JP2956523B2 - 高珪素鋼材の製造方法 - Google Patents

高珪素鋼材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体浸珪処理法による
高珪素鋼材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Si含有量が4wt%以上の高珪素鋼帯
を工業的に製造する方法として、特開昭62−2270
78号等に示される気体浸珪処理法が知られている。こ
の製造方法は、Si:4wt%未満の薄鋼帯をSiCl
4と高温で反応させることによりSiを浸透させ、浸透
したSiを板厚方向に拡散させることにより高珪素鋼帯
を得る方法であり、例えば、特開昭62−227078
号や特開昭62−26324号等では、鋼帯をSiCl
4が5〜35wt%含まれる無酸化性雰囲気中において
1023℃〜1200℃の温度で連続的に浸珪処理し、
コイル状の高珪素鋼帯を得ている。
【0003】従来の気体浸珪処理ではSi供給用の原料
ガスとしてSiCl4が使用されており、通常、キャリ
アガス(N2、不活性ガス等)とSiCl4とを混合した
高温の処理ガスを、スリットノズル等から高温に加熱さ
れた鋼帯に吹き付けることにより浸珪処理を行ってい
る。図4は高珪素鋼帯を連続的に製造するための連続浸
珪処理ラインを示している。この連続浸珪処理ラインは
入側から加熱炉、浸珪処理炉、均熱炉および冷却帯を備
え、鋼帯を加熱炉において処理温度まで連続的に加熱し
た後、浸珪処理炉でSiCl4と反応させることにより
Siを浸透させ、次いで、均熱炉においてSiを板厚方
向に拡散させるための熱処理を連続的に施した後、冷却
帯で冷却することでコイル状の高珪素鋼帯が製造され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような連続浸珪処
理ラインで高珪素鋼帯を製造する場合、SiCl4と鋼
帯とを反応させるためには1050℃以上の高温状態が
必要であるため、浸珪処理炉内の耐火物の損傷が激しい
という問題がある。また、このような高温状態では鋼帯
の機械的強度も低下するため、鋼帯の形状不良が生じ易
い等の問題もある。さらに、鋼帯のFeとSiCl4
の反応によって大量のFeCl2(副生成ガス)が生成
し、このFeCl2の生成によって相当程度の鋼帯重量
が失われるため材料の歩留りが悪く、また、大量に生成
するFeCl2の処理のために大型の処理設備が必要で
あるという問題もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明者らが検討を重ねた結果、原料ガスとし
てSiCl2を含む処理ガスを用いて鋼材の浸珪処理を
行うことにより、従来のように原料ガスとしてSiCl
4のみを用いて浸珪処理を行う場合に較べて反応温度
(処理温度)を低下させることができるとともに、反応
速度(浸珪速度)を高めることができ、しかもFeCl
2の発生量も低減できることが判った。また、原料ガス
としてSiCl2を含む処理ガスで鋼材の浸珪処理を行
うには、予めSiCl4を金属Siと高温で反応させる
ことによりSiCl2を生成させ、このSiCl2を含む
処理ガスを鋼材と反応させることが最も容易であること
が判った。
【0006】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 (1) Si:4wt%未満を含有する鋼材を気体浸珪処理
することにより高珪素鋼材を製造する方法において、S
iCl2を含有する処理ガスを鋼材と800〜1200
℃の温度範囲で反応させることにより、鋼材にSiを浸
透させることを特徴とする高珪素鋼材の製造方法。 (2) 上記(1)の方法において、SiCl4を予め金属Si
と800〜1300℃の温度範囲で反応させることによ
りSiCl2を生成させ、このSiCl2を含む処理ガス
を鋼材と反応させることを特徴とする高珪素鋼材の製造
方法。
【0007】上記(2)の製造方法としては、処理ガス
(キャリアガス+原料ガス)を金属Siと接触させ、処
理ガス中のSiCl4の少なくとも一部を金属Siと反
応させることによりSiCl2を生成させる方法と、S
iCl4ガス単味を金属Siと接触させ、その少なくと
も一部を金属Siと反応させることによりSiCl2
生成させ、しかる後、このSiCl2を含む原料ガスを
キャリアガスまたは系内を循環する処理ガスと混合する
方法とがある。
【0008】
【作用】以下、本発明の詳細を説明する。従来の浸珪処
理による高珪素鋼材の製造方法では原料ガスとしてSi
Cl4を使用し、SiCl4と低珪素鋼材を高温で反応さ
せ、Siを鋼材内に浸透させることにより高珪素鋼材を
製造しており、SiCl4と鋼材との反応は下記(1)式で
表わされる。 SiCl4+5Fe→Fe3Si+2FeCl2 …(1)
【0009】この反応における800〜1200℃(反
応温度)でのギブスの自由エネルギーΔGと平衡定数K
を表1に示す。図1は、これらから各反応温度でのSi
Cl4の反応率を計算した結果(キャリアガス:N2、処
理ガス中のSiCl4濃度:10〜100vol%)を
示し、また、図2は板厚0.32mmの鋼帯を浸珪処理
(キャリアガス:N2、処理ガス中のSiCl4濃度:2
5vol%、処理ガス流量:2L/min)した際の反
応温度と浸珪速度との関係を実験的に調べた結果を示し
ている。
【0010】これらの結果から、原料ガスとしてSiC
4を用いた場合には、実用上満足できる浸珪速度を得
るためには1050℃以上の反応温度が必要であるこ
と、また、1050℃以上の温度域であっても比較的低
温域にあっては浸珪速度が小さいことが判る。また、上
記反応式に従うとFeCl2の発生量はSiCl4:1モ
ル当たり2モルであり、したがって3%Si鋼板から
6.5%Si鋼板を1000kg製造するのに290k
gものFeCl2が発生することになる。このため浸珪
処理による鋼帯の重量減少も9%近くに達し、歩留りが
極めて悪い。
【0011】そこで、本発明者らは図3に示すような実
験装置を用い、SiCl4濃度が25vol%の処理ガ
ス(キャリアガス:N2)を反応炉1に供給して、Si
Cl4(実際はSiCl4の一部)を予め金属Siと高温
で反応させた後、その処理ガスを浸珪炉2内に導き、板
厚0.3mmの3%Si鋼板と2分間反応させる実験を
行った。また、比較のためにSiCl4を金属Siと反
応させることなく浸珪炉2内に導き、浸珪処理を行う実
験を行った。これらの実験は金属Siの温度(SiCl
4と金属Siとの反応温度)と鋼板温度(浸珪処理温
度)を種々変えて実施し、鋼板の浸珪処理後はそのまま
浸珪炉内で拡散均熱処理を施し、処理後における鋼板中
へのSi添加量(=Siを板厚方向で均一に拡散させた
場合のSi増加量)を調べた。その結果を処理条件とと
もに表2に示す。
【0012】表2によれば、同じ鋼板温度(浸珪処理温
度)であれば予めSiCl4を金属Siと反応させた処
理ガスを用いたもの(No.5〜No.24)の方が、SiC
4を金属Siと反応させることなくそのまま鋼板と反
応させたもの(No.1〜No.4)に較べてSi添加量が増
加していることが判る。この傾向は、特に金属Si温
度、つまりSiCl4と金属Siとの反応温度が100
0℃以上の場合において顕著である。これは、SiCl
4とSi金属との反応温度が高い程、SiCl2生成率が
高くなり、処理ガス中のSiCl2濃度が高まるからで
ある。
【0013】一方、同じSi添加量で較べた場合には、
予めSiCl4を金属Siと反応させた処理ガスを用い
たものの方が、SiCl4を金属Siと反応させること
なくそのまま鋼板と反応させたものに較べ、鋼板温度
(浸珪処理温度)を下げることができることが判る。予
めSiCl4を金属Siと反応させ、しかる後鋼板と反
応させる場合の反応式を以下に示す。 SiCl4+Si→2SiCl2 …(2) SiCl2+4Fe→Fe3Si+FeCl2 …(3)
【0014】この反応では、(2)式に従ってSiCl4
金属Siと反応してSiCl2が生成する。このSiC
2は非常に活性であるため、浸珪処理部に導入されて
鋼板と接すると直ぐに反応し、(3)式に従って鋼板にS
iが浸透する。この(3)式の反応における各反応温度毎
(800〜1200℃)のギブスの自由エネルギーΔG
と平衡定数Kを表3に示す。ギブスの自由エネルギーΔ
Gは、その値が負であれば反応が進むことを示してお
り、SiCl4と鋼板との上記(1)式の反応に比べ、低温
側から非常に反応性が良いことが判る。
【0015】また、上記(2)式および(3)式はSiが金属
Siからガスを介して鋼板に運ばれるような反応であ
り、浸珪反応では1モルのSi原子が浸透する際に1モ
ルのFeCl2が生成する。したがって、従来法のよう
にSiCl4を直接鋼板と反応させる場合には1モルの
Si原子が浸透する際に2モルのFeCl2が発生する
のに対し、原料ガスとしてSiCl2のみを含む処理ガ
スを用いた場合にはFeCl2の発生を1/2に抑える
ことができる。
【0016】表4は、図3の実験装置を用いて板厚0.
3mmの3%Si鋼板を浸珪処理して6.5%Si鋼板
を製造するに当たり、1200℃でSiCl4(処理
ガス中のSiCl4濃度:25vol%)を直接鋼板と
反応させて浸珪処理した場合と、予め1200℃でS
iCl4(処理ガス中のSiCl4濃度:25vol%)
と金属Siとを1分間反応させてSiCl2を生成さ
せ、この反応後のガスを1200℃で鋼板と反応させて
浸珪処理した場合について、それぞれのFeCl2の発
生量を示したものである。
【0017】これによれば、の方法ではの方法に較
べてFeCl2の発生量が約24%減少している。ここ
で、FeCl2の発生量がの方法の場合の50%まで
減少していないのは、の方法では、供給したSiCl
4の総てが金属Siと反応してSiCl2に変化している
訳ではなく、したがって、SiCl4とSiCl2の混合
ガスが鋼板と反応して、上記(1)式と(3)式の反応が同時
に起こっているためであり、混合ガス中のSiCl2
のみがFeCl2の減少に寄与しているためであると考
えられる。
【0018】本発明においては、処理ガス中にSiCl
2を含ませるための方法は任意であるが、実操業の面か
ら最も簡便にSiCl2を得、且つこれを鋼材と速やか
に反応させる方法は、上述したようなSiCl4を金属
Siと反応させてSiCl2を生成させ、これを鋼材と
反応させる方法であり、このような方法を実施する場
合、供給されたSiCl4の一部が金属Siと反応して
SiCl2が生成されるため、原料ガスは実質的にSi
Cl2とSiCl4との混合ガスとなる。
【0019】SiCl4を金属Siと反応させてSiC
2を得る場合、処理ガス(キャリアガス+原料ガス)
を金属Siと接触させ、処理ガス中のSiCl4の少な
くとも一部を金属Siと反応させることによりSiCl
2を生成させる方法と、SiCl4ガス単味を金属Siと
接触させ、その少なくとも一部を金属Siと反応させる
ことによりSiCl2を生成させ、しかる後、このSi
Cl2を含む原料ガスをキャリアガスまたは系内を循環
する処理ガスと混合する方法とがあり、これらのいずれ
の方法を採ることもでき、また、両者を併用することも
できる。
【0020】また、SiCl4を金属Siと反応させる
方法としては、図3に示すような特別な反応炉を設ける
方法に限定されるものではなく、例えば、後述する実施
例に示されるように、浸珪処理炉内に配置される処理ガ
スの供給ノズル内に粒状の金属Siを充填し、供給ノズ
ルにSiCl4を含む処理ガスを供給して、ノズル内で
SiCl4の一部と金属Siとを反応させることにより
SiCl2を生成させ、このSiCl2を残余のSiCl
4とともにノズルから鋼材に吹き付ける方法等、適宜な
方法を採ることができる。
【0021】SiCl2を得るためにSiCl4を金属S
iと反応させる場合、SiCl2の生成率を高めるため
にはSiCl4と金属Siとの反応温度がなるべく高い
方が好ましく、表2に示されるように反応温度は800
℃以上、好ましくは1000℃以上とすることが望まし
い。一方、反応温度が1300℃を超えると、設備の耐
熱性や耐久性及びコストの面で問題を生じる。また、浸
珪反応で生じるFe3Siの融点が1250℃であるた
め、金属Siと反応した後の高温ガスが浸珪処理部で鋼
板を加熱してしまうと鋼板自体が溶融する可能性があ
る。このような観点から、SiCl4と金属Siとの反
応温度は1300℃以下とすることが望ましい。
【0022】処理ガス中に含まれるSiCl2濃度は特
に限定しないが、浸珪処理温度を下げ或いは浸珪速度を
高めるためにはある程度の濃度(例えば、0.5vol
%以上)とすることが好ましい。但し、SiCl2はS
iCl4に較べて活性が高いため、比較的低い濃度でも
所望の効果が得られる。SiCl4を金属Siと反応さ
せてSiCl2を生成させる上記の方式においては、処
理ガス中のSiCl2濃度を正確に測定することは現実
には難しいが、経験的に、処理ガス中の濃度が1〜35
vol%のSiCl4を金属Siと800〜1300
℃、好ましくは1000〜1300℃で反応させること
により、処理ガス中における所望のSiCl2濃度を確
保することができる。
【0023】上述したように本発明では、原料ガスとし
てSiCl2を用いることにより従来法に較べて浸珪処
理温度を下げることができるが、本発明においても浸珪
処理温度が800℃未満では浸珪速度が低下し、実操業
上の実施が困難となる。一方、浸珪処理温度が1200
℃を超えると鋼板が溶融するという問題を生じる。この
ため浸珪処理温度は800〜1200℃とする。また、
本発明は図4に示すような連続ラインによる高珪素鋼帯
の製造に限らず、あらゆる形状、態様の高珪素鋼材の製
造に適用することができるが、特に連続ラインにおいて
高珪素鋼帯を製造する場合には、SiCl4の少なくと
も一部を金属Siと反応させてSiCl2を生成させ、
このSiCl2を鋼帯と反応させる上述した方法が、S
iCl2を連続的に定量供給できるという面で有利であ
る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕図4に示す連続浸珪処理ラインにおいて、
板厚0.3mmの3%Si鋼板を浸珪処理して高珪素鋼
帯を製造するに当たり、本発明例では浸珪処理炉内に配
置された処理ガス供給用のノズル内に金属Si粒を充填
し、このノズル内にSiCl4を含む処理ガス(キャリ
アガス:N2、処理ガス中のSiCl4濃度:25vol
%)を供給して、処理ガス中のSiCl4の一部をノズ
ル内で金属Siと反応させることによりSiCl2を生
成させ、このSiCl2と残余のSiCl4を含む処理ガ
スを鋼帯に吹き付け、鋼帯の浸珪処理を行った。なお、
SiCl4と金属Siと反応温度及び浸珪処理温度は1
200℃、浸珪処理時間は3分とした。また、比較例と
して、ノズル内に金属Si粒を充填しない点を除き同一
の処理条件及びラインスピードで鋼帯の浸珪処理を実施
した。
【0029】本発明例及び比較例について、Si添加量
(浸珪量)と鋼板1kgにSiを1wt%添加する際に
発生するFeCl2量を表5に示す。表5によれば、S
iCl2を含む処理ガスで浸珪処理を実施した本発明例
では、SiCl4のみを含む処理ガスで浸珪処理を実施
した比較例に較べてSi添加量が多く、したがって高い
浸珪速度が得られており、またFeCl2の発生もかな
り減少していることが判る。
【0030】
【表5】
【0031】〔実施例2〕図4に示す連続浸珪処理ライ
ンにおいて、板厚0.3mmの3%Si鋼板を浸珪処理
して高珪素鋼帯を製造するに当たり、浸珪処理炉内に配
置された処理ガス供給用のノズル内に金属Si粒を充填
し、このノズル内にSiCl4を含む処理ガス(キャリ
アガス:N2、処理ガス中のSiCl4濃度:25vol
%)を供給して、処理ガス中のSiCl4の一部をノズ
ル内で金属Siと反応させることによりSiCl2を生
成させ、このSiCl2と残余のSiCl4を含む処理ガ
スを鋼帯に吹き付け、鋼帯の浸珪処理を行った。なお、
SiCl4と金属Siと反応温度は1200℃、浸珪処
理温度は600〜1200℃、浸珪処理時間は2分とし
た。表6に各浸珪処理温度におけるSi添加量(浸珪
量)を示す。
【0032】表6によれば、浸珪処理温度が800℃未
満ではSi添加量が極めて少なく、実用的でないことが
判る。これは、浸珪処理温度が800℃未満では鋼板表
面に生成したFe−Si化合物が鋼板内部に拡散できな
いため、鋼板表面でのFeとSiとの反応が進行しない
ことによるものと考えられる。したがって、浸珪処理温
度は800℃以上とすること好ましい。
【0033】
【表6】
【0034】〔実施例3〕図4に示す連続浸珪処理ライ
ンにおいて、板厚0.3mmの3%Si鋼板を浸珪処理
して高珪素鋼帯を製造するに当たり、本発明例では浸珪
処理炉内に配置された処理ガス供給用のノズル内に金属
Si粒を充填し、このノズル内にSiCl4を含む処理
ガス(キャリアガス:N2、処理ガス中のSiCl4
度:25vol%)を供給して、処理ガス中のSiCl
4の一部をノズル内で金属Siと反応させることにより
SiCl2を生成させ、このSiCl2と残余のSiCl
4を含む処理ガスを鋼帯に吹き付け、鋼帯の浸珪処理を
行った。なお、SiCl4と金属Siと反応温度は12
00℃、浸珪処理温度は900〜1200℃、浸珪処理
時間は2分とした。また、比較例として、ノズル内に金
属Si粒を充填しない点を除き同一の処理条件及びライ
ンスピードで鋼帯の浸珪処理を実施した。表7に各浸珪
処理温度における本発明例及び比較例のSi添加量(浸
珪量)を示す。
【0035】表7によれば、同じSi添加量:2.9w
t%を得るために、SiCl2含有処理ガスを用いた本
発明例では浸珪処理温度1000℃で十分であるのに対
して、SiCl4のみを含有する処理ガスを用いた比較
例では1200℃の浸珪処理温度を必要とすることが判
る。したがって、本発明法によれば、SiCl4のみを
含有する処理ガスを用いる従来法に較べ、浸珪処理温度
を大幅に低下させることができる。
【0036】
【表7】
【0037】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、気体浸珪処
理法による高珪素鋼材の製造において、従来のように原
料ガスとしてSiCl4のみを用いた製造方法に較べて
高い浸珪速度が得られ、このため高珪素鋼材の生産性を
向上させることができる。また、従来法と同じ浸珪速度
を得るのに処理温度を大幅に下げることが可能であり、
このため従来法に較べて炉内耐火物の損傷を低く抑える
ことができる。さらに、従来法に較べてFeCl2の生
成量を減少させることできるため材料の歩留りが向上
し、また、生成したFeCl2の処理の面でも設備的な
負担を小さくすることができる。
【0038】また、本願の請求項2の製造方法によれ
ば、SiCl2を含む処理ガスを簡便に得て、且つこれ
を鋼材と速やかに反応させることができ、また、SiC
2を含む処理ガスを連続的に定量供給できるという利
点があり、したがって、特に連続浸珪処理ラインによる
高珪素鋼帯の製造に好適な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸珪処理の反応温度とSiCl4の反応率との
関係を示すグラフ
【図2】鋼帯の浸珪処理温度(反応温度)と浸珪速度と
の関係を示すグラフ
【図3】本発明において用いた実験装置を模式的に示す
説明図
【図4】鋼帯の連続浸珪処理ラインを示す説明図
【符号の説明】
1…反応炉、2…浸珪炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山路 常弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 平谷 多津彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 10/06 - 10/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:4wt%未満を含有する鋼材を気
    体浸珪処理することにより高珪素鋼材を製造する方法に
    おいて、SiCl2を含有する処理ガスを鋼材と800
    〜1200℃の温度範囲で反応させることにより、鋼材
    にSiを浸透させることを特徴とする高珪素鋼材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 SiCl4を予め金属Siと800〜1
    300℃の温度範囲で反応させることによりSiCl2
    を生成させ、このSiCl2を含む処理ガスを鋼材と反
    応させることを特徴とする請求項1に記載の高珪素鋼材
    の製造方法。
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