JP2954922B1 - 析出硬化型高珪素鋼製品の熱処理方法 - Google Patents
析出硬化型高珪素鋼製品の熱処理方法Info
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Abstract
の鋼製の部品に望ましい機能を付与する熱処理方法を提
供する。 【解決手段】下記(1) の鋼および (2)の熱処理方法。 (1) C: 0.10%以下、Si:2.0〜9.0 %、Mn: 0.05〜6.0
%、Ni:1〜24%、Cr:6〜28%、Mo:0.2〜4.0 %、Nb: 0.
03〜2.0 %、(Cu 、W、Co、Al、Ti、V、B、Ce、Laの
所定量以下を含有してもよい) 残部Feからなる析出硬化
型高珪素鋼。 (2) 上記の鋼 (但しNbは 2.0%以下) 製の部品の熱処理
方法であって、表層部が高硬度であることを必要な部分
には下記からまでの熱処理を順次施し、表層部が高
硬度でなくてもよい部分では下記またはの熱処理を
省く。 900〜1000℃の加熱して急冷した後、600 〜700 ℃で
時効処理を施す。 高硬度を必要とする表層部のみを 950〜1150℃で加熱
した後、急冷する。 400〜600 ℃で時効硬化処理を施す。
Description
フト、ロール、ローラー、軸受等の機械部品であって、
強靱性、高硬度、耐摩耗性、耐食・耐熱性等を兼備する
ことが必要とされる部品であって、析出硬化型高珪素鋼
を素材とする部品の熱処理方法に関する。
物等に使用される各種の機器のロール(ローラー) 、シ
ャフト (軸) 、軸受等、強靱性と耐摩耗性を同時に要求
される部品は数多い。これらの要求に応えるには、適切
な処理によって表面だけが高硬度になり、芯部は靱性に
富む材料が必要とされる。その処理方法としては、浸炭
法、窒化法、高周波焼入れ法等が周知であり、これらの
処理に適する鋼材も種々開発されている。
は、強靱性、耐摩耗性に加えて耐食性や耐熱性が同時に
必要とされることも多い。例えば、橋梁の伸縮を吸収す
るローラー支承のローラーには、強靱性および耐摩耗性
のみならず、風雨あるいは塩害に耐える優れた耐食性も
要求される。また、金属の連続鋳造装置の鋳型下方のセ
グメント (鋳片案内装置) を構成するローラーや圧延機
のロールには、高強度、耐摩耗性に加えて高温強度と十
分な耐熱性も必要とされ、化学プラント用部品には耐酸
性等の高度の耐食性が要求される。
要成分とするオーステナイト系ステンレス鋼が一般的で
ある。しかし、このステンレス鋼は強度および硬度が低
く、高強度の耐摩耗性材料には不適当である。比較的高
強度、高硬度になるステンレス鋼として、析出硬化型の
鋼がJIS のSUS 630, 631として規格化されているが、こ
の鋼も近年の厳しい使用条件には対応できないことが多
い。他方、焼入れ硬化型のステンレス鋼として、SUS 44
0, 420J2等が知られているが、その製品 (例えばローラ
ー) を焼入れすると、製品の芯部まで全体が硬化し、靱
性を失って折損しやすくなるという問題がある。
にも優れ、高い硬度をも備える鋼としては「高珪素ステ
ンレス鋼」がある。この鋼は、特許第619,383 号(特公
昭46−9536号) として特許されたもので、さらにその改
良鋼が、例えば特公昭57−17070 号公報 (特許第1,167,
791 号) に開示されている。これらの高珪素ステンレス
鋼は、シリコロイ (登録商標) と呼ばれ、本出願人によ
って実用化され、近年広く使用されるに到っている。
とマルテンサイトの二相組織を持つ時効硬化性の鋼であ
る。本出願人は、その熱処理に関する発明を先に特許出
願した (特開平7−97623 号公報参照) 。その発明は、
比較的短時間の熱処理によって、深い硬化深度を得るこ
とを目的としたもので、調質、溶体化および時効という
三段階の熱処理工程を特徴とする発明である。
コロイの改良合金を素材とする種々の部品に最も望まし
い機能を付与する熱処理方法、具体的には、1個の部品
でその位置によって異なる性質をもつ部品を製造するこ
とができる新しい熱処理方法を提供することにある。
方法を要旨とする。
%、Mn: 0.05〜6.0 %、Ni:1〜24%、Cr:6〜28%、Mo:
0.2〜4.0 %、Nb: 0.03〜2.0 %、Cu:4.0%以下、W:4.
0%以下、Co:3.0%以下、Al:1.0%以下、Ti:2.0%以
下、V:4.0%以下、B:3.0%以下、希土類元素:0.4%以
下を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物からなる析
出硬化型高珪素鋼製の部品の熱処理方法であって、その
部品の表層部が高硬度であることを必要とする部分に
は、下記からまでの熱処理を順次施し、表層部が高
硬度であることを必要としない部分には、下記との
み、またはとのみの熱処理を順次施すことを特徴と
する熱処理方法。
0 〜700 ℃で時効処理を施す。
硬化型高珪素鋼は、Nbを 0.1〜2.0%含有する鋼である
のが望ましい。また、上記の熱処理方法におけるまた
は/およびの加熱は、高周波誘導加熱によって行うの
が望ましい。
の析出硬化性 (時効硬化特性) を改良して、部品表面か
らの硬化深度を大きくすることを可能にした鋼である。
まず、各合金成分の作用効果と含有量の限定理由を説明
する。なお、成分含有量に関する%は重量%を意味す
る。
所定量のCの含有を必須としている。しかし、多量のSi
を含有する本発明素材鋼において、強度はSiによっても
たらされる特異な金属組織で確保されるので、Cの含有
は必須ではない。むしろ、Cは本発明素材鋼の靱性を低
下させるとともに耐酸化性や耐食性にも悪影響を及ぼす
元素である。従って、Cの含有量はできるだけ少ない方
がよい。
が望ましく、さらに0.02%以下に抑えるのが一層望まし
い。現今の精錬技術では、0.01%以下の極低炭素鋼の溶
製も可能である。
けでなく、耐熱性、耐酸化性、耐食性、高温軟化抵抗性
を付与する。また、鋼の融点を下げ、流動性を増して鋳
造性を改善する元素でもある。その含有量が 2.0%未満
の場合は、上記の特性の向上効果が十分でない。一方、
Siは強力なフェライト形成元素であるから、その含有量
が 9.0%を超えると鋼の組織中のフェライト相が過多に
なるのを抑えるのに、Ni等の添加を増やす必要があって
材料価格が高くなる。
素でもある。析出硬化型のステンレス鋼では、機械的性
質に大きく影響するものではないが、金属組織の緻密化
と安定化に役立つので、0.05%以上の含有が必要であ
る。しかし、6.0%を超えると耐食性が劣化する。
を付与するとともに、次に述べるCrとのバランスで、鋼
の金属組織を実質的に二相に保つのに必須な元素であ
る。これらの作用効果を得るには1%以上が必要であ
る。しかし、24%を超えると、オーステナイト相が増加
しすぎて二相ステンレス鋼の特徴が失われるのみなら
ず、鋼の経済性も失われてしまう。
に主にオーステナイトとマルテンサイトの二相からなる
が、その外にフェライトが存在することもある。実質的
に二相というのは、このような組織を含めることを意味
する。
耐酸性) 、耐熱性、耐酸化性を確保するための成分であ
る。6 %未満ではこれらの性質が不十分である。他方、
Crが28%を超えると、鋼を実質的に二相に保つために必
要なNiの量が増えて経済性が損なわれる。
クリープ性を改善し、また靱性と耐摩耗性の向上にも寄
与する。0.2 %未満ではこれらの効果が不十分である。
Moは、フェライト生成元素であるから、その含有量が多
くなれば、オーステナイト形成元素(Ni、Cu、Mn)の添
加量を増やさなければならない。また、Moは高価な元素
でもある。これらのことを総合的に考慮して、Moの含有
量は0.2〜4.0 %と定めた。
硬化深度を大きくするのに有効な元素である。さらに、
Nbは耐粒界腐食性、溶接性を改善し、かつ強度を向上さ
せる。後に詳しく説明する図3〜5に示すように、同じ
熱処理を施した場合でも、Nbを含む鋼では深い硬化深度
が得られる。この効果は、Nbの含有量が0.03%以上で顕
著になる。しかし、2.0 を超えると鋼の熱間加工性を損
ない、また、靱性の低下も招く。従って、Nbの適正含有
量は0.03〜2.0 %であり、さらに望ましいのは、0.1 〜
2.0 %である。
(特に耐酸性) の改善とともに析出硬化に寄与する元素
である。また、オーステナイト形成元素として金属組織
のバランスの調整に役立つ。これらの作用を期待する場
合は、0.5 %以上含有させるのがよい。しかし、4.0 %
を超えるCuは、鋼の熱間加工性を損なうので、添加する
場合でも含有量の上限は 4.0%とする。望ましいのは
2.0%以下である。
クリープ性を改善する作用があるので、必要に応じて添
加する。特に、後述するシリコロイ・タイプIII の系統
では、高温での焼戻し軟化抵抗を大きくして、高温強度
を維持するのに0.5%以上含有させるのが望ましい。但
し、4.0 %を超えるWは、鋼の価格に上昇に見合う程の
効果がない。
分が、それぞれの上限値以下の範囲で含有されていても
よい。
優れた耐摩耗性を要求されるタイプIII には添加するの
が望ましい。但し、B含有量が 3.0%を超えると鋼の脆
化が甚だしくなり、加工性が損なわれるので、上限は
3.0%とする。
る成分である。ただし高価な元素であるから、その含有
量の上限は 3.0%とする。
とともに、AlとTiは耐熱性の向上にも寄与する。しか
し、過剰の添加は靱性を劣化させるから、添加する場合
でも含有量はそれぞれの上限値以下に抑えるべきであ
る。
化の効果を有し、靱性向上、耐応力腐食割れ性および熱
間加工性の改善に寄与する。これらの効果は、希土類元
素のそれぞれの含有量で 0.4%まででほぼ飽和する。
が鉄(Fe)と不可避の不純物からなる。なお、不純物の
うちPとSは、それぞれ0.04%以下に抑えるのが望まし
い。
発明素材鋼はその特性によって幾つかの系統の鋼に区分
される。表1にその代表的な化学組成を示す。これら
を、ここでは便宜的にシリコロイのタイプI 、タイプI
I、タイプIII と呼ぶことにする。なお表1の各タイプ
の下段の組成は望ましい組成である。
低Ni型の比較的安価な鋼である。タイプIIよりもやや機
械的性質が劣るが、一般的な焼入れ−焼戻し処理をした
Ni−Cr−Mo鋼に較べれば、2倍近い強靱性を有する。シ
リコロイの基本的な特性を生かして、板材、棒材、型材
(アングル等)として構造材料に使用するのに好適であ
る。
のNi含有量を高めたもので、強靱性、耐熱性、耐食性、
耐摩耗性、耐かじりつき性、高硬度を兼ね備えるオール
ラウンド型の鋼である。主な用途は、橋梁用支承ローラ
ー、連続鋳造機用ローラー、ベアリング等である。
た望ましい組成範囲は、C:0.05 %以下、Si:3.5〜5.5
%、Mn: 0.05〜3.0 %、Ni:3〜10、Cr:8〜16、Mo:0.2〜
2.5%、Nb: 0.03〜1.5 、Cu:2.0%以下、残部Feおよび
不可避的不純物、である。
が備える特性のうち、特に高温強度と耐摩耗性をさらに
向上させたものである。この鋼は、激しい摩耗を受ける
土木建築用機器の部品、各種ミキサーの部品、スネーク
スクリューに適する。さらに、優れた耐熱性と耐摩耗性
を有するので焼却炉の炉内構造物のような過酷な用途に
も好適である。もちろん、タイプI 、IIと同じ用途にも
使用できる。
製されたものである。
品の位置ごとに表層部硬化の要否に応じて、その3工程
を使い分けることが、本発明方法の大きな特徴である。
図1にその工程の使い分けを示す。
した後、600 〜700 ℃で加熱(二次加熱)する。一次加
熱は、部品の厚さ (肉厚) 1インチ当たり1時間以上を
目安とする。冷却は油冷 (または水冷) による急冷とす
る。二次加熱も部品の厚さ1インチ当たり1時間以上を
目安とする。この二次加熱の後の冷却は空冷でよい。
であり、二次加熱は時効処理に相当するが、次に述べる
の溶体化やの時効処理ほど本格的なものではない。
このの熱処理は1種の調質処理であり、それによって
部品製造過程での鋳造や塑性加工の影響を取り除き、ス
トレスリリーフし、金属組織を微細で均質なものとす
る。さらに、部品の芯部の軟化による靱性向上と、次の
、の熱処理の所要時間を短縮し、かつその効果を確
実にするための予備的な処理である。従って、得られる
部品の表面硬度はショア硬度 (以下、HSと表記する) で
40〜45 (即ち、HS40〜45) 程度である。
体化処理である。加熱時間は、硬化させたい深さ(所要
硬化深度) に応じて決定する。冷却は、例えば水冷によ
る急冷とする。この処理によって、部品の表層部は、さ
らに微細な組織になるが、部品の表面硬度は前記の処
理後と殆ど変わらず、およそ HS 40〜45である。従っ
て、この溶体化の状態で、機械加工を施して部品の形状
を整える (仕上加工を行う) ことは容易である。
理時間は部品に厚さの1インチ当たり1時間以上とす
る。前記との熱処理を施された部分では、このの
工程の加熱温度が約 470℃の時に最高の硬さ(HS 70以
上) が得られ、その前後では到達硬度が低下する。400
℃未満の低温または 600℃を超えるような高温では、望
ましい高硬度は得られない。
であるから、部品の変形を招くおそれはほとんどない。
従って、の処理の後に最終形状に加工してからの熱
処理を施して所定の硬度を付与することができる。
体に対して行う。一方、との熱処理は、図1に示す
ように、下記のケース1とケース2とに使い分けること
ができる。
摩耗性の向上が必要な部分(A部)にはおよびの処
理を施し、表層硬化等が不必要で、むしろ靱性を重視す
る部分(B部)ではの熱処理を省略する。
摩耗性の向上が必要な部分(A部)にはおよびを施
し、表層硬化等が不必要で、むしろ靱性を重視する部分
(B部)ではの熱処理を省略する。
強度化、耐摩耗性の向上が必要な部分だけが高い硬度を
持ち、そうでない部分は、低硬度で靱性に富む状態にな
る。
する。
示す直径 47 mm、長さ 600 mm の丸棒鍛造材を各鋼につ
いてそれぞれ3本用意した。そして、それぞれの丸棒に
下記の熱処理を施した。なお、表2の6種類の鋼は、表
1に示したシリコロイのタイプI からIII までと、その
各々にNbを添加したものである。
いで 650℃で 120分加熱して空冷する調質処理 (前記
の処理) 。
イルを1.5 mm/secで移動させながら1050℃に加熱して直
ちに水冷する溶体化処理 (前記の処理) 。なお、この
高周波誘導加熱の条件は後述する実施例と同じである。
効処理 (前記の処理) 。上記の熱処理後の丸棒につい
て次の試験を行った。
分) およびB部(上記の熱処理が施されていない部
分) の軸中心部からシャルピー衝撃試験片(JIS4号) と
引張試験片(JIS8号) を採取し、25℃での衝撃試験と室
温での引張試験を行った。
片を採取し、表面からの硬化分布を測定した。これらの
測定結果を表3および図3〜5に示す。なお、ここでは
図中に太い水平線で示すHS 65 以上の部分を硬化層と定
義した。
までの全ての熱処理を施したA部の硬度分布を見れば、
Nbを含まないタイプI 〜III よりもそれぞれにNbを添加
した鋼(タイプI −Nb、タイプII−Nb、タイプIII −N
b)の方が硬化深度は深くなっている。一方、図3〜図
5の (b)図に示すように、の溶体化処理を施していな
いB部では硬化層は見られず、表層部から芯部まで殆ど
硬度の変化がない。
験の測定値(引張強さ、耐力、伸び) を見れば、どのタ
イプの鋼においてもA部よりB部の伸びおよび衝撃値が
大きい。
品であっても、その位置ごとに熱処理条件を変えること
により、異なった機械的性質を持たせることができる。
即ち、からまでの全ての熱処理を施した部分(前記
のA部)では、表層に硬化層を形成することができ、一
方、の熱処理を省いた部分(前記B部)は、全体が均
一な硬さで靱性に富む。
加することによって、硬化深度を深くすることができ
る。従って、厚い硬化層が必要とされる部品には素材鋼
としてNbを含有する鋼を使用すればよい。硬化深度は、
の時効処理時間にも依存するから、その時間を短縮し
て生産性を上げたい場合にもNb含有鋼の使用が有利であ
る。
が、ケース2の試験例でもほぼ同じ結果が得られてい
る。ただし、ケース2の試験では、の溶体化処理は全
体を加熱、急冷する通常の方法で行い、の熱処理を必
要カ所(A部)のみを高周波誘導加熱法で 480℃に加熱
する方法で行った。
ば、一つの部品であっても、の熱処理を施すかどう
か、またはの熱処理を施すかどうかによって、局部的
に異なる特性を持たせることが可能である。
入れ法、窒化法等が周知である。これらの方法は、部品
全体の表面硬化には適当であるが、部品の局部的な表面
硬化に用いるのは困難である。また、浸炭焼入れ法で
は、高温加熱と急冷が必要であるから部品の変形を招
き、窒化法では処理に長時間を要するという難点もあ
る。
要な部分だけにまたはの溶体化処理を施すのである
が、その加熱は高周波誘導加熱法等で容易に実施するこ
とができる。しかも、この溶体化処理後の部品は、未だ
硬化していないので、機械加工によって仕上げ加工を行
うのも容易である。その後の時効処理は 400〜600 ℃と
いう低温で行われるので、部品の変形はほとんど問題に
ならない。
大 (直径約80mm) のポンプの安全弁の弁棒を作製し、本
発明の熱処理方法で処理した。弁棒の外観および主要寸
法を図6 (a)に示す。この弁棒は、ポンプ内部の圧力が
一定値を超えないようにするためのものである。ポンプ
内部の圧力が臨界値を超えると、弁棒が上昇して内部圧
力を逃がし、圧力が低下すると下がって弁座に収まる仕
組みになっている。
に耐える強靱性が必要であると同時に、先端部および摺
動部では優れた耐摩耗性(高硬度)が要求される。
である。
いで 650℃で 180分加熱して空冷する調質処理 弁棒
のA部(摺動部)およびC部(先端部)だけを高周波誘
導加熱によりコイル送り速度 1.5mm/secで1050℃に加熱
し水冷する溶体化処理なお、この高周波誘導加熱は周波
数:30KHz、電気容量:150 KWで行い、冷却はコイ
ル直後に設けたジャケットからの噴射水によって行っ
た。
効処理。
分) およびB部(上記の熱処理が施されていない部
分) の中心からシャルピー衝撃試験片(JIS4号) と引張
試験片(JIS 8号) を採取し、 25 ℃での衝撃試験と室温
での引張試験を行った。
片を採取し、表面からの硬度分布を測定した。C部 (先
端部) については、表層部の硬度分布だけを測定した。
これらの測定結果を表4と図7〜9に示す。
までの全ての熱処理を施したA部では硬化層が形成さ
れ、その硬化層の厚さ(硬化深度)は、タイプI からII
I までのどの鋼種においてもNbを含有するものの方が大
きい。即ち、同じ条件での熱処理であっても、Nbを含む
鋼の弁棒では表面硬化層が深くなるのである。言い換え
れば、同じ深さの硬化層を得る場合には、鋼ロの方が短
時間の時効処理で済む。
い部分) には硬化層は存在しない。
的に高硬度で耐摩耗性に富む領域を設けることが可能な
ことが明らかである。しかも、表4に示すように、部品
の芯部は、どの部分でも強靱であるから、部品の耐衝撃
性も十分に確保されている。
はA部とほぼ同じである。即ち、弁棒先端部は高い硬度
を持ち、耐摩耗性に優れている。C部の芯部の機械的性
質は測定していないが、A部と同じ性質を持つことは明
らかで、芯部は強靱性に富むものと推定できる。
加工は、の熱処理後、A部およびC部にの熱処理を
施す前に行った。しかし、B部には前記のようにの熱
処理をしないので最後まで表層部も殆ど硬化しない。従
って、弁棒全体の熱処理がすべて終了してからネジ切り
加工を行ってもよい。そうすることによって、より歪の
少ない部品を得ることができる。
(析出硬化型ステンレス鋼) 作製されている。この鋼
は、時効処理後でも硬度は高々 HS 50程度までしか上が
らない。従って、弁棒先端にはステライトによる肉盛を
施し、更に 500℃で60時間というようなガス窒化処理を
行って製品としていた。しかも、そのSUS 630 鋼製の弁
棒は、衝撃値および伸びにおいて本発明方法で作製した
弁棒に劣る。さらに、本発明方法で作製した弁棒は歪が
少なく、硫酸、塩酸等に対する耐食性および耐海水性に
おいても勝っている。
ことを特徴とする本発明方法によれば、部品に多様な特
性を付与することができる。特に、一つの部品の特定位
置だけを硬化させるという処理も容易に実施できる。
用いるので、硬化深度を大きくすることが可能であるか
ら、硬化深度の大きい部品の製造、または製造工程の短
縮が可能になる。
えば、化学プラントのスクリューシャフト、プロペラシ
ャフト、製鉄プラントの各種ロール、ローラー、橋梁用
支承のローラ等、強靱性とともに耐食性、耐熱性、耐摩
耗性等の様々な性質を兼備することが必要とされるあら
ゆる部品の製造に適用できる。
て示す図である。
ある。
で、熱処理条件を変えた部分(図1のA部とB部)の硬
化深度の測定結果を示すグラフである。
で、熱処理条件を変えた部分(図1のA部とB部)の硬
化深度の測定結果を示すグラフである。
で、熱処理条件を変えた部分(図1のA部とB部)の硬
化深度の測定結果を示すグラフである。
(b) はそのC部の模式的断面拡大図である。
熱処理条件を変えた部分(図4のA部とB部)の硬化深
度の測定結果を示すグラフである。
熱処理条件を変えた部分(図4のA部とB部)の硬化深
度の測定結果を示すグラフである。
の熱処理条件を変えた部分(図4のA部とB部)の硬化
深度の測定結果を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で、C: 0.10%以下、Si:2.0〜9.0
%、Mn: 0.05〜6.0 %、Ni:1〜24%、Cr:6〜28%、Mo:
0.2〜4.0 %、Nb:0.03 〜2.0 %、Cu:4.0%以下、W:4.
0%以下、Co:3.0%以下、Al:1.0%以下、Ti:2.0%以
下、V:4.0%以下、B:3.0%以下、希土類元素:0.4%以
下を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物からなる析
出硬化型高珪素鋼製の部品の熱処理方法であって、その
部品の表層部が高硬度であることを必要とする部分に
は、下記からまでの熱処理を順次施し、表層部が高
硬度であることを必要としない部分には、下記との
み、またはとのみの熱処理を順次施すことを特徴と
する熱処理方法。 900〜1100℃で加熱して急冷した後、600 〜700 ℃で
時効処理を施す 950〜1150℃で加熱した後、急冷する 400〜600 ℃で時効処理を施す - 【請求項2】析出硬化型高珪素鋼のNb含有量が 0.1〜2.
0 重量%である請求項1に記載の熱処理方法。 - 【請求項3】上記または/およびの熱処理における
加熱を高周波誘導加熱によって行う請求項1または請求
項2に記載の熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10094456A JP2954922B1 (ja) | 1998-04-07 | 1998-04-07 | 析出硬化型高珪素鋼製品の熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10094456A JP2954922B1 (ja) | 1998-04-07 | 1998-04-07 | 析出硬化型高珪素鋼製品の熱処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2954922B1 true JP2954922B1 (ja) | 1999-09-27 |
JPH11293410A JPH11293410A (ja) | 1999-10-26 |
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ID=14110779
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---|---|---|---|
JP10094456A Expired - Lifetime JP2954922B1 (ja) | 1998-04-07 | 1998-04-07 | 析出硬化型高珪素鋼製品の熱処理方法 |
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Cited By (4)
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