JP2505430B2 - 塩基性アミノ酸を含有する経鼻投与用粉末状組成物 - Google Patents

塩基性アミノ酸を含有する経鼻投与用粉末状組成物

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JP2505430B2
JP2505430B2 JP61260635A JP26063586A JP2505430B2 JP 2505430 B2 JP2505430 B2 JP 2505430B2 JP 61260635 A JP61260635 A JP 61260635A JP 26063586 A JP26063586 A JP 26063586A JP 2505430 B2 JP2505430 B2 JP 2505430B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は粉末状の経鼻投与に有用なポリペプチド類組
成物に関する。更に詳細には、本発明はカルシトニン,
インシュリンなどの生理活性を有するポリペプチド類と
吸収促進剤としてのアルギニンなどの塩基性アミノ類酸
及び水吸収性の固型基剤とからなる粉末状組成物であっ
て、鼻腔内に噴霧投与したとき、極めて効率よくポリペ
プチド類が鼻粘膜より吸収される、経鼻投与に有用なポ
リペプチド類組成物に関する。
〈従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〉 インシュリン,カルシトニンなどのペプチドホルモン
は、分子量が大きくまたペプシン,トリプシンあるいは
キモトリプシンなどの蛋白分解酵素によって分解されや
すいため経口投与では吸収されにくく有効に薬理効果を
発揮できず、従って注射剤として投与が行われているの
が現状である。
しかしながら、注射剤による投与は苦痛を伴うため、
他の種々の投与方法が試みられている。
例えば、サリチル酸ナトリウム,3−メトキシサリチル
酸ナトリウム,5−メトキシサリチル酸などのサリチル酸
誘導体を吸収促進剤として用いた坐剤による直腸内投与
法[ジャーナル・オブ・ファーマシィ・アンド・ファー
マコロジィー(J.Pharm.Pharmacol.),33.334(198
1)]がある。これ以外の方法として気管内投与[ダイ
アベット(Diabetes),20,552,(1971)],点眼投与
(糖尿病学会抄集,237,(1974))などの方法が検討さ
れている。
しかしながら、いずれの方法も注射に比べて高投与量
が必要なこと、また吸収が変動しやすいという難点があ
るため、現在においてまだ実用化に到っているものはほ
とんどない。
一方、鼻腔内投与に関する試みとして、吸収促進剤と
してグリコデオキシコール酸ナトリウムなどの界面活性
剤を用いたインシュリンの水溶液の経鼻投与法が知られ
ている[プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.)82,pp7419〜7423(1985)]。あるいは吸収促
進剤としてナトリウム−タウロー24,25−ジヒドロキシ
フシデートなどのフシジン酸誘導体を用いたインシュリ
ン,グルカゴンなどの水溶液での経鼻投与法(特開昭61
-33126号公報)が知られている。更にシクロデキストリ
ンを併用したインシュリンの経鼻投与用液剤も知られて
いる(特開昭58-189118号公報)。
しかしながら、これらの方法においては、剤型がすべ
て液状であるため経鼻投与した時、液剤が鼻腔外へ流出
しやすく、鼻粘膜から薬物が十分に効率よく吸収される
とは言い難いものである。
一方、粉末状の経鼻投与用製剤として、特開昭59-163
313号公報及び特開昭60-224616号公報には、水吸収性基
剤とペプチドホルモン類とからなる粉末状経鼻投与用製
剤が開示されている。
この製剤は高分子量のペプチドホルモン類を比較的効
率よく鼻粘膜から吸収させ得る。更に、また粉末状の経
鼻投与用製剤として、米国特許4,294,829号明細書に
は、セルロース低級アルキルエーテルと薬物とからなる
製剤が開示されている。この製剤は、セルロース低級ア
ルキルエーテルが鼻粘膜上で水分を吸収し、粘稠な液体
状態になって鼻粘膜上を流動し、薬物を徐々に放出する
という特徴を有している。しかしながらこれらの方法に
おいてさえも、なお十分に効率よく薬物が鼻粘膜から吸
収されるとは言い難く、未だ改善する余地のあるもので
ある。
塩基性アミノ酸を吸収促進剤として用いる経鼻投与製
剤はすでに特開昭61-118325号公報に「塩基性及び/又
は中性アミノ酸を含有するカルシトニン経鼻剤」として
開示されている。しかしながら特開昭61-118325号公報
に開示されている経鼻剤の剤形は主として液剤であるた
め、経鼻投与した時、液剤が鼻腔外へ流出しやすく、鼻
粘膜よりカルシトニンが効率よく吸収されると言い難い
ものであった。又特開昭61-118325号公報には粉末形態
の場合、賦形剤としてマンニット,イノシトール,グル
コース等の単糖類を用い得ることが開示されているが、
その粉末状製剤についての具体例は無論のこと、粉剤を
経鼻投与した時の具体的効果は何も示されていなかっ
た。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明者らは前述した如く、ペプチドホルモン類を粉
末状製剤として経鼻投与する時、ペプチドホルモン類が
比較的効率よく鼻粘膜から吸収し得ることを見い出しす
でに特許出願した(特開昭59-163313号公報及び特開昭6
0-224616号公報)が、この研究の一環として、更に研究
を進め、まったく新しい観点から、各種アミノ酸及び/
又はその製薬学的に許容し得る塩を含む粉末状製剤とし
て投与した場合に種々のポリペプチド類の鼻粘膜吸収に
及ぼす、これら各種アミノ酸及び/又はその製薬学的に
許容し得る塩の影響について種々検討を重ねた。
その結果、驚くべきことに特定のアミノ酸及び/又は
その製薬学的に許容し得る塩、即ち例えばアルギニン,
アルギニン塩酸塩等の塩基性アミノ酸及び/又はその製
薬学的に許容し得る塩を含む、、鼻粘膜に適用するのに
適した水吸収性の固形基剤を用いた粉末状経鼻剤を投与
したところ、ポリペプチド類の鼻粘膜吸収が著しく促進
されることを見い出し、本発明を完成するに到った。す
なわち、本発明は、(a)カルシトニン、インシュリ
ン、アルファーヒューマンアトリアルナトリウレティッ
クポリペプチド(α−hANP)、黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン、デスモプレシン、成長ホルモン、パラチリン
(PTH)、バソプレシン、及びオキシトシンから選ばれ
る生理活性を有するポリペプチド類、(b)吸収促進剤
としてのアルギニン、ヒスチジン及びリジンから選ばれ
る塩基性アミノ酸及び/又はその製薬学的に許容し得る
塩、および(c)結晶セルロース及びα−セルロース
から選ばれる水吸収性でかつ水難溶性のセルロース類、
及びヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースから
選ばれる水吸収性でかつ水易溶性のセルロース低級アル
キルエーテル類から選ばれる鼻粘膜に適用するのに適し
た水吸収性の固型基剤とからなる経鼻投与用粉末状組成
物である。
本発明の吸収促進剤としての塩基性アミノ酸とは、ア
ルギニン、ヒスチジン及びリジンから選ばれる塩基性ア
ミノ酸をいう。
これらの塩基性アミノ酸はL体,D体,ラセミ体のいず
れでも良く、また、その製薬学的に許容し得る塩として
は、クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,フマル酸の如き有機
酸や塩酸等の鉱酸の塩であっても良いが、これらの塩の
中でも特に塩酸塩が好ましい。更にはアルギニン塩酸塩
が特に好ましい。
本発明の経鼻投与に有用な粉末状組成物中の塩基性ア
ミノ酸及び/又はその製薬学的に許容し得る塩の好まし
い濃度は、全組成物中約0.1〜30重量%であり、より好
ましくは1〜20重量%であり、更に好ましくは5〜15重
量%である。
本発明では、薬物は、生理活性を有するポリペプチド
類が対象となる。ポリペプチド類は、分子量が300〜30
万の範囲にあるポリペプチド類が、鼻粘膜より吸収され
やすいという点で好ましい。分子量は、特に300〜15万
の範囲が好ましい。生理活性を有するポリペプチド類の
好ましい具体例としては、次のものが挙げられる。例え
ばインシュリン,プロインシュリン,アンギオテンシ
ン,バソプレシン,デスモプレシン,フエリプレシン,
プロチレリン,黄体形成ホルモン放出ホルモン,コルチ
コトロピン,プロラクチン,ソマトトロピン,サイロト
ロピン,黄体形成ホルモン,カルシトニン,カリクレイ
ン,グリカゴン,オキシトシン,ガストリン,セクレチ
ン,血清性性腺刺激ホルモン,リポモジュリン,心房性
ナトリウム利尿ペプチド[アルファーヒューマンアトリ
アルナトリウレティックポリペプチド(α−hANP)等,
成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン,エリスロポ
エチン,ウロガストロン,レニン,パラチリン(PTH)
及びその拮抗物質,コルチコトロピン放出ファクター等
のペプチドホルモン,その先駆物質,その抑制因子もし
くはその誘導体;インターフェロン,インターロイキ
ン,腫瘍壊死因子(TNF),トランスフェリン,ヒスタ
グロブリン,マクロコルチン,血液凝固第VIII因子等の
生理活性蛋白;リゾチーム,ウロキナーゼ等の酵素蛋
白;百日咳ワクチン,ジフテリアワクチン,破傷風ワク
チン,インフルエンザワクチンあるいはリンパ球増多因
子,繊維状赤血球凝集因子等のワクチンもしくはワクチ
ンコンポーネントが挙げられる。これらのなかでも特に
ペプチドホルモンが好ましく、ペプチドホルモンのなか
でも特に、カルシトニン,インシュリン,α−hANP,黄
体形成ホルモン放出ホルモン,コルチコトロピン,デス
モプレシン,バソプレシン,グルカゴン,オキシトシ
ン,PTH又は成長ホルモンが好ましい。更にはカルシトニ
ン,インシュリン,α−hANPが好ましい。
本発明の経鼻投与用組成物にあっては、生理活性ポリ
ペプチド類は粉末状の形態にあるものが好ましく使用さ
れる。
粉末状の形態にないポリペプチド類は、一旦凍結乾燥
してから使用するのが好ましい。
上記ポリペプチド類の使用量は、それぞれのポリペプ
チド類の薬効の強さ等により適宜決定される。
上記ポリペプチド類は、安定化を図るため、あるいは
安定化と共に増量剤として、人血清アルブミン,マンニ
トール,ソルビトール,アミノ酢酸,塩基性以外のアミ
ノ酸,塩化ナトリウム,リン脂質などを併用してもよ
い。
本発明の経鼻投与に有用な粉末状組成物は、基剤とし
て、水吸収性の固型基剤を使用する。水吸収性の固型基
剤としては、水吸収性でかつ水難溶性の性質を有する基
剤,水吸収性でかつ水易溶性の性質を有する基剤が好ま
しく挙げられる。かかる基剤は1種類で、又は2種類以
上を適宜、目的に応じて組み合わせて使用する。
ここで水吸収性でかつ水難溶性とは、ヒトの鼻粘膜上
においてもしくはこれに近い環境下で、すなわちpH約7.
4で温度約36℃〜約37℃の水に対して、水吸収性でかつ
水難溶性の性質を有するという意味である。更に、水吸
収性でかつ水易溶性とは、ヒトの鼻粘膜上においてもし
くはこれに近い環境下で、すなわちpH約7.4で温度約36
℃〜約37℃の水に対して水吸収性でかつ水易溶性の性質
を有するという意味である。
本発明の水吸収性でかつ水難溶性の基剤の好ましい具
体例としては以下のものが挙げられる。
例えば、結晶セルロース,α−セルロース,架橋カル
ボキシメチルセルロースナトリウム等の水吸収性でかつ
水難溶性のセルロース類;ヒドロキシプロピル澱粉,カ
ルボキシメチル澱粉,架橋澱粉,アミロース,アミロペ
クチン,ペクチン等の水吸収性でかつ水難溶性の澱粉
類;ゼラチン,カゼイン,カゼインナトリウム等の水吸
収性でかつ水難溶性の蛋白類;アラビアガム,トラガン
トガム,グルコマンナン等の水吸収性でかつ水難溶性の
ガム類;ポリビニルポリピロリドン,架橋ポリアクリル
酸およびその塩,架橋ポリビニルアルコール,ポリヒド
ロキシエチルメタアクリレート等の水吸収性でかつ水難
溶性の架橋ビニル重合体類等が挙げられる。これらの中
でも水吸収性でかつ水難溶性のセルロース類が好まし
く、特に結晶セルロース,α−セルロース、又は架橋カ
ルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましく、更に
は結晶セルロースが好ましい。
水吸収性でかつ水難溶性の基剤の使用量は、用いるポ
リペプチド類の種類等によって異なり、一概には言えな
いが、通常ポリペプチド類に対して1重量倍以上の範
囲、特に15重量倍以上、更には20重量倍以上の範囲が好
ましい。
本発明の水吸収性でかつ水易溶性の基剤の好ましい具
体例としては以下のものが挙げられる。例えば、ヒドロ
キシプロピルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキ
シエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース,カルボキシメチルセルロースナトリウム等の水吸
収性でかつ水易溶性のセルロース低級アルキルエーテル
類;デキストリン,シクロデキストリン(α−,β−,
γ−又はジメチルα−ないしはジメチルβ−),プルラ
ン等の水吸収性でかつ水易溶性の澱粉類;ポリビニルア
ルコール,ポリビニルピロリドン,カルボキシビニルポ
リマーのナトリウム塩等の水吸収性でかつ水易溶性のビ
ニル重合体類;ポリアクリル酸ナトリウム,ポリアクリ
ル酸カリウム,ポリアクリル酸アンモニウム等の水吸収
性でかつ水易溶性のポリアクリル酸塩類;キチン,キト
サン等の水吸収性でかつ水易溶性の蛋白類;乳糖,マル
トース.ショ糖等の少なくとも二量体以上の分子形態を
有する水吸収性でかつ水易溶性の糖類が挙げられる。こ
れらの水吸収性でかつ水易溶性の基剤の中でも、特に、
ヒドロキシプロピルセルロース,メチルセルロース,ヒ
ドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプリピルメチル
セルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム,
デキストリン,シクロデキストリン(β−,ジメチルβ
−又はジメチルα−),キチン,キトサン,乳糖,ポリ
アクリル酸ナトリウム,ポリエチレングリコール,ポリ
ビニルピロリドンが好ましく、特にヒドロキシプロピル
セルロース,β−シクロデキストリン,ジメチルβ−シ
クロデキストリン,ジメチルα−シクロデキストリン,
乳糖がより好ましく、更にはヒドロキシプロピルセルロ
ース,β−シクロデキストリン,乳糖が好ましい。な
お、基剤としてマンニット等の単糖類を用いた場合に
は、ポリペプチド類の鼻粘膜吸収はあまり促進されず、
少なくとも二量体以上の分子形態を有する、いわゆる高
分子量の担体を基剤とすることが、塩基性アミノ酸及び
/又はその製薬学的に許容し得る塩の経鼻投与における
ポリペプチド類の鼻粘膜促進効果を得る上で重要である
ことが、本発明において初めて確かめられた。
これらの結果は、従来技術、すなわち先に示した特開
昭61-118325号公報からは全く予測不可能であり、本発
明において初めて明らかとなった。
水吸収性でかつ水易溶性の基剤の使用量は、用いるポ
リペプチド類の種類等によって異なり、一概には言えな
いが、通常ポリペプチド類に対して1重量倍以上の範
囲、特に15重量倍以上、更には20重量倍以上の範囲が好
ましい。
本発明の粉末状組成物は、その90重量%以上の粒子が
有効粒子径10〜250ミクロンの間にあるのが好ましい。
かかる範囲の粒子径の粒子とすることによって、鼻腔内
に投与したとき鼻粘膜上に広く分布し、付着局所によっ
て滞留するようになるとともに、更に粉剤として鼻孔を
通して鼻腔内に噴霧されたとき、効率よく鼻腔内に投与
することができる。
有効粒子径10ミクロンより小さな粒子が10重量%より
多い量を占めるものでは、噴霧等の方法によって投与し
た時に、肺まで到達したり、あるいは噴霧した際鼻腔外
へ散逸するものが多くなる。また、付着局所に於ける薬
物濃度が高く維持されにくい。一方、有効粒子径250ミ
クロンを超える粒子が10重量%より多い量を占めるもの
では、鼻腔内へ投与したとき、鼻粘膜上に付着しても粘
膜から離れ易く、薬物の局所滞留性が低くなるため好ま
しくない。特にその90重量%以上の粒子の有効粒子径が
20〜150ミクロンの間にあるものが好ましい。
本発明の粉末状組成物は、例えば次のようにして製造
することができる。
即ち、生理活性を有するポリペプチド類,塩基性アミ
ノ酸及び/又はその製薬学的に許容し得る塩、及び水吸
収性の固型基剤を機械的に混合し、次いで篩過して、好
ましくは90重量%以上の粒子が有効粒子径10〜250ミク
ロンからなる組成物を得ることにより製造することが出
来る。
あるいはまた、生理活性を有するポリペプチド類,塩
基性アミノ酸及び/又はその製薬学的に許容し得る塩
を、適量の精製水に均一に溶解又は懸濁した後、これ
に、鼻粘膜に適用するに適した水吸収性の固型基剤すな
わち水吸収性でかつ水難溶性の基剤及び/又は水吸収性
でかつ水易溶性の基剤を添加し、基剤中及び/又は基剤
表面にポリペプチド類と塩基性アミノ酸及び/又はその
製薬学的に許容し得る塩とを均一に含有及び/又は吸着
させてから、あるいはポリペプチド類及び塩基性アミノ
酸及び/又はその製薬学的に許容し得る塩とともに、水
吸収性の固型基剤を適量の精製水に均一に溶解,懸濁又
は練合してから凍結し、次いでその凍結組成物を凍結乾
燥してから通常の方法によって粉砕し、さらに篩過する
ことによって、あるいは粉砕してから更に所望の水吸収
性の固型基剤と均一に混合することによって、好ましく
はその90重量%以上の粒子が有効粒子径10〜250ミクロ
ンからなる組成物を得ることによって製造することがで
きる。
あるいは、ポリペプチド類と塩基性アミノ酸及び/又
はその製薬学的に許容し得る塩とを水吸収性の固型基
剤、すなわち水吸収性でかつ水難溶性の基剤又は水吸収
性でかつ水易溶性の基剤とともに機械的に混合し、次い
で得られた混合物を加圧して圧縮し、得られた圧縮物を
粉砕し、篩過して、好ましくは90重量%以上の粒子が有
効粒子径10〜250ミクロンからなる組成物を得ることに
よって製造される。あるいはポリペプチド類と塩基性ア
ミノ酸及び/又はその製薬学的に許容し得る塩及び水吸
収性の固型基剤、すなわち水吸収性でかつ水難溶性の基
剤又は水吸収性でかつ水易溶性の基剤を適量の精製水に
加えて均一に溶解,懸濁してからあるいはよく練合して
から通常の方法によって乾燥して、次いで篩過して得る
こともできる。
本発明の粉末状組成物は、製剤としての物性,外観あ
るいは臭いを改良する等のため、必要に応じ、公知の滑
沢剤,着色剤,保存剤,防腐剤,矯臭剤等を添加しても
良い。滑沢剤としては例えばタルク,ステアリン酸およ
びその塩等、着色剤としては例えば銅クロロフィル,β
−カロチン,赤色2号,青色1号等;保存剤としては例
えば、ステアリン酸,アスコルビン酸ステアレート等;
防腐剤としては例えば塩化ベンザルコニウム等の第4級
アンモニウム化合物類,パラオキシ安息香酸エステル
類,フェノール,クロロブタノール等;矯臭剤としては
例えばメントール,カンキツ香料等が挙げられる。
本発明の組成物は、そのまま単位投与形態の粉剤とす
ることができる。
かかる粉剤は、投与のための好ましい形態として、カ
プセル例えばハードゼラチンカプセルに充填することが
できる。
粉剤を鼻腔内に噴霧投与する方法としては、例えば、
粉剤を充填したカプセルを、針を備えた専用のスプレー
器具にセットして針を貫通させ、それによりカプセルの
上下に微小な孔をあけ、次いで空気をゴム球等で送りこ
んで粉剤を噴出させる方法などがある。
〈実施例〉 以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
実施例1 (I) 本発明の経鼻投与に有用な粉末状組成物を次の
ようにして得た。
〈a〉 サケカルシトニン(4,000MRC単位/mg)0.1mgと
塩酸アルギニン29.8mgを試験管に取り、精製水250μl
を加えて均一に溶解してから、これに微結晶セルロース
500mgを添加し、よくまぶしてから凍結乾燥することに
よって均一な組成物を得た。次いで、この組成物を篩過
することによって、90重量%以上の粒子が46〜149ミク
ロンの粒径を有する均一な粉末状組成物を得た。この様
にして得られた粉末状組成物は、1mg中に0.0562mgの塩
酸アルギニンと0.755MRC単位のサケカルシトニンを含有
する。
〈b〉 ヒドロキシプロピルセルロース460mgと塩酸ア
ルギニン70mgとを乳鉢中に取り、更にこの中にサケカル
シトニン(4,000MRC単位/mg)0.1mgを加えてからよく混
合することによって、90重量%以上の粒子が46〜149ミ
クロンの粒子径を有する均一な粉末状組成物を得た。こ
の様にして得られた粉末状組成物は、1mg中に0.132mgの
塩酸アルギニンと0.755MRC単位のサケカルシトニンを含
有する。
〈c〉 サケカルシトニン(4,000MRC単位/mg)0.06mg
と塩酸アルギニン40mgとを精製水150μlに均一に溶解
してから、乳糖280mgを添加してよくまぶした(この
時、一部の乳糖は溶解している)。次いで、これを凍結
乾燥することによって、均一な組成物を得た。この組成
物を篩過することによって、90重量%以上の粒子が46〜
149ミクロンの粒子径を有する均一な粉末状組成物を得
た。
この様にして得られた粉末組成物は、1mg中に0.125mg
の塩酸アルギニンと、0.750MRC単位のサケカルシトニン
を含有する。
〈d〉 〈a〉,〈b〉,〈c〉に示したサケカルシト
ニンを含有する粉末状組成物を、所定のカプセルに10〜
50mg充填することによって、ヒト経鼻投与用サケカルシ
トニン製剤を得た。
(II) 本発明の組成物と比較するため、以下に示す塩
酸アルギニンを含有しない比較組成物を得た。
〈a′〉 サケカルシトニン(4,000MRC単位/mg)0.1mg
を試験管に取り、精製水250μlを加えて均一に溶解し
てから、これに微結晶セルロース500mgを添加し、よく
まぶしてから凍結乾燥することによって均一な組成物を
得た。次いで、この組成物を篩過することによって90重
量%以上の粒子が46〜149ミクロンの粒径を有する均一
な粉末状組成物を得た。この様にして得られた粉末状組
成物は、0.800MRC単位のサケカルシトニンを含有する。
〈b′〉 ヒドロキシプロピルセルロース500mgとサケ
カルシトニン(4,000MRC単位/mg)0.1mgとを乳鉢に取
り、よく混合することによって均一な粉末状組成物を得
た。このようにして得られた粉末状組成物は、0.800MRC
単位のサケカルシトニンを含有する。
〈c′〉 サケカルシトニン(4,000MRC単位/mg)0.06m
gを精製水150μlに均一に溶解してから、乳糖300mgを
添加してよくまぶした(この時、一部の乳糖は溶解して
いる)。次いでこれを凍結乾燥することによって、均一
な組成物を得た。この組成物を篩過することによって、
90重量%以上の粒子が46〜149ミクロンの粒子径を有す
る均一な粉末状組成物を得た。この様にして得られた粉
末組成物は0.800MRC単位/mgのサケカルシトニンを含有
する。
実施例2(家兎における粉末状サケカルシトニン製剤の
経鼻投与実験) 白色在来種雄性家兎(体重2.5〜3.5Kg)の鼻腔内に、
実施例1の〈a〉,〈b〉,〈c〉,〈a′〉,
〈b′〉,〈c′〉で作成したサケカルシトニン製剤を
それぞれ1.4MRC単位/Kg投与し、投与前及び投与後30分,
1時間,2時間,4時間,6時間目に家兎の耳静脈より採血し
た。採血後の血液を遠心分離器による2,800r.p.m.,10分
間の遠心分離により血漿とした。なお粉剤の投与は、動
物用に改良した噴霧器を使用して無麻酔の状態で行っ
た。具体的には以下の如くにして行った。即ちまず実施
例1で作成した6種類のサケカルシトニン製剤を所定の
カプセルに1.4MRC単位/Kgの投与量となる様に充填す
る。次いで、このカプセルを噴霧器に入れ、動物用に改
良した吹き口を装着する。更にキャップをかぶせること
によって、キャップの内側についている針でカプセルに
穴を開け、直ちに吹き口を家兎鼻腔内に挿入し、空気圧
での噴霧により、鼻腔内投与を実施した。投与前及び投
与後の血漿中カルシウム濃度を測定し、サケカルシトニ
ンの鼻粘膜からの吸収性を調べた。血漿中カルシウムの
測定は、ヤトロン社製カルシウム測定キットを用いて行
った。第1図,第2図及び第3図に血漿中カルシウムの
変化を血漿カルシウム降下率(%)で示した。それぞれ
の図に示した値はいずれも4〜5羽の家兎の平均値±標
準誤差である。なお比較のため、0.16%のゼラチンと0.
7%の塩化ナトリウムを含んでなる17.5mMのクエン酸緩
衝液(pH約6)に溶解したサケカルシトニン水溶液1.4M
RC単位/50μl/Kgを、静脈内注射した時の血漿中カルシ
ウムの変化もそれぞれの図に破線で示した。
第1図は基剤として微結晶セルロースを用いた場合で
あり、(1)は本発明の塩酸アルギニンを添加した製剤
(実施例1の〈a〉)を、(2)は塩酸アルギニンを全
く使用しない製剤(実施例1の〈a′〉)を投与した場
合を示している。
第2図は基剤としてヒドロキシプロピルセルロースを
用いた場合であり、(1)は塩酸アルギニンを添加した
製剤(実施例1の〈b〉)を、(2)は塩酸アルギニン
をまったく使用しない製剤(実施例1の〈b′〉)を投
与した場合を示している。
第3図は基剤として乳糖を用いた場合であり、(1)
は塩酸アルギニンを添加した製剤(実施例1の〈c〉)
を、(2)は塩酸アルギニンをまったく使用しない製剤
(実施例1の〈c′〉)を投与した場合を示している。
第1図,第2図及び第3図より明らかな如く、塩酸ア
ルギニンを添加した本発明の粉末状組成物は、サケカル
シトニンの吸収が優れ、いずれも静脈内注射の約40〜70
%の良好な生理活性が得られることを示した。
実施例3 (I) ブタインシュリン100mgを0.1N−塩酸2.5mlに溶
かしてから水37.5mlを加え、次いで、0.1N−水酸化ナト
リウム水溶液約3.2mlを加えてpH7.4に調節してから凍結
乾燥することにより水可溶性のインシュリン粉末(23.5
単位/mg)を得た。このインシュリン粉末を用いて以下
に示す本発明の組成物を得た。
〈a〉 水可溶性インシュリン粉末(23.5単位/mg)10m
gと塩酸リジン50mgとを乳鉢中に取り、更にこれを微結
晶セルロース290mgを加え、三成分をよく混合すること
によって均一な粉末状組成物を得た。このようにして得
られた粉末状組成物は、1mg中に0.143mgの塩酸リジンと
0.67単位のインシュリンを含有する。
(II) 上記インシュリン粉末を用いて、本発明の組成
物と比較するため以下の比較組成物を得た。
〈b〉 水可溶性インシュリン粉末(23.5単位/mg)10m
gと微結晶セルロース340mgとを乳鉢中に取り、よく混合
することによって均一な粉末状組成物を得た。このよう
にして得られた粉末状組成物は、1mg中に0.67単位のイ
ンシュリンを含有する。
〈c〉 水可溶性インシュリン粉末(23.5単位/mg)7.1
mgと塩酸リジン40.14mgとを、等張化リン酸緩衝液(pH
7.4)2.07mlに溶解することによって、最終濃度80.6単
位/mlインシュリン、2%(W/V)塩酸リジンとなる溶液
状組成物を得た。
実施例4(家兎におけるインシュリン製剤の経鼻投与実
験) 白色在来種雄性家兎(体重2.5〜3.5Kg)の鼻腔内に、
実施例3の〈a〉及び〈b〉で作成した粉末状インシュ
リン製剤をそれぞれ1.21単位/Kg投与し、投与前及び投
与後15分,30分,1時間,2時間,4時間,6時間目に採血し
た。粉剤の投与は実施例2と同様にして行った。投与前
及び投与後の血漿中グルコース濃度を測定し、インシュ
リンの鼻粘膜からの吸収性を調べた。血漿中グルコース
濃度はオルトトルインジンを用いた方法により測定した
(クリニカル・ケミストリー(Clinical Chemistry)8,
215(1962))。結果は血糖降下率(%)で第4図に示
した。
第4図に示した値は5羽の家兎の平均値である。なお
比較のため、実施例3の〈c〉で作成したインシュリン
液剤を、経鼻投与用のチップを先端に装着させたマイク
ロシリンジで、1.21単位/15μl/Kg経鼻投与した時の結
果も第4図に破線で示した。
第4図の〈a〉に示した如く、本発明の塩酸リジンを
添加した粉剤投与後の血糖降下率の方が〈b〉で示され
る比較例で作成した粉剤投与の場合よりも、大であっ
た。なお粉剤投与の場合は、投与時間後まで血糖降下作
用が認められた。
一方、破線で示した如く、比較例で作成した塩酸リジ
ンを添加した液剤の投与の場合、投与30分後に最大血糖
降下率を示し、その値は本発明の粉剤投与の場合とほぼ
同等であったが、投与後2時間ではほぼ基礎値のレベル
にまで戻った。以上の事実は、本発明の粉剤の投与によ
って鼻粘膜から特に効率よくインシュリンが吸収される
とともに、その吸収が効率よく持続されることを示して
いる。
実施例5 本発明の経鼻投与に有用な粉末状組成物を次のように
して得た。
(1) α−hANP0.5mgと塩酸ヒスチジン29.8mgとを精
製水250μlに均一に溶解してから、これに微結晶セル
ロース500mgを添加してよくまぶした。次いで、これを
凍結乾燥することによって、均一な組成物を得た。この
組成物を篩過することによって、90重量%以上の粒子が
46〜149ミクロンの粒子径を有する均一粉末状組成物を
得た。このようにして得られた組成物は、1mg中に0.943
μgのα−hANPと56μgの塩酸ヒスチジンを含有する。
(2) ヒドロキシプロピルセルロース500mgとアルギ
ニン29.8mgとを乳鉢中に取り、さらにこの中に、α−hA
NP0.5mgを加えてからよく混合することによって、90重
量%以上の粒子が46〜149ミクロンの粒子径を有する均
一粉末状組成物を得た。このようにして得られた粉末状
組成物は、1mg中に0.943μgのα−hANPと56μgのアル
ギニンを含有する。
(3) ヒドロキシプロピルセルロース500mgの代わり
に乳糖500mgを用いる以外は(2)とまったく同様にし
て、1mg中に0.943μgのα−hANPと56μgのアルギニン
を含有する均一な粉末状組成物を得た。
(4) (1),(2)及び(3)に示した塩酸ヒスチ
ジンあるいはアルギニンとα−hANPとを含有する粉末状
組成物を所定のカプセルに充填することによって、ヒト
経鼻投与用の製剤を得た。
実施例6 β−シクロデキストリン500mgを乳鉢中に取り、これ
に塩酸アルギニン30mgと凍結乾燥したバソプレシン(70
〜100単位/mg)10mgとを加え、よく混合することによっ
て均一な粉末状組成物を得た。このようにして得られた
粉末状組成物は、1mg中に0.056mgの塩酸アルギニンと1.
30〜1.85単位のバソプレシンを含有する。
得られた粉末状組成物を所定のカプセルに充填するこ
とによって、ヒト経鼻投与用の製剤を得た。
実施例7 ジメチル−β−シクロデキストリン930mgを乳鉢中に
取り、これに塩酸リジン60mgと凍結乾燥した黄体形成ホ
ルモン放出ホルモン10mgとを加え、よく混合することに
よって均一な粉末状組成物を得た。このようにして得ら
れた粉末状組成物は、1mg中に0.06mgの塩酸リジンと0.0
1mgの黄体形成ホルモン放出ホルモンを含有し、これを
所定のカプセルに充填することによって、ヒト経鼻投与
用の製剤を得た。
実施例8 ジメチル−β−シクロデキストリン939mgを乳鉢中に
取り、これにアルギニン60mgと凍結乾燥した酢酸デスモ
プレシン1mgとを加え、よく混合することによって均一
な粉末状組成物を得た。このようにして得られた粉末状
組成物は、1mg中に0.06mgのアルギニンと0.001mgの酢酸
デスモプレシンを含有し、これを所定のカプセルに充填
することによって、ヒト経鼻投与用の製剤を得た。
実施例9 本発明の経鼻投与に有用な粉末状組成物を以下のよう
にして得た。
(1) 微結晶セルロース900mgを乳鉢中に取り、これ
に塩酸アルギニン50mgと人血清アルブミンを加えて凍結
乾燥したインターフェロン(10万単位/mg)50mgとを加
え、よく混合することによって均一な粉末状組成物を得
た。このようにして得られた粉末状組成物は、1mg中に
0.05mgの塩酸アルギニンと5000単位のインターフェロン
を含有する。
(2) 微結晶セルロース900mgの代わりにヒドロキシ
プロピルセルロース900mgを用いる以外は(1)とまっ
たく同様にして、1mg中に0.05mgの塩酸アルギニンと500
0単位のインターフェロンを含有する均一な粉末状組成
物を得た。
(3) 微結晶セルロース900mgの代わりに乳糖900mgを
用いる以外は(1)とまったく同様にして1mg中に0.05m
gの塩酸アルギニンと5000単位のインターフェロンを含
有する均一な粉末状組成物を得た。
(4) (1),(2)及び(3)に示した塩酸アルギ
ニンとインターフェロンとを含有する粉末状組成物を所
定のカプセルに充填することによって、ヒト経鼻投与用
の製剤を得た。
実施例10 ヒドロキシプロピルセルロース939mgを乳鉢中に取
り、これに塩酸アルギニン60mgとPTH1mgを加え、よく混
合することによって均一な粉末状組成物を得た。このよ
うにして得られた粉末状組成物は、1mg中に0.06mgの塩
酸アルギニンと0.001mgのPTHを含有し、これを所定のカ
プセルに充填することによって、ヒト経鼻投与用の製剤
を得た。
実施例11 百日咳菌のコンポーネントである赤血球凝集素1mg,無
毒化した百日咳毒素1mg、及び塩酸ヒスチジン38mgとヒ
ドロキシプロピルセルロース960mgとを乳鉢中に取り、
よく混合することによって、均一な粉末状組成物を得
た。このようにして得られた粉末状組成物は、1mg中に
0.038mgの塩酸ヒスチジンと0.002mgの百日咳菌のコンポ
ーネントを含有し、これを所定のカプセルに充填するこ
とによって、ヒト経鼻投与用の製剤を得た。
実施例12〜18,比較例1〜5 〈実施例12〜18〉 本発明の経鼻投与に有用な粉末状組成物を、実施例1
の〈a〉とまったく同様にして、粉末状組成物1mg中
に、0.755MRC単位のサケカルシトニンと第1表に示す各
種塩基性アミノ酸0.0562mgとを含む、微結晶セルロース
を基剤とする粉末状組成物を作成した(実施例12〜1
8)。
〈比較例1〜5〉 また、比較製剤として、第1表に示す3種類の中性あ
るいは酸性アミノ酸を含む粉末状組成物を、実施例1の
〈a〉とまったく同様にして作成した(比較例1〜
3)。更に比較のため、微結晶セルロースの代りに、単
糖類であるマンニトールを基剤とし、アミノ酸としてア
ルギニンを用いた粉末状組成物も、まったく同様にして
作成した(比較例4)。
また、粉末状組成物との比較のため、サケカルシトニ
ン(4000MRC単位/mg)23.3μg,クエン酸水和物12.2mg,
クエン酸ナトリウム12.4mg,及び塩酸アルギニン20mgと
を適量の精製水に溶解し、IN−塩酸又はIN−水酸化ナト
リウム水溶液を用いて最終用量1ml,pH4.0とした経鼻投
与用液剤を作成した。このようにして得られた液剤は、
その15μl中に1.4MRC単位のサケカルシトニンと0.3mg
の塩酸アルギニンを含有する(比較例5)。
〈対照例〉 なお、対照例としては、実施例1の〈a〉とまったく
同様にして、粉末状組成物1mg中に、0.755MRC単位のサ
ケカルシトニンを含む、微結晶セルロースを基剤とする
粉末状組成物を作成した(対照例)。
比較投与実験は白色在来種雄性家兎(体重3〜3.8K
g)を用いて実施例2とまったく同様の方法で行った。
投与量が1.4MRC単位/Kgの時の結果を第2表に血漿カル
シウム降下率で示した。第2表に示した投与後2時間の
血漿カルシウム降下率(%)、及び投与後4時間目まで
の総血漿カルシウム降下率(%・hr)の比較から明らか
なように、塩基性アミノ酸及び/又はその製薬学的に許
容し得る塩を用いた本発明の粉剤の方(実施例12〜18)
が、対照例、及び比較用に作成した中性アミノ酸,酸性
アミノ酸又はそのナトリウム塩を用いた粉剤(比較例1
〜3)よりも、更には比較液剤(比較例5)よりも、又
マンニトールを基剤とした比較製剤(比較例4)よりも
サケカルシトニンの吸収効率が高いことがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図及び第3図は、ポリペプチド類としてサ
ケカルシトニンを用いた本発明の組成物を経鼻投与した
時の、サケカルシトニンの吸収を血漿カルシウム降下率
(%)で示したものである。 第4図は、インシュリンを用いた本発明の組成物を経鼻
投与した時のインシュリンの吸収を、血糖降下率(%)
で示したものである。 第1図,第2図及び第3図において、(1)は本発明の
吸収促進剤を含む場合を、(2)はそれを含まない場合
を示す。波線は経鼻投与におけるカルシトニン投与量と
同じ投与量を静脈内投与した場合を示す。 第4図において〈a〉は本発明の吸収促進剤を含む場合
を、〈b〉はそれを含まない場合を示し、また、波線は
吸収促進剤を含む液剤を、粉剤と同一投与量経鼻投与し
た場合を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/27 A61K 37/30 38/28 37/34 47/18 37/36 47/22 37/43 47/38 9/14 L U (56)参考文献 特開 昭61−118325(JP,A) 特開 昭59−163313(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) カルシトニン、インシュリン、ア
    ルファーヒューマンアトリアルナトリウレティックポリ
    ペプチド(α−hANP)、黄体形成ホルモン放出ホルモ
    ン、デスモプレシン、成長ホルモン、パラチリン(PT
    H)、バソプレシン、及びオキシトシンから選ばれる生
    理活性を有するポリペプチド類 (b) 吸収促進剤としてのアルギニン、ヒスチジン及
    びリジンから選ばれる塩基性アミノ酸及び/又はその製
    薬学的に許容し得る塩および (c) 結晶セルロース及びα−セルロースから選
    ばれる水吸収性でかつ水難溶性のセルロース類、及び ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチル
    セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メ
    チルセルロース及びカルボキシメチルセルロースから選
    ばれる水吸収性でかつ水易溶性のセルロース低級アルキ
    ルエーテル類 から選ばれる鼻粘膜に適用するのに適した水吸収性の固
    型基剤 とからなる経鼻投与用粉末状組成物。
  2. 【請求項2】塩基性アミノ酸の製薬学的に許容し得る塩
    が塩酸塩である特許請求の範囲第1項記載の組成物。
  3. 【請求項3】塩基性アミノ酸及び/又はその製薬学的に
    許容し得る塩が総重量の0.1〜30重量%の濃度で存在す
    る特許請求の範囲第1項又は2項記載の組成物。
  4. 【請求項4】水吸収性の固型基剤が、結晶セルロース又
    はヒドロキシプロピルセルロースである特許請求の範囲
    第1項記載の組成物。
  5. 【請求項5】水吸収性の固型基剤を、1種類で又は2種
    類以上を適宜組み合わせて用いる特許請求の範囲第1項
    記載の組成物。
  6. 【請求項6】生理活性を有するポリペプチド類が、カル
    シトニン又はインシュリンである特許請求の範囲第1項
    記載の組成物。
  7. 【請求項7】粉末状組成物の90重量%以上の粒子が有効
    粒子径10〜250ミクロンの間にある特許請求の範囲第1
    項記載の組成物。
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