JP3881536B2 - 階段式ストーカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば都市ごみ等の焼却炉に用いられる階段式ストーカの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の階段式ストーカとしては、例えば本出願人が先に提供した特願2000−118608号に記載されている図5乃至図7に示すものが知られている。
【0003】
当該階段式ストーカ50は、基本的には、被燃焼物の送り方向Aに交互に配設された固定火格子51及び可動火格子52と、固定火格子51及び可動火格子52の両側部に位置されたサイドプレート53とを備え、サイドプレート53を、概ね固定火格子51の側面に対向する第1サイドプレート片54と、概ね可動火格子52の側面に対向する第2サイドプレート片55とに交換可能に分割し、各第1サイドプレート片54を夫々対向する固定火格子51に着脱可能に固定すると共に、各第2サイドプレート片55を隣接する第1サイドプレート片54に着脱可能に固定したものである。
【0004】
而して、この様なものは、サイドプレートの形状を各火格子の上面よりできるだけ突出しない様にしたので、それだけサイドプレートの焼損が少なくなると共に、第1サイドプレート片を固定火格子に、第2サイドプレート片を隣接する第1サイドプレート片に夫々着脱可能に固定したので、各サイドプレート片毎に取外しができ、交換作業が容易に行なえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この様なものは、固定火格子と第1サイドプレート片とが隙間なく固定されているので、これらの間から燃焼用空気が吹き出す事がないものの、可動火格子と第2サイドプレートとの間には、可動火格子が移動する為の隙間が形成されているので、その隙間から燃焼用空気が吹き出し、その近傍の廃棄物の燃焼熱に依り高温となってサイドプレートが焼損していた。焼損が進めば、更に吹き出す燃焼用空気の量が増加するので、焼損が加速される事になる。
つまり、従来のものは、可動火格子とサイドプレートとの隙間から噴出する燃焼用空気に依りその近傍の温度が上がり、サイドプレートが焼損するという問題があった。
【0006】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、サイドプレートの焼損を防止する様にした階段式ストーカを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の階段式ストーカは、基本的には、被燃焼物の送り方向に交互に配設された固定火格子及び可動火格子と、固定火格子及び可動火格子の両側部に位置されたサイドプレートとを備え、サイドプレートを、概ね固定火格子の側面に対向する第1サイドプレート片と、概ね可動火格子の側面に対向する第2サイドプレート片とに交換可能に分割し、各第1サイドプレート片を夫々対向する固定火格子に着脱可能に固定すると共に、各第2サイドプレート片を隣接する第1サイドプレートに着脱可能に固定した階段式ストーカに於て、前記サイドプレートには、冷却空気を通流させる空気通路を形成した事に特徴が存する。
【0008】
空気通路に冷却空気が通流されると、冷却空気に依りサイドプレートが冷却される。サイドプレートが冷却つまり空冷されるので、サイドプレートの焼損が防止される。
サイドプレートは、概ね固定火格子の側面に対向する第1サイドプレート片と、概ね可動火格子の側面に対向する第2サイドプレート片とに交換可能に分割され、第1サイドプレート片が対向する固定火格子に着脱可能に固定されると共に、第2サイドプレート片が隣接する第1サイドプレート片に着脱可能に固定されているので、各サイドプレート片が焼損した場合には、焼損したサイドプレート片のみを容易に交換する事ができる。
【0009】
空気通路は、被燃焼物の送り方向とは逆方向に冷却空気を通流させる様に形成されているのが好ましい。この様にすれば、入出口が夫々一つの直列的なものになるので、並列的なものに比べて冷却空気の供給が行ない易くなると共に、燃焼温度が高い被燃焼物の送り方向の下流側から冷却空気を供給するので、冷却効果が向上する。
【0010】
空気通路は、サイドプレートの上部のみに形成されているのが好ましい。この様にすれば、サイドプレートの焼損が激しい上部のみを冷却する事ができ、効率的な冷却が期待できると共に、冷却空気の供給量を少なくできる。
【0011】
空気通路に供給する冷却空気の供給量は、空気通路の最終箇所の空気温度を検出して制御するのが好ましい。この様にすれば、冷却空気の供給が効率的に行なえる。
【0012】
空気通路を形成したサイドプレートは、空気通路を形成しないサイドプレートとの間で互換性を持たせているのが好ましい。この様にすれば、空気通路を形成したサイドプレートと空気通路を形成しないサイドプレートとの相互間で容易に交換が行なえる。この為、例えば乾燥ストーカと燃焼ストーカと後燃焼ストーカを備えた焼却炉にあっては、燃焼ストーカには、空気通路を形成したサイドプレートを用いると共に、乾燥ストーカと後燃焼ストーカには、空気通路を形成しないサイドプレートを用いる事ができる。その結果、燃焼の激しい燃焼ストーカのサイドプレートを空冷できると共に、各ストーカ間でサイドプレートの交換が行なえる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の階段式ストーカを示す縦断側面図。図2は、図1の2−2線拡大図。図3は、図1の3−3線拡大図。図4は、図1のサイドプレートを断面して示す縦断側面図である。
【0014】
階段式ストーカ1は、固定火格子2、可動火格子3、サイドプレート4、空気通路5とからその主要部が構成され、この他に耐火炉壁6とシールプレート7と耐火シール材8とを備え、都市ごみ等の焼却炉のとりわけ燃焼ストーカに適用される。
【0015】
固定火格子2及び可動火格子3は、被燃焼物(図示せず)の送り方向Aに交互に配設されたもので、所定の前方仰角θ(例えば20°)だけ傾斜した状態でレール状を呈する火床フレーム9に側方から嵌め込まれ、多少動く様に取付けられている。
固定火格子2用の火床フレーム9は、ストーカフレーム10を介して支持フレーム(図示せず)に取付けられている。
可動火格子3用の火床フレーム9は、ストーカフレーム10に対して前後動可能に支持された駆動フレーム(図示せず)に取付けられて居り、往復駆動装置(図示せず)に依り前後方向に往復動される。
【0016】
耐火炉壁6は、焼却炉の側壁を形成するものであり、図略しているが、支持フレームと、これの内側に固定されたレンガ支架台と、これの上に積み重ねられた耐火物レンガと、支持フレームの内側でレンガ支架台の下方に設けられたストーカ支持台11と、これに支持されたストーカフレーム10とを含んでいる。ストーカフレーム10の内側には、灰出しホッパが取付けられている。
【0017】
シールプレート7は、ストーカフレーム10及びストーカ支持台11と耐火炉壁6との間に設けられたもので、板状を呈して下部が締結ボルト12に依りストーカ支持台11に取付けられている。
【0018】
耐火シール材8は、サイドプレート4及びシールプレート7と耐火炉壁6との間を密封する伸縮可能なもので、セラミックフェルトンやバルグファイバー等が用いられて充填されている。
【0019】
サイドプレート4は、固定火格子2及び可動火格子3の両側部に位置されたもので、概ね固定火格子2の側面に対向する第1サイドプレート片13と、概ね可動火格子3の側面に対向する第2サイドプレート片14とに交換可能に分割され、各第1サイドプレート片13が夫々対向する固定火格子2に着脱可能に固定されると共に、各第2サイドプレート片14が隣接する第1サイドプレート13に着脱可能に固定されている。
【0020】
つまり、サイドプレート4は、第1サイドプレート片13と第2サイドプレート片14とを交互に複数個だけ組み付け固定する事に依り側面形状が被燃焼物の送り方向Aに沿って長い略長方形状となる様に形成されている。
【0021】
第1サイドプレート片13と第2サイドプレート片14とは、側面形状が略菱形の盤状体を分割線Bに略沿って2分割した形状を呈している。第2サイドプレート片14は、第1サイドプレート片13に対して分割線Bに沿う斜め上方向のみに移動可能に配置されている。一組の両サイドプレート片13,14の結合ユニット同士は、分割線Bに沿う斜め上下方向に移動可能に配置されている。
【0022】
そして、各第1サイドプレート片13は、取付ボルト15に依って夫々固定火格子2の側面に着脱可能に固定されている。各第1サイドプレート片13 の下流側(図1に於て左側)に位置する第2サイドプレート片14は、連結ボルト16に依って上流側に隣接する第1サイドプレート片14に夫々着脱可能に固定されている。
【0023】
各第1サイドプレート片13及び第2サイドプレート片14の正面形状は、図2及び図3に示す様に細幅な長方形状を呈し、これらの端面同士は、凹凸の組合せに係る所謂いんろう構造に依り組付けられて左右方向(図2及び図3に於て左右方向)の相互移動の防止が図られている。組合せの継目には、セラミックフェルトン等の伸縮可能な耐火シール材(図示せず)が介設された後に、両者が組付けられて燃焼用空気の漏洩の防止が図られている。
【0024】
空気通路5は、サイドプレート4に形成されて冷却空気Cを通流させるもので、被燃焼物の送り方向Aとは逆方向に冷却空気Cを通流させる様に形成されていると共に、サイドプレート4の上部のみに形成されている。
【0025】
つまり、サイドプレート4を構成する第1サイドプレート片13及び第2サイドプレート片14のうち最上流側のサイドプレート片(この例では、図1及び図4の最右側の第1サイドプレート片13)を除くものは、中空状を呈し、中空部分を上下に分割する仕切り壁17が設けられていると共に、被燃焼物の送り方向Aとは逆方向に沿って前後に入口18と出口19が形成されている。
最上流側のサイドプレート片(この例では、図1及び図4の最右側の第1サイドプレート片13)は、中空状を呈し、前側には入口18が下側には出口19が夫々形成されている。
そして、隣接する前後のサイドプレート片13,14は、夫々隣接する出口19と入口18とが連通されて一体化されている。
【0026】
従って、空気通路5としては、前側(下流側)に入口18を後側(上流側)に出口19を夫々一つづつ備えた直列的なものになっている。
空気通路5の入口18(図1及び図4の最左側の第2サイドプレート片14の入口18)には、冷却空気Cを供給する送風機(空冷ファン)20が接続されていると共に、その途中には、冷却空気Cの供給量を調節するダンパ21が介設されている。
空気通路5の出口19(図1及び図4の最右側の第1サイドプレート片13の出口19)は、灰出しホッパ内に接続されている。
【0027】
ダンパ21は、左右の空気通路5に対応して左右二つ設けられて居り、空気通路5の最終箇所の空気温度を検出する温度検出器22に依りそのアクチュエータ(モータ)が制御されて空気通路5に供給する冷却空気Aの供給量を制御する様になっている。
温度検出器22は、空気通路5の出口19(図1及び図4の最右側の第1サイドプレート片13の出口19)付近の冷却空気Cの温度を測定してその温度が300℃程度となる様にダンパ21を制御する様にしてある。
【0028】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
往復駆動装置が作動されると、固定火格子2に対して可動火格子3が往復動され、ごみ等の被燃焼物が火床の上流から下流へ送り方向Aに移送されながら焼却される。
送風機20からの冷却空気Cは、ダンパ21に依り流量が調節されてサイドプレート4に形成された空気通路5の入口18に供給される。空気通路5の入口18に供給された冷却空気Cは、空気通路5内に通流されてこの冷却空気Cに依りサイドプレート4が冷却される。空気通路5内に通流された冷却空気Cは、空気通路5の出口19からストーカの下部に位置する灰出しホッパに排出されて燃焼用空気の一部として使用される。
【0029】
空気通路5に供給される冷却空気Cの供給量は、空気通路5の出口19付近の冷却空気Cの温度を温度検出器22に依り測定してその温度が300℃程度となる様にダンパ21に依り調節される。
この様にして、サイドプレート4が冷却つまり空冷されるので、サイドプレート4の焼損が防止される。
【0030】
サイドプレート4のうちの例えば第2サイドプレート片14の一つに焼損が生じた場合には、当該第2サイドプレート片14が連結されている第1サイドプレート片13と固定火格子2とを固定している取付ボルト15を解離し、第1サイドプレート片13を固定火格子2から解放する。
次に、第1サイドプレート片13と第2サイドプレート片14とを一体として分割線Bに沿う上方向に引き抜いた後に、連結ボルト16を解離して両者を分解する。そして、焼損した第2サイドプレート片14を新たなものと取替える。その後の組立は、前述の分解の逆の手順に依り行なう。
【0031】
サイドプレート4は、概ね固定火格子2の側面に対向する第1サイドプレート片13と、概ね可動火格子3の側面に対向する第2サイドプレート片14とに交換可能に分割され、第1サイドプレート片13が対向する固定火格子2に着脱可能に固定されると共に、第2サイドプレート片14が隣接する第1サイドプレート片13に着脱可能に固定されているので、各サイドプレート片13,14が焼損した場合には、焼損したサイドプレート片13,14のみを容易に交換する事ができ、補修費の削減を図る事ができる。
【0032】
固定火格子2の側部に第1サイドプレート片13を取付けたので、固定火格子2と第1サイドプレート片13との間から燃焼用空気が漏洩したり、灰や未燃物が落下したりしない。可動火格子3と第2サイドプレート片14との間は、可動火格子3が可動できる僅かな隙間に調整されているので、燃焼用空気が漏洩したり、灰や未燃物が落下するのを最小限にする事ができる。サイドプレート4及びシールプレート7と耐火炉壁5との間には、伸縮可能な耐火シール材8が介設されているので、各火格子2,3の幅方向の膨張・収縮が吸収され、これらの間から燃焼用空気が漏洩したり、灰や未燃物が落下したりしない。
【0033】
サイドプレート4に空気通路5を形成して冷却する必要があるのは、燃焼過程で最も燃焼負荷が高い処であり、都市ごみ等の焼却炉に於ては、燃焼ストーカの部分である。
つまり、都市ごみ等の焼却炉は、乾燥ストーカと燃焼ストーカと後燃焼ストーカとを備え、燃焼ストーカには、空気通路5を形成したサイドプレート4を用いると共に、乾燥ストーカと後燃焼ストーカには、空気通路5を形成しないサイドプレート4を用いる。
この場合、空気通路5を形成したサイドプレート4は、空気通路5を形成しないサイドプレート4との間で互換性を持たせているので、空気通路5を形成したサイドプレート4と空気通路5を形成しないサイドプレート4との相互間で容易に交換が行なえる。
【0034】
尚、サイドプレート4は、先の例では、分割線Bの方向が可動火格子3の移動の方向(即ち前方仰角θ)と同一にしたが、これに限らず、例えば交換可能であればどのような方向でも良い。
サイドプレート4は、先の例では、第1サイドプレート片13の側面形状を略固定火格子2の側面形状に、第2サイドプレート片14の側面形状を略可動火格子3の側面形状に夫々合致するものにしたが、これに限らず、適宜の形状にしても良い。
空気通路5は、先の例では、入出口18,19を夫々一つづつ備えた直列的なものであったが、これに限らず、例えば各サイドプレート片13,14毎に入出口18,19を備えた並列的なものでも良い。
空気通路5は、先の例では、サイドプレート4の上部のみに形成したが、これに限らず、例えば仕切り壁17を省略してサイドプレート4の全体に形成しても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上、既述した如く、本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 固定火格子、可動火格子、サイドプレート、空気通路とで構成され、とりわけサイドプレートには、冷却空気を通流させる空気通路を形成したので、サイドプレートが空冷されてサイドプレートの焼損を防止する事ができる。
(2) サイドプレートの焼損を防止できるので、サイドプレートと可動火格子との隙間を最小限に且つ一定に保つ事ができ、燃焼用空気の吹き抜けがなくなる。
(3) サイドプレートの焼損を防止できるので、サイドプレートの長寿命化を図る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の階段式ストーカの一部を示す縦断側面図。
【図2】図1の2−2線拡大図。
【図3】図1の3−3線拡大図。
【図4】図1のサイドプレートを断面して示す縦断側面図。
【図5】従来の階段式ストーカの一部を示す縦断側面図。
【図6】図5の6−6線拡大図。
【図7】図5の7−7線拡大図。
【符号の説明】
1,50…階段式ストーカ、2,51…固定火格子、3,52…可動火格子、4,53…サイドプレート、5…空気通路、6…耐火炉壁、7…シールプレート、8…耐火シール材、9…火床フレーム、10…ストーカフレーム、11…ストーカ支持台、12…締結ボルト、13,54…第1サイドプレート片、14,55…第2サイドプレート片、15…取付ボルト、16…連結ボルト、17…仕切り壁、18…入口、19…出口、20…送風機、21…ダンパ、22…温度検出器、A…送り方向、B…分割線、C…冷却空気、θ…前方仰角。

Claims (5)

  1. 被燃焼物の送り方向に交互に配設された固定火格子及び可動火格子と、固定火格子及び可動火格子の両側部に位置されたサイドプレートとを備え、サイドプレートを、概ね固定火格子の側面に対向する第1サイドプレート片と、概ね可動火格子の側面に対向する第2サイドプレート片とに交換可能に分割し、各第1サイドプレート片を夫々対向する固定火格子に着脱可能に固定すると共に、各第2サイドプレート片を隣接する第1サイドプレートに着脱可能に固定した階段式ストーカに於て、前記サイドプレートには、冷却空気を通流させる空気通路を形成した事を特徴とする階段式ストーカ。
  2. 空気通路は、被燃焼物の送り方向とは逆方向に冷却空気を通流させる様に形成されている請求項1に記載の階段式ストーカ。
  3. 空気通路は、サイドプレートの上部のみに形成されている請求項2に記載の階段式ストーカ。
  4. 空気通路に供給する冷却空気の供給量は、空気通路の最終箇所の空気温度を検出して制御する請求項1乃至3に記載の階段式ストーカ。
  5. 空気通路を形成したサイドプレートは、空気通路を形成しないサイドプレートとの間で互換性を持たせている請求項1乃至4の何れかに記載の階段式ストーカ。
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