JP2962969B2 - 発錆性に優れた粉末ハイス - Google Patents
発錆性に優れた粉末ハイスInfo
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Description
で使用される圧延ロール材に用いる高硬度、高靱性で、
且つ発錆性に優れた粉末ハイスに関する。
による溶製ハイスと粉末冶金法による粉末ハイスがあ
り、溶製ハイスは巨大炭化物の偏析部から破損しやすい
が、粉末ハイスでは炭化物が均一で微細に分散している
ため靱性が高く破損しにくく、かつ種々の合金元素の添
加が容易なことから高硬度のものが得られ易く、従って
粉末ハイスはロール材にも適していた。しかし、この様
な粉末ハイスを圧延ロールとして使用するには、単に高
靱性、高硬度であるのみでは十分でなく、圧延ロールは
塩分を含んだ水等の湿潤腐食環境下で使用されるのでロ
ール表面に大きな錆を発生し易く、このため圧延された
材料に大きな疵跡を生じることとなるので、この様な大
きな錆を発生しないことが重要な要件である。しかし、
従来の粉末ハイスでは、圧延ロールとして高靱性、高硬
度で且つロール表面に大きな発錆疵を生じないという3
拍子を未だ十分に具えたものは無かった。
腐食環境下で使用される圧延ロール材に適した高硬度、
高靱性で、且つ、発錆性に優れた、すなわち錆を発生し
ても微細で均一に分散した錆となり被圧延材の表面に疵
を付けることのない、粉末ハイスを提供することにあ
る。
てきたところ、従来、粉末ハイスのマトリクス強化のた
めに添加されていたCo成分を無くすと、優れた発錆性
の粉末ハイスが得られることを知見した。そして、Co
成分を無くしたにも拘わらず、圧延ロール材に適した高
硬度、高靱性な性質を与える添加成分について研究した
結果、上記の課題を解決する手段としては、重量%で、
C:1.5〜2.6%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5%以下、Cr:3%以上5%未満、W:3〜15
%、Mo:5〜10%、V:4〜7%、ただしW当量と
してW+2Mo:20〜30%とする、残部Feおよび
不可避不純物とからなるものとすることである。
須の成分とされていたCo成分を無くしたので、湿潤雰囲
気中で使用して錆が発生しても微細に分散するため、大
きな錆を生ぜず、圧延ロール材として用いると被圧延材
を疵付けることがなく、ロール寿命が長い。
を述べる。Cは、Cr、V、Mo、W及びNbの炭化物形成に
不可欠であると共に、焼入時にマトリクスに固溶し、高
い焼戻し硬さを与えるために必要な成分である。焼入れ
及び焼戻しによってHRC 67.0以上の硬さを得るために
は、少なくとも1.5 重量%の添加が必要であるが、2.6
重量%を超えても、焼入及び焼戻し硬さへの一層の向上
は認められない。
上させるが1.0 重量%を超えると靱性の劣化を起こす。
又、0.1 重量%以下にすると、著しく焼入焼戻し硬さの
低下をひき起こす。
を超えると靱性や焼戻しの際の軟化抵抗性が低下する。
0重量%必要であるが、Cr炭化物は凝集粗大化し易い
ために5重量%未満とするのがより好ましい。
を形成し、結晶粒を微細化させ、靱性の向上に役立つと
共に、耐摩耗性を著しく向上させる。4重量%未満では
耐摩耗性の向上効果が小さく、7重量%を超えて添加し
ても耐摩耗性の向上効果は小さく、巨大共晶炭化物を生
成し靱性を低下させる。
摩耗性を向上させるが、この効果はMoの方が大きく、W
の2倍の影響力を持つ。Moは耐摩耗性と共に焼入性も高
め、これらの効果を得るためには少なくとも5.0 重量%
は必要であるが、10.0重量%を超えると炭化物が粗大化
する。また、Wは耐摩耗性を向上させるために少なくと
も3.0 重量%が必要であるが、Moより炭化物が粗大化し
にくいため、上限値を15.0重量%に設定した。
由を述べる。本発明では、顕著な耐摩耗性を付与するた
めには、硬い炭化物を分散し、しかも、マトリックスの
硬度を高める必要がある。そのことに対し、Mo、Wは重
要な役割を果たし、W+2Moが20%より少ないと上記効
果が少ない。また、30%を超えると、連結した炭化物が
急増し、マトリックスに固溶する合金元素も極端に多く
なって靱性が低下する。
トマイズ粉末を径160mmの軟鋼製カプセルに充填し、
脱気及び封止した後に、加熱を行い、熱間押出し法によ
り径φ20mmの棒鋼を製造し、これから供試材を切出し
たものである。
8、9は比較例でCoを含有するものである。
560℃×3回焼戻した後、塩水濃度:50ppm 、噴霧
時間:6時間、試験温度:35℃の条件で、塩水噴霧試
験を行った。試験の結果は、表2に示す。
数は多いが、発錆点の大きさは極めて小さく、且つ、発
錆点の深さも極めて浅く、本発明では、錆は極めて微細
で、且つ、均一に分散していることが判る。そして、本
発明の供試材の硬度はHRC で67.0〜71.2と高硬度で、且
つシヤルピー衝撃値も十分に高いことから、本発明の粉
末ハイスが圧延ロール材に適していることが理解され
る。
ールとして使用したところ、溶製ハイス(SKH51 材)に
比較して寿命は5倍となった。
スは水等の湿潤雰囲気下における発錆性が極めて良好
で、且つ、高硬度、高靱性であるので、水等の湿潤雰囲
気下での圧延ロールとして非常に適した材料である。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、C:1.5〜2.6%、S
i:1.0%以下、Mn:0.5%以下、Cr:3%以
上5%未満、W:3〜15%、Mo:5〜10%、V:
4〜7%、ただしW当量としてW+2Mo:20〜30
%とする、残部Feおよび不可避不純物からなることを
特徴とする発錆性に優れた粉末ハイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14568993A JP2962969B2 (ja) | 1993-05-25 | 1993-05-25 | 発錆性に優れた粉末ハイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14568993A JP2962969B2 (ja) | 1993-05-25 | 1993-05-25 | 発錆性に優れた粉末ハイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06330242A JPH06330242A (ja) | 1994-11-29 |
JP2962969B2 true JP2962969B2 (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=15390822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14568993A Expired - Fee Related JP2962969B2 (ja) | 1993-05-25 | 1993-05-25 | 発錆性に優れた粉末ハイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2962969B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4926764B2 (ja) * | 2007-03-07 | 2012-05-09 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高耐摩耗、高靱性高速度工具鋼およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-05-25 JP JP14568993A patent/JP2962969B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06330242A (ja) | 1994-11-29 |
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