JP2951327B1 - 放熱材 - Google Patents

放熱材

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Abstract

【要約】 【課題】 ネジやバネを用いることなく固定でき、使用
場所の制約を少なくした放熱材を提供する。 【解決手段】 放熱部材10は、ポリエステル系ウレタ
ン又はポリエーテル系ウレタンの発泡材料に金属メッキ
を施したものであり、外部同士を連通する連続気泡11
を有している。一方、熱伝導部材20は、例えばスチレ
ン系エラストマ等のベースポリマの網目状組織の間隙に
液状成分と、伝熱性フィラーであるアルミナの微粒子と
を包含させ、全体として流動性を失わせたものである。
そして、熱伝導部材20を成形する際、放熱部材10の
一部を熱伝導部材20に埋没させて硬化させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品等の発熱
体、又は該発熱体によって加熱される被加熱体の放熱を
行うために用いられる放熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器等に使用されているIC
等の電子部品は、その集積度の向上及び動作の高速化に
より消費電力が増大すると共に発熱量も増大し、電子機
器の誤動作や電子部品自体の故障の一因となっているた
め、その放熱対策が大きな問題となっている。
【0003】そこで、従来より、電子機器等において
は、その使用中に電子部品の温度上昇を抑えるために、
黄銅、アルミニウム等、熱伝導率の高い金属板を用いた
ヒートシンクが使用されている。このヒートシンクは、
その電子部品が発生する熱を伝導し、その熱を外気との
温度差によって表面から放出する。したがって、外気と
の接触面、すなわちヒートシンクの表面積が大きいほ
ど、放熱され易い。そのため、ヒートシンクには放熱フ
ィンを設けたものもあった。また、電子部品が発生する
熱をヒートシンクに効率よく伝導するための熱伝導部材
を、電子部品とヒートシンクとの間に介装させるのが一
般的であった。この熱伝導部材には、熱伝導性シリコー
ンゴム等を用いて柔軟性を高くし、電子部品及びヒート
シンクとの密着性を高める工夫がなされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような金
属板からなるヒートシンクは、使用場所の制約を受ける
と共に重量が大きくなるため、取り扱いにくいという問
題があった。例えば、このようなヒートシンクを使用す
る場合、予め種々の大きさ、形状のものを用意してお
き、プリント配線板あるいは電子部品の大きさに合わ
せ、また、プリント配線板に対しヒートシンクを配置す
る側の空間に合わせ、用意されたものの中から適当なも
のを選定して用いる必要があった。また、上述したよう
に重量が大きくなるため、電子部品の実装されたプリン
ト配線板に固定するために、ネジで止めたり、バネで押
さえたりする必要があった。
【0005】本発明は、ネジやバネを用いることなく固
定でき、使用場所の制約を少なくした放熱材を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上述の目
的を達成するためになされた請求項1に記載の放熱材
は、外部同士を連通する空隙を設けた3次元網状構造を
有し、金属材料又は金属メッキを施した材料で形成され
た放熱部材と、放熱部材に連接された部材であり、発熱
体に密接可能な柔軟性を有する基材中に熱伝導フィラー
を分散させて形成され、当該基材が表面に粘着性を有す
る又は当該基材の表面に粘着層を設けた熱伝導部材とを
備えることを特徴としている。
【0007】本発明の放熱材は、放熱部材と熱伝導部材
とを備え、熱伝導部材が、IC等の電子部品に当接し、
その電子部品の熱を連接された放熱部材へ伝導する。そ
して、その熱は、外気との温度差によって放熱部材から
外気へ放出される。ここで、放熱部材は、外部同士を連
通する空隙を設けた3次元網状構造を有しているため、
外気との接触面積が大きく熱を放出し易い。また、金属
又は金属メッキを施した材料を用いているため、高い熱
伝導率を有する。したがって、放熱部材へ伝えられた熱
は、速やかに外気へ放出される。また、放熱部材に連接
された熱伝導部材は、発熱体に密接可能な柔軟性を有す
る基材で形成されているため、電子部品の凹凸に対し確
実に密接し、基材中に分散された熱伝導フィラーによっ
て、電子部品の熱を効率よく放熱部材に伝導する。した
がって、発熱体からの熱は、熱伝導部材を介し放熱部材
から効率よく外気中へ放出されることになる。
【0008】このような放熱機能に加え、特に、本発明
の放熱部材は、3次元網状構造を有するため、金属板を
用いた従来のヒートシンクと比較して容易に切断でき
る。つまり、本発明の放熱材は、プリント配線板あるい
は電子部品の大きさに合わせ、適当な大きさに切断して
使用することができるのである。その結果、使用場所の
制約が少なくなる。
【0009】また、放熱部材が、3次元網状構造である
ことは、重量の低減につながる。そして、この放熱部材
に連接された熱伝導部材は、表面に粘着性を有している
ため、あるいは、表面に粘着層が設けられているため、
IC等の電子部品に貼着され、従来のようにネジやバネ
を用いて固定する必要がない。
【0010】ところで、上述したような3次元網状構造
を有する放熱部材は、例えば請求項2に示すように、連
続気泡を有する発泡金属又は連続気泡を有する金属メッ
キを施した発泡樹脂によって形成することが考えられ
る。ここで、連続気泡(open cell )とは、壁によって
完全には囲まれていない気泡をいう。したがって、連続
気泡を有する発泡材では、大部分の気泡が相互に連結
し、気体がある気泡から他の気泡へと自由に移動するこ
とができ、外部同士を連通する。また、例えば請求項3
に示すように、金属繊維又は金属メッキを施した繊維に
よって形成することが考えられる。例えば金属製又は金
属メッキを施した糸状あるいはテープ状の材料を用いる
ことが考えられる。すなわち、このような糸状あるいは
テープ状の材料を編んだり、又は、編まずに適当に折り
曲げたりして、外部同士を連通する空隙をつくるという
具合である。
【0011】なお、プリント配線板に対し放熱材を配置
する側の空間が小さい場合も考えられる。例えば、プリ
ント配線板が筐体の内面に近い位置に配置される場合等
が挙げられる。そこで、請求項4に示すように、外力に
よって弾性変形する材料を用いて放熱部材を形成すると
さらによい。例えば発泡樹脂を用いる場合は、ポリエス
テル系、ポリエーテル系のウレタン樹脂を用いることが
考えられ、また、金属繊維を用いる場合は、ベリリウム
銅線等を用いることが考えられる。このようにすれば、
放熱材を配置する空間が小さい場合であっても、放熱部
材の弾性変形によって、その空間に放熱材を配置できる
可能性が高くなる。結果として、使用場所の制約をより
少なくすることができる。
【0012】このように、放熱部材が弾性を有する構成
とした場合、本発明の放熱材は、本放熱材とは別体の筐
体パネル等のヒートシンクとなる部品(以下、単に「ヒ
ートシンク」という。)と発熱体との間に介装され、発
熱体からヒートシンクへの熱を伝導する熱伝導材料とし
て利用することもできる。すなわち、この場合、発熱体
から熱伝導部材を介して放熱部材へ伝導された熱は、放
熱部材が当接するヒートシンクへ伝わり、ヒートシンク
から外部へ放出される。
【0013】ところで、熱伝導部材は、例えば接着剤等
を用いて放熱部材に貼り合わせることで放熱部材に連接
してもよいが、請求項5に示すように、熱伝導フィラー
の分散に加え又は分散に代え、放熱部材の一部を基材中
に埋没させて、熱伝導部材を形成することも考えられ
る。放熱部材は金属あるいは金属メッキを施した材料で
できているため、熱伝導部材内部を伝導する熱の一部
は、熱伝導部材内部に埋没している放熱部材を介して伝
導する。すなわち、放熱部材の一部を熱伝導部材に埋没
させることによって、熱伝導率を向上させることができ
る。その結果、この場合、熱伝導部材の基材中に熱伝導
フィラーを分散させても、又は、分散させなくてもよ
い。放熱部材の一部を熱伝導部材に埋没させ、さらに、
熱伝導フィラーを分散させれば、より高い熱伝導性が得
られることになる点で有利であり、放熱部材の一部を熱
伝導部材に埋没させるだけで、熱伝導フィラーを分散さ
せなければ、放熱材の形成に要する手間が少なくなる点
で有利である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、本実
施形態の放熱材を示しており、図1は斜視図、図2は側
面図である。図1及び図2に示したように、本実施形態
の放熱材は、放熱部材10と熱伝導部材20とを備えて
いる。
【0015】放熱部材10は、ポリエステル系ウレタン
又はポリエーテル系ウレタンの発泡材料に金属メッキを
施したものであり、外部同士を連通する連続気泡11を
有している。一方、熱伝導部材20は、ゲル状材料で形
成されている。ゲル状材料は、例えばスチレン系エラス
トマ等のベースポリマの網目状組織の間隙に液状成分
と、伝熱性フィラーであるアルミナの微粒子とを包含さ
せ、全体として流動性を失わせたものである。このよう
なゲル状材料は、包含される液状成分によって表面に粘
着性を有する。具体的には、特許公報第2728607
号に開示された製造方法にて形成される熱伝導シートを
利用することも考えられるし、米国特許公報第4602
678号,第4685987号に開示される熱伝導シー
トを利用することも考えられる。
【0016】ベースポリマとしては、スチレン系以外
に、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種の熱
可塑性エラストマ、シリコーン系、ウレタン系、エポキ
シ系のなどの熱硬化性エラストマ、スチレン系、ABS
系、オレフィン系などの熱可塑性樹脂及びこれらの樹脂
のゴム変成物などを用いることが考えられる。
【0017】また、ゲル状材料に用いる液状成分は、可
塑剤ないしは軟化剤として働くもので、室温で液体また
は液状の材料が好ましいが、必ずしもこの限りではな
い。また、親水性、疎水性のいずれの軟化剤も使用で
き、鉱物油系、植物油系、合成系などの各種のゴム用ま
たは樹脂用軟化剤を特に限定なく用いることができる。
【0018】さらにまた、熱伝導フィラーとしては、ア
ルミナの他に、水酸化アルミ、SiC、酸化ベリリウ
ム、窒化アルミ、窒化ボロン等を用いることができる。
そして、図2に示すように、本実施形態の放熱材は、熱
伝導部材20を成形する際、放熱部材10の一部を熱伝
導部材20に埋没させて硬化させた。
【0019】次に、本実施形態の放熱材の発揮する効果
を説明する。本実施形態の放熱材では、放熱部材10
が、金属メッキを施したウレタン樹脂を用いているため
高い熱伝導率を有することに加え、連続気泡11を有す
るウレタン樹脂の発泡材で形成されているため、通気性
があり、外気との接触面積が大きく、熱を放出し易い。
したがって、放熱部材へ伝えられた熱は、速やかに外気
へ放出される。また、放熱部材10に連接された熱伝導
部材20は、ゲル状の基材で形成されているため、電子
部品に対し確実に密着し、基材中に分散されたアルミナ
の熱伝導フィラーによって、電子部品の熱を効率よく、
上述した放熱部材10に伝導する。したがって、発熱体
からの熱は、熱伝導部材20を介して放熱部材10から
効率よく外気中へ放出されることになる。図3では、プ
リント配線板30上に実装された電子部品31に対して
熱伝導部材20が確実に密着した様子を示している。
【0020】このような放熱機能に加え、特に、本実施
形態の放熱部材10は、ウレタン樹脂の発泡材であるた
め、多数の連続気泡11を有する。したがって、金属板
を用いた従来のヒートシンクと比較して容易に切断でき
る。つまり、本実施形態の放熱材は、プリント配線板あ
るいは電子部品の大きさに合わせ、適当な大きさに切断
して使用することができるのである。その結果、使用場
所の制約を少なくすることができる。
【0021】また、放熱部材10が、発泡材であり、多
数の連続気泡11を有することは、重量の低減につなが
る。そして、この放熱部材10に連接された熱伝導部材
20は、表面に粘着性を有しているため、図3に示すよ
うなIC等の電子部品31に貼着され、従来のようにネ
ジやバネで固定する必要がない。
【0022】さらに、本実施形態の放熱材では、放熱部
材10がウレタン樹脂で形成されており、外力によって
弾性変形する。したがって、放熱材を配置する空間が小
さい場合であっても、放熱部材10の弾性変形によっ
て、その空間に放熱材を配置できる可能性が高くなる。
すなわち、使用場所の制約がより少なくなっている。ま
た、放熱部材10が弾性変形するため、本実施形態の放
熱材は、別体のヒートシンクと発熱体との間に介装さ
れ、発熱体からヒートシンクへの熱を伝導する熱伝導材
料として利用することもできる。すなわち、この場合、
発熱体から熱伝導部材20を介して放熱部材10へ伝導
された熱は、放熱部材10が当接するヒートシンクへ伝
わり、ヒートシンクから外部へ放出される。例えば図3
(b)に示すように、本実施形態の放熱材を、電子部品
31の実装されたプリント配線板30と、ヒートシンク
としての筐体パネル40との間に介装するという具合で
ある。
【0023】また、本実施形態の放熱材は、放熱部材1
0の一部を熱伝導部材20に埋没させて形成した。その
結果、熱伝導部材20内部を伝導する熱の一部は熱伝導
部材20に埋没した放熱部材10の一部を伝わり、熱伝
導が促進される。以上、本発明はこのような実施形態に
何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しな
い範囲において種々なる形態で実施し得る。
【0024】例えば、上記実施形態では、放熱部材10
をウレタン樹脂に金属メッキを施したもので形成した
が、連続気泡11を有する発泡金属を用いて形成しても
よいし、鉄線、アルミ線、ベリリウム銅線又は細銅条状
の金属線を用い、あるいは、繊維材料に金属メッキを施
したものを用いて形成してもよい。例えば、図4(a)
に示すように、アルミ、銅などの金属製又は金属メッキ
を施したテープ状の材料を適当に折り曲げて放熱部材1
2を形成したり、図4(b)に示すように、金属製又は
金属メッキを施した糸状の材料を編んで放熱部材13を
形成したりするという具合である。なお、放熱部材1
2,13には、外部同士を連通する空隙を設ければよ
く、材料を編むか否かは特に問題ではない。
【0025】ただし、弾性を有する材料で形成すれば、
上述したように、放熱材を配置する空間が小さい場合で
あっても、その空間に放熱材を配置できる可能性が高く
なり、使用場所の制約をより少なくすることができる点
で、また、別体のヒートシンクと発熱体との間の熱伝導
材料として利用することができる点で有利である。
【0026】また、上記実施形態では、熱伝導部材20
に、熱伝導フィラーとしてのアルミナを分散させていた
が、放熱部材10の一部を十分に埋没させて連結すれ
ば、熱伝導率を高く保つことができるため、この場合に
は、必ずしも熱伝導フィラーを分散させなくてもよい。
熱伝導フィラーを分散させずに熱伝導部材20を形成す
れば、放熱材の形成に要する手間が少なくなる。
【0027】さらにまた、上記実施形態では、熱伝導部
材20をゲル状の基材で形成したが、発熱体に密接可能
な柔軟性を有していればよく、ゴムやガム等の基材を用
いて形成してもよい。また、熱伝導部材20が、ゲル状
材料で形成された場合には、包含される液状成分によっ
て表面に粘着性を有していたが、他の基材を用いて形成
される場合に表面に粘着性がなければ、発熱体との接着
面に粘着層を形成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の放熱材を示す斜視図である。
【図2】実施形態の放熱材を示す側面図である。
【図3】実施形態の放熱材の使用例を示す説明図であ
る。
【図4】別実施形態の放熱材を示す側面図である。
【符号の説明】
10,12,13…放熱部材 11…連続気泡 20…熱伝導部材 30…プリント配
線板 31…電子部品 40…ヒートシン

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部同士を連通する空隙を設けた3次元網
    状構造を有し、金属材料又は金属メッキを施した材料で
    形成された放熱部材と、 前記放熱部材に連接された部材であり、発熱体に密接可
    能な柔軟性を有する基材中に熱伝導フィラーを分散させ
    て形成され、当該基材が表面に粘着性を有する又は当該
    基材の表面に粘着層を設けた熱伝導部材とを備えること
    を特徴とする放熱材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の放熱材において、 前記放熱部材は、連続気泡を有する発泡金属又は連続気
    泡を有する金属メッキを施した発泡樹脂で形成したこと
    を特徴とする放熱材。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の放熱材において、 前記放熱部材は、金属繊維又は金属メッキを施した繊維
    によって形成したことを特徴とする放熱材。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の放熱材に
    おいて、 外力によって弾性変形する材料を用いて前記放熱部材を
    形成したことを特徴とする放熱材。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の放熱材に
    おいて、 前記熱伝導フィラーの分散に加え又は分散に代えて、前
    記放熱部材の一部を前記基材中に埋没させ、前記熱伝導
    部材を形成したことを特徴とする放熱材。
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