JP2949902B2 - 定温発熱体 - Google Patents

定温発熱体

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博紀 森分
健司 金谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えば殺虫液を浸透させ
た芯棒の外周を加熱することにより、芯棒から殺虫ガス
を放散させる液体式電子蚊取器などのように棒状あるい
はパイプ状の被加熱体を加熱する正特性サーミスタ(以
下PTCサーミスタという)を用いた定温発熱体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、PTCサーミスタを用いた定温発
熱体は、芯棒から殺虫ガスを放散させる液体式電子蚊取
器の需要の増大から多く利用されるとともに高い信頼性
が要求されている。
【0003】以下に従来の定温発熱体について説明す
る。図4は従来の定温発熱体の拡大断面図、図5は同じ
く分解斜視図であり、図4の断面図は完成品状態におけ
る図5のB−B線より見た断面を示している。図4,図
5において、1および1aはPTCサーミスタ、2およ
び3はほぼコ字状をした金属端子であり、リング状をし
た有底の絶縁ケース4内に上記2個のPTCサーミスタ
1,1aを金属端子2,3ではさんだ形で収納されてい
る。そして、上記ケース4の上面開口部を絶縁蓋5でふ
さぎ、かつその上に金属バンド6を載置し、さらに絶縁
ケース4の中心孔に下方より金属リング7を装着し、こ
の金属リング7の上端部をかしめることによって上記絶
縁蓋5および金属バンド6をケース4の上面部に固着す
ることにより、完成品とされていた。
【0004】以上のように構成された定温発熱体につい
て、以下にその動作を説明する。まず、所定の電圧が金
属端子2,3に印加されると、その金属端子2,3を通
って2個のPTCサーミスタ1,1aのそれぞれに電圧
が印加される。すると、最初はPTCサーミスタ1,1
aの抵抗が低いため電流が流れ、その電流で徐々にPT
Cサーミスタ1,1aが自己発熱し、スイッチング温度
以上になると抵抗値が急激に上昇して電流値を減衰させ
平衡状態に達する。以下、この動作を繰り返す。そし
て、被加熱体である殺虫液を浸透させた芯棒は、上記金
属リング7内に出入自在に設けられるが、上記の電圧印
加によりPTCサーミスタ1,1aの発生する熱によっ
て殺虫液を浸透させた芯棒の外周が加熱されることによ
り、芯棒から殺虫ガスを放散させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の定温発熱体では、次のような問題点を有し
ていた。まず、2個のPTCサーミスタ1,1aを使用
しているため、2個の金属端子2,3が非常に複雑な形
状とならざるを得なく、加工が困難で長時間を必要とす
るものであった。また、PTCサーミスタ1,1aが2
個使われていることから、組立作業がきわめて面倒で長
時間を必要としていた。さらに、PTCサーミスタ1,
1aを収納している絶縁ケース4は絶縁性のため熱伝導
率が低く、かつ絶縁ケース4および絶縁蓋の形状が大
きく熱容量が大きいので、PTCサーミスタ1,1a
発生した熱の被加熱体への熱伝達に遅れを生じ、昇温時
間が長くかかるという問題点を有していた。
【0006】本発明は上記のような従来の問題点を解決
するもので、PTCサーミスタに電圧を印加する端子と
しての電極板形状を単純化し、かつPTCサーミスタ
を1個だけ用いて量産が簡単でしかも昇温特性に優れた
定温発熱体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の定温発熱体は、U字状の内部形状を有する絶
縁ケースと、両面に電極を形成した正特性サーミスタ
と、一つ以上の切起し部と前記の切起し部に近接した一
つ以上の打抜き孔を形成した二つの電極板と、U字状の
二つの伝熱板と、絶縁蓋とより構成し、上記正特性サー
ミスタの両面に前記電極板の切起し部と打抜き孔部を重
ねて、さらにその両面に伝熱板を重ねて絶縁接着剤で固
着し一体とし、これを上記絶縁ケースの内部に収納し、
上記絶縁ケースの開口部を上記絶縁蓋でふさいだ構成と
したものである。
【0008】
【作用】この構成によればPTCサーミスタとの電極板
との接触は前記複数個の切起し部を介して行われ、上記
切起し部には打抜き孔が近接して形成され電極板の弾性
を向上し局部的な変形を緩和しており、したがって、P
TCサーミスタと電極板および伝熱板との接触面積にば
らつきが少なくなり、これらを絶縁性接着剤で固着する
ことで耐環境特性に優れ、熱伝達の経時変化の少ない定
温発熱体を得る作用を有する。
【0009】さらに絶縁ケースと伝熱板を、その外形端
面を開口したU字状にすることで、その開口幅寸法を調
整し熱伝達量を調整できるという作用をも有するもので
ある。
【0010】また、切起しを3角形を成す3ヶ所に形成
し、この3ヶ所の切起しの間にY字 形状の打抜き孔を形
成した電極板の構成にすることにより、PTCサーミス
タと電極板、伝熱板との接触が一層安定する作用を有す
る。
【0011】さらに、絶縁ケースの内部に充填剤を充填
し、収納した正特性サーミスタ、電極板および伝熱板を
覆うことで熱衝撃や機械的衝撃、耐候性にすぐれた定温
発熱体を得る作用を有する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。図1は本発明にかかる定温発熱体の
一実施例を示す分解斜視図、図2は同じく拡大断面図
で、この図2の断面図は完成品状態における図1のA−
A線より見た断面を示している。
【0013】図1および図2において、11は円板状を
したPTCサーミスタであり、大きさは例えば直径8m
m、厚さ3mmである。12は上記PTCサーミスタ11
両面にアルミニウム溶射などにより付与された電極
で、その厚みは30〜50μmである。そして、上記P
TCサーミスタ11の電極12を施した両面にシリコン
系などの絶縁性接着剤13を50〜80μmの膜厚で均
一に塗布し、このPTCサーミスタ11の両面をステン
レスなどの電極板14ではさみ、さらにこの電極板14
上にアルミニウムなどからなるU字状の伝熱板15を位
置させ、10〜20kgの圧力で加圧しながら接着した
後、加熱硬化させて固着している。この時、図2に示す
ように絶縁性接着剤13が電極12の表面に広がり、さ
らに電極板14に形成された打抜きによる打抜き孔16
があることにより、伝熱板15に絶縁性接着剤13がし
っかりと接触しているため、PTCサーミスタ11,電
極板14および伝熱板15の3者が機械的に強固に接着
固定されている。また、上下の電極板14にはそれぞれ
PTCサーミスタ11側に突出する切起し17が一体に
設けられており、上記固着の際にこの切起し17が電極
12に20〜40μmの深さで圧入される形となり、電
気的導通がしっかりと得られている。ここで、上記切起
し17は3角形をなすように3つ設けられているととも
にその3つの切起し17の間に位置するようにしてY字
状の打抜き孔16が形成されており、この構成によって
上記の機械的な接着と電気的導通がしっかりと確保され
ている。また、上記のU字状をした伝熱板15はその湾
曲部分でPTCサーミスタ11,電極板14をはさむよ
うになっており、電極板14の一方の端部には直立する
取出し片14aが設けられているとともに、他方の端部
は半円状に切欠かれている。
【0014】次に、上記のようにして接着固定されたP
TCサーミスタ11,電極板14および伝熱板15を、
その伝熱板15の外形に沿ったU字状の内部形状を有す
る有底の絶縁ケース18内に収納し、さらに耐熱性を有
する絶縁性樹脂からなる充填剤(図示せず)を必要に応
じて内部に収納された部品を覆うように上記絶縁ケース
18内に充填した後、上記電極板14の取出し片14a
の取出し孔19aを有する絶縁蓋19で上記絶縁ケース
18の上面開口部をふさいでいる。そして、その状態で
上記絶縁ケース18のU字状にくぼんでいる部分に筒状
の放熱板20を下方より装着し、上記絶縁蓋19の上方
に出た上記放熱板20をかしめることにより、完成品と
される。また、この筒状の放熱板20内に殺虫液を浸透
させた芯棒(図示せず)が出入自在に設けられて、使用
されるのは従来の通りである。
【0015】図3は本発明品と従来品との昇温時間の一
比較例を示しており、ここで昇温時間とは100Vの電
圧を印加した後、被加熱体の表面温度が安定した温度に
達するまでにかかる時間である。図3より明らかなよう
に、本発明品の方が昇温時間が短く良好な結果を得るこ
とができる。
【0016】
【発明の効果】以上のように構成された本発明によれ
ば、電極板および伝熱板の形状が単純であるので加工が
簡単であり、しかもPTCサーミスタは1個しか使用し
ていないため、組立作業がきわめて簡単で量産性に優れ
ているものとなる。また、PTCサーミスタから発生す
る熱をU字状の伝熱板により、効率よく被加熱体へ伝達
することができるため、良好な昇温特性を得ることがで
きることとなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる定温発熱体の一実施例を示す分
解斜視図
【図2】同じく一実施例の拡大断面図で、完成品状態に
おける図1のA−A線より見た断面を示す図
【図3】本発明品と従来品の昇温時間の一比較例を示す
【図4】従来の定温発熱体を示す拡大断面図
【図5】同じく分解斜視図
【符号の説明】
11 PTCサーミスタ(正特性サーミスタ) 12 電極 13 絶縁性接着剤 14 電極板 14a 取出し片 15 伝熱板 16 打抜き孔 17 切起し 18 絶縁ケース 19 絶縁蓋 19a 取出し孔 20 筒状の放熱板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 幅田 悦朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−147804(JP,A) 特開 平2−241002(JP,A) 実開 昭51−9242(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】U字状の内部形状を有する絶縁ケースと、
    両面に電極を形成した正特性サーミスタと、一つ以上の
    切起し部と上記の切起し部に近接した一つ以上の打抜き
    孔を形成した二つの電極板と、U字状の二つの伝熱板
    と、絶縁蓋とにより構成し、上記正特性サーミスタの両
    面に上記電極板の切起し部と打抜き孔部を重ねて、さら
    にその両面に伝熱板を重ねて絶縁接着剤で固着し一体と
    し、これを上記絶縁ケースの内部に収納し、上記絶縁ケ
    ースの開口部を上記絶縁蓋でふさいだ定温発熱体。
  2. 【請求項2】切起しを3角形を成す3ヶ所に形成し、こ
    の3ヶ所の切起しの間にY字状の打抜き孔を形成した電
    極板を用いた請求項1に記載の定温発熱体。
  3. 【請求項3】絶縁ケースの内部に充填剤を充填し、収納
    した正特性サーミスタ、電極板および伝熱板を覆った
    求項1または請求項2に記載の定温発熱体。
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