酸メチリデンの重合が
不可避であるため、同法の使用は不可能である。中間付
加反応生成物を作製する場合、中間生成物をロ別し、再
結晶法で精製することがしばしば困難であり、Diels-Al
der 反応に用いた共役ジエンによる汚染が常に相当量あ
りこの汚染が引きつづく熱分解または加水分解段階に影
響をおよぼす。従って、先行技術における作製法では、
この場合、高真空下での蒸留による精製が不可欠であっ
た。更に、一般に収率は比較的低く、特に非対称エステ
ルを精製する場合は、マロン酸メチリデンの生成に要す
る段階が比較的多数におよぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、工業規模で使用され、極めて簡易かつ信頼性が高
く、廉価な反応物を用い、最少数の段階、好ましくは二
つの主段階のみ、より成り、高純度の生成物を高収率で
与え、上記のエステル置換基R1とR2上に反応基をもつも
のを含む、高範囲の生成物の作成を可能ならしめる、新
しいマロン酸メチリデン合成法における新しい技術的問
題を解決することにある。本発明のもう一つの主な目的
は、非対称マロン酸メチリデン、特にエステルの一つ
が、エーテル、エポキシド、ハロゲン、シアノ、エステ
ル、アルデヒド、ケトン、アリール等の官能基で置換さ
れた同マロン酸メチリデン生成上の技術的問題を解決す
ることにある。本発明のもう一つの目的は、Diels-Alde
r 型の付加反応生成物または付加物の極めて簡易かつ迅
速、高収率の生成による新規なマロン酸メチリデンの合
成法における技術上の問題を解決することにある。ここ
における付加化合物は、従来不可能であった半加水分解
を受けることができ、適当なハロゲン化物でアルキル化
することにより、適宜非対称付加生成物の生成を可能な
らしめるものである。本発明のもう一つの目的は、マロ
ン酸メチリデンの合成に使用可能で、結晶化により簡単
に高純度で分離できる新規な中間付加反応生成物の生成
上の技術的問題を解決することにある。中間付加生成物
合成における少量の汚染物は、これにつづく段階におけ
る同中間生成物のマロン酸メチリデン生成能に全っく影
響せず、これらの中間付加生成物は対称また、好ましく
は、非対称エステルまたはモノエステルである。好まし
くは、これらの付加反応生成物は、既知の他の付加反応
生成物の場合よりもかなり低い温度での熱分解によって
マロン酸メチリデンを与えるものである。更に、本発明
は、また付加反応生成物の抽出、単離を容易にする低毒
性の溶媒を用いる溶液を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、 なる化学構造式を有し、該化学構造式(I)においてR
およびRは異なりかつ1乃至6個の炭素原子を
有する直鎖もしくは枝分れアルキル基、3乃至6個の炭
素原子を有する脂環基、2乃至6個の炭素原子を有する
シスまたはトランス型のアルケニル基または2乃至6個
の炭素原子を有するアルキニル基であり、前記基はエー
テル、エポキシド、ハロゲノ、シアノ、エステル、アル
デヒド、ケトン、アリールから選ばれた1つ以上の官能
基により適宜置換される構造のマロン酸メチリデンモノ
エステルまたはジエステルにおいて、RおよびR
の一方は1乃至6個の炭素原子を有し1つのエステ
ル官能基により置換された直鎖または枝分れアルキル基
である。また、RはCであり、R
CHCOである。また、RはC
であり、RはCHCHCH
COである。
【0005】
【実施例】
(実施例−1) 11,11 −ジイソプロポキシカルボニル−9,10−エンドエ
タノ−9,10−ジヒドロアントラセン(II,R1=R2=is
o-C3H7)の作製 マロン酸ジイソプロピル(188g,1モル)を、パラ
ホルムアルデヒド(60g,2モル)、アントラセン
(178g,1モル)、酢酸銅(II)10g、酢酸カ
リウム10gの存在下、酢酸(500ml)およびブロモベ
ンゼン(500ml)中で油浴にて加熱、攪拌する。2
時間、90−100℃の温度を保つ。初めに水、ブロモ
ベンゼン、酢酸の共沸混合物を、次に残った酢酸を留去
する為、油浴の温度を徐々に上昇させる。酢酸銅 (I
I)および酢酸カリウムが析出し始めた時点で蒸留を中
止する。反応混合物を60℃に冷却し、トルエン(1
l)中に注ぐ。このトルエン混合物を10℃に冷却し、
ブフナーロートを用いて不溶物を吸引ろ過で除去し、ろ
液を留去し乾燥させる。固型の残渣をエタノールにて再
結晶し、得られた化合物の純度は94%で、不純物とし
てアントラセン(6%)を含んでいる。シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(ヘキサン/イソプロパノール:
95:5溶積比)で精製した化合物の融点は136−7
℃である。収率:72%(278.16g) この化合物は分析により組成式 C24H26O4 のものである
と確認される。
【0006】(実施例−2) 11,11 −ジアリルオキシカルボニル−9,10−エンドエタ
ノ−9,10−ジヒドロアントラセン(II,R1=R2=CH2-
CH=CH2)の作製 実施方法は実施例−1と同様に行うが,反応物の使用量
を,以下に示すように変更する ブロモベンゼン120mlおよび酢酸120ml中、マ
ロン酸ジアリル(46g,0.25モル)パラホルムア
ルデヒド(15g,0.5モル)アントラセン(44.
5g,0.25モル)、酢酸銅 (II) 5gおよび酢酸
カリウム5g。再結晶後の生成物の融点は85−86
℃、収率は45%(41.35g)である。この化合物
は分析により組成式 C24H22O4 のものであると確認され
る。次に示す誘導体もこの方法で製造された。
【表1】
【表2】
【0007】(実施例−3) 11−エトキシ−カルボニル−9,10−エンドエタノ−9,10
−ジヒドロアントラセン−11−カルボン酸(III,R1
=C2H5, R2=K )のカリウム塩の合成 水酸化カリウム(18.6g,0.324モル)の無水
エタノール(400ml)溶液を11,11 −ジエトキシカ
ルボニル−9,10−エンドエタノ−9,10−ジヒドロアント
ラセン(100g,0.286モル)の無水エタノール
(400ml)溶液に攪拌下、滴下し65℃に加熱す
る。4時間後、反応混合物を常温に冷却し、析出したカ
リウム塩をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄する。常温
にて減圧乾燥後、白色の粉末92g(収率90%)が得
られる。
【0008】(実施例−4) 11−アリルオキシカルボニル−11−エトキシ−カルボニ
ル−9,10−エンドエタノ−9,10−ジヒドロアントラセン
(II,R1=CH2-CH=CH2, R2=C2H5)の合成化合物 (II
I) (20g,0.0555モル)と臭化アリル(8.
4g,0.555モル)を無水ジメチルホルムアミド2
50ml中で反応させる。該反応媒を80℃まで加熱
し、2時間攪拌し、2lの水で希釈し、不溶物をろ取す
る。析出物を水洗後エタノールにて再結晶し融点88−
89℃の生成物(85 %)17gを得る。この化合物は分
析により組成式 C23H22O4 のものであると確認される。
【0009】(実施例−5) 11−( 2´,3´−エポキシプロポキシカルボニル)−11
−エトキシカルボニル−9,10−エンドエタノ−9,10−ジ
ヒドロアントラセン(II,
【化4】 の合成 実施方法は実施例−4と同様に行うが反応物の使用量を
以下に示すように変更する:化合物 (III) (20
g,0.0555モル)およびエピブロモヒドリン
(8.9g,0.065モル)。エタノールにて再結晶
後の生成物の収率は70%(融点114−115℃)。
この化合物は分析により組成式C23H22O5のものであると
確認される。
【0010】(実施例−6) 11,11 −トリメチレン− 1´,3´−ジオキシカルボニル
−9,10−エンドエタノ−9,10−ジヒドロアントラセン
(II,R1R2=-CH2-CH2-CH2-)の合成化合物 (III)
のカリウム塩(III,R1=C2H5, R2=K)を3−ブロモプ
ロパン−1−オルの存在下、DMF 中でアルキル化して得
られる11−エトキシカルボニル−11−プロパン−3−オ
リルオキシカルボニル−9,10−エンドエタノ−9,10−ジ
ヒドロアントラセン(II,R1=C2H5, R2=-C2H4-CH2OH
)5g(0.013モル)を無水キシレン50ml中で触媒
量の水素化ナトリウム(60%:鉱油中に分散したも
の)存在下反応させる。丸底フラスコの上部にヴィグロ
ウーカラムを取り付けた蒸留装置で、キシレンエタノー
ル共沸混合物を蒸留するために、反応混合物を加熱す
る。溶媒を蒸留分離後、固型残渣をエタノールにて再結
晶する。収率53%(2.52g) 融点115−11
8℃ 次に示す実施例7−10は、付加生成物 (II) の合成
の塩基法の有用な変更例である。
【0011】(実施例−7)ブロモベンゼンの代わりに
キシレンを用いて、費用と毒性を減少させることができ
る。 溶媒:酢酸1に対しキシレン1.5(体積比)の混合物 他の条件は、実施例−1のブロモベンゼンを用いた場合
と同様であるが、マロン酸ジイソプロピルの代わりに出
発物質としてマロン酸ジ−n−ブチルを用いる。11,11
−ジ−n−ブトキシカルボニル−9,10−エンドエタノ−
9,10−ジヒドロアントラセン(II,R1=R2=n-C4H9)が
得られる。収率:55% 融点 91−92℃
【0012】(実施例−8)水と相溶性のある溶媒を用
いることにより、分離が簡便になる。キシレン(あるい
はブロモベンゼン)の場合と類似した加熱条件が適用可
能でありながらなおかつ水との相溶性を有する一連の溶
媒を検討した。その結果、高沸点溶媒の蒸留を避け、加
水後、ろ過により反応生成物の分離を行う。反応混合物
を3時間140℃で加熱後冷却し、水に注ぎ、固体をろ
別する。それ以降の手順は実施例−1の場合と同様であ
る。マロン酸ジエチルを用いて11,11 −ジエトキシカル
ボニル−9,10−エンドエタノ−9,10−ジヒドロアントラ
セン(II,R1=R2=C2H5)を合成する場合の収率を下記
の表に示す。
【表3】
【0013】(実施例−9)オートクレーブあるいはCa
lius封管を用いて閉鎖系で行う。 例:11,11 −ジエトキシカルボニル−9,10−エン ドエ
タノ−9,10−ジヒドロアントラセンの合成 オートクレ
ーブ(容量100ml)にアントラセン17gパラホル
ムアルデヒド6gおよびマロン酸ジエチル16gを仕込
む。触媒は、酢酸銅0.5gと酢酸カリウム0.5gの
混合物。溶媒(50 ml)は、酢酸とベンゼン(体積比
2.5/7.5)の混合物を用いる。オートクレーブを
閉鎖し、90−100℃に加熱した油浴に2時間浸せき
する。その後、3時間にわたり、油浴の温度を徐々に上
げ140 −150 ℃にする。次にオートクレーブを、室温ま
で冷却し、閉管する。反応混合物をベンゼン100ml
に注ぎ、無水塩化カルシウムを加える。ろ過後、溶媒を
蒸発し、固型残渣をエタノールにて再結晶する。収率6
7% 融点127−129℃。下記の表は、検討され
た、さまざまな条件を示している。反応物の量は上記の
例で示した場合と(特に指定のない限り)同様である。
【表4】
【0014】(実施例−10) 1,1 −ジイソプロポキシカルボニルエテン(I,R1=R2=
iso-C3H7)の合成 実施例−1で示されている付加体50g(0.132モ
ル)と、無水マレイン酸10.37g(0.105モ
ル) を十分に撹拌しながら乾燥チッ素気流下250ml
の鉱物油に分散させる。この懸濁液を200− 220
℃まで徐々に加熱し、45分間その温度を保つ。次に常
温まで冷却し、減圧蒸留(0.1Torr) を行う。40℃
における留分を収集する。収率:64%(16.89
g)、純度:99%(不純物として、無水マレイン酸を
1%含む)、質量スペクトル(70eV)、化学イオン化
(イソブタン): 201(M+1),159,117
【0015】(実施例−11) 1−アリルオキシカルボニル−1−エトキシ−カルボニ
ルエテン(I,R1=C2H5, R2=CH2-CH=CH2) 実施方法は、実施例−10と同様であるが、用いる反応
物は70mlの鉱物油中に、実施例−4の付加体10g
(0.0276モル) と無水マレイン酸2.16g
(0.022モル) を加える。0.25Torr蒸留で得ら
れた生成物の沸点は53℃であり、収率は48%(2.
4g)、純度は99%(不純物として無水マレイン酸1
%を含む)である。実施例−10,11は無水マレイン
酸存在下、付加体(II)の熱分解の一般的な方法であ
る。この方法により得られる化合物の例を次に示す。
【表5】
【表6】
【0016】
【発明の効果】このように本発明によればアントラセン
の付加体を簡単、迅速に高純度、高収率で得ることがで
きることがわかる。さらに、塩基性付加反応生成物は半
加水分解をうけ、図2の示すごとく、ジメチルホルムア
ミド中で適当なハロゲン化物R3−Xによるアルキル化反
応により非対称付加体をあたえる11−アルコキシカルボ
ニル−9,10−エンドエタノ−9,10−ジヒドロアントラセ
ン−11−カルボン酸のアルカリ金属または、アルカリ土
類金属のモノ塩をあたえるため、非対称付加体を作製す
ることが、可能である。このように、約220℃の鉱物
油中で、無水マレイン酸の存在下で処理されることによ
りあるいは、その他の熱分解方法によって、非対称付加
体は、対応するオレフィンすなわち対応するメチリデン
マロン酸エステルを生じる。本発明の方法によると、マ
ロン酸エステルからメチリデンマロン酸エステルを二つ
の主ステップにより合成することが可能である。すなわ
ち第一ステップは、図1で示すように、アントラセン、
マロン酸エステル、ホルムアルデヒドを反応させ得られ
た付加体を第二ステップで、熱処理して、相当するメチ
リデンマロン酸エステルを得る。このステップは無水マ
レイン酸存在下で行われるので、アントラセンを他の不
加生成物の形で分離することが可能であり有利である
(図1)。それゆえ、本発明は特許請求の範囲において
記載されている手段に技術的に等価であるあらゆる手段
を包含する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエステルの合成方法、及びこのエ
ステルからのメチリデンマロネートの合成方法を示す化
学反応式。
【図2】本発明に係る均整エステルを不整エステルに変
換する方法を示す化学反応式である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャン−リュク・ド・ケイサー ベルギー国1980テルヴレン,スネッペン ラーン16 (72)発明者 ピエール・デュモン ベルギー国5800ジェムブロー,アヴェニ ュー・モアヌ・オルベール13 (56)参考文献 特開 昭53−21115(JP,A) 特開 昭53−31740(JP,A) J.Polym.Sci,Ploy m.Chem.Ed.(1979),17 (11),P.3509−3518 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/73 CA(STN) REGISTRY(STN) (54)【発明の名称】 9,10−エンドエタノ−9,10−ジハイドロアントラセン−11,11−ジカルボン酸のモノエステ ルまたはジエステルの合成方法、この合成方法により得られる新規なモノエステルまたはジエス テル、及びこれらの、均整または不整メチリデンマロネートの合成への応用

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 なる化学構造式を有し、該化学構造式(I)においてR
    およびRは異なりかつ1乃至6個の炭素原子を
    有する直鎖もしくは枝分れアルキル基、3乃至6個の炭
    素原子を有する脂環基、2乃至6個の炭素原子を有する
    シスまたはトランス型のアルケニル基または2乃至6個
    の炭素原子を有するアルキニル基であり、前記基はエー
    テル、エポキシド、ハロゲノ、シアノ、エステル、アル
    デヒド、ケトン、アリールから選ばれた1つ以上の官能
    基により適宜置換される構造のマロン酸メチリデンモノ
    エステルまたはジエステルにおいて、RおよびR
    の一方は1乃至6個の炭素原子を有し1つのエステ
    ル官能基により置換された直鎖または枝分れアルキル基
    であることを特徴とするモノエステルまたはジエステ
    ル。
  2. 【請求項2】 なる化学構造式を有し、該化学構造式(I)においてR
    およびRは異なりかつ1乃至6個の炭素原子を
    有する直鎖もしくは枝分れアルキル基、3乃至6個の炭
    素原子を有する脂環基、2乃至6個の炭素原子を有する
    シスまたはトランス型のアルケニル基または2乃至6個
    の炭素原子を有するアルキニル基であり、前記基はエー
    テル、エポキシド、ハロゲノ、シアノ、エステル、アル
    デヒド、ケトン、アリールから選ばれた1つ以上の官能
    基により適宜置換される構造のマロン酸メチリデンモノ
    エステルまたはジエステルにおいて、RはC
    であり、RはCHCOであ
    ることを特徴とするモノエステルまたはジエステル。
  3. 【請求項3】 なる化学構造式を有し、該化学構造式(I)においてR
    およびRは異なりかつ1乃至6個の炭素原子を
    有する直鎖もしくは枝分れアルキル基、3乃至6個の炭
    素原子を有する脂環基、2乃至6個の炭素原子を有する
    シスまたはトランス型のアルケニル基または2乃至6個
    の炭素原子を有するアルキニル基であり、前記基はエー
    テル、エポキシド、ハロゲノ、シアノ、エステル、アル
    デヒド、ケトン、アリールから選ばれた1つ以上の官能
    基により適宜置換される構造のマロン酸メチリデンモノ
    エステルまたはジエステルにおいて、RはC
    であり、RはCHCHCHCO
    であることを特徴とするモノエステルまた
    はジエステル。
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