JP2948948B2 - 熱接着性繊維 - Google Patents

熱接着性繊維

Info

Publication number
JP2948948B2
JP2948948B2 JP3167232A JP16723291A JP2948948B2 JP 2948948 B2 JP2948948 B2 JP 2948948B2 JP 3167232 A JP3167232 A JP 3167232A JP 16723291 A JP16723291 A JP 16723291A JP 2948948 B2 JP2948948 B2 JP 2948948B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
heat
melting
component
sheath
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3167232A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH059810A (ja
Inventor
茂樹 林
由記夫 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
UBE NITSUTO KASEI KK
Original Assignee
UBE NITSUTO KASEI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=15845904&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2948948(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by UBE NITSUTO KASEI KK filed Critical UBE NITSUTO KASEI KK
Priority to JP3167232A priority Critical patent/JP2948948B2/ja
Publication of JPH059810A publication Critical patent/JPH059810A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2948948B2 publication Critical patent/JP2948948B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱接着性繊維に係り
使い捨て用途の不織布やカーマット等を使用後に資源と
して回収し再利用し易くするのに好適な熱接着性繊維に
関する。
【0002】
【従来の技術】熱接着性繊維は、接着剤を用いることな
く繊維同士を結合させることができるため、不織布に加
工されて、紙オムツに代表される衛生材料や衣料材料等
に広く利用されている。このような熱接着性繊維として
は、ポリプロピレン繊維等の単一系繊維、ポリエチレン
−ポリプロピレン系複合繊維やポリエチレン−ポリエチ
レンテレフタレート系複合繊維等の異種ポリマー複合繊
維、共重合ポリエステル−ポリエチレンテレフタレート
系複合繊維等の同種ポリマー複合繊維等、種々の繊維が
開発されている。また、熱接着性繊維を材料とする不織
布を得るにあたっては、不織布の用途に応じて、熱風融
着法と熱ロール融着法とが使い分けられている。すなわ
ち、得られる不織布の触感や風合を重視する場合には熱
風融着法が、また得られる不織布の強力を重視する場合
には熱ロール融着法が、一般に採用されている。
【0003】ところで、最も多く使用されているポリエ
チレン−ポリプロピレン系複合繊維からなる不織布は、
特有の滑り感があり触感もよくない。さらに、近年、環
境上の問題から、不織布を従来のように使い捨てにする
のではなく、使用済みのものを資源として回収して再利
用することが求められるようになってきた。また、不織
布の製造過程で発生するカッティング屑についても、従
来のように廃棄するのではなく、資源として回収して再
利用することが求められるようになってきた。そして、
異種ポリマー複合繊維からなる熱接着性繊維を材料とし
て用いた不織布では再利用に際して2種類の素材に分け
る必要があり、この作業は実質的に不可能であるため、
使用済みのものやカッティング屑等を資源として回収し
て再利用することが可能な、単一系繊維からなる熱接着
性繊維や同種ポリマー複合繊維からなる熱接着性繊維を
材料として用いた不織布製品に対する需要が高まりつつ
ある。
【0004】このような需要の高まりに伴い、衛生材料
のように人体に直接接触した状態で利用される使い捨て
用途の不織布製品についても、使用済みのものやカッテ
ィング屑等を資源として回収して再利用することが可能
な製品を得る試みがなされている。具体的には、製品を
安価に供給することが可能で、かつ素材そのものの触感
や風合がよいポリプロピレン系の熱接着性繊維を用い
て、触感や風合、嵩高性に優れた不織布を得る試みがな
されている。このような事情はカーマットについても同
様であるが、カーマットの場合にはニードルパンチ不織
布のバッキングに用いられているラテックスが再溶融の
際に炭化分解するため再利用ができない。そこで、ラテ
ックスの代替として通常のポリプロピレン繊維に混綿し
て再利用を容易にする熱接着性繊維が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、既存の
ポリプロピレン系熱接着性繊維であるポリプロピレン繊
維(単一系繊維)には、熱ロール法によらなければ不織
布化することが実質的にできないため、触感や風合、嵩
高性に優れた不織布を得ることができないという難点が
あった。このポリプロピレン繊維を熱風融着法により不
織布化しても、熱風により繊維全体が加熱され、一部の
繊維だけを溶融軟化させて融着させることができないた
め、触感や風合、嵩高性に優れた不織布を得ることはで
きない。
【0006】したがって本発明の目的は、熱風融着法に
より触感や風合、嵩高性に優れた不織布を得ることが可
能な、ポリプロピレン系の熱接着性繊維を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の熱接着性繊維は、モノマーの主成分がプロピレンで
ある低融点共重合体を鞘成分とし、結晶性ポリプロピレ
ンからなる高融点重合体を芯成分とする鞘芯型複合繊維
からなり、示差走査熱分析装置により得られるDSC曲
線で前記低融点共重合体の融解ピークと前記高融点重合
体の融解ピークとがダブルピークを示し、DSC曲線中
の芯成分の融解ピーク温度T2 (℃)と鞘成分の融解ピ
ーク温度T1 (℃)との温度差△Tと、鞘成分の融解熱
量△H(mW)との積S=△T・△Hが160以上であ
ことを特徴とする。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
熱接着性繊維は、上述したように、モノマーの主成分が
プロピレンである低融点共重合体を鞘成分とし、結晶性
ポリプロピレンからなる高融点重合体を芯成分とする鞘
芯型複合繊維からなる。そして、本発明の熱接着性繊維
は、鞘成分である低融点共重合体の融解ピークと芯成分
である高融点重合体(結晶性ポリプロピレン)の融解ピ
ークとが、複合繊維の示差走査熱分析装置により得られ
るDSC曲線でダブルピークを示す。ここで、本発明で
いうDSC曲線とは、示差走査熱分析装置により、試料
量約5mg、昇温速度10℃/分の条件でJIS K 7
122に準じて求めたDSC曲線を意味する。 また、
発明でいうダブルピークとは、例えば図1に示すよう
に、前記DSC曲線中に、低融点共重合体の融解を示す
ピーク(最高吸熱点)P1 と高融点重合体の融解を示す
ピーク(最高吸熱点)P2 とが別々に現れることをい
う。鞘芯型複合繊維の融解ピークが図2に示すようなシ
ングルピークとなる場合には、低融点成分の融解ピーク
が高融点成分の融解ピークに吸収されており、このよう
複合繊維を熱風融着させると、低融点成分(鞘成分)
のみならず高融点成分(芯成分)までも融解してしまう
ために芯成分が著しく収縮して、高強力で風合に優れた
不織布を高い寸法安定性の下に製造することができなく
なる。
【0009】鞘芯型の熱接着性繊維のDSC曲線中で
は、鞘成分の融解ピーク(P1 )は芯成分の融解ピーク
(P2 )よりも低温側に出現するが、P1 およびP
2 は、延伸時に各成分が配向結晶化することに伴って、
紡糸前の各成分の融点よりもそれぞれ高温側に移動す
る。そして、この移動の程度は延伸倍率が高いほど大き
い。したがって本発明の熱接着性繊維では、延伸時に配
向結晶化が進んで各成分の融解ピークがそれぞれ異なっ
た割合で高温側に移動することも考慮したうえで、鞘成
分の融解ピークP1と芯成分の融解ピークP2 とが別々
に現れるように、それぞれの原料を選択する。融解ピー
クの高温側への移動が延伸倍率に応じて成分毎に異なる
ことから、芯成分と鞘成分の組み合わせを特定すること
はできないが、例えば、芯成分の結晶性ポリプロピレン
として紡糸前の融点が160〜170℃、MFRが10
〜50のものを用い、延伸倍率を2.2〜5.0倍とし
て本発明の熱接着性繊維を得る場合には、鞘成分の低融
点共重合体として、Y2035G[出光石油化学(株)
製のエチレン−プロピレンランダムコポリマーの製品
名]、FL453[宇部興産(株)製のエチレン−プロ
ピレンランダムコポリマーの製品名]、SPX−840
0[三菱油化(株)製のエチレン−プロピレンランダム
コポリマーの製品名]等の共重合体や、これらの共重合
体に分子量やメルトフローレート(MFR)を調節のた
めの過酸化物を混入させた混合物等を用いることができ
る。
【0010】また、本発明の熱接着性繊維においては、
DSC曲線中の芯成分の融解ピークP2 の温度をT
2 (℃)、DSC曲線中の鞘成分の融解ピークP1 の温
度をT1 (℃)、T2 とT1 との温度差を△T、鞘成分
の融解熱量を△H(mW)としたときに(図1参照)、
△Tと△Hとの積Sが160以上、特に好ましくは30
0以上となるように、鞘成分原料と芯成分原料を選択す
る。Sの値が大きいと、熱風融着する際の熱風の温度管
理をルーズにしても、一般に、高強力で風合に優れた布
織布を高い寸法安定性の下に製造することができる。逆
に、Sの値が小さいと一定品質の布織布を得ることがで
きる熱風の温度範囲が一般に狭くなり、熱風の温度管理
を厳しく行わなければならなくなる。
【0011】鞘芯型複合繊維からなる本発明の熱接着性
繊維における鞘部と芯部の断面積比は、鞘部/芯部=6
/4〜3/7が好ましい。鞘部と芯部の断面積比が6/
4を超えると、鞘部を融解させるために必要な熱量が多
くなるため、芯部にも少なからず熱の影響が出て単糸熱
収縮率およびウェッブの熱収縮率が大きくなり易くなる
とともに、単糸強度が低下する。また3/7未満では、
鞘部を融解させるために必要な熱量が少なくて済むため
に芯部への熱の影響も少ないが、融着成分が基本的に少
ないために繊維同士の結合点の強力が低下する。本発明
の熱接着性繊維は、鞘部と芯部の断面積比が上記範囲に
あれば、同心型であっても偏心型であってもよいが、特
に同心型が好ましい。
【0012】本発明の熱接着性繊維は、通常の鞘芯型複
合繊維の製造方法に基づいて紡糸および延伸し、さらに
常法により8〜20個/インチ程度の機械捲縮または自
然捲縮を付与することにより、容易に得ることができ
る。このときの延伸倍率は、2.2〜5.0倍とするこ
とが好ましい。延伸倍率が2.2倍より小さいと、強度
が小さく伸度の大きい繊維しか得られない他、生産性も
低くなる。一方、延伸倍率を5.0倍より大きくする
と、延伸時の応力により鞘成分の配向が進み、鞘成分の
配向結晶化のために鞘成分の融解ピークが高温側にシフ
トするため、熱風融着が困難になるばかりでなく高強力
で触感に優れた不織布を得ることも困難になる。本発明
の熱接着性繊維を材料として用いて熱風融着法により不
織布を得るにあたっては、本発明の熱接着性繊維を単独
使用して、またはレーヨンやポリエステル繊維等と混綿
して、常法によりウェッブを作製した後、145〜15
5℃程度の熱風温度で融着させる。
【0013】
【作用】本発明の熱接着性繊維は、鞘成分および芯成分
が共にポリプロピレン系の重合体からなるため、不織布
として製品化した後でも、この不織布を資源として回収
し再利用することが可能である。また、不織布化する過
程で生じるカッティング屑も、資源として回収し再利用
することが可能である。また本発明の熱接着性繊維は、
DSC曲線をとったときに、低融点共重合体(鞘成分)
の融解ピークと高融点重合体(芯成分)の融解ピークと
がダブルピークを示すため、鞘成分が軟化して融着が可
能となる温度まで熱風の温度を上げても、芯成分の融解
は殆どない。すなわち、本発明の熱接着性繊維では、芯
成分を殆ど融解させることなく鞘成分を融解させて複合
繊維同士を接着させることができる。したがって、本発
明の熱接着性繊維を用いた場合には、熱風融着法により
高強力で風合に優れた不織布を高い寸法安定性の下に製
造することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中に示した物性値の測定方法を予め示してお
く。 ・融解ピークの温度(以下、融点という)および融解熱
量 延伸後の繊維を測定試料として用い、示差走査熱分析装
置[商品名:DT−40、島津製作所(株)製]によ
り、試料量約5mg、昇温速度10℃/分の条件でJIS
K 7122に準じて求めた。 ・単糸の強度および伸度 JIS L 1015に準じて測定した。 ・不織布の嵩高 得られた不織布から5cm×5cmの試料を10枚切り出
し、これらの試料を用いて次式により不織布の嵩高(cc
/g)を算出した。 嵩高(cc/g)=V/W=25×h/W V:10枚の試料を重ねてその上に20gの荷重を30
秒間かけたときの、除重から30秒後の全体の体積(cm
3 ) W:10枚の試料の合計重量(g) h:10枚の試料を重ねてその上に20gの荷重を30
秒間かけたときの、除重から30秒後の全体の高さ(c
m) ・不織布の強力 得られた不織布から幅50mm、長さ140mmの試料を切
り出し、この試料について、チャック間隔100mm、引
っ張り速度40mm/分の条件で測定した。なお試料は、
その長さ方向を不織布の幅方向と一致させたものをC
D、不織布の長さ方向と一致させたものをMDとした。 ・不織布の寸法安定性 熱風融着装置に入れる前のウェッブの面積(A1 )と融
着後の不織布の面積(A2 )とから、次式により算出し
た。 寸法安定性(%)={(A1 −A2 )/A1 }×100 なお、上記式により求められる寸法安定性は、数値が小
さいほど優れている。
【0015】実施例1 (1)熱接着性繊維の製造 MFR[ASTM D(L)に基づいて測定した値]が
40の高結晶性タイプのポリプロピレン[製品名:UB
Eポリプロ ZT1276、宇部興産(株)製]とMFRが1
7の結晶性ポリプロピレン[製品名:UBEポリプロ
RS1255、宇部興産(株)製]とを7:3の割合(重量
比)で混合したものを芯成分の高融点重合体として用
い、MFRが20で融点が135℃であるエチレン−プ
ロピレンランダムコポリマー[製品名:出光ポリプロ
Y2035G、出光石油化学(株)製]100重量部に対して
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)ヘキサン[商品名:パーヘキサン25B、日本油脂
(株)製]0.05重量部を添加してなる混合物を鞘成
分の低融点共重合体として用いて、以下のようにして熱
接着性繊維を得た。
【0016】まず、一軸押出機2台とホール径0.4mm
の複合繊維用円形ノズルとを備えた同心鞘芯型複合繊維
紡糸設備により、紡糸温度270℃、引取り速度600
m/分の条件で紡糸して、鞘部と芯部の断面積比が5/
5で、単糸デーニルが6.0deである未延伸の同心鞘芯
型複合繊維を得た。次いで、この同心鞘芯型複合繊維か
らなるマルチフィラメントを100本集めてトータルデ
ニールを30万デニールとし、ステープルファイバー試
作設備にて、第1延伸ローラー温度を40℃、第2およ
び第3延伸ローラ温度を50℃、第1および第2延伸槽
温度を90℃として、第1延伸ローラーと第2延伸ロー
ラーとの間で表1に示すように延伸倍率3.7倍の1段
延伸を行った。引き続き、オイリング、機械捲縮加工、
100℃での乾燥処理を行った後、繊維長51mmにカッ
トして、単糸デニールが2.0deで、機械捲縮数が14
個/インチのステープルファイバーからなる本発明の熱
接着性繊維を得た。得られた熱接着性繊維の単糸物性を
表1に示す。
【0017】(2)不織布の製造 まず、得られたステープルファイバーを幅350mmのロ
ーラーカード機に通して、目付20g/m2 の均一なウ
ェッブを作成した。次いで、このウェッブを風速2m/
秒に調節した熱風融着装置に5m/分の供給速度で供給
し、熱風温度145℃で5秒間熱処理して、熱風融着不
織布を得た。また、熱風の温度を150℃にした以外は
同様にして、別途、熱風融着不織布を得た。得られた各
熱風融着不織布の物性を表1に示す。
【0018】 実施例2〜実施例12および比較例1〜比較例2 芯成分の原料、鞘成分の原料、鞘部と芯部の断面積比お
よび延伸倍率を表1または表2に示すように種々変更
し、他は実施例1と同様にして熱接着性繊維を得た後、
各繊維を材料として用いて、実施例1と同様にして熱風
融着不織布を得た。実施例2〜実施例6および比較例1
で得られた各熱接着性繊維の単糸物性と、実施例2〜
施例6および比較例1で得られた各熱風融着不織布の物
性とを表1に示す。また、実施例7〜実施例12および
比較例2で得られた各熱接着性繊維の単糸物性と、実施
例7〜実施例12および比較例2で得られた各熱風融着
不織布の物性とを表2に示す。
【0019】
【0020】
【0021】表1および表2から明らかなように、実施
例1〜実施例12で得られた熱接着性繊維を材料として
製造した各熱風融着不織布は、いずれも嵩高な不織布で
あり、高強力のものであった。また、各不織布は触感や
風合の良いものであった。これに対して、Sの値が11
0と低い比較例1の熱接着性繊維を材料として熱風融着
不織布を製造した場合は、不織布化の際の熱風温度が1
45℃では十分な強力を有する不織布が得られず、熱風
の温度が150℃では得られる不織布の寸法安定性が低
い。 また、DSC曲線中の融解ピークがシングルピーク
であった比較例2の熱接着性繊維は、熱風温度145℃
で接着させることができたが、得られた不織布の強力は
低く、不織布を巻き取ることもできなかった。また、熱
風温度150℃でも接着させることができ、このとき得
られた不織布は強力の高いものであったが、寸法安定性
が低い他に、不織布の端部が縮れて外観の悪いものであ
り、他の不織布との貼合わせ等を行いづらいものであっ
た。さらに、比較例2の熱接着性繊維を150℃の熱風
で融着して得た不織布は、触感が悪く実用性に欠けるも
のであった。実施例13 (1)熱接着性繊維の製造 MFR[ASTM D(L)に基づいて測定した値]が
40の高結晶性タイプのポリプロピレン[製品名:UB
Eポリプロ ZT1276、宇部興産(株)製]とMF
Rが17の結晶性ポリプロピレン[製品名:UBEポリ
プロ RS1255、宇部興産(株)製]とを7:3の
割合(重量比)で混合した原料にグレー顔料マスターバ
ッチ(大日本インキ化学製 PG6121B)を60:
1の割合で添加したものを芯成分の高融点重合体として
用い、MFRが20で融点が135℃であるエチレン−
プロピレンランダムコポリマー[製品名:出光ポリプロ
Y2035G、出光石油化学(株)製]100重量部に
対して2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサン[商品名:パーヘキサン25B、日本
油脂(株)製]0.05重量部を添加してなる混合物を
鞘成分の低融点共重合体として用いて、以下のようにし
て熱接着性繊維を得た。まず、一軸押出機2台とホール
径0.7mmの複合繊維用円形ノズルとを備えた同心鞘
芯型複合繊維紡糸設備により、紡糸温度270℃、引取
り速度600m/分の条件で紡糸して、鞘部と芯部の断
面積比が5/5で、単糸デーニルが45deである未延
伸の同心鞘芯型複合繊維を得た。次いで、この同心鞘芯
型複合繊維からなるマルチフィラメントを100本集め
てトータルデニールを30万デニールとし、ステープル
ファイバー試作設備にて、第1延伸ローラー温度を40
℃、第2および第3延伸ローラ温度を50℃、第1およ
び第2延伸槽温度を90℃として、第1延伸ローラーと
第2延伸ローラーとの間で表3に示すように延伸倍率
3.7倍の1段延伸を行った。引き続き、オイリング、
機械捲縮加工、100℃での乾燥処理を行った後、繊維
長76mmにカットして、単糸デニールが15deで、
機械捲縮数が14個/インチのステープルファイバーか
らなる本発明の熱接着性繊維を得た。得られた熱接着性
繊維の単糸物性を表3に示す。 (2)不織布の製造 まず、得られたステープルファイバーを幅350mmの
ローラーカード機に通して、目付80g/mの均一な
ウェッブを作成した。次いで、このウェッブを風速2m
/秒に調節した熱風融着装置に2.5m/分の供給速度
で供給し、熱風温度145℃または150℃で10秒間
熱処理して、熱風融着不織布を得た。得られた熱接着性
複合繊維および不織布の物性を表3に示す。
【表3】 実施例13で得られた熱接着性繊維は、単独で使用すれ
ば嵩高で高強力の熱風融着不織布が得られ、カーマット
におけるラテックス代替用繊維として使用可能なことが
判明した。実施例14・比較例3 鞘成分の押出機を停止した以外は実施例13と同様にし
て得た繊維長76mm、機械捲縮数14個/インチ、単
糸デニール15deの単一成分の原着ステープルファイ
バーと実施例14で得られた複合繊維とを4:1の割合
で混綿しローラーカード機に通してウェッブを得、次い
でニードルパンチ加工機にてパンチ密度100本/cm
、目付400g/mの不織布を得た(比較例3)。
次いで、この不織布を風速2m/秒に調節した熱風融着
装置に1m/分の供給速度で供給し、熱風温度145℃
で25秒間熱処理して不織布を得た(実施例14)。◎
熱風融着をしなかった比較例3の不織布はJIS L1
096に規定のテーパ摩耗試験において摩耗輪CS−1
0、荷重500gで300回摩擦したところ繊維の抜け
(糸引きと称する現象)が起こっており、カーマットと
しては不適合なものであった。一方ニードルパンチ後熱
融着をした実施例14の不織布は前述のような糸引きも
なくカーマットとして十分使用に耐えるものであった。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱接着性
繊維は、熱風融着法により触感や風合、嵩高性に優れた
不織布を得ることが可能な、ポリプロピレン系の熱接着
性繊維である。したがって本発明によれば、使用済みの
ものや製造過程で生じるカッティング屑等を資源として
回収して再利用することが可能な、人体に直接接触した
状態で利用される使い捨て用途の不織布製品を提供する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、ダブルピークを示す本発明の熱接着性繊維
のDSC曲線を模式的に示すグラフである。
【図2】は、シングルピークを示す本発明外の熱接着性
繊維のDSC曲線を模式的に示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノマーの主成分がプロピレンである低
    融点共重合体を鞘成分とし、結晶性ポリプロピレンから
    なる高融点重合体を芯成分とする鞘芯型複合繊維からな
    り、 示差走査熱分析装置により得られるDSC曲線で前記低
    融点共重合体の融解ピークと前記高融点重合体の融解ピ
    ークとがダブルピークを示し、DSC曲線中の芯成分の融解ピーク温度T2 (℃)と鞘
    成分の融解ピーク温度T1 (℃)との温度差△Tと、鞘
    成分の融解熱量△H(mW)との積S=△T・△Hが1
    60以上である ことを特徴とする熱接着性繊維。
JP3167232A 1991-07-08 1991-07-08 熱接着性繊維 Expired - Fee Related JP2948948B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3167232A JP2948948B2 (ja) 1991-07-08 1991-07-08 熱接着性繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3167232A JP2948948B2 (ja) 1991-07-08 1991-07-08 熱接着性繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH059810A JPH059810A (ja) 1993-01-19
JP2948948B2 true JP2948948B2 (ja) 1999-09-13

Family

ID=15845904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3167232A Expired - Fee Related JP2948948B2 (ja) 1991-07-08 1991-07-08 熱接着性繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2948948B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06330444A (ja) * 1993-05-21 1994-11-29 Ube Nitto Kasei Co Ltd ポリプロピレン繊維系マット
TW477835B (en) 1999-07-06 2002-03-01 Pyung-Yul Park Polypropylene fiber and preparation thereof
MY120636A (en) * 1999-11-10 2005-11-30 Kolon Glotech Inc Polypropylene fiber and preparation thereof
BRPI0809279B1 (pt) * 2007-03-26 2017-11-21 Kuraray Co., Ltd. Polypropylene fiber, production method thereof, hydraulic composition, hydraulic and molded products, cable and fiber structures in shape form and composite material

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0291217A (ja) * 1988-09-21 1990-03-30 Ube Nitto Kasei Co Ltd ポリプロピレン系複合繊維およびこれから得られる伸縮性不織布
JP2759331B2 (ja) * 1989-01-11 1998-05-28 大和紡績株式会社 潜在捲縮性複合繊維及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH059810A (ja) 1993-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3016361B2 (ja) 一方向伸縮性不織布及びその製造方法
US5124194A (en) Hot-melt-adhesive, micro-fiber-generating conjugate fibers and a woven or non-woven fabric using the same
JP2001502388A (ja) 熱接着性複合繊維およびそれを用いた不織布
PL179692B1 (pl) Wlóknina na odziez i materialy ochronne PL PL PL PL
JPH05179558A (ja) 積層不織布及びその製造方法
JP3569972B2 (ja) 熱融着性複合繊維および熱融着不織布
JP3109629B2 (ja) ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維及びこれを用いた不織布
JPH09291454A (ja) 伸縮弾性不織布
JP3736014B2 (ja) 積層不織布
JP2948948B2 (ja) 熱接着性繊維
JPS62299514A (ja) 熱接着性中空複合繊維
JP2002061060A (ja) 不織布及び不織布加工品
JP2904966B2 (ja) 熱分割性複合繊維
JP2000336526A (ja) 熱接着性複合繊維及びその製造方法
JP2971919B2 (ja) 熱接着性繊維
JP3124017B2 (ja) 熱接着性繊維および不織布
WO2002057528A2 (en) Bonded layered nonwoven and method of producing same
US6001752A (en) Melt-adhesive composite fibers, process for producing the same, and fused fabric or surface material obtained therefrom
JPH0949160A (ja) 不織布の製造方法
JPH05263344A (ja) 伸縮性長繊維不織布及びその製造方法
JPH01213452A (ja) 嵩高不織布の製造方法
JPH1088456A (ja) 伸縮性長繊維不織布及びその製造方法
JPH10325064A (ja) 伸縮性に優れた生分解性不織布及びその製造方法
JP3107626B2 (ja) 熱接着長繊維不織布
JPH05125645A (ja) 伸縮性嵩高長繊維不織布及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 19960903

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees