JP2948165B2 - 焼却炉の火格子構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ、産業廃
棄物等の焼却炉・燃焼炉におけるストーカの火格子に適
用される火格子の冷却構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ごみ等の廃棄物を焼却炉のストーカ上で
燃焼させる場合、火格子の直上で廃棄物が高温燃焼する
ので、火格子の過熱による焼損や破損を防止するため
に、従来から火格子を冷却することが行われている。図
４は、従来の焼却炉の火格子構造の一例を示す側面概略
図であり、フレーム１０上に火格子１１を置き、その
際、火格子の足部１４をフレーム１０に係合させてから
係合部材１６を挿入し、火格子の係止部材２０で前記係
合部材１６が離脱しないようにしてから、ボルト２２及
びナット２４を用いて火格子１１をフレーム１０に固定
する。このような従来の火格子構造の場合は、図５に示
すように、火格子１１をフレーム側板１２上に取り付け
るのみであり、フレーム１０下からの燃焼用空気により
火格子１１を空冷するだけであった。なお、２６は燃焼
用空気を通すために火格子に設けられた空気孔である。

【０００３】実公平３−４４９９５号公報には、火格子
を取り付けるフレームの内部に冷却水を通水する通路を
設けるとともに、フレームの上下を貫通する空気孔を設
けて火格子フレーム及び火格子全体を冷却することが記
載されている。また、特開平２−１０６６１３号公報に
は、火格子内の凹部と火格子フレームによる凸部とによ
り形成された各火格子とフレームとの間の内部空間に通
水経路を設け、この通水経路の両端部に冷却水の給水管
と排水管を接続して火格子を水冷することが記載されて
いる。また、特開平７−１８０８２４号公報には、火格
子の先端内部に水室を設け、この水室に冷却水の給水管
と排水管を接続して火格子を水冷することが記載されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図４、
図５に示すような従来の火格子構造は、焼却炉で燃焼の
ために必要な空気を火格子の下から送り込むことで、火
格子を空気冷却しているだけであり、冷却効果が十分で
はなく、特にプラスチック類の増加等により高カロリー
化した廃棄物の焼却では、火格子が過熱されて損傷が発
生するおそれがある。また、実公平３−４４９９５号公
報に記載されたように、火格子を取り付けるフレームの
内部に冷却水を通水する通路を設ける場合は、フレーム
を冷却するだけであり、フレームの冷却には有効である
が、火格子全体の冷却効果はあまり望めない。また、特
開平２−１０６６１３号公報に記載された各火格子とフ
レームとの間の内部空間に通水経路を設ける方式、又は
特開平７−１８０８２４号公報に記載された火格子の先
端内部に水室を設ける方法では、火格子を直接的に水冷
するので、火格子の信頼性が重要があり、さらに、火格
子の過熱による焼損や破損により冷却水が漏れ出し、冷
却効果を継続させることができなくなるおそれがある。

【０００５】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもの
で、その目的は、火格子の下側に接するように水管を設
け、冷却水を水管に通水して冷却を行うことで、火格子
の過熱による焼損や破損を防止するとともに、収熱用の
フィンを備えた水管により間接的に冷却することで、火
格子の耐久性を大幅に向上させて長寿命化を図る焼却炉
の火格子構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の焼却炉の火格子構造は、火格子を取り付
けるフレームに、収熱用の冷却フィンを備えた冷却水管
を取り付け、前記冷却フィンを収納する空間を設けた火
格子を、冷却フィンに嵌合するように冷却水管上に載置
してなることを特徴としている。上記の火格子構造にお
いて、火格子の冷却効果をより向上させ、耐久性を向上
させるために、火格子と冷却フィン及び冷却水管とを接
合材料を介して接合することが望ましい。この場合、接
合材料として熱伝導性に優れた材料を使用することが特
に好ましい。ここで、上記の接合材料としては、モルタ
ル、熱伝セメント、その他の接着材料等が挙げられ、例
えば、カーボングラファイトを水ガラスで練ったものを
用いる場合もある。また、火格子の材質としては、高ク
ロム鋳鋼、その他の耐熱性材料等が用いられる。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１及び図２は、本発明の焼却炉
の火格子構造の一例を示している。図１において、４０
は火格子であり、火格子４０を取り付けるフレーム３
８、３９には、冷却水を通水するための冷却水管４２が
取り付けられている。そして、この冷却水管４２の上部
には、火格子４０を間接的に冷却するための収熱用の冷
却フィン４４が、冷却水管４２の長さ方向に断続的に一
列に溶接等により接合されている。冷却フィン４４の形
状は、火格子４０が載置されたときに、火格子４０と冷
却水管４２との空間を埋めるように、山型（略不等辺三
角形）の形状をしており、冷却効果の向上に寄与してい
る。一方、図２に示されるように、火格子４０には、冷
却フィン４４を収納するための空間４６が設けられてお
り、前記の山型の形状をした冷却フィン４４が嵌合する
ようになっている。

【０００８】つぎに、図１及び図２を参照しながら、火
格子の取付方法について説明する。フレーム３８上に左
右２分割の火格子４０を置いてボルト５４で締結し、そ
の際、火格子の足部５６をフレーム３８に係合させてか
ら、ボルト５０及びナット５２を用いて火格子４０をフ
レーム３８に取り付ける。この場合、フレーム３８上に
火格子４０をそのまま置いて、火格子４０と冷却フィン
４４及び冷却水管４２とを接続させ、火格子４０の冷却
を行ってもよいが、図２に示すように、火格子４０と冷
却フィン４４及び冷却水管４２との間には、空間４６等
に隙間ができる場合があるので、この隙間に熱伝導性の
ある材料４８、例えば、熱伝導性のあるモルタルを挟ん
で、火格子４０と冷却フィン４４及び冷却水管４２とを
接合することにより、より高い冷却効果を得ることがで
きる。また、モルタルの接着力により火格子の密着性が
良くなる。

【０００９】上記のような火格子構造を採用してストー
カを構成すると、一例として、揺動ストーカを構成する
場合には、図３に示すような装置となる。図３は、揺動
ストーカのうち、図１に示す火格子構造を備えた可動式
火格子列の概略を示している。一般的な揺動ストーカ
は、可動式火格子列と固定式火格子列が一列ずつ交互に
並列に設置された構造であり、可動式火格子列の往復動
作により廃棄物等の被処理物が下流側に搬送されるよう
になっている。図３において、可動式火格子列５８に
は、油圧シリンダ等の往復駆動シリンダ（図示略）が設
けられており、火格子４０や冷却水管４２が取り付けら
れた可動受梁７２が往復駆動シリンダで揺り動かされ
て、被処理物の搬送が行われる。一方、図３を参照しな
がら火格子４０の冷却構造を説明すると、冷却水管４２
に送られた冷却水は、冷却水管４２内を流れる際、冷却
水管４２及び冷却フィン４４を冷却し、火格子４０の冷
却に役立てられる。なお、図３は、一例として、可動式
火格子列の場合を示しているが、本発明の火格子の冷却
構造を固定式火格子列に適用することも勿論可能であ
る。また、本発明の火格子構造は、本実施の形態で説明
した揺動ストーカの場合だけでなく、階段式ストーカ等
のあらゆる形式のストーカに採用することが可能であ
る。

【００１０】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 （１） 収熱用の冷却フィンを備えた冷却水管により間
接的に火格子を水冷することにより、火格子の過熱によ
る焼損や破損を防止するとともに、火格子の耐久性が大
幅に向上し長寿命化を図ることができる。 （２） 収熱用の冷却フィンを備えた冷却水管により間
接的に火格子を冷却するので、火格子の過熱による焼損
や破損により冷却水が漏れ出したりするトラブルがな
く、冷却効果を継続させることができる。 （３） 熱伝導性のある接合材料を介して火格子と冷却
フィン及び冷却水管とを接続する場合は、さらに伝熱性
がよくなるので、火格子の過熱による焼損や破損をより
有効に防止することができる。また、接合材料の接着力
により火格子のフレームとの密着性が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の焼却炉の火格子構造の一例を示す側断
面説明図である。

【図２】図１に示す火格子構造のＡ−Ａ線断面の略半分
を示す説明図である。

【図３】図１に示す火格子構造を備えた揺動ストーカの
一部分を示す側断面説明図である。

【図４】従来の焼却炉の火格子構造の一例を示す側面概
略図である。

【図５】従来の焼却炉の火格子構造の一例を示す縦断面
概略図である。

【符号の説明】

１０、３８、３９ フレーム １１、４０ 火格子 １２ フレーム側板 １４、５６ 足部 ２０ 係止部材 ２２、５０、５４ ボルト ２４、５２ ナット ２６ 空気孔 ４２ 冷却水管 ４４ 冷却フィン ４６ 空間 ４８ 熱伝導性のある材料 ５８ 可動式火格子列 ７２ 可動受梁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金岡 秀幸 神戸市中央区東川崎町１丁目１番３号 川崎重工業株式会社 神戸本社内 (72)発明者 窪田 勉 神戸市中央区東川崎町１丁目１番３号 川崎重工業株式会社 神戸本社内 (72)発明者 廣川 雅俊 兵庫県明石市川崎町１番１号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (56)参考文献 実開 昭61−13139（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−106735（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F23H 7/08 F23H 3/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 火格子を取り付けるフレームに、収熱用
   の冷却フィンを備えた冷却水管を取り付け、前記冷却フ
   ィンを収納する空間を設けた火格子を、冷却フィンに嵌
   合するように冷却水管上に載置してなることを特徴とす
   る焼却炉の火格子構造。
2. 【請求項２】 火格子と冷却フィン及び冷却水管とを接
   合材料を介して接合した請求項１記載の焼却炉の火格子
   構造。