JP2962578B2 - 気道内投与用容器入り製剤 - Google Patents

気道内投与用容器入り製剤

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JP2962578B2
JP2962578B2 JP6500912A JP50091294A JP2962578B2 JP 2962578 B2 JP2962578 B2 JP 2962578B2 JP 6500912 A JP6500912 A JP 6500912A JP 50091294 A JP50091294 A JP 50091294A JP 2962578 B2 JP2962578 B2 JP 2962578B2
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悠治 牧野
英樹 小林
嘉樹 鈴木
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【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は新規な気道内投与用容器入り製剤(以下、単
に「気道内投与用製剤」という)に関する。更に詳しく
は、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、で
んぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、アルギン酸ナト
リウムからなる群から選ばれる少くとも1種の成分から
なる容器に、気道内投与用粉末製剤を収納せしめてなる
気道内投与用製剤に関する。更に詳しくは、本発明はセ
ルロース誘導体・類似体すなわちヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷ
ん、アルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少く
とも1種の成分からなる容器に収納された気道内投与用
粉末製剤中の薬物が、該容器に付着しにくく、該容器か
ら気道内への送達量が改善された、該容器に気道内投与
用粉末製剤を収納せしめてなる気道内投与用製剤に関す
る。
背景技術 鼻腔、口腔から咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管
支、肺胞に至る気道は呼吸時の呼気・吸気の通路であ
る。
気道内には鼻アレルギー、喘息、気管支炎、肺気腫等
多くの疾患が発生するが、それらの疾患の薬物治療にお
ける薬物の投与法は、経口剤、注射剤等のような全身投
与と、噴霧剤、吸入剤等のような気道内への局所投与に
二分される。
経口投与は簡便であり、また注射剤は吸収が確実であ
ることからこれらの全身投与は広範に利用されている
が、薬物の作用部位集中性、それにもとづく副作用の軽
減、あるいは作用の速効性の面から気道内局所投与の価
値は大きい。
また、上記の如き気道内に発生する疾患への局所投与
に加えて、近年、肺胞と血管との間のバリヤーが小さい
ことを利用して肺胞から血液へ薬物を移行させる試みが
あり、経口投与では腸管内あるいは肝臓等で代謝され不
活性化されてしまうペプチドあるいは蛋白類等の全身投
与法としても気道内投与は注目されている。
また、更に気道内にあるリンパ系組織の抗原認識機能
を利用してワクチンを気道内局所投与し、疾病の予防、
治療をしようとする試みもある。従って気道内投与法の
重要性は極めて大きいといえよう。
さて、この気道内投与法に用いられる気道内投与用製
剤は、その粒子の性質から(1)液滴が気道内に沈着す
る製剤と、(2)固体微粒子が気道内に沈着する製剤に
分類される。
(1)は通常、薬物を含有する水溶液であり、ネブラ
イザーにより霧化されて微小の液滴として気道内に吸入
される。(2)は、更に薬物の固体微粒子がフロン
(フッ化炭化水素)中に分散されて圧力容器内に収納さ
れており、使用時容器外に開放されると、フロンととも
に気道内を飛行するが、フロンが速やかに蒸発した後
は、最終的に薬物の固体微粒子として気道内に沈着する
エアゾール剤と、薬物が固体微粒子として容器に収納
されており、使用時に該容器から直接、あるいは投与器
により該薬物固体微粒子が噴射あるいは吸気により気道
内に吸入され、薬物固体微粒子として気道内に沈着する
粉末製剤とに大きく分類される。
これらの製剤は何れの型も既に実用化されているが、
(1)の液剤はネブライザーを必要とするために携帯に
は適せず、また(2)ののフロンエアゾール剤は簡便
で広く使用されているがフロンの大気汚染問題から近年
急速に使用制限の動きが出ており、これら2種と比較し
て比較的開発が遅れていた(2)のの気道内投与用粉
末製剤が最近特に注目されている。
気道内投与粉末製剤を投与する際には上記の通り粉末
製剤の容器と投与器が必要であるが、以下、本発明にお
いて容器とは粉末製剤が直接収納されている容器を意味
し、粉末製剤は混合・調製された後、容器内に収納され
使用時まで保存される。従って、通常密閉されている。
また、本発明において投与器とは通常前記の粉末製剤を
収納した容器から粉末製剤を気道内に投与可能な状態に
する装置であり、例えば密封された粉末製剤を適当な位
置に保持し、穴をあけて内容物の粉末製剤を容器から気
道内に移動可能にするものである。これらの容器と投与
器とは通常別個のものであるが、一体となったものも製
造可能である。例えば、容器の一部を使用時に除去する
ことにより穴を生成せしめ、内容物の粉末製剤を容器か
ら気道内に移動可能にすることも可能である。
投与器により、あるいは容器と投与器の一体型で何ら
かの操作を施されて容器から気道内に移動可能となった
粉末製剤は使用者(患者)の吸気、あるいはボンベある
いは何らかの装置により加圧された気体を利用して気道
内に送達される。
気道内投与用粉末製剤の容器および投与器は、容器内
の粉末製剤の分量に応じて1回に気道内に送達される
粉末製剤の量があらかじめ分割されて各々の容器に収納
されている型(ユニットドース型)と、収納されてい
る容器から使用する度毎に、1回分の粉末製剤が何らか
の手段により分割されて気道内に送達されるような多数
回分量の粉末製剤がまとまって容器内に収納されている
型(マルチドース型)の二つに分類される。
このような二つの型の収納方式に対応して多くの投与
器が考案されており、例えばユニットドース型としては
特公昭63−6024号公報に開示された粉状薬剤施薬装置
や、P.R.Byron編「Respiratory Drug Delivery」CRC Pr
ess刊、1990年、P.169に記載されているSpinhaler(商
標登録)、Rotahaler(商標登録)、Diskhaler(商標登
録)などが、また、マルチドース型としては同じp.169
に記載されているTurbohaler(商標登録)などがあげら
れる。
粉末製剤を収納する容器の形状は上記の収納方式や投
与器の構造によって多様であるが、従来ユニットドース
型としては、例えば経口剤に広く使用されている医薬用
硬質カプセル、Diskhaler(商標登録)に装填できるよ
うなディスク状成型物、WO89/01348号明細書に提案され
ているようなディスポーザブル容器が知られている。ま
た、マルチドース型としては、投与器の構造にあわせて
装填して、何らかの手段で所定量の内容物が投与器から
気道への移動が可能な状態になるような形状のものが知
られている。本発明においては、これらのいずれであっ
てもよい。また、投与器の一部を構成していてもよい。
例えば円筒状であり、同時にフタをとって投与器にねじ
で固定できるような構造であればよい。
一方、従来粉末製剤を収納する容器の材質は、たとえ
その剤形が吸入、噴霧剤であり、気道内に、すなわち人
体に投与されるのは収納されている粉末製剤であって容
器そのものは人体には投与されないものであっても、粉
末製剤と直接接触するものである。そこで安全性等のこ
とを考慮し、具体的にそのような材質として知られてい
るものにはユニットドース型として経口剤にも広く使用
されている医薬用硬質カプセルを形成するゼラチン;デ
ィスク状に成型されたアルミニウム(例えばP.R.Byron
編の前掲書、P.169参照);あるいはディスポーザフル
容器として提案されているポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン等のポリオレフィン系を主とするプラ
スチックスがあげられる。また、マルチドース型として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等ポ
リオレフィン系を主とするプラスチック;アルミニウ
ム;ガラス等があげられる。
このような、各種の材料でできた容器に収納される粉
末製剤としては、気道内に投与され沈着し、局所である
いは局所から血流に移行し全身で薬効を発揮する薬物そ
れ自体単独の粒子からなる粉末、あるいは薬物を含んで
なる粒子からなる粉末、あるいは薬物単独粒子あるいは
薬物を含んでなる粒子と、適当な添加剤、例えば乳糖、
マンニトール、微結晶セルロース等の粒子との混合粉末
が知られている。
かかる気道内投与用粉末製剤は、気道内標的部位へ効
率よく到達すること、および到達部位での沈着面積を広
くすること等の必要性から粉末の粒度を小さくする必要
がありその上限は約500μmである。従来粒子の粒径と
気道内の到達部位との関係は多くの研究者により検討さ
れてきており、その報告値は必ずしも一致しないが、例
えば10μmより大きく、約500μm以下の粒子は主に口
腔、鼻腔内に沈着し、2μmより大きく10μm以下の粒
子は主に気管・気管支、細気管支に沈着し、0.5〜2μ
mの粒子は主に肺胞に沈着するといわれている(「最新
生物薬剤学」粟津、小泉編、南江堂、1991年P.67参
照)。なお、ここにあげた粒径は、当然粉末製剤中の薬
物単独粒子と薬物を含んでなる粒子に適用されるもので
あり、添加剤粒子には適用されなくともよい。
本発明者らは上記のような従来の気道内投与用粉末製
剤技術にのっとり、鼻腔あるいは気管支、肺胞等への粉
末状薬物の投与について研究を継続してきたが、上記の
粉末製剤が微粒子粉体であることにもとづく大きな技術
的課題に遭遇した。
すなわち、粉末製剤を上記の各種容器に収納して保存
している間に、あるいは投与器に装填している間に振動
などで粉末製剤と容器が接触し、その結果、薬物の微粒
子あるいは薬物を含んでなる微粒子が容器表面に吸着、
付着してしまうことを発見した。従って、気道内に投与
する際に、吸気あるいは何れかの方法で加圧された気体
により容器内に収納された粉末製剤を気道内に導入しよ
うとしても、容器表面に吸着、付着した微粒子はそのま
ま容器内に残存し、気道内に導入、送達されないことを
見い出した。
このような問題は、たとえ容器に収納されている製剤
が容器内面に吸着、付着しても容器ごと投与されるよう
な経口剤の場合には全く問題とはならないが、容器は投
与されず、収納物のみが体内に投与される気道内投与用
粉末製剤の場合には、その体内への送達量が減少するこ
とから治療効果を左右する程の大きな課題である。
本課題を解決する方法としては、薬物あるいは薬物を
含んでなる微粒子を調整する方法例えば該微粒子の密度
を大きくする方法、粉末製剤中の該微粒子を比較的大き
な粒子にあらかじめ付着、吸着させておく方法、等通常
考えられる方法が検討され、効果がある場合があり、例
えば鼻腔内噴霧用コルチコステロイド剤では解決されて
いることが明らかにされている。しかし、上記のような
方法を使用しても薬物によっては、例えばゼラチンやプ
ラスチックへの吸着、付着性の大きいペプチド類、蛋白
質類では容器への付着、吸着を避けられず、また、特に
物理化学的安定性向上のために粉末製剤を乾燥状態にお
いた場合には上記の方法では容器への付着、吸着を避け
ることは極めて困難である。
従って、手間のかかる微粒子の調製を必要とせず、種
々の薬物に適用可能な、薬物が容器内面に吸着、付着し
ない気道内投与用製剤が求められている。また、特に乾
燥状態においても容器内面に吸着、付着しない気道内投
与用製剤が求められている。
なお、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を医薬
品容器として使用する概念は公知である。例えば特開昭
61−100519号公報には、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースを主成分とする医薬用硬質カプセルが開示されて
いる。
一方、医薬品硬質カプセルを含めた各種のユニットド
ース型容器および各種のマルチドース型容器が気道内投
与用粉末製剤の容器として使用されていることも公知で
ある。
しかるに、気道内投与用粉末製剤において主薬あるい
は主薬を含んでなる微粒子の有意な容器内面への付着、
吸着が発生しうる事実は今まで全く報告されていない。
まして、この付着、吸着現象がヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等を成分とする容器を使用することにより
避けられるという本発明者らの知見は、新規であり、従
来の文献等から全く予想され得ないものであることは理
解されよう。
発明の開示 本発明の目的は薬物あるいは薬物を含んでなる微粒子
の容器内面への付着、吸着を防止し、その結果容器から
気道内への薬物の送達量が改善された気道内投与用製剤
を提供することにある。
また、更に詳しくは、本発明の目的は乾燥状態で保存
されても容器から気道内への送達量が減少しない気道内
投与用製剤の提供にある。
本発明に従えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、アルギン
酸ナトリウムからなる群から選ばれる少くとも1種の成
分からなる容器に、気道内投与用粉末製剤を収納せしめ
てなる気道内投与用製剤が提供される。
本発明者らは前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、驚くべきことに、セルロース誘導体、類似体を
主成分とする容器、すなわちヒドロキシプロピルメチル
セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ア
ルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少くとも1
種の成分からなる容器に気道内投与用粉末製剤を収納せ
しめることにより前記課題を克服できることを見い出し
本発明に到達したものである。
なお、容器内に収納された製剤中の薬物粒子あるいは
薬物を含んでなる粒子の容器内面への付着・吸着には
(1)容器の物性、(2)薬物の物性、(3)薬物粒
子、薬物を含んでなる粒子と共存する添加物粒子の物
性、(4)湿度等の環境因子等多くの要因が関与してお
り、複雑である。我々のこれまでの研究の結果から、薬
物粒子、あるいは薬物を含んでなる粒子単独の場合及び
気道内投与用粉末製剤に通常使用される添加物が共存す
る場合によらず、薬物粒子あるいは薬物を含んでなる粒
子は気道内投与用製剤として必要な粒径、すなわち約50
0μm以下にまで微粒子化された場合には、薬物の物
性、種類によらず、通常使用されている容器、例えばゼ
ラチンカプセル、アルミニウムディスク、ポリエチレン
容器等への付着・吸着が避けられないが、本発明のセル
ロース誘導体・類似体を主成分とする容器へは付着・吸
着しないことが明らかとなっている。又、本発明のセル
ロース誘導体・類似体、すなわちヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷ
ん、アルギン酸ナトリウム、からなる容器が何故上記の
微粒子を付着・吸着しない理由についても研究を続けて
いるが、前記の如く要因が複雑であり解折が難しい。し
かし、これらのセルロース誘導体・類似体は薬物粒子あ
るいは添加物粒子と接触した場合に帯電しないが、通常
容器として使用されているゼラチン、ポリエチレン等は
帯電することが我々の実験で確かめられており、静電気
帯電性が主要因の一つであると推定されている。
発明を実施するための最良の形態 本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース等を成分とする容器の形状は、1回に気道内に送達
される粉末製剤の量があらかじめ分割されて収納されて
いる型(ユニットドース型)であっても、あるいは収納
されている容器から使用する度毎に何らかの手段により
1回分の粉末製剤が分割されて気道内に送達されるよう
な多数回分の粉末製剤がまとまって収納されている型
(マルチドース型)であってもよい。
ユニットドース型として医薬用硬質カプセルの形状を
していてもよいし、ディスク状に成型されディスク面に
何カ所かにユニットドース分が分割されて収納されてい
る形状でもよいし、その他にも投与器に合わせて適宜成
型されていてもよく、また投与器と一体となったディス
ポーザブル容器でもよい。また、マルチドース型として
はマルチドース型の投与器に合わせて適宜成型されたも
のであればよく、使用時にマルチドース型投与器に装填
されて使用されるに必要な機能を有する形状であればよ
い。
本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース等の成分からなる容器中のヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の比率は、後述の容器の製造法により制
限をうけるものではあるが、少くともその容器の70重量
%以上であることが望ましく、更に80重量%以上である
ことがより望ましい。2種以上の成分からなる場合は、
その合計量がかかる量であることが望ましい。
本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース等の成分からなる容器中にともに配合される化合物
としては、可塑剤、増粘剤、その助剤及び色素などがあ
げられ、具体的には、例えばポリビニルアルコール、ポ
リエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、
ショ糖、カラギーナン、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、酸化チタン、レーキ色素等があげられる。
本発明に用いられる容器は、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、
アルギン酸ナトリウムからなる群から選ばる少くとも1
種をその成分として製造される。これらの成分の中でも
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好適である。使
用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースとして
は、そのセルロースエーテルの置換率からいえばメトキ
シル基の重量割合が15〜30%であり、かつヒドロキシプ
ロポキシル基の重量割合が3〜15%であるものが望まし
く、また、その粘度からいえば2%水溶液の20℃におけ
る粘度が2〜20cpsのものが望ましい。
また、使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロー
スの中でもセルロースエーテルの置換率からいえば、メ
トキシル基の重量割合が19〜30%であり、かつヒドロキ
シプロポキシル基の重量割合が4〜12%であるものがよ
り望ましい。また、使用されるヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースとしては、その粘度からいえば、2%水溶
液、20℃の粘度が3〜15cpsのものがより望ましい。
本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースを主成分とする容器は医薬用硬質カプセルによく使
用されるゼラチン硬質カプセルと同様の方法で製造され
る。その製造方法の詳細については例えば、特開昭61−
100519号公報、特開昭62−266060号公報、特開昭63−12
7757号公報、特開平3−9755号公報の明細書中に記載さ
れているので参照されたい。これらの方法によって、医
薬用硬質カプセルの形状の他、気道内投与用粉末製剤に
使用できるあらゆるユニットドース型およびマルチドー
ス型の容器を成型できることは容易に理解されよう。
本発明に用いられる気道内投与用粉末製剤は、薬理作
用を発現する薬物単独あるいは薬理作用を発現する薬物
と添加物を含んでなる。
薬理作用を発現する薬物としては気道内の局所で薬理
作用を発現する薬物として、例えばヒドロコルチゾン、
プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ト
リアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、ベタメゾ
ン、ベクロメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート
などのステロイド系消炎薬;アセトアミノフェン、フェ
ナセチン、アスピリン、アミノピリン、スルピリン、フ
ェニルブタゾン、メフェナム酸、フルフェナム酸、イブ
フェナック、イブプロフェン、アルクロフェナック、ジ
クロフェナックナトリウム、インドメタシン、コルヒチ
ン、プロベネシッドなどの非ステロイド系消炎薬;キモ
トリプシン、プロメラインセラペプターゼなどの酵素系
消炎薬;塩化ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフ
ェニラミン、クレマスチンなどの抗ヒスタミン薬;クロ
モグリク酸ナトリウム、リン酸コデイン、塩酸イソプロ
テレノールなどの抗アレルギー薬(鎮咳去痰喘息薬);
塩酸テトラサイクリン、ロイコマイシン、フラジオマイ
シン、ペニシリンおよびその誘導体、エリスロマイシン
などの抗生物質、スルファチアゾール、ニトロフラゾン
などの化学療法薬;ベンゾカインなどの局所麻酔薬;塩
化フェニレフリン、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナフ
アゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸トラマゾリンな
どの血管収縮薬;ジキタリス、ジコキシンなどの強心
薬;ニトログリセリン、塩酸パパベリンなどの血管拡張
薬;塩酸クロルヘキシジン、ヘキシルレゾルシン、塩化
デカリニウム、エタクリジンなどの殺菌薬;塩化リゾチ
ウム、デキストラナーゼなどの酵素;5−フルホンラシル
などの抗悪性腫瘍薬;エラスターゼ阻害薬;硫酸サルブ
タモール、塩酸プロカテロール、硫酸オルシプレナリ
ン、臭化水素酸フェノテロールなどの交感神経刺激薬;
臭化イプラトロピウム、蓚酸フルトロピウムなどの副交
感神経遮断薬(抗コリン薬);アセチルシステインナト
リウム、ブロムヘキシンなどの喀痰溶解薬;塩酸アンブ
ロキソールなどの粘膜潤滑薬などがあげられる。
また、薬理作用を発現する薬物として気道から血液等
の体液に吸収され全身的な薬理作用を発現する薬物とし
て種々の生理活性を有するペプチド類、蛋白類、すなわ
ちポリペプチド類があげられる。
ポリペプチド類は、分子量が300〜300,000の範囲にあ
るポリペプチド類が気道粘膜により吸収されやすいとい
う点が好ましい。分子量は特に1,000〜15万の範囲が好
ましい。生理活性を有するポリペプチド類の好ましい具
体例としては次のものが挙げられる。例えばインシュリ
ン、アンジオテンシン、バソプレシン、デスモプレシ
ン、フェリプレシン、プロチレリン、黄体形成ホルモン
放出ホルモン、コルチコトロピン、プロラクチン、ソマ
トロピン、サイロトロピン、黄体形成ホルモン、カルシ
トニン、カリクレイン、パラサイリン、グルカゴン、オ
キシトシン、ガストリン、セクレチン、血清性性腺刺激
ホルモン、成長ホルモン、エリスロポエチン、アンギオ
テンシン、ウロガストロン、レニン、リポモジュリン、
カルモジュリン、hANP(ヒューマン・アトリアル・ナチ
ュレティック・ポリペプチド)などのペプチドホルモ
ン、その化学修飾化合物もしくはそのコンポーネント;
インターフェロン、インターロイキン、トランスフェリ
ン、ヒスタグロブリン、マクロコルチン、血液凝固第VI
II因子などの生理活性タンパク;リゾチーム、ウロキナ
ーゼなどの酵素タンパクなどがあげられる。
また、薬理作用を発現する薬物として、気道内にある
リンパ系組織の抗原認識機能を利用したワクチン類とし
て百日ゼキワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワク
チン、インフルエンザワクチンあるいはリンパ球増多因
子、繊維状赤血球凝集因子などのワクチン類等が挙げら
れる。
本発明に用いられる上記の薬理作用を発現する薬物の
中でも本発明の目的から、容器内面への付着・吸着によ
る機械的損失が投与量の実質的損失になりうる薬物、す
なわち投与量が少量の高活性の薬物が好適である。容器
内面への付着・吸着量は容器内面の製剤との接触面積に
よって変化するが、例えばゼラチンカプセル2号に5〜
10μmのベクロメタゾンジプロピオネート粉末を収納し
た場合、付着・吸着量は約10μgである。容器の形状、
ユニットドースがマルチドースかによる容器の大きさ等
により付着・吸着による損失量が異なることはいうまで
もない。しかし、通常類推される範囲で1回分の投与量
に対し、上記ベクロメタゾンジプロピオネートの例から
最大約100μgが損失すると仮定すれば、この値が実質
的に投与量の減少と考えられる投与量は1回最大約2mg
である。従って、限定はできないが、1回約2mg以下の
範囲の投与量の薬物が好適である。具体的にはステロイ
ド系消炎薬、交感神経刺激薬、副交感神経遮断薬、ペプ
チド類、蛋白類、ワクチン類があげられる。
又、容器への付着・吸着は乾燥された状態で特に顕著
であり、安定化のために乾燥される薬物の場合には特に
好適である。このような薬物として、ペプチド類、蛋白
類、ワクチン類があげられる。
本発明に用いられる気道内投与用粉末製剤に薬理作用
を発現する薬物とともに用いられる添加物としては従来
から気道内投与用粉末製剤に使用されている添加物、あ
るいは使用されうる添加物であれば何れの添加物でも用
いられる。そのような添加物としては、賦形剤が用いら
れるが、その具体的例としては、セルロースエーテル
類、水吸収性かつ水難溶性基剤類、糖類、アミノ酸類等
から選ばれる1種又は2種以上があげられる。
セルロースエーテル類とは、セルロースの複数個のヒ
ドロキシル基が、少なくとも部分的にエーテル化された
セルロース誘導体であり、例えばセルロースの低級アル
キルエーテル、低級ヒドロキシアルキルエーテル、低級
カルボキシアルキルエーテル等が包含される。エーテル
基は1種である必要はなく、例えば、低級アルキル基と
低級ヒドロキシアルキル基とを共に有する如き2種以上
のエーテル基を分子内に有しているセルロースエーテル
であっても良い。このうち、セルロースの低級アルキル
エーテル又は低級ヒドロキシアルキルエーテルが好まし
く用いられる。ここで“低級アルキル”とは炭素原子数
5個以下、好ましくは3個以下のアルキル基を意味す
る。
上記セルロースエーテル類としては、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、カルボキシリエチルセル
ロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース
あるいはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどがあ
げられる。これらのうち、特にメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく
用いられる。
セルロースエーテル類として、例えば20℃における2
重量%水溶液の粘度が3〜100000センチポイズ、更に好
ましくは3/10000センチポイズ、特に好ましくは6〜600
0センチポイズのものが好ましく用いられる。
セルロースエーテル類としては、例えばエーテル置換
度が0.1〜6.0のもの、特に0.4〜4.6のものが好ましく用
いられる。ここでエーテル置換度とは、セルロースを構
成する1グルコース単位当り、その1単位が有する3個
の水酸基についてのエーテル基の数の平均をいう。
水吸収性かつ水難溶性基剤としては、例えば、結晶セ
ルロース、α−セルロース、架橋カルボキシメチルセル
ロースナトリウムなどの水吸収性でかつ水難溶性のセル
ロース類;ヒドロキシプロピル澱粉、カルボキシメチル
澱粉、架橋澱粉、アミロース、アミロペクチン、ペクチ
ンなどの水吸収性でかつ水難溶性の澱粉類;ゼラチン、
カゼイン、カゼインナトリウムなどの水吸収性でかつ水
難溶性のタンパク類;アラビアガム、トラガントガム、
グルコマンナンなどの水吸収性でかつ水難溶性のガム
類;ポリビニルポリピロリドン、架橋ポリアクリル酸お
よびその塩、架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキ
シエチルメタアクリレートなどの架橋ビニル重合体類な
どが挙げられる。これらのなかでも水吸収性でかつ水難
溶性のセルロース類が好ましく、特に結晶セルロースが
好ましい。
糖類としてはグルコース、マンニトール、乳糖、果
糖、デキストラン等があげられる。
アミノ酸類としてはグリシン、アラニン等があげられ
る。また、これらの賦形剤の他に、必要に応じて分散補
助剤、滑沢剤、安定化剤等が添加される。
なお、上記の添加剤と薬理作用を発現する薬物とは各
々別個の粒子として存在してもよいし、同一の粒子を構
成してもよい。前者の場合は添加剤と薬物とは機械的に
混合される等して製剤を形成し、後者の場合は適当な溶
媒等に各々を分散・溶解後噴霧乾燥する等して製剤を形
成する。
さて、上記の容器および粉末製剤(薬物単独あるいは
薬物と添加物を含んでなる)から本発明の気道内投与用
製剤が製造されるが、気道内における目的とする薬物送
達部位により、その粒径は異なる。すなわち前述の如
く、気道内の到達部位は製剤の粒径に依存しており、お
よそ10μmより大きくおよそ500μm以下の粒子は主に
口腔、鼻腔内に、2μmより大きく10μm以下の粒子は
主に気管、気管支、細気管支に、また0.5〜2μmの粒
子は主に肺胞に沈着するといわれている。従って、該粉
末製剤の粒径を調整することにより目的とする部位へ効
率よく薬物を送達することが可能である。
先ず、口腔・鼻腔に薬物を送達するためには本発明の
容器に収納する粉末製剤の粒子を10μmより大きく500
μm以下に調整すればよい。このような粉末製剤の中で
局所用薬としては、例えば鼻アレルギー治療剤があり、
例えば10μmより大きく、500μm以下の粒径に粉砕さ
れたステロイド系消炎薬であるベクロメタゾンジプロピ
オネートと10μmより大きく、500μm以下の粒度をも
つ添加物であるヒドロキシプロピルセルロースとを混合
機で混合して得られる。
この場合、薬効の持続化のためには主薬とともに配合
される添加物としては例示したようなヒドロキシプロピ
ルセルロース等のセルロースエーテル類がよい。その他
の局所用薬としては、その他のステロイド系消炎薬、非
ステロイド系消炎薬、酵素系消炎薬、抗ヒスタミン薬、
抗アレルギー薬、血管収縮薬などがあげられる。また同
様の粉末製剤の中で全身用薬としては、例えば鼻粘膜を
通して血流に移行し全身作用を発揮するような経鼻製剤
があり、例えば10μmより大きく、500μm以下の粒度
のカルシトニン、例えばサケカルシトニンと10μmより
大きく、500μm以下の粒度の微結晶性セルロースとを
混合機で混合して得られる。この場合効果の速やかな発
現と良好な吸収率のためには主薬とともに配合される添
加物としては例示したような水吸収性かつ水難溶性基剤
類がよい。その他の全身用薬としては、カルシトニン以
外のペプチド類、蛋白類等のポリペプチド類、ワクチン
類などがあげられる。
次に、気管、気管支、細気管支、肺胞に薬物を送達す
るためには本発明の容器に収納する粉末製剤の粒子の
内、薬物粒子あるいは薬物を含んでなる粒子を10μm〜
0.5μmの範囲に調整すればよい。ここで必ずしも全粒
子をその範囲に入れる必要はないが、上記範囲にある全
量が多い方が前記気管、気管支、細気管支、肺胞に送達
される量が多い。
薬物粒子あるいは薬物を含んでなる粒子とともに賦形
剤等の添加物の粒子がある場合は、添加物粒子は10μm
〜0.5μmに調製する必要はなく、10μm以上に調製し
て口腔、鼻腔に捕促させてもよい。このような粒径に調
製された薬物粒子、薬物を含んでなる粒子、及び添加物
粒子は通常の方法で混合されて粉末製剤を形成する。
このような粉末製剤の中で局所用薬としては例えば抗
喘息剤があり、例えばステロイド系消炎薬であるベクロ
メタゾンジプロピオネートの添加物であるヒドロキシプ
ロピルセルロースとを混合したり、スプレードライによ
り10〜0.5μmの粒径内のベクロメタゾンジプロピオネ
ートを含むヒドロキシプロピルセルロースの微粒子に製
造して得られる。その他の局所用薬としてはその他のス
テロイド系消炎薬、非ステロイド系消炎薬、酵素系消炎
薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、エラスターゼ阻
害薬、交感神経刺激薬、副交感神経遮断薬、喀痰溶解
薬、粘膜膨潤薬などがあげられる。
また同様の製剤の中で全身用薬としては例えば肺胞粘
膜を通して血流に移行し、全身作用を発揮するような経
肺製剤があり、例えばインスリンとブドウ糖とを混合し
たり、スプレードライにより10〜0.5μmの粒径内のイ
ンスリンを含むヒドロキシプロピルセルロースの微粒子
に製造して得られる。その他の全身用薬としては、その
他のペプチド類、蛋白類などのポリペプチド類等があげ
られる。これらの気管、気管支、細気管支、肺胞に送達
される粉末製剤に使用される添加物は、刺激性が少なく
水溶性のものが望ましく、例えば糖類、アミノ酸類、水
溶性セルロースエーテル類がよい。
なお、本発明の製剤は、鼻腔あるいは口腔から気道内
に投与されるが、容器内の本発明の粉末製剤を両腔から
気道内へ導入するために必要な動力源は患者自身の吸気
でも(吸入)、またゴム球等患者の吸気以外の動力源で
あっても(噴霧)よい。
かくして本発明に用いられる気道内投与用粉末製剤
は、前記の本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の成分からなる容器に収納されて製剤の
形をなすわけであるが、その形状は投与器の構造にあわ
せて選択されるので投与器の構造は重要である。
本発明の気道内投与用粉末製剤を投与する際に用いら
れる投与器の構造は原則として制限はなく、従来使用さ
れてきたり提案されてきた気道内投与用粉末製剤投与器
(施薬器)であれは如何なるものでもよい。ユニットド
ース型容器としては、例えば医薬用硬質カプセル型容器
に対応する紛状薬剤施薬装置(特公昭63−6024号公
報)、Spinhaler(商標登録)、Rotahaler(商標登
録)、Diskhaler(商標登録)等があげられる。
また、マルチドース型の容器に対応するものとして
は、例えばTurbohaler(商標登録)等があげられる。
産業上の利用可能性 以上説明したように、本発明に従えば、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース等の成分からなる容器に気道内
投与用粉末製剤を収納せしめてなる気道内投与用製剤
が、上記のような投与器により気道内に投与される時、
従来の容器に収納された気道内投与用粉末製剤が上記の
ような投与器により気道内に投与される時よりも容器内
面への粉末製剤の付着、吸着量が少いために、実際に気
道内に送達される量が有意に大きいことは治療効果上極
めて意義の大きいことである。
実施例 以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、
本発明をこれらに限定するものでないことはいうまでも
ない。
実施例1〜16、対照例1〜64 ヒドロキシプロピルメチルセルロースを主成分とする
容器への気道内投与用粉末製剤の付着性・吸着性が少い
ことを示す目的で下記の実験を実施した。
(1)各種容器材料への付着・吸着量測定箱の製造 底面が一辺2cmの正方形で高さ1cmの直方体の1底面を
あけた箱を厚紙でつくり、箱の内側に向いた5面(4側
面と1底面)に下記(2)項に記載する薄膜状の材料を
アロンアルファ(東亜合成化学製)で貼った。
(2)付着・吸着量測定箱内面にはられる薄膜状材料の
調製 下記の如く、本発明のヒドロキシプロピルメチルセル
ロースを主成分とする材料を含む5種類の材料を調製し
た。
材料A:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化
学製、TC−5R:メトキシル基:28〜30重量%、ヒドロキシ
プロポキシル基:7〜12重量%、2%水溶液、20℃の粘
度:6cps)93部、カラギーナン(和光純薬製)1重量
部、塩化カリウム(和光純薬製)1重量部、水5重量部
からなる厚み0.1mmの薄膜フイルム。(過剰の水で溶解
したものを平板上に展開後乾燥して均一フイルム状に調
製した。) 材料B:ゼラチン(和光純薬製)95重量部、水5重量部
からなる厚み0.1mmの薄膜フイルム。(過剰の水で溶解
したものを平板上に展開後乾燥して均一フイルム状に調
製した。) 材料C:ポリプロピレンシート(ニッコー製シートをそ
のまま使用) 材料D:アルミ箔(ニッパクホイルをそのまま使用) 材料E:通常の薄い板ガラス (3)薬物を含んでなる気道内投与用粉末製剤の調製 表1に記載された薬物、基剤、滑沢剤を同表に記載さ
れた方法で混合、調製し、気道内投与用粉末製剤を調製
した。
(4)付着、吸着量の測定方法 (3)で調製した気道内投与用粉末製剤各々100mgを
とり、(2)に記載した材料で内ばりした(1)に記載
した測定箱内に入れ、1時間振盪機で左右に振盪するこ
とにより粉末製剤と材料とを接触せしめた。振盪中、上
面の開放面はフタをして飛散を防いだ。(これらの実験
は25℃/40%RHのもとで実施した。)振盪後フタをと
り、内容物を取り出した。箱の底面、側面には肉眼で粉
末製剤がみえなくなるまで、箱をスパーテルで軽くたた
くなどして粉末製剤を排出した。排出した粉末製剤を集
めその中の薬物を高速液体クロマトグラフィーにて測定
し、はじめに箱にとった量からは箱内面への付着・吸着
率を算出した。表2に本発明の容器材料と粉末製剤との
組合せによる実施例1〜16の結果を、また、表3に従来
の容器材料と粉末製剤との組合せによる対照例1〜64の
結果を示す。
表1において( )内には、鼻腔内製剤については粉
末製剤30mg中の、又吸入剤については粉末製剤5mg中の
薬物の含量を示した。また、ステアリン酸Mgの含量は粉
末製剤の0.5重量%である。さらに、調製は以下のよう
に行なった。
a)46〜149μmの粒径に粉砕された所定量の薬物をと
り、これに90重量%以上の粒子が46〜149μmの粒径を
有する基剤を添加し均一になるまで小型V型混合機で混
合し、最後に0.5%量のステアリン酸Mgを混合すること
により均一な鼻腔内投与用粉末製剤を得た。
b)0.5〜10μmの粒径に調製された所定量の薬物をと
り、これに90重量%以上の粒子が46〜149μmの粒径を
有する基剤を添加し均一になるまで小型V型混合機で混
合し、最後に0.5%量のステアリン酸Mgを混合すること
により均一な気道内投与用吸入粉末製剤(吸入剤)を得
た。
c)所定量の薬物と基剤とを水を主成分とする溶媒(必
要であればエタノールを添加)に溶解し噴霧乾燥するこ
とにより微小の粒子粉体を調製し、最後に0.5%量のス
テアリン酸Mgを混合することにより、気道内投与用吸入
粉末製剤(吸入剤)を得た。
上記c)の記載の調製法で得られた粉末製剤の粒度分
布は0.5〜10μmが80%以上であった。
なお、これはレーザー式粒度分布測定機(JEOL/SYMPA
TEC;HEROS & RODOS)で測定した結果である。
表2、表3から気道内投与用粉末製剤のヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースを主成分とする容器への付着
性、吸着性がゼラチン、ポリプロピレン、アルミ箔、あ
るいはガラスでできた容器へのそれよりも少いことがわ
かる。
実施例17〜21、対照例65〜69 前記表1に記載された粉末製剤,,,,に
ついて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを主成分
とする医薬用硬質カプセル(組成:ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、信越化学、TC−5R、93重量部:カラ
ギーナン、1重量部:塩化カリウム、1重量部:水、5
重量部)に30mgずつ充填し、25℃,55%RHで2週間保存
後粉状薬剤施薬装置(特公昭63−6024号公報)にて肉眼
で粉末製剤がみえなくなるまで粉末製剤を噴射した後、
該硬質カプセルを取り出し、カプセル内面に残存する主
薬をHPLCにて測定し、カプセル内面への付着、吸着率を
算出した。又、同様の実験をカプセルをシリカゲルデシ
ケーターで2週間保存後にも実施した。(実施例17〜2
1) 同時に同じ前記表1に記載された粉末製剤,,
,,について、ゼラチンを主成分とする医薬用カ
プセル(組成ゼラチン、95重量部:水、5重量部)に30
mgずつ充填し、実施例17〜21と同様の実験をした。(対
照例65〜69) 結果を表4に示す。
表4よりヒドロキシプロピルメチルセルロースを主成
分とするカプセルに充填された気道内投与用粉末製剤
が、粉状薬剤施薬装置から噴射された場合にカプセル内
部に残存する割合は、ゼラチンカプセルに充填され、同
時に噴射された場合より少く、しかも付着・吸着量は乾
燥に影響されないことがわかる。なお、ゼラチンカプセ
ルには乾燥時割れが認められるものがあった。
実施例22,23、対照例70,71 前記表1に記載された粉末製剤,について、実施
例17〜21と同じくヒドロキシプロピルメチルセルロース
を主成分とする医薬用硬質カプセルに5mgずつ充填し、
前記実施例17〜21と同様に粉末薬物施薬装置にてカプセ
ルに穴をあけた後、同装置に吸引ポンプを接続し吸引ポ
ンプで60リットル/分で吸引してカプセル内容物を吸引
した後、同様の方法でカプセル内面に残存する主薬を測
定しカプセル内面への付着率を算出した。(実施例22,2
3) 同じ粉末製剤,についてゼラチンカプセルに充填
したものについても同様の実験を実施し、カプセル内面
への付着率を算出した。(対照例70,71) 結果を表5に示す。
表5より、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを主
成分とするカプセルに充填された気道内投与用粉末製剤
がその内容物をヒトの吸気と同様に吸引された場合にカ
プセル内部に残存する割合はゼラチンカプセルに充填さ
れ同様に吸引された場合より少いことがわかる。
実施例24〜28 実施例1〜16と同様に下記のF.G.H.I.Jからなる薄膜
状材料を調製した。
材料F:メチルセルロース(信越化学、メトローズSM1
5)95重量部、水5重量部からなる厚み0.1mmの薄膜フイ
ルム(過剰の冷水で溶解したものを平板上に展開後乾燥
して均一な薄膜とした。) 材料G:ヒドロキシプロピルセルロース(日曹HPC−
M)95重量部、水5重量部からなる厚み0.1mmの薄膜フ
イルム(過剰の冷水で溶解したものを平板上に展開後乾
燥して均一な薄膜とした。) 材料H:でんぷん(トウモロコシデンプン、日本食品加
工製)95重量部、水5重量部からなる厚み0.1mmの薄膜
フイルム(沸騰水で可溶化した後平板上に展開し、乾燥
して均一な薄膜とした。) 材料I:ヒドロキシプロピルでんぷん(フロイント産
業、HPS101(W))95重量部、水5重量部からなる厚み
0.1mmの薄膜フイルム(沸騰水で可溶化後、平板上に展
開し、乾燥して均一な薄膜とした。) 材料J:アルギン酸ナトリウム(君津化学)95重量部、
水5重量部からなる厚み0.1mmの薄膜フイルム(冷水溶
解したものを平板上に展開後、乾燥して均一な薄膜とし
た。) これらF〜Jの材料と、実施例1〜16の粉末製剤に
ついて実施例1〜16と同じ実験をし、のF〜Jへの付
着、吸着率を測定した。その結果を表6に示す。
表6より、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ア
ルギン酸ナトリウムを主成分とする容器への気道内投与
用粉末製剤の付着性、吸着性が、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースを主成分とする容器へのそれと同様に低
いことがわかる。

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メ
    チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、でん
    ぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、アルギン酸ナトリ
    ウムからなる群から選ばれる少くとも1種の成分からな
    る容器に、気道内投与用粉末製剤を収納せしめてなる気
    道内投与用容器入り製剤。
  2. 【請求項2】該成分の量が該容器の少くとも80重量%で
    ある請求の範囲第1項に記載の製剤。
  3. 【請求項3】該成分が、ヒドロキシプロピルメチルセル
    ロースである請求の範囲第1項又は第2項に記載の気道
    内投与用容器入り製剤。
  4. 【請求項4】該容器が、気道内に粉末を投与するための
    投与器にユニットドースあるいはマルチドースとして装
    填されるように成型された容器である請求の範囲第1項
    に記載の気道内投与用容器入り製剤。
  5. 【請求項5】該容器が、医薬用硬質カプセルである気道
    内に粉末を投与するための投与器にユニットドースとし
    て装填される請求の範囲第4項に記載の気道内投与用容
    器入り製剤。
  6. 【請求項6】該容器が、気道内に粉末を投与するための
    投与器と一体となり、かつディスポーザブルである請求
    の範囲第1項に記載の気道内投与用容器入り製剤。
  7. 【請求項7】該気道内投与用粉末製剤が、鼻腔より吸入
    され鼻腔内に沈着する粉末製剤である請求の範囲第1〜
    6項のいずれか1項に記載の気道内投与用容器入り製
    剤。
  8. 【請求項8】該気道内投与用粉末製剤が、鼻腔内に噴霧
    され鼻腔内に沈着する粉末製剤である請求の範囲第1〜
    6項のいずれか1項に記載の気道内投与用容器入り製
    剤。
  9. 【請求項9】該気道内投与用粉末製剤が、口腔より吸入
    され、口腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支、肺
    胞に沈着する粉末製剤である請求の範囲第1〜6項のい
    ずれか1項に記載の気道内投与用容器入り製剤。
  10. 【請求項10】該気道内投与用粉末製剤が、口腔内に噴
    霧され、口腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支、
    肺胞に沈着する粉末製剤である請求の範囲第1〜6項の
    いずれか1項に記載の気道内投与用容器入り製剤。
  11. 【請求項11】該気道内投与用粉末製剤が、抗アレルギ
    ー薬、ステロイド系消炎薬、非ステロイド系消炎薬、酵
    素系消炎薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、殺菌薬、化学
    療法薬、エラスターゼ阻害薬、局所麻酔薬、血管収縮
    薬、強心薬、血管拡張薬、抗悪性腫瘍薬、交感神経刺激
    薬、副交感神経遮断薬、喀痰溶解薬、粘膜潤滑薬、ペプ
    チド類、蛋白類、ワクチン類からなる群から選ばれる薬
    物を含んでなる粉末製剤である請求の範囲第1〜6項の
    いずれか1項に記載の気道内投与用容器入り製剤。
  12. 【請求項12】気道内投与用粉末製剤が、該薬物と同時
    に投与される賦形剤を含んでなり、該賦形剤が、セルロ
    ースエーテル類;水吸収性でかつ水難溶性のセルロース
    類;水吸収性でかつ水難溶性のタンパク質;水吸収性で
    かつ水難溶性のガム類;水吸収性でかつ水難溶性の架橋
    ビニル重合体類;糖類;アミノ酸類;からなる群から選
    ばれるものである請求の範囲第11項に記載の気道内投与
    用容器入り製剤。
  13. 【請求項13】該気道内投与用粉末製剤が、ステロイド
    系消炎薬、交感神経刺激薬、副交感神経遮断薬、ペプチ
    ド類、蛋白類からなる群から選ばれる薬物を含んでなる
    粉末製剤である請求の範囲第1〜6項のいずれか1項に
    記載の気道内投与用容器入り製剤。
  14. 【請求項14】気道内投与用粉末製剤が、賦形剤とし
    て、水吸収性でかつ水難溶性のセルロース類;水吸収性
    でかつ水難溶性の澱粉類;水吸収性かつ水難溶性の蛋白
    類;水吸収性かつ水難溶性のガム類;水吸収性でかつ水
    難溶性架橋ビニル重合体からなる群から選ばれるもので
    ある請求の範囲第13項に記載の気道内投与用容器入り製
    剤。
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