JP2952755B2 - 装飾用金属成形品及びその製造方法 - Google Patents

装飾用金属成形品及びその製造方法

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JP2952755B2
JP2952755B2 JP8137778A JP13777896A JP2952755B2 JP 2952755 B2 JP2952755 B2 JP 2952755B2 JP 8137778 A JP8137778 A JP 8137778A JP 13777896 A JP13777896 A JP 13777896A JP 2952755 B2 JP2952755 B2 JP 2952755B2
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molded product
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徳朗 関口
八郎 高崎
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NAKAMURA SEISAKUSHO JUGEN
TOYAMAKEN
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NAKAMURA SEISAKUSHO JUGEN
TOYAMAKEN
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属表面に結晶粒
模様を現出させた装飾金属成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】美術あるいは装飾用としての金属鋳物の
中には、例えば図7の模式図に示した花瓶のように、鋳
造凝固の際に肉眼的に鑑賞可能な程度にまで粗大化させ
た金属結晶粒による模様を利用したものがある。このよ
うな金属結晶粒模様は、即ち、結晶粒界によって描かれ
る幾何学的な模様であり、装飾性が付与された鋳物が得
られる。
【0003】金属の結晶粒界は、金属鋳造の際の冷却過
程において、凝固点に達した以降、多くの結晶核を中心
にして凝固し始めた各々の結晶が発達して行き、互いに
隣り合ったもの同志が衝突して成長が止まり、その互い
につき当たった成長面によって形成される境界面であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の多くの金属成型
品、特に美術工芸品等では、このような金属結晶模様を
生じさせないように、例えば、少なくとも表面の金属結
晶を肉眼では容易に確認できないように小さくしたり、
その他の表面処理を施して金属結晶模様の現出を抑えて
いた。
【0005】ところが、近年、金属結晶模様自体を装飾
模様として利用することが行われるようになっている。
しかしながら、これまで装飾として利用されていた結晶
粒模様そのものは、図7の花瓶のように表面全体が均一
で単調なものが多かった。そして、合金組成の調整によ
る色調や皮膜処理による着色によって多彩な装飾性を付
与していた。
【0006】本発明は、上記点に鑑み、表面に現出され
る結晶粒模様自体に多様性を持たせることによって、よ
り装飾性に優れた金属鋳物等の金属成形品およびその製
造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、表面に金属結晶粒模様
を現出させた装飾用金属鋳物品において、前記表面の予
め定められた領域からなる模様領域が、該模様領域以外
の基地領域と異なる粒度及び/又は方向性を持つ金属結
晶粒模様を有することを特徴とする装飾用金属鋳物品を
提供する。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の装飾用金属鋳物品において、前記模様領域が、予め定
められた目的位置に向かう方向性を有する金属結晶模様
を有していることを特徴とするものである。
【0009】請求項3に記載の発明では、表面に金属結
晶粒模様を現出させた装飾用金属成形品の製造方法にお
いて、前記表面のうち少なくともその周辺領域とは異な
る粒度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出さ
せる模様領域を予め定めるデザイン工程と、前記予め定
められた模様領域の鋳造凝固時における冷却状態を少な
くともその周辺領域の冷却状態と異ならしめた鋳造工程
と、を含むことを特徴とする装飾用金属成形品の製造方
法を提供する。
【0010】請求項4に記載の発明では、表面に金属結
晶粒模様を現出させた装飾用金属成形品の製造方法にお
いて、前記表面のうち少なくともその周辺領域とは異な
る粒度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出さ
せる模様領域を予め定めるデザイン工程と、前記予め定
められた模様領域に相当する部位に前記表面から突出す
る保温部を前記金属成形品と一体に形成する保温部一体
鋳造工程と、前記鋳造工程の後に前記保温部を削除する
削除工程と、を含むことを特徴とする装飾用金属成形品
の製造方法を提供する。
【0011】請求項5に記載の発明では、表面に金属結
晶粒模様を現出させた装飾用金属成形品の製造方法にお
いて、前記表面のうち少なくともその周辺領域とは異な
る粒度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出さ
せる模様領域を予め定めるデザイン工程と、前記予め定
められた模様領域に相当する部位に冷し金が設置された
状態で冷却を行なう冷し金付き鋳造工程と、を含むこと
を特徴とする装飾用金属成形品の製造方法を提供する。
【0012】
【0013】請求項に記載の発明では、表面に金属結
晶粒模様を現出させた鋳物および圧延板を含む装飾用金
属成形品の製造方法において、成形加工後の金属成形物
表面の少なくともその周辺領域とは異なる粒度及び/又
は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出させる模様領域を
予め定めるデザイン工程と、前記予め定められた模様領
域に同種あるいは異種の金属の肉盛溶接を行なう溶接工
程と、該溶接工程によって形成された肉盛部を削除する
削除工程と、を含むことを特徴とする装飾用金属成形品
の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の第1発明は、模
様領域と基地領域とが互いに異なる金属結晶粒模様が現
出している金属成形品を提供するものであり、金属結晶
粒模様自体が粒度と方向性の少なくとも一方、あるいは
双方が異なるものとなっている。このような金属成形品
では、表面に現出された金属結晶粒模様に多様性が生
じ、より装飾性に富んだ製品を提供することが可能とな
る。
【0015】模様領域自体は、金属成形品の表面のいず
れの部位に設けてもよいが、装飾性を考慮するため、成
形品の表面の視認しやすい場所に大きさや配置等を考慮
して設けることが好ましい。また、基地領域は模様領域
以外の金属表面を言うが、少なくとも模様領域に隣接す
る周辺領域は該当する。これは、模様領域の金属結晶粒
模様が異なることが隣接部位との比較、言い換えると境
界領域を挟んで模様領域と基地領域との金属結晶粒模様
の差異に基づいて認識されるためである。
【0016】次に、請求項2に記載した発明によれば、
模様領域の金属結晶粒模様の方向性が、予め定められた
目的位置に向かうものとなっている。従来の金属結晶粒
模様を利用する金属成形品では、表面にほぼ一様な大き
さの結晶が現れるだけなので、その金属結晶粒模様の装
飾性がさらに増す。ここで、金属結晶粒模様の方向性
は、例えば、所定の方向に伸びた細長い結晶模様が現れ
るものや、それらが隣り合って集合したような模様とな
るもの、更には、所定の方向に沿って結晶模様が現れる
もの等が該当する。
【0017】請求項3に記載の発明では、模様領域と基
地領域とに互いに異なる金属結晶粒模様が現出している
金属成形品の製造方法を提供するものであり、まずデザ
イン工程にて模様領域を決定し、鋳造工程ではここで決
定された模様領域とその他の領域の鋳造凝固時における
冷却状態を制御する。
【0018】すなわち、デザイン工程では、金属成形品
表面のうち少なくともその周辺領域とは異なる粒度及び
/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出させる模様領
域を予め定める。ここでは、製造者の任意の位置及び大
きさを定めることが可能であり、装飾性を考慮して適宜
定めれば良い。次に、鋳造工程では、予め定められた模
様領域の鋳造凝固時における冷却状態が、少なくともそ
の周辺領域の冷却状態と異なるように、冷却状態を制御
すればよい。
【0019】この発明では、例えば模様領域部分の冷却
状態を局所的に異ならしめることで、そこで現出する金
属結晶の成長状態がその他の部分と異なることとなるの
で、この際に結晶粒度や結晶方向性が異なる金属結晶を
模様領域に形成し、結晶粒界による幾何学模様のパター
ンが周囲と異なる領域を局所的に形成する。
【0020】従って、鋳造で金属成形品を制作する際
に、デザインイン工程で製作者が予め定めた領域(模様
領域)について、その周辺領域と鋳造凝固時の冷却状態
を異ならしめれば、任意の個所に少なくともその周辺領
域と異なる結晶粒界による幾何学模様のパターンをもつ
模様領域を形成することができ、製作者の望むような装
飾性に優れた鋳物製品が得られる。
【0021】請求項4に記載の発明は、模様領域と基地
領域とに互いに異なる金属結晶粒模様が現出している金
属成形品の製造方法を提供するものであり、まずデザイ
ン工程にて模様領域を決定し、保温部一体鋳造工程で
は、ここで決定された模様領域に後述する保温部を成形
品と一体に鋳造成型し、その後、保温部削除工程でこの
保温部を削除する。なお、必要に応じて削除面に研磨等
を施して模様領域の成形品表面を形成する。
【0022】デザイン工程では、金属成形品表面のうち
少なくともその周辺領域とは異なる粒度及び/又は方向
性を持つ金属結晶粒模様を現出させる模様領域を予め定
める。次に、保温部一体鋳造工程においては、この予め
定められた模様領域に相当する部位に、鋳造後の鋳物表
面から突出するように構成された保温部を金属成形品と
一体に鋳造形成するものである。
【0023】この突出した保温部の内部では、表層部分
から離れるに従い冷却速度が遅くなるので、内部の結晶
粒の大きさは表層部分より大きくなる。さらに、表層部
分から内部に向かうように結晶が成長するので、この成
長方向に沿うように結晶粒の形や配列に方向性が現れ
る。
【0024】したがって、削除工程にてこの保温部を削
除した表面領域(削除面)では、鋳造凝固の際の冷却速
度が、その周辺領域に比べて遅くなっているため、周辺
領域より粒度の大きい金属結晶粒が現出する。
【0025】また、この削除面の縁部分から内部に向か
って(縁部分から離れる方向に向かって)結晶が成長し
て行くため、削除面の縁部分から所定の方向に向かう結
晶粒に方向性が現れる場合がある。例えば、円形の切断
面であれば、その中心方向に向かうような方向性が現れ
る。
【0026】この切断面部分は、模様領域としてデザイ
ン工程で定められているので、削除工程にてこの保温部
を削除した表面領域を、必要に応じて研磨等を施して、
少なくともその周辺領域のものより大きな結晶粒界によ
る幾何学模様のパターンを持つ模様領域が形成される。
また、保温部の形状等の諸条件によっては、切断部の縁
部分から離れる方向に向かう方向性を持つ結晶粒模様が
形成できる。
【0027】言い換えると、デザイン工程で製作者が定
めた領域に、鋳造工程において表面から突出した保温部
を形成すれば、任意の個所に少なくともその周辺領域よ
り大きな結晶粒界による幾何学模様のパターンを持つ模
様領域を形成することができ、製作者の望むような装飾
性に優れた鋳物製品が得られる。
【0028】また、保温部が形成された領域内において
も、保温効果等の影響により金属結晶粒の形や配列に方
向性を持たせることができるため、保温部の形状を適宜
設定することによって、模様領域の幾何学模様に所望の
方向性を持たせ、装飾に多様性を付与することができ
る。
【0029】さらに、鋳物は固有の色彩を持つが、使用
する金属の組成や不純物等の影響により表層部と内部で
は異なる色彩が現れることがあるので、切断面から形成
される模様領域には、鋳造時の表層に近い周辺領域に対
して若干の色彩変化を生じさせ得る。従って、この色彩
変化によって金属成形品の装飾性をより豊かにすること
もできる。
【0030】なお、鋳造時に突出した保温部を形成する
具体的な手段としては、例えば、目的の領域に対応する
部位に表面から突出した保温部を鋳物本体と一体に形成
するような鋳型を用いれば良い。言い換えると、金属成
型品の鋳型として、該成型品の表面の予め定めた模様領
域に、目的とする成型品の表面から突出した保温部が鋳
造成型時に一体に形成されるように、余分の溶融金属が
溜る保温部空間を有する鋳型を用いると良い。
【0031】請求項5に記載の発明は、模様領域と基地
領域とに互いに異なる金属結晶粒模様が現出している金
属成型品の製造方法を提供するものであり、まずデザイ
ン工程にて模様領域を決定し、冷し金付き鋳造工程で
は、ここで決定された模様領域に冷し金を宛てがって成
形品を鋳造する。なお、必要に応じて冷し金が宛てがわ
れていた領域に研磨等を施して模様領域の成形品表面を
形成する。
【0032】デザイン工程では、金属成形品表面のうち
少なくともその周辺領域とは異なる粒度及び/又は方向
性を持つ金属結晶粒模様を現出させる模様領域を予め定
める。次に、冷し金付き鋳造工程においては、鋳造凝固
時に、ここで予め定められた模様領域に相当する部位に
のみ冷し金が設置された状態で冷却が行なわれるように
金属成形品を鋳造形成するものである。
【0033】冷し金が宛てがわれた表面領域は、鋳造凝
固の際に少なくともその周辺領域より冷却速度が速くな
るので、周辺領域より粒度の小さい金属結晶粒が現出す
る。この冷し金が宛てがわれた領域は、模様領域として
デザイン工程で定められているので、鋳造凝固後のこの
表面領域を、必要に応じて研磨等を施して、少なくとも
その周辺領域のものより小さい結晶粒界による細かい幾
何学模様のパターンを持つ模様領域が形成される。ま
た、冷し金の形状等の諸条件によっては、縁部分(境界
部分)から離れる方向に向かう方向性を持つ結晶粒模様
が形成できる。
【0034】言い換えると、デザイン工程で製作者が定
めた領域に、鋳造工程において冷し金を用いれば、任意
の個所に少なくともその周辺領域より小さな結晶粒界に
よる幾何学模様のパターンをもつ模様領域を形成するこ
とができ、製作者の望むような装飾性に優れた鋳物製品
が得られる。
【0035】なお、冷し金による冷却効果の分布によっ
て、金属結晶粒に方向性を持たせることができるため、
冷し金を適宜設定することによって、模様領域の幾何学
模様の形や配列に所望の方向性を持たせ、装飾に多様性
を付与することができる。
【0036】鋳造凝固時に冷し金を宛てがって冷却促進
部を形成する具体的な手段としては、例えば、目的の領
域に対応する部位に冷し金が予め設置された鋳型を用い
れば良い。また、その周辺領域より小さい結晶粒界によ
る幾何学模様のパターンを持つ模様領域を形成するに
は、上記のような冷し金を利用する方法だけでなく、鋳
造凝固過程で局所的に冷却速度を促進することのできる
方法であれば利用できる。例えば、冷し金の代わりに、
鋳型に強制水冷部を設ける方法でも良い。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】請求項に記載した発明は、模様領域と基
地領域とに互いに異なる金属結晶粒模様が現出している
金属成形品の製造方法を提供するものであり、まずデザ
イン工程にて模様領域を決定し、溶接工程では、ここで
決定された模様領域に、同種あるいは異種の金属の肉盛
溶接を行ない、その後、肉盛部削除工程でこの肉盛部を
削除する。なお、必要に応じて削除面の研磨等を施して
模様領域の成形品表面を形成する。
【0045】デザイン工程では、金属成形品表面のうち
少なくともその周辺領域とは異なる粒度及び/又は方向
性を持つ金属結晶粒模様を現出させる模様領域を予め定
める。次に、溶接工程にて、この模様領域に、同種ある
いは異種の金属の肉盛溶接を行なうものである。
【0046】この肉盛溶接された肉盛部の内部では、溶
接加熱後の再結晶化の際の冷却状態や組成変化によって
少なくともその周辺領域の結晶状態と異ならしめること
ができる。即ち、溶接加熱後の再結晶時の冷却速度を遅
くする方向へ制御すれば肉盛部の金属結晶粒度を大型化
させることができ、逆に冷却速度を早くする方向へ制御
すれば再結晶化領域の結晶粒度を微細化させることがで
きる。
【0047】したがって、削除工程にてこの肉盛部分を
削除した表面領域(削除面)では、模様領域としてデザ
イン工程で定められているので、削除面を、必要に応じ
て研磨等を施して、少なくともその周辺領域のものより
大きな結晶粒界による幾何学模様のパターン或は小さな
結晶粒界による細かい幾何学模様のパターンを持つ模様
領域が形成される。
【0048】また、金属成形品は固有の色彩を持つが、
溶接加熱部分ではその他の部分と異なる色彩が現れるこ
とがあることから、加熱によって再結晶化されて形成さ
れる模様領域に、その周辺領域に対して若干の色彩変化
を生じさせ得る。特に、異種金属との溶接を行なった場
合には、周辺部とは異なる組成の合金となるので、その
合金化の影響から色彩変化は顕著となるため、金属成形
品の装飾性をより豊かにすることもできる。
【0049】言い換えると、デザイン工程で製作者が定
めた領域に対して適宜選択した金属を肉盛溶接を行な
い、且つ所望の結晶粒の大きさとなるように冷却状態を
制御して再結晶化させれば、任意の個所に少なくともそ
の周辺領域に対して大きな或は小さな結晶粒界による幾
何学模様のパターン変化をもつと共に色彩変化をもつ模
様領域を形成することができ、製作者の望むような装飾
性に優れた金属成形品を得ることができる。
【0050】なお、加熱領域では加熱中心に近い程冷却
速度が遅くなるため、結晶方向は加熱部の中心へ向か
う。従って、この加熱溶接・再結晶を行なう方法では、
結晶粒模様に加熱中心への方向性が付与でき、また加熱
溶接位置の移動方向に沿って方向性を持つ結晶粒模様を
隣り合った状態で配列することができ、さらに装飾性を
多様化させることも可能である。
【0051】なお、上記第6および第7発明のような再
結晶化工程を利用した模様領域の形成は、ほぼ製品形態
に近い成形加工後の金属成形物であれば可能で、例え
ば、鋳物や圧延加工板などに対して行なう。デザイン工
程における模様領域の決定は、成形加工の前でも後でも
良いことは言うまでもない。
【0052】
【実施例】以下、本発明の一実施例として、金属結晶粒
模様を現出させた表面のうち、予め定められた領域に、
その他の部分と異なる粒度の金属結晶粒模様を有する装
飾用金属鋳物の製造方法を説明する。
【0053】(実施例1)本発明の第1の実施例とし
て、鋳造凝固過程において、表面より突出した保温部を
一体に形成することによって局所的に少なくともその周
辺領域より大きな結晶粒度を持つ領域を形成し、結晶粒
模様にパターン変化を生じさせた装飾用鋳物を製造する
場合を以下に示す。
【0054】まず、作品のデザイン工程として、金属鋳
物成形品の形状と共に、基地領域に対して異なる金属結
晶粒模様が現出する模様領域を定める。この予め設計さ
れたデザインに基づいて模型を作製し、さらにこの模型
を用いて砂型で鋳型を作成した。このとき、模様領域を
形成したい所望の部位に保温部が形成されるように、溶
融金属がたまる空間を鋳型に備えておく。ここでは、1
00mm×100mm,厚さ10mmの板状本体1に対
して、本体平面上に内径60mm,外径80mm,高さ
約15mmの円筒状保温部2が形成される設計とした。
【0055】この保温部用の空間を備えた鋳型に、銅7
0wt%−亜鉛30wt%の組成を持つ金属材料を溶融
温度1050℃で溶融金属としたものを、鋳込み温度9
80℃で注入して鋳造を行なった。鋳造後、空冷自然凝
固によって冷却を行なった。図1の(a)に示すよう
に、鋳型から取り出した凝固後鋳物の本体1には、突出
した円筒状の保温部2が形成されている。この保温部2
の内部で現出されている結晶粒は、本体1表層部の少な
くとも保温部2の周辺領域より冷却速度が遅くなってい
たため、周辺領域の結晶粒より粒度が大きく成長してい
る。
【0056】そこで、保温部削除工程でこの保温部2を
削除し、表面仕上げ加工としてバリ部も除去して表面研
磨を行なうと、図1(b)に示すように、保温部2が削
除された表面領域に、その周辺領域(基地領域)の模様
と異なるパターン、ここでは周辺領域より大型化した結
晶粒界による幾何学模様が現出した円環状の模様領域4
を持つ鋳物製品3が得られる。
【0057】この鋳物製品3の基地領域の平均結晶粒径
は3mmであり、これに対して模様領域4の平均結晶粒
径は5mmであった。なおこの模様領域4では、円環の
内外両縁から中へ向かう結晶方向を持ち、結晶粒形状は
基地領域の結晶粒模様より若干細長くなっており、模様
領域4の長手方向の平均結晶粒径は8mmであった。さ
らに模様領域4以外の基地領域より若干薄くなった色彩
変化を生じている。このようにして得られた装飾用金属
鋳物としての鋳物製品3は、必要に応じて、さらにエッ
チング処理や表面被覆等の仕上げ処理を行なう。
【0058】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
として、鋳造凝固過程において保温部だけでなく冷し金
も利用し、保温部の保温効果と当て金部の冷却促進効果
によって局所的に基地領域に対して大きな結晶粒模様を
持つ模様領域と小さな結晶粒模様を持つ模様領域を形成
させた壷状鋳物を製造する場合を以下に示す。
【0059】まず、作品のデザイン工程として、金属鋳
物成形品の形状と共に、基地領域に対して大きい金属結
晶粒模様が現出する模様領域と、より小さい金属結晶粒
模様が現出する模様領域とを定める。このデザインに基
づいて模型を作製し、さらにこの模型を用いて砂型で鋳
型を作成した。
【0060】このとき、鋳型には、基地領域に対して大
きな金属結晶粒よる模様領域を形成したい所望の部位に
保温部が形成され得る溶融金属だまり用の空間を備えて
おき、基地領域に対して細かい金属結晶粒による模様領
域を形成したい部位に冷し金を設置しておく。ここで
は、高さ200mm,底面径80mm,上部開口外径2
5mmの壷状本体11に対して、本中央部平面上に径3
5mm,高さ約20mmの円柱状保温部12が形成され
る設計とし、さらに、本体下部の所定位置に相当する位
置に10mm×10mm,厚さ4mmの四角板状冷し金
13を配置した。
【0061】このような保温部用の空間および冷し金を
備えた鋳型に、銅75wt%−亜鉛25wt%の組成を
持つ金属材料を溶融温度1100℃で溶融金属としたも
のを、鋳込み温度1000℃で注入して鋳造を行なっ
た。鋳造後、空冷自然凝固によって冷却を行なう。
【0062】図2の(a)に示すように、鋳型から取り
出した凝固後鋳物の本体11には、突出した円柱状保温
部12が形成されている。この保温部12で内部現出さ
れている金属結晶は、本体11表層部の少なくともその
周辺領域より冷却速度が遅いため、結晶粒度がより大き
く成長しており、さらに保温部12の円柱軸に向かうほ
ど冷却速度が遅いため、結晶成長方向も軸中心へ向かっ
ている。また、当て金13の当接している部分で現出し
ている金属結晶は、少なくともその周辺領域の表層部よ
りも冷却速度が速いため、結晶粒度が小さくなってい
る。
【0063】そこで、保温部削除工程で円柱状保温部1
2を削除し、当て金13を剥し、表面仕上げ加工として
バリ部も除去して表面研磨することにより、図2(b)
に示すような、表面の保温部12削除領域に、その周辺
の基地領域より大型化していると共に中心に向かって細
長い結晶粒界による放射状の幾何学模様が現出した円状
の模様領域15を持つ鋳物製品14が得られた。
【0064】この鋳物製品14の基地領域の平均結晶粒
径は5mmであり、これに対して円状の模様領域15の
平均結晶粒径は長手方向で12mmと、基地領域の結晶
粒模様に比べて長細くなっている。なお円状の模様領域
15では、それ以外の基地領域より若干薄くなった色彩
変化を生じていた。
【0065】また、冷し金13が宛てがわれていた領域
には、その周辺の基地領域より細かい結晶粒界による幾
何学模様が現出した模様領域16が形成されていた。こ
の細かい模様領域16の平均結晶粒度は2mmであっ
た。また模様領域16の、冷し金縁部に相当する基地領
域との境界領域16aでは、模様領域16の中心に向か
って徐々に結晶粒形状が細く小さくなっていくという結
晶粒度のグラデーションと、方向性が生じていた。この
ようにして得られた装飾用金属鋳物としての製品14
は、必要に応じて、さらにエッチング処理や表面被覆等
の仕上げ処理を行なう。
【0066】上記実施例1および実施例2では、全体的
に一様な結晶粒模様の基地領域に対して模様領域を形成
した金属壷を示したが、一つの製品で互いに結晶粒度が
異なる複数の基地領域を設け、各基地領域に対してそれ
ぞれ模様領域を形成する設計とすると、デザインのさら
なる多様化を実現できる。このような手法は、特に2つ
以上の部材の組合せからなる製品の場合容易に実施でき
る。
【0067】例えば、図3に示す金属筒のように、本体
筒部18aと蓋部18bの2部材から製品では、各々異
なる冷却条件で鋳造凝固を行なえるので、互いに異なる
結晶粒度の基地領域が形成できる。図3の金属筒では、
本体筒部18aの鋳造凝固時の冷却速度をかなり遅くす
ることによって非常に大きな結晶粒界による幾何学模様
を現出させ、一方、蓋部18bの鋳造凝固時の冷却速度
を比較的早くすることにより微細な結晶粒界による幾何
学模様を現出させた。このとき、蓋部18bに半円柱状
の保温部を設けることにより、基地領域より大きく且つ
長めの結晶粒形状を持つ半放射状の結晶粒模様領域19
を形成することができた。
【0068】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例
として、圧延加工後の圧延板の所望の部位に、局部的に
溶融あるいは半溶融状態になるまで加熱し、その熱影響
部を再結晶化させることによって基地領域に対して大き
な結晶粒模様を持つ模様領域を形成させた装飾用金属板
を製造する場合を示す。ここでは、局所的な加熱手段と
して、電気アークを用いた。
【0069】まず、作品のデザイン工程として、圧延板
の形状と、基地領域に対して大きい金属結晶粒模様が現
出する模様領域を決定しておく。このデザインに基づい
て銅80wt%−亜鉛20wt%の組成を持つ金属材料
を用いて圧延加工して圧延板21(100mm×60m
m,厚さ10mm)を作製した。図4の(a)に示すよ
うに、この圧延板21表面において、模様領域とした中
央部の幅10mm程度の帯状領域に対して、電気アーク
22によって加熱温度1000〜1100℃で半溶融状
態になるまで加熱した。
【0070】電気アーク22によって加熱された熱影響
部23を、比較的遅い冷却速度となるセラミックウール
で保温するという環境下で徐冷して再結晶化させる。こ
の再結晶化によって現出する金属結晶粒は、少なくとも
その周辺領域の表層部の結晶粒より粒度が大きくなる。
また、加熱中心、この場合帯状の熱影響部23の中心ほ
ど冷却速度が遅いので、再結晶の成長方向は、帯状領域
の縁から中心線に向かっている。
【0071】さらに、表面仕上げ加工として、バリ部等
を除去して表面研磨することにより、図4(b)に示す
ような、熱影響部23であった領域に、その周辺領域
(基地領域)より大きく且つ加熱中心に向かって若干細
長く伸びた結晶粒形状が加熱移動方向に沿って隣り合っ
て配列された状態の幾何学模様が現出した帯状の模様領
域25を持つ金属板製品24が得られた。
【0072】この金属板製品24の基地領域の平均結晶
粒径は1mmであり、これに対して帯状の模様領域25
の平均結晶粒径は5mmであった。なお、熱影響部23
での加熱処理によって、熱影響部23であった帯状模様
領域25には、周辺領域に対してわずかな色彩変化が得
られた。
【0073】なお、熱影響部23の再結晶化を、急冷し
て再結晶化させると、逆に、周辺の基地領域より小型化
した結晶粒界による微細な幾何学模様が現出された模様
領域が形成できる。従って、製作者の好みのデザインに
応じた結晶粒度となるように冷却状態を制御すれば良
い。
【0074】このようにして得られた装飾用金属鋳物と
しての金属板製品24は、必要に応じてさらにエッチン
グ処理や表面被覆等の仕上げ処理を行なう。また、加熱
手段としては、上記のような電気アークに限らず、例え
ばレーザなど、局所的に金属を再結晶化温度以上、溶融
或は半溶融状態まで加熱できるものであれば良い。
【0075】(実施例4)次に、本発明の第4の実施例
として、圧延加工後の圧延板の所望の部位に、局所的に
同種金属を溶接して形成された肉盛部の再結晶化によっ
て、基地領域に対して大きな結晶粒模様を持ち、色彩変
化の生じた模様領域を形成させた装飾用金属板を製造す
る場合を以下に示す。
【0076】まず、作品のデザイン工程として、圧延板
の形状と、基地領域に対して大きい金属結晶粒模様が現
出する模様領域を決定しておく。このデザインに基づい
て銅60wt%−亜鉛40wt%の組成を持つ金属材料
を用いて圧延加工して圧延板31(100mm×60m
m,厚さ10mm)を作製した。図5の(a)に示すよ
うに、この圧延板31表面の模様領域とした中央部の幅
10mm程度の帯状領域に対して、電気アーク33によ
って加熱温度950〜1050℃で圧延板と同組成の肉
盛用金属32を加熱溶接していった。
【0077】溶接された部分は、セラミックスウールで
保温するという環境下において徐冷され再結晶化し肉盛
部34を形成する。この肉盛部34で内部現出している
結晶粒は、少なくともその周辺領域の表層部の結晶粒よ
り粒度が大きくなっている。また、加熱中心、この場合
帯状の溶接肉盛部34の中心ほど冷却速度が遅いので、
再結晶の成長方向は、帯状領域の縁から中心線に向かっ
ている。
【0078】従って、肉盛部削除工程で肉盛部34を削
除して表面を平滑にし、表面仕上げ加工においてバリ部
等を除去して研磨すると、図5(b)に示すように、肉
盛部34であった領域に、その周辺領域(基地領域)よ
り大きく、且つ加熱中心に向かって若干細長く伸びた結
晶粒形状が加熱移動方向に沿って隣り合って配列された
状態の幾何学模様が現出した帯状の模様領域36を持つ
金属板製品35が得られる。
【0079】この金属板製品35では、基地領域の平均
結晶粒径は1mmであり、これに対して帯状の模様領域
36の平均結晶粒径は6mmであった。また模様領域3
6は、その周辺の基地領域より亜鉛が抜けたように淡く
なって色彩変化が生じていた。ここでは、肉盛溶接用金
属として、圧延板本体の金属と同種のものを用いたが、
適宜選択された異種の金属を溶接すると、合金化の影響
から色彩変化がより顕著な製品を製造することができ
る。
【0080】本実施例では、再結晶化の際に冷却速度を
遅く制御することによって基地領域より大きな結晶粒界
による幾何学模様を持つ模様領域を形成したが、逆に、
急冷して再結晶化させると、周辺の基地領域より小型化
した結晶粒界による微細な幾何学模様が現出された模様
領域が形成できるが得られる。
【0081】例えば、図6の平面模式図に示した金属円
盤37のように、平面の楕円環領域に金属を溶接肉盛
し、この肉盛溶接部の再結晶化の際の冷却速度を非常に
早くすると、再結晶化後の肉盛部を削除して表面研磨し
て得られる模様領域38は、周辺の基地領域より微細な
結晶粒模様が形成できた。
【0082】
【発明の効果】請求項1に記載の発明は、以上説明した
とおり、表面の予め定められた領域からなる模様領域
が、該模様領域以外の基地領域と異なる粒度及び/又は
方向性を持つ金属結晶粒模様を有する装飾用金属成形品
であるため、その模様領域によって従来より装飾性に富
んだ金属成形品を提供することが可能となる。特に、請
求項2に記載の発明では、金属結晶模様が、予め定めら
れた目的位置に向かう方向性を有しているので、模様領
域に製作者の望む多様性が生じる。
【0083】また、請求項3に記載の発明の製造方法に
よれば、以上説明したとおり、予め定めた模様領域の鋳
造凝固時における冷却状態を、少なくともその周辺領域
の冷却状態と異ならしめることによって、そこで現出す
る金属の結晶粒度が少なくともその周辺領域と異なり、
結晶粒界による幾何学模様のパターンも異なって、従来
より装飾性に富んだ金属成形品を得ることができる。
【0084】また、請求項4に記載の発明の製造方法に
よれば、以上説明したとおり、鋳造工程において、予め
定めた模様領域に相当する部位に、表面から突出する保
温部を前記金属成形品と一体に形成することによって、
その模様領域に現出する金属の結晶粒度を少なくともそ
の周辺領域より大きく成長させ、大型化した結晶粒界に
よる幾何学模様を形成することができ、また保温部の形
状を適宜設定することによって結晶粒の形状や配列に方
向性を持たせることもでき、従来より装飾性に富んだ金
属成形品を得ることができる。
【0085】また、請求項5に記載の発明の製造方法に
よれば、以上説明したとおり、鋳造工程において、予め
定めた模様領域に相当する部位にのみ冷し金が設置され
た状態で冷却を行なうことによって、その模様領域に現
出する金属の結晶粒度を少なくともその周辺領域より細
かくして微細化した結晶粒界による幾何学模様を形成す
ることができ、また冷し金の形状を適宜設定することに
よって結晶粒の形状や配列に方向性を持たせることもで
き、従来より装飾性に富んだ金属成形品を得ることがで
きる。
【0086】
【0087】また、請求項に記載の発明の製造方法に
よれば、以上説明したとおり、予め定められた模様領域
に、同種あるいは異種の金属の肉盛溶接を行なうことに
よって、その毛様領域に現出する金属の結晶粒度を少な
くともその周辺領域より大きくあるいは細かくすること
ができ、大型化あるいは微細化した結晶粒界による幾何
学模様を形成することができ、また、加熱位置および加
熱方向によっては結晶粒に所望の方向性を付与すること
ができるだけでなく、色彩の変化まで生じさせることが
できるので、従来より、さらに装飾性に富んだ金属成形
品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による装飾用金属鋳物の
製造工程を説明する模式図である。
【図2】本発明の第2の実施例による装飾用金属鋳物の
製造工程を説明する模式図である。
【図3】それぞれ互いに異なる結晶粒度の基地領域を持
つ2部材からなる装飾用金属鋳物の一例としての金属筒
の模式図である。
【図4】本発明の第3の実施例による装飾用金属鋳物の
製造工程を説明する模式図である。
【図5】本発明の第4の実施例による装飾用金属鋳物の
製造工程を説明する模式図である。
【図6】肉盛溶接によって模様領域が形成された装飾用
金属鋳物の一例としての金属円盤の平面模式図である。
【図7】一様な結晶粒模様を持つ従来の装飾用金属鋳物
(花瓶)の模式図である。
【符号の説明】
1,11,21,31:本体 2,12:保温部 3:金属鋳物製品 4,15,19:(保温部で形成された)模様領域 13:当て金部 14:金属鋳物製品 16:(当て金部で形成された)模様領域 22,33:電気アーク 23:熱影響部 24:金属板製品 25:(熱影響部で形成された)模様領域 32:肉盛用金属 34:肉盛部 35:金属板製品 36:(肉盛部で形成された)模様領域 37:金属円盤 38:(肉盛部再結晶化の際に急冷されて形成された)
模様領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 英夫 富山県高岡市長慶寺774 有限会社中村 製作所内 (56)参考文献 特公 昭55−51435(JP,B2) 特公 昭51−8822(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B44C 1/00 B21B 45/00 B22D 25/02 B23K 9/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に金属結晶粒模様を現出させた装飾
    用金属鋳物品において、 前記表面の予め定められた領域からなる模様領域が、該
    模様領域以外の基地領域と異なる粒度及び/又は方向性
    を持つ金属結晶粒模様を有することを特徴とする装飾用
    金属鋳物品。
  2. 【請求項2】 前記模様領域が、予め定められた目的位
    置に向かう方向性を有する金属結晶粒模様を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の装飾用金属鋳物品。
  3. 【請求項3】 表面に金属結晶粒模様を現出させた装飾
    用金属成形品の製造方法において、 前記表面のうち、少なくともその周辺領域とは異なる粒
    度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出させる
    模様領域を予め定めるデザイン工程と、 前記予め定められた模様領域の鋳造凝固時における冷却
    状態を、少なくともその周辺領域の冷却状態と異ならし
    めた鋳造工程と、 を含むことを特徴とする装飾用金属成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 表面に金属結晶粒模様を現出させた装飾
    用金属成形品の製造方法において、 前記表面のうち、少なくともその周辺領域とは異なる粒
    度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出させる
    模様領域を予め定めるデザイン工程と、 前記予め定められた模様領域に相当する部位に、前記表
    面から突出する保温部を前記金属成形品と一体に形成す
    る保温部一体鋳造工程と、 前記鋳造工程の後に前記保温部を削除する削除工程と、 を含むことを特徴とする装飾用金属成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 表面に金属結晶粒模様を現出させた装飾
    用金属成形品の製造方法において、 前記表面のうち、少なくともその周辺領域とは異なる粒
    度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模様を現出させる
    模様領域を予め定めるデザイン工程と、 前記予め定められた模様領域に相当する部位に冷し金が
    設置された状態で冷却を行なう冷し金付き鋳造工程と、 を含むことを特徴とする装飾用金属成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 表面に金属結晶粒模様を現出させた鋳物
    および圧延板を含む装飾用金属成形品の製造方法におい
    て、 成形加工後の金属成形物表面の、少なくともその周辺領
    域とは異なる粒度及び/又は方向性を持つ金属結晶粒模
    様を現出させる模様領域を予め定めるデザイン工程と、 前記予め定められた模様領域に、同種あるいは異種の金
    属の肉盛溶接を行なう溶接工程と、 該溶接工程によって形成された肉盛部を削除する削除工
    程と、 を含むことを特徴とする装飾用金属成形品の製造方法。
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