JP2954979B2 - 新規な含フッ素化合物、その製造方法および抗てんかん剤 - Google Patents

新規な含フッ素化合物、その製造方法および抗てんかん剤

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JP2954979B2 JP12264190A JP12264190A JP2954979B2 JP 2954979 B2 JP2954979 B2 JP 2954979B2 JP 12264190 A JP12264190 A JP 12264190A JP 12264190 A JP12264190 A JP 12264190A JP 2954979 B2 JP2954979 B2 JP 2954979B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規なフッ素化バルプロ酸誘導体、その製
造方法、およびそれを含有する抗てんかん剤に関する。
[従来の技術] バルプロ酸ナトリウムは、構造式 (CH3CH2CH22CHCOONa を有する化合物であり、1963年にMeunierらによって抗
てんかん作用を有することが発見された[Meunier,H.
ら,(1963)Therapie,18:435−438]。その後、1967年
にフランスで一般的使用が許可されて以来、世界中で用
いられている。
しかしながら、バルプロ酸ナトリウムを長期間連用す
ると、血中のアンモニア、GOT(グルタミン酸−オキサ
ロ酢酸オランスアミナーゼ)、または乳酸などの濃度が
上昇し、肝毒性を示す。また、後記実施例で具合的に示
すように、運動失調をもたらす。この作用と関連して臨
床的には、傾眠、めまい、またはふらつき等の副作用が
あることが報告されている(「最近の新薬」,27集,173
頁,1976年)。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者は、従来公知のバルプロ酸ナトリウムが有す
る前記の副作用を解消ないし軽減するべく鋭意研究を重
ねた結果、バルプロ酸の両アルキル部分の末端をフッ素
原子で置換した形にすると、バルプロ酸ナトリウムの薬
効を維持しながら、しかも副作用を低くすることができ
ることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づくも
のである。
[課題を解決するための手段] 従って、本発明は、式(I) (CF3CH2CH22CHCOOH (I) で表される5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフ
ルオロプロピル)−吉草酸(以下、フッ素化バルプロ酸
または本発明化合物と称することがある)または医薬上
許容されるその塩、その製造方法、およびそれを含有す
る抗てんかん剤に関する。
本発明のフッ素化バルプロ酸は、式(I)で表される
遊離カルボン酸の形、または医薬上許容されるその塩の
形であることができる。医薬上許容される塩としては、
無機塩基との無毒性の塩、例えば、アルカリ金属(例え
ば、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビシウムまた
はセシウム)の塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシ
ウムまたはマグネシウム)の塩、周期表第III A族の軽
金属(例えば、アルミニウム)の塩、または、アンモニ
ウム塩;あるいは、有機塩基との無毒性の塩、例えば、
有機アミン、例えば第1級、第2級または第3級アミン
(例えば、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、メチ
ルアミノエタノール、エタノールアミン、ピペリジン)
との塩を挙げることができる。ナトリウム塩は、1/2ナ
トリウム塩であることができる。
式(I)で表される本発明のフッ素化バルプロ酸また
は医薬上許容されるその塩は、例えば、以下の方法で調
製することができる。
即ち、始めに一般式(II) CF3CH2CH2X (II) (式中、Xはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原
子、またはヨウ素原子である) で表されるトリフルオロプロピルハライドと一般式(II
I) CH2(CN)COOR (III) (式中、Rはアルキル基、特には炭素数1〜4個の低級
アルキル基、例えば、メチル基、エチル基もしくはn−
プロピル基、またはアリールアルキル基、例えばベンジ
ル基である) で表されるシアノ酢酸エステルとを反応させ、一般式
(IV) (CF3CH2CH22C(CN)COOR (IV) (式中、Rは前記と同じ意味である) で表されるジアルキルシアノ酢酸エステルを生成する。
この反応は、有機溶媒、特には、極性溶媒、例えば、
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセト
ンまたはアルコール中で、好ましくは無水条件下で、常
温下、冷却下または加熱下(例えば、0℃〜150℃、好
ましくは50℃〜100℃)で、一般的には2時間〜70時間
実施する。
前記の反応は、塩基の存在下で行なうことが好まし
い。塩基としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属の炭酸塩(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸マグネシウム、または炭酸カルシウム)、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の水素化物(例えば、水素
化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、
または水素化カルシウム)、あるいはアルカリ金属また
はアルカリ土類金属のアルコラート、特には炭素数1〜
4個の低級アルコラート(例えば、ナトリウムメチラー
トもしくはエチラート、カリウムメチラートもしくはエ
チラート、マグネシウムメチラートもしくはエチラー
ト、またはカルシウムメチラートもしくはエチラート)
を挙げることができる。また、層間移動触媒(例えば、
テトラブチルアンモニウムブロマイド−水酸化ナトリウ
ム水溶液)を用いるこもできる。
続いて、前記式(IV)で表されるジアルキルシアノ酢
酸エステルを、それ自体公知の方法[例えば、JACS,74,
5915(1952)参照]により、脱炭酸および加水分解し
て、所望の式(I)で表されるフッ素化バルプロ酸また
は医薬上許容されるその塩を調製することができる。こ
の脱炭酸および加水分解は、前記式(IV)で表されるジ
アルキルシアノ酢酸エステルを有機溶媒、特には親水性
溶媒(例えば、グルコール類、例えば、エチレングリコ
ールまたはプロピレングリコール;アルコール類、例え
ば、メチルアルコールまたはエチルアルコール)、また
は芳香族炭化水素溶媒(例えば、トルエンまたはキシレ
ン)中に溶解し、アルカリ性条件下(例えば、アルカリ
金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化
カリウムを添加して、pH13〜14にする)、または酸性条
件下(例えば、無機酸、例えば、塩酸または臭化水素酸
を添加して、pH1〜2にする)にて、加熱下(例えば、1
20℃〜250℃、好ましくは160℃〜230℃)で、一般的に
は2時間〜70時間反応させて、1段階法で実施すること
ができる。
また、前記の脱炭酸および加水分解を2段階法で行な
うこともできる。この2段階法は、第1工程(脱炭酸)
を160℃〜199℃で行ない、続いて第2工程(加水分解)
を200℃〜230℃で行なうことを除いて、前記の1段階法
と同じ条件下で実施することができる。
更に、この2段階法においては、場合により、第1工
程(脱炭酸)の生成物、即ち、式(V) (CF3CH2CH22CHCN (V) で表されるニトリル誘導体を分離し、そして場合により
精製した後、続いて加水分解を行なうこともできる。
こうして、式(I)で表されるフッ素化バルプロ酸
(即ち、遊離カルボン酸)が得られた場合には、これを
それ自体公知の方法により、医薬上許容される塩に変え
ることができる。また。塩を遊離カルボン酸または別の
医薬上許容される塩に変えることもできる。
前記式(I)で表される本発明のフッ素化バルプロ酸
または医薬上許容されるその塩、または前記の各工程の
途中で得られる中間生成物は、それ自体公知の方法(例
えば、蒸留、抽出、沈殿、カラム分離、濃縮、冷凍乾
燥)により、単離し、そして精製することができる。
式(I)で表される本発明のフッ素化バルプロ酸また
は医薬上許容されるその塩の製造方法としては、活性メ
チレン化合物として前記式(III)で表されるシアノ酢
酸エステルを用いる方法以外に、マロン酸エステル法
[例えば、J.Pharmaceutical Sciences,73(4)489,1
984参照]、またはアセト酢酸エステル法[例えば、特
開昭63−122646号公報参照]を利用してもよい。
しかし、活性メチレン化合物と反応させる一般式(I
I)で表されるトリフルオロプロピルハライドは、その
末端にトリフルオロメチル部分を担持しているので、強
い電子吸引性を有する。本発明者等が見いだしたところ
によれば、このような強い電子吸引性を有する化合物
は、マロン酸エステルやアセト酢酸エステルとの反応性
が低いので、目的化合物を生成することができないのに
対し、前記式(III)で表されるシアノ酢酸エステルと
は良好に反応し、目的化合物を生成することが可能であ
る。
式(I)で表される本発明のフッ素化バルプロ酸また
は医薬上許容されるその塩は、公知のバルプロ酸または
そのナトリウム塩と同様に、抗てんかん剤の有効成分と
して用いることができる。本発明による抗てんかん剤
は、各種のてんかん症、てんかんに伴う性格行動障害、
または各種のけいれんの治療または予防に対して有効で
ある。
本発明の抗てんかん剤においては、有効成分である前
記式(I)で表される本発明のフッ素化バルプロ酸また
は医薬上許容されるその塩のほかに、一般的な担体を含
有することができる。
本発明による抗てんかん剤は、経口または非経口的に
投与させることができる。経口投与では、例えば水溶液
の形で用いることができる。非経口投与では、例えば注
射剤の形で用いることができる。本発明の抗てんかん剤
の投与量は、患者、治療すべき症状および/または投与
方法によって変化するが、一般的には、前記式(I)で
表されるフッ素化バルプロ酸量として、1日当たり、1
〜100mg/kg、好ましくは5〜20mg/kgである。この投与
量は、1日に1回〜数回に分けて投与することができ
る。
本発明の抗てんかん剤は、有効成分である前記式
(I)で表されるフッ素化バルプロ酸または医薬上許容
されるその塩を、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80
重量%の量で含有する。
本発明の前記式(I)で表されるフッ素化バルプロ酸
のナトリウム塩の急性毒性を調べるため、ICR−Jcl系マ
ウス(6週令)8匹を、透明なプラスチック製容器に入
れ、前記フッ素バルプロ酸ナトリウム(5%生理食塩水
溶液の形)500mg/kgを経口投与した。投与後1週間にわ
たって観察したが、死亡例は認められなかった。
[実施例] 以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する
が、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
例1:5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフルオロ
プロピル)−吉草酸の調製 (1)ドライアイス/n−ヘキサンで−70℃に冷却しなが
ら、300mlのガラス製耐圧管に3,3,3−トリフルオロ−1
−プロペン100gを捕集した。次に、その耐圧管に無水塩
化アルミニウム500mgとベンゾイルパーオキサイド500mg
とを加えた。更に、テトラリン400mlと臭素50mlとから
発生させた乾燥臭化水素ガスを、撹拌下に導入した。約
50gの重量増加が認められてから、耐圧管を密封し、室
温で12時間撹拌した。次に−40℃に冷却し、耐圧管を開
封した。温度を徐々に室温まで戻しながら更に12時間撹
拌した後、常圧下で蒸留して、3,3,3−トリフルオロプ
ロピルブロマイド40.7gを無色の液体として得た。沸点
は60〜65℃/760mmHgであった。
(2)200mlのフラスコに、無水炭酸カリウム11.58g
(0.084モル)、乾燥ジメチルホルムアミド100ml、シア
ノ酢酸エチル4.74g(0.042モル)および前項(1)で得
られた3,3,3−トリフルオロプロピルブロマイド14.88g
(0.048モル)を加えて懸濁させ、浴温60〜70℃の還流
下で、63時間攪拌した。室温まで放冷した後、不溶物を
別し、液をアセトンで充分に洗浄した。溶媒を減圧
下で留去し、残留物に水150mlを加えた。酢酸エチル100
mlで4回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒
を減圧下で留去して、黒褐色油状物質9.25gを得た。フ
ラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル120g;
溶離剤としてベンゼン使用)で処理して精製し、5,5,5
−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピ
ル)−2−シアノ−吉草酸エチルエステル6.05gを無色
の油状物質として得た。理化学的データは以下のとおり
である。1 H−NMR(GS×500−CDCl3):1.36ppm[t,J=7.1Hz,3H,C
H3],2.07ppm[m,2H,CH2−(CF3)],2.18ppm[m,2H,CH
2−(C)],2.23ppm[m,2H,CH2−(CF3)],2.38ppm
[m,2H,CH2−(C)],4.34ppm[q,J=7.1Hz,2H,CH2
(CH3)] (3)50mlのフラスコに、水酸化カリウム2.18g(0.033
モル)およびエチレングリコール12mlを加え、60℃に加
温して完全に溶解させた後、前項(2)で得られた5,5,
5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピ
ル)−2−シアノ−吉草酸エチルエステル6.00g(0.020
モル)を加え、浴温190〜199℃で加熱還流下で3時間攪
拌した。放冷後、水酸化カリウム3.93g(0.060モル)の
エチレングリコール21ml溶液を加え、浴温200〜210℃で
加熱還流下で18時間攪拌した。放冷後に、水100mlを加
え、不溶物をセライト過して除去し、液をエーテル
100mlで3回洗浄した。得られた水層に濃塩酸10mlを加
えてpH1とし、クロロホルム100mlで3回抽出し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を80℃以下で常圧留去
し、淡橙色油状物質4.08gを得た。この生成物を減圧下
で蒸留して精製し、5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3
−トリフルオロプロピル)−吉草酸1.36gを無色の液体
として得た。理化学的データは以下のとおりである。
沸点:155〜160℃/55mmHg 融点:25.3〜27.3℃1 H−NMR(GS×500−CDCl3):1.82ppm[m,2H,−CH2−(C
H)],1.95ppm[m,2H,−CH2−(CH)],2.20ppm[m,4H,
−CH2−CF3],2.54ppm[m,−CH−],8.5ppm[1H,−COO
H]13 C−NMR(GS×500−CDCl3):24.07ppm[−CH2−(C
H)],31.38ppm[−CH2−CF3],42.82ppm[−CH−],12
6.63ppm[q,J=276.6Hz,CF3],180ppm[−COOH] 赤外吸収スペクトル(Shimadzu FTIR−4200):第1図 例2:5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフルオロ
プロピル)−吉草酸ナトリウムの調製 水3.6ml中に水酸化ナトリウム0.14gを溶解した水溶液
に、前記例1で得られた5,5,5−トリフルオロ−2−
(3,3,3−トリフルオロプロピル)−吉草酸0.91gを加え
て溶解させ、この溶液を凍結乾燥して得た無色固体にア
セトニトリル50mlを加えた。微量の不溶物を活性炭によ
って除き、セライト過し、溶媒を減圧下で留去して、
アメ状物質1.0gを得た。この生成物に少量のメチルアル
コールを加えて減圧下で溶媒を留去する操作を5回繰り
返して水を共沸除去した後、ジエチルエーテル(20ml)
およびn−ヘキサン(30ml)から白色析出物を生成して
過することにより5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3
−トリフルオロプロピル)−吉草酸ナトリウム0.7gを得
た。
融点:257〜263℃ 赤外吸収スペクトル(Shimadzu FTIR−4200):第2図 例3:抗けいれん作用 本発明による5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−ト
リフルオロプロピル)−吉草酸ナトリウム(以下、本発
明化合物)と、公知のバルプロ酸ナトリウム(以下、公
知化合物)との抗けいれん作用を、ペンチレンテトラゾ
ール誘発けいれんに関して、CDF1系マウス(オス;6週
令;平均体重25g)を用いて比較した。
本発明化合物および公知化合物をそれぞれ蒸留水に溶
解した後、4時間絶食したマウスに経口投与した。投与
量は、本発明化合物330mg/kgおよび660mg/kg、そして公
知化合物200mg/kgおよび400mg/kgとなるようにした。こ
れは、ナトリウム塩としてのモル換算で、それぞれ1.2m
−moles/kgおよび2.4m−moles/kgに相当する。コントロ
ールとして、蒸留水だけを経口投与した。各群でマウス
20匹を用いた。
前記の各化合物を投与してから1時間経過後に、ペン
チレンテトラゾールの0.7%生理食塩水溶液を70mg/kg用
量となるように腹腔内に投与した。ペンチレンテトラゾ
ールの投与後にマウスを個別にケージに入れ、以下の4
項目の行動指標の発現を45分間にわたって観察した。以
下の行動指標は、点数の低い指標から高い指標の順に、
ペンチレンテトラゾールで誘発されるけいれん発作の強
度に対応している。そこで、45分間の観察期間内に発現
された最強のけいれん発作の行動指標をそのマウスのけ
いれん発作の点数(けいれん発作インデックス)として
数値化した。
点数1:間代性筋攣縮 (myoclonic−jerks) 点数2:四肢の強直性けいれん (tonic convulsion) 点数3:発声ジャンプなどを伴う強直性−間代性けいれ
ん (tonic−clonic convulsion) 点数4:四肢を後方に強直し、呼吸困難に陥り、通常は
死亡する極度の強直性けいれん (violent−tonic convulsion) 抗けいれん作用の実験結果を第1表に示す。
本発明化合物では、1.2m−moles/kgおよび2.4m−mole
s/kgの投与量において統計的な有意な抗けいれん作用を
示したのに対し、公知化合物では2.4m−moles/kgの投与
量のときにのみ有意な抗けいれん作用を示すだけであっ
た。
例4:副作用としての運動失調の検討 本発明による5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−ト
リフルオロプロピル)−吉草酸ナトリウム(以下、本発
明化合物)と、公知のバルプロ酸ナトリウム(以下、公
知化合物)との副作用を、運動失調に関して、ローター
ロッド試験装置(夏目製作所)およびCDF1系マウス(オ
ス;6週令;平均体重25g)を用いて比較した。ローター
ロッド試験においては、ローターの回転数を毎分4回と
した。また、使用したローターの直径は3.2cmであっ
た。
試験に使用したマウスとしては、試験実施の前日に6
回のトレーニングを行ない、再現性良く2分間以上ロー
ターに乗っていることができるマウスだけをまず選び、
更にそれらのマウスについて試験実施の当日に2回トレ
ーニングを行ない、2回とも2分間以上ローターに乗る
ことができたものだけを選んだ。
本発明化合物および公知化合物をそれぞれ蒸留水に溶
解した後、4時間絶食したマウスに経口投与した。蒸留
水を同様に経口投与したものをコントロールとして、各
薬剤と比較した。各群でマウス10匹を用いた。
最初に予備試験として、公知化合物200mg/kgおよび40
0mg/kg、そして本発明化合物330mg/kgおよび660mg/kgを
投与してローターロッド試験を行なったが運動失調は認
められなかった。
次に、公知化合物800mg/kg(4.8m−moles/kg)を投与
したところ、投与してから30分経過後に、マウス10匹の
うち2匹が死亡し、残りの8匹においては全て正方向反
射が消失した。また、投与してから60分経過後には、更
に2匹(通算計4匹)が死亡し、2時間経過後までに10
匹のうち5匹が死亡した。
一方、本発明化合物1320mg/kg(モル換算で4.8m−mol
es/kgとなり、公知化合物の前記投与量800mg/kgに相
当)を投与した場合には、投与してから30分経過後で10
匹中2匹が1分間未端でローターから落下するだけであ
り、60分経過後でも、10匹中4匹が1分間以内に落下す
る極めて軽度の運動失調を示すだけであった。
本発明化合物および公知化合物が示す上記の運動失調
について、定量的な評価を試みた。
以下に示すとおり、運動失調の程度を6段階で評価し
て点数を付け、それらの点数から各群の平均値を計算し
た。
点数0:2分間以上ローターに乗っていられる(運動失
調なしの)マウス 点数1:ローターに乗っていられる時間が1分間以上2
分間未満の軽度の運動失調のマウス 点数2:ローターに乗っていられる時間が30秒間以上1
分間未満のマウス 点数3:ローターに乗ることはできるが30秒間未満で落
ちてしまうマウス 点数4:正向反射はあるが、ローターに乗ることができ
ないマウス 点数5:正向反射がないマウス 投与してから1時間経過後の運動失調の発現状態を評
価した。結果を次の第2表に示す。
以上のように、本発明化合物においては、公知化合物
と比較して、運動失調の副作用が軽減していることが明
らかである。
令5:製剤の調製 1バイヤル中に、例1で得られた5,5,5−トリフルオ
ロ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−吉草酸ナ
トリウム500mgを含有させ、滅菌生理食塩水2mlに溶解さ
せ、注射剤を調製した。
[発明の効果] 本発明による新規なフッ素化バルプロ酸または医薬上
許容されるその塩は、従来公知のバルプロ酸ナトリウム
における抗けいれん作用を維持しながら、しかも副作用
を軽減することができ、有用な抗てんかん剤を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による5,5,5−トリフルオロ−2−
(3,3,3−トリフルオロプロピル)−吉草酸の赤外スペ
クトル図である。 第2図は、本発明による5,5,5−トリフルオロ−2−
(3,3,3−トリフルオロプロピル)−吉草酸ナトリウム
の赤外スペクトル図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 53/21 C07C 51/00 C07C 255/19 C07C 253/30 A61K 31/19 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) (CF3CH2CH22CHCOOH (I) で表される5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフ
    ルオロプロピル)−吉草酸または医薬上許容されるその
    塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載の5,5,5−トリフルオロ−2
    −(3,3,3−トリフルオロプロピル)−吉草酸ナトリウ
    ム。
  3. 【請求項3】一般式(IV) (CF3CH2CH22C(CN)COOR (IV) (式中、Rはアルキル基である) で表されるジアルキルシアノ酢酸エステル。
  4. 【請求項4】Rがエチル基である請求項3記載のエステ
    ル。
  5. 【請求項5】一般式(II) CF3CH2CH2X (II) (式中、Xはハロゲン原子である) で表されるトリフルオロプロピルハライドと一般式(II
    I) CH2(CN)COOR (III) (式中、Rはアルキル基である) で表されるシアノ酢酸エステルとを反応させ、一般式
    (IV) (CF3CH2CH22C(CN)COOR (IV) (式中、Rは前記と同じ意味である) で表されるジアルキルシアノ酢酸エステルを生成し、続
    いて、一般式(IV)で表される得られたジアルキルシア
    ノ酢酸エステルを脱炭酸および加水分解し、そして場合
    により、遊離酸をその塩に、または塩を遊離酸もしくは
    別の塩に変えることを特徴とする、式(I) (CF3CH2CH22CHCOOH (I) で表される5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリフ
    ルオロプロピル)−吉草酸または医薬上許容されるその
    塩の製造方法。
  6. 【請求項6】Rがエチル基である、請求項5記載の方
    法。
  7. 【請求項7】一般式(IV)で表されるジアルキルシアノ
    酢酸エステルの脱炭酸または加水分解を、水酸化カリウ
    ムの存在下で行なう、請求項5記載の方法。
  8. 【請求項8】5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリ
    フルオロプロピル)−吉草酸または医薬上許容されるそ
    の塩を含有することを特徴とする、抗てんかん剤。
  9. 【請求項9】5,5,5−トリフルオロ−2−(3,3,3−トリ
    フルオロプロピル)−吉草酸ナトリウムを含有する、請
    求項8記載の抗てんかん剤。
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